- 1lol23/02/07(火) 19:07:31
- 2lol23/02/07(火) 19:08:09
《ルール》
・各エリアへは一定の階層までは固定とし、その後は完全ランダム(ダイス)で進みます。
・各エリア毎に登場人物の視点が変更します。その都度ダイスを回します。
・エリア内で全滅した場合、そのエリアの入口でリスポーンし、最初からやり直しになります。(例:level1で全滅した際、level1の入口から再スタート)
・エリアを脱出した際、そのエリアで死亡した登場人物はリスポーンという形で蘇生します。
・リスポーン時、以前までエリア内で入手し所持していたアイテムは全てロストします。
・進行不可能エリアに侵入した場合、そのエリアで全滅した場合のみlevel4に戻されます。 - 3lol23/02/07(火) 19:08:41
《キャラクター詳細》
トラファルガー・ロー
能力 シャンブルズ
エンティティとの遭遇を一度だけ回避することができる。
バジル・ホーキンス
能力 ライフ
ライフを1所持しており、エンティティに殺害された際ライフを1消費する事で死亡を回避する事が出来る。尚、ウイルスや原型の残らない程のダメージは貫通し、ライフが残っていても死に至るものとする。
X・ドレーク
能力 恐竜化
エンティティとの遭遇率が格段に低くなる。一部エリアの障害物を破壊する事ができる。 - 4lol23/02/07(火) 19:09:48
- 5lol23/02/07(火) 19:11:16
***
___どうやら気を失っていたようだ。
おれは見覚えのない黄ばんだ壁紙と、湿った薄汚れたカーペットの敷き詰められた広い部屋で目を覚ました。…頭痛がする。能力者の攻撃か、はたまた拉致でもされたのか。まずは現状確認が必要だろう。自分自身の名さえ思い出せないとなると元も子もない。
未だ重たい頭を支えながらゆっくりと目を閉じる。さて、目を覚ましたおれの名前は……
1.ロー
2.ホーキンス
3.ドレーク
dice1d3=1 (1)
- 6二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 19:11:32
このレスは削除されています
- 7二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 19:12:44
SSスレで句点なしは死ぬほど読みづらいからそのままで頼む
- 8lol23/02/07(火) 19:14:07
……トラファルガー・ロー。オペオペの実の能力者。ここに来る前の記憶は…___どうやら、記憶が混乱しているようで思い出すことは出来なかった。
「…ぅ、」
おれのすぐ後ろから小さな唸り声が聞こえてくる。どうやらこの場所にはおれ以外の何者かもいたらしい。
後ろを振り返り、唸り声をあげた人物を確認する。そこにいたのは、バジル・ホーキンス、X・ドレークの二人だった。
奴らもおれと同様に頭痛の症状が出ているのか頭を抱えている。状況を確認する為声をかけることにした。 - 9lol23/02/07(火) 19:17:05
「おい、ドレーク屋。それにホーキンス。体調はどうだ、それと…ここがどこかもわかるか?」
「…頭痛がする程度だ、外傷は無い。ドレーク、貴様はどうだ。」
「あ、ああ。おれも頭痛がするが他に外傷は無い。……悪いが、ここが何処かもわからん。それに何だこの…耳障りな音は。うるさくて適わん。」
おれにも分からないのだ、こいつらに分からなくても不思議では無い。それに、二人の状態は大して悪くなさそうだ。身動きも取れる。逃げ出すには問題がないと判断すると、辺りを確認しようと見回した。
__何本もある柱。インテリアがあるわけでもなく、奥へ奥へと続くばかりの何も無い空間。
ドレーク屋が言っていた音は、蛍光灯から発せられるハムノイズの様だ。
「…全員が見覚えのない場所にいるという事は、何者かによって拉致されたと考えるのが妥当なのか?だが、そんな事をするなら海楼石で拘束されていてもおかしくない筈だが……ここで考えていても仕方ない、か。おいお前ら、動けるか?早急に出口を探すぞ。」
おれ達は部屋から抜け出すために、まずは部屋の探索をすることにした。
まずは…
1.状況確認
2.奥へと進む
dice1d2=1 (1)
- 10二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 19:19:54
スレ画はスレ主の妹なのか
めちゃくちゃ良い絵だから挿絵が楽しみだわ - 11lol23/02/07(火) 19:23:06
周りの景色を確認しておくのに損は無いだろう。
床はじっとりと湿っていて嫌な匂いがする。少なくとも、水で濡れている訳では無さそうだ。
「おい、トラファルガー。お前の能力でここから移動は出来ないのか?」
ドレーク屋もこの異様な空間に違和感を覚えたのか探索していた様で、きょろきょろと辺りを見回しながらおれに話しかけてきた。…確かにそうだ。おれのシャンブルズであれば一定の範囲内であれば移動ができる。
ものは試しだ、やってみるか…?
1.行う
2.行わない
dice1d2=2 (2)
- 12lol23/02/07(火) 19:45:09
「__待て、ドレークにトラファルガー。能力を無駄に使うな。」
おれが左手を上げroomを展開しようとしたすんでのところで、ホーキンスがおれに待ったをかけた。
「やってみねえとわからねえだろうが。」
「…おれのライフが減っている。」
おれの問いには返事もせず、ホーキンスは腕の一部を藁に変化させると、その腕から藁人形をひとつ取り出しおれ達に見せてくる。
「これを見ろ。おれはこのライフの宿り主を”知らない”。おれが元々持っていたライフもどこかへ消えている。こんな事があってたまるか、という話にはなる……予想でしかないが。一度きりしか能力が使えない可能性がある。」
藁人形をしまいながらホーキンスは言う。
こいつの言う通り、この場所について何も分かっていない、ホーキンスのライフが減っている、そういった異常事態を考えると、その可能性も捨てきれない。
「……今は、使用するのは控えておくか。」
顔を見合わせると、二人は頷いた。 - 13lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 19:51:13
…状況確認もこれくらいでいいだろうか。
おれも、二人も頭痛は良くなった様だ。
「おい、ここで立ち往生している場合じゃねえだろ。先に進むぞ。」
このどこまでも続く壁を見続けているのも億劫だ。
おれは船員達が心配だし、とっととここからおさらばしたい気持ちが強い。どうやらそう思っているのはおれだけでは無いようで、三人で頷き合うと、おれを先頭に、ドレーク、ホーキンスといった順番で先に進んでいく事になった。 - 14lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 19:58:47
__……しかし、ここは本当に何も無い部屋だ。
奥に進むも同じ景色が続くだけ。色も部屋の広さも、匂いまでもが同じ。進むにつれて所々に散った赤黒い染みが増えてくるも、それらに気にかけている暇も余裕もない。
それぞれが口数の少ない奴らだからという理由もあるだろうか、誰も話す事もせずただ淡々と同じ様な道を歩き続けている。
……頭がおかしくなりそうだ。 - 15lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:00:17
「…、ここは何も無いのか?先程から同じ景色ばかり続いているが。」
そんな空気を気にしてか、はたまた置かれた状況が理解しかねるのか……いや、理解していないのはおれも同じだが。おれの後ろを歩くドレーク屋が困ったように呟いた。
ホーキンスも同意するように頷いているが、おれに聞かれたところで答えが出るわけもない。
「…おれも同じことを思ってる。そんなことは知らねぇ、黙って進め。」
イライラして物の言い方がキツくなる。景色が変わらないせいで時間の感覚がないが、体感では何十分歩いてきている気がする。疲れてくるのも致し方ない。
不思議と喉の乾きや空腹感など無いのが幸いだが。 - 16二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:04:04
The backroomも北の海の皆さんも大好きだから超楽しみ
- 17lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:11:38
おれはドレーク屋の言葉に返事をする途中、先程進んできた部屋とは違い、蛍光灯が切れているのか暗い部屋が続いている事に気がついた。
「………ん、なんだ、あっちの奥。ここより暗くないか?」
「もしかしたら出口かもしれないぞ、進んでもいいんじゃないか?」
ホーキンスがおれの言葉に反応してか、つかつかと早足でおれの前を歩いていく。
警戒心のひとつも無いのかこいつは……。しかしここに何かがいる気配はしない。それに長居をするつもりも毛頭ない。
出口であればそれで良いのだ。
進むしかないのだろうか。 - 18lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:12:01
1.進む
2.警戒する
dice1d2=2 (2)
- 19二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 20:13:21
このレスは削除されています
- 20lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:15:56
「待て、あまりずかずかと進むとまずいかもしれない。何がいるかも分からないんだ、警戒して損は無いぞ。」
ドレーク屋が先へ進もうとしていたホーキンスの肩を掴み引き止める。…それもそうだ。生きている者がいるのか、おれ達の敵になりうる者がいるのか、そもそも能力に制限がかかる場所で何が起こるかも分からない。
ドレーク屋の言うことは最もであった。
普通、こういう場所で警戒しない方がおかしいのだ。 - 21lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:18:14
「…しかし、先に進まない訳にも行くまい。おれが先頭を行く。この三人の中でも一番おれがデカい、何かあればおれであれば耐える出来るだろうしな。」
ドレーク屋がホーキンスを押し退けて前に出る。
最もだと思ったことを今一瞬で後悔した。馬鹿じゃないのか?それだとドレーク屋が怪我をする可能性や、最悪死に至る可能性だってあるのに何を言っているんだこいつは。
「おい、待て。勝手に行くな…………おい、ドレーク屋!!」 - 22lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:31:42
あいつはおれが止める間もなく進んでいきやがる。くそ、引き返したところで何がある訳でもない……進めそうなのもこっちの道だけだ。何かあればおれのシャンブルズで対応すればいい。進むしかない……のか。
- 23lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:32:38
おれとホーキンスは大人しくドレーク屋の後ろをついて歩く事にした。
暗い部屋には細い柱がいくつも立っている。
暗がりのため色ははっきりとは分からないが、先程の部屋と同じ壁紙のようだ。やはり蛍光灯が切れているようで、時々チカチカと電気が着いたり、消えたりと忙しない。
歩く音とそれぞれの呼吸音だけが聞こえる。何もいない空間がこれほどまでに恐ろしいものだとは思ってもいなかった。 - 24lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:49:47
静かな部屋を淡々と進んでいくと、次第に足元が坂のようになっているのが分かる。やはり無限に続くかのように思えた明るい部屋とは何かが違うのだとはっきりとわかった。
ほんの少しの安堵。
ほっとため息を零しながら前へと歩いていくと、背後から音が聞こえた様な気がした。…嫌な、予感がする。
1.振り返る
2.振り返らない
dice1d2=2 (2)
- 25lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 20:52:55
背後で動く気配がする。
背後で何かが滴る音がする。
背後にいる何かは、確かにおれ達の後をつけている。
そして……後ろを、振り返っては行けない気がする。
