今は亡き日本語版ポッターモアを貼ってく

  • 1二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:51:30

    網羅はできてないと思う(控えてるのあったら出してほしい)、英語読めないので訳されてないのもナシ。

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:51:58

    【プリベット通り】

    プリベット通りは、イギリスのサリー州の街、リトル・ウィンジングにあります。通りはきちんと整備され、同じような様式の家が並ぶ閑静な住宅街で、
    魔法に関するものは一切存在しません。

    ハリー・ポッターの両親がヴォルデモートに殺されると、アルバス・ダンブルドアはハリーがプリベット通り 4 番地で暮らせるよう手配します。そこはハリーの親戚のダーズリー一家(おばのペチュニア、おじのバーノン、いとこのダドリー)が暮らす家でした。

    J.K. ローリングの言葉

    ダーズリー一家が暮らす通りの名前は、郊外でよく見かける植物、イボタノキ(プリベット)の低木から取ったものです。イギリスでは庭を囲む垣根によく使われる木で、「郊外」と「囲い」という 2 つの概念に関連するところが気に入りました。ダーズリー一家は気取った中流階級の家族で、魔法界とは断固として距離を置いている存在でもあるからです。彼らが暮らす地区の名前は「リトル・ウィンジング」ですが、これにも「視野が狭い」とか、「人を小ばかにする」というような響きがあります。「ウィンジング」はイギリス英語で、「不平を言う」、「泣き言を言う」といった意味を持つ口語表現なのです。

    ダーズリー一家が暮らす家は、会社社長というバーノンおじさんの地位に合わせ、四角い大きな家と描写しています。にもかかわらず、私はこの家について書くときいつも、無意識のうちに自分が子どものころに暮らした別荘を思い描いていました。その別荘は寝室が 3 つのむしろ小さな家で、ブリストル近くのウィンターボーン郊外にありました。このことに初めて気づいたのは、リーブスデン・スタジオに設置されたプリベット通り 4 番地のセットに入ったときです。階段下の物置の場所から、各部屋の配置にいたるまで、それは私が昔住んだ家のレプリカそのものでした。舞台装置デザイナーにも、監督やプロデューサーにも、その家について話したことはなかったので、この一件は『ハリー・ポッター』シリーズの映画化がもたらした奇妙な体験のひとつです。

    また、これといった理由はないのですが、私は常々 4 という数字が好きではありませんでした。いつも、どこか無情で厳格な印象を受けていたからです。そういうわけで、ダーズリー家には「4 番地」という住所を充てました。

  • 3二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:53:25

    【度量衡】

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    イギリスの魔女と魔法使いは電気やコンピュータを使いませんが、同じように、メートル法への切り替えも行いませんでした。彼らはマグルの政府の決定に影響されませんから、1965 年にメートル法化(メートルでの計測法への移行)が始まったときも、単に無視したのです。

    魔女と魔法使いにとって、面倒な計算は嫌なものではありません。なんといっても、彼らは魔法で計算ができるのです。ですから、オンスやポンドやストーンで物の重さを量ったり、インチやフィートやマイルで長さを測ったり、クヌートやシックルやガリオンで商品の代金を支払ったりすることも、まったく苦にならないのです。

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:55:43

    【バーノンとペチュニア・ダーズリー】01

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ
    ハリーのおばさんとおじさんは、職場で出会いました。魔女の姉妹を持つペチュニア・エバンズは、どうやら両親が自分よりもリリーを大事にしているようだという事実に、ずっと苦しんでいました。そこでコークワース州に別れを告げ、ロンドンでタイピング教室に通うことにしたのです。タイピングの技術を身につけて事務職に就いたペチュニアは、その職場でバーノン・ダーズリーと出会います。バーノンは魔法とは無縁で、とても頑固なうえに、お金がすべてというような男でした。ずんぐりした体型で首がほとんどない中間管理職のバーノンは、若いペチュニアの目には、男らしさの見本のようにうつりました。彼女の好意に応えてくれたことはもちろん、バーノンはうれしくなるほど「まとも」な人物でした。定番の車に乗り、とにかく普通のことが好きで、デート中も自分のことや、世の中についてのありきたりな考えしか話しません。そんなつまらないデートを重ねるうちに、ペチュニアは、彼が結婚指輪をくれる瞬間を夢見るようになります。

    やがてバーノンがプロポーズすると、ペチュニアは一も二もなく受け入れます。プロポーズの場所はバーノンの母親の部屋で、片ひざをついたお決まりのスタイルでした。しかし、幸せのまっただ中にいるペチュニアのたったひとつの不安は、婚約者のバーノンがリリーをどう思うかということでした。当時リリーは、ホグワーツ魔法魔術学校の最終学年生でした。黒いスーツに茶色の靴を合わせる人さえ嫌悪するようなバーノンが、いつも長いローブを身にまとって魔法を使う若い女性のことを一体どう思うか、ペチュニアは考えるのも怖かったのです。

    ペチュニアはバーノンとのデート中(暗い車の中で、映画の後にバーノンが軽食を買ったファーストフード店を窓の外に眺めながら)、涙ながらに真実を打ち明けます。予想どおり、バーノンはひどくショックを受けました。しかし、「変人の姉妹がいるからといって、決して君のことを悪く思ったりしない」ときっぱり言ってくれたのです。ペチュニアはうれしさのあまり勢いよくバーノンに抱きつき、バーノンはソーセージのフライを落としてしまいました。

  • 5二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:56:17

    02

    婚約した 2 人は、リリーと、その恋人のジェームズ・ポッターと会います。初対面は散々な結末になり、それ以来、彼らとの関係は最悪になってしまいました。ジェームズはバーノンを「おもしろい男」だと感じ、その気持ちを態度に表してしまったのです。まずバーノンがジェームズを見下そうとして「どんな車に乗っているのか」とたずねたので、ジェームズはレース用の箒の説明をしました。さらにバーノンが「魔法使いは失業手当で生活しているんだろうな」と言うので、ジェームズはグリンゴッツ魔法銀行のことや、両親が銀行に積み立ててくれた純金のことを話しました。そんな話を聞いたバーノンは、自分がバカにされているのかどうかわからず、腹を立ててしまいます。結局、ペチュニアとバーノンがレストランを飛び出して、夕食はおしまいになりました。ワッと泣き出すリリーに、ジェームズは(少し自分を恥じながら)近いうちにバーノンと仲直りすると約束したのでした。

    しかし、仲直りの機会が訪れることはありませんでした。いつもリリーの方が目立つことにウンザリしていたペチュニアは、リリーを結婚式の介添え人にすることを嫌がり、リリーの心は傷つきます。バーノンも披露宴でジェームズと話そうとせず、ジェームズに聞こえる距離で、彼のことを「素人奇術師みたいなもの」と人に説明したのです。ペチュニアは結婚すると、ますますバーノンに似てきます。彼女はプリベット通り 4 番地にある、こじんまりしたつまらない新居を愛していました。もはや彼女は、まか不思議なものから解放されたのです。とおりかかると突然音楽を奏でるティーポットもなければ、「クィディッチ」だの「変身術」だの、わけの分からない言葉が出てくる長い会話につきあわされることもありません。ペチュニアとバーノンは、リリーとジェームズの結婚式にも出席しませんでした。最後に 2 人から受け取ったのはハリーの誕生を知らせる手紙でしたが、ペチュニアは軽べつするような目でチラリと見ただけで、ゴミ箱に捨ててしまいました。

  • 6二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:56:59

    03

    1 年ちょっと経ってから、みなし子となった甥っ子を玄関前で見つけたときの彼らのショックは物凄いものでした。一緒に添えられていた手紙には、ハリーの両親がどのように殺されたかが述べられ、彼を引き取るようにと書かれていました。また手紙には、リリーが息子のために自分の命を投げ出し犠牲となったことで、ハリーが、リリーの血縁がまだ生きているダーズリー家を自分の家と呼べる限り、ヴォルデモート卿の復讐から逃れられるとありました。それはつまり、プリベット通り 4 番地がハリーにとって唯一安全な場所であることを意味していました。

    ハリーがやってくる前から、ペチュニアは姉に関することは一切話題にさせないという点で夫を上回る徹底ぶりでした。ペチュニアは、自分の人生からリリーを切り捨てたことに対して潜在的な罪の意識を抱いていましたが(自分がずっとリリーを愛していたことを心の奥底でペチュニアは知っていました)、その気持ちは強い嫉妬と敵意の下に埋もれていました。ペチュニアの心の奥底には(バーノンにも一度も明かされなかった)ずっと昔の願いも埋もれていました。彼女は自分にも魔力の兆候が現れてホグワーツに連れて行かれることを望んでいたのです。

    リリーがいかに勇敢に死んだかというダンブルドアの手紙の衝撃的な内容を読んだペチュニアは、ハリーを引き取って最愛の息子ダドリーと一緒に育てる以外に選ぶ道はないと感じました。ペチュニアはしぶしぶハリーを引き取り、それ以降ハリーの子供時代を通じて、自分勝手に彼に厳しく当たりました。バーノンおじさんのハリーに対する嫌悪感は、セブルス・スネィプと同じく、ハリーが、自分たちが嫌っていたハリーの父親にそっくりだったことにある程度起因しています。

  • 7二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:57:40

    05

    ダーズリー夫妻がハリーの両親の死因について嘘をついた大きな理由は 2 人の恐怖心にあります。彼らにとってヴォルデモート卿ほどの強力な闇の魔法使いは想像を絶するほど恐ろしいものでしたので、心をかき乱し不快にさせる他のすべての事柄同様、心の奥に追いやりました。そして、「交通事故で死んだ」という物語を執拗に繰り返すことで、自分たちもそれが真実だと思い込もうとしていました。

    魔女と一緒に育ったにもかかわらず、ペチュニアは魔法についてなにひとつ知りません。それどころか、彼女とバーノンはどうにかしてハリーの魔法の力を消してしまえると思い込んでいるのです。ハリーの 11 歳の誕生日にホグワーツから手紙が届くと、追いかけてくる手紙から逃れるため、2 人は「魔女は水を渡れない」という古い迷信に頼ることにします。ペチュニアは、幼い頃からリリーが小川を飛び越えたり飛び石を渡ったりする姿をしょっちゅう見ていたはずなのに、ハグリッドが難なく嵐の海を越えて「岩の上の小屋」にやってくるのを見て、仰天するのでした。

  • 8二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:58:09

    06

    J.K. ローリングの言葉

    この作品に登場するキャラクターの多くは、名前をつける際にいくつもの候補を試しましたが、バーノンとペチュニアの名前は最初から決まっていました。「バーノン」は、単に私にとってあまり思い入れのない名前です。一方、「ペチュニア」は、幼いころ妹のダイアンと一緒に「ごっこ遊び」をしたときに、性格の悪い女性のキャラクターにいつもつけていた名前です。この名前の由来ははっきりしなかったのですが、最近、ある友人に当時テレビで流れていた公共広告を見せてもらったとき、ようやくわかりました(その友人は、そういう懐かしい映像を集めてノートパソコンで見るのが趣味なのです)。その公共広告のなかにアニメーションのものがあり、夫婦が崖の上でピクニックを楽しみながら、崖の下の海でおぼれる人を眺めている、という内容でした(「手を振り返すのではなく、救助員を呼びましょう」という皮肉の効いたテーマです)。その夫が妻を「ペチュニア」と呼ぶのを聞いて、私はふと、この広告から名前の発想を得たのかもしれないと思いました。とても珍しい名前ですし、そういう名前の女性に会ったことも、(私の知るかぎりは)本で読んだこともなかったからです。無意識というのはおもしろいものですね。ただ、そのアニメーションに出てくるペチュニアは太った明るい女性でしたので、私の心に残ったのは名前だけだったようです。

  • 9二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:58:45

    07

    名字の「ダーズリー」は、私の生まれ故郷からそう遠くない、グロスターシャー州にある町の名前から取りました。ダーズリーの町を訪れたことはありませんが、きっとすてきな人たちがたくさん住んでいることでしょう。実際の町のイメージというよりは、名前の響きがぴったりだと思って選びました。

    ダーズリー家は保守的で偏見に満ち、心が狭く、無知で頑迷です。私の嫌いな特質をほとんど備えています。私は最終巻でペチュニアおばさんがハリーに最後の別れを告げるときに、何か心優しいもの(長く忘れていてもかすかに燃え続ける姉への愛や、リリー譲りの目をもう見ることがないのではないかという思い)が、葛藤の末におばさんから出てきそうになるのを示したいと思いました。自分では受け入れられないもの、長く埋もれていた思いなどがもう少しであらわになるところを描きたかったのです。読者の中には、この別れの場面のペチュニアおばさんを物足りなく思った方々もいますが、私は今でも彼女のあの態度がそれまでの 7 巻における彼女の考えや思いに最も即していると考えています。

    バーノンおじさんに期待していた人はいなかったようなので、がっかりした人はいませんでした。

  • 10二次元好きの匿名さん21/11/11(木) 23:59:32

    【ゴースト・プロット(裏設定)】

    J.K. ローリングの言葉

    「ゴースト」といっても、怪談とは関係ありません。私が個人的に使っている表現です。

    『ハリー・ポッター』シリーズの構想を練り、7 巻の本(および『クィディッチ今昔』、『幻の動物とその生息地』、『吟遊詩人ビードルの物語』)を執筆した 17 年の間に、私は実際の物語には登場させなかった魔法界に関する情報を大量に創作しました。そういう詳細を把握しておくのが好きでしたし(私の想像力はそうした情報を次々と生み出してくれたので、好都合でした)、ちょっとしたエピソードが必要になったときも、背景設定を考えてあるので、いつでも用意ができていました。

    脇役や端役の登場人物にも、必要以上に詳細なストーリー設定を考えていました。ただ、重要なキャラクターについて用意した筋書きを大枠のストーリーのために削らなければならないこともあり、そういう場合は特につらかったです。このように、表で語られることのなかった裏設定のことを、私は「ゴースト・プロット」と呼んでいました。ゴースト・プロットのなかには、私にとって「最終版」と同じくらい現実味を帯びたものもあります。読者の方とお話しているとき、「ゴースト・プロット」の一部を話してしまい、相手がとまどった顔をされることがときどきありました。一瞬、ご自分がどこかで 20 ページぐらい読み飛ばしてしまったのではないかと思われたことでしょう。こんなふうに、図らずも驚かせてしまったかもしれない方々には、この場を借りておわびしたいと思います。問題の原因は、文字どおり、すべて私の頭の中にあるのです。

  • 11二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:00:09

    【衣服】01

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    魔法使いは一般的に、マグルの世界では紫色か緑色、あるいはそれを組み合わせた配色の服を着て、お互いを認識します。しかし、これは不文律にすぎず、守る義務はありません。魔法界のメンバーの多くはマグルの世界で出歩くとき、好きな色の服を着ることを好みます。ただし、特に夜などは、実用的な色として黒を着る魔法使いもいます。

    マグルと交流するとき、魔法使いと魔女はマグルの服装基準を取り入れ、できるだけ現代のファッションに合わせるようにします。衣服はそのときの気候や、地域や、その場の状況に適したものにしなくてはなりません。また、マグルの前ではひとりでに仕立てが直ったり、調節されたりする衣類を身につけてはいけないことになっています。

    こうした明確な規定があるにもかかわらず、国際機密保持法が施行されて以来、服装違反に関連する軽犯罪はあとを絶ちません。一般的に、若い世代はマグルの文化に精通しています。これは、子どものころは魔女や魔法使いもマグルの友達と自由に交流するためです。ですが、やがて魔法界で職に就くと、一般的なマグルの服装について情報を仕入れるのは難しくなります。年配の魔女や魔法使いほど、マグル社会のファッションの移り変わりの速さについていけないケースが、どうしても多くなります。このため、若いころに購入したサイケ柄のベルボトムのズボンを50 年後にマグルの葬儀で着用し、大勢のひんしゅくを買ってしまったりするのです。こうした魔法使いはウィゼンガモット法廷に引き出され、憤慨することになります。

    とはいえ、魔法省も常にそんなに厳しいわけではありません。ハリー・ポッターが死の呪いに打ち勝ち、ヴォルデモート卿が消えたという知らせが伝えられた日には、1 日だけ恩赦が認められました。魔法使いや魔女たちは喜びにわき、服装のことはすっかり忘れたのか、それとも、お祝いの印としてわざとそうしたのか、伝統的な衣装で街に繰り出しました。

  • 12二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:01:01

    02

    一方、魔法界には、機密保持法の服装に関する条項をわざと破る者もいます。フレッシュ・エア・リフレッシズ・トータリー(F・A・R・T)* と自称する過激派グループは、たびかさなる警告や罰金刑を受けているにもかかわらず、マグルのズボンは「魔力の流れを根底から食い止めてしまう」という理由で、公の場でもローブを着用することを主張しています**。また、わざとこっけいなマグルの衣装を着用する風変わりな魔法使いもいて、メキシコ風の帽子にサッカーシューズを履いて、フープスカートをはいたりすることもあります***。

    魔法使いの服装は、ドレスローブなどに多少の変更が加えられてきた程度で、ファッション性とは無縁です。一般的な魔法使いの服はシンプルなローブで、伝統的な三角帽をかぶることもあれば、無帽の場合もあります。洗礼式、結婚式、葬儀といったフォーマルな席では必ずこの装いで、女性のローブは丈が長い傾向にあります。魔法使いの服装に関しては、時代の流れが止まっているといえるかもしれません。彼らが身を隠すようになった 17 世紀から、スタイルは変わっていません。こうした古めかしい服装へのこだわりは、古い時代としきたりへの固執と受けとられるかもしれませんが、彼らがみずからの文化に対して抱くプライドの現れなのです。

    マグルを毛嫌いしている魔法使いも、ふだんはマグル風の服を着ています。そちらのほうが、ローブと比べて明らかに実用的だからです。反マグル主義の者たちは、きらびやかな服や、時代遅れの服装や、めかしこんだ装いでわざと人前に出て、しばしば自分たちの優位性を誇示しようとします。

    * 代表はアーチー・エイムスロウ。

    ** 現在まで、マグルたちからはカルト集団のメンバーだと思われてきたようです。

    *** 通常マグルたちは、学生が罰ゲームでやらされているものと受け取っています。

  • 13二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:02:55

    今日は遅いので一旦終了、明日残ってればまた。

  • 14二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 00:09:51

    GJ
    ペチュニアおばさんとかスネイプとか悪人の情というものがすごく上手い

  • 15二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 08:05:04

  • 16二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 18:31:54

    ほしゅ

  • 17121/11/12(金) 19:21:43

    2000からエルデンリングのネットワークテストがあるので早めの再開。

    【ドラコ・マルフォイ】01

    ドラコ・マルフォイはホグワーツの生徒。顔は青白くあごが尖っていて、明るい金髪に、冷たいグレーの目をしている。闇の魔術とつながりのある家系の出身で、ハリーたちをたびたび挑発する。

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    誕生日:
    6 月 5 日
    杖:
    サンザシと一角獣のたてがみ、25 センチ、弾力性がある
    ホグワーツの寮:
    スリザリン
    家系:
    魔女の母親、魔法使いの父親
    ドラコ・マルフォイは、ウィルトシャー州で何世紀にもわたってマルフォイ家が所有する立派なお屋敷、「マルフォイの館」のひとりっ子として育ちました。言葉を話せるようになって以降、ドラコははっきりと、自分が 3 つの意味で特別な存在であると知りました。1 つ目は魔法使いとして。2 つ目は純血として。3 つ目は、マルフォイ家の一員としてです。

    ドラコは、闇の帝王が魔法界の指揮をとることに失敗したという落胆の中で育てられました。とはいえ、そのような感情は家族や親しい友人など、内輪以外では表に出すべきではないと、注意深くしつけられていました。でなければ、「パパが面倒なことになって」しまうからです。子どものころは、おもに父親のかつての「死喰い人」仲間の子どもである純血の子たちと遊んでいました。ですから、ホグワーツに着いた初日にはすでに、セオドール・ノットやビンセント・クラッブらの小集団を引き連れていたのです。

  • 18121/11/12(金) 19:22:22

    02

    ハリー・ポッターと同年齢のほかの子どもたちと同じく、「生き残った男の子」の話は、ドラコも幼いころから聞いていました。ハリーが致死的な攻撃をどうやって生き延びたのかについては、長年多くの説がうわさされていましたが、最も根強くささやかれていたのは、ハリー自身が闇の魔法使いではないかという説です。彼が魔法界から隔離されていたという事実も、(虫のよい考え方をする人たちにとっては)この説を裏づけるように思われました。ドラコの父親の狡猾なルシウス・マルフォイも、この考えを強く支持していました。ポッター少年がさらに強大な力を持ったもうひとりの純血支持者なら、自分が世界を支配するチャンスがふたたびめぐってくるかもしれないと思えて、気分がよかったのです。そのため、ドラコとしては、ホグワーツ特急にハリーが同乗していると知って握手を求めたとき、自分が父親に反対されるようなことは何もしていないと分かっていましたし、むしろ、興味深い知らせを家に持ち帰れるかもしれないと期待してもいました。ですが、友達になろうという申し出を断られ、しかもマルフォイ家が毛嫌いしている家族の出身であるロン・ウィーズリーとハリーがすでに友達になっていることに気づいたドラコは、すぐさまハリーに敵対心を抱きます。ハリーが第二の、さらに強力なヴォルデモートであるという、かつての「死喰い人」たちのとっぴな期待はまったくの幻想でした。ドラコはこのとき、それに気づいたのです。この時点から、ドラコとハリーの間には敵意が根づきました。

    学校でドラコが見せる振る舞いの多くは、父親という、彼が知っている中で最も印象的な人物を手本にしたものでした。自分の身近な人間以外に対する態度は、ルシウスの冷淡で人を見下した態度を忠実に真似していたのです。学校へ向かう汽車の中でふたり目の子分を味方につけると(クラッブはホグワーツに入学する前から、すでに彼の子分でした)、体格的に恵まれていないマルフォイは、6 年にわたる学校生活のあいだずっとクラッブとゴイルを子分兼ボディガードとして利用したのでした。

  • 19121/11/12(金) 19:23:29

    03

    ドラコのハリーに対する感情の大部分は、嫉妬からくるものです。ハリーは名声を求めたことなど一度もないにもかかわらず、間違いなく、学校で一番うわさされ、称賛されている生徒です。それは当然ながら、魔法界で最高ともいえる地位にあると親に信じこまされてきた少年の気に障りました。そのうえハリーは、空を飛ぶことにおいても輝かしい才能を発揮します。空を飛ぶことにかけては、ドラコはほかの 1 年生全員に勝てる自信があったのです。魔法薬の先生のスネイプがドラコをかわいがり、ハリーを嫌っているという事実だけが、ドラコにとってせめてもの救いなのでした。

    ドラコはハリーを困らせよう、彼の評判を傷つけようという一心でさまざまな汚い手を使います。ハリーに関する嘘の情報を新聞記者に流したり、ハリーを侮辱するバッジをつくったり、背後からハリーに呪いをかけようとしたり、吸魂鬼の格好をしたり(ハリーは吸魂鬼に対して特別弱いところがありました)と、あらゆる手段を講じます。しかし、マルフォイ自身もハリーの手によって、主にクィデッチの試合で屈辱を与えられました。また、「闇の魔術に対する防衛術」の先生に跳ね上がるイタチに変身させられた恥は一生マルフォイの心に残りました。

    闇の帝王の復活を目撃したハリー・ポッターのことを、多くの人は彼が嘘をついているか夢を見たかのどちらかだと思っていましたが、ドラコ・マルフォイはハリーが本当のことを言っていると知っている数少ないひとりでした。彼の父親は、腕に刻まれた闇の印が熱くなるのを感じていましたし、闇の帝王のもとに結集し、墓場でハリーとヴォルデモートの決闘を目撃していたのです。

  • 20121/11/12(金) 19:24:02

    04

    こうした出来事についてマルフォイの館で行われた話し合いは、ドラコ・マルフォイの心に複雑な感情を芽生えさせました。彼の心は、ヴォルデモートが復活し、父親が一族の全盛期だと語っていた時代が再びやってきたこという秘密を知り、ワクワクしていまいた。しかし同時に、ハリーがいったいどうやって彼を殺そうとする闇の帝王から再び逃れられたのかが議論されるのを目の当たりにして、さらなる怒りと嫉妬に苛まれていたのです。死喰い人はハリーを自分たちの障害として、また象徴として憎み、敵として真剣に対処を講じられる存在でした。一方ドラコは、彼の両親の家に集結した死喰い人たちから、まだ学校に通う子供だと見なされる始末。戦いの敵方とはいえ、ドラコはハリーの地位を羨ましく思っていたのです。彼はヴォルデモートの勝利を夢想し、さらには彼の家族が新体制のもとに栄光を手にし、自分自身もヴォルデモートの腹心の息子としてホグワーツで尊敬されるところを想像することで、自分自身を励ましていたのでした。

