- 1二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:03:32
- 2二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:06:15
介護じゃん(すこ)
- 3二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:06:35
えっちだけどお辛いボブソフィだこれ!
- 4二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:10:56
ソフィを抱えるような体勢で湯船に浸かるボブ幻視した
指一本も動かせないなら一緒に湯船に入らないと溺れちゃうもんな - 5二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:13:24
もしかしてエランもそうだったんだろうか、あるいはスレッタも……と考えて、ペイル社もシン・セーもろくな会社じゃないと義憤に駆られるかもしれないし
我が子をガンダムに乗せるスレッタの母親は、本当にスレッタ自身が言っていたような素晴らしい母親なのかと疑いを抱くかもしれない - 6二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:19:36
戦闘終了から数時間は四肢の機能が麻痺するとかいよいよ使い捨て前提の生体部品だなぁ
- 7二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:25:58
ソフィに悪態つかれながら薪を切って火吹き棒で必死に風呂を沸かす姿が似合いそうなボブ
- 8二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:34:17
四肢を動かせなくなるのに加えて、目が見えなくなるとか食べ物の味がしなくなるとか段階的に重症化していくんだよね
- 9二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:46:07
「Hなことしてもいい」ってことは「Hなことをさせたことがある」ってこと
つまり入浴介助のために服脱がせたら服で隠れて見えないところが痣だらけで愕然とするボブが見れるってことやん - 10二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:48:17
感覚死んでたらワロエナイ
- 11二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 19:57:14
お湯が熱くないか火加減を聞いたら「そういうのわかんなくなるんだよね、だんだんと」って返ってきて愕然とするボブ
- 12二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 20:00:40
だから痛みだけが生の実感になるんですね
- 13二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 20:01:09
- 14二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 20:56:49
遠藤周作の小説「沈黙」は発表当初、幕府の役人に拷問される信徒を救うために司祭が踏み絵を踏むというラストの展開が、カトリック協会をはじめとするキリスト教社会から大きな批判を受けた
作者は司祭の自己犠牲の姿に弱き者を憐れむキリストを見出だしたが、カトリック協会はその行いを弱者への憐れみを理由に正義を捨てたと解釈したからだ
それを踏まえて考えた時、スペーシアンを殺戮する地球の魔女もまたそうしなければ生きられない弱者であったと知って憎み続けることができなくなるボブというキャラクター像は、
非常に日本的なヒーロー像の投影であり、地球の窮状を知った時その苦しみに寄り添う男であって欲しいというグエルへの願望と信頼なのかもしれない - 15二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 21:17:08
数ヵ月経って、ルブリスウルのパイロット補充要員として新たな地球の魔女がフォルドの夜明けに派遣される
魔女はボブと呼ばれるスペーシアンの青年に身の周りの世話を任せると聞き、当初は強く反発するが、先輩のノレアもボブに気を許しているのを見て徐々に受け入れる
そんなある日、自分が派遣される前に処分された前任者とボブとの関係を聞いた魔女は、「少しならエッチなことしてもいいんだよ? 私の前任者みたいに」とボブを挑発するが、ボブは哀しみに染まった瞳で魔女を見つめるばかりで…… - 16二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 21:57:01
その出来事を経たボブは、模擬戦やシミュレータ訓練で、自分が宇宙で学んできたモビルスーツ操縦技術を魔女に叩き込み始める
魔女は前任者との関係について聞いたから仕返しの嫌がらせのつもりなのかと嫌悪感を露にするが、それを見守るノレアはボブの真意を理解していた
GUNDフォーマットなしでもガンダムの性能を引き出せるパイロットに仕上げることで、僅かでも魔女の命を永らえさせたいというボブの想い……
全身をパーメットに蝕まれ、日に日に身体が不自由になっていく在りし日のソフィの姿が、それを見ているだけしかできなかった後悔が、ボブの心に焼きついて離れない……
- 17二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:18:17
ソフィ「ねぇ、ボブ、タオルじゃなくて手で洗ってよ」
ノレア「は?本気で言ってる?」
ソフィ「だってしていいよ、って言ってるのに全然Hな真似しないんだもん。手足動かせない美少女二人の裸を前にしてさ」
ボブ「…………勘弁してくれ、こっちもいっぱいいっぱいなんだ」
みたいなインモラルイチャラブ空間でもいいのよ? - 18二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 23:16:01
そういや、ラウダもシャンプー目に入るの昔嫌がってたな……
と二人の頭を優しく洗うボブはいる - 19二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 00:04:33
ボブがソフィとノレアをベッドに寝かせたら「キスとかしないんだ?」と挑発されるんだけど、やがて頬に軽くキスするようになっていったりしてさ……
- 20二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 07:04:48
最初は警戒してたノレアもお風呂場でボブに支えられて安心して眠るようになるんだよね
そして、そんな事が続いてボブがふと気付くんだ……
「あれ?今日こいつら出撃したか?」って - 21二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 15:36:44
ボブに構って欲しくて手足が動かないふりをしていると見せかけて、実は出撃がなくても不意に手足が麻痺するくらい症状が進行してるソフィとノレア
- 22二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 19:12:17
Hな事していいよって言ってるのに全く相手にされなくて逆にモヤッとする奴だ…
- 23二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 19:38:04
- 24二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 19:42:44
「やれば? 今ならお風呂に沈めて溺死させられるよ」って言われてハッとなるボブ……
- 25二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:16:05
そもそものテロ計画者は父さん本人という爆弾情報
ソフィノレがいるからガンダムやスレッタの闇にも触れることになり得るし
地球に来たらグエルの中で今まで信じてたものが更に崩れていきそうで…こいつに何が残るんだ…
- 26二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:17:29
お風呂に連れてく時は二人一緒だから色気のない俵担ぎなんだよね
- 27二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:28:15
最初はおっかなびっくりだったのが次第に手慣れていくんだよね…
風呂に入れてご飯食べさせて寝かせて……あれ、子育て? - 28二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:30:12
- 29二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:45:35
何もかも全部終わった後に加古川の廃墟で独り世捨て人のように暮らすボブの姿を見たいか見たくないかで言えば見てみたいよ
「こんなところに何の用だ……ここには墓しかないぞ」と訪問者をあしらいながら魔女達の墓を見つめる物憂げな瞳の青年を見たいよ - 30二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:57:27
世捨て人のボブ、グエキャン経験もあって結構似合うのが困りものだな……
- 31二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 04:19:05
- 32二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 04:30:21
4号もなんか光ってたよね
- 33二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 10:41:42
同じ屋根の下で同じ飯を食べて暮らしていつしか敵同士でいられなくなるってロマンス、いいよね
- 34二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 12:49:38
ソフィとノレアの世話係
↓
3人目の魔女との出会い
↓
魔女の墓守ボブ
このルートお辛すぎない? - 35二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 17:09:28
世捨て人になったグエルの下へ、さもずっと心配して探し回ってたみたいなツラでシャディクが訪れたりしたらめちゃくちゃ面白いと思う
なお当然フォルドの夜明けを通じてグエルが加古川にいることは掴んでいたし、捨て置いても計画の妨げにはならないと判断して放置していた模様 - 36二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 17:52:16
動けないソフィのわがままで、ソフィを背負って外出するグエル
歩き回る場所が増えるたびに二人の共用する光景も増えていく
農道、山の上からの眺め、星空… - 37二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 18:08:51
- 38二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 18:21:32
「お兄さん、と、さ」
「…なんだ?」
「もっと早く、会いたかった、な」
「…そうだな」
「…もっとたくさん、色んな、場所、見たかった、な」
「…ああ」
「もっと、長く。いつまで、も。こうして、いたかった、な」
「…ああ、俺も、そう思う」 - 39二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:07:56
グエルが最後に、加古川の学校ででじゃがいもを育てながら、死んだソフィとノレアを思い出すエンドは見たい。
- 40二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:33:56
今更なんだが、なんでいっつも鬱エンドに辿り着くんだよ加古川のボブ概念
まあ今回はスタートからして悪いけどさあ - 41二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:35:36
まさか症状が悪化する√行くとは思わなかったんだよね(スレ主)
- 42二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:37:23
最近はなんだかんだでボブと一緒に生きるEDに落ち着くスレが多かったから……ね?
- 43二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:48:16
メスガキにいくらでもエロいことしていいシチュを用意すると、ボブが曇りに曇った末に鬱エンドしたり、奮起してメスガキを助けてハッピーエンドに辿り着く
何故だ!? - 44二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:57:52
ソフィノレアと交流したら鬱エンドは確定みたいなもんだし、グエルは曇らせたくなるキャラだからじゃね。
- 45二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 20:58:50
グエルはエロいことしそうにないし、させたくない童貞感がある。
- 46二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 21:13:45
ソフィとノレアの死後、ボブは欠員補充のため加古川に派遣された何人かの魔女と出会い、別れ……
ある者にはボブ、ある者にはお兄ちゃん、またある者には先生と呼ばれながら魔女達の最期を見届け、
フォルドの夜明けが加古川から撤退した後も、荒廃した地球にありふれた不法居住者の一人として孤独に生き続けていた
世捨て人となったボブだったが、皮肉にも、魔女達の墓を見守り在りし日の想い出を見つめる暮らしこそ彼に与えられた平穏だった
地球と宇宙の情勢は激動し、毎日不穏なニュースが飛び交っていたが、ボブはラジオから流れるそれを無意味な雑音として聞き流した
いずれ地球にも戦火が及ぶかもしれなかったが、ボブにはどうでもよかった。明日? そんな先のことはわからない
あるいは……あの時、ソフィ・プロネやノレア・デュノクの手を引いて進んだ先にあったはずのもの。進むことができていたら見ることのできたかもしれない光景
それこそ明日と呼ばれるものかもしれなかったが……今のボブには、それを確かめる方法は、もうなかった - 47二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 21:22:45
- 48二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 21:29:25
シャディクの出自と目的如何では「地球の窮状を知ってアーシアンに同情的になってるグエルを味方に引き入れて手元に置いておこう」って判断もありそうだけど、
少なくともフェルシーやペトラに相当する妹分に何人も先立たれて心が折れてるグエルがシャディクの誘いに乗るかと言うと…… - 49二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 00:16:02
テロとかベネリットグループ解体とかよりも、ソフィやノレアを使い捨ての部品にしていることに激昂してシャディクを殴り倒すボブはいそうだ
「貴様の目的なんてどうでもいい! こんな子供を! こんな子供をテロの道具にしてたのか貴様は!」
「…道具として選ばれなければ野垂れ死んでいたさ。何もできずにただ死ぬより、大義のために短い生を生きることを選んだんだよ、彼女たちは」
「何だと…!」
「グエル。君の真っ直ぐさは高く買うが、もう少しこの世界の裏側も知ることをオススメするよ」 - 50二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 00:21:52
シャディクはいらないわ
- 51二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 00:37:19
「ねえボブ〜。髪乾かすのまだ〜?」
「はいはい…ちょっと待ってろ。…っと、よし。待たせたな、はじめるぞ」
「遅い!全く…風邪ひいたらどうすんのさ!」
「悪かった。ほら、あんまり動くなよ、髪が乱れても知らないぞ」
「むぅ…。罰として今日は一緒に寝てよね!」
「いや…最近ずっと一緒に寝てるだろ…」
「ボブ…私の髪も乾かして欲しいんだけど…」
「ああ、分かった。……って、ノレア?お前さっきまで普通に動いていなかったか?」
「……パーメットスコアを上げた後遺症みたいなやつよ。たまにあるの」
「…そうなのか?」
「ええそう。だからボブ、早くして。この後にもしてほしいことは沢山あるんだから」
「そ、そうか…分かった」
「あー!ノレアってばズルーイ!ねぇボブ!私も私も!」
「ああもう…分かったよ。ほら、二人共こっちにこい!」
「は〜い!」
「はい」
みたいな? - 52二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 07:38:41
- 53二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 07:44:27
- 54二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 07:52:14