おれは、おれより前にいるドレークとホーキンスに大きな声で声をかけた。
「おい、ドレーク屋!ホーキンス!!走れ、後ろに何かいる!!!絶対に振り返るな!何がいるかなんて確認したくもねぇ!!」 - 26二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:01:51
今のところ慎重かつ危なげない選択肢を選べている気がする
- 27lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 21:10:16
「…は!?き、急になんだ!!」
「いいからとっとと走れ!!」
おれが大声を出したのがきっかけになってしまったのか、背後の気配が急速に近付いてきている様に感じる。
ドレーク屋とホーキンスも背後の気配に気付いたのか、振り返ること無く走り始める。おれも走り出し、暗い部屋を奥へ、奥へと進んで行った。
坂道はどんどん上へとあがっていく。背後の気配もどんどん近付いてきている。どの位走ったのか、どの位進んだのか、おれには全く分からない。
闇雲に走る中、突如前方でドレーク屋が大声を上げた。
「__!!!!トラファルガー!!前方に昇り階段がある!!」 - 28lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 21:23:16
少し先を見ると、確かに昇り階段がある。
何処に続くかも分からない階段だ、昇った事で下の階に戻れなくなる可能性だってある。もしかしたら、その階段は無限に続く階段で、降りることも脱出さえ許されない可能性も捨て切れない。
しかし、背後の気配はもうあと少しの所まで差し迫っていて、わずかに聞こえてくる荒々しい息遣いに考える余地もないと察すると、おれは大きな声を上げた。
「進め!!階段を登れ!!!!!」
二人とも同じ考えのようだった。
走る足に力が入る。背後の気配から少しでも離れようと必死だった。勢いよく駆け上がり、暗闇の続く階段を先へ先へと進むのだった。 - 29lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 21:29:00
__階段を上る直前。
おれはほんのわずかに背後の方へと視線を送って、何がいたのかを確認していた。
黒い影。
それはおれ達よりもはるかに大きい異様な存在。
顔と思わしき部分にはぽっかりと丸く大きな穴が空いていて、そこから唾液と思わしき液体がどろどろとこぼれ落ちていた。足なのか手なのか…犬のような形をした大きな体にはそれらが何本も生えていて、それらをおれ達を捕まえるかのように必死に、必死に差し伸ばしていて。
……捕まっていたら、どうなっていたのか。想像もしたくない。
振り返ることもせず、おれ達は先に進んで行った。
_____level 0 ザ・ロビー 脱出 - 30二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:36:06
ザ ロビーて確かエンティティ出現しない&絶対に1人になるレベルだっけ?その辺は改編ある感じか
- 31二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:36:58
SSスレダイススレだし問題ないと思うんすがね……
- 32lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 21:42:51
とりあえずここまで。
明日の夜また再開します。
ストーリー展開上多少の変更はありますが、大きく影響のある変更はないです。 - 33lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 21:43:33
- 34二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:43:59
お疲れ支援
- 35lol◆zwjg81Wprg23/02/07(火) 21:45:17
- 36二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 21:46:14
海外の方のバックルームは今めっちゃ改変入ってるから参考にするなら日本支部にしといた方がいいよ
- 37二次元好きの匿名さん23/02/07(火) 22:57:33
お疲れ様です
面白かった - 38lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 07:52:35
補足
steam配信のEscape the Backrooms、本家back roomsの内容をいいとこ取りで混合しているストーリーの為、本家back roomsでの設定と大きく異なる所もあったりするので、改変が苦手な方いたらすみません - 39二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 11:40:13
いいと思う、エンティティとかはファンダムの方を参考にするといいかも
- 40lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 18:42:41
エリアを移動したため、各登場人物の能力がリセットされます。
・能力使用者無し
前回のエリアでの死亡者はいませんでした。
登場人物の視点変更を行います。(前回の視点であったトラファルガー・ローは除くものとする。)
1.ホーキンス
2.ドレーク
dice1d2=1 (1)
- 41lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 18:59:30
***
………もう随分上った様に思える。
進む先は闇しかない。
前へ前へと進んでいるのにも関わらず、その感覚が段々と無くなっていっている気がしてきた。現実的に考えれば、これはただの錯覚だろう。しかし、ここでは常識が通用しないということが先程の部屋で十分に理解出来ているため、錯覚ではなく本当に進んでいないんじゃないかと思うと恐ろしくて堪らない。
背後からの気配はいつの間にか消えていた。
諦めてどこかへ行ったのだろうか……ひとまず安全だと判断すると、おれは階段を上る足を止め後ろにいた二人に話しかけた。
「……二人とも無事か。」
「おれは無事だ。トラファルガーは…」
「…」
……トラファルガーからの返事はない。なんだ、どこか怪我でもしたのか…? - 42lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 19:15:12
「おい、どうし「お前らは気配の姿を見たか?」
「…いや、見ていない。……まさか見たのか?」
ドレークと同じようにおれも姿は見ていない。トラファルガーのこの様子だと……姿を見たのだろう。
「見た。一瞬だけだが、確かに。…あれはおれ達の誰よりもでかかった。腕も足も何本も生えてそれぞれが蠢いていて……黒く、顔にでけえ穴が空いていて……その穴から、唾液…だと思う。それがぼたぼた零れて。…見た事もねえ化け物だった。多分、捕まっていたら…食われるか、四肢をもがれてあいつの一部にされてたか。真相は分からねえが、確実に殺されてただろう。………敵の心配をしてえ訳じゃねえ。ただ、誰も捕まらなくて………本当に、良かった。」
そう言いながらトラファルガーは屈みこんだ。助かったことへの安堵から深いため息をついている。
…おれやドレーク、そしてトラファルガーは確かに敵同士。仲間でもないやつの身を案じるなんてお人好しにも程があるだろう。 - 43lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 19:29:21
「…トラファルガー。」
かがみこむトラファルガーの肩に手を置きながらドレークが話す。
「お前が後ろで警戒してくれていなければ、おれやホーキンスは気付かず殺されていただろう。…見殺しにもできた筈なのに。助かった、感謝する。」
……確かにおれは前方ばかり警戒し歩いていた為に背後の気配に気付くことが出来なかった。そればかりは感謝するべきだと頷く。奴はそんな言葉をかけられるとは思っていなかったのか、驚いた顔をすると帽子を深く被り直していた。
「……!…別に、感謝される程のことでもねぇ。おれはただ、目の前で死なれちゃ困ると思っただけだ。目覚めが悪くなんだろ。」
ドレークの手を叩き落し奴は立ち上がった。
安堵している間も勿体ない、進むべきはこの先だろう。
おれを先頭に早々、足を進めていった。 - 44lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 20:00:41
__少し歩いたくらいだろうか。
急に階段の質が変わったのがわかった。
先程まではカーペットが敷き詰められた階段の上を歩いていた筈だが、一段階段をあがると、靴底がコツリと音を立てたのだ。
何か硬い…石か、何かの階段に変わっている。
おれは階段を上がるのを一度辞めると、その場で何度か足踏みをする。
コツ、コツ。
靴底が静かな空間でよく鳴り響く。
暗がりのため色は分からないものの、音の変化を考えるとやはり変わっているようだ。この先に扉でもあるのだろうか。おれは階段の上の方をじっと見つめる。
………上の方が、白く明るくなっている様に見えた。おれは後ろを振り返ることはせず、前を向いたまま後ろに声をかけた。 - 45lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 21:59:24
「…おい。階段の質が変わった。」
「は?階段の質ってどういう__………、石、か?音が硬い。」
トラファルガーがズカズカとおれの方へ歩いてくると、おれと同じ段に足を置いた途端にピタリと動きを止めてはおれの考えていた事と同じような事を口走る。ドレークは後ろの方を警戒しているようだった。
「上を見ろトラファルガー。それとドレーク。明るくなっている。…出口かもしれない。」
そうして明るげの方へ指を指すとおれは先に進む。静かな場所に響く靴の乾いた音。あと少しで扉だと分かると、足取りは軽いものに感じた。
…目の前に現れたのは、所々に赤く錆びのついた、鉄で出来た扉がひとつ。おれは奴らに何かを聞く訳でも無く、黙って扉を開いた。先程から後ろで何か喚き散らかしている様な気もするが………気の所為だろう。 - 46lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 22:00:32
「随分と広いなここは…」
鈍い音を立てて開いた扉の先は、先程の部屋とは違いカーペットや壁紙はなく、階段と同じ素材でできているであろう灰色で埋め尽くされている。チカチカと光る蛍光灯、壁には均等に扉が並んでいる。どうやら区切られた部屋のようだ。
ここもまた静かではあるものの、先に進めそうではある。焦りは禁物だ、ひとつずつ整理しながら進んでいこう。まずは…
「……並んだ部屋の中が気になる。中にこの場所の手掛かりがあるかもしれない。」
「……部屋の中を?……まあ、宛もなくふらつくよりは理にかなってる、か。」
おれ達は一番近くにある部屋に向かう事にした。
蛍光灯が忙しなく点滅し続けている冷たい雰囲気を保つ空間とは違い、安定した光を保つ部屋のようだ。扉は入口と同じく頑丈にできているようで、、滅多なことがない限り壊れる事はなさそうだ。
ドレーク、トラファルガー、おれの順で辺りを警戒しながら部屋の前まで向かう。
…部屋に、何か手がかりがあればいいのだが。
そう考えながらも、先頭にいたドレークがドアノブに手をかけるのを見た、瞬間だった。 - 47lol◆zwjg81Wprg23/02/08(水) 22:01:13
今日はここまでです
明日夜また再開します - 48二次元好きの匿名さん23/02/08(水) 22:13:28
引きが上手い…… 何が起こるんだろう……?
続き楽しみにしています - 49二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 09:25:02
楽しみ
- 50二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 10:12:49
Theハブ?でもハブだとトンネルのはずレベル2でもそんなに扉ないしな.....
- 51lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 19:13:48
バチンッ
その音と同時に、辺りが闇に包まれた。
ピタリとおれ達は周囲への警戒を行うために動きを止める。
…蛍光灯が消えた、だけなのか…?
