ほころび期間のクリークの話をさせてもらう

  • 1二次元好きの匿名さん21/08/24(火) 01:37:21

    小さなほころびを抱えたスーパークリークは、ずっと罪の意識に苛まされているんだ。
    あれからトレーナーは、たくさんのウマ娘についての本を掻き集めてトレーニングの後夜遅くまでそれを読み漁っている。余計な心配はかけまいとしているのか、それをクリークには見せないようにしているようだけど……毎日トレーナー室に増えていく本を見れば、察しはついてしまう。
    かつてはクリークがトレーナー室に散らかった本を片付けたりしていたけれど、あの日から、クリークに負担をかけまいと、トレーナーはだらしない所を見せなくなった。

    クリークは、トレーナーに栄光の冠をかぶせてあげたかったんだ。
    自分にはそれができると思っていた。もちろん、クラシック期を共にするウマ娘たちを侮ってはいない。ほんの少しの油断で、あるいは時の運で、勝利はつかめなくなってしまうものだと理解はしている。それでもスーパークリークは、自らが3冠ウマ娘となり、あの親愛なるトレーナーに、新人にして担当を3冠に導いたという、最高の輝きをあげたかったんだ。

    でも、今ここにある現実は……
    原因不明の不調は、意思を強くすればするほど、反発するように身体を強張らせる。
    スーパークリークの皐月賞回避には、多くの人々から惜しむ声が聞こえてきた。
    クリークの才能を、可能性を、たくさんの人が認めてくれているんだ。
    でも、だからこそ、人々は疑念を抱いてしまうんだ。
    「新人のトレーナーが、あの才能を潰してしまったのではないか」と。

    スーパークリークは夜ベッドに入ると、嫌な想像が頭から溢れて止まらなくなるんだ。
    もしこのまま、自分が復調することができなかったら?
    デビュー戦からすみれステークスまでは、最高の走りができたと思っている。
    でも、でもだからこそ、このまま自分が調子を取り戻すことができなかったら……
    きっと、トレーナーは、”才能あるウマ娘を潰してしまった愚か者”という烙印を押される。
    そうなったら、あの人をトレーナーに選ぶウマ娘はもういなくなってしまうかもしれない。
    栄誉を与えるどころか、あの人から、未来を奪ってしまうかもしれない。
    私のせいで。

  • 2二次元好きの匿名さん21/08/24(火) 01:38:12

    悪夢を見て飛び起きたスーパークリークは、激しい焦燥感から早朝にランニングをしに行くんだ。
    どうか、どうか治ってください、ちゃんと動いてくださいと祈りながら。
    祈れば祈るほど、息は上がり、身体は強張って動かなくなって。
    それが悔しくて悔しくて、自分の身体が憎くてたまらなくなって。
    ランニングコースの途中の河川敷でへたりこんだスーパークリークは、さめざめと泣き出してしまうんだ。

    そこに、邪魔するで、と声をかけて、一人のウマ娘がクリークの横に座るんだ。
    クリークは驚いて、なんでここに、と声を絞り出すと
    早朝ランニングしとったら、見覚えのある背中が小さなってたから、と答える。
    そして彼女は、クリークにこう言うんだ。
    ウチは信じとるで、と。
    クリークは必ずまた元のように走れるようなる、と。
    そして……きっと、あんたのトレーナーがクリークを走れるようにしてくれることも、と。

    クリークは目を丸くして、トレーナーさんのことも信じてくれるんですか?と問うと
    そらウチはあんたらの馴れ初めを見とるからな、と返ってくる。
    「世間はピーチクパーチク言うとるけど、気にせんでええ!
    なんなら、たまにはトレーナーに甘えてみたらどうや?
    甘やかすのもええけど、クリークは甘え方も覚えたほうがええかもしれんで。」
    そう言うと、タマモクロスは立ち上がり、ランニングに戻っていくんだ。

  • 3二次元好きの匿名さん21/08/24(火) 01:38:13

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  • 4二次元好きの匿名さん21/08/24(火) 01:39:06

    寮に戻ってくると、同室のウマ娘が朝の支度をしているところで。
    いつもの調子で、今日もえらいですね~、いいこいいこ、と頭を撫でようとすると
    普段であれば鬱陶しそうに手を払いのける彼女が、今日はおとなしく、呆れたような顔で撫でられるんだ。
    あら、今日は甘やかさせてくれるんですか?と問うと、彼女は少しためらってから。
    今日はちょっとだけ甘えてもいい……かも、と、想像もしていなかったことを言うんだ。

    驚きつつも、とても嬉しい気持ちになって、あらあら、ついに甘えてくれるんですね~と言いながら
    彼女を抱きしめて、いいこ、いいこ、と頭を愛おしげに撫でる。
    誰にも言わないでよね、と語気を強めて言う彼女に対し、何かつらいことでもあったんですか、と問うと。
    アタシはなにもない、けど、アンタが最近、ずっと大変そうだから、と。
    甘えてほしいっていうなら、ちょっと甘えてあげるくらい、いいかなって……それだけ、と、彼女は照れくさそうに答えるんだ。

    それを聞いたクリークは、なぜだか涙が溢れてきて。
    しばらく彼女を抱きしめたまま、涙声で、いいこ、いいこ。と、彼女を撫で続けるんだ。
    小さな体のナリタタイシンを、包み込むように抱きしめているのに
    なぜだか自分が温かいものに包まれているように感じて。
    調子を崩す前にトレーナーを甘やかしていた時のことを思い出すんだ。
    甘やかさせてもらうという甘え方を、今までもしていたのかもしれない、と。

    スーパークリークの身と心を苛む綻びはまだ消えてはいないけれど
    それでも少しづつ傷は癒え、二人で共に歩む未来への下地は整いつつあるんだ。

  • 5二次元好きの匿名さん21/08/24(火) 01:39:07

    ふむ
    続けて

  • 6二次元好きの匿名さん21/08/24(火) 01:43:04

    小さなほころび期間は公式でお出しされたものだし
    この後晴れる展開も公式でお出しされているのでほころび期間の話をさせてもらった
    俺は満足だ

  • 7二次元好きの匿名さん21/08/24(火) 01:43:53

    なんかあったかい

  • 8二次元好きの匿名さん21/08/24(火) 01:46:27

    いい...!

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