- 55二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 08:21:09
ソフィと気を許すようになったノレアが手足麻痺してないときはボブの身体を洗ってあげてるんだよね
ソフィは無自覚に身体当ててると性癖 - 56二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 15:22:28
多分ソフィやノレアの入浴中にちょっと目を離した隙に手足の麻痺が起こって湯船で溺れかけたことがあって、これ以来責任感じたボブは一緒に入ってるんだよね
後ろから抱き抱えるみたいに湯船に入れてあげてるんだ。老老介護ならぬ幼幼介護が捗るんだ - 57二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:16:05
ソフィとノレアの抱き上げた時の軽さや腕に抱えた時の身体の薄さを知ってしまって、しかも身体が不自由とくれば腕力でどうこうするのは容易いのに、
グエルの持つ父性が弱者への慈しみとして発揮されてしまって彼女らを害することができなくなるの、どんなスレでも竿役適性皆無の総受け体質が共通してて笑っちゃうんだよね - 58二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:01:42
入浴介助を含む介護をしてるからナチュラルに混浴してるんだよね……
グエル「くっつくな。身体洗うのくらい自分でやる」
ソフィ「えぇ~? ボブ、嬉しくないの? 私みたいな美少女の柔肌で洗ってあげてんのにさ。ノレアより私の方が胸おっきいんだけどなぁ~」
ノレア「は? そんなの誤差もいいとこでしょ」
- 59二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:45:02
- 60竿役に向かない男123/02/07(火) 23:44:16
モビルスーツを降りてからしばらくは、指一本動かせなくなること。それが魔女の代償だ。
それ自体はどうでもいいことだった。少なくとも、少し前までは。
「あのさあ」
湯船にたゆたいながら、告げる。
「後腐れなんて無いんだよ?」
少し考えて、付け加える。
「あとから復讐なんてするつもりもないし。ここの兵士たちに告げ口するつもりもないし」
眼の前でゆらゆらと揺れるお湯。その下に、大きな腕が見える。
裸の自分の身体に添えられた、男の手。
「だからさ。ボブの思うまま、あたしのこと好きにしていいんだよ♪」
「……なら、そろそろ上がるぞ」
その声とともに腕に力が込められ、少女の身体が持ち上げられる。
男の腕は、湯船から引き上げた少女の身体にタオルを被せ、事務的な動きで拭きとっていく。何度目かの誘いをあっさりかわされて、ソフィは唇を尖らせる。
「お兄さんさあ、もしかして勃たない病気?」
「……」
下品な質問は無視された。男は少女に手早く服を着せると、その髪の毛にタオルを当てて水分を吸いとる。ごつごつとした腕の形からは信じられないほど、優しい手付き。ソフィはそれ以上軽口を言えなくなってしまう。
髪の毛が乾くと、男は少女の身体を横抱きに抱き上げ、寝室へと運んでいく。 - 61竿役に向かない男223/02/07(火) 23:45:13
運ばれながら、ソフィは男にささやく。
「ねえ、ボブ。あたしのこと滅茶苦茶にしたくないの?」
「……別に」
「お兄さんの人生を無茶苦茶にしたテロリストだよ? 思い知らせてやりたいと思わないの?」
「……」
逡巡の気配を感じ取る。けれど相手の動作は変わらない。こちらを包み込むように優しく抱きかかえ、ゆっくりとした足取りで進んでいく。
彼は今、どんな感情をその顔に浮かべているのか。
怒りか。憎しみか。悲しみか。侮蔑か。同情か。それとももしかして、欲情か。
是非とも見てみたかったけれど、指一本動かせない自分には。それは叶わない。
そのまま、寝室にたどり着く。ベッドに仰向けで優しく寝かされる。
最後の機会とばかり、寝転されながらソフィは挑発の声を上げた。
「お兄さんがここに来たばかりの頃さあ、あたし、お兄さんの頭を散々踏んであげたよねえ? スペーシアンがいい気味だって、あたしすっごく愉快だったなあ。あれ、楽しくてたまらな」
「ソフィ」
矢継ぎ早の嘲りは、男の声で中断させられる。しめた、と見上げた少女の視線の先に、男の顔があった。
そこにあったのは、沈痛と、そして心配。
口をつぐんだ少女の頭を、男は優しく撫でる。
「お休み、ソフィ。また明日な」
「ちょっ、待ってよボブ!」
男は去っていく。
指一本動かせない自分は、それを止めることも追うこともできない。
「あーあ……」
一人寝室に残され、ソフィは初めて、魔女になったことを少し後悔した。 - 62二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 23:54:16
「手動かせないからさ、食べさせてよ」って雛鳥みたいにスプーンで食事を食べさせるボブください
- 63二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 06:42:02
手足動けないフリして身体洗わせて、寝室に来た瞬間ボブをベッドに引きずり込もうとする甘えたがりなソフィが思い浮かんだ
ボブの体格には勝てまいが…… - 64二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 07:20:44
ボブがソフィをベッドに寝かせて布団かけようとしたところで、ソフィが飛びついてキスするんだよね
- 65二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 12:44:15
最終的に株式会社ガンダムのGUND義肢をつけることも選択肢かもしれないんだが、手足が治ったところでその手足を使ってスペーシアン殺すだけなんだよな
- 66二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 12:54:12
株式会社ガンダムもテロリスト相手に商売は……いや、ニカのお父さん(役)のナジが小綺麗なスーツ着て紳士的な態度で
「私どもは地球で孤児の養育事業を運営しておるのですが、病気で手足の不自由な女の子がおりまして、御社のGUND義肢を是非とも……」
って近づいてくるかもしれない……? - 67二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 17:32:35
元御三家の御曹司で元決闘委員会筆頭で元ホルダーなのでアス高生全員に面が割れてるグエルだが、本人としてもどんな顔して株式会社ガンダムの門を叩けばいいんだ
- 68二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 17:41:30
- 69二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 17:46:11
しかし株式会社ガンダムにはベルメリアさんと5号がいるから、ソフィとノレアの「病気」が体内に残留したパーメットによる障害だとわかったら芋づる式に地球の魔女だとバレる可能性があるんだよな
- 70二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 21:58:01
- 71二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:22:58
ボブが加古川に連れてこられてから間もない頃、何かにつけてソフィがボブ虐をして遊んでいたんだ
人質の船長達のことを考えると抵抗することもできず、頭を踏まれたりされるがままだったんだけど、
ある日ボブ虐中のソフィが不意に手足に痺れを感じて、立っていられずそのまま尻餅をついてしまうんだ
両脚はもちろん手の自由も効かなくなり、拳銃を構えることもできなくなってしまったソフィに戸惑うグエルだったけど、ここが彼にとっての岐路でもあったんだ
動けないソフィから拳銃を奪うなり、殴ったり蹴ったりして報復するなりの選択肢はあったのに、グエルはソフィを抱え上げて助けを呼んでしまったんだ
グエルがソフィの世話係を押し付けられたのはそれから数日後のことだったんだ - 72二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:37:31
- 73二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:39:12
- 74二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:42:07
だが強さだ(断言)
ラウダくんの脳の焼かれっぷりを見ると、グエルならその優しさで地球の魔女の脳も焼けると確信している - 75二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 23:44:50
溶けちゃえ溶けちゃえ脳みそ溶けちゃえ
- 76二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 00:22:39
身体に不調が起きてる間は顔に光る痣が浮かぶんだよね
- 77二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 08:09:10
背中をさすってあげることしか出来ない自分の無力さを噛み締めるボブ…
- 78二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 13:01:08
ボブが全然手を出さない問題への解決方法を模索する。入浴中編。
「で、あたしの我慢も限界に達したってわけ。……聞いてるボブ?」
「ああ、聞いてるよ。お前も辛かったんだな」
うーん、こっちの話はちゃんと聞いてるみたいなんだけどね、ボブのやつ。
誘っても罵っても受け流されるし、下品な言葉は無視されるし。
どうすればいいのかな、コイツに手を出させるには。
…怒らせるのが手っ取り早いんだろうけど、コイツ何言っても怒らないし。
「ホントさあ、あんなクソ親父、さっさと殺してやりたかったね!」
「……」
あれ? なんか無言になった。
そういえばボブって、なんか家族とか親とかの話題を振ると反応悪かったな。
もしかしてこれ、地雷?
「そういえばさあ、ボブはどうなん? パパには愛されてたのぉ?」
「……」
あ、ボブの腕に力が入った。
間違いないコレ地雷だ。踏み抜いたら激怒するやつだきっと。
じゃあ踏み抜かなきゃ♪
「あー、愛されてなかったんだあ。あたしと一緒だね。もしかして、殺したいほど憎んでたぁ?」
「……」
わあ、ボブの腕がブルブル震えてる。
今どんな顔してるんだろうなあ。怒ってるのかな? 泣いてるのかな? 見たいなあ、でも身体動かせないから見れないや。
まあいいか、襲いかかってくるまで煽ったげるよ、ボブ♪
「あ、もしかしてボブ、もう殺しちゃったの? 自分のパパを」
「……!!」
続きません。 - 79二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 15:44:34
- 80二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 17:31:04
- 81二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 18:12:24
- 82二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 18:27:45
ヴィムが死んだのは完全にヴィムの自業自得なんだけど、グエル視点だと
「自分を助けに来てくれた優しい父さんを、自分の手で殺してしまった」
にしかならないという…いや本当に地獄でしかねえなグエル…
あーやっぱそうなるよね。自分も書いてて「これでも駄目だろうなコイツ」って思ってたし。
でもソフィにとっては「ボブは父を殺した」=「スペーシアンなのに自分と同じ悲惨な境遇」
って認識にもなり得ると思うんだよね。そこから親近感を抱く可能性もあると思うんですよ。
もしボブが無意識にでも攻撃しちゃったら、ソフィは味を占めるだろうね。
そこから始まる爛れた関係…ひたすら当てこする女、泣き続ける男…
いや爛れたというかただの地獄じゃねーかコレ
- 83二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 19:46:44
(グエル視点では)本当に自分を愛していた父親を裏切りあまつさえ命まで奪うというあがないきれない罪を犯してしまったんだよな
このせいでグエルの中で「愛すること」が「疑わないこと」「裏切らないこと」にすり変わってしまったり、スレッタへの信仰にとことん傾倒してしまったりしそう
- 84二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 20:38:00
本編中でヴィムのこと好きなのグエルだけなんだよなぁ
- 85二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 20:39:44
- 86二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 20:43:05
でもヴィムにはデリングは常に目の上のたんこぶだったろうし、仮に内心高く評価していたとしてもデリングの片想いだったんだよね……
- 87二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 21:10:55
- 88二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 23:58:50
親なんていないだろうソフィとノレアも、実の父親に重すぎる呪いを押し付けられたグエルも、愛し愛されることの「正解」を知らないんだ
だからソフィとノレアが愛してとアピールしても、グエル自身にさえ愛し方がわからないんだ。父親の姿から学べば必然的に支配的かつ一方的な接し方になるし - 89二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 01:14:01
お前はパパを殺したんだろう、と罵ってやった直後、ボブが泣き始めた。びっくりだ。
父さんすまない父さんすまないと呻き声を上げるボブに、なんで泣くんだよこっちに襲い掛かれよと舌打ちする。けれどこれ以上ボブを責めるとそのまま浴槽に頭を打ち付けて自殺しそうだし、そうなるとあたしは身体が動かないから止めようがない。
仕方なく、慰めの言葉をかける。
「あーごめんごめん、言い過ぎたわ。なんだ、パパを憎んでたんじゃなかったの?」
「……憎んでなんか……好きだった。認めてほしかった。褒められたかっただけ、なんだ。なのに……!」
パパが好きだったのかよ。じゃあなんで殺したのさ。やっぱよく分からんわコイツ。
そう思いながらもボブをなだめつつ事情を聞こうとしたが、一時的に幼児退行でも起こしたのか、ボブの説明は断片的で要領を得ない。なんか、助けに来てくれた父を手違いで殺したとかなんとか。それが本当なら、あたしでさえ同情するレベルの不運っぷりだけど、ねえ。
「まあとりあえず、今日はもう休みなよ。あたしを風呂から引き上げて身体拭いて髪乾かしたあとで。さすがにもう長湯もいいとこだしさあ」
「……ああ、すまん。すぐにやる」
ひとしきり泣きはらすと、ボブは正気に戻った。それから後はいつもの事務的な、けれど優しい手付きでこっちの介護をしてくる。
結局、今日も目論見は失敗した。ボブに襲いかかられることもなく、あたしは寝室に一人取り残される。
けれど。
天井を見上げ、にやにやと笑う。
「なあんだ、スペーシアンにもあるじゃん。ぐちゃぐちゃの傷口がさあ」
ボブのあの鉄面皮は、分厚いカサブタで自分を覆っていただけだ。剥がしてやればたちまち膿み爛れた傷口が現れる。
もっとあいつの過去に手を突っ込んで掻き回してやろう。そうすればきっと怒り出す。いや、怒らなくてもいいんだ。威張り腐ったスペーシアンの傷口をぐりぐり広げるのは、きっとそれだけで愉しい。スペーシアンに惨めな思いを味合わせるのは、あっさり殺すよりもずっと愉快だろう。
「いひひ。身体なんて動かなくても、痛めつける方法はあるんだね」
明日はボブになんて声をかけてやろうか。にやにやと笑いながら、あたしは眠りに落ちたのだった。
- 90二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 01:21:42
- 91二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 06:52:39
大人になれない僕らの言い訳を誰か聞いてくれ・・・
- 92二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 12:33:33
ソフィはグエルという高潔な男を傷つけ堕落させることを楽しむのだとしたら、ノレアは何に愉悦を感じるのか
- 93二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 13:36:17
いいや、ノレアは重くて湿度が高い純愛を担当してもらう
- 94二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 17:16:29
グエルはプロローグでデリングが言った「自ら引き金を引き、奪った命の尊さと、あがないきれない罪を背負う」をこれ以上なく体現してしまったんだよな
こうなったら地球の魔女にグッドモーニングからレストインピースまで寄り添うことで命の重さを噛み締めてもらおうか - 95二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 17:19:28
うっかり開いたら、グエスレからボブソフィに変わってしまった...ありですわ...
