バレンタインにマロングラッセを渡す女

  • 1二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:33:30

    マロングラッセの意味は「永遠の愛」

    ウオダス助けて、俺この娘好きになっちまう

  • 2二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:35:47

    ウオ「なればいいだろ」
    ダス「なっちゃえばいいんじゃない」

  • 3二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:37:19

    いくら名バと言っても成人男性女性からのその悩みの告白は返答に困ってると思うよ

  • 4二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:39:09

    もしかしてマーチャンって重い?

  • 5二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:39:33

    栗苦手なマートレワイ、切腹

  • 6二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:39:57

    >>4

    重すぎて沈んでしまう

  • 7二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:40:11

    >>4

    👺

  • 8二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:40:37

    むかしマロングラッセ食いたくて訳ありマロングラッセたくさん頼んで食いまくったのを思い出した
    結婚します

  • 9二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:41:03

    ストーリーのマートレの方が重いからセーフ

  • 10二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:42:24

    銅像建てるからな…

  • 11二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 12:51:33

    本来は男性から女性に贈るものらしいぞ…
    これもしかしてマーチャン渡した上でトレーナーに食べさせてもらおうと思ってる…?

  • 12二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 19:14:24

    >>11

    いやここはマロングラッセをマートレが食べている最中に半分貰って「マロンとマーチャンの唇、どっちが美味しいですか?」って照れながら聞くマーチャンがいて欲しいので誰か書いて

  • 13二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:40:44

    マーチャン型チョコとマロングラッセどっちも重い…

  • 14二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:55:49

    2月14日。世間はバレンタインという年に1度のイベントに活気だっているようで、トレセン学園の生徒たちも友達同士でチョコを渡しあったり、担当トレーナーや普段お世話になってる先生たちに配ったりなど存分にこのイベントを楽しんでいるようだった。

    僕も理事長や同僚のトレーナーからチョコを配られたが、まあこういうものは『これからもよろしく』という気持ちの側面が強い。学生たちのあいだで噂されるようなものではないとだけ先に言っておく。……誰に対して言い訳してるんだろう。

    「そういえば」

    そして、ここにも────そのイベントを楽しもうとする子がひとり。

    今の今まで忘れていた、というそぶりでそう切り出したのはアストンマーチャン。

    本日はミーティングのみで、トレーナー室でふたりでお茶を飲みつつ春からの方針を話し合っていた。それが終了し、窓の外は赤く染まる夕暮れ時────……解散を伝えようとしたところでマーチャンが、夕陽差し込む窓際に佇みながら口を開いた。

    「お1人さま限定で、マロングラッセを用意していたのでした」

    ふところから取り出した、小さな箱。マーチャンカラーのリボンで彩られたそれには、有名菓子店のロゴマークが彫られていて。

    「……甘いものはお嫌いでしたっけ?」

    箱とマーチャンの顔を交互に見る僕に向かって、彼女は優しくそう微笑んだ。

    「え、っと……これは……?」

    なんと答えたものかと窮して、ようやく出た言葉がこれだった。ここまで明確に、分かりやすく出されたものに対して答えるものとしては、不正解。
    そしてなぜか口元が緩んでしまた顔で、そう問い返してしまったのも、不正解。

    総合して不合格といったところだろうか……マーチャンのは少し怒ったような顔で、その箱を隠してしまった。

    「マーちゃん、そんなお返事は待っていませんでした」

    「ご、ごめん……びっくりしすぎて……」

  • 15二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:56:32

    本当に、本当に驚いてしまった。去年はふたりでマーチャンクッキーを大量生産し、校門で配ったっけ。それで、その時に彼女からもらった……ある秘密の隠されたチョコレート。

    とても甘くて優しい味の……────

    だから今年ももらえる────……などと思っていたつもりではなかったが、こうして用意してくれているというのは、やはり嬉しいもので。

    たぶん、すごく気持ち悪い顔をしていただろうな……と。

    「ふむ、びっくりしましたか。サプライズのつもりでは……いえ、いまひとつ思いつきました。びっくりどっきりマーちゃんサプライズです」

    手をぱちりと合わせて、マーちゃんは僕をソファに座る僕の隣に腰をかけ、マロングラッセの入った箱を押し付けてくる。

    「去年のチョコレートはおうちで食べてもらいましたけど、今年はここで……マーちゃんの目の前で食べてもらえますか?」

    「う、うん……それは……構わない、けど」

    渡された箱を、もう1度確認する。

    有名菓子店の名前が刻印された、マーチャンカラーのリボンで彩られた……小さな箱。

    なんだか封を開けるのが勿体なく感じてしまうほどに、嬉しい気持ちが込み上げてくる。大切なヒトから貰えることもそうだが、マーチャンと1日1日を積み重ねられている実感がとても愛おしくて。

