爪切りトレーナーさん【トレカフェss】

1二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 20:51:04

「トレーナーさん……今日、いいですか？」

　もちろん、と応えて準備に入る。
　霊障による爪の損傷のケアとして始めた爪切り。調子が良くなるからと、今も定期的に行なっている。

　ソファに腰掛けたカフェが靴下を脱いで消毒している間に、こちらもケア用品を揃える。

　割れた爪から雑菌が入らないために使い捨てのゴム手袋をつけるべきだが、本人の希望(感触が苦手なんだとか)で出血が無い場合は素手で行なっている。
　衛生面的に断ろうとしたあの時のお友達の腹パンは痛かった。

「では……お願いします、トレーナーさん」

　ソファの対面に座り、差し出されたカフェの素足に触れていつもの時間に──

「おやおや、今日もご奉仕に精が出るねえ」
「タキオンさん……人聞きが悪いです」

　ちょっと厄介な隣人がいつの間にやら隣で意地の悪い顔を寄せてきた。

「トレーナーを傅かせて足を手入れさせる。外から見ればきみ達の姿は主従のそれだよ？」
「ケアのついでにアライメントも見てるんだよ。れっきとしたトレーナーのお勤め」

　第一自分のトレーナーをモルモット扱いしてる子に言われたくない。

2二次元好きの匿名さん21/11/12(金) 20:52:46

ふゥん、と鼻を鳴らしたタキオンがニヤリと笑う。

「これがお勤め、ねえ？」
　ニヤニヤと寄ってきて、耳元で囁かれる。

「たしかに。今ちょっと顔を上げたら……刺激的な"ご褒美"が見られるねぇ……？」
　もし視線を上げたら、カフェの素足が。その先には──

ド　ン　！！！
「あいたたたた！？なんだ！？耳、やめ、も、モルモットくん！？モルモットくーん！！？」

　両肩と頭が重圧に襲われ動けなくなる。耳をひっぱり上げられたらしいタキオンは退散していった。

　身体が思いがようやく作業に戻れる、と思ったところで。

「……トレーナーさん」

　愛バの不満げな声が聞こえる。私を放っておかないでと手を趾で器用に抓ってくる足を撫でて、改めてお勤めにかかる。
　今日の珈琲は苦いだろうな。