- 96二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:02:43
聞いたよ…本当は…ボブソフィなんだってな、ボブソフィのせいで… …俺は… 俺はグエスレ派だったのに…ボブソフィのせいで今大変なんだから、なんとかしてくれよ
- 97二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:08:25
誰も元世話係ニカ姉に触れてない……
まあ、今それどころじゃないしな - 98二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 22:35:16
スレッタルートでもソフィルートでもノレアルートでも結局茨の道なボブ
どうして魔女と関わってしまったんだ… - 99二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 22:50:17
これが魔女を愛する宿命の男……
- 100二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 02:08:24
>>21と>>71のアイディアをお借りしました。ボブの傷口を広げに行った結果。
翌日。
その日はガンダムの出番もなく、あたしは気ままに敷地を歩いてボブを探す。
彼はすぐに見つかった。今日は庭の草むしりをさせられている。ちょうどいいとばかりにあたしは作業中の彼の横に陣取り、腰の銃をちらつかせながら半ば無理矢理に過去を聞き出しにかかる。
威張りくさったスペーシアンを惨めな泣きっ面に変えてやるべく意気込んだ、のは良かったのだけれど。
「はあ!? バースデーもクリスマスも家族で祝ったことがないの!?」
「な、無いわけじゃないぞ! 7歳と11歳のクリスマスは父さんと一緒に祝ったんだ。写真だってある」
草むしりの手を止めたボブが、いつになくガキくさい表情で強弁する。
あたしは心底から呆れていた。あたしのクソ親父ですらバースデーとクリスマスだけは毎年必ずあたしと一緒に祝ってたのに。毎回飲みすぎていつものように暴れ始めて台無しだったけど。
「俺の父さんは忙しかったんだ。だから仕方なかった。クリスマスカードだってちゃんと……」
だんだんと小声になっていくボブを見ながら、あたしは首を傾げる。コイツ本当にパパから愛されてたの?
一緒にキャンプに行ったときは、うっかり飯盒をひっくり返してパパからビンタされた。
モビルクラフトの少年操縦大会とかいうのに参加したときは、3位でメダルを貰ったのに1位を取れなかったので見学に来たパパから大声で怒られた。
まだ思い出をいくつか聞き出しただけだけど、どれもこれも必ずボブが叱責されるか殴られるかで終わっている。コイツのパパの粗暴さはあたしの親父より酷いかもしれない。
「なんなのさ、そりゃ……」
嘆息する。計算違いもいいとこだ。ボブから幸せな過去をたっぷり聞き出しておいてから、「お前はそんな優しいパパを殺したんだ」と囁いて傷口を刳り抜いてやろうと思ってたのに。これじゃあ煽りにも何もなりゃしない。
- 101二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 02:08:50
「あのさあ、ボブ」
あてが外れたあたしは、もはや駆け引きも何もなく、ただ純粋な感想を告げる。
「無理して嘘ついてない? あんた、本当にパパのことが好きなの?」
「……!」
ボブが顔を真っ赤に紅潮させる。図らずもあたしは、彼を本気で怒らせることには成功したのだった――が。
相手が繰り出してきたのは暴力ではなく、意外なカウンターだった。
「お前こそっ! さっきから俺の父さんと自分の家族をこれみよがしに比べてるじゃないか! お前こそ嘘つきだ! お前は本当は自分の父さんを自慢したいだけだろう!」
「……んなっ!?」
言うに事欠いて何を言い出す。あんなアル中でヤク中で、娘に暴力を振るっては泣いて謝るような情けないクソ親父を、このあたしが自慢に思うわけがないだろう!
「ふざけんな! 殺してやるっ!」
激怒したあたしは即座に腰から銃を引き抜く。けれど安全装置を外そうとしたところで手から力が抜けて銃を取り落とした。すぐに全身からも力が抜け、あたしは地面に突っ伏す。
あ、やば。魔女の代償だ。最近はガンダムを操縦しなくても発症するってことを忘れてた。
「え? ……ソ、ソフィ?」
頭の上からボブの驚き声が聞こえて、やがて足音が近づいてくる。
あー、今回は流石に駄目かな。銃を拾われてズドンかな。本気で怒ってたしな……
なんてことを思う間もなく、ひょいと横抱きに担ぎ上げられた。仏頂面のボブと目が合う。
「……すまん。言い過ぎた」
彼はそう謝ると、銃を拾い上げてあたしと一緒に寝室に運んでいく。いつもと同じく、事務的で、かつ優しい手付きで。
…本当、なんなのさコイツ。
無力に運ばれながら、あたしはボブと出会って何度目かになる疑問符を浮かべたのだった。 - 102二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 10:41:02
グエルの中でヴィムは際限なく美化されてしまいそうなのが地獄
- 103二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 15:11:11
グエルの中で永遠に生き続けてずっとグエルを苦しめ続けるなんて刺激的でファンタスティックだろ
- 104二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 20:40:33
- 105二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 20:45:24
絆されてる・・・
- 106二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 20:47:16
- 107二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 20:56:55
- 108二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:03:00
- 109二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:07:26
業者やってる時に結構充実してそうだったから微妙に否定できねえ・・・
- 110二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:09:31
- 111二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:14:07
- 112二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:20:42
ヒャッハーするのが性に合ってて義務教育も受けてないだけで地頭は良いタイプじゃったか
- 113二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:24:58
ボブ虐のためなら手段は問わない小悪魔系魔女ソフィ
- 114二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 21:42:13
ボブを堕とそうと奮闘する恋愛頭脳戦かな?
- 115二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 23:23:34
ノレアはボブが自分達寄り=クソ親育ちだとわかったから気を許し始めたのかな
御三家の御曹司なんて想像もつかないくらい幸せな暮らしをしているだろうと思っていたところ、ボブの父のヴィム・ジェタークはああだったと
子供を支配して操るのも売り飛ばしてカネに換えるのも子供を親の所有物だと考えてるからというのはあるわけだし、そこでシンパシー感じたんだろうな…… - 116二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 00:13:40
ジェタークの人間は一度思い込む(刷り込む)と頑固って雰囲気は確かにある
ヴィムは自分至上主義だしグエルはスレッタ一筋だしラウダは兄さん信奉者だし… - 117二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 01:25:30
※このボブはまだ身バレしていません
盛大に地雷を踏み抜きあった仲なら、普通はもう二度と顔を合わせないようにするものだろう。そもそも昔のあたしだったら次の日を待たずに相手の後頭部に鉛玉をお見舞いしているところだ。
けれど今のあたしは、唐突に全身麻痺に陥ることもある要介護要因。そしてボブはあたし専門の介護員だ。
だから必然的に、顔を見せたくない相手とこうして裸で向き合うハメになる。いやボブはさすがに下はつけてるけど。
「……」
「……」
身体を洗ってもらってる間はまだいい。浴槽に溺れないように背中を抱えられた状態だと、お互い特に何もすることがないので、間が持たない。
沈黙に耐えきれず先に口を開いたのは、あたしだった。
「……あたしの親父は、人間のクズだった」
昨日の今日でお互いの傷口をナイフで刺し合うほどの気力はなかったから、言い訳めいた予防線を先に引く。
「酒に逃げ、クスリに逃げ、ママに暴力を振るって逃げられ、あたしにさんざん暴力を振るって。
極めつけは暴力を振るったあとだよ。決まって泣いて謝ってくるんだ。たまんないよ、そんなん。謝るくらいなら最初からやるなってんだ」
「……」
「あんな奴、一片たりとも尊敬する部分なんて無い。今度ボブがあたしの親父のことを口にしたら、絶対に殺すよ。わかったね」
「……ああ」
黙って聞いていたボブが、うなずく。 - 118二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 01:25:56
そして彼もまた口を開く。
「俺の父さんが、家庭を顧みない人で、とても厳しい人だったのは確かだ。でもきっと、それは大事な物を守りたかったからだと、思う。俺たちの居場所を守るために、敢えてそうしなければいけなかったんだと思う」
本当に? とツッコミを入れたくなってしまった。自分の手で殺してしまったという負い目からか、ボブはとにかく父親のことを悪く考えないようにしようとしている。傷口に必死にカサブタを貼り付け、ぐちゃぐちゃの断面から目を背けようとしている。
父さんは悪くない。悪いのは期待に応えられなかった自分なのだ、と。
「……けど」
ぽつりと、続く。
耐えきれなくなったのか、ボブの口から少しだけ、本音が漏れた。
「俺の操縦技術。一度だけでいいから、褒めてほしかったなぁ……」
膿み爛れた傷口だ。あたしが見せた傷口と引き換えに、ボブが見せたぐちゃぐちゃの断面の一部。あたしが手を突っ込んで掻き回すはずだった場所。
でももうあたしたちは予防線を――いや、不可侵条約を結んでしまった。だからこの話はこれでおしまい。
「うっ……ぐうっ……」
ボブの嗚咽を背中に聞きながら、あたしは無言で、ただ天井を見つめる。いや身体が動かないからそっちしか向けないのだけれど。もし身体が動いたなら……どうしてたんだろうな。抱きしめて……いや、それはないか。
自分でもよくわからない感情を抱きながら、あたしはしばし湯船をたゆたったのだった。 - 119二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 01:26:34
「お休み、ソフィ。また明日な」
「ああん? 逃げられるとでも思ってんの?」
あたしをベッドに横たえて出ていこうとしたボブの腕を、がっしと掴む。着替えさせられている間に身体感覚が戻ったのだ。
ぎょっとして振り向いたボブに、にやにやと笑いかける。
「さんざんレディに恥ずかしい思いをさせておいて、これで終われるわけないじゃーん。さあ、あんたのこと洗いざらい語りな♪」
「恥ずかしいって、俺だってだいぶ恥ずかしい思いをしたんだが……」
「男の恥じらいに価値など無いんですけどぉ? あんたのパパのことは免除してあげるから、それ以外の知り合いのことを話してよホラホラ」
「ほ、捕虜にも黙秘権というものが……」
「あたしの介護員であるあんたにそんなモンは無いんだなあ、これが。さっさと話さないと、ひどい目にあうよ?」
やっぱり半ば無理やりに、時間をかけてボブの交友関係を聞き出す。
事前に予想していたとおり、それはまあ、酷いものだった。
「顔を合わせるたびに嫌味と悪口を言ってくる年下の女二人ってさあ……そんなん殴って黙らせればいいじゃん」
「いやさすがにそこまでは」
「何考えてるかよくわからない無口な知り合い一名……殴れよ」
「なんでだよ」
「全く本音を見せない旧友一名……それこそ殴り合いでもして吐かせれば良かったのに」
「……まあ、あいつについてはそうするべきだったかもな」
普段の知り合いがだいたいそんな感じ。もう少し仲良いのは居ないのかと聞けば、同年齢の男一人、ひとつ年下の弟、同じく一つ年下の女が二人いるとの返答だったけれど、
「その女二人ってさあ。弟クンのオンナなんじゃないの?」
「え? ……いやまさかそんな」
「弟クンは優秀なんでしょ? なら絶対モテるじゃん。あんたみたいな冴えないのじゃなくて弟クン目当てだよ絶対」
「い、いや、それは……あーでも、確かに……」
ボブのでかい体がどんどん縮こまっていく。自分の立場のなさを今になって思い知ったのか、だいぶ目が泳いでる。うん、ちょっと愉快。 - 120二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 01:27:00
- 121二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 01:36:46
ボブ視点だと自分の価値は全然ないから、ソフィに慰められる感じなのか。多分、それ知ったらラウダは悲しむんだろうけど、最後まで言葉交わせなくて認識の軌道修正できなかったもんな。
立場的にはまずいけど、ソフィとボブで真っ当な人間関係を築いて欲しい。難しいだろうけどさ。 - 122二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 03:26:07
年下なのに姉御肌なソフィは良い
グエルも成長するには話し合える他人が必要だったんだなぁ… - 123二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 11:58:22
ノレアもボブ虐するのかい
しないのかい
どっちなんだい - 124二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 12:53:19
パ(ーメットスコ)アー!