    5 年生になると、ドラコの学校生活は好転します。家で聞いたことをホグワーツで話すことは禁止されていたものの、彼はいくつかの小さな勝利に恵まれていました。というのも、彼は監督生でしたし(ハリーのほうはそうではありませんでした)、「闇の魔術に対する防衛術」の新しい教授であるドローレス・アンブリッジ先生が自分と同じくらいハリーを嫌っているように見えたからです。マルフォイは、ドローレス・アンブリッジの尋問官親衛隊の一員となり、ハリーやほかの生徒たちがひそかにダンブルドア軍団を結成し魔法の練習をしているあいだに、彼らが企んでいることを自ら進んで見つけようとしていました。ところが、ハリーと彼の仲間たちを追い詰め、ハリーがアンブリッジによって学校から追放されるのも確実に見えたそのとき、ハリーはマルフォイの手からするりと逃れてしまいます。さらに悪いことには、ハリーは彼を殺そうとするドラコの父親、ルシウス・マルフォイの企みも阻止し、ルシウスは捕まり、アズカバンに送られたのでした。

  • 21121/11/12(金) 19:24:48

    05

    これによってドラコの世界はバラバラに崩れ去りました。これまでにないほどの権威と栄光をつかんでいると信じていたマルフォイ親子でしたが、ルシウスは自宅から遠く離れた、吸魂鬼が監視する恐ろしい魔法使いの刑務所に収監されてしまいました。ルシウスはドラコにとって、生まれてからずっと模範にしてきたヒーローのような人でした。しかし今やドラコと彼の母親は、死喰い人のあいだでのけ者にされていました。ルシウスは出来損ないの烙印を押され、怒れるヴォルデモート卿の信用を完全になくしてしまったのです。

    このときまで、ドラコの生活は世間から隔離され、守られていました。それまでの彼は恵まれたお坊ちゃんで、彼の心を悩ますものはほとんどなく、世間での地位は確立され、頭の中は取るに足りないささいな心配事でいっぱいでした。ですが、父親がいなくなり、母親が取り乱して怯えるようになった今、男としての責任を負わざるを得なくなったのです。

    さらに悪いことが起きようとしていました。ヴォルデモートが、ハリーを捕らえることに失敗したルシウス・マルフォイにさらなる罰を与えようと、達成することが不可能に近く、死をもって償うしかなさそうな任務をドラコに命じたのです。ドラコが就いた任務は、アルバス・ダンブルドアを殺すというものでした。手段については、ヴォルデモートは言及していません。ドラコは自分ひとりの考えで行動することになったのです。母親のナルシッサは、同情心の欠片も持たず、失敗は断じて許さないヴォルデモートによって、息子が失敗するように仕向けられていることを理解したのでした。

  • 22121/11/12(金) 19:25:34

    06

    ドラコは父親に対して急に冷たくなったように見えた世間に怒りを募らせ、死喰い人になることを決意し、ヴォルデモートの命令であるダンブルドア殺害を実行することに同意します。この段階では、ドラコは復讐心に燃えており、また、ヴォルデモートの父親に対する信頼をどうしても取り戻したい一心だったため、自分が命じられたことの意味をほとんど理解していませんでした。彼にわかっていたのは、刑務所に入っている父親が憎んでいるものすべての象徴がダンブルドアである、ということだけでした。ヴォルデモートを敵対視する人々の中心にいつもいるホグワーツの校長がいなくなったほうが世界はよりよい場所になるはずだと、ドラコはいとも簡単に自分自身を納得させるようになったのです。

    自分が本物の死喰い人になったという考えにとらわれたドラコは、強い目的意識を持ってホグワーツに出発しました。しかし、しだいに自分の仕事が思っていたよりもはるかにむずかしいことに気づきはじめます。ダンブルドアの代わりに危うく別のふたりを殺しそうになると、ドラコの決意は揺らぎはじめました。自分の家族と自分自身に危害が加わることを恐れる気持ちが心から離れず、彼はプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。自分自身についての認識、そして世界の中の自分の居場所が、徐々に崩壊してきていたのです。生まれてからずっと、暴力を支持し、暴力をふるうことをためらわない父親を崇拝してきたドラコですが、今では自分の中に殺人に対する嫌悪感があることに気づき、それを恥ずべき汚点と感じるようになっていました。それでも、昔から身にしみついている教えから自分を解き放つことができず、ドラコはセブルス・スネイプの援助を何度も拒否します。スネイプが自分の「手柄」を横取りしようとすることを恐れて。

  • 23121/11/12(金) 19:26:29

    07

    ヴォルデモートとスネイプはドラコの能力を過小評価していました。ドラコは閉心術(人の心を読もうとする試みを撃退する魔法)を巧みに使いこなせたのです。この閉心術は、彼が引き受けていた任務には不可欠の魔法でした。ダンブルドアの命を奪う試みに 2 度失敗すると、ドラコは死喰い人の集団をホグワーツに引き入れる巧妙な計画を立て、成功します。その結果、ダンブルドアは(ドラコ自身の手によってではありませんが)実際に殺されることになったのでした。

    杖を失って丸腰になったダンブルドアを目の前にしても、ドラコはどどめの一撃を加えることができませんでした。なぜなら、知らず知らずのうちに、自分に対するダンブルドアの優しさと情けに胸を打たれていたからです。結局、そのあとをスネイプが引き継ぎ、ドラコの代わりに任務を果たしました。スネイプはヴォルデモートに、自分が天文台の塔の上に到着する前にはもう、ドラコが杖を下げていたということを伏せました。死喰い人を学校に導き入れ、ダンブルドアを追い詰め、彼を殺すことができたのはドラコの手柄だと強調したのです。

    ほどなくしてルシウスがアズカバンから釈放されると、マルフォイ一家は無事にマルフォイの館に戻ることを許されました。しかし、彼らの信用は今や地に落ちていました。かつてはヴォルデモートの新体制のもとに最高の地位を手に入れるという夢を抱いていたマルフォイ一家は、今では死喰い人の中で最低のランクに位置づけられていました。彼らは、弱虫の出来損ないと見なされていたのです。そんな彼らに対して、ヴォルデモートは冷たく蔑んだ態度を取るようになりました。

  • 24121/11/12(金) 19:27:19

    08

    ドラコの性格は変わりましたが、その心は葛藤をはらんでいました。ドラコの変化は、ヴォルデモートと彼を阻止しようとする人々のあいだで戦闘が繰り広げられる中で表れます。ドラコは家族のかつての地位を取り戻すという希望を捨ててはいませんでしたが、不都合なタイミングで彼に芽生えた善意が、ヴォルデモートからハリーを救おうとする行動を取らせたのでした。ハリーが捕らえられ、マルフォイの館に連れてこられたときのことです。おそらくこれは本心からの行動ではなかったのでしょうが、彼ができるだけのことをやったのは間違いありません。しかし、ホグワーツでの最後の戦いでは、マルフォイはまたもやハリーを捕まえ、両親の評判を回復し、家族の命を救おうとします。実際にドラコがハリーを引き渡す気になれたのかどうかは疑問が残るところです。ですが、おそらくダンブルドアを殺そうとしたときと同様、他人に死をもたらすことは、想像よりはるかにむずかしいということに気づいたのではないでしょうか。

    ヴォルデモートがホグワーツを包囲した際、ドラコはハリーとロンに命を救われます。その戦いのあと、彼の父親は仲間の死喰い人たちにとって不利な証拠を提供し、姿をくらましていたヴォルデモート卿の手下の多くを捕獲できるよう手を貸すことで、投獄を免れます。

  • 25二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 19:27:21

    クラッブの方がドラコと旧知なんだよね

  • 26121/11/12(金) 19:27:54

    09

    十代後半に起きた出来事は、ドラコの人生を変えることになりました。子供の頃からずっと抱いてきた彼の信念に、ことごとく反論が向けられたのです。彼は恐怖と絶望を経験し、両親が忠誠心によって苦しむのを目にし、家族が信じてきたすべてのものが崩壊するのを目の当たりにしました。その一方で、ダンブルドアのような、憎む対象だと教え込まれたり、自ら思い込むようになった人が、彼に救いの手を差し伸べ、優しさを見せてくれたのです。ハリー・ポッターにいたっては、彼の命を救ってくれました。2 度目の魔法使いたちの戦いのあと、ルシウスは息子がこれまでどおり自分に深い愛情を抱いていながらも、自分と同じ純血の血筋を引き継ぐことを拒んでいることにも気づくのでした。

    ドラコはスリザリンの同級生の妹と結婚しました。妻のアストリア・グリーングラスも、ドラコほどの暴力と恐怖は味わわなかったものの、彼と同じく純血主義の理想からより寛容な人生観へと心変わりした経験を持っており、ナルシッサとルシウスは、この嫁を義理の娘としては少し残念な相手だと感じていました。彼らは「聖 28 一族」の娘がいいと強く望んでいましたが、アストリアは、マグルはくずだという信念のもとに彼らの孫息子のスコーピウスを育てることを拒否しました。そのため、家族の集まりはしばしば緊張をはらんだものになりました。

  • 27121/11/12(金) 19:28:32

    10

    J.K. ローリングの言葉

    シリーズが始まった当初、ドラコはあらゆる面において典型的ないじめっ子でした。純血の両親から、自分たちの血が優れているというゆるぎない信念を受け継いだ彼は当初、ハリーに友達になろうと声をかけます。このとき、自分の申し出が断られるなどとはつゆほども思っていませんでした。彼の家庭の裕福さはウィーズリー家の貧しさとは対照的です。このことも、ドラコにとっては自信の源になっています。ウィーズリー家の血筋も、彼とまったく同じ純血なのですが。

    みなさんも、ドラコのような人物に覚えがあるのではないでしょうか。誰もが彼に似た人を知っているはずです。自分のほうが優れているという、ドラコのような人の信念は、その人と会う状況によって、こちらにとってはときにひどく腹立たしくもあり、おかしくもあり、恐ろしくもあります。ドラコは折に触れて、ハリーとロンとハーマイオニーからそうした感情のすべてを引き出しています。

    私のイギリスの編集者は、ドラコが閉心術をいとも巧みに使いこなせることに疑問を抱いていました。ハリーのほうは、非常に若くして守護霊を出現させることができたにもかかわらず、この術を習得できませんでした。私は、閉心術はドラコの性格にぴったり合っていると説明しました。ドラコにとって、心を閉ざし、自分の感情を細分化し、自分自身の本質的な部分を否定するのはたやすかったことでしょう。『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の最後で、ダンブルドアはハリーに、痛みを感じることができるのは人間の重要な要素だと言っています。私はドラコを通じて、苦痛を否定し、心の葛藤を抑圧しても、傷ついた人間(そして、より他人を傷つけがちな人間)にしかなれないということを伝えようとしていたのです。

  • 28121/11/12(金) 19:29:06

    11

    ドラコは自分が一年近くのあいだニワトコの杖の真の所有者になっていたことに気づいていませんでしたが、結果的にはその方がよかったのです。もし気づいていれば、開心術の達人である闇の帝王もそのことに気づいて、直ちにドラコを殺していたでしょうし、ドラコ自身も、潜在意識ではどうであれ、崇拝するように教えられてきたすべての誘惑――暴力と権力に依然として取り憑かれていたからです。

    私はダドリーのことを気の毒だと思うのと同じく、ドラコをかわいそうに思います。マルフォイ家やダーズリー家で育つのは、子供にとって過酷な経験になるでしょう。ドラコは両親の誤った教育方針の直接の結果として、大変な試練に直面します。しかし、マルフォイ家には救いもあります。マルフォイ家の人々は互いを愛しているのです。ドラコは自分自身の身に起こることと同じくらい両親の身に起こることを案じて行動に出ますし、ナルシッサも『ハリー・ポッターと死の秘宝』の最後で、ヴォルデモートにハリーは死んだと嘘をつきますが、このとき彼女は決死の覚悟で息子に会いに行こうとしていたのです。

    そうしたこともあって、ドラコは 7 部作の中でずっと道徳観のあいまいな人物として描きました。私はこれまで、ドラコという架空の人物に恋をする女の子の多さに狼狽していると何度か話したことがあります(といっても、映画でドラコ役を見事に演じてくれたトム・フェルトンの魅力は否定しません。皮肉なことに、トムは最高にいい人なのです)。ドラコはアンチヒーローが持つ暗くて妖しい魅力のすべてを備えていますし、女の子はこうした人に対してロマンティックな考えを抱くものです。私は熱心な読者の夢に冷酷な現実を突きつけ、ドラコの人を馬鹿にしたような態度と偏見の下には優しい心が隠されているわけではない、彼とハリーは最終的に親友になったりはしないと伝える、嫌な立場に立たざるをえませんでした。

  • 29121/11/12(金) 19:29:39

    12

    私はドラコが成長して父親とはまた違った生活を送っているのではないかと想像します。自由に使えるお金があって、働く必要のない彼は、妻と息子とともにマルフォイの館に住んでいます。彼の趣味は、彼の性格の二面性を一層裏づけるものだと思います。闇の魔術の品々を収集していることは、それらをガラスケースにしまい込み実際に使うことはないとはいえ、彼の一族の歴史を思い起こさせます。しかし、錬金術の書物に妙に興味を持ちながらも、賢者の石をつくろうとしないことから、彼が富以外の何かを望み、おそらくはよりよい人間になりたいと願っていることがうかがえます。私は、ドラコがスコーピウスを自分の若い頃よりも優しく寛容な人間に育てるだろうと期待しています。

    ドラコの名字は、「マルフォイ」に決まる前にたくさんの候補がありました。初期の原稿では、「スマート」、「スピンクス」、「スパンゲン」といった名字でした。洗礼名は、星座の「りゅう座(Draco)」から取ったものです(とはいえ、彼の杖の芯は一角獣(Unicorn)のたてがみですが)。

    これはあることを象徴しています。不健全な空想を再燃させることを覚悟で言いますが、結局、ドラコにも善良な心が少し残っているのです。

  • 30121/11/12(金) 19:30:52

    【オリバンダー】01

    オリバンダーは有名な杖職人で、ダイアゴン横丁で「オリバンダーの店――紀元前 382 年創業 高級杖メーカー」という杖の店を経営しています。オリバンダーの店は、杖を買うには一番の店だと広く評判です。

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    誕生日:
    9 月 25 日
    杖:
    クマシデとドラゴンの心臓の琴線、32 センチ、わずかに曲がる
    ホグワーツの寮:
    レイブンクロー
    特殊能力:
    杖作りに関するずば抜けた知識
    家系:
    魔法使いの父親、マグルの母親
    家族:
    既婚、息子 1 人、娘 1 人(故人)
    趣味:
    なし。仕事こそが生きがい。
    オリバンダー家は代々、杖作りという謎めいた職業に携わってきました。オリバンダーという名前は「オリーブの杖を持つ者」の意といわれ、このことから、オリバンダー老人の先祖はもともと地中海の国からイギリスに渡ってきたことがうかがえます(オリーブの木はイギリス原産ではありません)。オリバンダー老人自身は、最初にイギリスにやってきた自分の先祖たちについて、ローマ人とともに到着し、露店(ゆくゆくは商店)を開店し、当時雑な仕上げで性能の低い杖を使っていた魔法使いたちを相手に、イギリスで杖を売りはじめたのだと考えています。

    オリバンダーはほぼ間違いなく世界一優秀な杖職人で、多くの外国人が自国で売られている杖よりもオリバンダーの杖を求めて、ロンドンにやってきます。家業を手伝って育ったオリバンダーは、幼いころから杖作りの才能を発揮しました。それまで使われていた杖の芯と木の材質を改良しようという野心を抱き、若いころから理想の杖を追求することにひたむきで、その決意は偏執的とさえいえるほどでした。

  • 31121/11/12(金) 19:31:18

    02

    オリバンダーが家業を引き継ぐ前は、魔法使いたちは実にさまざまなものを杖の芯に用いていました。自分が愛着を感じるもの、親から受け継いだもの、フラー・デラクールの杖の芯のように、一族が誓いを立てたものなど、芯に用いる魔力を持った素材は、客のほうが杖職人に渡していたのです。ですがオリバンダーは、お気に入りのニーズルのひげだの、父親を毒から救ったハナハッカの茎だの、スコットランドでの休暇中に出会ったケルピーのたてがみだのといったものを単に客が好む木材と合わせただけでは、最高の杖は作れないと固く純粋に信じていました。彼の考える最高の杖は、きわめて強力な魔力を持つものを芯に用い、その芯に合わせて選んだ木材の中にていねいに収めてその性質を補い、最後に、杖自身が最も親しみを感じる持ち主を選んでこそ、実現されるというものでした。当初はこの革命的な杖の製造法に誰もが大いに抵抗を示しましたが、オリバンダーの杖がそれまでの杖とは比べものにならないほど優れていることは、すぐに明らかになりました。木材と芯の材料を見つけ、その 2 つを融合させ、最後に理想の持ち主と引き合わせる手法は企業秘密として厳重に守られており、同業者たちの垂涎の的となっています。

  • 32121/11/12(金) 19:32:19

    【杖用の木材】

    魔女と魔法使いが使う杖は、さまざまな材質の木と、魔力を持つ芯でできています。

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    魔法の杖に使われる、さまざまな木材の持つ力と特性をご紹介しましょう。この内容は、世界一の杖作りとして広く知られるギャリック・オリバンダー氏が、長年のキャリアを通して書きためてきたものです。お読みになればわかるとおり、オリバンダー老人は、杖用木材には人間なみの認知能力や「好み」に近い感覚があると考えています。

    オリバンダー老人による杖用木材についての説明

    杖にはひとつとして同じものはない。杖がどんな性質を持つかは、素材を提供する木と魔法生物の種類で決まってくる。さらに、どの杖も理想的な持ち主を見つけた瞬間から、その人間に教え、またその人間から学び始める。それゆえ、この先に記すことは、あくまで杖に適した木材各種についての一般的な所見であり、個々の杖について説明したものではないことに留意されたい。

    杖品質の木材を生み出せる木は、ほんの一握りにとどまる。これは、魔法を使える人間が一握りなのと同じである。長年の経験がなければ、力を秘めた木を見分けることはできない。しかし、木の葉にボウトラックルが住んでいれば、杖品質の木だと容易にわかる。ボウトラックルは、並の木には住まないからである。以下に述べる杖用木材についての説明は、あくまで足がかり程度のものと考えるべきである。木材の研究は生涯続くものであり、私はこれからも、みずからが作り、持ち主と組み合わせる杖の一つひとつから学び続ける所存だ。

  • 33121/11/12(金) 19:32:54

    アカシア

    極めて珍しい杖用木材である。アカシア材で作った杖は扱いが難しい。多くの場合、持ち主以外の者が使っても魔法が発揮されず、また極めて優れた魔法使いでなければ最大の力を引き出すことができない。こうした繊細な性質から、使う者を選ぶ杖である。このため我が店でも、十分な繊細さを備えた魔女や魔法使い向けに、少数の在庫しか置いていない。アカシアは、いわゆる「派手な音や煙だけ」の魔法には向かないのである。ひとたびふさわしい持ち主が見つかると、どんな相手とでも優れた力を発揮するが、上記のような特殊な性質のせいで過小評価されることも多い。

    ハンノキ

    ハンノキは硬くて曲がりにくい木材だが、理想的な持ち主は頭の固い頑固な人間ではなく、思いやりのある感じの良いタイプが多いようだ。通常、杖用木材の多くは、みずからと同じ性質を持つパートナーを求める。ハンノキのように、正反対とはいわないまでも、まったく違ったタイプの持ち主を望む例は珍しい。ハンノキの杖は、ふさわしい持ち主にとっては、忠実で力強い味方になる。数ある杖の種類のなかでも、ハンノキは無言呪文の魔法に向いており、それゆえ高度な能力を持つ魔女や魔法使いにしか使いこなせないといわれる。

    リンゴ

    リンゴの木の杖は、作られる数が少ない。強力な杖で、高い志と理想を持つ者に向いているが、これはリンゴ材が闇の魔術とそりが合わないためである。リンゴの木の杖を持つ者は、人に愛され、長生きするといわれている。私が気づいたところでは、リンゴの木の杖と相性がぴったりの客は、人としての魅力にあふれていることが多いようだ。また、他の魔法生物の言語を操って会話する珍しい能力を有する者は、リンゴの木の杖の持ち主に多い。『水中人 ― その言語と習慣の完全ガイド』の著者、ディラン・マーウッドもそのひとりである。

  • 34121/11/12(金) 19:33:53

    トネリコ
    トネリコの杖は、真の持ち主のみに忠実である。元の持ち主が誰かにゆずったり贈ったりすると、杖は力を失う。この傾向は、芯に一角獣の素材を使った場合、さらに強くなる。杖に関する古い迷信のほとんどは、詳しく調べればうそだとわかるものだ。しかし、ナナカマド、クリ、トネリコ、ハシバミについての古い詩(「ナナカマドはうわさ好き、クリはしゃべり好き、トネリコは頑固で、ハシバミは文句たれ」)には、わずかながら真実が含まれている。トネリコの杖にふさわしい魔女や魔法使いは、私の経験上、ゆるぎない信念と決意を持つタイプである。とはいえ、自信過剰で図に乗った魔女や魔法使い(往々にして、この高名な杖を試したがる)がトネリコの杖を使っても、その効果に失望することになる。この杖の理想的な持ち主は、たとえ頑固でも強い精神を持つ者で、うぬぼれた浅はかな考えは決して持たぬ者である。

    ヤマナラシ
    杖品質のヤマナラシ材は、きめの細かい白木である。象牙に似た上品さと、呪文の効力が飛び抜けてよいことで、あらゆる杖作りに高く評価されている。ヤマナラシの杖にふさわしい持ち主は、魔法使いの決闘に熟練した者や、そうなることを運命づけられた者が多い。というのも、ヤマナラシの杖は、特に戦闘系の魔術に適した杖のひとつだからである。18 世紀に悪名をはせた秘密決闘クラブ「銀の槍」は、ヤマナラシの杖の持ち主のみ入会を認めたという。私の経験上、ヤマナラシの杖の持ち主は往々にして確固たる意志の強さを持っており、未知の世界の探求や新たな秩序に魅力を感じるタイプが大半である。つまり、革命家向きの杖と言えよう。

    ブナノキ
    ブナノキの杖にふさわしい持ち主は、若者であれば実際の年齢を超えるレベルの知恵を持ち合わせた人物、一人前の大人であれば深い洞察力のある経験豊かな人物である。視野が狭く、おおらかさに欠ける者が使うと、弱い効果しか発揮しない。にもかかわらず、この杖にふさわしくない魔女や魔法使いが、ブナノキの評価の高さや色の深み、価値に引かれて、手に入れることもある。そうした者は、我が店のような知識豊かな杖メーカーをしばしば訪れ、いい杖なのになぜ効果が発揮されないのかと訴えるものだ。ふさわしい者が持てば、この杖は他の木材ではまず見られないほどの繊細で芸術的な魔法を放つことができる。それゆえに輝かしい評価を受けているのである。

  • 35121/11/12(金) 19:34:21

    リンボク

    リンボクは杖用木材としては極めて珍しく、戦士に最も向いていると評される。これについては、私から見ても当然の評価だ。ただし、だからといって持ち主が闇の魔術の使い手だとはかぎらない(むろん、闇の魔法使いがリンボクの杖の強大な力の恩恵を受けることは否めないが)。リンボクの杖の持ち主は、「闇祓い」やアズカバンの住人たちに多く見られる。危険なトゲを持つリンボクの茂みが、極寒の冬を耐え抜いて甘露な実をつけるのは、興味深い特徴である。この木を用いた杖も、持ち主と共に危険や苦難を乗り越えた末に、初めて真の絆を築くようだ。こうした条件はあれど、ひとたび持ち主と絆を結んだリンボクの杖は、この上なく忠実なしもべとなってくれる。

    黒クルミ

    普通のクルミ材より珍しい黒クルミ材の杖は、洞察力が鋭く、直感の働く持ち主を求める。黒クルミは大変見事な杖だが、誰にでも使いこなせるわけではない。というのも、この杖には奇妙なクセがあり、使う者の心に迷いがあると、魔法の効果に影響が出るためである。持ち主がなんらかの形で自分をだましていようものなら、杖の力は激減する。持ち主の魔女や魔法使いが自分あるいは他人に対して正直になれない(または、なる気がない)場合、黒クルミの杖はたいてい本来の力を発揮できなくなる。そうなると、もはや持ち主を変えないかぎり、力を回復できない。とはいえ、おのれをよく知る誠実な持ち主とめぐりあえば、黒クルミはどんな杖より優れた忠実な杖となり、いかなる種類の呪文を使っても、特に高い効果を発揮する。

    スギ

    スギの杖の持ち主は必ず、気骨と並々ならぬ忠誠心を備えている。父のジェルベーズ・オリバンダーはいつも、「スギの杖を持つ者に、まやかしは決して通用しない」と言っていた。これには私も異存はない。スギの杖に最適な持ち主は、洞察力と認知力を備えた者だからだ。しかし、私は父よりもさらに極端な意見を持つ。私はこれまで、スギの杖の持ち主に逆らおうと思ったことは一度たりともない。特に、彼らの愛する者に危害を加えるなどもってのほかである。スギの杖にふさわしい魔女や魔法使いは、敵に回すと恐ろしい相手になりうる。彼らに軽率な勝負を挑む者は、しばしば驚くことになる。

