トレーナー「いいケツしてますよねぇ……」ジョーダン「はぁ?!」

  • 1二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 00:46:42

    秋の天気は変わりやすいというが、それにしたって今日は急な土砂降り雨だった。
    せっかく天気予報では一日晴れだったのに、大ハズレだ。

    トレーナー:というわけで、今日は屋内で軽く流そう。
          カギ借りてくるから、後でゆっくり来てくれ。
    ジョーダン:うーっす。
    ジョーダン:……あ、ちょい部室借りていい?

    ウマインのメッセージに首をひねりつつも了承の返事を送った。
    少しして、カバンを振り回すジョーダンが顔を出す。えらく焦っているようだ。

    「いやー。めっっっちゃ課題出されちゃってさぁー。トレーニング前に少しやっとかないとマジやばそうなんだって。今日簡単に流すんなら、ちょい時間貰える?」
    「ああ、いいよ。ジョーダンって根は素直で真面目だよな」
    「でっしょー? いやぁ、そんな褒められたらアタシ照れるわ~。あ、隣座んね」
    「これが、単純に破滅的な学力のせいで出された課題じゃなければな……」

    俺だって困るし、クラスの先生だって困ってる。
    あの子は勉学に気が向かないようなんですが、トレーナーさんからも少しは注意をお願いできますか? なんて言われる身にもなってほしい。なにせ、本人はこの通り、ちゃんと頑張ろうという意思があるのだから。
    悲しい顔で横顔を眺めると、そんな褒めんなってー☆ と背中をばしばし叩かれた。

  • 2二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 00:47:47

    雨音という環境音がいい効果を生んだのか、しばらく、部室には、ジョーダンがペンを走らせる音と、俺が資料をめくる音だけがしていた。

    「……ナニナニ? 何してんのー?」
    やがて、ひと段落したようで、隣から首が伸びてきた。
    私用のスマホには愛犬のケツが表示されている。疲れたとき、元気を出したいとき、腹が減ったとき、俺に力をくれる可愛い奴だ。

    「えー!? なにこの写真、可愛い! どしたのこれ?」
    「ん、食パン」
    「これ食パンなん?! やべー!!」

    実家で飼っているコーギーはトーストだが、ひったくったスマホの画面を、夢中でめくるジョーダンが楽しそうなので水を差すのも野暮かなと思い直す。
    そのまましばらく、こんがり焼けた食パンみたいな尻の画像を、ふんふんと機嫌良さそうに眺めていた。ジョーダンは、そりゃあテストの点数は壊滅的だし、言動もいわゆる大和撫子ではないが、自分が感じたものを素直に表現するという美点があった。夕暮れの景色がやばい。今日のネイルのノリがやばい。レースに向けてのモチベがあがってやばい。ああ、ジョーダンは今日もやばいぞ。

    ジョーダンが写真をめくるたび、彼女が磨き上げたネイルが、カツカツと静かに画面をひっかく。
    俺が自信をもって厳選した中でも、ケツを連続でびんたする写真がひときわお気に入りのようだ。

  • 3二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 00:50:04

    「……あれっ?
     っつかサ。アタシがめっちゃ頑張ってべんきょーしてるのに、アンタは食パン見てたんだ!?」
    「あ?(威圧) ……その、すいませんでした」

     そのとき、突然、急に(すっ……)と無表情になった。うそだろ……。ひとまわり以上も年が違えば話が合わなくて当然かもしれないが、それにしたって怒るところじゃなくないか? 隣でいっしょに教科書借りて勉強してろっていう気か?

     ぎゃーすか騒ぐジョーダンをいったん手で制して、紙コップにコーヒーを淹れてきた。
     ジョーダンは甘党だ。ミルクと砂糖をたっぷり淹れて、雨の日ってこーゆーの欲しくなるよね~、などとほや~んとして言って、思い出したように「……ちっがーう! ごまかすなー!」と怒鳴られた。作戦失敗だ。

    「む、無神経じゃん、トレーナーのクセにさー!
     なんでアタシばっかり、勢いで二人っきりになったけど、なんか雨の音がやばくてなんかいい感じになっちゃってるジャン!! とか、どきどきしないといけないわけ!? ずるだよずる!」
    「うん、それはずるいな、ごめん(理屈はよーわからんが)。
     じゃあ、俺はどうすればいいんだ?」
    「い、いやあ、なんか謝れるのも、違うくね?っていうか……。
     ……ええー!?」

     言いそびれていたんだが、ジョーダンが隣に座ってからこちら、彼女の尻尾がバシバシと脇腹を連打し続けている。うどんでもこねるのか?っていうぐらいの勢いで、ボクサーの試合のボディブローのようにじわじわとダメージが溜まっていく。
     俺の提案に、ジョーダンの視線が上へ下へと忙しくなく動き、耳が別の生き物のように暴れ、形容しがたい呻き声をあげている。そのあいだも、俺の背中は鞭で打たれ、そろそろ口からうまぴょい(隠語)しそうだった。

    「それは~……いやちょ、恥ずいじゃん!
     あーもう! なんでアタシばっかし~!」
    「う、うまぴょい……(決壊)」
    「はあ!? ううう、うまぴょいはしねーって!? な、なにバ鹿なこと言ってんの!?
     ……絶対しないかんね!!」

  • 4二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 00:51:35

    ジョーダンが引けずうまぴょい落ちに頼る男に悲しき過去…(キタサン無凸)
    今から引くけど引けたら続きます

  • 5二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 00:53:54

    続き読みたいから引けるように祈っとくわ

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