- 125二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 15:50:25
ソフィはボブを堕落させる方向で、ノレアはボブに依存させる方向で堕としにかかりそう
- 126二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 19:45:32
また長文になってしまって申し訳ありません。あと2話くらいで終わると思います。
「お前は……ガンダムに乗り続けなきゃいけないのか? 全身が動かなくなるなんて障害を負ってでも」
あたしの出撃前の体調チェックを終えたボブが、そう話しかけてきた。
ガンダムの出動がある日は、ボブの顔が決まって曇る。スペーシアンの同胞が殺されることを案じていたのかと思ったら、心配していたのはあたしの身体のことだったらしい。
もちろんあたしは、一笑に付した。
「乗らないなんて選択肢は与えられてないんだよ、あたしたちには。それくらいは察してるんでしょ?」
「ああ。だが」
「それにもし選択肢があったとしても、あたしはガンダムに乗る」
何か言いかけてきたボブを遮って、あたしはそう断言した。
ガンダムに乗り続ければ程なく死ぬなんてことは百も承知だ。だけど、
「あたしのクソ親父は……PTSDとかいう症状だったって聞いた。昔の戦争で酷い目にあって、家に帰ってきてからも戦場の光景から逃げられなくて。結婚してからもそれは治らなくて、だからあたしやママに暴力を振るい続けたんだってさ」
「……」
「あたしはクソ親父を許さない。でもそれ以上に、昔戦争を起こしたスペーシアンを許さない。だから一人でも多くのスペーシアンを道連れにしてやるのさ。あたしが死ぬまでの間にね」
「……」
顔を曇らせ黙り込むボブを見上げ、あたしは笑いながらその腹に軽くパンチを入れてやる。
「なんでボブがンな顔してるんだよ。スペーシアンって言っても、あんたみたいな下っ端のボンクラにまで責任取ってもらおうなんて思ってないよ。ていうか、あんたが生まれたのは戦争が終わった後でしょ」
「いや、しかし」
「あんたはあたしとノレアの世話係として、あたしたちが死ぬまでコキ使ってやる。それで許してあげるよ」
まだ暗い顔をしているボブに、笑いながら蹴りをかましていると。
向こうから、ナジとノレアが連れ立ってやってくるのが見えた。 - 127二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 19:45:49
妙に深刻そうな表情で連れ立ってやってきた二人は、あたしではなくボブのほうを注視していた。
ナジが口を開く。
「ボブ。君が乗っていたデスルターのフライトデータレコーダーとコックピットボイスレコーダーの復元が完了したよ。君がオルコットに回収されるまでの間に何が起こったか、だいたいわかった」
そう言われた直後、ボブの表情に緊張が走ったように見えた。
ああ、そういえばコイツ、クエタの襲撃のとき、どさくさ紛れにモビルスーツを盗んで輸送船から逃げ出したんだっけ。あっさり撃墜されて輸送船に逆戻りしたあたり、コイツらしいボンクラエピソードだと笑ったものだけれど。
ナジが手に持っていた黒い箱のスイッチを押した。あれがコックピットボイスレコーダーなのだろう。
直後、黒い箱から録音されたボイスが流れた。ここ最近あたしが一番耳にした人物の声。
『お……俺だ。ヴィム・ジェタークの息子、グエル・ジェタークだ! 敵じゃない!』
目を見開く。
隣を見上げる。
ボブの顔は、わかりやすいくらいに衝撃で満たされていた。真実をさらけ出された者特有の表情だった。
ナジが死刑宣告めいた重々しい口調で、告げる。
「君はボブではない。ジェターク・ヘビー・マシーナリーの前CEOの息子、グエル・ジェタークだ」 - 128二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 19:46:14
「……は?」
声を漏らしたのは、ボブではなくあたしだった。
ジェターク社? ベネリットグループ御三家のひとつ? 親父の参加した戦争でもたくさんの兵器を提供した、あのジェターク社?
「ジェターク社との身代金交渉が始まることになるな。交渉がまとまるまでの間、君には独房に入ってもらう」
ナジの重々しい声が、どこか遠くに聞こえる。
現実と認識とが乖離している。隣に立つ人間と、スペーシアンの頂点に立つ人間が一緒であるという事実を、飲み込むことができない。
「交渉期間中の身の安全は保証する。交渉が決裂した場合は……まあ、言うまでもないかな。俺も部下の感情を抑えておく自信がない」
「……」
ナジの言葉を、ボブは無言で聞き入れている。言い訳も弁明もしない。
そう、こいつはそういうやつだ。どんなに不利な立場に立たされても、嘘をついたり言い逃れたりという発想ができない。
だからつまり、ナジの言葉は真実だということだ。隣に立つコイツは、ジェターク社の御曹司。
「せいぜい交渉が成立することを祈ってくれ。身代金が満額支払われたことを確認したなら、君を五体満足で家に帰す。俺としては遺憾な話だがな」
昔の戦争の元凶。今のアーシアンへの弾圧の元凶。あたしのクソ親父のPTSDの元凶。あたしの家族を滅茶苦茶にした元凶。
スペーシアンの頂点。
それが隣に立つ、コイツだったのか。
手のひらがゆらりと、腰の銃にかかった。
「……ソフィ! やめな!」
ノレアの声など耳に入らない。コンマ数秒で安全装置を外し、スライドを往復させて初段を薬室に送り込む。隣に立つ男の額に狙いを定めるまで1秒とかからない。
「あんたはっ!」
あたしを騙し続けていたのか。あたしの世話をしながら、あたしのことを嘲笑っていたのか。あたしの身の上話を聞きながら、あたしの過去を、あたしの家族を笑い飛ばしていたのか。
引き金に指がかかる。
相手の額に鉛玉を送り込む直前。
ボブは哀しみをたたえた目でこちらを見て、
「すまない」
一言だけ、そう告げた。 - 129二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 19:46:37
「……ああああああ!」
気がつけば、銃口をナジの方へと向けていた。
あらん限りの大声を、叩きつける。
「こっいっつっはっ、ボブだっ!」
「おい、ソフィ!?」
ナジの戸惑いを無視して、続ける。
「グエルなんとかなんて名前じゃないっ! こいつはボブだよっ! 逃げ出す度胸もなければ命乞いするノーミソもない、無駄に責任感だけ強いトーヘンボクだっ!」
「ソフィ、銃を下げて」
「お友達もロクにいなくて、年下の女には舐められっぱなしで、パパにも褒められたことのないボンクラだっ!」
近寄ろうとしたノレアにも銃口を向け、叫ぶ。
「こんなロクデナシがスペーシアンの頂点? 笑わせないでよ、そんなわけないじゃないか。こいつにできるのは精々あたしらの世話係くらいのもんだよ。そうでしょノレア」
「ソフィ、落ち着いて。なんでそんな奴に肩入れするの。そいつはスペーシアンの親玉の」
「こいつはボブだって言ってるでしょう!」
相棒に向けて、本気の殺意を乗せて、あたしは引き金に指をかけた銃を向ける。正気の沙汰ではなかったし、もちろんその時のあたしは正気ではなかった。
ただ、許せなかった。
ジェターク社がどうとか、スペーシアンがどうとかいう理由で、隣に立つ人を奪われることが許せなかった。
「こいつを連れて行くな! あたしから奪うな! こいつはボブだっ! あたしの世話係のボブだっ! だから、連れて、行くなぁ!」 - 1305/523/02/12(日) 19:47:23
訪れた沈黙は数分も続いたようにも思えたし、実は一瞬だったかもしれない。
誰もが呼吸を止めて成り行きを見守っていた均衡は、ナジの嘆息で破られた。
「……わかった。そいつの身柄はお前に預けておく。逃がすなよ」
そしてノレアを促し、もと来た道を戻っていく。
二人の姿が見えなくなったのを確認して、あたしはようやく銃を下ろした。
「……ソフィ、その」
何か言おうとしたボブをじろりと見上げ、告げる。
「先に言っとくけど、謝ったら殴るよ。今度こそね。
冷えた頭で考えてみたら、あんたはまだ何もしていなかった。何もしてないのにあたしに謝るな。逆に腹立つ」
そうだ、そういう奴なんだこいつは。無駄に責任感があるせいで、背負う必要もない責任まで背負おうとする。生まれるより前の戦争のことなんて、こいつの責任じゃない。
……こいつの責任じゃないのに、あたしは危うくボブを撃ち殺すところだった。その事実に今更ぞっとする。
どっと疲れが出て、あたしは地面に座り込んだ。魔女の代償ではなかったけれども、全身が鉛のように重い。ナジたちを脅したときにあの症状が出なくて、本当に助かった。
のろのろと銃の安全装置を戻していると、ボブが真正面に回り込んできた。
片膝を付き、背中を丸め、目線をこちらの高さに近づける。
彼は真摯な表情で、告げてきた。
「ソフィ、ありがとう」
「……はいはい。大仰なんだよ、ったく」
あたしはひらひらと手を振る。こういうときは無言で頭でも下げときゃ良いんだよ、なっちゃないね。
どうにもズレまくったボブの態度に苦笑してから、あたしは身体を地面に投げ出す。
もうすぐガンダムで出撃しなければならない。このひとときはすぐに終わる。
だから少しでも長く、この二人だけの時間を、ボブと共有したかった。 - 131二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 21:22:50
ボブを「自分の横にいる人」と認識しているソフィは良いな。
どうかすんごい薬ができて、彼女らも長生きして、できる限りボブを傍に置いとけるように頑張って欲しい。 - 132二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 22:59:33
2クールでグエルが地球行ってたとして、本編がジェタークの御曹司とバレてスタートかバレなくてスタートかで展開変わりそうだな
後者だったら切ない展開になりそうだ… - 133二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 07:56:27
ソフィボブはいい……永遠でないからこそ美しい
- 134二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 18:00:55
咲いて散ってしまうんやろなぁ……
- 135二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 21:02:17
パーメット中毒で戦闘不能になるソフィ。
本来なら「組織」に返還しなければならないんだけど、返すと廃棄処分やら実験検体やら悲惨な末路になるのを知っているからナジがしぶる。
ダメもとでボブをガンダム・ウルに乗せるんだけど、なぜかパーメット無しでもソフィ並みにかそれ以上に動けるからそのままソフィ名義で戦闘、なんやかんやでボブは全面戦争も切り抜けて終戦後に少し回復したソフィと再会してend。
……という妄想。 - 136二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 21:04:28
ある日ボブには勃起してしまうんだ……でも、自己嫌悪の精神のが強くてHまでいかないんだ……
そしてソフィとノレア、ボブが勃起したというチャンスなのに手足が麻痺してるもんだから手を出せないんだ - 137二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 21:31:28
グエルは地球の魔女に心を許したとしたら多分妹として見ちゃうから、ソフィやノレアにそういう欲を抱いたこと自体を恥じて自己嫌悪に陥るんだよね
- 138二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 22:27:29
全てが終わってジェタークの再興を見届けた後に地球へ帰ってアーシアンとして生きるボブENDはちょっと切なくて良いな…
- 1391/323/02/14(火) 01:06:22
「では、カシュタンカの乗員は全員解放されるのね」
「ボブを除いて、ということになるがな」
「船主にボブのことはどう説明するの?」
「逃げ出そうとして射殺されたとでも伝えておくさ。彼らにとって、あいつはグエル・ジェタークではなく身元不明の日雇いに過ぎん。大して執着もあるまいよ」
「……そうね」
いつの間にか、この報告会も定例となっていた。
ナジは妙に律儀な男だ。自分たちはガンダムと一緒に派遣されてきた兵器パーツの一つに過ぎないというのに、こうして組織の近況を小まめに情報共有しようとする。あたかも人間扱いされているようで、ノレアにとっては悪い気分はしない。
もっともソフィのほうは面倒くさがって、この報告会に一度も出席していないが。