辺りを確認していると、ぞっと背筋が凍るような、嫌な感覚がおれを襲った。
何者かの視線がおれを刺している。
視界には映らない。
しかし、何者かの気配が、確かに背後で感じられた。 - 52lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 19:16:20
得体の知れないものに捕まったら。
最悪の事態が頭をよぎる。
おれは急いで前方にいた二人を部屋に押し込み、転がるようにして部屋へと入ると勢いよく扉を閉じた。
「ッ!ホーキンス、てめぇ何して…」
「静かにしろ、何かがいる。」
喚くトラファルガーを黙らせ、閉じた扉に耳を当て外の音へと耳を澄ませる。
……何も聞こえない。
しかし、確かに何かがいる。それだけは確かだった。 - 53lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 19:21:27
息を潜める事しか出来ない。
外にいるであろう何かに、おれ達の存在を知られては困る。
…しばらくすると、パチン。と音が鳴った。
それを合図に、おれは音を立てないよう極力ゆっくりと扉を開く。
開いた扉の隙間から外を確認する。
やはり、あの音は電気がついた音だった様で、辺りはまた明るさを取り戻していた。
その空間には何者もいなかった。
ひとまず、安全だろう。
室内で話をするべきだろう、そう思ったおれは扉をまたゆっくりと閉じていく。
鈍いような軋むような、そんな音を立てながら扉は閉まった。 - 54二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 19:22:10
やっぱりTheハブ?ENDに行かなかっただけマシか
- 55lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 19:25:15
「………ここにも、何かがいるようだ。いまのおれ達では歯向かうことさえ叶わず殺されるだけだろう。あいつらの目を避けながら出口を探す必要がありそうだ。」
ここの部屋から出るにはまだ早いだろう。…何をしよう。
1.部屋の中の探索
2.トラファルガーと会話をする
3.ドレークと会話をする
dice1d3=1 (1)
- 56lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 19:38:26
「…急に飛び込んでみたが、この部屋は結局なんなんだ?」
「さあな。…しかし外と比べて随分と明るい…」
ドレークとトラファルガーが話しているのを横目におれは部屋を見回す。
部屋の広さは部屋の端から端まで見渡せる事からそこまで広くは無いことが分かる。
窓はひとつ、鉄格子が嵌められていて、仮に窓が割れたとしてもここから何かが侵入してくることはなさそうだ。
外は所々に鉄筋が剥き出しになっていた様だが、おれ達のいるこの部屋は比較的綺麗に見える。
部屋の中には白い作業用の机がひとつ。書類か何かが置かれていて、随分と散らかっているのが気になるが…。
壁に沿って古いロッカーがいくつか。
そして、何かが入った木でできた箱と、おれ達が入ってきた扉。
……それ以外には何も無いようだ。 - 57二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 19:40:17
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- 58lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 19:41:04
「…ここに長居しても余り良くは無いが、今外に出たとしてもあいつらをどうにか出来る訳でもない。外を確認したが、明かりが着いているだけでなにもいなかった。…憶測だが、電気がついている時は出てこないのかもしれない。」
「ふむ…であれば、何か気をそらせる物…音が大きくなるものはないだろうか。」
「あったとして、それが効くかは別だろうが。それに、下手したらおれ達の居る場所がバレる可能性がある。大きな音のなるもんを使うのはリスクがでかいぞ。」
「…外は電気が消えると随分と暗かった。足元がギリギリ見えるかどうかの暗闇だぞ。光源が必要かもしれないな。」
そんな会話をしながら、おれ達は部屋の探索を始めた。 - 59lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 19:42:13
まずは何を見よう。
1.ロッカー
2.作業用机
3.木でできた箱
dice1d3=1 (1)
- 60lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 19:56:41
…まずはロッカーの中身でも確認することにした。
赤黒く錆び付いたロッカーがひとつ。
何か上からものでも置いたのか、負荷が掛かったようで中心部分から大きく歪んでしまっているロッカーがひとつ。
そして開かれまままのロッカーがひとつ、合計三つのロッカーが並んでいる。
ロッカーに鍵はかかっていなさそうだ。
錆び付いたロッカーは簡単に開くことが出来るだろう。
歪んだロッカーは力任せに開けば開くかもしれない。開かなければ馬鹿力のドレークにでも開けさせよう。
最初はどれを確認しようか…
1.錆び付いたロッカー
2.歪んだロッカー
3.開いたロッカー
dice1d3=2 (2)
- 61lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:04:16
おれはまず、歪んだロッカーから開けることにした。
……このロッカー、随分と歪んでいる。近くで見てみると歪な凹凸さえあった。
……あまり開ける気は起きないが……中を見ない訳にもいかない。ただ黙って考えていても仕方がないだろう。
おれはロッカーに手をかけて開けようと力を込めた。 - 62lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:05:52
……
………
………………。
………くそ。全く開かない。
ガタガタと音を鳴らすだけで一向に開く気配がない。
なんだこのロッカーは。歪んでいるだけならば無理矢理開くはずだろうが。
しかしこれは、何かもっと、別の要因で開かない気がする。
「…おいドレーク。こっちへ来い。」
これではまるでおれが非力な様ではないか……意地を張っている場合では無いことは重々理解している。致し方なく、おれは最終兵器であるドレークを召還することにした。 - 63lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:20:22
「…?なんだホーキンス。おれはまだ机の方を見ていて……」
「このロッカーを開けてくれ。おれには開けられなかった。」
作業用机の方を探索していたのだろう、それをおれに呼ばれた事で中断せざるを得なくなったドレークは、嫌な顔をしながらおれの方へやってくる。
ドレークの文句を遮り、おれは歪んだロッカーを指差し開けるように指示した。
ドレークはそのロッカーを見ると、
「仕方がない」
と呟き扉に手を掛ける。 - 64lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:20:56
ぐい。ガタ、ミシ。
嫌な音が聞こえる……が、おれがこじ開けようとしていた時よりはいい音を立てている。もうそろそろ開くだろうか、ドレークの方を見た。
……奴は物凄く力んでいるのだろう。険しい顔をし、加減も無しに開けようとしている。最終兵器(ドレーク)がここまでして開かないなんて……一体何が入っているんだ? - 65lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:24:23
そんなことを考えていると、ロッカーは急にガタン、と大きな音を立ててわずかに開いた。
「ッ!!ホーキンス!ほんの少しだが開いたぞ!」
ドレークが大きな声でそう言う。おれもようやくか、とその開いた隙間を見ようと体を動かそうとした。 - 66lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:26:24
___ドロリ。
おれが体を動かす前に、黒い何かがその隙間から溢れ出て、床を汚す。
どぷどぷと溢れ出る黒い液体はそこから溢れ続けてとどまることを知らないようだ。
途端に周辺に鉄臭さが広がる。
おれとドレークは途端に顔を見合せると、一度扉から手を離しては頷き合いその隙間を覗き込むことにした。
ロッカーの中身は…
バン!!!!
同時に覗き込んだドレークがロッカーから顔を離すや否や勢いよく扉を閉めた。おれも、覗き込んだ瞬間に思わず声を出す所だった。 - 67lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:27:35
ロッカーの中身は、肉片だった。
- 68lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:30:45
人間か、はたまた謎の化け物か…なんの肉かは分からない。しかし、ロッカーの中を隙間なく埋め尽くす程の肉片が入っていた。
赤く艶やかな肉片や原型を残さない程にミンチになっているもの、どこの部位かも考えたくないが白やピンク色といった欠片まで。そして大きな塊も、全てがぐちゃぐちゃにまとめられて押し込められていた。
ロッカーが開かなかったのは、大量の血液が凝固し、接着剤のようになっていたからだと悟る。
…このロッカーが歪んでいるのは上から負荷を掛けたからでは無い。
この中に無理矢理肉片を詰め込んだから……それも、歪み方や凹凸から見るに、この中で、生きたままこうなったから。ロッカーの中で抵抗したから、こうも歪んでしまったのだろう。
………想像するだけでもぞっとする。あまりにもグロテスクだった。 - 69lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:32:24
「「……」」
おれとドレークは黙り込んでいた。こんな光景を見せられるとは思ってもみなかった……
「……………ドレーク、悪かった。他の場所を探索しよう……ここはもう開けないようにしよう。」
「……ああ。わかった。だが、また困ったら呼べよ。」
ドレークはそういうと、ドレークが探索していた机の方へと戻って行った……。 - 70lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:34:49
……あのロッカーはもう二度と開かないとして、何も情報を手に入れられないのも良くない、な。
隣のロッカーでも見ておこう。
どっちのロッカーを見よう。
1.錆び付いたロッカー
2.開いたロッカー
dice1d2=1 (1)
- 71二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 20:48:18
これLvなんだろう
- 72lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 20:54:51
(選択肢でロッカー選ばれるとは思っていなかったのでロッカーイベントは完全オリジナル要素として入れました。levelには関係ないイベントです)
- 73lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 21:02:55
次におれは錆び付いたロッカーを見る事にした。錆の色が血のようにも見えるが、先程のロッカーの事を考えると色々と考えてしまう……首を振り考えを散乱させると、ロッカーに手をかける。
ギシ、と音を鳴らしながらロッカーは開き、中にあるものがあらわになる。
…赤錆がおれの手にパラパラと落ちてくる。不愉快でしかない。おれは手に着いた赤錆を払い落とし、中に入っているものを確認し始めた。
…なにやら色々と入っているようだ。
適当に手に取るも、使用済みの医療器具や丸められた紙、割れたガラスの様なものばかりで役に立ちそうなものは無い。しかしよく見てみると、割れたガラスの下に何かある事に気が付いた。 - 74lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 21:25:17
「…ほう。これは使えるかもしれないな。」
ガラスで手を傷付けないように慎重に「それ」を取り出すと、カチリとスイッチを入れてみる。
パッと天井が照らされた。
…中型のフラッシュライトは、電池は切れていないようだ。いいものを手に入れた。
__今見れるのはこの位だろうか。あいつらの元に戻って見つけた情報を教えてやるとしよう。 - 75lol◆zwjg81Wprg23/02/09(木) 21:40:10
今日はここまでにしておきます。明日夜再開したいと思います。明日はこのlevelから脱出させたい…長引かせ過ぎてもくどい気がする
それと、levelについて色々考えてくれてる方いて正直嬉しいです。ありがとうございます! - 76二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 09:08:04
保守
- 77二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 09:08:17
ばちばちホラーで楽しみ
- 78lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 19:43:29
二人の元へと戻ると、2人は何か情報を入手したのだろうか、声は聞こえないものの何か話しているのがわかった。
……あの様子だと、トラファルガーはロッカーの中身には気付いていないようだった。ドレークも教えている素振りは見えない。
それでいい。
あんなもの、進んで見るようなものでも無い。
おれはフラッシュライトのスイッチを入れると、二人の方へ光を向けては声をかけた。 - 79lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 19:44:45
「おい、トラファルガー。ドレーク。これを見ろ。フラッシュライトを見つけた。」
カチカチと何度かライトを光らせる。
このフラッシュライトは強い光を発するため、直視すると眩しくて仕方が無いはずだ。意味もなく光を向けている訳では無い。電源が着くことを知らせる為に向けているのだ。
…決して、おれがトラファルガーやドレークの心配をしているかの様なことを思った事が癪に障ったが故に、腹癒せにしている訳では無い。
「なんだホーキン………うわ、眩しい」
「…そんなもん人に向けんな。目が痛くなるだろ」
想像通り眩しかったのだろう、直視してか目を細めながら奴らは言った。光源を見つけたというのに感謝も無いのか?腹立たしい、やはり奴らとは相容れない。
電源を落としながらそんなことを思っていると、ドレークが話し出した。 - 80lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 20:03:27
「…それくらいの明るさなら、ここにいる化け物に使えるかもしれないな。」
「…?どういう事だ。」
ドレークがおれへと書類を投げつけてくる。どうやら何かの資料のようだ。……目を通してみよう。 - 81lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 20:14:29
【エンティティNo.3 スマイラー
■生態
笑みを浮かべ、鋭い牙を持ち、白く光る目を持つエンティティ。
暗闇に突如として出現することが確認されている。
全体像は未だ明らかになっていない。大きさは一切不明。
■習性
非常に攻撃性が高く、騒がしい対象や光へと攻撃をする傾向がある。
そのため、スマイラーと対面した場合は光源を遠方へ投げることで逃げることが可能。光源を所持していない場合は決して騒がず、スマイラーを視界に捉えたまま後退する必要がある。
