続・ヤダヤダスイーピーと頑張る使い魔

  • 1二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:21:16

    「やだやだやだー!アタシ汚してないもん!」

     よう皆!アタシはビコーペガサス、トレセン学園の平和を守るヒーローをしているんだ!今は、スイープと合同で体育館でトレーニングした後の掃除をしようとしてる所なんだけど、嫌がっちゃって動いてくれないんだ…。

    「でもスイープ、一緒にトレーニングしたし掃除はしなきゃダメだろ?」
    「ふんだ!アタシは別に手伝ってただけだもん!やらないったらやらない!」

     困ったな…。スイープはこうなっちゃうと結構長いからアタシ一人で掃除することになっちゃうけど、流石に一人でやるには広すぎる...!やるしかないのか、アタシ一人で───

     うん?何か今、横を通ったな…てあれ、スイープのトレーナーじゃないか?モップなんか持ってどうし───。

    「現れたなビコーペガサス!私はモップ怪人、ツカ・イマー?…だ!」
    「何!?あのモップ怪人が何故ここに…!」

     な、何だ!?そんな怪人キャロットマンにもいなかったはずだけど…とりあえず流れに乗るぞ!トレーナーは知ってるみたいだし!

    「気をつけろビコー、ヤツは罪のない人の意識を乗っ取り、学園の体育館のモップで夜な夜な走り回ってホコリを散らす迷惑怪人なんだ!」
    「そうなの?…ゴホン。ククク、流石は相棒のビコトーレ、それっぽい説明ご苦労。私は馴染みそうなこの男を乗っ取ったのだ!仲間の魔法少女も怖気づいてるようだし好都合だ、白昼堂々暴れまわってやる!」

     何てヤツだ…!スイープのやる気が無い時を狙うなんて!しかも、関係ないスイープのトレーナーまで巻き込むなんて卑劣なマネを...!こうなっちゃ仕方ない、アタシ一人でも───。

    「…何ですってぇ…?」

     何だ?さっきまで不貞腐れてたスイープが急に怪人を睨みつけながら立ち上がった…!?

    「誰が怖気づいたですってぇ!?上等じゃない、アンタの散らしたホコリ全部キレイにしてやるんだから!」
    「スイープ!協力してくれるのか…!」
    「フン!今回だけよ。今はあの気に食わない使い魔もどきをやっつけてやるわよ、ビコー!」

     戦う理由を思い出し、絆を再確認したアタシ達にもう敵は居ない!モップ怪人が散らすホコリよりも早く雑巾がけをして怪人をやっつけてやった。正気に戻ったスイープのトレーナーはめちゃくちゃバテてたけど…元に戻ったし終わりよければすべてよし、だよな!正義は勝つ!

  • 2二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:21:37

    「ヤダ!アタシもう帰る!」

     やあやあ、私の名はアグネスタキオン。ウマ娘の持つ可能性の先を追究し続けるウマ娘さ。今日は、小動物が齎すリラクゼーション効果の実証も兼ねて、息抜きに兎と触れ合えるカフェに来たのだが…何やら先客がいるようだ。

    「せっかく来たのに触れ合わずに帰っちゃうの?」
    「だってこいつらアタシに敵意向けてるじゃない!アタシに従順にならない使い魔候補なんてこっちから願い下げよ!」

     見た所、ここの兎に懐かれなくて臍を曲げてしまっているみたいだ。兎は元来、警戒心をより強く持つ動物だからまず相性が良くなさそうだが…彼女には面白い実験に協力してもらっているしここは一つ助け舟でも…。

    「…何よ、ボソボソ唱えて」
    「うん?今、この子とお話できる魔法を掛けたんだ」

     ふぅン?彼女のトレーナーが兎を抱えながら何やら興味深い事を言っているね、少し観察を継続しようか。

    「何々…君はスイープとお友達になりたいんだね、でも、スイープが怖くて近寄れない…だってさ」
    「何でよ!?アタシ、敵意なんて一切ないのに…あっ」
    「そうだね。敵意はないけど、使い魔として見てたよね。使い魔は、お友達と言えるかな?」
    「…アタシ、酷い事言っちゃった…」

