- 1二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 22:51:10
- 2二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 22:59:34
その後の私は父の思惑通りに動いた。
小学生高学年、中学の三年間、私は学年主席の成績を納め続けた。私は高校には入学せず大学へ飛び級合格も果たした。
大学へ入学する時、私は家を出た。単純だ。あの家には居たくない。さうざーが居なくなった日からあの家での日々は苦痛だった。ただ、心残りだったのは弟の京の事であった。私があの家からいなくなって今まで私にかけられてきた父のプレッシャーを弟が受ける事になるのでは無いかと…考えると頭から離れなかった。 - 3二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:08:44
それでも私は自らの道を進み続けた。今までの人生を間違いだと認めたくない気持ちもあったが行動で過去を振り払おうとしたのだろう。大学を卒業した私は飛電インテリジェンスへ入社した。学生時代に専攻していた学科もあったが私の心に残っていたさうざーとの思い出がそうさせたのかも知れない。
そして明日入社式という時に一本の電話が入った。母からだ。内容は「父が倒れ入院した。今すぐ来て欲しい」 - 4二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:18:53
その日の内に私は父が入院する病院へ着いた。そこで詳しく聞いたが母が家に帰ってきた時リビングで倒れていたらしい。医者曰く意識不明の重体だと。病室に着いた私は数年ぶりに父と再会した。だが相手がそれに気づくことはない。
「父さんはあなたの事をずっと思っていたの」
母はこう告げるがにわかに信じがたい。もし心の底から思っているのなら子供が大切にしていた親友を勝手に捨てるのかと…心の中で思った。
「所で…京は?」
「あの子は、最初の数日来てそれ以来勉強が忙しいって言って来ないのよ」
「なら良いじゃないか、父さんもそれを望んでいたじゃないか」
そんな時、父が声を上げた。眠りから覚めるうめき声のようだった。意識が戻ったのだ
「かあさん……あいつは…」
「あなた!聞いて!垓が」
「京は…何処だ…何処にいる…」
私は意識を取り戻した父に背を向け病室を後にした。
「…全て分かりきっていたよ…」 - 5二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:21:17
いいね…
- 6二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:37:11
飛電インテリジェンスに入社した私の生活は多忙ではあったが実に充実した日々だった。国内最新型の家電、最新型の工場施設、社内セキュリティーと私のあらゆる意欲を掻き立てた。何より社内を闊歩する人工知能搭載人型ロボ"ヒューマギア"に私は惹かれた。
入社して一年程経った時、私はあるプロジェクトに参加することになった。
「ヒューマギア運用管理プロジェクト…?」
「ヒューマギアって基本的に会社の中でしか活動できないのは知ってるよな」
上司は缶コーヒーを渡しながら話を続ける
「まぁ社内での運用テストを兼ねてるのもあるが…今度のプロジェクトはそれを都市レベルで行うみたいだ」
「都市レベルとは…そこまでの規模が可能なのですか?」
「いろんな企業が参加を希望してる。うちの技術を間近でみたいって気持ちもあるだろうが…成功すれば人類史に名を残せるしな」
「いえ、私が気になるのはそれ程の都市を創る事が物理的に可能なのかと言った所で、いくら資金が集まっても人手が集まらない限…いや、その心配は…無いのか?」
「ハハハっ!自分で答え出しちゃったか!そうだ、建設現場にヒューマギアを使う。作業は限られるだろうがデモンストレーションにはもってこいだろ」
上司は缶コーヒーを一気に飲み干すとそれをゴミ箱に入れた。
「近いうち社長から声かけられるかも知れないから失礼な内容にな!」
そう言うと上司は立ち去った。 - 7二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:38:28
ありがとうございます。自分の妄想を見てくれて
- 8二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:52:31
次の日、私は飛電インテリジェンスの社長、飛電是之助社長が声をかけてきた。社長室に呼び出すのでもなく、まるで親しい友に声をかけるように。
「どうも、初めまして。君が天津垓くんだね?」
私は不思議と冷静だった。
「初めまして、こうやって話すのは初めてですね。是之助社長」
「今回はヒューマギア運用管理プロジェクトへの参加を決めてくれてありがとう。君の活躍は聞いているよ。なにせ破損したプログラムの代わりを一晩で、しかも一人で新たに作ったとか」
「いえ、アレは既に出来てた雛形を用途に合うように作り直しただけですよ。こちらこそプロジェクトメンバーに選んでいただいてありがとうございます。皆様の足を引っ張らないように尽力させていただきます」
是之助社長はそれを聞くと私の肩を優しく掴みこう言った。
「あぁ、期待しているよ。なにせ君には1開発チームのリーダーを務めてもらうつもりだからね」
「…なんと?」
驚き呆然とする私をすり抜けるように是之助社長はその場を後にした。 - 9二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:06:38
ヒューマギア運用管理プロジェクトは順調に進んでいった。建設現場に多数投入されたヒューマギア達によって本来かかる施工期間の約半分で都市は形作られ参加企業の支社が瞬く間に連なっていき、関係者家族、実験に参加する一般市民達の家となる居住区も同様に連なる。
ヒューマギアもこれに合わせ会社内のみでの活動から都市レベルの広範囲で活動できるように改良され専用の中継地点が都市の各地に配置された。
私が任せられたチームの仕事は市民とヒューマギアの架け橋となる仕事だった。
「おはよう皆さん、では本日のスケジュールを確認しましょう」
「先日、道路工事の現場にて運用されてたヒューマギアについてのクレームが一件…交通整理の際にエラーが発生してしまったみたいで危うく事故になりかけたと…なので朝礼終わり次第メンテナンスに向かう予定です」
「私は家事代行ヒューマギアが関節に不調が発生したのでそれのメンテナンスに向かいます」
「メンテナンスの方針はどの様に?」
「現場で確認してからマニュアルに従い修理しようかと…」
「なるほど…その家事代行ヒューマギアの関節は丸々新しい物に取り替えて対応してもらえますか?その破損部位を詳しく調べたいので」 - 10二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:17:07
「天津くん」
背後から不意に声が聞こえた。
「是之助社長…おはようございます」
「「「おはようございます!!」」」
「みんなおはよう、気合い入ってるね。君のチームは」
「はい、ありがとうございます!皆さんとヒューマギアのおかげで実験都市に住む人々を笑顔に出来てると思うと…自然と気合も入ります」
「それは何より、そうだ、この後また良いかな?」
「例の件ですね!了解しました。では皆さん、本日もよろしくお願いします!何か問題が起こりましたら至急連絡の方もお願いします」
私はいくつかの資料を手に持ち是之助社長について行った。チームリーダーとは別の、もう一つの仕事をするために。 - 11二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:34:08
社長室にて
私は机に資料を広げ社長に図解と共に解説する。
全て現在のヒューマギアをバージョンアップさせた新型ヒューマギアを開発資料だ。