  • 36121/11/12(金) 19:35:08

    サクラ

    非常に珍しいサクラの杖は、不思議な力を生み出す。日本にある魔法学校の生徒たちの間で特に高く評価されており、同校ではサクラの杖を持つ者は特別視される。西洋の魔女や魔法使いは、「ピンクの花をつける木の杖など、役に立たないか、ただの飾り用だろう」という考えを一切捨てるべきである。サクラ材からは、どんな芯材を用いても、死をもたらすほど強力な力を宿す杖ができることが多い。ただし、ドラゴンの心臓の琴線と組み合わせた杖は、並外れた自制心と精神力を持つ者にしか扱えない。

    クリ

    いくつもの側面を持つ、極めて興味深い木材である。この木で作った杖の性質は、使う芯の種類によって大きく左右されるうえ、持ち主の性格にも染まりやすい。クリの杖が引かれる魔女や魔法使いは、魔法動物の優れた調教者、才能あふれる薬草学者、または生まれつきの飛行の名手である。ただし、ドラゴンの心臓の琴線を芯に使った場合、物欲が強くぜいたくを過度に好み、欲しいものは分別なく手に入れようとする者と相性がよくなる。反対に、ウィゼンガモット最高裁の長は、歴代 3 人ともクリと一角獣の杖を使っている。この組み合わせの杖は、司法関係者を好む傾向にあるためだ。

    イトスギ

    イトスギの杖は、高貴な精神を持つ者と結びつく。中世の偉大な杖作り、ジェレイント・オリバンダーの残した書物によると、イトスギの杖の持ち主探しは、彼にとって名誉ある仕事だったという。なぜなら、この杖の持ち主は、英雄として死すべき運命の魔女や魔法使いだとわかっていたからだ。幸い、昔ほど血なまぐさい争いのない現代では、イトスギの杖の持ち主が命を捨てるべき状況はめったにない。しかし、必要とあらば、彼らの多くは迷うことなくそうするであろう。イトスギの杖が魂の伴侶に選ぶのは、勇ましく大胆で、自己犠牲の精神を持つ者である。彼らは自身の心の闇と、他者の心の闇とに向き合うことを恐れない。

  • 37121/11/12(金) 19:35:33

    ハナミズキ

    私が個人的に一番好きな木材である。この杖の理想的な持ち主を探すのは、いつも楽しい仕事だ。ハナミズキの杖は、気まぐれでいたずら好きである。遊び心のある杖で、刺激や楽しみを与えてくれる相棒を求める。だからといって、必要なときに本格的な魔法が使えないと思うのは大間違いだ。ハナミズキの杖は、困難な状況において実に優れた魔法を発することで知られている。また、頭の回転が速く独創性に優れた魔女や魔法使いが使うと、まばゆいばかりの魔法を生み出す。この杖のおもしろい欠点は、無言呪文を拒否することと、魔法を使うときにやたらと大きな音を立てることだ。

    黒檀

    この真っ黒な杖用木材は、見た目が印象的で評価も高く、あらゆる戦闘系の魔法および変身術に最適である。黒檀の杖の持ち主として最適なのは、あるがままの自分でいることを恐れない者である。この杖の持ち主には、体制にくみさず、自立心が強いか「はみだし者」の立場を好む者が多い。このため、「不死鳥の騎士団」のメンバーと「死喰い人」の双方によく見られる。私の経験上、黒檀の杖と最も相性がいいのは、外部からどんな圧力がかかろうとみずからの信念を貫き、たやすく決意をくつがえさない者である。

    ニワトコ

    あらゆる杖用木材の中で最も希少で、不幸を招くと伝えられるニワトコの杖は、どんな杖よりも使いこなすのが難しい。強力な魔力を宿しているが、自分の持ち主が共にいる仲間より劣っていると感じれば、持ち主に見切りをつける。このため、抜きんでた力を持つ魔法使いでなければ、ニワトコの杖を長く所有することはできない。「ニワトコの杖、栄えたためしなし」という古い迷信は、この杖への恐怖心から生まれたものだが、実のところ根拠はない。愚かな杖作りがニワトコの杖を作りたがらないのは、この木材を扱うことを恐れているというより、むしろ商品として売れないことを心配しているだけだ。この杖と相性がいいのは、極めて並外れた人間だけである。しかし、もしそのようなたぐいまれな人間がニワトコの杖を持てば、その者は必ずや特別な宿命を背負うことになるだろう。また、長年にわたる杖の研究により、もうひとつわかったことがある。ニワトコの杖の持ち主は、必ずといっていいほどナナカマドの杖に選ばれた者に強い親近感を覚えるようだ。

  • 38121/11/12(金) 19:36:09

    ニレ

    ニレの杖で魔法をかけられるのは純血の魔法使いのみと信じられているが、この説には根拠がない。みずからの血統を証明したい持ち主が広めた風説と考えて間違いないだろう。というのも、ニレの杖と相性のいいマグル生まれの魔法使いを、私は何人も見てきたからだ。実のところ、ニレの杖が好む持ち主は、魔術を器用に操る能力を持ち、存在感と生まれつきの品性を備えた者である。私の経験上、ニレの杖はいかなる杖と比べても事故やばかげたミスが少なく、最も優雅な魔法を生み出す。ふさわしい者が手にすれば極めて高度な魔法を使える、洗練された杖である(だからこそ、純血主義の信奉者が何を置いても欲しがるのだ)。

    ヨーロッパナラ

    この杖を持つにふさわしい魔法使いにとっては、良いときも悪いときも忠実な友となる。ヨーロッパナラの杖が相棒に求めるのは、強さと勇気と忠誠心である。あまり知られていないが、この杖の持ち主は直感が鋭く、自然界の魔力と結びつきを持つことも多い。このため、魔法に使う手段として、また純粋な楽しみとして、動植物と密接な関係を築くこともしばしばである。冬至から夏至までの間、ナラの木は「森の王」と呼ばれ、ナラ材を採集できるのはこの期間だけである(再び日が短くなりはじめると柊が「王」になるため、柊は年の後半にしか採集すべきではない。このように「王」になる期間が分かれていることから、「男の杖がナラで、女の杖が柊なら、結婚するは愚かなり」という古い迷信が生まれたものと信じられている。ただし、私の調べたかぎり根拠はない)。また、偉大な魔法使いマーリンの杖はヨーロッパナラだったといわれている(ただし彼の墓は見つかっていないため、証明はできない)。

    モミ

    威厳ある我が祖父、ガーボルド・オクタビウス・オリバンダーは、いつもモミの木の杖を「生き残りし者の杖」と呼んでいた。というのは、祖父がモミの杖を売った魔法使い 3 人が、その後そろって命の危機に見舞われながらも無事に生き抜いたからだ。モミの木は、回復力が極めて高い。その木材で作った杖が、耐久力と強い決意を持った者を真の持ち主に選ぶのはもっともである。気まぐれで決断力のない者が使うと、おそまつな道具にしかならない。なお、モミの杖は「変身術」に特に適している。また、ひとつのことに集中する強い意志を持ち、場合によっては威圧的な態度も辞さない持ち主を好む。

  • 39121/11/12(金) 19:37:02

    サンザシ

    グレゴロビッチの著述によると、サンザシ材は「奇妙で矛盾に満ちた杖を生み出す。杖の親となる木も同じように矛盾をはらんでおり、葉や花は人を癒す力を持つが、切り枝は死の香りを放つ」とされる。グレゴロビッチが導き出した結論には賛同しかねる部分も多いが、サンザシの杖に関しては同感である。この杖には複雑で好奇心をそそる性質があり、杖に適した持ち主もまた同じである。サンザシの杖は回復系の魔法に特に適していながら、同時に呪いの名手でもある。私の見たところ、多くの場合、サンザシの杖が最も好むのは、みずからの内に相反する性質を持つ者か、混乱のさなかにある魔女や魔法使いのようだ。とはいえ、サンザシの杖を使いこなすのは難しいため、私は才能を認められた者にしかゆずらないようにしている。さもなくば、危険を招く恐れがあるからだ。また、サンザシの杖にはひねくれた性質があり、扱いを誤ると呪文が自分に返ってくることがある。

    ハシバミ

    ハシバミの杖は繊細で、持ち主の心の状態を反映することが多い。このため、持ち主には自分の感情を理解し、制御できる者がふさわしい。持ち主が最近かんしゃくを起こしたり、深い失望を味わったりした場合、杖の扱いには注意せねばならない。ハシバミの杖はそうしたエネルギーを吸収し、予期せぬ形で放出するからである。とはいえ、ハシバミの杖の長所は、こうしたささいな問題を補ってあまりある。熟達した技術を持つ者が使えば、たぐいまれなる魔法をかけることができる。また、この杖は持ち主に忠実なあまり、持ち主が死を迎えると「しおれて」しまうほどである(杖が一切の魔力を放出し、魔法の実行を拒むようになる。以降もその杖を使うには、芯を抜き出して別の杖に入れ替えなければならない。ただし、芯が一角獣のたてがみの場合、杖はほぼ確実に「死んでしまう」ため、もはや望みはない)。なお、ハシバミの杖には地下水を探し当てるという固有の能力もある。地下に隠れた泉や井戸の上を通ると、杖は銀色をした涙型の煙を吐き出す。

  • 40121/11/12(金) 19:37:22



    杖用木材としては珍しい部類に入る。柊の杖は古くから持ち主を守る杖と考えられており、怒りや衝動を抑えられない者と最も相性がよく、そうした持ち主を手助けする。同時に、危険な冒険(精神的な意味であることが多い)のさなかにある者を持ち主として選ぶことも多い。柊は、組み合わせる芯の種類によって魔法の効き目が最も劇的に変わる木材のひとつである。特に不死鳥の羽根とは組み合わせるのが困難なことがよく知られているが、これは、柊の移ろいやすい性質が、不死鳥の超然とした性質と奇妙に反発し合うためである。ただし、柊と不死鳥の羽根の杖が理想的な持ち主に出会うという奇跡のような出来事が起きれば、その持ち主の行く手をはばむものは一切存在しないだろう。

    クマシデ

    私自身の杖もクマシデ製である。それゆえ控えめに言わせてもらうが、クマシデの杖が生涯の友に選ぶのは、1 つのことに純粋な情熱を注ぐ、才能ある魔女や魔法使いである。人によってはその情熱を「執着」と呼ぶのかもしれないが(私は「展望」という呼びかたを好む)、それはほぼ確実に実現される。クマシデの杖は、どの杖と比較しても、持ち主の魔法のスタイルに適応するのが最も早い。あっという間に「持ち主専用」の杖になるため、他の者が使うのは極めて難しく、単純な呪文でさえかけるのに苦労する。同様に、クマシデの杖は持ち主の主義主張を吸収するため、それがどんな考えであろうとも、持ち主の信条と一致しない行為は(よかれ悪かれ)拒否する。細やかな調整のきいた、鋭い感覚を持つ杖である。

    カラマツ

    丈夫で暖かい色みのカラマツは、魅力と強さを兼ねそなえた杖用木材として、長きにわたり珍重されている。使用者に勇気と自信を注ぎ込むといわれており、それゆえ常に需要が供給を上回る。しかし、誰もが求める杖ではあるものの、理想の持ち主の条件は厳しく、多くの者が想像するよりもはるかに扱いづらい杖である。カラマツ材からは、隠れた能力や思いもよらない効果を秘めた杖ができるが、この特徴は、理想的な持ち主にも当てはまる。カラマツの杖に選ばれる魔女や魔法使いは、この杖と組むまではみずからのありあまる能力を十分に発揮できていないことが多い。しかし、この杖を手にして以降は、計り知れない力が引き出されるのである。

  • 41121/11/12(金) 19:37:49

    月桂樹

    月桂樹の杖で卑劣な魔法は使えないといわれるが、栄誉を追求する目的で(この杖にふさわしい人間にとっては、決して珍しい目標ではない)、この杖から強力な魔法や、場合によっては命を奪うような魔法が放たれた例を私は知っている。月桂樹の杖は気まぐれだといわれることもあるが、この評価は妥当ではない。月桂樹の杖は所有者の怠け心を許さず、そのような気配を感じるや、みずから進んで他の魔法使いに勝ち取られるのである。そういった状況でないかぎり、最初の持ち主から決して離れることはなく、別の者が杖を盗もうとすると、自発的に落雷を起こすという優れた特性を持っている。

    カエデ

    カエデの杖が選ぶ持ち主には、生来の旅人や冒険者が多い。この杖はおとなしく家にいるタイプではなく、持ち主に野心を求める。条件に合わない持ち主の元では、杖の魔力は鈍くなり、活気もなくなる。新たな試練を与え、常に目先の景色を変えてやると、文字どおり輝きを放つようになる。また、持ち主と共に成長しながら能力を磨き、地位を高めていく。カエデ材は美しさゆえに人気が高く、杖品質のものは何世紀にもわたり、最も高価な木材に名を連ねている。カエデの杖は「成功者の杖」と評され、古くから、所有できるのは高い地位の証しとされてきた。

    ナシ

    黄金色の木材で、華々しい魔力を宿す杖ができる。思いやりがあり、おおらかで賢明な持ち主の手に渡ると、ナシの杖は最高の力を発揮する。通常ナシの杖の持ち主は、私の経験上、人望が厚く、広く尊敬を集める人物である。闇の魔女や魔法使いが持ち主になった例には、一度たりともお目にかかったことがない。ナシの杖は特に回復力に優れており、長年にわたって酷使しても、いつまでも新品のように見事な外観を保ち続けることが多い。

  • 42121/11/12(金) 19:38:17

    マツ

    木目がまっすぐなマツの杖は、必ず自立した個性の強い人物を持ち主に選ぶ。こうした人物は、一匹おおかみと思われたり、好奇の目で見られたり、謎めいているという印象を持たれたりすることもある。マツの杖は独創的な使いかたを喜ぶため、一部の杖とは違い、新しい手法や呪文に抵抗なく適応する。多くの杖作りが主張するところによると、マツの杖は長生きする者と相性がよく、そうした人物を見つけ出す能力があるとされる。たしかに私自身、マツの杖の持ち主で若くして死んだ者を知らない。また、マツの杖は無言呪文に極めて敏感である。

    ポプラ

    「完全なものを求めるなら、まずポプラを探せ」とは、祖父のガーボルド・オリバンダーが残した格言だ。私自身も経験上、ポプラの杖とその持ち主についての意見は、祖父とまったく同じである。高い信頼性、一貫性、強さ、そして安定した能力を誇るポプラの杖は、明確な道徳観念を持つ持ち主を求める。「ポプラの杖は決して政治家を選ばない」とは、腕の悪い杖作りたちの使い古された冗談だが、彼らがなげかわしいほどに無知であることの表れでもある。最も成功した 2 人の魔法大臣、エルドリッヒ・ディゴリーとエバンジェリン・オーピントンは、オリバンダーの手による最高級のポプラの杖を所有していた。

    レッドオーク

    「レッドオークの杖は、持ち主の気が短い証拠」などと、無知な者が言うのをよく耳にするだろう。実際のところは、レッドオークの杖が求める理想の持ち主は、並外れて反応が速い者である。ゆえに、レッドオークは決闘にうってつけな杖といえる。ヨーロッパナラほど一般的ではないが、レッドオークの杖の所有者として理想的なのは、軽妙で頭の回転が速く、順応力に富んだ人物である。みずからのトレードマークとなる独自の呪文をつくり出す者も多く、男であれ女であれ、戦いの際に頼れるタイプである。レッドオークの杖は、あらゆる杖と比較して最も均整が取れているというのが、私の意見である。

  • 43121/11/12(金) 19:39:06

    セコイア

    杖品質のセコイアは供給が不足気味だが、一定の需要がある。持ち主に幸運を招くといわれているためだが、杖に関する伝承ではよくあるように、一般大衆は事実を逆にとらえている。セコイアの杖が幸運をもたらすのではなく、この杖はもともと運の強い魔女や魔法使いに強く引きつけられるのである。この杖に選ばれる者は、苦境を逃れる運の強さや、正しい選択をする判断力、破滅的な状況をくつがえす力を備えている。そうした幸運の持ち主とセコイアの杖の組み合わせには、私も常に好奇心をかき立てられる。この特別な杖を理想の持ち主と引き合わせて我が店から送り出すとき、いずれ彼らの胸躍るような活躍ぶりが風のうわさで流れてくるだろうと期待されるからだ。

    ナナカマド

    いかなる杖と比較してもとりわけ高い防衛力を持つといわれるナナカマドは、実に人気のある杖用木材である。私の経験上、あらゆる防御魔法をかける際、この杖を使うと特に強力で破られにくくなる。一般的に、過去にも現在もナナカマドの杖を所有する闇の魔法使いはいないとされている。たしかに、私が作ったナナカマドの杖が世に悪事をなした例は、一度たりとも覚えがない。ナナカマドの杖の理想の持ち主は、頭がよく心優しい人物だが、こうした善良な評判にごまかされてはならない。ナナカマドの杖は他の杖に匹敵するどころかそれに勝ることも多く、決闘では相手を上回る力を発揮することもしばしばである。

  • 44121/11/12(金) 19:39:48

    ギンヨウボダイジュ

    希少かつ魅力的な杖用木材で、19 世紀に大流行した。需要が供給を上回ったため、恥を知らぬ杖作りどもは低品質の木材をギンヨウボダイジュの色に染め、客に本物だと信じ込ませて売りつけていたほどである。そこまでの人気を博した理由は、見た目が飛び抜けて魅力的であることに加え、占い師や開心術に熟練した者が使うと最高の力を発揮するといわれていたためである。いずれも神秘の術であるため、ギンヨウボダイジュの杖の所有者は高い地位にあると見なされた。杖の需要が絶頂に達したとき、杖作りのアルトゥーロ・セファロポスは、ある訴えを主張した。ギンヨウボダイジュの杖と予知能力に関連があるとする説は、ガーボルド・オリバンダー(私の祖父)などの商人が、仕入れすぎたギンヨウボダイジュ材の在庫を売り払いたいために広めたデタラメだ、というのである。しかし、セファロポスはずさんな仕事をする無知な男であったため、彼が廃業したときは、占い師でなくとも驚く者はいなかった。

    トウヒ

    技術のない杖作りは、トウヒは難しい木材だと言う。しかし、彼らはそうやってみずからの未熟さを暴露してしまっている。たしかに、トウヒ材を扱うにはある程度の熟練が必要である。トウヒの杖は、警戒心の強い者や神経質な者とは相性が悪く、不器用な者が扱うと間違いなく危険である。この杖は、どんな魔法を発するべきか、みずからの意志で判断しがちなようだ。このため、使用する者には厳然とした態度が求められる。しかし、相性が最適の持ち主に出会うと(私の経験上、ユーモアのセンスがあり、大胆に魔法を操る人物がいいようだ)、杖は強い忠誠心で持ち主を大いに助け、鮮やかで派手な魔法の効果を生み出す。

  • 45121/11/12(金) 19:40:32

    シカモア

    シカモア材からは、冒険好きな杖ができる。いつも新たな経験を求め、刺激のない仕事をさせると輝きを失う。この見事な杖にはやっかいなクセがあり、退屈させるといきなり燃え出してしまう。ゆえに、中年になって落ち着いてきた魔女や魔法使いの多くは、信頼する杖にいつものように「スリッパを取ってこい」と命令したとたん、杖が手の中で燃え上がり、動揺することになる。シカモアの杖の理想的な持ち主についてはおそらく察しがつくと思うが、好奇心旺盛で生命力にあふれる、冒険好きな人物が最適である。そのような持ち主と組み合わせれば、シカモアの杖は持ち主から学び、適応し始める。そして、世界で最も称賛を受ける杖用木材の名に恥じない能力を発揮するのである。

    ブドウ

    ドルイド僧たちは、木質の茎を持つものはすべて木と考えていた。ブドウの木からは特殊な性質を持った杖ができ、私は喜んでその古来の伝統を受け継いできた。ブドウの杖は一般的ではないが、興味深いことに、この杖の持ち主はみな大いなる目的を追求する魔女や魔法使いである。彼らには凡人には計り知れない先見の明があり、彼らについて理解し尽くしていると思っていた者たちを驚かせることもしばしばである。ブドウの杖は、一見しただけではわからない深みのある人格を持つ人物に強く引かれるようである。また、他の杖と比較して、持ち主になるべき人物を即座に探し当てる傾向にある。信頼できる筋からの情報によると、ブドウの杖は、理想的な持ち主が同じ部屋に入っただけで魔法の効果を発するという。我が店でも、そういった現象は 2 度確認されている。

  • 46121/11/12(金) 19:41:16

    クルミ

    知性の高い魔女や魔法使いには、まず試しにクルミの杖を渡してみるべきだろう。10 回中 9 回は、理想のパートナー同士だと判明する。魔法の革新者や発明者が所有者となる例も多い。この見事な木材は、ずば抜けて多様な用途に向いており、適応力も高いためである。ただし、注意も必要である。一部の木材は、持ち主が主導権を持って扱うのが難しく、木材の性質と合わない呪文をかけようとすると抵抗する。ところがクルミの杖は、いったん服従したら最後、持ち主が望むことはいかなることでも成しとげてしまう(使用者が十分に頭脳明せきであればの話だが)。このため、クルミの杖は良心のない者の手に渡ると恐るべき武器になってしまう。杖と魔法使いが悪影響を与え合うという、非常に不健全な関係が築かれてしまうからだ。

    ヤナギ

    ヤナギは癒しの力を持つ珍しい杖用木材である。私が気づいたところによると、ヤナギの理想的な持ち主は、どれだけ隠そうとしても、どこか不安定な部分がある者が多い(たいてい本人は認めないが)。杖の見事な外見と、高度な無言呪文をかけられるという定評に引かれ、自信にあふれる客がヤナギの杖を試したいと主張することもよくある。しかし私が作るヤナギの杖は、もはや学ぶことはあまりないと感じている者よりも、むしろ大いなる可能性を秘めている者をいつも選ぶ。「最も遠い道を歩む者は、ヤナギと共に最も速く進む」とは、オリバンダー家に伝わる格言である。

  • 47121/11/12(金) 19:41:42

    イチイ

    イチイの杖は珍しい部類に入る。理想的な持ち主もまた、たぐいまれなる力を持つ者で、悪名高い人物の場合もある。イチイの杖は所有者に生死に関わる力を授けるとされている。むろん、それはどんな種類の杖にもいえるわけだが、イチイの杖は特に決闘や呪いの分野において、恐るべき不穏な評判を博す。とはいえ、イチイの杖を使う者が闇の魔術に引かれやすいという説は、真実ではない(杖に関する伝承ついて不勉強な者は、よくそう言うものだが)。イチイの杖に最適な魔女や魔法使いは、その強大な力で他者を守ることもあるからだ。イチイという極めて長寿の樹木から切り出した杖は、しばしば英雄、あるいは悪人に所有されてきた。イチイの杖と共に魔法使いを埋葬すると、通常地中の杖が芽吹いて木となり、死んだ持ち主の墓を守る。私の経験上、はっきりと言えるのは、イチイの杖は決して平凡な人物や取るに足りない人物を持ち主に選ばないということである。

  • 48121/11/12(金) 19:42:29

    【杖の長さと柔軟性】

    「オリバンダーの店 - 紀元前 382 年創業高級杖メーカー」には、長さも柔軟性もさまざまな杖がそろっています。

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    杖の長さと柔軟性に関する以下の記述は、杖作りギャリック・オリバンダー氏のノートから抜粋したものです。

    多くの杖作りは、杖の長さを単に魔女や魔法使いの体格に合わせて見立てようとするが、これは洗練を欠く手法であり、その他の重要な要素を多数無視する結果となる。長い杖は背の高い魔法使いに適しているかもしれないが、私の経験では、そういった杖はおおらかな性格の人物に引かれ、雄大で劇的なスタイルの魔法の使い手を好む傾向にある。一方、こぢんまりとした杖は、優雅で洗練された呪文のスタイルを好む。とはいえ、杖の構造はどれひとつとして他のあらゆる要素と切り離して考えるべきではなく、木材、芯材、および柔軟性で、杖の長さによる特性を補ったり、強化したりできる。

    大半の杖は、長さ 23 センチから 36 センチの間に収まる。20 センチ以下のごく短い杖や、38 センチを超えるかなり長い杖を売ったこともあるが、こういったケースは極めてまれである。後者の例では身体的な特徴から極端に長い杖が必要だったのだが、異常に短い杖は通常、体格が小柄な者ではなく、性格的に何か欠けているところがある持ち主を選ぶ(多くの小柄な魔女や魔法使いは、長めの杖に選ばれている)。

    杖の柔軟性、あるいは硬さは、杖と持ち主の組み合わせがもたらす、変化に対する順応性や積極性の度合いを示す。しかし、くり返しになるが、この要素も杖の木材、芯材、長さ、または杖の持ち主の人生経験や魔法のスタイルといった要素から切り離して考えるべきではない。こうした要素がすべて組み合わさって、その杖に唯一無二の特性が備わるのである。

  • 49121/11/12(金) 19:43:05

    【杖の芯】

    杖には必ず芯があり、魔力を帯びた物質が使われます。オリバンダーの店で売っている杖には、不死鳥の尾の羽根、一角獣のたてがみ、またはドラゴンの心臓の琴線が芯に使われています。

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    以下の記述は、ギャリック・オリバンダー氏が杖の芯に使用する主な 3 つの材料について、その効果と特徴を記したものです。いずれも同氏のノートから抜粋しました。