「そのボブの交渉のほうは?」
「手応えは悪くないな。新しいCEOは人質解放に乗り気だ。こちらも程なくまとまるだろうよ」
もっとも、とナジが嘆息する。
「問題なのは本人よりソフィだ。交渉が成立したら、ボブについていくとでも言い出しかねないんじゃないか?」
「……さすがにそこまで馬鹿じゃないと思う」
「ならいいんだが。前回のときのような状態が続くなら、お前たちの派遣元に報告しなきゃならなくなるぞ」
前回――ボブの身元が判明し、ソフィが錯乱してこちらに銃を向けるトラブルがあった直後の任務のことだ。ソフィのガンダムの動きはひどく緩慢で、任務放棄と非難されても仕方のないものだった。
「……私がソフィに言い聞かせる。だから、報告はもう少し待って」
「承知した。頼むぞ」
ナジが引き下がってくれたことに、ノレアは内心で安堵した。彼の報告次第でソフィに「交換」の判断が下されることになりかねない。ノレアとしてもその事態は避けたかった。
報告会が終わり、自室に戻ろうと部屋の扉を開け、そこでふとノレアは気づいた。
ナジへ振り向き、尋ねる。
「ボブのこと、プリンスには連絡したの?」
「いいや? ……必要あるか?」
確かに必要があるとは言えない。プリンスはフォルドの夜明けの協力者に過ぎず、人質の身元を逐一報告する義務などない。たとえ人質がプリンス――シャディク・ゼネリの知り合いだったとしてもだ。
「そもそもプラント・クエタ襲撃以降、通信への監視が厳しくなったからな。重要性の低い連絡は避けたほうが無難だ」
なるほど、ナジらしい慎重な判断だ。納得したノレアは部屋を出た。 - 1402/323/02/14(火) 01:08:18
定例会の後は、一番大事で、一番気の重いイベントが待っている。
ノレアは自室へ向かいながら、小さく嘆息した。
「あんた、もうスペーシアンを殺せなくなったの?」
「なんで? 今でもスペーシアンは憎いけど?」
ソフィの返答はあっさりしたものだった。だからと言って納得できるはずもないが。
ボブを追い出して二人きりにした部屋で、ノレアは相棒を問い詰める。
「だったら前回の体たらくは何?」
「えー? ノレアの援護はちゃんとしたじゃーん。こう、後ろからスナイパーモードで」
「あんたはフォワード。前に出なくてどうするの」
「たまには役割チェンジってのも気分が変わっていいよね♪」
相棒は真面目に取り合わず、ふざけた答えを返すばかりだ。
ノレアは覚悟を決めた。踏み込むのをためらっていた確信に切り込む。
「……ソフィ。ボブに絆されたの? 戦うのを躊躇う理由はそれ?」
怒り出すかもしれない。下手すると殴りかかってくるかもしれない。
そんな予想もしていた質問に対して、意外にも相棒は、あっさりと同意してきた。
「んー、そうかもね。結局あたしらが殺してる相手の大半って、ボブみたいなボンクラの下っ端なわけじゃん?」
「ボブは下っ端じゃないでしょ。ボンクラだとしても」
「あいつはしょせんボブだよ。ジェターク社も優秀な弟クンが立派に後を継いで、あいつは追い出されるのがオチだね。まあ、それはともかく」
なかなかに酷いセリフを吐いておいてから、ソフィは続ける。
「ボンクラの下っ端を大勢殺したところで、あたしのクソ親父みたいなのを量産するのがオチじゃん。
そうするとあたしらが死んだ後、スペーシアンにはあたしらみたいなのが量産されるってわけだ。あたしらみたいなのとあたしらみたいなのとが、あたしらが死んだ後も延々殺し合いを続けるって考えると……ちょっとね、虚しくなってさ」
「だからって殺すのをやめたら、あんたが処分されるんだよ?」
ノレアの忠告に対して返ってきたのは、薄い笑いだった。
「遅かれ早かれ、だよ。殺すのをやめようがやめまいが、あたしは近々、処分される」
「……! あんた、もう」
「まあ、寿命だけならまだ先だろうけど。そろそろあたしの身体は完全に動かなくなる。たぶんボブが宇宙に帰る頃には、ね」
ノレアは絶句した。
前回の任務のときの相棒の動きの悪さは、サボタージュだけが理由ではなかったのだ。 - 1413/323/02/14(火) 01:08:40
「身体がもうちょい動くなら、無理やりボブについて行ったんだけどなあ……あ、これ、ボブには内緒にしといてね。無駄に責任感が強いから、知ったらまた顔を曇らせちゃうよ」
頭の後ろで手を組み、飄々と話し続ける相棒の姿を、ノレアはもう見ていられなかった。顔を背け、目を閉じる。
……こんな日が来るのは覚悟していた。魔女になったときから、自分たちはいずれこうなる定めだった。
ソフィだってそれはわかっていたはずだ。わかっていたはずだからこそ、命令無視を繰り返してでも自分のやりたいように生きてきたのだから。
「あいつもねねー、もうちょっとやりたいようにやればいいんだよ。責任ばっか背負い込んでがんじがらめになっちゃってさあ。あんなんだからいつまで経ってもボンクラなんだよボブは」
虚空に向かって戯言を繰り返す相棒を、目を閉じたまま、ノレアは背後から抱きしめた。
耳元で、ささやく。
「抱かれてきな。ちゃんと告ってさ」
「えっ!? 堅物なノレアらしからぬ大胆発言……!?」
「バカ。死ぬ前くらいは魔女じゃなくて人間として過ごせって言ってるのがわかんないの?」
「わかってるよ。でも……ボブに悔いを残しそうでさぁ」
「あんたらしくない配慮をするな。やりたいようにやれ、最期くらい」
それは相棒としてではなく、友人としての忠告。
届いたかどうかはわからない、が。
ソフィの両手は確かに動いて、ノレアの腕を握り返してきた。
「……ん。そうだね。次の任務から帰ったら、告ってみるわ」
「……がんばれ」
魔女の祈りを聞き届ける物好きな神など、いるとは思えない。
それでもノレアは祈った。
どうかこいつの想いが、きちんと成就しますように、と。 - 142二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 08:24:57
魔女が囁く愛は散る間際の花の届かない叫びなのか
- 143二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:28:38
ボブがグエルに戻った後、スペーシアンの捕虜になったソフィとノレアを、グエルがジェターク家の権力を使って二人を保護するのもいいと思うの
信頼の置ける女性の誰か(フェルペトは難しいかなぁ……?)に世話係をお願いするけど、ソフィとノレアは「ボブがいいのに」って不満漏らすんですね - 144二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 14:07:17
ボブは猪突猛進男だからちゃんと正面から好意を伝えてスレッタ見て暴走して堕ちないように縛っとくんだぞ
- 145二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 20:09:07
- 146二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 00:46:09
- 147二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 02:16:17
「お姫様」と引き立て役の「魔女」ではなく、「魔女」と魔女に惚れた男を気にする「魔女」だから、きっと大丈夫だとも信じたいね。
- 148二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 09:55:21
- 149二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 18:39:45
乙乙、楽しみにしてる
- 150二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 21:15:28
- 151二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 21:23:56
- 152二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 21:31:01
- 153二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 21:38:25
- 154二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 21:49:03
- 155二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 21:58:04
- 156二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 07:48:57
実際ヴィムを殺さないとグエルの人生は始まらなかったよ
ヴィム自身も、先代が死んで会社を継いだ時にようやく……だったのかもしれない - 157二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 11:38:44
水星の魔女世界、宇宙世紀やC.E.ほどどん詰まりってわけじゃないけど、それ以上に息苦しそうなんだよな
- 158二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 13:13:33
同じしっとりでも陽のソフィと陰のノレア
加古川ボブSSは二倍楽しめるからお得だな(錯乱) - 159二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 19:56:00
ノレアの言う死んだ人間はちゃんと殺せって、つまり父と死に別れたことに対する気持ちの整理をつけろってことだよね
思い出の中のヴィムを過剰に美化して囚われてないで自分の人生の続きをきちんとやれと…… - 160二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 20:09:31
“褒めて欲しかった偉大な父”像で固まってしまってるから、実際に壊すように忠告してくれる人は大事。
- 161二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 22:48:31
- 162二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 01:12:38
しかしねぇ、グエルとしてもまだヴィムと話し合いたいことがあるのに自分の手で殺してしまった立場にあるのだから
- 163二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 06:31:03
自分とその両親を引き合いに出すことで「ボブも親に捨てられた側の人間だ」と刷り込む意味合いもあるんだろうけど、そう思ってヴィムに見切りをつけられるならグエキャン生活を受け入れはしないんだよな
かといってヴィムがグエルを探し出したとして、自分の間違いを認めたかというと絶対そんなことしなさそうだし、やっぱ最終的に死んでもらうしか…… - 164二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 16:49:06
保守ボブ
- 165二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 20:05:13
ヴィムの死に際の一言はボブとして第2の人生を歩もうとしていたグエルをがんじがらめに縛りつけた、まさに呪縛なんだよな
ソフィやノレアはボブを親に捨てられた、見放されたと解釈したが、本当はグエルこそ親を見限って自分の力で生きていこうとしてたんだよ…… - 166二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 02:28:39
保守
- 1671/1123/02/18(土) 12:04:03
反応の鈍い身体を気合で動かし、ノレアのフォローにも助けられて、どうにかこうにか任務を終え。
魔女の代償で指一本動かせなくなった状態で、さあどうやって告ってやろうかと考え始めてから、だいたい30分後。
あたしはパイロットスーツ姿のまま、ノレアともどもボブの肩に乗せられ、拠点の敷地内を疾走していた。
いや走っているのはボブで、あたしたちは彼に俵担ぎされているだけなのだが。
首だけは少しだけ動いたので、右を見る。はるか遠くでグラスレー社の量産機と思しき機体2機がビームライフルを連射している。
左を見る。同じ機体がビームサーベルを振るい、フォルドの夜明けのデスルターを切り裂いている。
視界を上に向ければ、グラスレーの最新鋭機――確かベギルペンデだったか? が滞空し、建物を攻撃していた。
紛れもなく敵襲だ。だが、誰が? なぜ今?