閉じられた扉を開けることが出来ないのか内部へ侵入してくる事かないことが確認されているため、安全が確保されている部屋へ逃げ込む事も避難方法のひとつとして推奨されている。なお、スマイラーの討伐方法は未だ確認されていない。
調査員 ━━━の調査により、スマイラーは産卵で増殖する事が確認された。卵は食用に適していないため食べてはならない。
■調査記録
…】 - 82lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 20:16:18
調査記録は何かで滲んでしまっていて読むことが出来ない。エンティティ……スマイラー……、聞いたことも無い用語があちらこちらにある。
この内容を読むに、外にいた気配の正体はこの「スマイラー」と呼ばれる化け物だと言うことがわかった。
「……つまり、このライトを使えばここに書かれている化け物…スマイラーから逃げられるという事か。」
「そういう事だ。何か物を投げる事で大きな音を立てた間に逃げる、という方法もありだろう。」
ドレークに書類を手渡し返しながら話し合いを進めていく。おれはライトを、ドレークは情報を。トラファルガーは何を入手したのか、訪ねようとトラファルガーの方へ視線を送る。
…奴はその視線が情報を求めているものだと理解したのだろう、おれの方に何やら瓶のようなものを差し出してきた。 - 83lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 20:17:35
「おれが見つけたのはこれだけだ。そこの木箱に入っていた。中身はバニラの匂いのする液体だ、試しに簡単なパッチテストをしてみたが特に影響は無し、液体からは刺激臭も無いため飲めると思うが。」
あんな得体の知れない木箱から出てきた液体をよくもまあ開けることが出来るなと、悪い意味で感心してしまう。しかしそれはそれとしてこの液体はなにかに使える気が…しなくもない。
「飲料として使うかは別として、なにかに使える可能性はあるだろう。…持っていこう。」
おれ達はそれぞれ頷き合う。 - 84lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 20:18:44
ここで手に入れたものは
・フラッシュライト 1つ
・謎の液体が入った瓶のようなもの 1本
・化け物の一種「スマイラー」が記載された書類
だ。この部屋ひとつでこれだけの情報を仕入れることが出来たなら十分過ぎるだろう。 - 85lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 20:34:37
……、…この部屋にあるのはこれくらいだろうか。
おれはこの書類に書かれた情報はフェイクな可能性があると考えていた。いつものおれであれば、冗談だと流してしまうような内容があたかも「事実」のように書かれているのだから、フェイクと疑うのも致し方ないだろう。
…しかし、唯一の情報だ。所持しておくに越したことはない。
色々と分からない事が多いものの、情報収集は良い頃だろうか。
…ドレークやトラファルガーの意思も固まった様だ。
外の情報を一番多く有しているのはおれだ。そのため先陣を切るには適材だろう。そう思いながら、扉に手をかけた。 - 86二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 20:53:40
アーモンドウォーターかリキッドペインじゃなくて良かった
- 87二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 20:54:42
リキッドペインだったらパッチテストでもアウトだった可能性高いしホントに中身確認してからで良かった アーモンドウォーターだと賞味期限切れるとまずいから開封したなら早く飲みたいな
- 88lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:08:08
おれは扉をわずかに開く。今は蛍光灯は付いているようだ、何かいる訳でも無さそうに思える。
……
1.急ぎ、奥へと進む
2.慎重に進んでいく
dice1d2=1 (1)
- 89lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:18:05
何もいないということは、奥へと進むチャンスとも言える。ここでまたいつ消えるかも分からない電気に脅えつつ呑気に歩いていっては時間がいくらあっても足りないだろう。
おれは後ろの二人に聞こえるように声を出した。
「おい貴様ら。今の所何もいなさそうだ……走って奥へ進むぞ。おれに続け。」
返事は待たない。おれは扉を全開に開くと、そのまま勢いよく部屋を飛び出して奥に進んでいく。
「あ、おい!ホーキンス!!……チッ、くそ、続くぞドレーク屋!!」
後ろでトラファルガーが叫んでいたが、駆け出してしまった以上止まることなどできない。
鉄筋が剥き出しになっている石か何かで出来た壁は無限に続いているようにも見える。壁に並ぶ部屋も変わらずだ。
柱が何本も続いていて、奥に進めているのかと若干の不安を覚える。
地面にはどこから漏れてきたのか、水溜まりが各所にあった。おれは靴が濡れることも顧みず水溜まりを踏み抜き、バシャバシャと言った足音が静かな空間に響き渡る。
あとどれ位。
あとどれ位進むべきなんだ。
そう思い始めた頃。
前方に窪んだ空間があることに気が付いた。 - 90lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:20:37
それに気付いた瞬間だった。
バチン。
辺りはまた、闇に包まれる。
蛍光灯の電気が切れたのだ。
おれはその場で足を止める。背後を走っていた二人も足を止めたようで、先程まで聞こえていた足音は聞こえなくなった。
水が滴る音が聞こえる。
静かな空間。静か過ぎる空間。
おれ達の荒れた息遣いが響く中、それは現れた。 - 91lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:24:04
暗闇に浮かぶ顔。
光を反射しているのか、それともそれ自体が発光しているのか。
白く光る点が二つ。
その下には三日月を描いたような口がある。その口には大きな牙がずらりと並んでいて、……それは、いくつも、いくつも、数え切れないほど、おれ達の前へと姿を現した。
【__スマイラー。暗闇に突如として出現することが確認されている。__】
あの書類に書かれていた情報は、事実だったのだ。 - 92lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:27:19
おれはどうするべきか。
先程見えた窪みは目と鼻の先だ。この先が出口である保証は無いが、走ればすぐに辿り着くだろう。
手元にはフラッシュライトがある。
奴らはおれ達の存在にはまだ気が付いていないようだ。 - 93lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:27:40
1.フラッシュライトを付け奥へと投げる
2.スマイラーから目を離さず後退する
3.走り抜ける
dice1d3=2 (2)
- 94lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:44:14
………まだ、見つかっていないなら。
後ろに大量に沸いた「スマイラー」を見るためにおれは後ろを振り返る。
既にドレークとトラファルガーは後ろを向いていて、おれと同じように「スマイラー」を凝視していた。
ずり、ずりと慎重に、音を立てないように後退る。
息を吸う音でさえ、奴らに聞かれたらおれ達の存在が気付かれるのでは無いかと、考えてしまう。 - 95lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:46:13
酷い沈黙が部屋を包む。
緊張から出る汗が頬を伝う感覚が不愉快で仕方無い。
背後に気を配りながらも目の前の「スマイラー」を見つめ続けた。奴らはおれ達の方へゆったりと近付いてきている、ように思える。
もう少し、きっともう少しであの窪みに辿り着く____
パシャ。
そんなことを思っていた最中。
水の音が、静かな空間に響き渡った。 - 96lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 21:55:01
音の正体は、トラファルガーだった。
一番「スマイラー」に近い位置にいたトラファルガーは、足元にある大きな水溜まりに気付かなかったのだろう。後退している最中に、大きく音を立てて水溜まりを踏み抜いたのだ。
バッと、視線が全ておれ達に集まる。
考えている場合では無い、行動しなければ。
行動しなければ
殺されてしまう。 - 97二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 21:57:01
不味くない?アーモンドウォーターてスマイラーに効いたっけ
- 98lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 22:06:43
おれは咄嗟に手元にあったフラッシュライトの電源を入れ、「スマイラー」の方向へと光を向けた。
トラファルガーの方へと向いていた「スマイラー」の視線は、一斉におれの方へと向く。そしてそのままおれの方へと勢いよく近づいてきた。
「!!ホーキンス!フラッシュライトを投げろ!!」
ドレークが何か言っている。
しかし緊迫状態であるおれにはその言葉はほんの少ししか届かない。
できるだけ、できるだけおれの方へ近付けよう。
おれはフラッシュライトを付けたまま、ドレークやトラファルガーとは反対方向へと足を向けた。
おれの背後にある窪みが出口だということを信じているからこその行動だった。
…おれにはライフがある、このライフが本来の使い方と同じなら。
おれは死ぬ事はないだろう。 - 99lol◆zwjg81Wprg23/02/10(金) 22:14:16
「行けドレーク!トラファルガー!先はきっと安全だ!おれにはライフがある、出来る限りこいつらをそこから引き離す!!」
出来る限りの大きな声で合図する。
ドレークはおれに助太刀をしようと掛け出す寸前だったものの、おれの一声でその窪みの方へと走り出すのが見える。
「〜〜ッッッ!ホーキンス!!絶対に死ぬなよ、お前に助けられるなんて御免だからな!!!!!」
トラファルガーが大声を出しているのが聞こえた。奴はドレークの後に続いた様だ。
おれは距離をとる為に、反対方向へと走り抜けていく。
……視界が嫌に狭い。海上で海軍や海賊達と戦う時とは大違いで、能力に制限をかけられた今、もう逃げる他におれに成す術は何も無いだろう。
背後に、「スマイラー」の気配を感じた。 - 100lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 00:03:08
おれが最後に見たのは、「スマイラー」の光る目だった。
おれは奴らを引き付け続けている。あの窪みの傍から随分離れた程だろうか…未だ電気がつく気配はない。
逆方面に進むにつれて段々と息が切れてくる。「スマイラー」の速度は変わらず、一定のものだ。
このままいけば、上手く行けば__
……一瞬の隙が命取りだった様だ。
疲労し油断してしまったおれの肩に突如激痛が走る。
後ろにいたスマイラーの牙が、おれの肩に深く刺さっていた。
咲き乱れる赤。
吹き出す血。
肩に噛み付かれたのを合図に、おれは体制を崩してしまった。 - 101lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 00:03:48
目の前にある白。
蛍光色に光る二つの目。
赤。血の色。
倒れたおれに奴らは群がったのだろう。
全身が引きちぎられる痛みは想像を絶するものだ。
いとも簡単にちぎられるおれの体からは血液が溢れ出る。
痛い、ものだった。 - 102lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 00:49:21
____
「___キンス、ホーキンス!!おい、目を覚ませ!!!」
……トラファルガーの大声でおれは目を覚ます。
……?おれは確か、あの化け物に殺されたはずだ。殺されずに済んだのだろうか。現に肩を噛みちぎられ、全身を引き裂かれたのだが………
「……あの後お前が逃げた後、いつまで経っても戻ってこねぇから追いかけようかとドレーク屋と話をしてた。そしたらお前の叫び声が聞こえて、電気が付いて………急いで声の方に行った。そうしたら、血溜まりの上にお前がいて……、…おい、怪我を見せろ。怪我してんだろ。」
トラファルガーは起き上がったおれの体の具合を見ようとしてくる。相当焦っているのだろう、音を立てたのがトラファルガー自身だから気でも使っているのだろうか。
じっと見つめてくるトラファルガーとドレーク。
二人はおれの怪我を気にしているようだ。
……しかし、おれの体は怪我などひとつもなかった。 - 103lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 00:58:29
「……、いや、怪我はしてない。」
「じゃあその肩は何だ、血塗れじゃねえか。大方噛まれた所で電気が着いたんじゃねえのか?」
「…それだけだと、こんな血溜まりはできないと思うが。」
おれの目の前でドレークとトラファルガーは言い争うかのように声を荒らげている。おれ自身も現状を理解出来ていないのに、喚き散らかされても心底迷惑だ。
……こつん。
立ち上がろうと手元を動かすと、なにかに当たる。
それを持ち上げてみる。見覚えのあるものだ。しかし、見覚えのないものでもあった。
……それはおれのライフだった。
無惨にも引き裂かれ、破れ、ちぎれかけていて。
おれが所持していた最後のひとつのライフ。それが血溜まりに落ちている。ああ、なるほどとおれは思う。
「……おれは一度死んだのだろう。これを見ろ。…ライフが粉々になっている。」 - 104lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 01:12:14
二人はおれの前で顔を見合わせる。
俺の能力を知っているだろうに、だが理解できないと言ったように首を傾げていた。
「……こいつがおれの死を肩代わりしてくれた、ということだ。死ぬ間際の痛みはあったがな。死にはしなかったのだから良しとしよう。」
わざわざ細かく説明してやる。これで分からないならただの馬鹿だ、そんなやつでは無いことは十分理解しているが…。
「……なら、体に異変はないんだな。」
「問題ない。しかし…」
おれが体制を崩した時に落としたフラッシュライトは割れてしまっている。もう使うことは出来なさそうだとトラファルガーに見せてやる。
するとトラファルガーはそれを無視して窪みのある方向へと進み出した。
「あ、おい貴様。無視するな、フラッシュライトは使えなく__」
「うるせえ。命を無駄にしようとしてる奴の話は聞かねぇ。さっさと行くぞ。」 - 105lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 01:21:30
…、訳の分からないやつだ。
ドレークはそんなおれとトラファルガーのやり取りを見て随分呆れた顔をしていたが、どういう感情が込められた表情だったのかおれには理解できなかった。
後ろを振り返り、おれが死んだと思われる場所を少しだけ確認する。
__ああ、あのロッカーの中身は。
こういう風に作られていたのか。
そこにあるのは血で出来た水溜まり。
しかしその血液の広がり方は尋常ではない。壁にぶつけられたかのように広がったもの、雫が垂れた様に一箇所に溜まっているもの。明らかに肉片が置かれたような後。目を凝らせばそこにおれの肉片があってもおかしくはない。
元々あった水溜まりに血液が溶け込んで酷く大きい水溜まりに見える。
それは酷い有様という言葉が良く似合う光景だった。 - 106lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 01:31:14
