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  • 1二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 13:38:20

    その姿を見るだけで全身が竦み上がる、大蜘蛛の怪物を前にしてその大英雄は雄々しく吼えた。
    その屈強な肉体も、手にした名も知らぬ得物も、その生物の前ではあまりにも小さな存在に見えるというのに、彼はその事実をはね除けるように叫んでいた。
    その勇猛さはいつ如何なる時でも頼りになった。どれだけの苦境に立たされようとも、どれほどの絶望が前にあろうと、その闘志は決して尽きることなく人を導くように燃え盛る事実はこの時ですら変わらない。
    普段情けない、あまりにも怠惰な金髪の船長。震えながらも魔女とその幼少と共に愛船で駆けて、水晶に変わって散ったその男。彼が次に呼ぶとしたらこの大英雄にしろ、といった理由をここに理解する。
    “彼”は“友”を理解している。虎口にて閃いたのが、この結果なのだろうと。彼が傍で戦ってほしかったであろうその男が、其処に居てはならなかったという事実に悪態をついたのだろうと。その結果が、甲板に残るほんの一滴の赤い染みだ。

    その怒りをぶつけるべき相手を大英雄は知っている。そして、その戦う雄姿を見せるべき“小さき者”がまだ後ろで立っていることを知っている。
    叫んでいた彼はその憤怒を抑え込み、一度ゆっくり背後を向く。大蜘蛛を背にして立つ彼の姿を見ても、小さな者はその表情も眼差しも変えようとしない。そして震えるような声で、段々俯きながらもやるべきことを伝えてくるのだ。

    大英雄は言葉による返事をしない。彼の言語能力は奪われている。だがその場所において、ひとつの表現を得ている彼は、小さき者の肩へあまりにも大きなその手を置き、自分の方へと顔を上げさせる。
    そしてその者に、親指を立てて、口角をほんの僅かにつり上げる。それが示す言葉に気付かない程、小さな者は弱くなく、無理解ではない。だからこそ笑い返す。
    大英雄はそれを見れば再び大蜘蛛に対峙する。大きさも、存在感も、その力ですら、誰がどう見ても圧倒的な差があるはずだというのに、彼から発される闘志はそれを塗り替えてしまいそうなほどの頼もしさを周囲へと伝搬させる。

    時間だ。
    それを本能で理解した“彼”は咆哮を上げて翔んでいく。船友を取り込み、友を殺し、小さき者達を震えさせるその怪物を討ち果たすためだけにその一撃は大蜘蛛へと届けられた。

  • 2二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 13:44:28

    イアソン…

  • 3二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 13:51:54

    やっぱヘラクレスよ

  • 4二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 14:06:34

    こんなん大英雄じゃん…

  • 5二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 14:14:49

    タイトルでちょっと損してない…?

  • 6二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 14:27:35

    俺こういうの好き

  • 7二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 14:37:37

    イアソンが後をヘラクレスに任せて突貫するという状況のクソさよ

  • 8二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 14:39:06

    >>7

    イアソンなら削るのは俺の役目でとどめはヘラクレスだって考えるだろうしな

  • 9二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 14:39:46

    >>7

    5章とは逆なんだな

  • 10二次元好きの匿名さん23/02/09(木) 16:15:35

    >>7

    そりゃヘラクレスもヤル気満々だわ

オススメ

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