「まさか……プリンス?」
横からノレアの声が響く。プリンスって、確かフォルドの夜明けの協力者じゃなかったか。なぜそいつが?
その疑問が解消される前より早く、ボブが目当ての場所にたどり着く。いざという時の避難経路、大昔の戦争のときに作られたという地下壕だ。
入り口から十数メートルほど中に走り込んで、そこでボブは立ち止まった。あたしたち二人を床に降ろし、片膝を付く。
「ボブ、ありがとう。助かったよ」
感謝の言葉を述べてみるも、ボブは苦しそうな表情で荒く息をつくだけだ。軽いとは言え二人の人間を担いで数百メートルも走ってきたのだ、さすがに体力の限界だろう。
このまま何もしないというわけにもいかず、身体が動かないあたしたちは肩を寄せ合って状況確認に務める。
たった5分前、敷地内に突如爆音が響き渡った。ボブに風呂へ運ばれる途中だったあたしたちは、そのままボブの肩に担ぎ上げられ、この場所まで運ばれてきたのだ。
逃げる途中、何機ものグラスレーのMSがこちらの戦力を蹂躙しているのを見た。恐らくこの拠点は長くは保つまい。では降伏するのか、逃げるのか、どうにかして抗戦するのか。それを決めるためにも、敵の見当をつけておく必要がある。 - 1682/1123/02/18(土) 12:04:30
「ノレア、あのMSはプリンスが動かしたっていうの?」
「グラスレーのMSをあれだけ投入できるのはグラスレーだけのはず。あの会社は今、プリンスが実質的な主導権を握っているから……彼の命令としか考えられない」
「でも何故? なんで今?」
「理由は私にもわからない。でも、私たちを背後から刺すなら今が最良のチャンス。主力であるガンダムに乗るパイロットが動けない今がね」
言われて気づいた。そういえば今日の仕事はプリンスからの依頼だ。ガンダムのパイロットが機体を降りてからしばらく動けなくなることも彼なら知っているはず。最初からこのタイミングで裏切るつもりだったということか。
でも、何故彼が裏切りを?
「プラント・クエタの件の口止めか。それともあるいは……あちらさんには、俺たちのほうが先に裏切ったように見えてたのかもな」
突然響いてきた声に、ぎょっとして右手側の暗がりを見る。そこには地下壕の先客がいた。右腕を血で染めた、大男。
ナジが息も絶え絶えの様子で座り込んでいる。彼は左手を上げ、脂汗まみれの顔に無理やり笑みを浮かべた。
「よう、ノレア、ソフィ。無事で何よりだ。だがガンダムはもう奪われちまったか?」
「ナジ、あんたは無事じゃなさそうだね」
「襲撃が始まって早々に右腕を砕かれちまってね。もう戦闘には参加できん。で、ガンダムは?」
「諦めて。格納庫にハイングラが入っていくのが見えた。多分もう破壊されたか鹵獲されてる」
「……そうか、詰みってことか」
ノレアの返答を受けて、ナジは無念げにつぶやく。
その横顔にあたしは問いかける。このまま殺されるにしても、その理由くらいは知っておきたかった。
「ナジ、結局なにが原因なの?」
「ボブの身代金交渉のために、最近ジェターク社と頻繁に連絡を取ってたんだが。どうもそれを、グラスレーを切り捨ててジェタークと組む前兆と解釈されたらしい」
「そんなあやふやな理由で!?」
「ああ、邪推もいいところだ。ベネリットグループ解体の謀略が上手く進んでなくてプリンスも焦ってるのかもな。通信傍受を恐れて連絡を控えていた俺も迂闊だったが……」
あたしは頭を抱えたくなった。テロリストの理性なんてものを信じてはいなかったけれど、それでもこれはあんまりだ。ろくに確認もせずいきなり裏切りと決めつけて、あまつさえ襲撃してくるなんて。 - 1693/1123/02/18(土) 12:05:02
「ま、疑心暗鬼に陥った末の同士討ちなぞ、テロ組織にはよくある話だ。そもそも話し合いが面倒だから暴力でカタをつけることを選んだ連中だしな。羽毛みたいに軽い理由で味方にも引き金を引くのさ」
自嘲気味にナジは笑う。
「アーシアン同士が殺し合うだなんて……なんでこんなことに」
ノレアは冷静さを保てず、ただ嘆いている。
そしてあたしは、この理不尽な事態を、意外と平静な気持ちで受け入れていた。
――まあ、こんなもんだよね。
きっと自分たちには、こんな馬鹿げた死に方こそが相応しいのだろう。なにしろずっと、何百人もの赤の他人に理不尽な死を強いてきたのだから。
「告白だけはしときたかったんだけど……しょうがないか、な」
ただ、と思い直す。
こんな死に相応しくない人がこの場にいる。その人だけはなんとしてでも逃がさなければならない。
「ボブ、聞こえてたでしょ? 相手はあたしたち全員を殺す気だよ。降伏しても無駄」
ようやく息を整えたボブが、顔を上げ、こちらを見た。
短い間だったけれど、毎日のように顔を突き合わせ、いくつもの会話を重ねた人。最後にこの人の足手まといになることだけは避けなければいけない。
「ボブ一人で逃げて。ボブ一人だけなら、もしかしたら宇宙港までたどり着けるかもしれない。シャトルにでも紛れ込んで、宇宙に帰れるかもしれない」
「……」
無言で聞き入るボブの顔に手を伸ばしたかったが、あいにくとこちらの手は動かない。床にへたり込んだ情けない姿勢で、それでもどうにか、笑顔を浮かべてみせる。
「じゃあね、ボブ。もし生き延びられたら、もっと好き勝手に生きなよ。あたしのぶんまで、ね」
告白代わりの、別れの挨拶。
聞き入れたボブは目を伏せ、両手をあたしの方へと伸ばし。
こちらの両肩をがっしと掴んだ。
「なあソフィ。どう思う?」
「……へ?」
「お前らみたいな子供が兵器の部品代わりにされ、スペーシアンだのアーシアンだのの看板掲げた争いに駆り出され、殺し合いに興じて」
「えー……と?」
「少しずつ身体の自由を奪われていき、挙げ句こうしてワケのわからん同士討ちに巻き込まれて死ぬ」
ボブは真顔でこちらを見つめ、言った。
「クソそのものじゃないか、こんなのは」
「ク、ソ……?」
彼の口から出たとは思えない下品な単語を耳にして、あたしは硬直した。 - 1704/1123/02/18(土) 12:06:10
ボブはあくまで真顔のまま、淡々と続ける。
「俺はずっと考えてた。こんなクソみたいな光景を見ながら黙って生きなきゃいけないのかって。
で、今、結論を出した。こんな腹立つ現状は、ぶっ壊してやるってな」
ボブはボブではないみたいだった。人格が変わったとかいうわけではない。ただ、雰囲気がまるで別人のような――
「クソみたいな光景? それはあんたたちスペーシアンが作りだしたものでもある。他人事みたいに言わないで」
悲観に囚われたノレアが横から皮肉っても、今のボブは動じない。軽く笑みすら浮かべている。
「そうだな。俺も、俺の父さんも、俺の爺さんも、この現状に加担してる。自分たちの居場所を守るためにこんな世界を作っちまったんだ。
だけど俺はもう我慢できない。腹が立つ。ムカつく。
お前たちがこんなところで死んでいく世界なんぞ、力尽くでぶち壊してやる」
口角を吊り上げ、ボブが笑う。
あたかも獅子が咆えるかのように。
そのまま彼はあたしたちを再び肩に担ぎ上げ、地下壕の奥へと歩きだす。どうやら本気で人を二人担いで逃げ切るつもりらしい。
「いやいくらなんでも無理だって! 置いてけっての!」
「断る。お前がなんと言おうが連れて行くぞ」
「あのねボブ、実はあたし多分そろそろ死ぬんで、連れてっても無駄だから」
「そうか。さっさと宇宙に上がって治療を受けなきゃな。急ぐぞ」
何を言っても聞きゃしない。こいつこんなキャラだっけ?