あのロッカーの中にいた人物はスマイラーに食い散らかされたのだろう、か。あの狭いロッカーの中で、逃げる事も出来ず扉を開けることも出来ず、抵抗出来ず。
死人のことを考えたところで仕方が無い。それは分かっている。しかし考えざるを得なかった。
おれも同じ状況かに置かれたのだ、どうなったかなんて、考えなくても分かる。
………。
……おれは、二人の後ろをついて歩いていく。
次第に見えてきた窪んだ場所には、やはり扉があったようだ。
扉の奥には道が続いていたが、前回の階層と同様、奥の方は暗闇に包まれていて見えなかった。
「…行くぞ。先の道だ。」
ドレークが先を歩いていく。その後ろをトラファルガーが。
おれもあとを続いた。
背後で電気の消える、
パチン
という音を聞きながら。
_______level 1 ハビタブルゾーン 脱出 - 107lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 01:35:07
本日はここまで。長々とした更新でした。
今回のlevelは1、ハビタブルゾーン(生存可能領域)です。
隔離された部屋の内部はほとんどがスレ主の捏造となっています。
木箱は物資の入った箱。今回はトラファルガーが探索を行いましたが、中には【アーモンドウォーター、使用済みの注射器、人間の髪の束】が入っていました。
ドレークの探索した机の上には書類だけ。書類には他のエンティティの情報も書かれているようです。
次回は明日夜更新です。 - 108二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 07:19:10
保守
- 109二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 13:55:25
痛みがあるのも気絶するのも出血があるのも普段のワラワラの仕様と違う感じあるな
この空間の影響なのか - 110lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 17:16:16
エリアを移動したため、各登場人物の能力がリセットされます。
・バジル・ホーキンス 能力 ライフ 0→1
前回のエリアでの死亡者はいませんでした。
登場人物の視点変更を行います。(前回の視点であった登場人物は除くものとする。)
1.トラファルガー・ロー
2.X・ドレーク
dice1d2=2 (2)
- 111二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 17:23:07
すげぇ見事に被ってない
- 112lol◆zwjg81Wprg23/02/11(土) 18:39:17
***
……暗闇へと足を進めていく。
先程の部屋で化け物に襲われたホーキンスは平気そうな顔をして歩いていた。…奴も最悪の世代の一人。億超の海賊だ。そこまで心配する必要もないのだろうか。
分からない事だらけのこのおかしな部屋の数々。
安全な場所などほとんどないのだろう。
しかしおれは、とある共通点に気付いていた。確信はないものの、可能性は高い。
まずひとつ、部屋を移動する場所は暗闇に包まれていること。黒色の絵の具で塗られた板でも立てたかのように奥が見えなくなっているのが特徴だろうとおれは思っている。
そしてもうひとつ。この道は安全である、ということだ。この道は常に暗闇に包まれている。なのにも関わらず、先程の部屋で現れた「スマイラー」と呼ばれるであろう化け物は現れる気配はなかった。 - 113二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 18:42:37
これLvfine行きそうで怖いな
- 114lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 01:42:16
この道も必ずしも安全とは限らない。だがこの道に入ると化け物達は追い掛けては来ないのも事実だ。
「…ここの道に入ると何も追いかけてこなくなるのは何故だろうな。」
「…これは仮説だが。」
おれがついこぼした独り言に、トラファルガーが反応を示す。おれはその仮説を聞くことにした。
「もしかしたら、この部屋自体…時空に歪みが生じているのかもしれねェ。能力に関しても色々とおかしい。おれ達の能力は元はこんなもんじゃねえ筈だ。」 - 115lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 01:53:11
「……トラファルガーの言うことはもっともかもしれないぞ。」
ホーキンスも、トラファルガーの仮説に対し反応する。奴は唯一能力を使用している為有力な情報だろう。
「おれの能力はライフにダメージを移す。その際痛みは無い。本来なら、だ。しかしおれは………おれは、「スマイラー」に襲われた時、酷い激痛に、襲われていた。……おれ自身がが死んでから、ようやくライフが使用されたのもおかしい。」
ライフがあればダメージを移せる。
それがあれば死ぬ事は無い。
ホーキンスの能力はそういったものだ。なのにも関わらず、一度「死を体験している」事が、能力にも変化が起きている事を裏付けているのかもしれない。 - 116lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 02:00:28
「おれのオペオペの能力も使えねェのが多い。メスもカウンターショックも使えねェ。ドレーク屋、お前も能力に条件があるかもしれねェから気を付けろ。…、……、…それとホーキンス!お前は一度診察するからここに座れ!体に異変があるかもしれねえだろ、安全地帯がここしかねぇならここで診る。」
「死んだ」というワードが引っかかったのだろうか、医者として見逃せないのだろうか。
死の医者という2つ名をもつトラファルガーは、有無を言わさずホーキンスの肩を掴んでは無理矢理に座らせ診察を始めていた。
不服そうな顔をしたホーキンスはおれの方をじっと見つめてきている……なんだ、助けて欲しいのか?お前は大人しく診察を受けていろ、と見つめ返すことで返事をしてやる。
……診察の間、おれは考えをまとめることにしようと思う。 - 117lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 02:27:18
おれの能力はアロサウルスに変身することができるというものだ。変身しようと思えばできる状態ではある、しかし条件がある可能性が高い……と言うより、確実に何かペナルティが着くだろう。奴らのように一度しか変身できないのだろうか……。
そしてもうひとつ気になるのが、覇気だ。
能力に制限が掛けられているのが現状。
であれば覇気にも制限…もしくは使用できない可能性がある。
おれは見聞色、武装色の覇気を使える。
見聞色の覇気であれば相手の気配や感情を捉えることが可能なはず。しかし化け物たちの気配は掴む事が出来なかった。
次に武装色の覇気。
ホーキンスも武装色の覇気を使用出来ると認識している。
それを使用すれば奴らから逃げる事が出来たはずだ。
しかし、現に一度「死んで」しまっている。
…パニックになっていたから使えなかった、のでは無く、ただ単純に使用できなかった。そう考えるのが妥当だろう。
……考えれば考えるほど分からない。
おれやトラファルガー、ホーキンスの手元にはいつも使用していた武器は見当たらない。それに加え覇気そのものが使えないとなると、戦う術はほとんど無いのかもしれない。 - 118lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 02:28:15
今日はこの辺で終わります。寝落ちしてたので思ったよりも進められませんでした…明日も夜更新です。
- 119二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 02:41:19
読み入ってしまった
楽しみにしてます - 120二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 02:41:52
おつかれ!バックルーム面白いしエミュ上手で好き
- 121二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 09:29:41
元ネタは知らないけどめっちゃ楽しく読ませて貰ってます
選択肢で文章変えられる人マジ尊敬 - 122二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 18:01:24
保守
- 123lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 20:29:43
「__……、本当に何も無い。真新しい怪我はひとつもねェ。」
おれが状況の確認をしていると、トラファルガーが小さな声で呟いた。トラファルガーとホーキンスの方を見ると、上半分の服を脱いだホーキンスがトラファルガーに傷を診てもらっている最中だった。
「だから言っただろう。ライフが使用されたら傷は無くなったと。」
「………傷が無いなら、ひとまず…平気、か。今ライフはどうなってんだ。」
歯切れが悪そうにトラファルガーは言う。服を着ても良いと指示されたホーキンスは服を着ながら、また片腕を藁に変化させライフの確認をし始めた。 - 124二次元好きの匿名さん23/02/12(日) 20:30:48
バックルーム面白いよね……
- 125lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 20:59:30
あの壊れたライフはあの場に捨て置いた。
壊れたライフは役に立たない、荷物を増やす理由もないと捨てたはず。
つまりホーキンスの体に取り込んであるライフはもう無いはずだった。
しかしホーキンスの藁と化した腕からは………
「…!!!」
ぼとり。
そう音を立てながら、無傷な状態のライフが………落ちてきたのだ。 - 126lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 21:11:55
「ど、どうなってるんだホーキンス!?」
「おい、ライフはさっき捨ててただろうが!!拾ってきたのか!?」
「お、おれにも訳が分からない……しかしこれは真新しいライフだ。おれが貴様らをライフにする訳も無いだろう、ライフを追加する暇だってなかった。生きた人間に会わなかったのは貴様らだって承知の上だろうが……!!」
暗い通路に緊張の空気が走る。
おれやトラファルガーはホーキンスのライフが一体「誰」のもので、いつ補充されたのか。ホーキンスは得体の知れないライフが存在している事に対し。
焦るばかり、だった。
「……、…だが。使えるものは、使った方が…良いのかもしれない。それも…特に異変がないなら、使うべきだろう。」
一度、パニックになった空気を落ち着かせるべく、おれはそう言った。
何も分からない空間、何も無いこの場所。
使えるものは使い、利用できるものはとことん利用するべき。
それがおれの考えだった。 - 127lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 21:34:10
普段であればこんな怪しいもの、ホーキンスもトラファルガーも、おれだって使う事などしない。
このライフがホーキンス自身の体から湧き出たライフなのか、ホーキンスがいつの間にか手に入れたのか、原因は不明だが何も無い状況であれば使うべきだろう。
ホーキンスもそう思ったのか、表情こそは嫌悪に満ちていたものの頷いている。
「使えるものは使うべき、それはそうだろうな。だがこんな得体の知れないものを………チッ。何を考えても「分からない」事だらけ過ぎる。分からねェ。だがそれを使っても、ホーキンス…てめェの体に影響は無かったのも事実だ。」
医者としての立場なのかただの感想か、トラファルガーは頭を随分と悩ませていた。
そんなトラファルガーを横目にホーキンスは口を開く。
「……。このライフが誰のものかも分からないが、これでおれは一度死を回避することが分かった、それだけで十分過ぎる報酬だろう。おれはこのライフを使う。」 - 128lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 21:45:53
ホーキンスの決断に文句は言わないのか、トラファルガーは黙り込んでしまった。
…少し取り乱し過ぎている。一度深呼吸をした。
「…ホーキンスのライフがおかしいのもそうだが、ここでは覇気も使えない様だ。おかしな点は上げ続ければキリがない。とにかく…生き残ることを優先しろ。死を覚悟して向かおう。」
気を落ち着けた状態で、先程おれが考えていた考察とも言えない考察を二人に情報共有を行う。そして自分自身の命を優先しろと、伝えた。
「…命を無駄にするなよホーキンス。おれも、ドレーク屋も命を優先する。アンタも自分の命を優先しろ。」
「……善処する。」
ホーキンスはライフをしまうと、藁になった腕を元に戻した。座り込んでいたトラファルガーは立ち上がり、おれも…心構えができ、先に進む準備は整った。
一本道には何も変化は無い。暗い先の道はまだまだ続く様だ。
…おれ達は先を進む事にした。 - 129lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 21:58:15
___大分歩いただろうか。
段々と道に変化が起きている様な気がする。天井には薄暗く付いた蛍光灯が並んでいて、壁にパイプの様なものが張り巡らされた道に変化していた。そして何より…
「何だこの道、暑くて敵わん」
そう、部屋が暑くなってきていたのだ。
20…いや、30度はあるだろうか。
蒸す様な熱が籠っていて、非常に暑苦しい。
おれは暑さに弱いんだ…。額や頬に汗が伝う。居心地が悪い所の話ではなかった。
「…扉は、無いが。もう次の部屋に入ったということなのか?」
ホーキンスがおれの後ろでそんな事を言った。扉という扉は存在しなかったが、確かに新しい道になっているためここが新しいエリアと言っても過言では無いだろう。
「パイプが張り巡らされているのを見ると新しい部屋なのかもしれねぇな。一本道だと思ったが部屋…と言うより色々進める方向があるみてぇだ。幸い明かりもある、進むのに問題は無さそうだな。」 - 130lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 23:00:06
先に進めるなら進むべきだ。
先程の一件を踏まえると、辺りを警戒しながら進むべきだろう。ここら一帯は蛍光灯が着いているものの、所々で消えている場所もあるようだ。
気になる道は3つある。
1つ目は目の前の道。
その先はやはりパイプが張り巡らされているが比較的明るい道だ。安全だという確信は無いものの、進みやすそうではある。
2つ目は右の道だ。そこは少し細い道になっている為一列になって進む必要がある。明かりはついているものの、電気が消えかかっている所もあるようだ。
3つ目は左の道。他の2つの道と比べると暗いのが印象的だ。明るい道でないため、化け物が現れる可能性が高そうに思えるが…確信は無い。しかし、この暗い道の奥には何かが光っているようにも見える。何が光っているかは分からないが、それを出口だと信じ、リスクを負って進むのもありかもしれない。
おれは……
1.真っ直ぐ進む
2.右へ進む
3.左へ進む
dice1d3=3 (3)
- 131lol◆zwjg81Wprg23/02/12(日) 23:02:46
今日は一旦ここまでにします。
スレも後半になってきたので180〜190辺りで次スレに行こうと思います。 - 132二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 07:51:11
おつおつ
このスレの三人だいぶ仲良いな ほぼ仲間
>おれが貴様らをライフにする訳も無いだろう
これ結構ビックリした お互いどういう認識なんだろう、ワンパみたいな…?