    「……開けてもいい?」

    つい、何度も確認をしてしまう。

    「はい、もちろん」

    頷くマーチャンを確認してから、おそるおそるリボンを外していく。とても綺麗なラッピングだから、精巧なガラス細工に触れるような手つきになってしまう。焦らしているわけではないんだ、だからそんな目で見ないでくれ……。

  • 16二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:57:00

    「……随分とゆっくり開けますね?」

    「あはは……ごめん、勿体無くて」

    せっかくくれたのに待たせるのも悪い。するするとリボンを解き、箱を開けてみると────

    「……おお」

    ふわりと漂う、栗と洋酒の甘い香り。ひとつひとつ包まれたその姿から、やはり高級なものだと伺えた。

    「マーチャン、これ高かったよね? こんなに良いものをわざわざ……」

    「ふふ、それはお気になさらず。マーちゃんがこれをあなたにあげたかったので」

    優しく微笑んでくれる彼女には感謝しかない。これまで色々な出来事やトラブルもあったが、僕のことをそんな風に思ってくれるだなんて。

    「……嬉しい。ありがとう」

    「いえいえ。ふふふ」

    「食べてもいい……んだよね?」

    「はい、もちろんなのです。よく味わうことをおすすめしますよ」

    「……いただきます」

    包みをひとつ手に取り、丁寧に開封してみると中にはもちろん見事な形の大きな栗。一部が崩れた訳あり品などではなく、しっかりとしたマロングラッセだ。

    甘い香りと、洋酒の香りが一気に広がる。とても美味しそうだ。

  • 17二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:57:43

    もう1度小さくいただきますと口にして、そのひと粒を口の中へ放り込んだ。放り込んでから勿体ない食べ方をしてしまったと後悔したが、その美味しさに後悔は吹き飛んでしまう。

    僕は語彙がそんなに多いわけではないし、実はマロングラッセを食べるのはこれが初めてだ。だからこの嬉しさをうまく伝えたいのに言えなくて、仕方なくこの言葉でマーチャンへ感謝を告げた。

    「……すごく美味しい。本当にありがとう!」

    こんな感想でもマーチャンは満足してくれたようで、嬉しそうに笑ってくれた。

    こんなに美味しいものを食べたのは初めてかもしれない。それくらいに嬉しくて、あたたかくて、なんだか胸がいっぱいだ。これ以上は食べられない。

    「……これ以上は勿体無くて食べられないな。持って帰って少しずつ食べさせてもらうよ」

    帰ってゆっくりとお茶をいれてから飲みたい────そんな気持ちだ。彼女の気持ちも噛み締めながら、ゆっくりと。

    だから持って帰るため、僕は小箱を閉じようとすると────……マーチャンの手が伸びてきてそれを制止した。

    何事かと彼女の方を見ると、マーチャンは少しだけ真剣な顔で、

    「では、もうひとつだけ食べてください」

    「……どうして?」

    「サプライズがまだなのでして」

    そういえばさっき、そんなことを言っていたっけ。サプライズを思いついたと……────だとしてもそれを本人に伝えるものだろうか。
    驚かされると分かっていて、驚くことなんてあまり考えられないのだけれど。

    「ふふ、ちゃんと驚かせてあげますので。さあもうひとつ食べてくださいな」

    「……わかった」

  • 18二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:58:20

    そのサプライズまでやって、ようやく彼女のバレンタインプレゼントの全てを受け取ったことになるというのなら従おう。

    僕は箱からもうひとつマロングラッセを取り出し、手のひらに乗せる。

    「ところでトレーナーさん。食べながらでいいので聞いてください」

    「ん?」

    マロングラッセを今度はひと口齧ろうとすると、マーチャンが話し始めた。そのままでいいと言うのでかじりつつ首を傾げる。

    「バレンタインに贈るものには、それぞれ意味が込められているのはご存知ですか?」

    「んん、あんまりよく知らないけど……マシュマロはダメとかだったっけ」

    たしか好きなヒトに絶対に贈ってはいけないモノとして有名だったはずだ。マカロンは告白するような意味で……ということはマロングラッセにも何か意味があるということだろうか?