あたしが呆然としたまま運ばれていると、ずんずん歩を進めるボブに、横合いから何かが投げ渡された。
左手でそれを反射的にキャッチしたボブに、ナジが言う。
「MSの始動キーだ。ここから50メートルほど先を左に曲がったところに緊急時用のデスルターを隠してる。そいつに二人を乗っけて、ここから逃げろ」
「……いいのか?」
「構わん。この腕で操縦は無理だしな。それに、お前に託してみるほうが面白そうだ」
にやりと笑ってから、ナジは左手を振った。
「もうじき兵隊が投入される。ここもすぐに捜索対象になる。さっさと行け、出撃するまでの間は俺が足止めしてやる」
「すまない、ナジ」
「いいさ。クソみたいな現状を変えたくてテロリストになったってのに、いつの間にか俺自身も世界を作る側に加担しちまってた。ここでそのケジメをつけるさ」
「……さよなら、ナジ」
「達者でな、坊主。……やってみせてくれ」 - 1715/1123/02/18(土) 12:07:57
ボブの手際は鮮やかだった。
デスルターの始動と機器チェックをあっという間に済ませ、あたしたちをコックピット両脇に広げたサブシートに座らせると、機体バランス確認や推力チェックを秒単位で終わらせていく。身体の動かないこちらは唖然として見守るばかりだ。
「通信傍受機能とホバー能力の追加、レーダー強化。カスタムと整備が行き届いてるな。燃料も充分だ」
「……ボブ。どこでそんな技術を身に着けたんだよ」
「習ったのさ、家と学校で」
にやりと笑ってから、ボブがコンソールに指を走らせる。するとあたしたち二人の眼前に新たなモニターが表示された。
「ノレアにもレーダー映像を回した。敵機体の配置を見て、敵の意図を教えてくれ」
「後衛の判断で補助しろってことね。承知したわ」
「ソフィ、後方カメラを頼む。グラスレー社は対レーダー技術に長けてる。不意打ちを警戒してくれ」
つまりは、あたしの戦闘勘に期待するってことか。
だんだん気分がアガってきた。ボブの腕は予想していた以上のようだ。もしかしたら、なんとかなるかもしれない。
「任せてボブ。いつでもOKだよ」
「じゃ、始めるぞ。……デスルター、出る!」
最大出力で、旧式MSが地下壕の外に飛び出した。
フォルドの夜明けの戦力をほぼ壊滅させていた敵にとって、それは不意打ちだったようだ。通信傍受システムから敵の声があわただしく流れてくる。その混乱をついてデスルターが建物の間を駆け抜ける。ホバーとジャンプを駆使して巧みに敵の射線をかいくぐり、敵と敵の間を縫って徹底的に交戦を避ける。
「嘘ぉ…」
ボブの操縦は、予想を遥かに上回っていた。いや、速度だけならあたしのガンダムのほうがずっと上だ。けど、ここまで激しく進路変更を繰り返しながら障害物スレスレを飛ぶことが自分にできるだろうか。パーメットスコアを2まで上げて機体と同調したとしても……
「2時の方向、ハイングラ2! 前方へ回り込むつもり!」
ノレアの声が響いた瞬間、デスルターは敵の逆をつくように機体を変針させ、そのまま森の中へと突っ込んだ。内心で舌を巻く。判断が早くて的確、しかも精密だ。
思わずボブの横顔を見上げてしまった。歯を食いしばって機体に無茶な機動を命じ続ける彼はまるで獰猛な獣のよう。彼がもし今こちらを向いたなら、と思ったとたん、腹のあたりを喰い千切られたような感覚を覚える。あたしは慌てて目をそらした。 - 1726/1123/02/18(土) 12:10:03
旧式MSは森の中でも変わることなく、最大効率の速度で木々の間を駆け抜けていく。推力で勝るはずの敵はその速さについて来れない。包囲網を作ることもできないままバラバラに追ってくるだけだ。
「よし、これなら」
ノレアが安堵のつぶやきを漏らした直後、あたしは声を張り上げる。
「6時! ライフル! よけて!」
直後、機体が右に跳ねた。脚部をビームがかすめる。
ベギルペンデ。ステルス性能に長けた高級機体だ。こちらの逃げる先を予め読んで、ここで待ち伏せていたか。
ヤバい、と直感する。機体性能はあちらが遥かに上、パイロットの腕も悪くない。ボブの操縦にも推力差を活かして追随し、少しずつ距離を詰めてくる。このままでは撃墜必至だ。
『…間違いな………ルだ……絶対に逃が……』
通信傍受システムから女の声が漏れる。それを耳にしたボブは唇を歪めた。
「サビーナか? 学生をこんな任務に駆り出すのかよ」
しかしすぐに気を取り直し、再びコンソールに指を走らせる。
「ノレア、機体ダメージの読み上げを頼む! ソフィ、敵の射撃タイミングを! 3射目で仕掛けるぞ!」
端的な指示だ。そしてあたしはすぐさまその意図を悟った。
――OK、このお姉さんの癖を見抜けってことだね。
眼前のモニター、後方カメラに意識を集中する。敵のライフルは正確にこちらに狙いをつけていた。教科書通りの無駄のない構え。鋼鉄の指が引き金にかかる。
「今っ!」
叫ぶ。と同時にデスルターは再び右へ跳ねた。だが今度は脚部装甲をビームが抉る。
「右脚部アクチュエータ破損!」
ノレアの読み上げが響く中、ボブの手が操縦桿を素早くスイングし、被弾の衝撃による姿勢の乱れを一瞬で立て直す。はは、マジかよ。あたしよりコンマ2秒は早いぞ。
大ピンチの状況だというのにワクワクが止まらない。あたしは笑みを浮かべ、モニターの中の敵機体に心中で語りかける。
――お姉さん、優等生だね?
敵のポジションは正確極まりない。こちらが左右どちらに動いても追跡できるような位置を保ち続けている。そして再びライフルを構え、こちらに狙いをつける。
「今っ!」
デスルターは左へ跳ぶ。またもビームがかすめるが、今度は左脚部の装甲を浅く焼くにとどまった。三度までも背後からの攻撃をかわされ、ベギルペンデの動きに動揺が見られる。
――やっぱ優等生タイプだね。とっても読みやすいよぉ? お姉さん。 - 1737/1123/02/18(土) 12:10:32
ニヤニヤしつつ、ちらりと前方モニターを見やる。デスルターは隘路に向けて進んでいた。左右どちらにも障害物が密集し、これまでのような回避は困難な地形だ。
どうにかして爆笑をこらえる。ボブのやつ、実はあたしより性格が悪いんじゃないか? 諦めず追随してくるベギルペンデのお姉さんが可哀想になってきた。
敵が再び教科書通りのポジション、教科書通りの構えを取る。しかしすぐには発砲してこない。こちらが左右どちらにも回避できない場所に入り込むタイミングを待っている。
実に正しい判断だ。あたしは興奮すら覚えた。動かないはずの両腕がまるで操縦桿を握っているようだ。さあ、3、2、1…
「今だっ!」
あたしの両腕が操縦桿を引いた――その幻視と完全にシンクロし、ボブの両腕が操縦桿を引く。機体が真上に跳ね上がり、敵の射撃を躱した。
デスルターは宙を舞う。教科書でなら愚策とされる動きだ。重力下で機体を上に飛ばせば高度を得る代わりに速度を手放す。隠蔽と速度を失った機体は、敵から見ればただの的に等しい。
だがこの瞬間、敵はただ一機、教科書に忠実な優等生しかいなかった。スピードを保ったまま突っ込んできた彼女は、こちらの下をくぐり抜けて背中をさらす。想定外の状況に泡を食い、彼女は最も愚かな行動を取った。逆噴射をかけて減速し、その場で振り返ったのだ。
――ダメだねぇ。ゲームオーバーだよお姉さん!
絶好の的と化した相手をあざ笑い、右手が引き金を引く。デスルターのライフルが火を吹き、下方で足を止めた相手の右腕を正確に撃ち抜く。さらにはスラスターの向きを変え敵に向けて突進する。ライフルの連射が敵の四肢を次々と砕く。
「とっどめぇ!」
叫ぶと同時にフットレバーを蹴る。デスルターの右足が突き出され、敵の頭部を強かに蹴りつけた。ベギルペンデはたまらず吹き飛び、機体のあちこちを撒き散らしながら地面に激突する。
「どうよぉ!」
勝利の雄叫びを上げるあたし。軽くガッツポーズをとるボブ。そして冷ややかにノレアが告げる。
「右膝関節部破損、ジャンプ能力低下。ねえボブ、今のキック、必要あった?」
「え。そりゃ、ブレードアンテ……じゃなくて、敵を行動不能に追い込むためには」
「今は撤退中よ? 相手の四肢を破壊すれば充分。最後に判断をミスったね、ボブ」 - 1748/1123/02/18(土) 12:11:11
言い訳するボブを冷たい視線で黙らせてから、ノレアはこちらにも半眼を向ける。
「ソフィ、戦闘中に変な声を上げないで。あんたは操縦してないでしょ」
「あー、その……。ははっ、なんかアゲアゲになっちゃった」
まだ胸がドキドキしてる。こんなに興奮したのはいつ以来だろうか。あの瞬間、パーメットリンクを介することなく、あたしとボブは完全に一体化したのだ。
……いやまあ、そんな気がしただけだけど。でも、この胸の高まりは間違いなんかじゃない!
「あたし、今……最っ高っに生きてるっ!」
「そう、良かったね。さ、さっさと行ってボブ。まだ追っ手が来る。あんたが余計なことして脚部を壊さなければもう少し余裕はあったのだけれど」
「分かった、分かったからその目はやめてくれノレア。俺が悪かった。確かに蹴りは余計だった」
デスルターが再び速度を上げる。森の景色が流れていく。ノレアがねちねちとボブをいびる。
そんな喧騒をよそに、あたしは一人、しばし余韻に浸ったのだった。
それから1時間。
追手を完全に巻いたことを確認し、ノレアは一言「おやすみ」とつぶやいて目を閉じた。グラスレー襲撃前の任務中は動きの鈍いあたしをフォローし、逃走中はずっとレーダーで周辺警戒。溜まった疲労は並大抵ではなかったのだろう、すぐに寝息が聞こえてくる。
おつかれ、と相棒に声をかけてから、あたしはボブを見上げた。気になっていたことを尋ねる。
「ねえボブ、MSに乗っても平気だった?」
「ん? どういう意味だ?」
「PTSDだよ。さっきのを見る限り大丈夫そうだけど……正直、ボブはもうMSには乗れないと思ってたから」
聞きづらいけど、命に関わることだ。聞いておかなければならない。
プラント・クエタでボブに何が起こったか、あたしはすでに知っていた。彼が乗っていたデスルターにその記録が残っていたのだ。運命の女神の陰惨極まる悪意の結果、彼は自分の手でパパを殺す羽目になり、心に深刻な傷を負った。
精神的外傷は、時に身体を硬直させ、時に身体を暴走させる。……あたしの親父のように。
ボブの顔が少し曇った。けれどすぐに唇を吊り上げる。
「今のところは大丈夫だ。多少は吹っ切ることができたからな、ソフィのおかげで」
「……あたし?」 - 1759/1123/02/18(土) 12:11:38
「ああ。俺の正体がナジたちにバレたとき、俺はグエルじゃなくて唐変木でボンクラで碌でなしのボブだって、そう断言してくれただろう?