- 133lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 08:44:41
……善は急げ。
多少のリスクを背負ってでも、目的地に限りなく近いであろう左の道を行くべきだと考える。
暗闇と言っても、前が見えないほどでも無い。
道の太さも、おれ達三人が横並びになって歩ける程。
何かが出てきても対応できるだろう。
…今はまだ手前の光があるから、そう思うのだろうか?
壁中にあるパイプから熱が発せられているのか段々と温度が上がってきている様な気がしてならない。休憩もなしに部屋を移動してきているからか疲労も蓄積されてきているのだろう、暑さと疲労で考えが上手くまとまらずもどかしい。
…しかし、奥に見える光はほとんど点と思えるほどのサイズではあるものの、暗闇で緑色に光っているのは見間違いなどでは無いと確信を得ていた。
あれが出口で無かったら、…そう考える必要もあるのは事実。……慎重に動くべきなのだろうか…。
1.左の道を行く
2.トラファルガーに相談してみる
3.ホーキンスに相談してみる
dice1d3=3 (3)
- 134二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 18:39:46
保守
- 135二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 18:41:42
Lv2か早く移動してエレベーター乗らないと死ぬな
- 136二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 18:42:36
左の光て!の可能性あるな
- 137lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 19:30:13
「……ホーキンス。おれは左の道を行こうと考えている。奥に光は見えるか?あの光を出口の光だと考えたからだ。…お前はどの道を行くべきだと考える…?」
ホーキンスに問いかけながら溢れ出る汗を拭う。暑さで冷静さを欠けさせるなど言語道断、しかし今のおれはあまり良い判断を出せる気がしない。
辺りを見回していたホーキンスはおれの問いに少し考えている様だ。…判断材料として、おれの所持している情報を提供する。するとホーキンスは口を開いた。
「……おれはこの真正面の道を進むべきだと思うが。」 - 138lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 19:34:35
「……おれはこの真正面の道を進むべきだと思うが。」
ホーキンスは真正面に続く道を指差す。明るく、比較的安全そうな道だ。…今はただ黙って意見を聞くことにしよう。おれが頷くのを見ると、ホーキンスはそのまま話を続けた。
「お前が見たという光は生憎おれには見えない。お前がただ視力が良いから見えている可能性もあるが、それだとあまりにもリスクが大き過ぎる。…安全を考慮するならば真正面を行くべきだ。」
「…光というのはおれにも見えねェ。ドレーク屋が見たというその光を、なんの根拠もないというのに出口だと信じて進むのは馬鹿がやる事だ。…二手に別れるという手段もある。だがそうすると………」
横からトラファルガーが口を挟んでくる。
ホーキンスが言うこともトラファルガーが言うことも正しく思えるが、その反面遠回りになる気がしてならない。
…二手に別れるなんていうのは、自ら死を望んでいるような事だ。トラファルガーはそれがわかっているからこそ、歯切れが悪そうに言っているのだろう。それはおれも十分に理解していた。 - 139lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 19:35:24
………
1.左の道を行く
2.真正面の道を行く
dice1d2=1 (1)
- 140lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 20:25:48
……それでも。
それでもおれは、左の道を選んだ。
可能性がわずかでもある道を行きたい。真正面の道は明るく通りやすそうでもあるが、先がどこに続いているのかが全くもって分からない。パイプが這い巡るこの道を進み続けたら、おれは暑さでやられてしまうだろう。
道に限界がなければ?
奥に進んで、ここに戻って来れなかったら?
……考えれば考えるほど悪いことばかり浮かんでくる。
左の道を行けば、何か光るものを確認できる。それが出口であれば大助かりだ。
左の道はリスクはある、しかし真正面の道にリスクが無いなんてことは有り得ない。
多少のリスクは背負うべき、だろう。 - 141lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 20:26:41
「……いや、やはり左を行こう。真正面を行きたければ行け、おれは左を行く。」
二手に別れてしまうと死亡確率がうんと上がる。それは分かっている、しかしおれはとにかく、ここから早く出たい気持ちが強かった。
「………ドレーク屋、お前はホーキンスとは違ってライフなんかねェ。本当に死ぬ可能性だってあるんだぞ。それでも行くのか?」
「ああ。」 - 142二次元好きの匿名さん23/02/13(月) 20:28:35
まずい気がするなぁ光て=)なのか!なのかどっみにしてもやばい
- 143lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 20:32:11
「…おれも左を行く事にしよう。トラファルガー、お前はどうする。」
思わぬ所からの賛同の声がおれとトラファルガーに掛かる。
何を考えているかは分からない、しかしホーキンスもおれと同じ道を歩いてくれる様だ。
トラファルガーもホーキンスが賛同するとは思っていなかったようで嫌な顔を浮かべている。トラファルガーは帽子のつばを掴み顔を隠すように深く被ると、おれの先を進んでいってしまった。
「仕方ねぇ、ここで誰かが死んだら面倒だ。左だろ、行くぞ。ここは一本道に見えるが…背後と前方、どちらも注意は怠るなよ。」
「言われなくても分かってる。…緑色に光っていたのはここよりずっと奥だ。とっとと進んでしまおう。」
…暑さで目が回る。
二人はそこまで暑そうにしていないが、ここまで暑さを感じているのはおれだけなのか?
…なんにせよ、行く方向は決まった。先に進むとしよう。 - 144lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 20:42:07
―――左の道を静かに進んでいく。
壁に張り巡らされたパイプからは水蒸気が出ているようで、そこから発せられる熱のせいか先程居た場所よりもじめじめとして…そして何より暑かった。
こんなにも暑いのに前を歩く二人は平然としている。…いや、もしかしたら暑いものの我慢出来る暑さなのかもしれない。おれには合わない、ここは最悪な場所だ。
「…トラファルガー。先はどうだ、なにか見えるか……?」
何か話していないとどうにかなりそうで、前を歩くトラファルガーに声をかける。
するとトラファルガーは後ろを振り返り、おれの方へ何かを手渡してきた。 - 145lol◆zwjg81Wprg23/02/13(月) 20:52:25
「……?なんだこれは。」
「先はまだ何もねェ、気が早すぎんだよ。…それは前の部屋で見つけた飲料だ。毒物じゃねェのはお前も把握してんだろ、多少はこの暑さも改善される筈だ。黙って飲んどけ。」
投げられたものは先程の部屋で入手したバニラの香りがする液体…飲み物のようなもの。喉の乾きが無いものの、確かに何か摂取すれば多少は変わるかもしれない。
おれは礼をひとつ言うと、ガラスとも言えない、変に柔らかい素材でできた瓶の蓋を回して開ける事にした。
…開けた瞬間に広がる甘い匂い。
恐る恐る口に含むと、ひんやりとした感覚が舌に伝わる。瓶に入っていて、尚かつこの暑い空間にあったのにも関わらず冷たさが残っているのは不思議だが、毒物を摂取した時に感じる刺激は何一つ感じられず、案外サラサラとしていて飲みやすク感じる。
濃い砂糖水を飲んだ後に口内に残るざらつく様なものはなく、ほのかにアーモンドのような不思議な味もあった。
そしてそれは、おれの体にあった熱を奪っていったのだろうか。先程の暑さが、少々軽減されたように感じた。 - 146二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 00:52:42
情景といい描写が上手いなぁ
三人の会話が小気味いい
逆上せ気味なドレークがんばれ - 147lol◆zwjg81Wprg23/02/14(火) 02:33:05
おかしい程の暑さが消えていったが、この液体にも不思議な点はいくつもある。
謎の瓶のようなもの。常に冷えている液体。そして味。…まあ、不味くないのは助かるから、良いのかもしれないが。空になった瓶の蓋をまた締め直し、空瓶が何かに使用できるかもしれないからと持っていく事にした。
…またしばらく経った位だろうか。入ってきた時と比べると、壁のパイプは何故だか量を増してきている様な気がする。気のせいか…?そんな事を思っていると、ふと、前方から声が聞こえてくる。
「!ドレーク屋、前になにかいる…人、か?」
「…人影のようにも見えるな。」
「…!!他にも、おれ達のようにここに迷い込んだ奴がいるということか?もしかしたら敵の可能性もあるが…どうするトラファルガー、ホーキンス。話しかけに行くか?」
その人影と思わしき姿のもう少し奥には、緑色に光っていたランプが点滅しているのが見える。あれは……スイッチか、なにかか?