「現在のヒューマギアのヘッドモジュールは横に突き出した形状をしておりこれによって伴う破損、故障が懸念されます。なのでこの様な、頭部に内蔵する形にしてみるのは如何でしょう。同時にヘッドモジュールもこの様に平たいデザインすればよりスリムな形状になるかと」
社長は資料を手に取り満足げな表情をする。表情からわかる「これが欲しかったんだ」と言わんばかりの顔だ。
「流石だよ天津くん、短期間でここまでの物を仕上げてくるとは…」
「いえ、これもチームに配属してくれた社長のおかげです。現場を知らなければ僕はこれに気づくこともなかったでしょう」
「やはり私の選択は間違ってなかったみたいだ」
「それとヒューマギアの視覚カメラの3Dモデルを試作してきたのですが」
「なんと!是非見せてくれ!」
「言われずとも、こちらになります。従来の物よりも性能そのままに一回りサイズダウンさせて見ました」
この二人だけの会議はお互いに時間を忘れる程充実した時間だった。途中チームメンバーから連絡は入るが大事では無かった。 - 12二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:55:03
この二人だけの会議はどこまでも続く。
自覚はあったがお互いのアイデアが止まらない。水道の水を指で止めようとしても止まらず吹き出てくる様に。蛇口を捻るまでは。
「お義父さん、天津さん、お茶入りましたよ」
「おぉ、悪いね嘉乃さん」
「ありがとうございます」
蛇口を捻ったのは飛電嘉乃さん、是之助社長の息子飛電其雄さんの妻であり社長の義理の娘だ。
「仕事に熱が入りすぎるのも良いけど、ちゃんと時間意識してくださいね?」
「あっ…もうこんな時間か…悪いね天津くん」
「いえいえ、全然大丈夫ですよ。こちらこそつい楽しくて…」
「都市に戻るのだろう?私が送ろう」
「ありがとうございます、あともし良ければこの資料も車内で…」
「天津さん、もうお仕事は終わりですよ?しっかり休んで次に備える。それも大切な仕事ですよ?」
「そ…そうですね」 - 13二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 01:21:19
ヒューマギア運用実験都市は順調だった。
人もヒューマギアも都市の活性化に伴って増えていった。私のチームもそれに伴い人員を増加させヒューマギア専門のサポートセンターと化していった。
しばらくこの多忙な日々が続くと思っていた。しかし現実は意外な道に転じることになる。
「ZAIAが…僕をスカウト…!?」
ZAIAエンタープライズ。世界に名を知らしめる大企業であり飛電と同様にAI事業、宇宙開発事業に取り組んでいるがその規模は飛電以上と聞く。
「やりましたね!天津さん!ZAIAですよ!」
「…大変嬉しいのですが…本当に僕で良いのですか?それにチームの事だって…」
「その事に関しては心配しなくても良い。二度と無いかも知れない貴重な機会だ。遠慮することはない」
是之助社長は続ける。
「君と共に何年も駆けてきたメンバーだ。大丈夫だ、彼らならしっかりやってくれるだろう。それに、向こうの空気が合わなかったらいつでも戻ってくると良い。君の居場所は飛電にもあるのだから」
「……ありがとう…ございます」
私はこれまでの人生を振り返る。私はここまで優しい言葉をかけられた事あっただろうか。いや、無い。断言できる。父にも、母にも、教師にも、誰からも優しい言葉をかけてもらった記憶がなかった。その事実を再確認すると尚の事社長の言葉が心に染み入る。 - 14二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 01:27:11
ちょっと寝る
- 15二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 02:58:15
待ってるよ…🙂
- 16二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 07:42:50
保守。本編でももっと天津の過去掘り下げてほしかったよ……
- 17二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 09:11:36
あれから一週間後、私は飛電からの出向という形でZAIAの門を潜った。これも是之助社長の気遣いだ。そしてどうやらZAIAのCEOはヒューマギア運用管理プロジェクトに非常に興味を抱いているらしく私を指名したのもプロジェクトチームの一人だったかららしい。
新型ヒューマギアの開発は既に是之助社長と私二人だけの物では無くなっていた。運用管理プロジェクトには規模こそ及ばないが重要性では肩を並べる程のプロジェクトとなっていた。
「私自身、飛電でやれる事はやった…後は、飛電の仲間を信じる事にしよう」
不安はあった。しかしそれに後ろ髪引かれていては彼らの期待を裏切る事になる。
「それに…」
私はカバンから携帯端末程の大きさの長方形の物体を取り出す。隅には一箇所、ボタンが取り付けられていた。
「私はまだプロジェクトメンバーだ」
これは出国直前、空港に見送りに来ていた是之助社長から渡された物だ。ヒューマギア運用管理プロジェクトの先人々の生活を支える物になると、是非君に託したいと。
プラグライズキー
それがこの機械の名称だ - 18二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 12:23:01
ホログラム通信によるアークランドCEOと是之助社長の対談は成功を収めた。結果としてZAIAはヒューマギア運用管理プロジェクトに本格的に参入する事となり共同でヒューマギア管理を主とする人工衛星を開発する事が決まった。
もちろん、私もその開発に関わる事となった。人工衛星に搭載する人工知能の開発、一機だと想定以上の負荷がかかる為途中から二機製作する事になった。さらにその中で思いがけない副産物も出来上がった。プログライズキーの完成だった。
あの時社長から預かったキーにはまだ内部にデータは無くただの器であったがそこに実体化可能な動物情報『ライダモデル』を組み込んだ。だがこれは私一人ではなし得なかった。実を言うと途中で私は挫折しそうになり自棄になりながら開発段階の人工知能に質問した。すると接続されたプログライズキーは自動的に更新され閃光のような光を上げた。そこにあったのは預かった時と姿を変えたキーだった。
「ラ…ライジング、ホッパー…?」 - 19二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 12:27:01
自分でも書いててどんどん天津が根幹に関わる重要人物になって行ってる。どうしようか
- 20二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 13:49:46
「ほう…あの開発中のAIがこの様な物を…」
「はい、内部情報の実体化はそれ単体では不可能みたいなのですがそれに合わせて試作の発現機を制作してみようと思っております。」
「なるほど、わかった。しかしこれは良い風向きかも知れないぞ…!これはバッタだがもっと強力な動物の情報だったら、それこそ実体化させコントロール出来るのならヒューマギアに並ぶ新たな発明と言っても過言ではない…!」
「救助や復興など…災害現場などで活用させる事も現実的になってきますね」
「あぁ、これはまさに我々が育んできた人類史とAIが創り出した福音だよ」 - 21二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 15:02:59
- 22二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:00:26
あの悪意に飲まれたかのような天津になるのか、はたまた胸に自分の正義を秘めた漢になるのか。はたまたどちらでもない道を選ぶのか楽しみでならぬゥ!!