     ほう!理詰ではなく、彼女に合わせたワードチョイスで理解を深め、自身の誤った部分を自覚させて反省を促し、そこから彼女を肯定する事で、もう一度やってみようという意欲を刺激するとは…考えたじゃないか。

    「大丈夫だよ、スイープが優しい子なのはこの子もちゃんとわかってるから。まずはおやつをあげてみよう、優しく呼んでごらん?」
    「お、おいで〜…あ、来た、来たわ使い魔!ふふっ、すっごい食いつきじゃない!」
    「よし、そしたら今度は膝の上におやつを置いてみよう」
    「こう?…つ、使い魔!ピーターがアタシの膝に乗ったわ!」
    「ピーターって誰…?まあいいか。そしたら優しく包むように撫でてあげて」
    「わぁ…!すごいふわふわ…!かわいい♪」

     …どうやら、私の出る幕はなさそうだね。小動物での臨床実験のつもりでここに来たはずだったが…望外の成果を得てしまったようだ。保護者と被保護者のふれあいが齎す第三者への精神的な緊張緩和効果…。これは実に興味深い!すぐ帰ってトレーナー君と実験の準備だ!

  • 3二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:22:06

    「ヤダヤダ!まだ帰らないもん!」
    「ぶーぶー!もうちょっといいじゃーん!」

     マヤだよ!今日はトレーナーちゃんとスイープちゃん達とWデートしてたんだけど、トレーナーちゃんがもうテーマパークを出ようって言ってるんだよね〜…。マヤもまだ帰りたくないし、スイープちゃんに便乗しちゃお☆

    「でもマヤノ、門限の時間もあるだろ?」
    「やーだっ!マヤ、トレーナーちゃんともっとデートしたいよー!」
    「マヤノだってまだ居たいって言ってるじゃない!アタシももっと魔法のヒントになる事を見つけるまで帰らないんだからっ!」
    「「ヤダヤダヤダー!」」

     にっひひ、スイープちゃんとマヤがコンビを組んじゃえばムテキって前先生が言ってたからいくらトレーナーちゃんでも首を縦に振るしかない────。

    「そうか…スイープが喜びそうな雰囲気のあるレストランの予約入れてたんだけどな…」
    「な。マヤノも好きそうな大人のムードが漂う、夜景のキレイなとこ」
    「「えっ?」」

     な、何それ何それ!?マヤ、そんな大人のデートの定番を用意してたなんて初耳だよ!?スイープちゃんも、目をまんまるにしてびっくりしてるし何も聞いてないみたい…。

    「ホントはサプライズで行くつもりだったけど…もうばらしちゃったしな、どうする?」
    「仕方ないしキャンセル入れてギリギリまで楽しもうか。俺、店に連絡入れてくる」

     あわわ、どうしよ〜…。マヤ達がワガママ言っちゃったからトレーナーちゃんたちが用意してたサプライズ潰しちゃった…!でもでも、ああいう風に言っちゃったのに今更やっぱりそっち行きたいなんて───。

    「ちょ、ちょっと!その話、詳しく聞かせなさい!」
    「ん?さっきの話か?でもこっちに居たいんじゃないのか?」
    「どっちがより効果が有るか話を聞かなきゃ判断出来ないでしょ!?ホラ早く!」
    「…マヤノも聞きたい?」
    「き、聞きたい聞きたい!トレーナーちゃん、お願い!」

     スイープちゃんナイス!その後、トレーナーちゃん達に連れられてビルの中にある夜景が綺麗なレストランで、マジシャンのイリュージョンマジックを見ながら最高級のディナーとデザートを堪能しちゃった…。マヤもスイープちゃんもずっとはしゃいじゃったしやっぱり大人ってズルいなあ。マヤも早くなりたいよ〜!