「……ドレーク屋、先に行け。話し掛けてェなら話しかけても良いが……」
先頭にいたトラファルガーがおれに先頭を譲る。…選択するのはおれ自身、ということか。
人影は先に進む様子は見られない。その場で停止している様だ。この人影は、話し掛けるにはあまりにも…怪しい様に感じる。
であれば、無視して先に進むという事も案としては良いかもしれない。急いで走ればあのランプの元にすぐに辿り着く気がする。…ただの憶測ではあるが。
さて、おれはどうするべきだろう。
1.人影に声を掛ける
2.無視して奥へ進む
dice1d2=2 (2)
- 148lol◆zwjg81Wprg23/02/14(火) 02:34:49
今日はここまでです。普通に寝落ちしてたのであんまり進められませんでした。明日も夜更新予定です。保守と感想ありがとうございますめちゃ嬉しいです!
- 149二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 09:18:13
保守
- 150二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 17:02:44
生き延びろよノース三人衆
スレ主は無理せず楽しく続けてくれな - 151lol◆zwjg81Wprg23/02/14(火) 18:01:18
……話しかけるには、あまりにも怪しいだろう。
ここに来た時、おれ達しかいなかったであろうこの部屋で、おれ達よりも前にいること。その人影がそこから動こうとしないことにも、違和感を覚える。
この暑さにやられてか、化け物に襲われてか……倒れ込んでしまっているのならまだ分かる。しかしその人影は真っ直ぐに立っていて、後ろを向いているのか前を向いているのか分からないものの、ゆらり、ゆらりと体を揺らしている。
そしてその人影は、非常に大きく見えた。
おれやホーキンス、トラファルガーの身長は一般市民と比べると比較的大きな方。しかしその影はおれ達よりも遥かに大きく見える。…ただの目の錯覚だろうか?おれ達がその人影よりも遠くにいる為そう見えるだけなのだろうか。
人影に近付くとわずかに聞こえてくる、ガリガリと金属を擦る様な音。その異常なまでの大きさ。
……あれは、人ではない。そんな気がしてならなかった。 - 152lol◆zwjg81Wprg23/02/14(火) 18:10:46
「……話しかけるのは辞めておこう。無視出来るかは分からないが、極力気配を消して進むぞ……戻るにも進み過ぎた、もう真正面を行くしか道は無いと思った方がいい。……奴は、人間では無い、気がする。」
おれは結論付けた答えを二人へと展開する。二人はそれが正しいと言わんばかりに頷く。
であれば、進んでしまおう。警戒を怠らぬ様、おれを先頭にゆっくりと……前回の部屋での失敗を配慮し、足元にも気を付けながら。
ゆっくり、ゆっくりと進んでいく。
おれとホーキンス、トラファルガーから出る小さな呼吸音。
地面と靴が摺れる事で生まれる足音。
壁を這うパイプから出る蒸気が水となり、下へ下へと滴り落ちる音。
そして大きく響く、何かを引っ掻く騒音。
ガリガリと大きく鳴る音は、人影に近付くと少しずつ、大きくなっている様に感じた。 - 153二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:07:19
ドキドキする
- 154二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 07:51:53
保守
- 155lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 08:34:14
…前方にある人影に変化はない。引っ掻き回す音も聞こえたまま。
奴に見つからずに隣を通り過ぎることなど不可能だろう。しかし、この暗闇の中だ。もしかしたら、音を立てなければ見つからずに済むかもしれない。
おれはちらりと後方に視線を送る。後ろにいる二人も、人影に注意している様だった。
…側へと近付いたからだろうか。人影……否、その黒い影の正体が、少しずつ顕になる。
灰色の体。
体を丸く歪めているのにも関わらず4mを超えるであろう大き過ぎる身長。
暗闇の中をルビーのように朱色に輝くふたつの瞳。
そして何よりも目立つのは、細く長い手足だった。
その長い手の先には鋭く尖った爪の様なものが生えていて、壁のパイプをガリガリと引っ掻いている。…先程から聞こえていた音は、こいつが出していた音だという事がわかった。
………後ろを振り返りパイプをよく見て見ると、今まで来た道のパイプも…歪に凹み、傷付き、開いた穴からは蒸気が吹き出していた。こいつはパイプを切り付けながら奥へと進んできたのだろうか?
しかし、どうやら、この化け物は目が見えていない様だった。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらを覗いている。
おれ達から奴の影が見えていたのなら、奴からもおれ達の影が見えているはず。それなのにも関わらずその場で立ち尽くしているのは…おれ達が見えていないからだと考えたのだ。 - 156lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 08:49:50
何か喋っている様子も見られない。
…口が聞けず、目も見えない…のか?
奴はゆらゆらと揺れ動き続けているものの、おれ達に襲いかかってくる様子は見られない。慎重に進めば見つからない可能性が出てきた。
おれ達は化け物の真正面までやってくる。
奴が傷付けたせいかパイプからは何本も蒸気が噴射されていて、あれに触れると火傷してしまう恐れがあった。
絶え間なく噴射されている蒸気のせいか、ここはひたすらに暑く感じるが…耐えられない程でも無い。さっきあの飲み物を飲んでおいてよかった、飲んでいなければ暑さで倒れてしまうところだったと内心思った。
奴は道の右側、壁側にその身を寄せ爪をひたすらに研いでいる様だ…。…進めそうな道は二つある。
ひとつは左に沿って歩く道。左側のパイプも奴の爪で傷付けられていて、蒸気が吹き出し続けている。奴から若干の距離はあるものの、吹き出る蒸気に触れると火傷してしまうだろう。ここでの怪我は命取りな様な気がしなくも無い。
もうひとつは真ん中を突っ切る道だ。奴は右側にいて、視力がほとんど無い。その為、堂々と真ん中を歩く事も出来るだろう。吹き出る蒸気にも当たらない、比較的安全だと思われる道だ。しかし万が一奴に触れてしまったら、おれ達は奴に見つかる事になるだろう。
……選択は慎重に行わなければならない。
どちらの道を行こう。
1.蒸気に気を付けながら左の道を進む
2.比較的安全であろう真ん中を突っ切る
dice1d2=1 (1)
- 157lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 08:51:33
(続きは昼、もしくは仕事終わりにやります)
- 158二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 11:06:11
うぉお選択肢がどっちも怖いな
楽しみに待ってるぞ - 159lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 13:04:12
…右側の壁にいる化け物は目と口が不自由であると予想する。視力が無いと言う事は他の部分が特別強化されている可能性があった。
欠損した部分を補う為に他の機能が強化される事はよくある話だ。
例えば耳が聞こえない者は、耳が聞こえない部分を補う為指先が器用であったり視力が良かったりする。
両腕が無いものは足を手のように使えるものもいる。
要は、この化け物も目が見えない分……「耳」が非常に良い可能性があるのだ。嗅覚も優れている可能性だってある。その為、おれ達が横を通り過ぎるにあたり近くを通ってしまうと、匂いや音で見つかってしまう可能性があると考えた。 - 160lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 15:03:47
左の道は一見危険な様にも見える。
しかし、蒸気の噴射される音におれ達から発せられる音はかき消されるはず。
匂いに関しては判断しかねるが…少しでも危険でない道を行くのが正しいだろう。
それに、よく見ているとパイプから噴射されている蒸気は一定の間隔で止まる事がわかった。
どこに繋がり、何を運ぶためのパイプなのかはわからないこのパイプではあるが…タイミングを図ることができれば、火傷もせず無事にこの危機的状態から抜け出せるかもしれない。
おれは後ろを振り返ると、トラファルガーとホーキンスに左に進むと手招きし合図を出す。声は出さず口を動かし、"音を出すな"と伝えると、おれの伝えたい意図が伝わったのか、二人は頷いた。 - 161二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 15:04:55
スキンスティーラー?
- 162lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 16:03:37
…できる限り身を小さく屈みこんだ状態で先へと進む。
噴射する寸前、パイプがわずかにカタカタと音を立てることが分かってきた為蒸気を避けることは難しくなくなってきた。しかし次なる問題として、ここまで近くで蒸気が出ていると空気にまで熱と湿気が含まれていて非常に呼吸が難しく感じてくる様になってきていたのだ。
若干の息苦しさ。
…だが、耐えられない程でもない。
後ろを確認してやる余裕などない、二人も無事であることを祈ろう。
おれは意を決し大きく息を吸い込むと、スピードを出して先に進む事にした。 - 163lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 16:04:49
化け物の隣を、ぶつからない様、慎重に。
…蠢く化け物の隣を歩くのは非常に恐ろしかった。
今までの人生で一度も見たことのない形をした化け物達。恐ろしいのはその見た目だけではない、その強さもだった。
普段使っている武器がない今、おれがこの場所にいる化け物と素手で戦ったとしても勝率はほとんどないだろう。
そんな化け物の横を歩くのだ。恐ろしくないはずがなかった。
何をきっかけに動き出すかわかったものじゃない。
目を閉じてしまいたかったが、目を開けて前を見なければ先には進めないためしっかりと前を見ておれは歩いていく。
ガリガリ
ガリガリ
爪を研ぐ音が頭上にある。
化け物が揺れることで空気が動き、その空気の動きでさえも恐怖を搔き立てた。 - 164lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 16:41:39
___……どれほど歩いただろう。
目の前の道は開けており、右側を占領していた影はない。
…どうやら、化け物の隣をすり抜けることができたようだ。
おれの判断は、考えは正しかったようで、奴はおれ達に気付くことはなかった。
そのまま先に進んでいくと、爪を研ぐ音が遠のいていくのを感じる。
良かった。何事もなく通り過ぎることができたようだ。
1.…もう安全だろう。
2.…まだ気を抜かずにいるべきだろう。
dice1d2=1 (1)
- 165lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 18:30:08
……ここまで来ればもう安心だろう。
後方確認をするために立ち止まったおれの横を、後ろにいたトラファルガーとホーキンスが追い抜き前を歩いて行く。二人は未だ警戒を解いていない様だが、蒸気で満ち熱が篭もりきったあの道を歩いていた二人も流石に暑いようで汗を拭っているのがすれ違いざまに見えた。
奥で鳴り続けている爪を研ぐ音は鳴り止んでいないようだが、奴は先程の場所に立ったまま。
奴の傍を通り過ぎ、距離を取った今、奴がこちらに気付く事はまずないはずだ。
おれも警戒しつつ、しかし安全区域に入ったと思い込んでいたが故に安堵のため息を落とす。
すると、背後で鳴っていたガリガリという騒音が
ぴたり。
急に、鳴り止んだ。 - 166二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 18:41:59
あっ…
- 167lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 18:45:32
「……は、?」
口から自然に溢れ出た言葉はあまりにも間抜けに聞こえる台詞。前方を歩く二人も異変に気付いた様だ。ガリガリと鳴り響く騒音が急に消えたのだから違和感を覚えないはずがない。
___ペタ
爪を研ぐ音の代わりに、足音が聞こえてくる。
濡れた場所を歩く様な、湿気を含んだ音だ。 - 168lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 18:46:38
ペタ
ペタペタ
その音はどんどん近付いてきている。
そしてその足音に続いて、ギャリギャリと鋭利な刃物を引き摺るような音も聞こえてくる。
後ろを振り返ると、先程まで距離があり、壁際にいた奴が。
化け物が。
おれ達の方へと近付いてきているのが分かった。 - 169lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 19:24:40
道は暗いもののこちらに影が向かってくるのがわかる。
それに大きな音が殺意を持っておれ達へと近付いてきているのはどう考えても一刻を争う事態だろう。
おれは咄嗟にアロサウルスへと体を変える。
走り出すと同時に、前方にいるトラファルガーとホーキンスの首根っこを掴み、勢いをつけて道を走り出した。
奥に進むにつれ段々と本数が増えていくパイプ。
そのパイプのせいで狭まる道。
奥から走り近付いてくる化け物。
ああ、おれのせいだ。
おれのせいで奴に気付かれてしまった。
侮った、油断した、失敗した!
