【SS注意】ヨシタケシンスケ先生の絵本読んだ人いる?

  • 1二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:04:52

    拙者、普段は退廃的概念好き侍と名乗りしもの。

    無礼を承知でSSと、注意事項を失礼する。


    当スレのSSは以下のスレ、


    【SS注意】ヨシタケシンスケ先生の絵本知ってる人に聞きたいんだけど|あにまん掲示板「『りんごかもしれない』?」テーブルに置かれていた本のタイトルを、担当ウマ娘、ビワハヤヒデは疑問を示す声音で読み上げた。資料や書籍に溢れるトレーナー室の中で、その存在をやや異質に感じるのも当然か。ノー…bbs.animanch.com

    の続編に近きものなり。

    といへども、未読の方は『学園のトレーナー間で、ヨシタケシンスケ先生の絵本がちょっと流行ってる世界線』といふことをご承知いただければ問題なしで候。では。

  • 2二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:05:39
  • 3二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:07:14

    アストンマーチャン×『このあと どうしちゃおう』

    「『このあとどうしちゃおう』…なるほど、こんなお話だったのですね」

     ふんふんと頷きながら、担当ウマ娘のアストンマーチャンが、裏表紙をつつ、と指でなぞる。

     亡くなった祖父のノートを、孫が見つけて読むところから始まる。
    そこに書かれていたのは、これから行く天国はどんなところか。どんな神様がいるのか。遺された人たちに、どんなお墓や記念品をつくってほしいか。
    …一見楽しげな『このあと』を、なぜおじいちゃんは書いていたのだろう。……そんな話だった。

     以前立ち寄った本屋で大々的に宣伝されていて、『マーケティング的に気になっていた』らしい。共用の本棚にあったものを、こうして二人で読んだのだった。

    「トレーナーさんは…もし、先に向こうに行っちゃったら、何をしますか?」
     表紙に目線を落としたまま、いつもと変わらない温度で、随分と重い質問を投げてくる。とはいえ、これには即答できた。読んでたときには、もう考えていたから。

    「幽霊になるか、すぐ生まれ変わるかでもして、すぐにでも君を見に行くよ。専属レンズだからね」
     彼女も、こちらがこう答えることはわかっていたらしい。

    「えらいです。ほめてつかわします。なでくり」
     甘んじて彼女に撫でられながら、宝石のような目を見つめると、微笑みが返ってきた。

    「……だから、入れ違いには、しないでね」
     次の話題になる前に、一本だけ、釘を刺す。できるだけ、彼女のように、いつもの会話の延長で言おうとしたが……全然、できていなかった。

    「それは」
     こちらの表情に釣られたか、口元の笑みは消え、その目が、少し、ほんの少し見開かれる。

  • 4二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:07:48

     沈黙を挟んで、まばたきを、一度、二度。

    「それは、お互いさまです。
    マーちゃんも、もし同じ立場だったら、きっとすぐに見に行きます。だからその時は、見つけてくださいね?」
     ……向こうからも、釘を刺されてしまった。自分より、よっぽど自然に。いつもどおりの調子で。

    「もちろん。……やっぱり、自分の人形とか着ぐるみに宿るかな」
     重くしてしまった空気を誤魔化すよう、机の端に座るマーチャン人形をつつく。この子くらいならかわいいだろうけど、きぐるみが夜な夜な動いたら、再会の喜びより、ちょっと恐怖が勝るかも。

    「うーん、そうヤマを張られると、いじわるしちゃうかもしれません。……他のものになっても、見つけてくれますか?」
     足元、カバン、ゴミ箱を順に見て、最後にこちらの目を見て、彼女が問いかける。これにも、即答できた。

    「靴下でも、キーホルダーでも、ビニール袋でも。……何になっても、絶対に」
     それを聞いて、改めて満足したように頷く。

    「……そうだ、今のやり取りで思い出しました」
    言いながら、ぱらぱらとページを捲る。

    「……ここの、『グッズを出してほしい』ってところ、マーちゃんたちは概ね達成済ですよ。ふふん」

    「まだなのは映画化くらいか。生きてるうちに作ってもいいけど、引退してからの方がよさそうかな」

    「ですです。それまでに、もっとエピソードを用意しないといけません」
     すっかりいつもの調子に戻りながら、考える。
    こうして話すこの時間も、いつか映画になるだろうか。その前に、四コマかな。