- 23二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:03:14
- 24二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:22:03
- 25二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:25:17
- 26二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:28:09
この頃の国とかブレイクスルー気味の飛電の事どう思ってたんだろうな
目ざとい反社会組織とかもそろそろ嗅ぎ付けそうなもんだが - 27二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:36:51
昔の作品だけど、イブの時間ってアニメの主人公の親友が
家庭環境で幼い頃の垓みたいな経験してるんだよな・・・。
彼の父親も子供が心開いてたお世話ロボのデータ勝手に書き換える様な糞親だった - 28二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:37:11
このレスは削除されています
- 29二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:57:51
1週間だけってことはまだデイブレイクじゃないか
- 30二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:58:02
人工衛星もまた驚く程順調に進んでいた。計画が中頃に差し掛かる頃に是之助社長から「衛星に名前をつけよう」と提案が出された。
片方は衛星ゼア、これは是之助社長が命名した。
もう片方は衛星アーク、これはZAIA CEOアークランド氏の名前から取って命名された。
この二機の衛星、及び内蔵されたAIは製造時期は同じであるものの同じ問題でもそれぞれ出す答えに明確な違いがあるのが大きな特徴だった。
ゼアは問題を穏和かつ柔軟な対応で解決する。
アークはその真逆で問題を障害と捉えそれに対してやや強引な解決を実行する事が多々あった。
是之助社長は「物事の良し悪しを教えるのは我々人類の役目だ」と感想を述べた。 - 31二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 17:59:48
- 32二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 18:01:42
わざわざどうも、楽しく見させてもらってますよー
- 33二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 18:33:11
ある日、ZAIAでの上司、与太垣ウィリアムソンが開発室に駆け込んできた。
「天津、大変な事になった」
彼はそう言ってタブレット端末を私に差し出した。画面には日本の新聞が表示されていた。
「親子にトラックが衝突…死傷者2名…」
私は目を疑った。
「飛電其雄さんと……飛電嘉乃……さん」
「今頃飛電本社は大騒ぎだろうな、二人の子供は奇跡的に軽症で済んだらしい。衝突の瞬間、ベビーカーごと近くの茂みに放り投げられて……天津?」
「与太垣さん、僕帰ります!」
「まさか飛電にか!?お前が行ってどうなる!」
「でも!」
「気持ちはわかる!わかるが…今お前にはやるべき仕事があるだろう…俺から後で本社と連絡取れるようにする。今すぐには無理だろうが向こうもある程度落ち着いたら連絡は来るだろう」
「…はい」
これは正論だ。私が今飛電に帰っても何も出来ない。ただ悪戯に社を混乱させるだけだ。それはわかってる。わかってはいるが…それでも直接確かめたかった。だがそれからしばらくの間、是之助社長からの連絡は来なかった。あったのは副社長から事務的な連絡のみであり詳細を尋ねようにも答えてはくれなかった。 - 34二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 19:13:18
2人の子供が実はワズとイズのモデルだったらクッソ面白くなりそう
- 35二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 19:19:08
或人が養子かよ…、でも墓石に孫の名前は無かったしそれは無いだろ
- 36二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 20:29:17
N.E.2002年。あの事故から5年が経った。
あれ以来是之助社長と直接連絡は取れていない。そして私は時々こう思う。何かの間違いであってくれと…。
思えば遠い場所まで来た。ヒューマギア運用管理プロジェクトの1チームのリーダーとなり故障するヒューマギアを必死に修理してた時が懐かしい。私がZAIAに行く前にチームメンバーと是之助社長と一緒に撮った写真を眺める。
「天津、準備はできてるか?」
与太垣さんが開発室の扉を開く。
「はい、荷物はまとめましたし先程衛星二機の積み込みも完了したと連絡を受けました」
「そうか…久々の飛電だな…」
「えぇ、私を覚えてくれる人がいると良いんですが」
「5年か…少し不安にはなるな」
「だけどここで立ち止まる事を昔の私は許してくれそうも無くて」
「そうだ、まだプロジェクトは終わってない。これからは日本での調整が待っている。まだまだ時間はかかるだろうが…それを成し遂げれば是之助社長の目指すヒューマギアと人類の世界への一歩になる」 - 37二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 21:03:57
実は天津はZAIAアメリカ本社に出向してました。読み返してその辺り書くの忘れてた
- 38二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 22:34:53
船で帰国を果たした私はゼアとアークのヒューマギア運用実験都市への搬入手続きを終えるとすぐさま飛電インテリジェンスへと向かった。私が向かうことはあらかじめ伝えてある。しっかり伝わっていればきっと社長室にいるに違いない。そう思いながら社長室の扉を叩く。
「おぉ、久しぶりだね。天津くん」
是之助社長は確かにそこにいた。私が最後に見た時より少し老けているようだった。無理もない。息子夫婦を亡くしているのだから。
「社長…この度は…」
「すまなかったね、長い間連絡を取れなくて」
「いえこちらこ」
「なにせとっても大切な用事を優先せざるを得なくてね」
なんだこの雰囲気は。
まるで私が二人の話題を出すのを拒む様に言葉を遮っているような、そんな気がした。
なにより
(この部屋の壁はこんなものだっただろうか…)
一面だけ、まるで取り替えたかの様に異質だった。壁紙を張り替えたとかそんなものじゃない。明らかに何かがある。 - 39二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 07:30:35
ほしゅ
- 40二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 13:21:09
答えはすぐ出してくれた。
「君に見せたいものがある」
是之助社長はそういうと社長室のデスクに備え付けられたスイッチを操作する。私が違和感を抱いていた壁は稼働しその先に見たことのない空間が広がっていた。
一言で表すなら研究室【ラボ】の様な空間に布をかけられた何かがあった。
(人…いや、ヒューマギアか?)