    私がまだ見習いだったころ、やはり杖作りだった父は、ケルピーのたてがみのような質の悪い芯材に苦労させられていた。それを見て私は、自分はいずれ最高の芯材を見つけ、家業を継ぐころにはそうした芯材だけを使って仕事をしたいという野望を抱いた。そして、その望みは叶った。膨大な実験と調査の結果、私はある 3 つの素材だけが、老舗オリバンダーで売るにふさわしい杖を生み出せると結論づけた。その素材とは、一角獣のたてがみ、ドラゴンの心臓の琴線、そして不死鳥の尾の羽根である。これらの高価で希少な素材には、それぞれに固有の特徴がある。以下に、上記 3 つの「最高級芯材」に関する我が研究成果を簡単に記す。ただ、杖というのは、木材、芯材、それに持ち主の経験や気質が混じり合って初めて用をなすものであり、各要素の傾向は他の要素を補うこともあれば、他の要素に立ち勝りもする。したがって、以下に述べるのは極めて複雑なテーマを、あくまでおおまかに概観したものに過ぎないということに留意されたい。

  • 50121/11/12(金) 19:43:22

    一角獣

    一角獣のたてがみは概して最も一貫性の高い魔力を生み出し、揺さぶりや妨害を受けにくい。また、一角獣のたてがみを芯に用いた杖はおおむね、闇の魔術に最も感化されにくい。あらゆる杖のなかで最も忠実で、最初の持ち主が熟練の魔女や魔法使いであるかどうかにかかわらず、その者との結びつきを強く保ち続ける。

    一角獣のたてがみの些細な欠点としては、強度の点で劣るという点と(木材で補うことは可能)、取り扱いを極度に誤るとふさぎ込みがちで、たてがみが「死ぬ」こともあり、そうなると芯の交換が必要になるという点である。

    ドラゴン

    一般に、ドラゴンの心臓の琴線を用いると、最も強力な杖になる。ドラゴンの杖は特に華々しい呪文をかけることができ、他の杖よりも学習が速い傾向にある。最初の持ち主から勝ち取られた場合、新たな持ち主に忠誠を示すようになるが、そのときどきの持ち主に対しては常に強い結びつきを保つ。

    ドラゴンの杖は、闇の魔術に最も感化されやすい。とはいえ、自発的にそうなることはない。また、いくぶん気まぐれなところがあるため、3 つの芯材のうち一番事故を起こしやすい。

    不死鳥

    不死鳥の尾の羽根は最も希少な芯材である。使える魔法の幅広さは随一ながら、一角獣やドラゴンの芯材と比べて、その本領を発揮するまでに時間がかかる。3 つの芯材のなかでは最も自発性が高く、自分の判断で勝手な振る舞いにおよぶこともある。こうした性質は、多くの魔女や魔法使いに敬遠される。

    不死鳥の羽根を芯材に使った杖は、決まって持ち主に対する選り好みが激しい。素材の提供元である不死鳥自体が、この世で最も独立心が高く、超然とした生き物であるためだ。不死鳥の杖は、手なずけるのも、自分好みに調整するのもとりわけ難しく、通常、忠誠を得るのも容易ではない。

  • 51121/11/12(金) 19:44:33

    【9 3/4 番線】

    9 と 3/4 番線は、生徒たちがホグワーツ特急に乗り降りするプラットホームです。ホグワーツ特急は紅色の蒸気機関車で、生徒たちを学校まで運んだり、ロンドンに送り届けたりします。9 番線と 10 番線の間にある、一見ごく普通の頑丈そうな柵に向かってまっすぐ歩くと、柵を通り抜けて 9 と 3/4 番線に入ることができます。

    J.K. ローリングの言葉

    魔法使いや魔女の卵たちを全寮制の学校に運ぶ隠しプラットホームを何番線にするか決めたとき、マグルのホームとホームの間に挟まれたものにする必要があると考えました。ですから、おのずと番号は分数になったのです。そうすると、キングズ・クロス駅のホームとホームの間には、分数のホームがあといくつ存在するのかという興味深い疑問がわいてきます。私は、おそらくかなりたくさん存在するだろうと結論づけました。物語には登場しませんが、オリエント急行のような列車でヨーロッパ大陸にある魔法使いだけの村へ行けたり(7 と 1/2 番線から発車)、セレスティナ・ワーベックのコンサートのような 1 回限りの大きなイベントの際などには、必要に応じて他の分数のホームも使用可能になるかもしれません(詳しくはコンサートのチケットをご覧ください)。

    「9 と 3/4」というのはなんとなく思いついた数字ですが、私はとても気に入り、すぐに採用しました。「3/4」の部分が肝なのは言うまでもありません。

  • 52121/11/12(金) 19:45:07

    【キングズ・クロス駅】01
    ホグワーツ特急は、ロンドンのキングズ・クロス駅を出発し、生徒たちをホグワーツ魔法魔術学校まで連れていく列車。生徒たちはプラットホーム 9 番と 10 番の間にある柵を通り抜け、9 と 3/4 番線のプラットホームに入る。

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    オッタリン・ギャンボルがマグルの汽車を拝借し、ホグワーツの生徒のための新しい交通手段としたとき、彼女は汽車とセットで、魔法使いの村のホグズミードに小さな駅も建設しました。しかし、ロンドンのど真ん中にもうひとつ魔法界の駅を建設することについて、魔法省は強い懸念を示しました。いくらマグルたちがかたくなに魔法に気づかない傾向にあるとはいえ、目の前であからさまに起きたことにはさすがに気づくと思われたからです。

    (マグルによって)新しく建設されたキングズ・クロス駅に、魔法使いと魔女しか入れない隠れたプラットホームを造るという解決策を思いついたのは、1849 年から 1855 年まで大臣を務めたエバンゲリン・オーピントンです。これはおおむねうまくいきましたが、その後何年かにわたって小規模な問題も発生しました。噛みつく呪文の本がぎっしり詰まったスーツケースを落としてしまったり、ピカピカに磨かれた駅の床にイモリの脾臓をぶちまけてしまったり、柵を通り抜けて姿を消す際、いささか大きな音を立てすぎてしまったりする魔法使いや魔女がいたのです。そのため、通常ホグワーツの学期の始まりと終わりには、魔法省の私服職員が複数待機し、マグルたちの不都合な記憶の修正に当たっています。

  • 53121/11/12(金) 19:45:27

    02

    J.K. ローリングの言葉

    キングズ・クロス駅はロンドンの主要な駅のひとつですが、私にとっては特別な意味を持つ場所でもあります。私の両親は、キングズ・クロス駅から出発したスコットランド行きの列車で出会ったのです。それに加えて、駅の名前自体も象徴的で、想像力をかきたてます。また、この駅は実際にスコットランドに向かう列車が出発する駅でもあるため、ハリーをホグワーツに連れていく出発地点と交通手段を決める際、少しも迷いはありませんでした。

    キングズ・クロス駅は、ローマ帝国に対する反乱を率いた古代イギリスの女王、ブーディカの最後の戦いの場所、あるいは、彼女の墓があった場所に建てられたと聞いています(この話の起源はかなり曖昧で、はっきりしませんが…)。言い伝えによれば、ブーディカの墓はプラットホーム 8 番から 10 番までの間のどこかにあったそうです。魔法界のプラットホームに番号をつけたとき、私はそのことを知りませんでした。キングズ・クロス駅の名前は国王ジョージ 4 世の記念碑に由来していますが、この碑は今は取り壊されています。

    現在、キングズ・クロス駅の壁からは本物の手荷物用カートが半分飛び出していて、私はそこを通るたびに、誇らしい気分で笑顔になります。

  • 54121/11/12(金) 19:46:03

    【ヒキガエル】
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    ホグワーツの生徒たちが飼うのを許されている 3 種類の鳥獣のなかで、断トツで人気がないのがヒキガエルです。この傾向は、昔から変わりません。何世紀も前、今よりもなにかと残酷だった時代、魔女や魔法使いの卵たちは、魔法薬の材料に使うイモリの目玉なども自分でくり抜くのが普通でした。このため、魔法薬や妖精の魔法に使うために、生徒たちがヒキガエルを何匹も箱に入れて学校に持参するのも当たり前だったのです。やがて時代が変わり、魔法省が動物虐待を禁止する法律を導入すると(第 13 款から 29 款までが、魔法薬の材料とその製造にかかわる規定です)、そうした習慣は段階的に禁止されていきました。ヒキガエル自体あまり魅力的ではないため、学校の敷地内を飛び跳ねたり泳いだりしている野性種を除き、ホグワーツで生きた姿を見かけることは次第に少なくなりました。

    ハリーがホグワーツに入学するころには、ヒキガエルをペットに飼うのはおしゃれなことでも自慢すべきことでもなく、むしろ恥ずかしいことになっていました。現に、ネビルが飼っていたヒキガエルのトレバーは、すぐに行方をくらます以外にこれといった取り柄もありません。トレバーがまた逃げ出し、とうとうホグワーツの湖に住む兄弟たちの仲間に加わったときには、トレバー自身も飼い主も、ある意味ほっとしたのでした。

    J.K. ローリングの言葉

    ヒキガエルは魔法とのかかわりが古く、しばしば「使い魔」だとされてきました。昔から伝わる民間療法では特に重宝され、とりわけイボの治療には(おそらく毒をもって毒を制する式の発想に基づいて)、有効とされています。中世暗黒時代のイギリスでは、自然死を遂げることができたヒキガエルは幸運でした。彼らは生きながら茹でられたり、粉にされたり、皮をはがれたり、袋に詰められて病人の喉に巻かれたりする危険に絶えずおびやかされていたからです。

  • 55121/11/12(金) 19:46:47

    【ホグワーツ特急】01


    ホグワーツ特急は、ホグワーツの生徒を乗せて学校とマグルの世界を往復する紅色の蒸気機関車です。毎年、新学期が始まる 9 月 1 日の午前 11 時、キングズ・クロス駅の 9 と 3/4 番線から発車します。

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    建学間もないころの記録や初期の版画からわかるように、かつてホグワーツの生徒たちは思い思いの方法で学校にやってきました。箒にまたがってくる者もいれば(トランクやペットを抱えてとなれば、これは離れ業です)、荷車(のちには馬車)に魔法をかけて乗ってくる者もいましたし、「姿現し」の術を試みる者もいました(ただし、これはたいてい悲惨な結果に終わりました。なぜなら、城と敷地は今も昔も「姿現し」術に対抗する魔法で常に守られているからです)。また、なかにはさまざまな魔法生物に乗ってやってくる生徒もいました。

    こうした多様な魔法の移動手段には事故が付きものでしたし、ましてや、年に一度、魔法使いが大挙して空を飛び北を目指す光景がマグルに目撃されるのは、はなはだ不都合なことでした。それでも、1692 年に国際機密保持法が施行されるまでは、子どもたちを学校に送り届けるのは親の責任だったのです。しかし、同法の制定により、数百名にのぼる魔法使いの子どもたちをイギリス全土からスコットランド高地にある秘密の学校に移動させる、より目立ちにくい手段を考案することが、魔法界の緊急課題となりました。

    そこで、まずイギリス各所に「移動キー」が設置されました。ところが、この移動手段には導入当初からトラブルが絶えませんでした。所定の時間に遅れたり、学校への移動キーになっている、呪文をかけられた目立たない品物を見つけられなかったりして、毎年最大で全校生徒の 3 分の 1 が学校に到着できなかったのです。また、当時に限ったことではありませんが、「移動キー酔い」にかかる子どもたちも多く、毎年、新学期が始まって数日間は、ヒステリーの発作や吐き気に苦しむデリケートな生徒たちで病棟が満杯になることもしばしばでした。

  • 56121/11/12(金) 19:47:24

    02

    生徒をどうやって移動させるかという問題の解決策として、「移動キー」が理想的でないことは認めつつ、魔法省はそれに代わる無難な手段を見つけることができませんでした。かといって、昔のような自由放任主義に戻るというのは論外でした。より確実に学校に到着できる方法としては、1 つの暖炉を指定し、煙突飛行粉による移動の出口として正式に使用することを許可するという策もありましたが、城の警備が破られるのを危ぶむ歴代の校長による強い抵抗があり、実現しませんでした。

    やがて、このやっかいな問題に対する大胆な解決策がついに登場します。魔法大臣オッタリン・ギャンボルが提唱したもので、その案に対する賛否は分かれました。かねてマグルの発明に大きな関心を寄せていたギャンボルは、汽車というものに可能性を見出したのです。ホグワーツ特急が正確にはどこから来たのか、いまだはっきりしていませんが、イギリスで合計 167 回に及ぶ「忘却術」と過去最大級の「隠蔽の呪文」が実行されたことを示す詳細な極秘記録が、魔法省に存在することは事実です。こうした「犯罪」が行われた翌朝、紅色に輝く蒸気機関車と客車がホグズミードの村人たちを驚かせました(村人たちは自分の村に駅ができたことも知りませんでした)。いっぽう、機関車工場の街として知られるクルーでは、狐につままれたような気分のマグルの鉄道員たちが、大事なものをどこかに置き忘れたような不愉快感に悶々としながら、その年の残りの日々を過ごすはめになったのです。

    ホグワーツ特急は魔法で若干の改造を施されたうえで、魔法省からの認可を得ました。純血の魔法使いの家庭の多くは、自分たちの子どもをマグルの輸送機関に乗せるなどとんでもないと怒りました。汽車などは安全性に欠けるだけでなく、不衛生で汚らわしいものだというのです。けれども、汽車に乗らない者は登校する資格なしとの達しが魔法省から出されると、こうした抗議はぴたりと止みました。

  • 57121/11/12(金) 19:48:16

    【組み分け困難者】

    組分けに 5 分以上かかった新入生を指して、ホグワーツで古くから使われてきた言葉です。組分け帽子が考える時間としては、5 分というのはずいぶん長く、おそらく 50 年に 1 回程度しか起こらないめずらしい現象です。

    ハリー・ポッターと同学年の生徒のうち、ハーマイオニー・グレンジャーとネビル・ロングボトムが、もう少しで組分け困難者になるところでした。ハーマイオニーをレイブンクローに入れるかグリフィンドールに入れるかで、組分け帽子は 4 分近く悩みます。ネビルの場合、組分け帽子は彼をグリフィンドールに入れると決めていましたが、ネビルはグリフィンドールが勇敢さで知られる寮だという評判におじけつき、ハッフルパフに入ることを望みます。しかし、両者の静かな争いは結局、組分け帽子の勝ちで決着がついたのです。

    ハリー・ポッターが実際に会ったことのある組分け困難者は、ミネルバ・マクゴナガルとピーター・ペティグリューの 2 人だけです。マクゴナガル先生の組分けのとき、帽子はレイブンクローかグリフィンドールかで悩みつづけ、5 分半も結論が出ませんでした。ペティグリューのときは、さんざんスリザリンと迷った揚げ句、結局はグリフィンドールに組分けしました。ひどく頑固なことで知られる組分け帽子は、ペティグリューの組分けが間違いだった可能性を、いまだに認めていません。帽子の主張によれば、ペティグリューの最期がその証拠だというのですが…

  • 58121/11/12(金) 19:49:01

    【組み分け帽子】01

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    名高い「組分け帽子」の来歴は、新学年の始まりに歌われる一連の歌で説明されています。伝説によると、この帽子はもともと 4 人の創設者たちの 1 人、ゴドリック・グリフィンドールのものでした。それに 4 人の創設者が共同で魔法をかけることで、自分たちの名を冠した 4 つの学寮に生徒たちを振り分ける能力を授けたといわれます。生徒たちは 4 人の創設者各人の好みに基づき、いずれかの寮に振り分けられます。

    魔法をかけられた品物のなかでも、組分け帽子ほど賢いものには、魔女や魔法使いといえどもそうそうお目にかかることはないでしょう。この帽子は 4 人の創設者の知性を文字どおり宿していて、つばの近くにある破れ目から言葉を発することができます。また、開心術に長けており、帽子をかぶった者の頭の中を覗き込んでその能力や気分を見抜くことができます。さらに、帽子をかぶった者が考えていることに反応することさえできるのです。

    組分け帽子は生徒の振り分けで間違いを犯しても、頑としてそれを認めようとしないことで有名です。スリザリン生が利他的で無私無欲の行動を取ろうと、レイブンクロー生が試験に軒並み落第しようと、ハッフルパフ生が怠け者でも学才に恵まれていると判明しようと、グリフィンドール生が臆病さを露呈しようと、組分け帽子はかたくなに自分の判断を覆しません。もっとも、全体的に見れば、組分けの役割を担って以来何世紀もの間、帽子の判断が間違っていたことは驚くほど少ないのです。

  • 59121/11/12(金) 19:49:27

    02

    J.K. ローリングの言葉

    組分け帽子は、ホグワーツに関する初期の構想には登場していませんでした。まったく性質の異なる 4 つの学寮を置くことは早い段階で決めていたので、生徒を振り分ける方法をあれこれ考えました。最初のアイデアは凝っていて、やたらと精巧な機械装置がありとあらゆる魔法を駆使して決定を下すというものでしたが、これは気に入りませんでした。複雑すぎるわりには、安易すぎるように思ったからです。そこで、玄関ホールに 4 人の創設者の像を置くことを考えました。像が動きだし、全校生徒が見守るなか、ホールに集まった新入生たちを振り分けていくのです。最初の案よりはましでしたが、それでもまだいまいちでした。そこでとうとう、思いつくかぎりの組分け方法を紙に書き出してみました。「どれにしようかな」で選ぶ、くじ引きで選ぶ、チームのキャプテンに選ばせる、名前の書かれた紙を帽子から取り出す…しゃべる帽子から取り出す…帽子をかぶる…こうして生まれたのが、組分け帽子というわけです。

  • 60121/11/12(金) 19:50:25

    【マクゴナガル先生】01

    ミネルバ・マクゴナガルは、ホグワーツ魔法魔術学校の副校長です。グリフィンドールの寮監で、「変身術」の先生でもあります。背が高く、いつも黒い髪をひっつめて小さな髷にしている、厳格そうな魔女で、マクゴナガル先生に逆らおうとする者はほとんどいません。問題が起きるとすぐに気づく、厳しい先生だからです。自由にトラ猫に変身することもでき、猫の姿のときは、目の周りにメガネのような模様が入っています。

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    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    誕生日:
    10 月 4 日
    杖:
    モミとドラゴンの心臓の琴線、24 センチ、しなりにくい
    ホグワーツの寮:
    グリフィンドール
    特殊能力:
    動物もどき (独特の模様を持つ銀毛のトラ猫)
    家系:
    マグルの父親、魔女の母親
    家族:
    夫: エルフィンストーン・ウルクァート(故人)、子供なし
    趣味:
    刺繍、「変身現代」の記事の訂正、クィディッチの観戦、モントローズ・マグパイズの応援
    子ども時代

    ホグワーツで教育を受けた魔女のミネルバ・マクゴナガルは、スコットランド長老教会の牧師夫妻に生まれた最初の子で、唯一の娘でした。20 世紀前半、スコットランドのハイランド地方で育ったミネルバは、ほんの少しずつですが、自分の能力や両親の結婚生活にどこか普通とは違うところがあると気づきはじめます。

    父親のロバート・マクゴナガル牧師は、同じ村に住む活発な娘、イソベル・ロスに夢中でした。ロバートは他の村人たちと同じように、イソベルがイングランドにある全寮制の名門女子校に入っているものと思っていました。しかし実際には、イソベルは一度に何ヵ月も家を空けていたとき、ホグワーツ魔法魔術学校にいたのです。

    イソベルの両親は魔女と魔法使いだったので、真面目なマグルの青年との交際には眉をひそめるに決まっています。このためイソベルは、ロバートと急接近したときも両親に隠し続けました。18 歳になるころには、イソベルはロバートと恋に落ちていました。しかし残念ながら、イソベルには自分の正体をロバートに告げる勇気がありませんでした。

  • 61121/11/12(金) 19:50:50

    02

    お互いの両親に猛反対され、ふたりは駆け落ちします。家族から孤立し、自分を愛する夫とハネムーンに出かけたイソベルでしたが、最高の幸せを台なしにしたくない一心で、ホグワーツの「妖精の呪文」の授業を首席で卒業したことも、クィディッチのチームでキャプテンを務めていたことも言い出せません。イソベルとロバートは、スコットランドのケイスネス郊外にある牧師館(牧師が住む住居)に移り住みます。そして美しいイソベルは、牧師のささやかな収入でうまく家計をやりくりする驚くべき才覚を発揮したのでした。

    若い夫婦の間に生まれた最初の子、ミネルバは、喜びと同時に夫婦の危機をもたらしました。愛する夫のために捨ててしまった自分の家族や魔法界が恋しいイソベルは、生まれた娘に、偉大な魔女だった祖母の名前をつけると言ってゆずりませんでした。しかし、その風変わりな名前は彼女が暮らす村では受け入れられず、牧師のロバート・マクゴナガルも、妻がなぜそんな名を選んだのか、教区民たちに説明できません。イソベルが常に不機嫌そうなことも、ロバートには気がかりでした。それでも彼の友人たちは、「出産後の女性は感情的になることが多いから、イソベルもそのうち元に戻る」と言うのでした。

    ところが、イソベルはますます人付き合いをさけるようになり、娘と一緒に何日も部屋にこもることが多くなります。のちにミネルバが母から聞いた話によると、ミネルバは生まれて数時間後には、ささやかながらもまぎれもない魔法を使っていたというのです。棚の上のほうに置いてあったおもちゃがミネルバのベッドの中にあったり、飼い猫がまだ言葉も話せないミネルバの命令を聞いたり、父親のバグパイプが勝手に鳴って、遠くの部屋から聞こえてくることもあったといいます。そんなことが起きるたび、赤ん坊のミネルバはキャッキャと笑うのでした。

  • 62121/11/12(金) 19:51:38

    03

    それを見たイソベルは、誇らしさと恐怖の板挟みになります。ロバートが不可思議な現象を目撃する前に、真実を打ち明けなければなりません。そしてついにイソベルは、辛抱強く事情を聞きだそうとするロバートの前でワッと泣き出し、ベッドの下にしまい込んでいた杖を取り出して、自分の正体を明かしたのでした。

    幼かったミネルバは、その夜のことを覚えていません。しかし、その後経験した苦労のなかで、魔力を持つ者がマグルの世界で育つことの難しさを理解するようになります。イソベルが魔女だと
    知っても、ロバートの愛情は変わりませんでした。しかし、彼女の告白と、自分の妻が長いこと秘密を抱えていた事実に、深いショックを受けます。そればかりか、実直な生き方が誇りだった彼は、それまでは無縁だった「秘密」を抱えて生きることになってしまったのです。イソベルと娘のミネルバは、国際機密保持法の制約により、正体を隠さなければなりません。法を破れば魔法省から激しい追及があることを、イソベルは泣きながらロバートに説明しました。それに、牧師の妻が魔女だなどということが地元の人たちに知れたらどうなるでしょうか。彼らの大半は、厳格で頭が固く、型にはまった人たちです。ロバートの不安は募りました。

  • 63121/11/12(金) 19:52:02

    04

    夫婦の愛情は消えなかったものの、イソベルとロバートの信頼関係は壊れてしまいました。利口で観察力が鋭いミネルバは、そんな両親の様子を見て悲しみます。その後、マクゴナガル家には 2 人の息子が生まれ、2 人とも魔力を持っていることがわかります。ミネルバは母を手伝い、弟のマルコムとロバート・ジュニアに「魔法を見せびらかしてはいけない」と言い聞かせては、2 人が魔法を使って引き起こす事故や厄介な問題を父の目から隠しました。

    ミネルバはマグルの父親と仲がよく、気質でいえば母親よりも父親によく似ています。自分の家族の風変わりな事情に悩み苦しむ父の姿を見るのは、ミネルバにとってつらいことでした。一方、マグルしかいない村に溶け込むために母が相当な苦労をしていることや、魔女として自由に生き、あふれる才能を発揮したがっていることも、ミネルバは感じ取っていました。ミネルバの 11 歳の誕生日、ホグワーツ魔法魔術学校への入学を許可する手紙が届いたとき、母親が声を上げて泣いたことを、ミネルバは決して忘れません。イソベルが泣いたのは誇らしかったからだけではなく、うらやましかったからでもあると、ミネルバにはわかっていたのです。

  • 64121/11/12(金) 19:52:59

    05

    ホグワーツでの学生時代

    魔法使いの存在を隠そうとする家庭で育った子どもの魔女や魔法使いはたいていそうですが、ミネルバにとっても、ホグワーツは自由と解放感を味わえるすばらしい場所でした。

    ミネルバは入学したその日の夜、普通ではありえないほどの注目を集めます。彼女は「組分け困難者」になったのです。組分け帽子はグリフィンドールかレイブンクローかで 5 分半も迷った末、ミネルバをグリフィンドールに入れました(後年、ミネルバと同僚のフィリウス・フリットウィックの間で、この出来事は笑い話になります。フィリウスのときも組分け帽子は同じようにグリフィンドールとレイブンクローで迷った末、ミネルバとは反対の結論を出したのでした。幼いころの、この重要な瞬間がなかったら、お互いの立場が入れ替わっていたかもしれません。2 人の寮監の先生は、そう考えておもしろがりました)。