おれがあんな所でため息を吐いたから、音を立ててしまったから!
いくら悔いても仕方が無いのは百も承知、とにかく走ることしか出来ない。 - 170二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 19:51:47
うっわこわ…逃げ切ってくれ!!
- 171lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 20:10:59
おれはともかく、こいつら二人は完全に巻き込んでしまったのだから、死なせる訳にはいかない。…敵を守る事なんてしてやる筋合いも無ければ立場上この行為はほとんど裏切りに近しいだろう。しかし、だからといって見殺しになんか出来るものかと渾身の力を奮って走り抜ける。
色々な事がぐるぐると頭の中で回り続ける。暑さと混乱で考えはまとまらない。しかし行くしかない、走るしかない。
おれの能力にどのようなペナルティがあるかも分からないのに…しかしそんなことを考えている猶予などないのだ。
___息が切れる。
もうだいぶ走ったというのに道は終わらないようで、後ろから追いかけてくる化け物も速度を変えることは無さそうだ。
しかしどうやら、おれの方が足が早い様だった。足音は聞こえるものの明らかに距離を取る事が出来ている。
どれほど走ればあの緑色の光が見えてくる?
もしもあの光が出口ではなかったら?
頭に過ぎるのは嫌な考えばかり。
しかし現実は違った。そんな嫌な考えを頭に残しつつ走り続けていると、ようやく緑色の光が見えてきたのだ。
あの光は__ - 172lol◆zwjg81Wprg23/02/15(水) 20:55:55
「ドレーク、あれはエレベーターでは無いのか。」
首根っこを掴まれ乱暴に運ばれているというのにだいぶ落ち着いた声色のホーキンスがおれに向かってそう言った。おれは前方に光る緑色の光をじっと見つめる。
おれが見た光。それは【EXIT】という文字の書かれた看板の様なものだった。その看板には緑色の人型が出口と思わしき方向へ走り抜けようとしている絵が描かれている。そしてその看板の下にあるのは、銀色の扉と何かのスイッチ。ホーキンスが言うように、エレベーターの可能性があった。
【EXIT】と書かれているということは安全な方向なのだろう、おれは速度を変えることなくその看板のある方へと走り抜けていく。
「あの緑色の看板、【EXIT】と書かれてるぞ……トラファルガー、ホーキンス!!あれは出口だ!!」 - 173lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 02:02:54
「緑色の光とは看板の事だったのか……【ROOM】!!」
おれの片腕でこれまた乱暴に運ばれていたトラファルガーが先に見える看板の方を見ると、おもむろに【ROOM】を展開する。そしてそのまま
「シャンブルズ!!」
奴が一度きりしか使えないであろうシャンブルズを唱えた。
瞬間、おれとホーキンス、トラファルガーはその銀色の扉の前まで音も無く移動する。ペタペタと濡れた足音と爪が擦れる音は遠のいている。つまり、化け物とはだいぶ距離が取れた様だ。
おれは恐竜化を解かず、万が一追い付かれてしまった場合敵を止める為に背後を警戒する。
その間にホーキンスが何かのスイッチを押したようだ。
機械が動く音がする。 - 174二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 02:04:02
EXITの先は良くなかった気がする灰オフィスだっけ
- 175lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 02:08:07
やはりエレベーターだった様だ……しかしスイッチを押したというのにも関わらず、エレベーターは中々ここに来ない。
遠のいていた音がどんどんこちらに近付いてくる音がする。黒い影がおれ達の方へ
酷い緊迫感。
心臓が痛いくらいに鳴る。
頼む間に合え。
間に合ってくれ。
黒い影が迫る
___ポーン
エレベーターが到着した音が聞こえた。 - 176lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 02:14:09
「!!ドレーク屋!急げ、乗るぞ!!」
トラファルガーが叫ぶ。それと同時に、おれは恐竜化を解除しゆっくりと開くエレベーターの扉をこじ開ける様にエレベーターに飛び乗った。
恐竜化を解くと一気に押し寄せる疲労感。体に掛かる異常なまでの脱力感…正直立っているのも精一杯な程だった。しかし油断ならない、一刻も早くスイッチを押さなければ。
ホーキンスも後から続く。最後にトラファルガーが乗り込むと、おれは必死に中にあった【閉】のスイッチを連打した。
エレベーターの中にあるスイッチは【閉】のスイッチのみ。他のスイッチは何も無い。しかしどこからともなくやってきたのだから、このエレベーターはきっと動くだろう。
カチカチと何度も連打する。
エレベーターの隙間から黒い影が見える。
エレベーターがゆっくりと、その扉を閉めていく。
黒い影がもうすぐそこまで来ている。
エレベーターが閉まる_____
それと同時に、エレベーターに体当たりしたのだろうか。
ドンッ!!!ドン、ドンドン!!
と何度も何度も殴りつける音が聞こえてきた。おれ達の乗ったエレベーターは上へと上がる様だ。 - 177lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 02:19:22
このエレベーターの目的地は分からない。分からないが、向かう先は決して出口でも、いい場所でも無いだろう。
…危険が少ない場所がいい。そして出来れば、休む事が出来れば。
おれは上昇し始めたエレベーターの中で、今度こそ安心だと安堵からのため息を吐く。すると二人から次々と
「……貴様が油断しなければ見つからなかったのだぞ。ドレーク、反省しろ。」
「そうだ。ドレーク屋がここまで走ったから逃げ切れたものの、そもそもの原因はてめぇだドレーク屋。一発殴りてぇ位だがチャラにしといてやる。」
などと文句を言われてしまった。
………二人の言う事はご最もだ…反論できない。
気まずい空気の中、おれ達はエレベーターで次の部屋へと向かっていった。
______level 2 パイプドリーム 脱出 - 178lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 02:37:53
- 179二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 08:08:28
戦犯持たされドレーク屋!
気の毒だけど笑っちゃうぜ
いやぁ怖かったあ、この先も油断禁物っぽいから気をつけるんだぞドレーク屋 - 180二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 09:27:29
もうそろそろ180だけど次スレ行く感じ?それとも閑話やった後?
- 181lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 12:20:38
閑話〜エレベーター内にて〜
…エレベーター内は静まり返っている。
……おれがミスをしたから二人が怒るのもよく分かる。しかし、非常に、沈黙が痛い。何か、話すべきだろうか。こんな空気の中どこまで続くかも分からない密室で黙り込んでいるのは心苦しくて仕方がない。なにか話題は…… - 182lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 12:22:12
どの話題を出そう。
1.この世界に来たきっかけ
2.謎の飲み物について
3.エレベーターの行先は?
4.能力の限度について
5.海の戦士ソラについて
6.出口の話
7.行動を共にする理由
8.エンティティについて
9.この世界への考え
10.食べ物の好き嫌いの話
dice1d10=4 (4)
- 183lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 12:35:01
「……な、なあ。」
おれは重たい口を開き二人に声を掛ける。
「…?なんだドレーク屋。」
「お前ら二人は、ここでの悪魔の実の能力はどこまで使えると思う?」
当たり障りのない、話し合うべき話題を振ってみる。二人はそんな話題を振られるとは思っていなかったのか黙り込んだ。
すると、ホーキンスが口を開く。
「…おれはここに来る前に話した通り。死ぬはずもないのに一度死に、ライフが使用されることで生き返る。それしか理解出来ていないし、それしか使えない。それ以上のペナルティがあるかどうかも不明だ。」
ホーキンスは先程の部屋では能力を使用していない。降魔の相を使用していない所から、それは使用できないのだと踏んでいる。次にトラファルガーが話し始めた。
「……おれはさっき、咄嗟にシャンブルズを使ったが。あの一回きりらしい、もう【ROOM】もシャンブルズも使えねぇ。お前はどうだ、恐竜化しただろ。体に変化はあんのか。」
トラファルガーも能力の使用回数が決まっているのか使えないと言う。メスやカウンターショックも使用できないということは、シャンブルズのみ使用できるのだろう。
能力を使用したおれはと言うと、体力の消費が激しいこと以外に大きな変化は無く、少し休憩すればもう一度アロサウルスになれる状態だった。 - 184二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 12:40:55
おい待てホーキンス貴様が被ってるのパーティゴアの奴だろどこから持ってきた
- 185lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 12:45:37
各々能力にかかる制限が違うらしい。
おれは能力に使用制限はない。しかし体力の消耗が激しい。その為しばらく休まなければ使用できなくなるのがペナルティなのだろう。
ホーキンスの能力はライフのみ。一度死を回避できるのだろう、しかしその為にはホーキンス自身が死ななければ発動しない様だ。憶測だが、怪我をしただけではライフは使用できないということだろう。他にもペナルティはあるのだろうか、不明点は多い。
トラファルガーの能力はシャンブルズのみ。おれ達を含め一定の範囲内であれば瞬間移動が可能のようだ。しかしそれは一度きりしか使用できないのがペナルティだろうか。
……それぞれの制限とペナルティ。今後も能力を使用する場面は考えた方がいいだろう……。 - 186lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 12:46:27
「……おれは能力を使ったあと体力を酷く消耗する。正直、今立っているのが精一杯な位だ。次の場所で少し休みたいのが本音だが……」
「……わかった、安全な場所に行き着く確率は低いだろうが、少し休憩をしよう。」
ホーキンスがおれの意見を聞きいれてくれる。トラファルガーも頷いているようだ。
…エレベーターは未だ上昇し続けている。
次の場所はここよりも安全であってくれ……おれはそう願うばかりだった。
__閑話 能力の限度について end - 187lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 12:47:54
長々とお付き合い頂きありがとうございました。
次スレは夜に作ります。 - 188二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 13:43:25
乙です!さすが真面目だ
お互いの能力を把握して限界を理解できたんだしなんとか生き延びますように
スレ主の采配とダイスに祈るぜ! - 189二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 13:56:55
今後怖いのが 油っぽいマシュマロ(正しく調理しないと著しいデバフか掛かる)とリキッドペイン(飲んだら半年間以上植物人間にされた挙句にじわじわと死)に引っかからないか何だよな、リキッドペインは触れても同じ事になるからパッチテストもまずい
- 190二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 15:45:57
- 191二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 18:02:34
このスレでThe backrooms知ったけど
wiki読んだりしてちょっとずつ3人の置かれてる状況が理解できるようになってきてすげー面白いわ
ありがとうスレ主 完走したくらいに読み返すのがめちゃくちゃ楽しみだ - 192lol◆zwjg81Wprg23/02/16(木) 20:42:32
- 193二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 21:07:36
立て乙埋め
- 194二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 21:09:21
立て乙!
埋め埋め - 195二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 21:47:29
立て乙ここからも楽しみだ!
埋めー - 196二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 22:27:46
埋めー!
- 197二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 22:39:48
埋めー
- 198二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 22:59:56
埋め埋め
- 199二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 23:04:50
埋め
- 200二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 23:05:21
うめーパーティゴアに出会わないことを祈るぜあいつらろくな事ない