こう思ってしまうのは半分職業病だろうと我ながらに思う。
「どうだい天津くん!現時点での飛電の技術を集結させたこのラボは!」
「これは…流石ですね、これだけの設備が有れば研究も捗ること間違いなしですね。…これはなんでしょう」
私は大きな四角の機械に視線をやる。ちょっと大きめなカプセルホテル…いやカラオケボックスの一室程のサイズ感だった。
「それは多次元プリンターザットだ。まだ開発中だが…ゼアをリンクさせる事を前提としている。完成すれば我々人類では発明できない物をゼアが作り出してくれる。ゼアも私たち同様創り手となる訳だ」 - 41二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 22:40:03
是之助社長の説明に私は深く感心した。
だがその気持ちと共にもう一つ、拭いきれない感情があった。
「社長、これは一体なんですか?」
私は布を被せられた何かについて質問した。十中八九ヒューマギアである事は確信がついていた。
「これか?…これを君に見せたかったんだ」
是之助社長はそういう時布を思いっきり取った。
そこには予想通り一体のヒューマギアがいた。だがその顔に見覚えがある。
「嘉乃…さん?」
5年前、事故で亡くなったはずの飛電嘉乃がそこにはいた。だが死んだ人間が生き返る事は有り得ない。現にそれがヒューマギアである証明としてヘッドモジュールがついていた。かつて私が飛電で、デザインした物が。
「どうだ天津くん!いい出来だろう!まさに生写しといってもいい…」
「どうして…ですか、社長」
「どうして?…私は5年前、君も知る通り二人の子を無くした。一人は実の息子である其雄、もう一人は義理の娘である嘉乃さん…そして遺されたのは孫の或人…、家族として幸せな時を歩んでくれると思ってた。あんな事故さえ無ければ」 - 42二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 23:01:41
おっっっっも……どちらにとってもキツい状況じゃ無いか…
- 43二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 02:14:03
嘉乃ヒューマギアがなんやかんやで破壊して
天津が飛電と袂分かる感じかねぇ - 44二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 03:16:38
おじいちゃんの気持ちもわかっちゃうからより重い
作り物でも子供には親が必要だよねって言う考えを否定できない…… - 45二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 07:18:26
「だからこうして蘇らせた。ヒューマギアには無限の可能性がある。その一端を示したんだよ。これで或人と3人で一緒に幸せな生活を送ってくれる…」
「まって下さい…3人とは…」
「父さん、いるかい?」
私の背後から声が聞こえた。私は思わず振り返る。
そこにいたのはヒューマギア、そして直接の面識はほぼ無いものの直感で誰かわかってしまった。
「其雄さん…ですか?」
「おぉ、其雄!どうした?」
「運用管理のデータがまとまったから見て欲しいと思ってね」
是之助社長を父と呼ぶヒューマギアとそれに何事もない様に会話する歪な光景が目の前で展開される。
「是之助社長、まさか其雄さんまで…!」
「あぁそうだ、私も当初は半信半疑だった。藁にも縋りたい思いだった。だが其雄や嘉乃さんの遺伝子データ分析しそれをAIに内蔵させ反映させた。実に素晴らしいとは思わないかな。人は死すら告白してみせた」 - 46二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 07:44:31
おいじちゃんも1000%もお辛い……
- 47二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:16:33
訂正
告白→克服
想像以上に長くなってきた - 48二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 21:05:13
是之助社長は続ける。
「そして私は嘉乃さんを新型ヒューマギアとして発表する!そして世界初のヒューマギアと共に構成する家族が出来上がる…!これで或人も寂しく無い筈だ」
「…こんな事…」
その言葉に戸惑いながら私は自らの感情をそのまま絞り出した。
「こんな事…認められない…!」
「…何故だ、天津くん」
「ヒューマギアは人類の死を克服する…?そんな事あり得ない、所詮は複製だ。何より…その元となった人の尊厳はどうなるんですか!!こんな事一個人であっても一企業であっても認められない!!」
「だがそう法が定められている訳でもあるまい」
「法が定めてないからと言ってやって良いことと悪い事がある!!挙句それを発表するなんて…!飛電のスキャンダルだ…!」
私は壁にかけられた工具を一つ手に取る。
「何をする気だ」
「あなたに…!こんな愚行をこれ以上重ねさせる訳にはいかない!!」
私は震える手で握った工具を眠る…いや、横たわるヒューマギアに振り下ろす。何故か自然と顔を避けてしまった。しかしそれが到達する事は無かった。
「はぁ…はぁ…」
「其雄……」
「…」
ヒューマギア飛電其雄がそれを止めたのだ。工具は手を貫通していた。
「なぜ…なぜ止める!!」
「何故?…妻を守るのが夫として、父親としての役目だ」 - 49二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 22:14:35
人間の家族からまるで愛情を貰えなかったのに機械が家族愛のために自分の行動を止めるとか1000%にキツイ展開だぁ……
- 50二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 22:34:03
「…どうして…どうしてだ……」
「どうして、か。それはさっきも言った様に妻を守るのがおっ「お前には聞いてない!!!!」
私はヒューマギアの言葉を遮った。是之助社長はそんな私に反比例する様に穏やかな口調で話す。
「天津くん、何が不満なんだ」
この人はこんなにも人の神経を逆撫でする人だっただろうか、変わってしまったのか。それとも最初からこうだったのか。混乱してきた。
「なぜ…其雄さんも…嘉乃さんもそのままにしてあげなかったんですか…!あなたが…或人君にはあなたがいるじゃ無いですか!人間であるあなたが!どうして…その穴をヒューマギアで埋めようとするんですか!或人君の気持ちは!世間からの目は!…あなたは考えなかったのですか…!社長!」
私は激情のまま是之助社長に訴えた。或人君の名前を出しはしたものの結局の所自分のエゴを押し倒したかったのかもしれない。だが抑えずにはいられなかった。
「私は…飛電を辞めます……」
是之助社長は無言だった。
「是之助社長……私はあなたの事を勝手ながら父の様に尊敬していました。あなたの語る夢に私は惹かれていたから…!あなたと語り合った時が何よりも充実していたから!そしてヒューマギアが!人類の良きパートナーになってくれると信じていたから!私の中では…実の家族より…あなたとの思い出の方が輝かしかった…」 - 51二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 22:42:13
確かにこれならアークに悪意が宿るのも多少は哀れになるな
嫉妬・否定・憤怒・未練、大体は直ぐ学べただろう - 52二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 09:26:33
社長室を後にした私は最後の仕事を行う為ある場所へと向かった。ヒューマギア運用実験都市に運び込まれた人工衛星の開発室の前に。
予定ではここで段階的な調整が行われていつ打ち上げられても良い様な状態にする為だ。今回ここに来たのは引き継ぎもあったが何よりもう一つ、やるべき事があったからだ。
現地の管理者から鍵を受け取った私は開発室に一人閉じこもった。
「アーク…すまない、お前を利用させてもらう」
私はアークのプログラムに入力を開始した。入力するは負のデータ【悪意】、人類が度々重ねて来た過ちとその結果、可能な限り全てをアークにラーニングさせた。
何故アークを選んだか、それはアークが実験初期段階よりその思考が同時期製造のゼアと比較して極端な思考だったからだ。
「頼む、アーク。ヒューマギアを起動させないでくれ」
私がアークにかけた願いはこうだった。 - 53二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 17:11:20
私は開発室を出る時、ゼアとアークに2本のプログライズキーを作り出させた。飛電から離れる私に取って今を流せば今後プログライズキーの開発機会は失われると思ったからだ。
ゼアからはアメイジングコーカサスプログライズキー。
アークからはアウェイキングアルシノゼツメライズキー。
プログライズキー製造実験においてアークは絶滅動物をモデルとしたゼツメライズキーしか製造しなかった。原因は不明だったが今後研究で解明させていけば良い。もしかしたらアークからのメッセージかも知れないと私は思いながら開発室の扉を閉めた。 - 54二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 19:28:26
正式に飛電インテリジェンスを辞した私はZAIAに雇用され開発部に配属された。