    ミネルバには飛び抜けた「変身術」の才能があり、すぐに学年一優秀な生徒として認められます。進学するにつれて、ミネルバは母親ゆずりの才能と、父親ゆずりのかたくなな道徳観念を両方受け継いでいることが明らかになります。のちにハッフルパフの寮監になるポモーナ・スプラウトとは、2 年間、同時期にホグワーツに在学していました。当時から仲がよかった 2 人は、後年もすばらしい友人関係を保ちます。

  • 65121/11/12(金) 19:53:34

    06

    ホグワーツ在学中、ミネルバ・マクゴナガルは輝かしい記録を残しました。O.W.L.(普通魔法使いレベル)試験およびN・E・W・T(めちゃくちゃ疲れる魔法テスト)では最高点を獲得し、監督生と首席になり、「変身現代」の最優秀新人賞を受賞します。また、「変身術」の優秀な先生、アルバス・ダンブルドアの手ほどきで、「動物もどき(アニメーガス)」にもなりました。特徴的な模様のあるミネルバの動物の姿(目の周りに四角いメガネの模様があるトラ猫)は、魔法省の「動物もどき登録簿」に正式登録されています。また、ミネルバは母親と同じく優れたクィディッチ選手でもありました。最終学年のとき、優勝杯の行方を決めるグリフィンドール対スリザリン戦のさなかに反則プレーを受け、激しい落下で脳震とうを起こしてろっ骨を何本か折りましたが、このときから、クィ
    ディッチの試合でスリザリンをたたきのめすことがミネルバの生涯をかけた望みになりました。ホグワーツ卒業後はクィディッチをやめてしまったミネルバですが、もともと負けず嫌いの性格なため、のちにグリフィンドールのチーム形成に打ち込むようになり、クィディッチの才能がある者を見抜く洞察力を発揮しつづけます。

    若き日の失恋

    ホグワーツを卒業したミネルバは、ロンドンに発つ前に最後のひと夏を家族と楽しむため、牧師館に戻ります。その後には、ロンドンの魔法省(魔法執行部)に勤めることが決まっていたからです。この数ヵ月は、ミネルバの人生でも一番といえるほどつらい日々になりました。ミネルバは 18 歳にしてマグルの少年と恋に落ち、彼女が正真正銘、母親の娘であることを証明したのです。

    ミネルバ・マクゴナガルの人生において、彼女が「熱を上げた」といえるのは、このときが最初で最後でした。お相手のドゥガル・マクレガーは地元の農場主の息子で、ハンサムな上に頭もいい、愉快な少年でした。一方、ミネルバは、母親のイソベルほどの器量はなかったものの、頭がよくて機知に富んだ少女でした。ドゥガルとミネルバは冗談を言っては笑い合い、ときには激しく口論しながら、互いの心の奥底を探っていきました。そして気づいたときには、ドゥガルは畑に膝をついてミネルバにプロポーズし、彼女はそれを受け入れていたのです。

  • 66121/11/12(金) 19:54:04

    07

    家に帰ったミネルバは、両親に婚約したことを伝えようとするものの、どうしてもできません。その夜、彼女は横になったまま、自分の将来について夜通し考えました。ドゥガルはミネルバの正体を知りません。ミネルバの父親も、イソベルが魔女だと知らずに結婚しました。ドゥガルとの結婚生活がどんなふうになるか、ミネルバは最も身近なところで見てきたのです。それは、ミネルバの望みがなにひとつ叶わなくなることを意味しました。魔法の杖を隠し、子どもたちにはウソをつくよう教えなくてはなりません。子どもたちは、父親にさえ本当のことを言えなくなるかもしれないのです。それに、ミネルバが毎日魔法省に通うとしたら、ドゥガルが一緒にロンドンに来てくれるわけがありません。彼は父親の農場を継ぐのを楽しみにしていたからです。

    翌日、ミネルバは朝早くに家を抜け出しました。そしてドゥガルのところへ行き、考えが変わったので結婚はできないと告げます。国際機密保持法に違反すれば、彼との結婚をあきらめてまで選んだ魔法省の仕事を失うことになります。このため、ミネルバはドゥガルが納得してくれるような別れの理由を伝えることができませんでした。ショックで打ちのめされているドゥガルを置きざりにして、3 日後、ミネルバはロンドンへと出発しました。

  • 67121/11/12(金) 19:54:39

    08

    魔法省でのキャリア

    心が引き裂かれるほどの失恋をしたミネルバは、たしかに魔法省の仕事に対する意欲が高まっていました。それでも、彼女にとっては新しい自宅も職場も、さほど楽しいものではありませんでした。一部の同僚は根っからのマグル嫌いでしたので、マグルの父を慕い、まだドゥガル・マクレガーを愛していたミネルバはうんざりしてしまいます。彼女は誰より優秀で才能にあふれる職員だったうえ、かなり年の離れた上司、エルフィンストーン・ウルクァートのことも好ましく思っていましたが、ロンドンでは幸せを感じられず、いつしかスコットランドを恋しく思うようになります。魔法省で働きはじめて 2 年たったころ、ミネルバは名誉ある役職への昇進を持ちかけられますが、結局その話を断ってしまいます。そして、ホグワーツにふくろう便を送り、教師としての働き口はないかと問い合わせたのです。返事はその数時間後に届き、ミネルバは変身術の教員としての採用通知を受けとります。その当時、変身学部の部長はアルバス・ダンブルドアでした。

    アルバス・ダンブルドアとの友情

    ホグワーツに戻ったミネルバ・マクゴナガルを、誰もが喜んで迎え入れました。ミネルバは仕事に打ち込み、厳しいけれど優秀な先生として認められます。ドゥガル・マクレガーからの手紙は箱に入れてベッドの下にしまい込んでいましたが、魔法の杖をそこへしまい込むよりマシだと、自分に言い聞かせていました。しかしそんなミネルバも、ドゥガルが別の農場の娘と結婚したことを知ったときは、さすがにショックを受けます(イソベルが手紙の中で、地元の話題としてなんの気なしに書いたのです)。

    その夜遅く、教室で泣いているところをアルバス・ダンブルドアに見られたミネルバは、事情を洗いざらい打ち明けます。ダンブルドアはミネルバになぐさめの言葉をかけ、知恵を貸し、彼女の知らなかった彼自身の家族の話を聞かせました。自制心が強く、決して自分をさらけださない 2 人が秘密を打ち明け合ったこの夜から、長年にわたる友情と互いへの敬意が育まれていったのです。

  • 68121/11/12(金) 19:55:59

    09

    結婚

    ミネルバ・マクゴナガルはホグワーツに勤めはじめたばかりのころ、魔法省時代の上司だったエルフィンストーン・ウルクァートと友人関係にありました。あるときエルフィンストーンは休暇中にスコットランドにいる彼女を訪ね、マダム・パディフットの喫茶店で彼女にプロポーズをします。ミネルバは大いに驚いて困惑し、まだドゥガル・マクレガーを愛していたため、彼の申し出を断りました。

    しかしエルフィンストーンはミネルバを想い続け、何度断られても諦めずにプロポーズします。やがてドゥガル・マクレガーが亡くなったことで、ミネルバは深い悲しみを感じながらも、彼への想いから解放されたようでした。ヴォルデモートが初めて敗北してまもなくの夏、もはや白髪になったエルフィンストーンは、ホグワーツの敷地内にある湖のほとりを散歩中、もう一度ミネルバにプロポーズします。そして今度こそ、ミネルバは彼を受け入れたのです。当時すでに退職していたエルフィンストーンは、我を忘れるほどに喜びました。そして夫婦の新居として、ミネルバが毎日仕事に通いやすいホグズミードに、小さなコテージを買ったのです。

    長年生徒たちに「マクゴナガル先生」として知られてきたミネルバは、フェ(規制)ニストに近い考えを持っていたこともあり、結婚しても元の名字を使い続けると宣言します。伝統を重んじる者たちは、そんな彼女に軽べつの目を向けました。なぜ純血の家族の名ではなく、マグルの父親の名を使い続けるのか、彼らには理解できなかったのです。

    ミネルバの結婚生活は、残念ながら短命に終わる運命でしたが、とても幸せなものでした。夫との間に子どもはいなかったものの、ミネルバの姪や甥たち(彼女の兄弟マルコムとロバートの子)が、しょっちゅう家に遊びに来ました。ミネルバにとって、とても充実した日々だったのです。

  • 69121/11/12(金) 19:56:45

    10

    結婚して 3 年が過ぎたころ、エルフィンストーンが毒触手草に噛まれ、突然亡くなります。夫婦を知る者は皆、悲しみに暮れました。コテージにひとり残ることに耐えられなかったミネルバは、エルフィンストーンの葬儀が済むと荷物をまとめました。そして、ホグワーツ城の 2 階にある研究室から隠し扉で入れる、質素な石の床の寝室に戻ったのです。常にきぜんとしていて、ひとりで過ごすことを好む性格のミネルバは、すべてのエネルギーを仕事に注ぎました。おそらくアルバス・ダンブルドア以外には、彼女の苦しみの大きさを知る者はほとんどいなかったでしょう。

    J.K. ローリングの言葉

    「ミネルバ」は、戦争と知恵を司る古代ローマの女神です。一方ウィリアム・マクゴナガルは、イギリス史上最悪の詩人として知られる人物です。彼の名字の響きに引かれたのと、とても聡明な女性が、あのおどけたマクゴナガルの遠い親戚かもしれないと思わせるアイデアはとても魅力的に思えたので、この名前にせずにはいられませんでした。

    ウィリアム・マクゴナガルの作品を読めば、思わず笑ってしまうようなおもしろさを感じてもらえるでしょう。彼がビクトリア朝期に起きた鉄道橋の惨事を追憶してうたった詩の一部をご紹介します。

    銀色に輝く美しき、鉄道橋のテイ橋よ!
    ああ! 心から残念だ
    90 もの命が奪われた
    それは 1879 年、最後の安息日のこと
    この日のことはとても長い間、後世に語りつがれるだろう

  • 70121/11/12(金) 20:00:07

    杖の芯/材料なんかはWiki等で所有者と見比べてみるとあ~…となる部分が多いので暇があったら見てみると面白いかも?

    一旦中断。

  • 71二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 20:58:52

    おっつー
    桜も杖の素材としての設定あるのがちょっとテンション上がった

    マクゴナガル先生ってダンブルドアの家庭のこと知ってたんだね

  • 72121/11/13(土) 01:19:18

    エルデンリング素晴らしかった…
    遅くなってしまったのでちょろっと追加して後は明日で。

  • 73121/11/13(土) 01:19:51

    【クィレル先生】01

    クィレル先生はホグワーツで「闇の魔術に対する防衛術」を教えている。神経質な青白い青年で、話すときはどもりがち。

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    誕生日:
    9 月 26 日
    杖:
    ハンノキと一角獣のたてがみ、23 センチ、よく曲がる
    ホグワーツの寮:
    レイブンクロー
    特殊能力:
    防衛術の理論を習得。実践面の経験は乏しい
    家系:
    半純血
    家族:
    独身、子どもなし
    趣味:
    旅行、押し花
    ハリーが最初に「闇の魔術に対する防衛術」を教わることになるのは、「世界旅行」を終えてホグワーツに教職を得た、頭脳明敏な若い魔法使いです。ハリーが初めて会ったとき、クィレルはすでに、毎日頭にターバンを巻くようになっていました。どもりがちなことからもわかるとおり、彼は目立って神経質なため、ターバンの中には吸血鬼を寄せつけないようにんにくを詰めてあるのだとうわさされています。

    私が思い描いたクィレルは、才能には恵まれているものの繊細で、少年時代にはおどおどした態度や神経質な性格から、学校でからかわれていたと思われる人物でした。劣等感にさいなまれ、みんなを見返してやりたいという思いから、(当初は理論のみでしたが)闇の魔術に対する関心を募らせていきます。自分は取るに足りない存在だとか、笑いものだと感じている人の多くがそうであるように、世の中をあっと言わせてみたいという密かな野望がクィレルにもありました。

    クィレルは、ヴォルデモートのなれの果てを探し出そうと、意図的に企てました。これは純粋な好奇心から取った行動である一方、みんなから一目置かれたいという、満たされない欲求に駆り立てられた結果でもありました。最悪でもヴォルデモートの行方を突きとめた男にはなれるはずですし、うまくすれば、ヴォルデモートから能力を学び、二度と笑いものにならずに済むかもしれないと夢みたのです。

    クィレルは「秀才」だというハグリッドの言葉は間違っていませんが、闇の魔法使いヴォルデモートと渡り合って主導権を握れると考えるほどに、彼は浅はかで、思いあがっていました(いくらヴォルデモートが弱っているにしてもです)。若いクィレルがホグワーツの教員だと知ったヴォルデモートは、すぐさま彼に取りつきます。クィレルは、なすすべもありませんでした。

  • 74121/11/13(土) 01:20:14

    02

    クィレルは魂を失ったわけではありませんが、ヴォルデモートに完全に支配されてしまい、その体にはおぞましい変異が起こりました。ヴォルデモートはクィレルの後頭部から顔を突き出し、クィレルに指示を与え、人殺しまで強いるようになったのです。クィレルは時折弱々しい抵抗を試みるものの、ヴォルデモートの力はあまりにも強大で、歯が立ちません。

    クィレルは事実上、ヴォルデモートの一時的な「分霊箱」にされてしまいました。クィレルは自分の内側に巣食う、自分よりもはるかに強い邪悪な人格と戦いつづけているため、肉体的な負担に耐えきれず、精も根も尽き果てています。ハリーと揉み合ううちに、クィレルの体には火傷や水ぶくれができます。これは、ハリーの母親が息子を守って死んだ際に、息子の肌に残した守りの力のせいです。ヴォルデモートがクィレルと共有する肉体は、ハリーとの接触によって無惨に焼けただれてしまいました。ヴォルデモートは間一髪で逃げ出し、傷つき弱りきったクィレルは、くずおれて息絶えます。

    J.K. ローリングの言葉

    「クィリナス」は、ローマ神話に登場する、あまり詳しくは知られていない戦神の名前です。これは、クィレルが見かけほど柔和でないことを暗示しています。また、「クィレル」はかわいらしくて無害な小動物のリス(スクワレル)と響きが近いですし、英語で「震える」を意味する「クィヴァー」という言葉も連想させるので、この人物が生まれつき神経質であることと符合します。

  • 75121/11/13(土) 01:20:50

    【『薬草ときのこ千種』】

    フィリダ・スポア著『薬草ときのこ千種』は、魔法薬の材料になる特定の魔法植物について詳しく説明した本です。

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    「ハナハッカ」は強力な治癒効果のある薬草で、体力を回復する作用があり、生で食べると浅い傷が治ります。

    レタス食い虫の粘液は、魔法薬の濃度を高めるのに広く用いられます。

    アコナイトには、モンクスフード、またはウルフスベーンという別名があります。

    モーリュは、食べると魔法の効力を消す効果がある強力な薬草です。黒い茎をした植物で、白い花を咲かせます。

    マンドレイクの泣き声は、聞いた人を死に至らしめます。

    ナナカマドには魔力があり、その幹に触れると、闇の生き物たちの攻撃から守ってくれます。

    アリホツィーの木(別名ハイエナの木)の葉は、食べてはいけません。笑いが止まらなくなります。

  • 76121/11/13(土) 01:21:25

    【ホグワーツの科目】

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    ホグワーツの 1 年生には 7 つの必修科目があり、「変身術」、「妖精の呪文」、「魔法薬学」、「魔法史」、「闇の魔術に対する防衛術」、「天文学」、「薬草学」がこれに当たります。また、箒に乗っての飛行訓練も、全員受講する必要があります。

    2 年生の終わりになると、必修科目に加え、「数占い」、「マグル学」、「占い学」、「古代ルーン文字学」、「魔法生物飼育学」の中から 2 つ以上の選択科目を受講しなければなりません。

    錬金術などの専門性の高い科目は、十分な需要がある場合にかぎり、最後の 2 年間でクラスが開講されます。

    J.K. ローリングの言葉

    初期のころに書いたメモに残っている科目は、最終版と少々異なっています。「薬草学」は「本草学」になっていますし、「占い学」と錬金術は、1 年生から必修科目になっています。単に「動物」という名前の科目もあり、「変身術」は「変身術/変形術」になっています。

  • 77121/11/13(土) 01:22:10

    【最初の40人】

    J.K. ローリングの言葉

    私の持ち物で特に大切なもののなかに、2 冊の小さなノートがあります。この 2 冊には、ハリー・ポッターに関する最も初期のころのメモがつづられています。そこに書いたことのほとんどは物語に登場しませんでしたが、読み返すと、一字一句そのまま活字になった会話文に出くわすこともあり、思わずはっとしてしまいます。

    このうち 1 冊には、ハリーの同級生の名前 40 人分(ハリー本人やロン、ハーマイオニーも含みます)が列記されています。全員どの寮に振り分けられるか決まっていて、それぞれの名前の横には、血統を示す小さなマークが添えられています。

    ホグワーツの 1 学年の生徒数は 40 人よりはるかに多い人数を想定していましたが、ハリーの同級生の一部を把握し、その 1 人ひとりにきちんと名前をつけておくことが、学校のシーンでは役立つだろうと考えたのです。

    物語が進むにつれ、何人かの血統を変更しました。物語に登場しなかった生徒もいますが、私の頭の中には常に存在していました。最初に考えた名前から変更した生徒もいます。数人は、彼らを中心に据えたサブストーリーで表舞台に登場しました(アーニー・マクミラン、ハンナ・アボット、ジャスティン・フィンチ - フレッチリーなど)。ネビル・ロングボトムにいたっては、とても重要な登場人物になりました。今こうしてこの小さなノートに書き出された名前の一覧を眺めていると、なんとも不思議な気持ちになります。ノートにはもはや理由も思い出せない水濡れのあとがあり、薄い鉛筆の落書きだらけです(当時まだ幼かった娘、ジェシカのしわざに違いありません)。これらの生徒の名前を書き出し、修正し、4 つの寮に振り分けていたとき、彼らがどこへ行くのか(というか、彼らが私をどこへ連れていってくれるのか)、私には見当もつきませんでした。それを考えると、あらためて不思議な感慨に包まれます。

    以下に、初期に生み出した 40 人の名前を挙げます。

  • 78121/11/13(土) 01:23:30

    ハンナ・アボット
    スーザン・ボーンズ
    トレバー・ブート
    マンディー・ブロックルハースト
    ラベンダー・ブラウン
    ミリセント・ブルストロード
    マイケル・コーナー
    スティーブン・コーンフット
    ビンセント・クラッブ
    トレイシー・デイビス
    ケビン・エントウィッスル
    ジャスティン・フィンチ - フレッチリー
    シェーマス・フィネガン
    アンソニー・ゴールドスタイン
    グレゴリー・ゴイル
    ハーマイオニー・グレンジャー(鉛筆で書き足されています。下記、線で消された名前も参照)
    クィーニー・グリーングラス
    ウェイン・ホプキンズ
    ミーガン・ジョーンズ
    スー・リー
    ネビル・ロングボトム(ペンで書き足されています。下記、線で消された名前も参照)
    イソベル・マクドゥガル(初めはカトリーナでしたが、線で消されています)
    アーネスト・マクミラン
    ドラコ・マルフォイ(ペンで書き足されています。下記、線で消された名前も参照)

  • 79121/11/13(土) 01:23:46

    ロジャー・マローン
    リリー・ムーン(ルーナ・ラブグッドの原案です。この名前は実際には使われませんでしたが、夢見がちで変わり者の少女というアイデアはここから思いつきました。この名前は、ハリーの母親の名前を決める前に思いついたものです)
    セオドア・ノット
    パンジー・パーキンソン
    マドハリ・パテール
    マティ・パテール
    サリー - アン・パークス
    ハリー・ポッター
    ハーマイオニー・パックル(線で消され、変更後の名前が上に書き足されています)
    ネビル・パフ(線で消され、変更後の名前が上に書き足されています)
    クィレル(線で消されています。のちに先生の名前として使用)
    オリバー・リバーズ
    ソフィー・ローパー
    ネビル・サイドボトム(線で消されています)
    サリー・スミス(ジョージーナという案が線で消されています)
    ドラコ・スパンゲンからドラコ・スピンクスに変更(いずれも線で消され、さらに変更した名前が上に書き足されています)
    ゲアリー・トーマス
    リサ・ターピン
    ロナルド・ウィーズリー
    ブレーズ・ザビニ

  • 80二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 11:53:07

    ハリーの杖で柊の前に勧められたのがブナとカエデと黒檀
    結局合わなかったけどそれなりに当てはまる部分もあるかな?

  • 81二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 12:51:08

    >>12

    アーチーはクィディッチワールドカップにいたあのアーチーじいさんだろうか

  • 82121/11/13(土) 17:38:26

    ぼちぼち再開。

    【『呪いのかけ方、解き方』】


    ヴィンディクタス・ヴェリディアン著『呪いのかけ方、解き方』は、さまざまな呪いを扱う呪文の本です。

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    「くすぐりの術」:杖をまっすぐ相手に向け、「ティティランドー、くすぐれ!」と叫びます。
    「足縛りの呪い」:杖をまっすぐ相手に向け、「ロコモーター・モルティス!」と叫びます。
    「全身金縛り」:杖をまっすぐ相手に向け、「ペトリフィカス・トタルス、石になれ!」と叫びます。
    「舌もつれの呪文」:杖をまっすぐ相手に向け、「ミンブルウィンブル、もつれろ!」と叫びます。
    「くらげ足の呪い」:杖をまっすぐ相手に向け、「ロコモーターウィブリー!」と叫びます。

         ◆

    (1-14-1)
    【『基本呪文集・1学年用』】
    ミランダ・ゴズホーク著『基本呪文集・1 学年用』は、ホグワーツの 1 年生に必須の教科書。

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    呪文と変身術の違いは、呪文が物や生き物に何かしらの特性を付与するのに対し、変身術は対象をまったく違うものに変えてしまう点です。
    下級呪文を打ち破るのは、さほど難しくありません。低年齢の魔法使いが習得する下級呪文の多くは、数日、あるいは数時間で効果が消えます。
    邪悪な呪文は「呪い」と呼ばれます。本書ではその種の呪文は扱いません。
    呪文を詠唱中に集中を欠くと、副作用でひどい目に遭うことがあります。魔法使いバルッフィオは「f」と発音すべきところを「s」と発音してしまったために、気づいたときには自分が床に寝転び、バッファローが自分の胸の上に乗っていました。
    一部の呪文は、大型の生物には効果がありません。たとえばトロールは、ちょっとやそっとの呪文なら皮膚で跳ね返してしまいます。

  • 83121/11/13(土) 17:39:06

    【ふくろう】01

    ふくろうは、魔法界で郵便や小包の配達に使われる魔法生物。移動速度が速く、慎重な性格をしていて、住所がなくても受取人を見つけ出すことができる。1 年生はふくろうをペットとして学校に持参することが許可されている。

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    イギリスには古くから、昼間にふくろうが飛んでいるのを見るのは縁起が悪い、という迷信がありますが、これは簡単に説明がつくことです。というのも、魔法使いが日中にふくろうを飛ばして連絡を送るときというのは、何かしら劇的なことが魔法界で起きているに違いないからです。そんな時はマグルにも好ましくない余波がおよぶことがあり、しかも、マグルにはその原因がまったくわかりません。

    ふくろうは、ほとんどが夜行性の猛禽類であるため、マグルから必然的に不吉なものと見なされていますが、魔法使いにとっては、何世紀にもわたり忠実なしもべであり伴侶であり続けてきました。魔法による長距離通信の手段は他にも多くありますが(守護霊、煙突飛行粉、それに魔法をかけた鏡やコインなど)、忠実で信頼のおけるふくろうは、今でも世界中の魔法使いに最もよく使われている通信手段です。

    使者としてのふくろうの強みは、マグルに不信感を抱かれる原因である、ふくろうの性質そのものです。ふくろうは、マグルが迷信的に忌避する闇に紛れて活動します。そのために、並外れて発達した暗視能力を持ち、俊敏で見つかりにくく、また、いざというときに発揮できる攻撃性もあります。あまりにも多くのふくろうが世界中の魔法使いたちに利用されているので、ほぼすべてのふくろうは、各国のふくろう郵便または魔法使い個人が所有するふくろうである、と言ってもあながち間違いではないでしょう。

    ブタに魔法の素質がないともっぱら言われているのと同じように、ふくろうに魔法の素質が先天的に備わっているからか、あるいは魔法使いがふくろうの祖先を何世代にもわたり飼いならし、訓練した結果、それに適した形質が受け継がれてきたからか、ふくろうは学習能力がとても高く、手紙の宛先である魔法使いを見つけ出し、追跡する、という任務に生きがいを見出しているようです。

  • 84121/11/13(土) 17:39:32

    02

    名前と本人との間に神秘的な関連性があることは、昔からあらゆる文化圏の魔法使いに知られています。どうやらふくろうは、そのような関連性にもとづいて名前と本人を結びつけることができて、該当する魔法使いがどこにいても見つけ出します。ですが、その方法は、子ふくろうを訓練してペット用ふくろうや郵便ふくろうを育てている魔法使いにさえ、いまだに謎のままです。ふくろうに住所を教える必要はありません。しかし、たいていは封筒に住所を書いておきます。万が一ふくろうが途中でつかまってしまい、手紙が他人の手に渡った場合に備えてのことです。