あれが効いた。そうか、俺はジェタークに相応しい立派な男でなくてもいいんだって。そう思えたら、心が軽くなった」
いつもの見慣れた、穏やかな笑みを浮かべて。
彼は続ける。
「で、ようやく認めることができたんだ。俺はあんまり父さんが好きじゃなかったってことを」
厳しかったこと。何をしても褒めてくれなかったこと。家庭を顧みなかったこと。話を聞いてくれなかったこと。そのどれも、言葉にできないほど嫌だった。けれどパパに嫌われたくなかったから嫌ではないと必死に思い込もうとした。パパの言うことすべてが正しいと信じた。
「でもそれは間違っていた。
たとえ父さんが俺を愛してくれていたとしても、すべて俺のためを思ってやったことだとしても。
それでも俺は、父さんが俺にやったことを受け入れたくない。父さんの考えのすべてが正しいなんて信じたくない。
そして俺がグエルでなくボブであってもいいなら、弱くて情けないボンクラでもいいなら、父さんのやったこと全部を受け入れなくていいって、そう思えたんだ」
「……そっか」
「俺が父さんを殺した罪が消えたわけじゃない。でもあのとき父さんは本気で俺を殺しにかかっていて、抵抗しなければ俺は殺されていた。そして俺はあのとき、父さんの命より俺の命を選んだんだ。
……それは決して、間違った選択じゃなかった。
やっと今、そう思えるようになったよ。ま、罪人の開き直りだがな」
「そんなことないよ。あの状況ではああするしかなかったってナジもノレアも言ってた。あたしもそう思う」
ボブの戦闘記録を見ることができたのは幸いだった。今後誰かが――たとえば彼の弟クンがボブを責めたとしても、正当防衛だったのだと胸を張って抗弁できる。
「自分を責めるな。ボブは間違ったことなんてしていない。あたしがそう断言する。
そしてボブは立派だよ、トーヘンボクでボンクラでロクデナシだとしても。あたしがそう断言する」
「……ああ。ありがとう、ソフィ」
清々しい表情のボブを見て、あたしは確信した。
やっと彼は、自分をがんじがらめに縛り付けていたものから解放されたのだと。 - 17610/1123/02/18(土) 12:12:14
「で、これからどうするの?」
「まずはお前たちの身体を治すことからだな。学園にいたときの知り合いがGUND技術による医療を目的とした会社を立ち上げていた。あれが役に立つかもしれない。どうにか頼み込んでみよう」
……ん? ガンド? なんかどこかで聞いたような……
あたしが首を傾げる間にボブは次の課題に移る。
「それからラウダだ。俺の弟に、父さんのことを謝らなきゃならない。許してはもらえないと思うが、それでも、弟には俺の口から伝えたい」
深刻な顔のボブに、あたしから掛けられる言葉はない。こればかりは本人たちの問題だ。赤の他人の入り込める領域ではないだろう。
「弟に謝罪した後は……いよいよ、地球だな。お前らみたいな扱いをされる子供を少しでも減らさないと」
「と言っても、どうやるのさ。兵器を作ってる会社全てを爆弾で跡形もなく吹っ飛ばす?」
「気軽に新たな戦争の火種を撒くのはやめろ。あと俺の実家を消滅させるな。そういう暴力じゃなくてだな……」
ボブが顎に手を当てた。
「……結局、貧しすぎるのが問題だ。病院、学校、消防署、何をやるにしても金がいる。その金を生み出すために必要なのは、インフラ、産業、治安……」
「ちょっとちょっと。急に小難しいことを言い出さないでよ、ボブの分際で」
「分際ってお前……いや、まあいい。平たく言えば、金持ちをどれだけ地球に呼び込めるかがカギだな」
「え~? 金持ちィ? なにそれ」
「嫌そうな顔をするなよ。最初の第一歩として金持ちは大事だぞ? 金をバラ撒くし、人も雇うし、インフラ整備にだって貢献する。だからまずは金持ちを大勢だまくらかして地球に呼び寄せるってわけだ。で、その呼び水となりそうなのは……」
そうしてボブは語りだす。いかにも怪しげな地球人金持ち化計画を。
野次を飛ばしながらあたしは聞き入る。何十年かかるかもわからない、遠い遠い夢の話。
叶えられる可能性なんてまず存在しない。なにしろボブは実家を追い出されてフリーターになる予定のボンクラで、あたしとノレアはいつ動かなくなるかわからない壊れかけの元魔女。夢の一歩を踏み出す前に三人まとめて行き倒れるのがオチ。 - 17711/1123/02/18(土) 12:13:08
「料理事業は絶対にイケる。地球の食材がこれほどいいとは思わなかった。あれを求めてやってくるヤツは大勢いるぞ」
「へえー。じゃああたしたちはお料理屋さんを開こうかな。一杯のかけうどんを三人で分け合うようなこじんまりしたヤツ」
「うーん。そういう悲しくなる感じの店はやめた方がいいと思うが」
でも、今くらいは。
こうして楽しく話したって、きっとバチは当たらないと思う。
ささやかな夢を語り合っても、許されると思う。
いつかこの身が、魔女の呪いに焼かれるのだとしても。
多くの人を手に掛けた報いを、いずれこの身に受けるのだとしても。
あたしはまだ生きていて、ボブとノレアがそばにいる。
ならば、行けるところまで進んでみよう。動けなくなるまで歩いていこう。
そう心に決めてから、あたしは隣にいる彼を見つめたのだった。
「ねえ、ボブ」
「ん、なんだ?」
「大好きだよ」
なお、その後。
ボブの帰還がデリング総裁暗殺未遂の疑いを払拭したいジェターク社から総出で歓迎され、ド派手な凱旋パーティーまで挙行され、「話に聞いてたのとぜんぜん違う」とボブを小突くことになったり。
若きCEOとして苦労する弟クンを見かねたボブが共同CEOに就任し、ついでに地球開発部門を設立してみたり。
超絶口の悪い女社長と手を組んで、スペーシアンの秩序の崩壊を目論むプリンスを相手に全面抗争に突入したり。
実は厄ネタ満載だったGUND技術をどうにかまともなものにすべく、スレッタお姉ちゃんとあたしたち三人とで地球と宇宙を駆け巡ったり。
その途中で何やかやあって囚われたスレッタお姉ちゃんを解放すべく、ムチャクチャ強くて怖い仮面のおばさん操るエアリアルに対して決戦を挑んだりもしたのだが。
それらはすべて、別の物語である。 - 178あとがき23/02/18(土) 12:13:37
長文にお付き合いいただきありがとうございました! まさか1万字まで膨れ上がるとは思わんかった。ボブのMS戦と悪人顔するソフィをやってみたくなっただけなんだ。サビーナさんは犠牲になったのだ。本当に申し訳ない。
それにしても加古川はなんでこんなに妄想を肥大化させるのでしょうか。なんかヤバいミームでも仕込まれてるんでしょうか。怖いよ。
もしかしたらまた別の加古川スレでお会いするかも知れません。4月までの短い夢を楽しみましょう。それでは。 - 179二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 13:20:32
めちゃくちゃ面白かったです
ボブも立ち直れてよかった - 180二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 18:46:40
すごく素敵なお話しでした。
この後も、ソフィとノレアはボブを引っ搔き回して、ボブもそんな二人を仕方ないって妹のように可愛がって、三人で人生を歩んで欲しいなと思いました。
受けた教育や愛情などが多分不足しているソフィとノレアにいろいろと施してもらって、三人で地球を再建に奮闘する物語もきっとあるんだろうなと思わせる素敵な関係がたまらなく好きです。 - 181二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 19:09:40
言って欲しいね……2人の魔女に「結婚してくれ」と
- 182二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 20:32:30
こんないいssの後に語る妄想じゃないけど、ソフィとノレアが世話をしようとするボブの手を拒絶して、何事かと思えば手足が麻痺したせいで間に合わず漏らしてしまったことが露呈する流れを思いついてしまった……
ソフィもノレアも強がりそうだな……ボブの反応は読めないけど - 183二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 23:00:09
おつでしたー
ボブソフィノレアの三人組は本当に良い…本編でも邂逅してくれ… - 184二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:44:36
- 185二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:45:01
- 186二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:45:22
- 187二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:45:45
「ボブさー。もし私達とスレッタお姉ちゃんが戦場でまた出会ったらさ、どっちを応援する?」
「………」
「黙ってるってことはスレッタお姉ちゃん一択ってワケじゃないんだ?」
「…昔の俺だったら迷うことなくスレッタ・マーキュリーを応援していただろう。だが今はそうじゃない」
「なぜ?」
「地球へ流れてきて初めて俺はアーシアンを知った。アーシアンの実情を知った。そして、お前達地球の魔女を知った」
「お前達のやり方には賛同できんが…それでもお前達にはお前達なりの考え方があると理解はしたつもりだ」
「虐げられて当然…お前達アーシアンがそのような人間だと俺には見えなくなった…見られなくなった」
「もちろんスレッタ・マーキュリーもそうだ。だから俺はどちらの応援もできん」
「…ふーん」
- 188二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:46:07
「ソフィ、お前はさっき俺にスレッタ・マーキュリーに会いたくないか?と聞いたな。前言を撤回する。会いたい。会って話がしたい」
「なんで?」
「お前達と話すことで俺はお前達のことを知ることができた。そして歪ながらもここまで共に生きることができた」
「それは偶然だよ。兵士と捕虜だからお互い殺し合わずに今まで生活してこられたんじゃん?」
「かもしれん。だが、俺がお前達に捕らえられるという機会がなければ共に生きるという偶然すら起きなかったはずだ」
「それはそうかも知れないけど…」
「その機会に俺は望みを掛けたい。スレッタ・マーキュリーに会って話す。お前達の事を。そして戦わないように説得する」
「それはボブの希望的観測にしか過ぎない。強力な武器を持つ相手がこちらの話を聞く耳を持つとは思えない」
「ノレア、確かにその通りだと思う。しかし、それはお互いが武器を持っている状況での話だ。現に俺とお前達は今武器を手にしていないからこそ会話ができている」
「それはそれ、これはこれ。彼女が戦場で武器を…ガンダムを手放すと思う?」
「俺がやる」
「え?」
- 189二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:46:30
もし会話が拒まれ、戦うことになってしまったら…俺がスレッタ・マーキュリーを止める」
「気は確か?ボブごときがガンダムを駆る水星の魔女を止められるとでも?」
「俺を舐めるなよ。ホルダー時代は1対3でも勝ってきた。俺は負けん。たとえお前達が相手だろうとな」
「…へえ。言ってくれるねボブのくせに」
「そもそも捕虜の身で脱走を予告するなんて命知らずにも程がある」
「なんとでも言うがいい。俺は会話をしないで逃げることばかり選んできた。その結果が…親殺しだ。してはならない重罪を犯した…」
「それでも俺は前に進む。前に進むしかない。前に進む為には…会話をするしかない」
「無理よ。それができないから私達は殺し合いを続けているんじゃない」
「俺がしたいのは殺し合いじゃない。話し合いだ。話す為に相手を死なせない。その戦いに俺は命を賭ける。話し合いさえできればスペーシアンとアーシアンもきっと…」
「甘いわねボブ。捕縛の難易度は撃墜よりも遥かに高い。そしてアーシアンとスペーシアンの問題はそれよりも遥かに大きい。やはり貴方は戦場と現実を知らない温室育ちのスペーシアン…」
- 190二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:46:46
「…私は良いよ」
「ソフィ!?」
「だってボブは私達のことを考えて…その上で自分の命を賭けるって言ってくれてるんだよ」
「それはボブの虚言かも知れないでしょう!?」
「じゃあノレアはボブが嘘ついてるって思ってるの?」
「それは…」
「ノレア、ボブを信じようよ。ボブは今までずっと私達の面倒を見てくれたじゃん。その恩くらい返そうよ」
「でも仮にボブが戦場に出ることができてもスレッタ・マーキュリーが聞く耳を持っていなかったらすぐに殺され…」
「そこは私達でサポートすれば良いんじゃない?私もさ、最初スレッタお姉ちゃんと殺し合いしたいって思ってたけどそれよりも直接会ってお話したくなっちゃった」
「あんなに傲慢でヤな奴だったボブを変えたスレッタお姉ちゃんとさ…」
「ソフィ…」
- 191二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:47:01
「だからさ、ボブ。もし次の戦場でスレッタお姉ちゃんと会う可能性が高かったら適当に抜け出してその辺のMSでもかっぱらって私達の所に来てよ」
「もし失敗しても私がナジを説得して助けてもらうからさ」
「確かに。説得することよりも抜け出すことの方が難易度が高いかもしれないな…」
「任せてよ!私達が協力してあげるからさ。ね、ノレア」
「……全く。まあでもボブがいなくなったら私達の面倒を見てくれる人がいなくなるから仕方ない、か」
「ありがとう…ソフィ、ノレア」
「でも彼女の説得が失敗しそうだったらすぐに逃げてよね。私達、ずっと貴方の御守してる余裕無いから」
「分かった。もし危なくなったらそうさせてもらう」
「もーノレアってば素直じゃないなー。ボブに死んで欲しくないならそう言えばいいのにー」
「そ、そういうわけじゃない!」
- 192二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 01:47:22
(二人がテロリストをやめることができて…俺が罪を贖うことができたなら…このまま一緒に地球に住むのも悪くないのかもな…)
https://bbs.animanch.com/storage/img/1524723/199
『嫌です~!』
『撮ってんじゃねー!』
「ぶぶっ!あはははははっ!」
「ぷっ…」
「だから…見てんじゃねーーー!!」
終わり
- 193二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 02:00:22
- 194二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 04:08:01
- 195二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 04:17:47
……株式会社ガンダムに元ペイル社のベルメリアさんがいたおかげでパーメット中毒の治療のノウハウがあってよかったけどさ
つまりあの人、ペイル社でも同じようなことをしてたんだよね。私やソフィみたいな子供を生きたまま切り刻んでガンダムのパイロットに仕立て上げてたんだ
そう考えると、あの人だって単なるいい人じゃないよね。こんな何人も魔女を抱え込んでて大丈夫? この会社
言うな、ノレア。俺達だって綺麗な手はしていない
それはお前自身が一番よくわかってるだろう。だが……
父殺しの罪人でも、ガンダムを駆る魔女でも、犯した罪を悔い改めて生まれ変わることはできる
未来のために生きることはできる……そうだよね、ボブ。わかってるよ
……あ。そうだ、ボブ
- 196二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 04:24:43
- 197二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 04:31:40
- 198二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 04:32:04
- 199二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 07:56:18
素晴らしい物語をありがとう、目一杯の乙をスレ主に
- 200二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 07:59:20
200ならノレソフィはボブの翼だ