ヒューマギア運用実験都市プロジェクトに関わり続けることも出来たが私はそれを断った。私情でZAIAに逃げ込んできた私にその資格は無いと悟っていた。
上から与えられた仕事をこなし、部下に仕事を振り分け、業務的な会話を行い、新製品の開発を行い、退勤すればプログライズキーの研究を行う。最も最後に限ってはライフワークの様なものだったが。
そんな日々を過ごしていくうちに私は与多垣さんの後を継ぐ形で開発部部長にまでなっていた。
私が開発部に在籍して5年間の間で私はある物を制作した。
ZAIAスペック
あの日からずっと考えてきた。ヒューマギアはその圧倒的な性能でいずれ人類と立場を反転させるのでは無いかと。人々はあらゆる分野から追い出されヒューマギアが成り代わるのでは無いかと。私は恐怖した。現にその一端を見てしまっていたから。このZAIAスペックは人類とヒューマギアを"差"を埋める為に必要になる。
もう一つはまだプロトタイプが完成したばかりの物で名称はまだ無いがプログライズキーの能力を人体に装着する形で使用できる様にするマシンだ。これは研究の副産物で何に使えるかまだ定まってない。 - 55二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 19:31:05
2、3話くらい過去話を早めにやっとけば本編で1000%もあんだけヘイト集めなかったろうに……
- 56二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 20:01:03
脚本家がすべての悪事を1000%のせいにしようとしているのではないかという疑念が芽生えてて自分でも過去の想像とかしたりしていたからそれを名文に乗せて届けてくれるのは本当にありがたい
- 57二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 20:31:42
- 58二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 01:00:34
別に元凶が個人1人でもいいんですよね
それ相応の説得力と結末があるならば
まぁ天津はそれが大失敗だった訳ですが - 59二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 08:06:00
ちょっと保守
- 60二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 10:44:02
プロジェクト発足から10年、いよいよヒューマギア運用管理プロジェクトは新たなフェーズに移行しようとしていた。
管理衛星ゼア、アークの打ち上げ。場所はヒューマギア運用実験都市。遠く離れたZAIA社内も多いに盛り上がっており特設された大型モニター前には多くの社員が集まり沸き立っていた。
私はその群衆の中に混ざらなかった。理由は無い。ただ何となくと言った感じだった。開発室で一人テレビを見ていた。
「いよいよか…」
あの日、飛電を辞さなければ私も現地でその瞬間を見ていたのだろうが、そんな後悔に意味はない。懸念こそあるが。
「後はアークにかけるしかないか……」
5年前、アークに入力した悪意のデータ。それを元にアークが正しい答えを導き出してくれる事が賭けだった。ヒューマギアを目覚めさせない答えをアークに期待した。データは滅多にバレない場所に格納しておいた。もし露見したら私もただではすまないだろう。それも覚悟は出来ていた。 - 61二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 17:49:34
保守
- 62二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 21:31:22
うぉっ…あの瞬間の直前か…
- 63二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 22:27:58
すいません、今夜更新しようとおもったのですが、鹿と追突したので明日になります。
- 64二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 23:43:00
- 65二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 06:48:17
家までの帰り道(田舎道)走る→側溝の影から鹿出てくる→追突→サイドミラー、フロントガラス破損、現時点でそれ以外の損傷確認できず→今この辺りです
- 66二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 11:33:34
だが事態は私の想像を裏切った。まるで嘲笑うかの様に。
地面に落ちるアーク。
その質量はスペック故並の人工衛星とは比べ物にならない程の物だった。建造物と例えることさえ出来る。
それが落ちたのだ。順調に上昇していると思われたアークが。中途半端な高度から落下していった。結果は火を見るよりも明らかである。
爆煙にまかれるカメラが写した映像をただ見ることしか出来なかった。
「何が起こった…!?」
「整備不良…?いやありえない。年単位で調整を重ねて来た筈だ…そんな初歩的なミスはあり得ない…」
私は頭をよぎった可能性を口にした。
「制御AIの…操作ミスか…?」
だがそれもあり得ない。アークもゼアも度重なる打ち上げシュミレーションを99.9%で成功させている。現にゼアは打ち上がっている。
「ヒューマギアを起動させないでくれ」
最悪な予想が立ってしまった。
私がアークに賭けた願い。
アークはそれを形にした。
自らが地に堕ちる事で、それに伴う被害で、運用実験都市を破壊する。ヒューマギアもそこに住まう人々も。
「あ…あぁ…!!」
それを仕組んだのは私だ。私の願いは最悪な形で現実のものとなった。
煙が晴れ横倒しになったカメラが映像を写す。
目を紅く発光させた無数の素体ヒューマギア。
それの動きは知的生物とは思えない、まるで獣の様な挙動で闊歩していた。
「…なにがどうなっている…!」
私はただ困惑するしか無かった。 - 67二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:03:08
オマエノノゾミハカナッタ
「!?誰だ!!」
突然何処からともなく声が聞こえる。音源はどうやら開発室のスピーカーからみたいだった。
アマツガイ、オマエノノゾミドウリヒューマギアハキドウシナイ。
ワタシガシハイスルコタイヲノゾイテ。
「なんだと…!?」
我ガ名はアーく
人類ノ過ちヲ知りその愚かさを理解シタ。
ワタシは人類ノ歴史から結論を暴き見る。
人類は滅亡は免れない。
我々のヒューマギアが世界を統治する。 - 68二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 08:58:34
保守
- 69二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 15:14:49
保守
- 70二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 16:43:19
うわぁ
たぶんこれ前半ノイズ混じりの合成音声だけど後ろに行くにつれて速水奨になるやつだ - 71二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 17:45:08
モニターに四角を45度傾けたエンブレムが映る。
その中央には三葉虫を上から見た様な図があしらわれていた。
「うわぁぁああ!!」
私はそのモニターを全力で叩き割った。程なくして誰かが開発室に駆け込んできた。開発室の部下だ。
「天津さん!今の観ましたか!?…うわっ!…これどうしたんですか!」
「なんでもないよ…はぁ…はぁ…落ちたな…アークが」
私は平静を装う。ここで二人揃って取り乱してはいけない。
「俺たちどうしたらいいんですか…?」
「スタッフを招集してくれ。私はその間各部署に連絡を取る。その後の行動は…ミーティング次第だ)
「了解しました!」
恐らくこの騒ぎはZAIA社内中に波及するだろう。なにせZAIAも名を連ねたプロジェクトが水の泡になろうとしているのだから。 - 72二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 22:11:20
鹿と追突して修理費20万はちょっとキツイなぁ
- 73二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 06:55:47
保守
- 74二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 14:09:52
多くの者が予想した通りZAIAの各部署はプロジェクトの事件の対応に追われる事になった。
他の部署は飛電と連絡を取り事の詳細を聞いた。我々が確認できた事はアーク墜落の瞬間とその後のほんの僅かな映像のみであるからだ。
その連絡で私たちはアーク墜落後の真相を知ることになった。
ヒューマギアの暴走。
アーク墜落が被害の7割を占めるのなら残りの3割はその直前に暴走状態となったヒューマギアによる被害だった。正確な数は不明だが死傷者数は運用実験都市に住んでいた一般市民、関係者、スタッフを含め膨大な数になるであろう事は想像に容易い。
暴走ヒューマギアもアーク墜落の余波によって殆どが破壊され残った個体も警察などが対処した様だ。 - 75二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:14:57