    これから、どうしてやろう。

  • 5二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:14:24

    とりあえず以上なり。
    全回リクエストいただけし、マーベラスサンデー×ちょっぴりもれたろうはちょっとお待ちいただけると幸い。

    他にも『この作品を〇〇に読んで欲しい』というのがあらば、聞くかも。

  • 6二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 22:24:55

    スレ画は『SS読んでる?』シリーズの方にいただきしものなれば、ありがたきこと限りなし。言い忘れるとは不敬の極み。申し訳なし。

    おそらく>>2でも助太刀いただけたと見える。


    この場を借り、重ねて御礼申し上げたく候。

  • 7二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 23:07:59

    今回もよき太刀筋であった
    明日本屋行ったときにでも読もうかな

  • 8二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 23:51:32

    マーベラスサンデー×『おしっこ ちょっぴり もれたろう』

    「ねえ、トレーナー☆」
     長引いてしまった会議を終え、トレーナー室に入るや、待ち合わせていた担当ウマ娘のマーベラスサンデーは、何かを読んでいた。

    「どうした、マーベラス?」
     遅刻を手で詫びつつそちらへ行くと、彼女は持っていた『絵本』を掲げて見せる。

    「この『おしっこ ちょっぴり もれたろう』って本なんだけど……」
     その表紙を見て、昼休みに読んだあと、そのままにしていたのを思い出す。

    「お、もしかして読んだ?」
    彼女の隣に座りながら、感想を聞けば。

    「うん☆『トイレのあと、ちょっとおしっこがパンツに染みちゃう』って悩みに、あくまで本人は真剣に考えて向き合ってるの、とってもマーベラス!」
     ……想定より数倍、ちゃんとした感想が返ってきて一瞬たじろぐ。……が、少し対抗したくなって、あえて真剣な顔で頷くと、真剣な表情で返す。

    「なるほどな。『ズボン はいちゃえば ばれないんだから』って言い訳も、案外的を射てるのかもなって」

    「うんうん☆本人にとっては重大な悩みでも、周囲は案外見えてないし、気にしてないってことかもね☆……あのね、トレーナーも、ズボン、はいちゃってるの?」
     冗談めかして不意に投げかけられた、その質問の真意は、なんとなくわかる。でも。

    「……いや、履いてなきゃ捕まっちゃうからね。さ、ミーティング始めようか」
     あえて、それに気づかないふりをして、切り上げる。

     彼女のメイクデビューの日まで、この不安も、自責も、悩みも、彼女にだけは見せられない。絶対にデビューできる、させる。自分がまず信じなくては。
     彼女の右足に巻かれた包帯から目を逸らすように手帳へ視線を落とすと、リハビリのスケジュールの確認へ取り掛かるのだった。

  • 9二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 23:58:45

    とりあえず続きを書くやもしれぬので

  • 10二次元好きの匿名さん23/02/04(土) 23:59:46

    10スレ目まで埋めさせていただきたく候。
    リクエストは(あったなら)明日以降に取り掛かるゆえ、ご承知いただけますよう。

  • 11二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 10:19:39

    良い親和性だ…

  • 12二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:45:33

    キングヘイロー×『あんなに あんなに』

     トレーニングを休みにした放課後。トレーナー室には、担当ウマ娘がページをめくる音と、自分がキーボードを打ち込む音。

    「…なかなかの作品だったわ。キングのお墨付きをあげてもいいかもね」
     ぱたんと本を閉じる音に、そちらをちらりと見ると、目じりを少しぬぐいながら、キングヘイローが本を置いたところだった。

     こちらもキリがつきそうだ。ついでに感想でも聞こうと思い、何か淹れようかと聞く。
    ……今日の一流ウマ娘は、紅茶派らしい。

     彼女の読んでいた『あんなに あんなに』は、タイトルにもある「あんなに─だったのに」と、次のページでの「もう、こんな」という言葉だけで、淡々と続く作品だ。その大筋は、子の成長を省みる親の目線で展開する。

     借りてきたその本をキングが見つけたとき、正直、読ませるか若干迷った。素直じゃない母君との関係も考えると、毒にも薬にもなりえると思ったから。
     最終的に、それさえ乗り越えた彼女を信じ、そのまま読ませたが…杞憂だったらしい。

  • 13二次元好きの匿名さん23/02/05(日) 20:47:20

    「…本当に、傍から見てれば、成長も変化も、あっという間ね」
     意外にも、彼女自身「親」目線で読んでいたようで。
     確かに、トゥインクルシリーズで敗北や挫折を乗り越え、最近の彼女は、自らの走る姿や経験に裏打ちされた言葉でもって、後進を励まし、叱咤し、導くことが増えた。

     今、しみじみと閉じた瞼の裏には、『心当たり』がよぎっているのだろう。
    プリンセスを目指し突き進む、桃色の勝負服の同級生か。
    底抜けの明るさでひたむきに走る、桃色の髪のルームメイトか。
    ……あるいは、先日の夏合宿で『合同誌』をくれた、あの子かも。

     そう予想していたのだが、呟くように続けた言葉は。
    「あんなに、へっぽこだったのに。もう、こんな…」
     まさか、自分の成長をかみしめられていたとは。確かに彼女の関係者の中では、長い付き合いだろうが、いささか予想外だった。

    「『こんな、一流になっちゃって』って?」
    お湯が沸く間に、お茶菓子を出しながらからかってみれば。

    「あら、聞いてたの?聞き耳は感心しないわね」
    言葉と裏腹に、前より少し大人びた微笑を浮かべる。感想が聞いてみたくて、と謝りながら向かいに座れば。

    「まぁいいわ。お望み通り、一流の感想を聞く権利をあげる」
    その姿を見て、こちらの胸にも、思いがよぎった。

    あんなに、へっぽこだったのに。
    もう、こんな。

  • 14二次元好きの匿名さん23/02/06(月) 07:28:39

    かければいいなと保守

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