    手紙を送られたくない(または、いかなる追跡もされたくない)魔法使いは、多岐にわたる、退散の呪文や変装の呪文、隠蔽の呪文のいずれかを使う必要があります。すべての手紙から身を守ることもできますし、特定のふくろうが運ぶもの以外を除外することもできます。しつこい借金取りや、以前付き合っていたボーイフレンドやガールフレンドからの連絡を拒否したい場合に、相手を指定して隠蔽の呪文をかけることがあるかもしれません。しかし、この対策は、他の人にふくろうを送ってもらうことで簡単に回避できてしまいます。一般に、強力な保護呪文と、大量の誕生日カードを諦める覚悟がなければ、ふくろう郵便の目を逃れることはできないでしょう。

    訓練されたふくろうは高価なので、魔法界では 1 羽のふくろうを家族全員で使ったり、郵便ふくろうしか使わないこともよくあります。

  • 85121/11/13(土) 17:40:12

    03

    J.K. ローリングの言葉

    私がふくろうを愛し、ふくろうに魅了されるようになったのは、最初に「ハリー・ポッター」を思いついたときよりもずっと前のことです。遡ってみると、母が作ってくれたふくろうのぬいぐるみにいき着きます。6 歳か 7 歳のときで、私はそれが大好きでした。

    言うまでもなく、ふくろうは長い間、魔法にゆかりあるものとされてきましたし、昔の魔法使いの絵にも何度も登場しています。その回数は、魔法動物ナンバー 1 の猫に次いで 2 番目です。ふくろうが知恵の象徴とされたのはローマ時代のことで、知恵の女神ミネルバの紋章に由来しています。

    ハリー・ポッターの小説に出てくるふくろうには、次のようなものがあります。ドラコが飼っているワシミミズクは大きくて羽角があり、獰猛な顔つき。コキンメフクロウは小さくてかわいらしいけど、ピッグウィジョン(ロンのふくろう)のようにちょっと頼りないかもしれません。ハリーの飼っているヘドウィグのような白ふくろうはまたの名を「幽霊ふくろう」といいます。

    ヘドウィグの描写に関しては、いくつか初歩的な間違いを犯してしまいました。まず、白ふくろうは昼行性でした(昼間飛ぶということです)。2 つ目に、白ふくろうはほとんど鳴きません。ですので、ヘドウィグがしょっちゅうホーホー鳴いたり、さえずったりして、褒めて欲しがったり甘えたりしているのは、魔法によって特別な能力が備わったと解釈すべきです。3 つ目は、初期の頃に、数えきれないほどのふくろう愛好家や専門家の皆さんが善意で知らせ続けてくださったとおり、ふくろうはベーコンを食べません(ヘドウィグは朝食の郵便配達時にベーコンの皮のかけらを食べるのが楽しみです)。

  • 86121/11/13(土) 17:40:38

    04

    ウィーズリー家の忍耐強くも働き過ぎの老ふくろう、エロールを思いついたとき、私は、どこかで見たはずの 1 枚の写真を思い浮かべていました。その写真には、すごく滑稽な、灰色の綿毛に覆われた困惑顔の大きなふくろうが写っていました。写真のふくろうは私の知らない種類で、実のところ、それが実際の写真だったのか、それとも想像力で歪められた姿だったのか、判然としませんでした。ですから、「ハリー・ポッターと賢者の石」の撮影時に、リーブスデン・スタジオの鳥小屋に初めて足を踏み入れて角を曲がったとき、私は心底嬉しくなりました。そこには、灰色の綿毛に覆われた困惑顔の大きなふくろうたちがずらっと一列に並んでいたのです。私に向かって目をぱちくりしているエロール役のふくろうたちは、どれも、夢かもしれないと思った、あのあやふやな記憶の写真の完全なレプリカでした。そのふくろうは、カラフトフクロウという種類でした。

  • 87121/11/13(土) 17:41:26

    【『変身術入門』】

    エメリック・スィッチ著『変身術入門』は、1 年生の「変身術」の教科書に指定されています。

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    「変身術」を行うときは、杖をはっきり、しっかりと動かすことが大事です。不必要に揺らしたり、くるくる回したりすると、確実に失敗します。

    「変身呪文」を唱える前に、つくり出したい姿をはっきりと心に思い浮かべましょう。
    初心者は、呪文を明確に発音することをお勧めします。上級者になると、声に出して唱えなくても成功するようになります。
    「変身術」が一部しか成功しなかった場合、修正は難しいですが、必ずやってみる必要があります。足載せ台の上にウサギの頭が載ったままにするのは、無責任ですし、危険でもあります。「リパリファージ!」と呪文を唱えれば、物や生き物はもとの姿に戻ります。
    大きな生き物は、力のある熟練の魔法使いでないかぎり、変身させるのは困難です。自分の能力の限界をわきまえましょう。

         ◆

    (1-15-1)
    【『闇の力―護身術入門』】


    クエンティン・トリンブル著『闇の力――護身術入門』は、1 年生の必修科目「闇の魔術に対する防衛術」の教科書に指定されています。

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    狼人間の牙には毒があります。このため、狼人間に噛まれた傷は、魔法で徹底的に清めなければなりません。ただし、ひとたび狼人間になってしまうと、もはや手の施しようがありません。ですから、とにかく噛まれないようにすることが重要です。

    レッドキャップ(赤帽鬼)は、血の臭いのするところならどこにでも潜む、小鬼に似た性悪な生き物です。不用心な者を棍棒で殴り殺そうとするため、近寄らないのが身のためです。

    ゾンビは、アメリカ南部にしか棲息していません。吸血鬼と並ぶ「生ける屍」の代表格で、灰色の肌と腐敗臭が特徴です。

    鬼婆は子供を食べる化け物で、人間の姿をしています。ただし、普通の魔女よりもいぼの数が多い傾向にあります。

  • 88121/11/13(土) 17:41:57

    【賢者の石】

    「賢者の石」はいかなる金属をも黄金に変える力を持ち、飲めば不老不死になる「命の水」の源でもあります。ハリーがホグワーツに入学した年、現存すると確認されている「石」はニコラス・フラメルが創り出したものだけでした。

    ハリーが 1 年生のとき、ヴォルデモートはその年の大半を費やして、「賢者の石」を手に入れようとします。クィレル先生を利用して、まずはグリンゴッツから「石」を持ち出そうとし、それが失敗すると、今度はホグワーツから盗み出そうとしました。けれども、ハリーが先に石を手に入れ、ヴォルデモートに差し出すことを拒みます。クィレル先生に奪い取られそうになっても、ハリーは決して手放しませんでした。ヴォルデモートが逃げ去ると、ダンブルドアは石を破壊するように取りはからいます。

    J.K. ローリングの言葉

    「賢者の石」という概念は、私が考え出したものではありません。かつては実在すると信じられていた伝説の物質で、錬金術は本来、これを創り出すための学問でした。

    『ハリー・ポッター』の物語に登場する「賢者の石」の特徴は、大昔の人びとが考えた「賢者の石」の特性とおおむね一致します。この石は卑金属を黄金に変え、不老不死の霊薬である「命の水」を生み出すと信じられていました。「本物の」錬金術師たち(つまり、実在したニコラス・フラメルやアイザック・ニュートン卿のような、化学者や物理学者の先駆者たち)は、ときに一生涯を費やして、賢者の石を創り出す秘密を解き明かそうとしたのです。

    「賢者の石」について言及している古い文献の多くで、「石」の色は赤いと書かれたり、白いと書かれたりしています。この 2 色は錬金術ではしばしば重要とされる色で、多くの場合、象徴的な意味を持つと解釈されます。

  • 89121/11/13(土) 17:42:51

    【テクノロジー】01

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    魔法使いの世界では、本にしろ道具にしろ動物にしろ、杖をさっと振って「アクシオ!来い!」と唱えれば、欲しいものを呼び寄せることができます。また、フクロウ、暖炉の火、守護霊、吼えメール、魔法をかけた硬貨といった手段を使ったり、「姿現し」の術を使って直接訪ねることで、知人と意思の疎通をはかることもできます。新聞に掲載された写真は動き、ありふれた日用品はときどき話しかけてきます。こうした世界では、インターネットは取り立てて魅力的なものではありません。もっとも、だからといって魔女や魔法使いが絶対にネットサーフィンをしないわけではありません。ただ、彼らがネットサーフィンをするとしたら、その理由はおおむね、やや上から目線の好奇心か、マグル学の研究のためです。

    魔法界の人びとは、食器洗浄機や掃除機といった家電製品を使う必要はまったくないのですが、なかにはマグルのテレビを楽しむ人たちもいます。1980 年代の初頭には、自分たちのテレビチャンネルを持とうという熱心な魔法使いたちによって、「英国魔法放送協会」という組織まで立ち上げられました。もっとも、この計画は早々に頓挫します。マグルの装置で魔法にかかわる内容を放送することを、魔法省が認めなかったからです。もしそのようなことを認めれば、国際機密保持法に対する重大な違反が相次ぐのはほぼ確実というのが、当時の感覚でした。

  • 90121/11/13(土) 17:43:27

    02

    しかし、この判断は前例との一貫性を欠き、公正ではないと感じる人たちもいました。魔法界では多くのラジオが合法的に改造され、魔法使い向けのレギュラー番組の放送という魔法使い独自の利用法で活用されていたからです。マグルがそうしたラジオ放送から、「毒触手草」を刈り取る方法や、キャベツ畑から庭小人を駆除する最善策などのヒントを得ることが珍しくないことは、魔法省も認めていました。しかし同省は、ラジオを聞くマグルはテレビを見るマグルよりもずっと寛容か、騙されやすいか、または自分たちの分別に自信を持っていないから、心配いらないのだと主張しました。マグルにこうした偏りが見られる理由については、モルディカス・エッグ教授がその著書『俗なるものの哲学――なぜマグルは知ろうとしないのか』で詳細に考察しています。教授によれば、マグルは自分が幻覚を見ているとはなかなか思わない一方、空耳が聞こえたと考えることにはあまり抵抗がないのだそうです。これは説得力のある説明といえるでしょう。

    多くの魔法使いがマグルの装置を使わないもうひとつの理由は、文化的なものです。魔法界には、マグルが創り出した装置について、その独創性は認めつつも、大半は自分たちにとって必要のないものだとする自負があります。マグルの装置が可能にすることは、魔法を使って簡単にできるからです。魔法使いが乾燥機や電話といった家電製品をそろえれば、魔法が不十分であることをみずから認めているように見える、というわけです。

  • 91121/11/13(土) 17:43:49

    03

    このように、魔法界はマグルの技術を嫌うのが一般的ですが、ひとつ大きな例外となっているのが、自動車です(また、そこまでではないにせよ、オートバイや列車も同様です)。国際機密保持法の導入以前は、日々の移動手段として魔法使いもマグルも同様のものを利用していました。つまり、馬車や帆船などです。しかし、馬車が明らかに時代遅れになると、魔法界としてもそれに固執するわけにはいかなくなりました。20 世紀になり、快適で速い自動車というものが道路を埋め尽くすようになると、魔法族が大いなる羨望のまなざしを向けたことは、否定しようもない事実です。ついには魔法省までもが自動車をまとめて購入し、便利な魔法をあれこれとかけて改良したうえで、大いに活用するようになりました。まるで子どものように自動車に夢中になる魔法使いも多く、マグルの発明品には指一本触れないと公言する純血の魔法使いが、実は自宅の車庫に空飛ぶロールスロイスを隠していたなどという例も少なくありません。それでも、極端なマグル嫌いになると、エンジン付きの移動手段は一切利用しないという人びとが大半です。このため、シリウス・ブラックのバイク好きは、筋金入りのマグル嫌いだった両親を激怒させました。

  • 92121/11/13(土) 17:44:42

    【フル―パウダー】

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    煙突飛行粉は、13 世紀にイグナチア・ワイルドスミスが発明しました。煙突飛行粉の製造は厳しく制限されていて、イギリスで認可を受けた製造業者は、ダイアゴン横丁に本社を置く「フルー・パウ」だけです(この会社は、来客があっても誰も玄関に出てきません)。

    これまでに煙突飛行粉が不足したという事例はなく、そもそも製造している人を誰も知りません。価格は 100 年前から変わっておらず、1 さじ 2 シックルです。魔法使いの家には必ず煙突飛行粉が備蓄してあって、使いやすいように暖炉の上の箱か花瓶の中に入れられています。

    煙突飛行粉の正確な成分は企業秘密として厳重に守られています。これまで「自己流」でつくろうとした人たちはことごとく失敗してきました。毎年 1 人は、「偽造飛行粉」症、つまり、自家製の粉を暖炉に振りかけてその報いを受けた患者が、聖マンゴ魔法疾患傷害病院に搬送されます。2010 年、聖マンゴ病院のスポークス魔ンで癒者(いしゃ)のラザフォード・ポーク氏は、怒りをあらわにして次のようにコメントしています。「1 さじ 2 シックルなんですから、けちけちするのはやめてください。粉にしたルーンスプールの牙を暖炉の火に振りかけても、自分の体が煙突から吹き飛ばされるだけです! 今度お尻をやけどした魔法使いが運ばれてきたら、私は絶対に治療しませんよ。1 さじたったの 2 シックルなんですから!」

  • 93121/11/13(土) 17:45:24

    【セレスティナ・ワーベック】01

    セレスティナ・ワーベックは人気歌手の魔女。「魔女の時間」という魔法界のラジオ番組に出演している。
    J.K. ローリングからの新着コンテンツ
    誕生日:
    8 月 18 日
    杖:
    カラマツ、不死鳥の羽、27 センチ、しなやか
    ホグワーツの寮:
    グリフィンドール
    特殊能力:
    泣き妖怪バンシーの歌声を打ち消す、タップダンス、パン作り
    家系:
    魔法使いの父親、マグルの母親
    家族:
    結婚 3 回、息子が 1 人
    趣味:
    豪勢な旅行、長毛種のクラップの飼育、8 つある自宅のどれかでくつろぐこと
    セレスティナ・ワーベックはウェールズ出身の世界的に評価の高い人気歌手です(「歌う魔女」としても知られています)。彼女の父親はマグル連絡室の一般職、母親はマグルの売れない女優で、母親が舞台の幕に化けたレシフォールドに襲われたときに 2 人は出会いました。

    セレスティナの類まれな声は幼少時から際立っていました。魔法歌劇学校というものが無いことに失望したワーベック夫人は、娘がホグワーツに入学することをしぶしぶ認めましたが、その後次から次へと手紙を学校に送りつけ、娘が才能を発揮できる合唱部、演劇部、それにダンスの授業を開設するよう求めました。

    バンシーのバックコーラスと共に歌うことが多いセレスティナのコンサートは非常に人気があります。「気まぐれなアフロディーテ」ツアーの最終公演では、その公演に向かう 3 人の熱烈なファンがリバプール上空で箒の 3 重玉突き事故を起こすほどでしたし、チケットは大抵大幅なプレミア価格でブラックマーケットで取引されています(ウィーズリー夫人が大好きなセレスティナを生で見たことがない理由の 1 つです)。

  • 94121/11/13(土) 17:45:43

    02

    セレスティナは知名度と才能を活かした慈善活動も行っており、パドルミア・ユナイテッドの応援歌「ブラッジャーを打ち返せ、クアッフルをこっちに投げろ」のレコーディングに参加して聖マンゴ魔法疾患傷害病院の募金活動に協力しました。賛否が別れるところでは、魔法使いがハロウィーンを祝うことを規制しようとした魔法省に反対したこともあります。

    セレスティナの最も有名な歌には「あなたの魔力がわたしのハートを盗んだ」と「大鍋は灼熱の恋に溢れ」があります。主なファンは年配層で、彼女の派手なパフォーマンスやパワフルな歌声を気に入っています。20 世紀の終わりに出したアルバム「大鍋を盗んでも心はあげない」は世界中で大ヒットを記録しました。

    セレスティナの私生活は日刊預言者新聞のゴシップ欄にたくさんの話題を提供してきました。最初のバックダンサーとの結婚は 1 年しか続きませんでした。その後セレスティナはマネージャーと結婚し、息子を 1 人もうけましたが、結局 10 年後に別れ、作曲家のアービング・ワーブルと再婚しました。

    ♪「大鍋を盗んでも心はあげない」

    J.K. ローリングの言葉

    セレスティナはシリースの中でも最も好きな裏方キャラクターの 1 人です。ポッターの世界が誕生したときから存在したキャラクターであり、イギリスの出版社ブルームズベリーが短期間運営していたファンクラブの会員に向けて私が書いていた「日刊預言者新聞」にも早くから登場していました。ハリー・ポッターシリーズの 7 冊の本でセレスティナを目にする機会はありませんが、彼女のルックスやスタイルに関する私のイメージは一貫してシャーリー・バッシーのそれでした。セレスティナの名前は、何年も前にロンドンのアムネスティ・インターナショナル本部で一緒に働いていた友だちから拝借しました。「セレスティナ」はまさに使ってくれと言わんばかりの名前だったので、華やかな魔法使いの名前にしました。

  • 95121/11/13(土) 17:46:16

    【マルフォイ家】01

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    マルフォイという姓は、「不誠実」を意味するフランスの古語から採りました。イギリス貴族の先祖の多くがそうであるように、魔法使いアーマンド・マルフォイもまた、征服王ウィリアム率いるノルマン人の侵略軍に加わりイギリスにやってきました。国王ウィリアム 1 世のために、謎のいかがわしい(ほぼ確実に魔法を使う)仕事をこなした見返りとして、マルフォイはウィルトシャー州に地方領主たちから没収した一等地を与えられます。これがその後 10 世紀にわたって彼の子孫が住み続けることになる、マルフォイ領の成り立ちです。

    マルフォイ家の祖先である策略家アーマンドは、一族を特徴づける性質を多数備えていました。そうした特徴は、時代を超えてマルフォイ家の人びとに脈々と受け継がれます。ほめ言葉とはいい難いその姓が暗示するように、マルフォイ一族にはいつの時代にも、「信用ならない連中」という評判がついて回りました。また、権力や富のあるところならどこにでも姿を現し、こびへつらう人びとともいわれ続けました。マルフォイ一族は、純血の価値を重んじ、マグルよりも魔法使いのほうが優れていると心の底から信じていましたが、自分たちの利益になると見れば、マグルの社会に取り入ることもためらいませんでした。その結果、彼らは魔法使いの家としてはイギリス屈指の裕福な一族となり、彼らが何世紀にもわたってマグルの貨幣や資産に手を出して成功を収めてきたといううわさが、(事実だと証明されたことはないにせよ)長年ささやかれることになります。数百年という歳月をかけて、マルフォイ一族は隣接するマグルの土地を併合してウィルトシャー州の領地を広げました。また、王室に媚び、おもねることで、マグルの財宝や美術品のコレクションを増やし続けたのです。

  • 96121/11/13(土) 17:46:42

    02

    マルフォイ一族は代々、貧しいマグルと、富や権威を持つマグルとをはっきり区別してきました。1692 年に機密保持法が施行されるまで、一族はマグルの上流社会で積極的に立ちまわっていて、彼らが機密保持法の導入に激しく反対した理由のひとつは、同法が施行されればそうした社交生活の楽しみを享受できなくなるからだったといわれています。また、のちの世代は躍起になって否定していますが、初代ルシウス・マルフォイがエリザベス 1 世に求婚して断られたことを示唆する十分な証拠も存在します。魔法界の歴史学者のなかには、エリザベス 1 世が生涯独身を貫いたのは、袖にされたマルフォイが腹いせにかけた呪いのせいだと主張する者もいます。

    機密保持法案が可決されると、マルフォイ一族は何世紀にもわたって彼らの行動を特徴づけてきた自衛本能を大いに発揮し、マグルとは――相手の生まれ育ちがどれほどよかろうと――きっぱり付き合うのをやめました。そして、これ以上法案に反対したり抵抗したりすれば、新たに権力の中枢となった発足間もない魔法省との溝が深まるばかりだという事実を受け入れたのです。彼らは唐突に手のひらを返し、当初からの支持者たちに匹敵するほど声高に、機密保持法への賛同を表明するようになります。そして、それまでマグルと親しく交際したり、婚姻関係さえ結んでいた事実を、あわてて否定し始めたのでした。

    莫大な富を自由に扱えるマルフォイ家は、以後何世代にもわたり、魔法省に対して相当な影響力を持つようになります。同時に、同省で多いに怒りを買う存在にもなりました。とはいえ、一族の出身者で魔法大臣の座を望んだ者は、これまでに 1 人もいません。マルフォイ家についてしばしばいわれるのは、「たとえ凶器の杖が彼らの指紋だらけでも、犯行現場に彼らの姿があることは決してない」というものです。自分たちだけで十分な財力を持ち、生活のために働く必要がない彼らは、通常、黒幕の立場を好みます。面倒な仕事は他人に任せ、失敗の責任も人に取らせるやりかたに満足しているのです。彼らはこれまで、自分たちにとって都合のいい候補者の選挙運動にも、しばしば資金援助をしてきました。その「援助」には、対立候補に呪いをかけるような汚れ仕事に対する報酬も含まれているといわれています。

  • 97121/11/13(土) 17:47:13

    03

    自分たちに富も権力ももたらすことができないマグル全員と、大多数の魔法使いを心の底から侮蔑しているマルフォイ一族は、おのずと純血主義に走りました。このことは、20 世紀の数年間、マルフォイ一族がふるった際限のない権力の源泉だったと見られます。機密保持法の施行以来、マグルやマグル生まれの魔法使いと結婚した者は、マルフォイ家には 1 人もいません。ただ、ゴーント家やレストレンジ家のような狂信的な少数派とは異なり、リスクのある同族結婚は避けてきました。純血のみから成るあまりにも少人数のグループ内で婚姻をくり返せば、その血筋は弱まったり、不安定なものになるからです。その結果、マルフォイ一族の家系図には半純血も多数見受けられます。

    特筆すべきマルフォイ一族出身者としては、14 世紀のニコラス・マルフォイ(扱いにくいマグルの店子を黒死病に見せかけて次々に殺害したといわれながら、魔法評議会の訴追を免れました)、18 世紀末の魔法省で絶大な権力をふるったセプティマス・マルフォイ(時の魔法大臣アンクチュアス・オズバートは彼の操り人形同然だったといわれています)、そして、アブラクサス・マルフォイ(マグル生まれで初めて魔法大臣の座に就いたノビー・リーチが 1968 年に早々とその職を辞した件で、彼を失脚させる陰謀にかかわったとされます。ただし、マルフォイ家に不利な事実はなにひとつ証明されていません)、といった面々が挙げられます。

    アブラクサスの息子ルシウスは、ヴォルデモート卿の死喰い人という地位にまで昇り詰めましたが、卿による 2 度にわたるクーデター未遂のあとも、まんまと投獄を免れました。最初のクーデターの際は、「服従の呪文」をかけられていたと主張しました(とはいえ、彼が魔法省の高官たちに協力を求めていたという証言も少なくありません)。2 度目のクーデターの際は、同志だった死喰い人たちに不利な証拠を進んで提供し、逃亡先に潜伏していたヴォルデモート卿追随者たちの逮捕に協力しました。

  • 98121/11/13(土) 17:47:57

    【純血】01

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    「純血」という言葉は、マグル、つまり魔法使いではない者の血が混じっていない一族や個人を指します。この概念は一般に、ホグワーツ魔法魔術学校を創設した 4 人の魔法使いのひとりであるサラザール・スリザリンに関連するものとされています。スリザリンはマグルの血筋に生まれた生徒を教えることを嫌い、それが原因でついには他の 3 人の創設者とたもとを分かち、学校を去りました。

    出自によって魔法使いを差別するスリザリンの考えについて、同時代の魔法使いの大半は、異常で偏った見解だととらえていました。当時の文献を読むと、マグル生まれは魔法界に受け入れられていたのはもちろん、優れた才能の持ち主と見なされることも少なくなかったことがわかります。彼らは親しみを込めて「マグボブ(魔法の浮き)」と呼ばれました(この呼称の由来については諸説ありますが、魔法がどこからともなくひょっこり「浮かびあがって」きたように見えることから、という説が一番もっともらしいように思われます)。

    ですが、1692 年に国際機密保持法が施行され、マグルによる迫害を逃れた魔法界がみずからその存在を秘密にするようになると、魔法界の見解にいくぶん変化が起きます。当時は魔女や魔法使いにとって大変つらい時代で、マグルとの結婚の件数も、かつてないほど落ち込みました。その主な理由は、マグルと結婚すれば魔法使いだと気づかれることは避けられず、そうなれば、魔法界の法律の重大違反を犯すことになる、というものでした。*

    そんな疑念と恐怖と怒りが渦巻く状況下で、純血主義は支持者を増やし始めます。純血主義に染まったのは概して、国際機密保持法に最も激しく反対し、マグルと全面戦争すべきだと主張した人びとでした。やがて、マグルとの婚姻は単に機密保持法に抵触するリスクがあるというだけでなく、自然の摂理に反した恥ずべき行いであり、魔法使いの血を「汚染する」ことになるのだと訴える魔法使いも、次第に増えていきました。**