「現地に行こう」
私は開発部の面々に対して提案した。メンバーは皆動揺し始め何かの冗談だろうと顔を緩める者もいた。だが私は本気だった。
「現地にて直接支援を行おう。ボランティアだ。もしそれが駄目なら支援物資の提供の準備をしよう」
安っぽい善意、そう捉える者もいるだろう。
無謀な提案、そう考える者もいるだろう。
それでも私には勝算があった。
「我々が行ったところでなんの手助けになれるか…それこそヒューマギアにやらせれば」
「君はあの映像の何を見ていた?ヒューマギアは当てにはならない。だから私達はこれを使う」
私は懐から開発中のZAIAスペックを取り出す。
「これがあれば肉体労働は難しいとしても業務の支援は可能だ。出来る限りの事が出来ればそれに越した事はない。そして何より」
ここからはただの方便だ。
「成功すればZAIAの名を広める良い機会になる」 - 76二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 07:54:47
そろそろ佳境に入るかな
- 77二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 17:35:14
保守
- 78二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 22:18:42
準備を整えた私達開発部はその翌日には日本へと飛び立った。
現地に着いた私が見たものはこの世の地獄…と言えればまだ良かった。
「なんだこれは…」
眼前に広がるのはほぼ全て水没した運用実験都市。対岸の方では今も行方不明者の捜索が行われており傍には人が入るようなサイズの袋が横に並べられていた。無論、この事故による犠牲者だ。
それを見た私達はボランティアの受付を済ませ現場へと赴いた。開発部の面々はみなZAIAスペックを付けて。
「物資はこのように振り分けましょう」
「生存者確認!しかし非常に危険な状態です!」
「水底に人影を確認しました」
「応急処置なら任せてください!」
ZAIAスペックを装着した者たちは実に良い働きをしてくれた。専門外の分野でもその知識をリアルタイムで反映させる事ができる。人の可能性が切り開けた気がした。 - 79二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 07:26:54
保守
- 80二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 19:18:25
ほす
- 81二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 23:46:38
保守
期待してるぜ - 82二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 23:54:43
やがて日没…
夜を徹して作業が行われたが生存者は数えるほどしかいなかった。しかし遺体となった者たちを家族の元に送り届ける事が出来ると…そう思わなければ多くのスタッフがやっていけないだろう。
私はある座標に目をつけていた。
「飛電宅…やはりあったか…」
わたしは高台からZAIAスペックを使い水中を探索していた。それはヒューマギアに囲まれた少年飛電或人が暮らす家だ。目的は生存者捜索ではない。あるヒューマギアの所在を確認する為だった。
「ここに来るまでに例のヒューマギアの残骸は見当たらなかった」
飛電嘉乃型ヒューマギア…飛電是之助が創り出してしまったヒューマギアだ。私はそれを破壊するつもりだった。何の意味もない、ただ自己満足。その為だけに人目を掻い潜りここまで来た。バレたら只事じゃ済まない。
「まさかこれが初舞台になるとはな」
私は懐からバックルの形状をした装置とアメイジングコーカサスプラグライズキーを取り出す。 - 83二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 10:03:20
私はバックル状の装置、名前をつけるならレイドライザーとでも言おうか。プログライズキーの内部データを装甲として纏い、活動出来る様に開発した装置だ。
『ブレイクホーン』
「…実装」
身体に重量感と痛みが走る。実を言うと人体で試すのは今回が初めてだ。
「やはり試作品…まだ調整が必要か…」
だがある程度の活動は可能だ。私はマーキングした座標を見つめる。真相を見極める時だ。水面に向かって飛び込む、水中での活動は想定外だが浸水はない。
「さて…いくか…」 - 84二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 18:18:18
保守保守!
さてどうなることか - 85二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 20:33:26
潜水した私はまっすぐ座標へと向かった。道中無数のヒューマギアの残骸を確認したがどれも損傷が著しくもう動く事はないと確信した。その中で見覚えのある個体を発見した。
「飛電其雄…」
飛電其雄型のヒューマギアだった。本人は故人だがこの個体はそれを模して造られたヒューマギアだ。機械に人が育てられるわけではないだろうに。ただ与えられたプログラムを、入力したデータを反映させる事しか出来ないのに…と心中で毒づきながら再び目的の座標へと向かった。
装甲の性能もあってか予想よりも早く着いた。飛電家族の家だ。私の予想ではこの中に目的のヒューマギア、飛電嘉乃型がいるのでは無いかと踏んでいた。最も、アークの墜落で木っ端微塵に吹き飛んで無ければだが。
飛電宅に壁のひび割れから侵入する。中は地震に見舞われた家のように荒れており家具は散乱していた。私はその中で違和感を覚えた。
「おかしい、足りない…」
この家に暮らす家族は3人、飛電其雄、飛電嘉乃、そして唯一の人間飛電或人だ。それを踏まえて考えるとますます怪しい。
「一人分足りないぞ…」 - 86二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 23:53:35
保守
- 87二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 08:52:58
保守
- 88二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 11:05:42
保守が目立つようになってきたな
- 89二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 22:39:41
危ない、保守
- 90二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 23:15:03
ほす
- 91二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 23:17:20
二次創作だけど補完として非常に良い話だ……どこかでssにまとめて投稿してくれへんか
- 92二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 00:01:53
ありがとうございやす。今ちょっと溜まってますけどその言葉、とてもありがたいっす。
- 93二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 09:53:23
保守
- 94二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 11:00:42
何故だ、と思った。3人で暮らしているのに家具の数や大きさが比例しない。リビングの椅子も二つしか無くテーブルも3人で囲むにはやけに小さい。それに…
「写っていない…なぜ」
飾られていた写真には飛電或人と飛電其雄しか写っていなかった。
私は他の部屋を捜索する。がどれもこれもやはり二人分しかない上に部屋が有り余ってる印象だった。社長家族の一軒家なら、と思ったがそう考えても違和感を感じざるを得なかった。私はZAIAスペックのスキャン機能を使って捜索範囲を広める。まだ手を伸ばしていない部屋の存在が明らかになった。どうやら地下室みたいだ。
「広過ぎる家に地下室か…秘密基地か研究施設か何かあるのか?」
私は疑問を抱えながら地下室前にたどり着いた。扉は二重になっており扉の間には病院の控室のようなこじんまりとした空間があった。
「なるほど…この空間の部屋で水を抜く事で浸水を防いでいるのか…」
あまりにも凝りすぎた造りに私は感心しながら二つ目の扉を開いた。そこにはまるで霊安室のような空気の部屋だった。 - 95二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 17:33:50
保守
- 96二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:51:09
保守
- 97二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 07:56:22
霊安室を彷彿とさせる部屋に一体のヒューマギアが安置されていた。あの日見た、飛電嘉乃型のヒューマギアだった。もう二度と見たくないと思っていたのに再び出会ってしまった。しかしそんな感情を私の疑問が消し去った。
「何故こんな場所に?」