  • 4二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:22:59

    「ヤダヤダぁ!使い魔が何とかして!」

     ご無沙汰しております、スイープトウショウのトレーナーです。今日は休日なのですが、スイープが突然来訪してきたのですが、まあ、ここまでは休日ならよくある事で済ませられるんですけど…。

    「…無理。こればかりは譲れない」
    「ハア!?ご主人さまの命令に背こうって言うの!?…あっ」

     実は、今は深刻なトラブルが発生し、大人気ないと罵られようとも今回は本当に譲れないと言うか、大真面目にキツイ事態に直面しております。一体何が起きたのか?というと────。

    「ヤダああああ!動いた、今動いたって!」
    「おおお大声出さないで!こっち来られたら俺ら避けられないから!」

     今、我々が何に直面しているかと言うと…黒いアイツが季節外れのくせに現れてしまって大騒ぎになっています。というのも、別に虫がダメって言うわけじゃないけどビックリする挙動を見せる虫は無理なんです…。ひっくり返った夏場のセミとかも無理です。

     スイープは魔法で使うからとかで慣れていたりしないかと思いましたが毒にも薬にもならないしそもそも気持ち悪いとしてヤツの討伐をこっちに押し付けようとしてるのが現状で、今はヤツの挙動に全神経を割いている所です。

    「ど、どうにかして外に逃がすかやっつけられないの!?」
    「やっつけるのは…いつも家族にやってもらってたから、その…無理…」
    「うわああああん!じゃあどうしようもないじゃない!」
    「泣きたいのはこっちだよ…!このままだといつ現れるかわからないこいつに怯えながらここで生活するって事でしょ!?」

     そうなんです、このまま仕留め損ねて見失うと常にこいつの恐怖と隣合わせで生活を強要される事になるんです…私だけ。寮に帰れるスイープが心底羨ましい…!と恨めしげに歯ぎしりをすると────。

    「「あっ」」

     目の前の黒いアイツが、騒がしさに命の危険を察知したのか、背中の翼をいっぱいに広げて────跳んだ。

     その後、トレーナー寮にいた人、ウマ娘全員が集まってくるほどの悲鳴をあげた私達は、抱き合いながら号泣し、私とスイープの思惑が一致したのでその日の夜は自室の布団で一緒に寝るのでした。

     ちなみに、黒いアイツは騒ぎに駆けつけたカワカミプリンセスの雄叫び一閃の新聞紙バーストで何とかしてもらい、事なきを得たので本当に良かったです…もう懲り懲りだ…。

  • 5二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:26:05

    以前息抜きで書いた一話完結のやつをまた書いてみようと思い書いてみました。やりたい放題出来るので書いててとっても楽しかったです(小並感)


    ただまあ、自由に書きすぎたせいで少し密度が薄くなっちゃった気はしますがどうか許し亭


    前回のはこちら↓

    ヤダヤダスイーピーとがんばる使い魔|あにまん掲示板「ヤダヤダヤダー!今日はトレーニングしないー!帰って魔法の練習するんだもん!」 こんにちわ、ニシノフラワーです。今日はトレーナーさんが会議でトレーニングに顔を出せないのでスイちゃんとそのトレーナーさん…bbs.animanch.com
  • 6二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:42:22

    スレ画がヤダを通り越して虚無の域に達してて笑う

  • 7二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 19:56:26

    ほっこりする話からドタバタした話まで満遍なく楽しめました。アイツはね…ホントに弱い人は天敵レベルできついからね…

  • 8二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 20:13:42

    周囲のトレーナーもノリがいいのすごく好き

  • 9二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 21:37:42

    マヤノも巻き込んでかわすのはワガママっ子や末っ子の扱いを心得てる証拠だな
    面白かったです。

  • 10二次元好きの匿名さん23/02/10(金) 21:58:12

    2番目のお話での懐かない兎に対して使い魔じゃなくて友達になりたいってアプローチは確かにスイープ自身の発言を見直すのに有効な言い回しだなとキャラの解像度の高さに脱帽です

  • 11二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 05:40:54

    こういうの好き…

  • 12二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 08:23:18

    ビコーの実装を待ってる身としてはスポットライトをを当ててくれてとても嬉しく思います!ビコトレの即興のノリの良さは何となく解釈一致でした笑

  • 13二次元好きの匿名さん23/02/11(土) 08:54:59

    何もかもにやる気を失ったみたいなスレ画でダメだった

オススメ

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