  • 99121/11/13(土) 17:48:16

    02

    マグルと魔法使いの結婚は何世紀もの間ごく普通に行われてきたため、純血を自称する魔法使いでも、そうでない魔法使いと比べて先祖に魔法使いの占める割合が高いということはまれでした。純血を自称することは、厳密には生物学的事実の表明というよりも、「自分はマグルと結婚するつもりなどないし、マグルと魔法使いの結婚は非難さるべきものと考える」という、政治的または社会的立場の宣言だったのです。

    家系図の他に、魔法使いが純血であることを示すとされるいくつかの指標があります。それらについては、18 世紀初頭に刊行された数冊の怪しげな研究書(サラザール・スリザリン自身の著述を一部引用したもの)で触れられているのですが、最もよくいわれるのは、3 歳より前に魔法の能力を発現すること、早々と(7 歳より前に)箒を自在に操れるようになること、豚や豚の世話をしている人びとに対する嫌悪または恐怖を示すこと(豚はとりわけ魔法とは縁遠い動物と考えられることが多く、魔法にかかりにくいことでも知られています)、子どもがよくかかる病気に耐性があること、外見的魅力に優れていること、赤ん坊のときからすでにマグルがそばにいるとむずかること(マグルに対する恐れと嫌悪の表れと信じられています)などです。

    こうした特徴が純血の証しであるというのは、なんら事実に基づくものではありません。魔法省神秘部による継続的な調査研究によって、それは明らかになっています。にもかかわらず、純血の多くはこれらの傾向が魔法界における自分たちの地位の高さを示す証拠だと主張しつづけています。

  • 100121/11/13(土) 17:49:41

    03
    1930 年代の初頭、匿名の著者による『純血一族一覧』という本がイギリスで出版されました。この本を執筆した謎の権威者 *** により、間違いなく純血の血筋であると認定された 28 の一族が、「そうした一族が純血を保つのを助ける」目的で、リストアップされています。この本に挙げられている「聖 28 一族」は、以下のとおりです。
    アボット
    エイブリー
    ブラック
    ブルストロード
    バーク
    カロー
    クラウチ
    フォウリー
    フリント
    ゴーント
    グリーングラス
    レストレンジ
    ロングボトム
    マクミラン
    マルフォイ
    ノット
    オリバンダー
    パーキンソン
    プルウェット
    ロジエール
    ロウル
    セルウィン
    シャックルボルト
    シャフィク
    スラグホーン
    トラバース
    ウィーズリー
    ヤックスリー

  • 101121/11/13(土) 17:50:08

    04

    上記一族のごく一部は、一覧に載せられたことに公然と不快感を示し、自分たちには明らかにマグルの血が混じっているし、それを恥じてはいないと言明しました。なかでも声高に憤りをあらわにしたのは、大所帯で知られるウィーズリー一族です。彼らはイギリスの由緒ある魔法使い一族のほぼすべてとつながりを持ちながら、多数の魅力的なマグルを祖先に持つことを誇りにしていました。こうした抗議のせいで、ウィーズリー家は純血主義を唱える人びとの非難を浴び、「血を裏切る者」という汚名を着せられることになります。その一方で、自分たちがリストに載っていないと言って、多数の一族が不満の声をあげました。

    * その後の数十年間で魔法使いとマグルの婚姻数は再び上昇に転じ、現在のような健全な水準にまで戻りましたが、魔法界の存在が広く世に知れ渡ってしまうという結果にはなっていません。その理由について、モルディカス・エッグ教授の著書『俗なるものの哲学――なぜマグルは知ろうとしないのか』が指摘するところによると、夫や妻と愛し合っているマグルは概して相手を裏切ろうとはせず、一方愛情が冷めたマグルが配偶者について魔女や魔法使いだと告発したところで、周りから笑われるだけだからだといいます。

    ** 実情はむしろ逆を示していて、極めて少人数の集団内で魔法使い同士の結婚をくり返していると、心身ともに不安定で弱々しい子どもが生まれる傾向にあるようです。

    *** 一般には、カンタンケラス・ノットだといわれています。

  • 102121/11/13(土) 17:50:59

    【ピーブズ】01

    ピーブズは騒々しいポルタ―ガイストです。意地悪そうな暗い目と大きな口が特徴で、自由自在に姿を消すことができます。学校中で騒ぎを起こすのが好きで、生徒や先生によくいたずらをします。ダンブルドア先生の言うこともある程度は聞きますが、彼をコントロールできるのはスリザリンのゴースト「血みどろ男爵」だけです。

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    「ポルターガイスト」という名称の語源はドイツ語で、「騒がしい霊」というような意味です。とはいえ、厳密にいえばポルターガイストは霊ではなく、物を動かしたり、ドアをバタンと閉めたりと、耳に聞こえる動的な騒ぎを引き起こす目に見えない存在です。多くの文化圏で報告されており、若い人、特に思春期の少年少女が住む場所と強い関連性があるようです。この現象の原因については、超自然的なものから科学的なものまで諸説あります。

    ティーンエイジャーの魔女や魔法使いが大勢集まる建物で、ポルターガイストが発生するのは当然のことでした。また、そういった場所に発生するポルターガイストは、マグルの家に発生するものより騒がしくて破壊的で、追い払うのも難しいはずだと考えました。ピーブズは間違いなく、イギリス史上最も悪名高く、厄介なポルタ―ガイストです。大半の仲間と異なり、ピーブズには肉体があり、自在に姿を消すこともできます。見た目どおりの性格で、本人を知っている人なら認めるとおり、ユーモアと悪意が一体化しています。

    「ピーブズ」という名前は、言い得て妙です。というのも、ハンカートン・ハンブル(4 人の創設者が任命した管理人)以来、ホグワーツの管理人全員にとって、ピーブズは「悩みの種(ペット・ピーブ)」だったからです。ピーブズは、多くの生徒や先生たちからもなぜか好かれていますが(彼が学校生活に一種の趣を添えていることはたしかでしょう)、救いようもないくらい破壊的で、彼がわざと散らかしたものを片付けるのはいつも管理人の仕事です。割れた花瓶、引っくり返った魔法薬、倒れた本棚など、管理人たちはいろいろなものの後片付けをしなければなりません。また、気の弱い生徒たちは、教室を移動している間にピーブズが突然鼻先に現れたり、甲冑に隠れたり、頭の上に物を落としてきたりすることを嘆いています。

  • 103121/11/13(土) 17:51:16

    02

    ピーブズを追い出そうという城をあげた試みは、過去に何度か行われましたが、すべて失敗に終わっています。1876 年に当時の管理人のランコラス・カープが実行した最後の試みは、最も悲惨な結果に終わりました。カープは手の込んだ仕掛けを用意し、ピーブズが好きそうな武器をたくさん揃えておびき寄せ、「封じ込めの術」で強化した大きなガラス鐘を彼の上から落とすつもりでした。ところが、ピーブズは巨大なガラス鐘を簡単に壊して廊下中にガラス片をまき散らしただけでなく、短剣、石弓、ラッパ銃、小型の機関砲などの罠からも逃れてしまったのです。ピーブズは窓から手当り次第に銃や弓を撃って遊び、誰もが命の危険にさらされたため、城にいた者たちは避難しなければなりませんでした。にらみ合いは 3 日間続きましたが、当時校長を務めていたユープラキシア・モール女史がピーブズに追加の特権を与える契約書にサインすることに合意し、事態は収束しました。このときピーブズに与えられた特権は、1 階の男子トイレで週に 1 度泳ぐ権利、厨房にある硬くなったパンを、投げる目的で真っ先にもらえる権利、パリのマダム・ボナビユに新しい帽子をオーダーメイドでつくってもらえる権利などです。ランコラス・カープは健康上の理由で早期退職しましたが、それ以降、このホグワーツ一お行儀の悪い住人を城から追い出そうとする試みは二度と行われませんでした。

    ピーブズも、ある程度の上下関係は認識しています。肩書きや地位にはまず心を動かされないものの、先生たちにとがめられれば言うことを聞き、授業中は教室に入らないようにしています。また、一部の生徒(とくにフレッドとジョージ・ウィーズリー)には親しみを示すことも知られていて、スリザリンのゴースト「血みどろ男爵」については、間違いなく恐れています。

  • 104121/11/13(土) 17:52:08

    【ホグワーツのゴースト】01

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    ホグワーツは、イギリスで最もゆうれいがよく出る住居です(イギリスというじめじめした島国は世界中のどこよりもゆうれいの目撃談が多いので、並みいるライバルたちを押さえてトップということになります)。ホグワーツ城は、ゴーストたちにとって住み心地のよい場所なのです。ホグワーツの住人たちは、何度同じ思い出話をしても、寛容な態度で、愛情を持って、今はなき友人たちと接してくれるからです。
    ホグワーツの 4 つの寮にはそれぞれゴーストがいて、スリザリンには、銀色の血でべっとり汚れた「血みどろ男爵」が取り憑いています。寮のゴーストの中で一番口数が少ないのは、髪が長く美しい姿をした「灰色のレディ」です。

    ハッフルパフに取り憑いている「太った修道士」は、農民を棒で突くだけでできものを治す能力を持っていたり、不届きにも聖餐杯からしょっちゅうウサギを取り出したりしていたため、高位聖職者たちから怪しまれるようになり、処刑されました。おおむね陽気な性格ですが、今もなお、枢機卿になれなかったことに腹を立てています。

    グリフィンドールには、「ほとんど首無しニック」が取り憑いています。生前の名はニコラス・ド・ミムジー - ポーピントン卿といい、どこか気取ったところがあって、本人が思っていたほどは腕のよくない魔法使いでした。ヘンリー 7 世の宮廷をうろついていたニコラス卿は、愚かにも魔法で女官を美しく変身させようと試みましたが、不幸なことにその女官に牙を生やしてしまいました。結果、ニコラス卿は杖を奪われ、下手なやり方で処刑されたため、頭が首の皮 1 枚でつながった状態になってしまったのです。このためニックは、完全に首無しのゴーストに対して劣等感を抱いています。

    もう 1 人、ホグワーツの有名なゴーストとして挙げられるのは、誰も使わない女子トイレに取り憑いた「嘆きのマートル」です。マートルは亡くなった当時ホグワーツの生徒でしたが、最大のライバルでいじめっ子だったオリーブ・ホーンビーに取り憑くという短期的な目的のため、みずから永久に学校に戻ってきました。それから何十年という時が流れ、学校一みじめなゴーストとして有名になったマートルは、トイレの個室に隠れ、タイル張りの空間で呻いたり喚いたりしている姿がよく目撃されています。

  • 105121/11/13(土) 17:52:32

    02

    J.K. ローリングの言葉

    「嘆きのマートル」を思いついたきっかけは、私が若いころ、とくにパーティー会場やディスコのトイレで女の子が泣いている姿をよく目にしていたことでした。男性用トイレではあまり見られない光景のようなので、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』と『ハリー・ポッターと謎のプリンス 』で、そうした居心地の悪い不慣れな状況にハリーとロンを置いてみるのは、著者として楽しいことでした。

    ホグワーツで最も有意義なゴーストは、もちろんビンズ先生でしょう。ビンズ先生は「魔法史」の先生ですが、ある日、教員室の暖炉の前で居眠りをしてしまい、起きて次のクラスに行くときに生身の体を置き去りにしてしまいました。ビンズ先生が自分が死んでいることを自覚しているのかどうかは、議論の分かれるところです。黒板を通り抜けて教室に現れる姿は、初めて見る生徒にとってはささやかな楽しみになるでしょうが、ビンズ先生は特に刺激的な先生というわけではありません。

    ビンズ先生の着想は、私が通っていた大学の年配の教授から得ました。その教授はいつも目を閉じて、爪先立ちで前後に体を揺らしながら授業をしていました。講義では毎回、重要な情報を次から次に話してくれる聡明な先生でしたが、生徒とコミュニケーションを取ることはまずありませんでした。ビンズ先生は、目の前に生きた生徒たちがいることをおぼろげにしか認識しておらず、生徒が質問しはじめるとびっくりします。

    初期の段階で書き留めてあったホグワーツのゴーストのリストには、マートル(当初は「めそめそワンダ」という名前でした)、ビンズ先生、「灰色のレディ(当初の名前は「ひそひそレディ」)」、そして「血みどろ男爵」が載っています。また、「黒い騎士」や「ヒキガエル(教室中にエクトプラズムを残すゴースト)」というのもあり、中には名前を採用しなかったことを後悔しているゴーストもあります。「エドモンド・グラッブ」というのがそれで、名前の横のメモ書きには、「食堂の出入り口で息を引き取った。ときどき腹いせに人が食堂に入れないようにする。太ったビクトリア朝のゴースト(毒イチゴを食べて死んだ)」とあります。(グラッブには、「食べ物」という意味があります)

  • 106121/11/13(土) 17:52:58

    【ギルデロイ・ロックハート】01

    誕生日:
    1 月 26 日
    杖:
    サクラとドラゴンの心臓の琴線、22.5 センチ、わずかに曲がる
    ホグワーツの寮:
    レイブンクロー
    特殊能力:
    忘却術の達人であり、オカミーの卵の黄身をつかった「輝かしく輝く髪」を約束する整髪剤を開発。(開発したシャンプーは確かに効果てきめんだったが、大量生産して市場に出すにはあまりにも危険で高価なものだった。)
    家系:
    マグルの父親、魔女の母親
    家族:
    マグルの女きょうだいが 2 人、子どもはいない
    趣味:
    自分の写真にサインをすること、執拗に自己宣伝を行なうこと
    幼少時代

    魔女の母親とマグルの父親の間に生まれ、2 人の姉を持つギルデロイ・ロックハートは、3 人姉弟のなかでただひとり、魔法の力を発現しました。賢くハンサムで、母親からあからさまにえこひいきされたロックハート少年は、まるで猛毒の雑草の花が開くように、うぬぼれの心を大いに開花させた魔法使いの卵でした。

    学生時代

    ホグワーツ魔法魔術学校に入学したロックハート少年には、本人や彼の母親が期待したような栄光がもたらされることはありませんでした。ホグワーツの生徒の大半は彼より魔法に熟練した魔女や魔法使いたちで、そんな仲間に囲まれての学校生活を、ロックハートはどうしても楽しむことができませんでした(実は、ロックハートが理想として想い描いていたホグワーツ入学直後の光景は、何十年もあとにハリー・ポッターが経験することになるものと同様でした。廊下を歩くと、自分の魔法の能力について興奮気味に噂するひそひそ話が聞こえてくる――そんな場面を想像していたのです。ホグワーツの生徒たちは誰もが入学前にそれと似たような経験をするものなのですが、ロックハートはそんなことを知るよしもありませんでした)。自分のことをすでに一人前の天才的英雄と思い込んでいたロックハートにとって、自分は無名で、才能も並で、自然と波打つ髪についても誰も取り立ててほめてくれないことは、あまりにも受け入れがたい衝撃でした。

  • 107121/11/13(土) 17:53:27

    02

    だからといって、ロックハートに才能がまったくなかったわけではありません。ロックハート少年を受け持った教師たちは、彼の知力と能力が平均を上回っていると感じていましたし、努力さえすれば将来成功する可能性はあると期待していました。とはいえ、本人がクラスメイトたちにさんざん吹聴していた野望を成し遂げられるほど優秀だったわけではありませんでした(「自分は卒業までに賢者の石を作り、クィディッチのイングランド・チームでキャプテンになってワールドカップ出場を果たし、その後、イギリスで最年少の魔法大臣に就任する」――ロックハート少年は、話につきあってくれる者を見つけては、こんな大風呂敷を広げていたのです)。

    レイブンクローに組分けされたロックハート少年は、学業ではすぐに好成績を収めるようになりましたが、どこかひねくれた性格があだとなり、それだけではどうしても満足できなくなっていきます。自分が一番になれないならまったくやらないほうがましだと考えるロックハート少年は、しだいに楽をしたりうまく逃れたりすることにみずからの才能を活かすようになります。彼にとって勉強は何かを学ぶためのものではなく、それによって注目を浴びるためにするものでした。賞やほうびをしきりに欲しがり、印刷物に載った自分の名前と写真を見ることをなにより大きな喜びとしていたロックハート少年は、校内会報誌を刊行してほしいと校長に働きかけたほどです。彼は決して人気者になることはありませんでしたが、人目をひく「偉業」の数々が功を奏し、学校中にみずからの存在を知らしめるという第一の目標は達成しました。魔法を使ってクィディッチのピッチに長さ 6 メートルの文字で自分のサインを刻み、1 週間の居残り罰を受けたこともあれば、自分の顔を模した巨大な光る映像を創りだし、闇の印よろしく空に打ち上げたこともありました。また、ある年には自分宛てに 800 通ものバレンタイン・カードを送り、大広間にふくろうが殺到したため、その日の朝食が中止になる騒ぎを起こしたこともありました(オートミールに大量の羽根やフンが入ってしまったのです)。

  • 108121/11/13(土) 17:53:49

    03

    卒業後

    ロックハートがようやくホグワーツを卒業すると、教職員たちはひそかにほっとしました。それからほどなくして、外国のいろいろな地域で彼の噂が聞かれるようになります。異国の地で彼が成し遂げたとされる偉業の数々が、注目を集めはじめたのです。遠い国のいろいろな場所で危険な闇の生物を退治し、勇敢さと心身の強靭さを見せつけるロックハートに、彼を受け持ったことのある教員たちの多くは、評価を誤ったかもしれないと思いはじめました。

    しかし実際には、ロックハートがようやくみずからの天職を見つけたというだけでした。決して無能な魔法使いだったわけではなく、努力を怠っていただけだったロックハートは、みずからの能力の注ぎどころを 1 つに絞り、忘却術だけをひらすら修練することにしたのです。この巧妙な呪文を完璧にマスターしたロックハートは、10 名以上におよぶ勇敢な熟練の魔女や魔法使いたちの記憶を修正することに成功しました。こうして他人の勇気ある功績を自分のものにしたロックハートは、1 つ「冒険」を終えてイギリスに戻るたびに新作の著作を出版し、細部に大量の創作を交えた「みずからの」勇敢な偉業を読者に語ったのです。

    この自伝シリーズによって、ロックハートはホグワーツ卒業から 10 年とたたないうちにベストセラー作家となり、闇の魔術に対する世界最高レベルの防衛者として評価されます。そしてついにはマーリン勲章、勲三等を授与され、闇の力に対する防衛術連盟名誉会員の地位にまでのぼりつめました。また、鋭い歯や爪を持つ狼人間やバンシーなどと死闘を繰り広げてきたとは思えないほどハンサムな彼は、「週間魔女」の「チャーミング・スマイル賞」を 5 回も連続で受賞しています。

  • 109121/11/13(土) 17:54:41

    04

    再びホグワーツへ

    ギルデロイ・ロックハートをホグワーツの「闇の魔術に対する防衛術」教師として迎えるというアルバス・ダンブルドアの選択には、多くの教職員がその意図を図りかね、困惑しました。「闇の魔術に対する防衛術」の教職は呪われているという噂がホグワーツの内外でますますまことしやかにささやかれるようになっていたため、この職に就くようほかの人を説得するのは、たしかにほぼ不可能な状況でした。それでも、卒業後のロックハートの功績がいかにすばらしかろうと、教師たちの大半は彼を鼻持ちならない生徒として記憶していたのです。

    しかし、アルバス・ダンブルドアにはちゃんと思惑がありました。ダンブルドアは、長年の仕事の成果をギルデロイ・ロックハートに横取りされた魔法使いのうち 2 人と知り合いで、ロックハートが実は何をしているか勘づいている、この世でたった 2 人の人物のひとりだったのです。ロックハートが詐欺師でありペテン師であることを暴くには、彼を再びごく普通の学校の環境下に置くだけで済むと、ダンブルドアは確信していました。常々ロックハートを疎ましく思っていたマクゴナガル先生は、あんな自分の名声にしか興味がないうぬぼれた人物から、生徒たちは何を学ぶのかとダンブルドアに詰め寄りました。ダンブルドアの答えはこうでした。「質の悪い教師からも、学ぶことはいくらでもある。何をするべきでないか、どんな人間になるべきでないか、などじゃ」

    他人から盗み取った栄光で築いたキャリアが順調だったロックハートがホグワーツに戻ることに乗り気になったのは、ひとえにダンブルドアのおかげかもしれません。ダンブルドアはロックハートにハリー・ポッターの教師となる機会を約束し、名声に目がないロックハートの心をくすぐったのです(その 4 年後、別の教師をホグワーツに戻るよう説得した際にも、ダンブルドアは同じ手を用いています)。ハリー・ポッターを指導した教師ともなれば、自身の名声にも箔が付くとほのめかすダンブルドアの誘惑に、ロックハートはあらがうことができませんでした。

  • 110121/11/13(土) 17:55:01

    05

    ホグワーツに戻ったロックハートの魔法の腕前は、かつてはそれなりに優秀だったものの、もはや回復不可能なレベルまでさびついてしまっていました。きちんとかけられるのは長年使い続けてきた忘却術だけで、授業が始まると、彼のクラスはたちまち茶番と化します。みずからの著書で「熟練している」と豪語していたありとあらゆることを、ロックハートは一切やりとげることができないと明らかになったのです。

    ホグワーツに勤務した年の学年末、ロックハートは事故で正気を失います。忘却術をかけようとした際に杖が逆噴射し、過去の記憶を永遠に失ってしまったのです。以来ギルデロイ・ロックハートは、聖マンゴ魔法疾患傷害病院のヤヌス・シッキー病棟 に収容されています。

    "ギルデロイ・ロックハートは一人っ子として育ちました。子どもの頃から魔法の素質があり、ホグワーツへの入学をとても誇らしく思っていました。彼はレイブンクロー寮に組み分けられましたが、たぶんスリザリンへ組み分けられるところを逃れ、なんとかレイブンクローへ入ったように思えます。…意外と思う方は少ないでしょうね。"

    "ギルデロイ・ロックハートはペンネームではなく、本名です。彼の母親は子ども対する期待がとても高く、「ギルデロイ」という名前から、特別な人間として息子を支えてきた彼女の人間像がうかがえます。私は、ギルデロイという名前はかなりインパクトがあると思っています。"

    "ギルデロイは自分の名を売るための方法を常に考えている、現代的なセレブリティといえます。結果、彼は自分のヘアケア製品を売り出したいと考えるようになりました。天然のウェーブのある髪が自慢の彼は、オカミーの卵が髪をツヤツヤにすることを発見したのでしょう。しかしオカミーは凶暴な生物で、卵の殻は銀でできています。そんな卵をシャンプーに使うのは非常に危険で、コストがかかりました。そういったことから、ギルデロイの夢が叶うことはありませんでした。"

  • 111121/11/13(土) 17:55:39

    06

    J.K. ローリングの言葉

    以下は、2005 年 12 月にクリスマススペシャルとして BBC ラジオ 4 で放送されたインタビュー(同年の晩夏に同局で収録)の抜粋となります。
    J.K. ローリングとスティーヴン・フライの対談を通じて見えてくる、ギルデロイ・ロックハートの名前の由来

    SF:特殊な表現は本や辞書などから探してくるのですか?それともそういう言葉を覚えているのですか?
    JKR:あえて本から探そうとはしませんね。普段読んでいる本で集めたり、たまたま見つけた言葉だったりします。だけど、ギルデロイ・ロックハートは特別でした。「ロックハート」はスコットランドでは有名な名字ですよね。
    SF:そうですね。
    JKR:この名前との出会いは、戦没者の慰霊碑でした。当時、私は派手で勢いのある名字を探していて、慰霊碑にあった「ロックハート」という名前に目がとまりました。次にキリスト教の洗礼名を探したのですが、しっくりくるものが見つかりませんでした。ある晩、ブルーワー英語故事成語大辞典という辞書で何か使えそうな名前がないだろうかと探していたとき、「ギルデロイ」という名前を見つけました。とてもハンサムな追いはぎをする盗賊の名前でした。
    SF:本当ですか?
    JKR:こうしてギルデロイ・ロックハートという名前が生まれたのです。音もぴったりだと思いました。
    SF:その通りですね。完璧です。
    JKR:印象的だけど、中身がない響きを持っています。
    SF:実際に彼もそうでしたね。
    JKR:そうです。

  • 112121/11/13(土) 17:56:00

    【ゴースト】

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    ハリー・ポッターの世界のゴーストは、死んだあとも 3 次元の姿で現世に存在しつづける、魔女や魔法使いの透明な痕跡です。マグルはゴーストとしてこの世に戻ってくることはできませんし、賢い魔女や魔法使いなら、その道を選びません。ゴーストになるのは、「やり残したこと」のある人たちです。恐れ、罪悪感、後悔、物質世界へのあからさまな執着といった理由から、次の次元に移ることを拒んでいる人たちなのです。

    この世にとどまるかすかな幻影としての生き方を選んだゴーストたちは、できることが限られています。肉体的快楽はありませんし、知識や考え方は生前の状態のまま進歩しないので、古い恨み(たとえば、首を不完全に切断されたことなど)で、何世紀にもわたって苦しみ続けます。このため、一般的にゴーストは、一緒にいて楽しい相手とはいえません。特に、多くの人が興味を抱くと思われる、「死ぬのはどんな感じか」という話題を振ると、がっかりさせられます。ゴーストたちは死ぬ代わりに劣化版の人生を送ることを選んだので、こうした質問に気の利いた答えを返せないのです。