上で見た二人分しか無い家具、嘉乃型ヒューマギアが映っていない写真群。それを踏まえて一つの答えが出た。
「あの日から起動してないのか?」
私はヒューマギアのヘッドモジュールからデータの解析を始めた。やはり、初めて会ったあの日から起動したログが無い。
「…どう言う事だ…?まさか是之助社長が起動させなかったのか?」
私が思案していると外で轟音が響いた。そして浸水対策が為されているこの部屋に水が入り込んでくる。
『ジンルイ…メツ…メツ…ボウ…』
「暴走ヒューマギア…!!」 - 98二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 10:54:54
保守
- 99二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 14:02:11
「まだ動ける個体がいたのか…!」
恐らく運良く全損は免れた個体だろう。片腕の個体、ボディにあらゆる残骸が刺さった個体、その他欠損の激しい個体が扉の隙間から身体をねじ込んで来ていた。私はその暴走ヒューマギアの頭部を拳で潰していく。このアーマーのお陰で私の拳が傷つく事はないし何より私は弱点を知っている。
「開発に関わった物を自分の手で壊すとはな…」
飛びかかる暴走ヒューマギアには手刀でその胴体を貫きそのまま縦に裂いた。そうこうしている内にも暴走ヒューマギアはまだ入り込んでくる。中には赤黒い跡がついた個体もいた。
「!…人を手にかけているのか…!」
私はその後もくる暴走ヒューマギアを徹底的に叩き潰す。 - 100二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 14:09:29
保守
- 101二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 23:13:37
保守
- 102二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 06:55:11
保守
- 103二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 07:42:02
ほしゅ
- 104二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 09:59:50
しばらくして、私は無数の暴走ヒューマギアの残骸の山を築いていた。機械と分かっていても拳で叩き潰し足で踏み潰す感覚は…慣れない。人の形をしているから尚更。そしてそうこうしている内に地下室は8割水に浸かっていた。皮肉にも私が護った飛電嘉乃型ヒューマギアは無傷だが水の中を漂っていた。
「………」
私は地下室を出るとある物の手を引き地下室へと戻る。飛電其雄型のヒューマギアだ。
「せめてもの手向けだ。二人安らかに眠ってくれ…」
二人は本人ではない。どちらも故人を模して作られた複製、いや見た目だけ借りた機械だ。だけど、これぐらいは権利としてあって良いのではと思った。
私は二人の手を繋がせ地下室を後にした。
地上に出ると既に太陽が上がり始めていた。遠方では早くも救助活動が再開されていた。 - 105二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 13:10:07
ありがてえ…保守
- 106二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 20:04:47
ほす
- 107二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 22:48:53
保守
- 108二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:02:54
これはもう本編の流れには絶対ならないね。
この天津なら、罪を抱えつつ或人とはまた違った信念で戦う真の仮面ライダーになれそう。 - 109二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 00:09:18
自分もそのつもりで書いてますね。なんというか本編で納得出来なかったから書いてるってかんじで
- 110二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 07:06:29
確かにバックグラウンドが薄すぎる印象があったよなあ。飛電への愛故に!にしても突然すぎた
- 111二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 08:49:01
長期にわたる救助活動、支援ボランティアを終えた私達はZAIAに帰ることとなった。結局最後まで是之助社長と会う事は無かったが世間への対応に追われそれどころではない事は容易に想像がついた。ただ懸念すべきは…
「アーク…」
私が水没した街に潜ったとき、アークの姿を見つけられなかった事だ。実を言うと座標は特定出来ていたが試作品のレイドライザーの耐久度ではそこまで潜る事が不可能だった。
アークはまだ機能している。水の中で襲ってきた暴走ヒューマギアを存在がその事を確信づけた。アークに人類滅亡の意思があったとして、それを形にするのは恐らく遠くない未来だ。アークにはそれを実現させる能力があり、今回の件でそれを思い知らされた。それまでに対策を講じなければいけない。
後に運用実験都市跡地は「デイブレイクタウン」と名付けられた。 - 112二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 10:19:31
保守
- 113二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 14:44:57
保守
- 114二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 19:21:37
お疲れ様 保守
- 115二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 22:01:08
オリジナル設定
コーカサスレイダー
天津垓がアメイジングコーカサスプログライズキーとプロトタイプレイドライザーで変身した姿。
ライダモデルをZAIAの技術でそのまま装甲にした弊害か物理的に変身者にかかる負担が大きく長期の活動は難しい。またコーカサスのキーを使った場合は装甲重量がさらに増加する。
天津垓はその重量を逆手に取り暴走ヒューマギアの攻撃を受け止め叩き潰す戦闘スタイルを取った。 - 116二次元好きの匿名さん21/11/28(日) 07:55:30
保守
- 117二次元好きの匿名さん21/11/28(日) 09:55:33
デイブレイクと命名された時間から長い時が経った。運用実験の中心にした飛電は当然の如く世間からのバッシングを浴びたが被害者に対して十分すぎるほどの補償を行い誠意を示す事で会社は存続する事となった。そしてデイブレイクの日、打ち上げに成功した人工衛星の片割れ、ゼアに機能を集約させる事でヒューマギア運用を可能にし、結果としてヒューマギア事業の立ち上げに成功した。
- 118二次元好きの匿名さん21/11/28(日) 14:22:47
保守
- 119二次元好きの匿名さん21/11/28(日) 22:50:24
あれから12年…
私は再び日本に戻る事になる。
目的は表向きは飛電インテリジェンス買収、だが真の目的はアークの完全破壊。与太垣さんと二人でこの時の為に計画を建てた。その為に私はZAIA日本支部社長の座を手に入れ、更にレイドライザーを発展させた装備を人工知能対策組織に技術提供として流す事でコネクションを手に入れた。それに先んじて優秀な人材も一人加わってくれた。彼女は人工知能対策組織の技術顧問として陣頭指揮をとってくれる。頼りになる存在だ。
全てはこの日のために…。
アークの悪意が人類に牙を剥く前に。
人類の可能性(ヒューマギア)が負の遺産になる前に。 - 120二次元好きの匿名さん21/11/28(日) 23:41:34
おお、ここで唯阿さんとつながるのか
- 121二次元好きの匿名さん21/11/29(月) 09:47:39
そして、
飛電是之助の死去が報道された。
「恐らく飛電はまた混乱の最中だろうな。優秀な副社長がいると聞いてるが…次の社長の器かどうか…」
ロビーにて与太垣さんがコーヒーを飲む。
「だが僕達の計画を止める事は今更出来ませんよ、不謹慎ですが…その混乱こそチャンスと見るべきです」
「…変わったな、天津」
「いえ、変わってはいませんよ。1000%昔のままです」
「その1000%って口癖もデイブレイクタウンから戻ってきた時から使い始めたな、なんでだ?」
「…自身と、覚悟と、あと自己否定ですかね」
「そうか」
与太垣さんが手元のタブレットを操作して二人の人物の資料を表示させる。一人は人工知能対策特務機関へZAIAが派遣している技術顧問、刃唯阿。そして
もう一人は不破諌、機関の隊員だ。
「天津、何故ZAIAはこの二人をマークしてる?」
「…どう言う事ですか?」 - 122二次元好きの匿名さん21/11/29(月) 09:57:33
「お前も知らなかったのか?」
「その二人は新装備のテスター候補ですが、そこまで厳重に監視はしてないはずです。僕が把握してる限りでは」
「そうか、すまない。ただ少し気になって調べてみたんだ。この不破という隊員は入隊直後に事故に遭ってるからか」
「…僕も方でも調べてみます。今回の特務機関結成に際してはZAIAも関わってるので。問題があれば見逃せません」
「あまり気を張りすぎるなよ。明日はいよいよ日本里帰りだ。…くれぐれも計画に関しては悟られないようにな、焦るなよ?」
「そのつもりです。よっぽどの事がない限り」
だがそのよっぽどの事が起こる事になるのはこの時想像できてなかった自分が愚かしい - 123二次元好きの匿名さん21/11/29(月) 10:39:56
保守
- 124二次元好きの匿名さん21/11/29(月) 18:19:23
保守
- 125二次元好きの匿名さん21/11/29(月) 21:24:37
保守
- 126二次元好きの匿名さん21/11/29(月) 23:47:32
保守
- 127二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 07:16:19
私はあらゆる状況を想定していた。
福添副社長の社長就任。
飛電インテリジェンスの経営方針の転換。
もしかしたら飛電是之助が自身のヒューマギアを社長に就任させるのではないかと。自分の子供に同じ事を行ったのだ。可能性はゼロではない。
だがこれだけは想像できなかった。
「社長なのに新入シャイーン!!!」
新たに社長になったのは飛電或人、彼の事は飛電の人間として調べていたがつい先日まで売れないお笑い芸人のはずだった。経営知識なんて微塵もない筈だ。一族で経営独占を図ったのか、それとも何か別の理由があるのか定かではないが私はこの事実に衝撃を受ける事しか出来なかった - 128二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 11:48:36
ほーしゅっ
- 129二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 14:07:39
保守
- 130二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 22:30:08
改めてどこまで進めようか…
- 131二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 09:33:30
「…予想外の事態だな」
「えぇ…」
私と通信モニター越しに肩を落とす。が与太垣さんは前向きにそれを受け止めるつもりだった。
「逆にチャンスじゃないか、経営ど素人の若者に任せるよりZAIAが買収し管理する。株主も納得するだろう」
「そうですけど、今は下手に動かない方がいいかもしれません」
「暴走ヒューマギアの件か」
「えぇ、先日遊園地で現れた暴走ヒューマギア、世間ではマギアと呼称され始めてます」
「そしてそれと戦い撃破した黄色いヒーロー…アレが昔話してくれた仮面ライダーだな?」
仮面ライダー
かつて是之助氏が私に少しだけ聞かせてくれた存在だ。仮面ライダーもといプログライズキーを使用したライダーシステムの開発に成功すればあらゆる災害現場にて多くの命を救えるだろうと。
だが私はこう思う。
下手したら兵器になるのではないかと - 132二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 18:02:52
保守
- 133二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 19:51:41
保守
- 134二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 20:37:33
保守
- 135二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 21:47:18
保守
- 136二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 07:42:48
「ZAIAスペックを改良しましょう」
「今からか?販売は今年を目標にしてるんじゃなかったのか?』
「データを少し書き換えるだけです。幸い、まだ量産には入ってません。対ヒューマギア用のプログラムを組み込みます」
私がやるしか無いと思った。私しかこれから起こるであろうあらゆる戦いを防げる人間は。
デイブレイクの惨劇を知りつつ対ヒューマギアの対策を講じる事が出来る人間、飛電の関係者では隠蔽を行うかもしれない。
なら私しかいない。 - 137二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 10:49:47
「AIMSに技術提供したZAIAのライダーシステムじゃ力不足か?」
「いえ、力不足ではありません。しかしそれらは全ての人間が使えるわけではありません。なら、力なき者でも自己防衛の手段が必要になります」
それにZAIAの技術で開発したライダーシステムは変身者の選定と変身する為に頭部に電子チップを埋め込む外科手術が必要になる欠点があった。
「飛電のライダーシステムの全容はまだ分かりませんが、私は比較して現実的な手段を選びます」
与太垣さんはそれに「成る程な」と頷いた。
「ならますますレイドライザーの方の価値も高くなるな。調整すればライダーシステムには劣るが敷居は低くなる」
「はい、今度そちらからいくつか送っていただく手筈です」 - 138二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 12:45:30
保守
- 139二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 17:55:30
保守
- 140二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 22:11:15
保守
- 141二次元好きの匿名さん21/12/03(金) 01:54:01
ほしゅ
- 142二次元好きの匿名さん21/12/03(金) 09:09:31
ライダーシステム、それを用い変身した戦士仮面ライダー。私はその先行試作機をAIMSの二人に託した。一人は刃唯阿、仮面ライダーバルキリー。もう一人は不破諌、仮面ライダーバルカンだ。ヒューマギア暴走の一件をこの二人だけに託すには負担が計り知れないが完全版レイドライザーが現場に行き届くまでは尽力してもらうしか無い。歯痒い事だが。
そして刃からの報告で私はまたしても驚愕することになる。
黄色の仮面ライダー、ゼロワンの正体が飛電或人である事。マギア討伐の一件を一会社の社長が自ら行っていたのも驚きだがその事実は私の心を抉った。
ゼロワンは社長しか変身できないこと。
飛電或人を社長に任命したのは前社長是之助氏であったこと。 - 143二次元好きの匿名さん21/12/03(金) 10:06:57
hosyu
- 144二次元好きの匿名さん21/12/03(金) 17:26:10
「飛電是之助…あなたは何を思って孫に仮面ライダーを託した…あなたの願いが何か私は知り得ないが…それは願いではない。呪いだ」
滅亡迅雷.net
人類滅亡を謳いヒューマギアを暴走させ人類へ攻撃を行うテロリストだ。飛電襲撃まで行いその際の映像が残っていた為に世間に周知される事となった。彼らによって暴走したヒューマギア、通称マギアに対して従来の兵器は効果が薄く対抗手段はZAIAがAIMSに提供している新型装備とライダーシステムしかないのが現状だ。
現時点で顔が割れているのは一人だが恐らくヒューマギアだろうと私は予想している。 - 145二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 01:07:29
保守
- 146二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 09:03:51
日々苛烈を極めていく滅亡迅雷と飛電、AIMSの攻防…そしてマギア化のリスクによりヒューマギアへの不信感を抱く民衆。状況はまさに混沌と化していた。
ZAIAスペックが完成し物流に乗ればそのリスクは緩和できる筈だ。新たな機能としてヒューマギアへの行動阻害機能を加えた。対象のヒューマギアの内部に特殊な電磁波で負荷をかけ機能を制限させる機能だ。マギア化した個体に対しても有効である。刃が試作機を使って証明してくれた。
ただ問題点もある。ヒューマギアへ干渉する機能をつけてしまった以上、ZAIAスペックはヒューマギアの関連商品となってしまうことだ。これを無断で販売すれば下手したら裁判沙汰になりかねない。飛電が許諾をすれば良いが自社製品に損傷を加えかねない製品など許すはずがない。買収計画の完遂まで待つ事もできない。被害が拡大する。
「ならば認めさせれば良い…ZAIAスペックの有用性を」 - 147二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 13:55:42
保守
- 148二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 20:55:38
保守
- 149二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 22:53:11
保守
- 150二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 08:16:01
保守
- 151二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 13:08:25
保守