    ゴーストは、けがをしたり物を壊したりすることなく、物の中をすり抜けることができます。ただし、水と火と空気については、かき乱すことができます。ゴーストのすぐ近くでは気温が急激に下がり、1 ヵ所に大勢のゴーストが集まると、なおさら寒くなります。また、ゴーストが現れると、炎は青色になります。ゴーストの体が生きた人間の体を通り抜けると、通り抜けられた人は氷水に入れられたかのような冷たい感覚に襲われます。

    魔女と魔法使いは、マグルのいう超常現象に対してはるかに敏感です。ゴーストが取り憑いている場所について、マグルは単に「寒い」とか「気味が悪い」としか感じませんが、魔女と魔法使いにははっきりとゴーストの姿が見えたり、声や音が聞こえたりします。ゴーストの姿がくっきり見えるとマグルが主張した場合、嘘をついているか、魔法使いが目立とうとしているかのどちらかです。もちろん、後者の場合は国際機密保持法の重大な違反にあたります。

  • 113121/11/13(土) 17:56:21

    【グリフィンドールの剣】01

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    グリフィンドールの剣は今から千年前、魔法界で最も金属細工を得意とする種族である、小鬼の手で鍛えられました。このため、この剣には魔力が宿っています。剣は純銀製で、ルビーがはめ込んであります(ルビーは、ホグワーツで寮の得点を記録する砂時計で、グリフィンドールを表す宝石です)。また、鍔のすぐ下にはゴドリック・グリフィンドールの名前が刻まれています。

    この剣はゴドリック・グリフィンドールの注文に応じて造られたもので、製作者は小鬼きっての銀細工師で、それゆえに王でもあったラグヌック1 世です(小鬼の文化では、王といえども他の者と同じように働きます。しかも、王は誰より優れた腕前を持っています)。剣が完成すると、その出来栄えをいたく気に入ったラグヌックは、剣をどうしても自分のものにしたくなりました。そこで、ラグヌックはグリフィンドールに剣を盗まれたふりをし、取り返すよう家来に命じて差し向けます。杖で防戦したグリフィンドールは、襲ってきた相手を殺すことはしませんでした。そのかわり、家来たちに魔法をかけてラグヌックのもとに送り返し、今度自分から盗もうとしたら、そのときはこの剣を鞘から抜きはらい、容赦なく使うと警告しました。

    小鬼の王はこの警告に恐れをなし、二度とグリフィンドールの正当な所有物を奪おうとしなかったものの、腹の虫は生涯収まりませんでした。こうしてグリフィンドールが盗みを働いたという事実無根の言い伝えが生まれ、小鬼社会の一部で、今日にいたるまで語り継がれているのです。

    魔法使いになぜ剣が必要なのかという疑問はよく聞かれますが、答えは簡単です。国際機密保持法の施行以前、魔法使いが自由にマグルと交流していた時代、彼らは自分の身を守る際に杖と同じくらい剣も利用していたのです。むしろ、マグルの剣に魔法使いの杖で対抗するのはフェアではないとされていました(とはいえ、そういうケースがまったくなかったわけではありません)。才能に恵まれた魔法使いの多くは通常の方式の決闘にも秀でていて、グリフィンドールもそのひとりでした。

  • 114121/11/13(土) 17:56:59

    02

    魔法の剣にまつわる伝承は、枚挙にいとまがありません。たとえば、トゥアハ・デ・ダナーンの 4 種の神器のひとつ、ヌアザの剣は、ひとたび抜き放たれれば無敵の強さを発揮したといわれます。グリフィンドールの剣は、アーサー王の聖剣エクスカリバーの伝説からヒントを得ました。いくつかの伝説では、エクスカリバーは正当なる王の手で岩から引き抜かれる必要があるとされています。「剣を手にする資格」という発想は、グリフィンドールの剣が、真の持ち主の名を冠した学寮にふさわしい生徒の手に戻る、という筋立てに生かされています。

    魔法の杖と同じように、グリフィンドールの剣も一定の知覚を持っているようです。それは、剣がグリフィンドールの選ばれし後継者の助けを求める声に応えることから分かります。同じく魔法の杖に似ている点として、グリフィンドールの剣の魔力には毒や血を吸収する能力もあり、吸収した力を敵に対して使うことができます。

  • 115121/11/13(土) 17:57:26

    03

    J.K. ローリングの言葉

    「死の秘宝」で、ハリーがグリフィンドールの剣を手に入れるために凍った森の池に潜らなければならない場面は、単にエクスカリバーが湖から現れたことをモチーフにしているだけではありません。アーサー王伝説のいくつかのバージョンでは、エクスカリバーは湖の乙女によってアーサー王に授けられ、王が死ぬと剣は湖に返されたことになっているのです(もっとも、グリフィンドールの剣が池の底に置かれた本当の理由はスネイプの衝動的な悪意ですが)。

    魔法界では、なにかを物理的に所有していても、所有権があることになりません。この概念は 3 つの死の秘宝にも当てはまり、グリフィンドールの剣についても同じです。

    私は異なる文化的信念が衝突したらどうなるかに興味を持っています。「ハリー・ポッター」の小説では、最も先鋭的なゴブリンは、ゴブリンが作ったあらゆる品は当然ゴブリンのもので、特定の品についてはお金の支払いと引き換えに魔法使いが生きている間だけ譲り渡す、という考えです。一方の魔法使いは、マグルと同じく、支払いをすれば品物は自分たちと子孫あるいは遺産受取人に永久に帰属すると考えています。これは解決策なき価値観の衝突です。何が正しいかについて双方が異なる見解を持っているからです。そのため、「死の秘宝」でグリップフックが手助けの報酬としてグリフィンドールの剣を要求したとき、ハリーは道徳上の難しいジレンマを抱えることになります。

  • 116121/11/13(土) 17:57:59

    【マージ・ダーズリー】
    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    マージョリー・アイリーン・ダーズリーは、バーノン・ダーズリーの姉です。ハリー・ポッターと血のつながりはありませんが、ハリーは「マージおばさん」と呼ぶよう言いつけられています。

    マージは体が大きい意地悪な女性で、ブルドッグのブリーダーとしての仕事を人生で何よりの楽しみとしています。体罰と率直な物言いを肯定する主義で、嫌味を言うのが得意です。留守中に犬の世話をしてくれる隣人のファブスター大佐に密かに恋をしていますが、ファブスター大佐のほうはマージのおぞましい性格を知っているので、絶対に結婚する気はありません。この報われない情熱が、彼女の他人に対する数々の意地悪な行為に拍車をかけています。

    マージはただひとりの甥っ子のダドリーを溺愛しています。ダーズリー一家と暮らすハリー・ポッターが魔法使いであることは知りません。ハリーについては、働いていない怠け者の両親の間に生まれ、働き者の親戚のバーノンとペチュニアに押しつけられた子どもだと思っています。偏見に凝り固まり、ずけずけと物を言うマージが本当のことを知るのを恐れて、ペチュニアが長年にわたってそういう印象を植えつけてきたのです。

    マージに両親のことを侮辱されたハリーは、怒りのあまり魔法の力を抑えられなくなり、マージの体を気球のように膨らませてしまいます。この事件を処理するために、魔法省から「魔法事故リセット部隊」の隊員が 2 人派遣され、マージの記憶を修正しなければなりませんでした。それ以来、ダーズリー一家はハリーが家にいる間はマージを家に招かなくなり、ハリーが彼女に会うことは二度とありませんでした。

    J.K. ローリングの言葉

    マージおばさんをブルドッグのブリーダーにしたことについては、後悔しています。ブルドッグは攻撃的な犬ではないことがわかったからです。妹がブルドッグを 1 匹飼っていますが、このうえなく愛くるしくて、優しい犬です。とはいえ、見た目は気むずかしそうなので、外見だけでいえばマージおばさんにぴったりだと思えたのです。

  • 117121/11/13(土) 17:58:47

    【夜の騎士バス】01

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    煙突飛行粉で酔ってしまう、「姿現し」がうまくできない、高所恐怖症、「移動キー」を使うのが怖い、または使うと気分が悪くなってしまう…そんな魔女や魔法使いたちには、「夜の騎士バス」という移動手段があります。緊急に乗り物が必要になったとき、縁石で杖腕を突き出せば、いつでも「夜の騎士バス」が現れます。

    「夜の騎士バス」は、3 階建ての紫色のバスです。日中は車内に座席がありますが、夜にはベッドが並びます。とりわけ乗り心地のよいものではありませんので、もし勧められても、温かい飲み物は頼まないほうがいいでしょう。バスは目的地から目的地へと瞬時に飛ぶように移動するため、きっとこぼれてしまうからです。

    魔法界はときどきマグルの世界のアイデアを取り入れていますが(もっとも、そのことを認めることはめったにありませんが)、「夜の騎士バス」は比較的最近の発明です。未成年者やお年寄りが安心して利用できる、目立たない乗り物の必要性については長く議論されていて、タクシー風の箒にサイドカーを取りつけるとか、セストラルの下に籠を吊るすなどといった多くの案が出ましたが、いずれも魔法省が却下していました。最終的には、マグルたちの比較的新しい「バスサービス」をまねるというアイデアを魔法大臣のドゥガルド・マクフェイルが提案し、1865 年に「夜の騎士バス」の運行が開始されたのです。

    一部の魔法使い(主に筋金入りの純血主義者たち)は、この乗り物を「マグル風の侮辱」と呼び、「日刊予言者新聞」の投書欄でボイコットの意向を表明しました。しかし、「夜の騎士バス」は魔法界の大半で大好評だということが明らかになり、今日も多くの人が利用しています。

  • 118121/11/13(土) 17:59:04

    02

    J.K. ローリングの言葉

    「夜の騎士バス」という名前をつけた理由は、まず、騎士(ナイト)という言葉が夜(ナイト)と同音異義語であり、イギリスでは通常の交通機関の運行が終了したあとも、夜行バスが各地を走っているからです。2 つ目の理由は、「騎士」には「救助に駆けつける者」や「護衛者」という意味合いがあり、魔法使いにとって最後の頼みの綱となることが多いこのバスには最適だと思えたからです。

    『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』に登場する「夜の騎士バス」の運転手と車掌の名前、アーネストとスタンリーは、私の 2 人の祖父から取りました。

  • 119121/11/13(土) 17:59:30

    【ケトルバーン先生】

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    誕生日:
    11 月 22 日
    杖:
    クリ材、不死鳥の羽根、29 センチ、しなやか
    ホグワーツの寮:
    ハッフルパフ
    特殊能力:
    魔法生物に関する豊富な知識、怖いもの知らず
    家系:
    魔法使いの父親、魔女の母親
    家族:
    妻子なし
    趣味:
    危険生物は彼の仕事でもあり、趣味でもある
    シルバヌス・ケトルバーンは、ホグワーツで「魔法生物飼育学」を担当していた先生です。ハリーが 3 年生のときに、ルビウス・ハグリッドに交代するまで教えていました。

    ケトルバーンは熱心な先生でしたが、ときに向こう見ずになるきらいがあり、みずから研究し、世話をしている危険生物たちを心から愛するあまり、大けがをしたり、ときには他人にけがを負わせてしまったりすることがありました。このため、ホグワーツ在職中に 62 回以上も停職処分を受けており、その記録は今も破られていません。後任のハグリッドと同じく、オカミー、グリンデロー(水魔)、ファイア・クラブ(火蟹)といった生物の世話に伴う危険性を甘く見がちです。アッシュワインダーに呪文をかけ、「豊かな幸運の泉」のお伽芝居で「いも虫」を演じさせ、大広間を火事にする惨事を引き起こしたことは語りぐさになっています。

    ケトルバーンは変わり者ですが、魅力的な人物でもありました。長年ホグワーツの先生を務めていたことが、職員や生徒たちから慕われていた何よりの証拠です。退職したとき、ケトルバーンの腕は 1 本しかなく、脚は片脚が半分しか残っていませんでした。アルバス・ダンブルドアは退職するケトルバーンに、魔法をかけた木製の義手と義足をプレゼントしました。ですが、この義手と義足は定期的に付け替えなければなりませんでした。ケトルバーンは暇なときによくドラゴン保護区を訪れていて、義手と義足にたびたび火がつき、燃えてしまったからです。

  • 120121/11/13(土) 18:00:00

    【ホグワーツの肖像画】

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    ホグワーツの肖像画は、言葉を話したり、絵から絵へと移動したりできます。彼らは描かれた絵のモデルらしく振る舞いますが、肖像画を見る者とどの程度のかかわりを持てるかは、画家の腕ではなく、描かれた魔女や魔法使いの能力によって決まります。

    魔法の肖像画を描くとき、魔女や魔法使いの画家は当然、魔法を使って絵が普通に動けるようにします。肖像画はモデルのお気に入りの言い回しを口にしたり、普段の振る舞いをまねしたりするため、カドガン卿の肖像画は常に戦いを挑んできますし、しょっちゅう馬から落ちたり、かなりおかしな行動を取ったりします。彼を描かなければならなかった気の毒な魔法使いの目には、彼の姿はそう映っていたのでしょう。一方、「太った婦人」の肖像画は、実在のモデルが亡くなったあともずっと、大好物の食べ物や飲み物を好きなだけ口にしながら、安全確保に努めています。

    しかし、こうした肖像画たちはどれも、自分たちの生の複雑な側面について深く議論することはできません。彼らは文字どおり、また比喩的な意味でも「二次元」の存在で、あくまで画家の目で見た、生きたモデルの肖像にすぎないのです。

    魔法の肖像画の中には、現実世界とかなりかかわりを持つことができるものもあります。校長の肖像画は亡くなる前に描かれるのが伝統ですが、モデルとなった校長は完成した肖像画をしっかり鍵を掛けて保管し、定期的に物置(その他、好みの保管場所)の中の肖像画を訪ねます。そして、肖像画が自分とそっくりに振る舞えるよう指導し、有益な記憶や知識のすべてを授けるのです。こうした情報は、その後何世紀にもわたって後任者に引き継がれていきます。

    一部の校長の肖像画が持つ知識の深さや洞察力の鋭さについては、現職の校長以外に誰も知りません。ただし、何世紀もの間に校長室を訪れた生徒たちのごく一部は、部屋に入ったときに目にする肖像画たちの見るからに眠そうな顔が、必ずしも本当の姿ではないことに気づいています。

  • 121121/11/13(土) 18:00:45

    【忍びの地図】01

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    「忍びの地図」をつくった 4 人(ジェームズ・ポッター、シリウス・ブラック、リーマス・ルーピン、ピーター・ペティグリュー)ほど、規則を破ってホグワーツ城と学校の敷地を探検しつくした生徒は、おそらくいないでしょう。ハリー・ポッター、ロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャー、そしてトム・リドルを含めてもです。

    ジェームズ、シリウス、ピーターの 3 人が夜な夜な学校の敷地を探検していたのは、単にいたずら心からではなく(多少はそういう気持ちもありましたが)、狼に変身してしまう親友のリーマス・ルーピンを助けたいという思いからでした。トリカブト系の脱狼薬が発明される前、ルーピンは満月の夜のたびに、激しい苦痛を伴う変身に耐えなければなりませんでした。そんなルーピンの症状を知った親友たち 3 人は、ルーピンが孤独を感じず、苦痛も少なく変身できる方法を模索します。そして、自分たちがけがをせずにルーピンのそばにいられるよう、未登録の「動物もどき」になる方法を身につけたのです。シリウス・ブラック、ピーター・ペティグリュー、ジェームズ・ポッターの 3 人は、それぞれ、犬、ネズミ、牡鹿に変身できるようになりました。そのおかげで、彼らは誰にも見つかることなく、夜にホグワーツ城の敷地を探検できたのです。一方、城の内部の地図は、ジェームズ・ポッターの透明マントの助けを借りて徐々に製作されました。

    「忍びの地図」は、ハリー・ポッターの父親、名付け親、そして好きな先生を含む、仲のいい 4 人の生徒たちの秀でた魔力を今日に伝えています。ホグワーツ在学中に彼らがつくった地図は、一見何も書かれていない羊皮紙のように見えますが、「われ、ここに誓う。われ、よからぬことを企む者なり」という言葉を発すると、地図として使えるようになります。この言葉は、4 人の製作者のうちの 3 人にしてみれば、ジョークのつもりだったのでしょう。「よからぬこと」とは決して闇の魔術を指しているわけではなく、学校の規則を破ることを指していました。そうした虚勢は、地図に残した自分たちのニックネーム(ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ)にも表れています。

  • 122121/11/13(土) 18:01:22

    02

    地図を製作する際に使われた魔法は、高度で見事なものでした。その一例が「ホムンクルスの術」で、この魔法により、地図の持ち主は城の中にいるすべての人の動きを追跡できるようになっています。また、製作者たちの敵だったセブルス・スネイプの好奇心を、永久に(できるだけ無礼なやり方で)葬り去るための魔法もかけられました。

    製作者たちが地図を失くしたときの正確な状況については、ハリー・ポッターの物語では語られていません。4 人が結局無理をしすぎて、アーガス・フィルチに捕まったと結論づけるのが自然でしょう。スネイプがフィルチに告げ口したとも考えられます。スネイプは、最大のライバルであるジェームズ・ポッターの悪行を暴こうと必死だったからです。シリウス、ジェームズ、リーマス、ピーターの最高傑作だった「忍びの地図」は、彼らが最終学年を迎えた年に没収されました。その後、用意周到で疑り深いフィルチから、誰も地図を取り戻すことはできませんでした。いずれにせよ、学校で過ごした最後の数ヵ月は、とてもそれどころではなくなってしまったのです。彼らはこれまでになく真剣になり、ヴォルデモート卿が力を持ちはじめたホグワーツの外の世界に意識を集中しなければなりませんでした。その後まもなく、製作者の 4 人は全員、アルバス・ダンブルドア率いる「不死鳥の騎士団」に加わります。母校の地図は、たとえどんなに精巧にできていようと、懐かしさを感じさせる以外にはなんの役にも立たない品になってしまったのです。

    とはいえ、ウィーズリー家の若い双子にとって、「忍びの地図」は大変便利なものでした。フレッドとジョージ・ウィーズリーが地図を手に入れた経緯については、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で語られています。そのエピソードからは、2 人がハリー・ポッターを大切に思っていることがわかります。また、2 人にはハリーが助けを必要としていることがわかっていたのでした。とはいえ、このときはまだ 3 人とも、ハリーを待ち受ける運命を十分には理解していませんでした。フレッドとジョージはハリーにその地図をプレゼントしますが、無意識のうちに、製作者の子どもに渡したことになるわけです。

  • 123121/11/13(土) 18:01:41

    03

    「忍びの地図」はその後、変装して学内に入り込んでいた死喰い人によってハリーから没収されます。死喰い人は、この地図のせいで自分の正体がばれてしまう可能性に気づいたのです。

    J.K. ローリングの言葉

    「忍びの地図」はその後、真の創案者(つまり私です)にとって、ちょっとした悩みの種になりました。というのも、この地図があると、ハリーは自由に情報を得すぎてしまうからです。私は、ハリーが誰もいないマッド - アイ・ムーディの部屋(と思われる場所)から地図を取り戻すシーンを描いていません。ときどき、このミスに乗じて地図をそのままにしておけばよかったと後悔することがありました。でも、『ハリー・ポッターと死の秘宝』で校内を移動するジニーの点をハリーが眺めるシーンは好きです。ですので、総合的に見れば、ハリーにみずからの正当な持ち物を取り戻させてよかったと思っています。

  • 124121/11/13(土) 18:02:31

    【ゴブストーン】

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    ゴブストーンは、古代から伝わるビー玉に似た魔法のゲームです。普通のビー玉との大きな違いは、失点するたびに勝者の石が負けたプレイヤーの顔にいやな臭いのする液体を吹きかける点です。ゲーム開始の時点でプレイヤーはそれぞれ 15 個の丸い小さなゴブストーンを持っていて(ゴブストーンは 30 個 1 セットで売られています)、相手の石を全部取ったプレイヤーが勝ちとなります。名前が示すとおり、石製のものが一般的ですが、なかには貴金属製のものもあります。

    プロのゴブストーン選手はナショナルリーグや国際大会で活躍していますが、ゴブストーンは魔法界でもマイナーなスポーツで、ファンにとっては腹立たしいことながら、「クールな」スポーツという評価は受けていません。低年齢層の魔女や魔法使いの間で人気がありますが、成長するにつれて「卒業」し、クィディッチのほうに興味を示すようになるのが一般的です。全国ゴブストーン協会は過去に「ゴブストーンに日の目を」といったスローガンを掲げて勧誘キャンペーンを展開してきましたが、ポスターに使われた写真(現チャンピオンのケビン・ホップウッドが目にぬるぬるした液体をたっぷりかけられているもの)は、適切ではなかったかもしれません。

    ホグワーツでもゴブストーンの人気は低く、娯楽の中では、クィディッチや魔法使いのチェスのほうが圧倒的に人気です。

    なお、セブルス・スネイプ先生の母親のアイリーン・プリンスは、ホグワーツに在学中、ホグワーツ・ゴブストーン・クラブの部長を務めていました。

         

    (3-13-3)
    【ディメンターとチョコレート】

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    チョコレートの気分高揚効果は、マグルの世界でも魔法界でもよく知られています。周囲から希望や幸福を吸い取る吸魂鬼に直面し、ぐったりしている人を元気づける薬として、チョコレートは最適です。

    とはいえ、チョコレートは一時的な治療薬にすぎません。ずっと幸せでいるためには、吸魂鬼――あるいは絶望――を撃退する方法を見つけることが不可欠です。チョコレートの食べすぎは、マグルにとっても魔法使いにとっても、よいことではありません。

  • 125121/11/13(土) 18:02:53

    【ファイアボルト】

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    20 世紀末、ニンバス競技用箒会社はすべての競合企業を抑え、トップの座にありました。ニンバス 2000 とニンバス 2001 の売上本数は、他のトップクラスの箒すべての売上本数を合わせた数の 3 倍に上っていました。

    ところが、そのときすでに新しい競技用の箒が開発されていて、発売から 12 ヵ月で売上本数 1 位の座を奪うことになろうとは、ニンバスのデザイナーたちは予想だにしていませんでした。その新しい箒とは「炎の雷・ファイアボルト」で、ランドルフ・スパドモアが手がけた極秘プロジェクトで開発されたものでした(ランドルフ・スパドモアは、1940 年にティンダーブラストを開発し、1952 年にはスイフトスティックを開発した、エラビー・アンド・スパドモア社のエイブル・スパドモアの息子です。いずれも十分な機能を備えた箒でしたが、絶大な人気を得るには至りませんでした)。

    創意に富んだ腕利きのデザイナーだったランドルフは、小鬼製の鉄製部品(足置き、スタンド、小枝を束ねるバンドなど)を初めて使用しました。完全な詳細は明らかになっていませんが、ファイアボルトが悪天候に耐えうる安定感とパワーを向上させ、足が滑りにくいというクィディッチ選手にとって大いに有利な特徴を備えているのは、こうした部品を取り入れたためのようです。箒の柄には磨き上げられた黒檀が使われており、小枝は好みに合わせてシラカンバかハシバミを選べるようになっています(シラカンバは上昇時に「馬力」が出ると評判で、ハシバミは敏捷な操縦を好む魔法使いに好評です)。

    ファイアボルトは高価な箒で、ハリー・ポッターはいち早く手に入れた使用者のひとりです。比較的生産量が少ないのですが、その理由のひとつとしては、特許で保護されている鉄製部品の製造に携わる小鬼の作業員たちが、ほんのささいなことで怒ってストライキを起こしがちなことが挙げられます。

  • 126121/11/13(土) 18:03:29

    【秘密の守人】

    J.K. ローリングからの新着コンテンツ

    「忠誠の術」はきわめて古くから存在し、現在も用いられています。生きた人間の中に情報を封じ込める術で、事前にその情報を知っていた者が何人いようと、それ以降、守られた情報を他人に明かせるのは、選ばれた人物(つまり「秘密の守人」)のみとなります。「秘密の守人」が他人に秘密を明かした場合、打ち明けられた相手も「忠誠の術」に縛られ、その情報を別の人に伝えることはできなくなります。

    ただし、「忠誠の術」にも弱点はあります。「秘密の守人」は、その気になればいつでも秘密を漏らすことができます(ただし、秘密を明かすつもりのない「守人」から、暴力や魔法や拷問によって情報を引き出すことはできません。秘密は本人がみずからの意志で明かす必要があります)。また、「秘密の守人」が死ぬと、この「守人」から秘密を打ち明けられた者が新たに「秘密の守人」になります。この場合、新たな「守人」は大勢になる可能性もあり、そのうちの誰かが秘密を明かそうという気にならないとはかぎりません。

    一般的に、「秘密の守人」は危険な役割です。あまりに重大で拘束力の強い魔法なので、気軽に引き受ける者はいません。また、秘密は本人が自発的に明かさないかぎり漏れないにもかかわらず、多くの「守人」が情報を引き出そうとした相手に「服従の呪文」や「磔の呪文」をかけられています。

  • 127121/11/13(土) 18:04:40

    大体半分ほど終了~いったん中断。

  • 128二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 22:36:44

    ポッターモアの名前と噂だけはうっすら聞き及んでたけども、こんなに世界観を補強してくれるなんて……
    スレ主ありがとぉー!!!

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