    「はい、その通りでして……マロングラッセはマケドニアの英雄“アレキサンダー大王”が大切な奥さまに贈ったものとして有名なのです。実は男性から女性へ贈るものなのですよ」

    「え、そうなんだ!」

    それはまったく知らなかった。そんなに気持ちのこもったものをマーチャンが僕にくれただなんて……────

    「じゃあ、僕のほうからマーチャンへ用意しなくちゃいけなかったね……」

    「ふふ、構いませんよ。ではマロングラッセをマーちゃんにもいただけますか? マーちゃんが用意したものですけど、それで満足してあげますので」

    「ああ、それなら」

    新しい包みを渡すため、僕は手に持っていたマロンの残りを口に放り込もうとする。その様子を眺めながらマーチャンは続ける。

  • 19二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:58:53

    「そしてマロングラッセを贈る意味、なのですけれど」

    ぱくりと口に含むと、同時に。

    マーちゃんが腰を浮かして、顔を僕へと近づけていく。急に彼女の可愛らしい顔が目の前に来て、僕は驚いて動けなくなってしまった。

    「大王が最愛の奥様に贈ったお話から……」

    口に入れたマロンを噛むことすら、忘れてしまうくらいに。

    マーチャンの顔が近づいてくる。

    どこまでも、どこまでも。

    ゆっくりと、しかし確実に。

    目線を少しも外さないまま、彼女は僕の顔に近づいて────

    「……永遠の愛、です」

    僕の口唇に、柔らかいものが触れた。

    目の前にはマーチャンが、目を閉じたマーチャンがいて。

    僕は訳がわからず、目を見開いたままで……うっとりと目を閉じる……彼女の顔を凝視してしまう。

    サプライズ。

    これが……サプライズ? あれ、いや……サプライズってマロングラッセを贈る意味じゃ……?

  • 20二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:59:25

    あれ、その意味ってなんだっけ。

    永遠の愛、って言ってたっけ。

    ……永遠の……愛……?

    文字通り目の前で起きている出来事に理解が及ばないままの僕の目を覚まさせるように、口唇のあいだに割り込む、ぬるりとした感触。

    それは僕の口の中へ、探るように優しく侵入して食べかけのマロングラッセのかけらをひったくっていった。

    そして、ようやく離れる……彼女の顔。

    僕の視線が、彼女の口唇に釘付けにされてしまう。てらてらと唾液の糸を引いて離れていく、マーチャンの口唇に。

    「なるほど……確かに、美味しいです。流石はマーちゃんの選んだお店ですね。ナイスなお仕事です」

    ぺろりと舌を見せて口唇を潤してから、マーチャンは僕から奪ったマロングラッセを咀嚼し……こくりと音を立てて嚥下した。

    「それで」

    目を閉じたマーチャンの顔が、みるみる赤くなっていく。自分の行為の意味を理解したのか、頬は上気し、口唇を指で隠すようにしている。

    そしてゆっくりと目を、開いて────

    「マロンとマーチャンの口唇……どっちが美味しいですか?」

    恥ずかしそうに、しかし嬉しそうに。

    永遠の愛を僕に刻み込んだアストンマーチャンは、そう問いかけてきた。

  • 21二次元好きの匿名さん23/02/14(火) 23:59:50

    どうやら、ここまでがサプライズらしい。わざわざマロングラッセを用意して、伝承のお話をして、プレゼントの意味を話して。

    そして……僕の口唇に、キスをし……マロンを奪っていって。

    「……ぁ、あ」

    ようやく口を開いた僕が発したのは、言葉にもならないただの音。

    ようやく全てを理解した頭が、彼女の────……僕への気持ちを受け止めて。

    「もしかして、味わいきれませんでしたか?」

    頭がショートしかけている僕に、マーチャンは追い打ちをかけるように顔を寄せてくる。その表情は、すごくいじまいそうで。

    「……仕方のないヒトなのです。もうひと口あげるので……今度はちゃんと、味わってくださいね」

    今度は僕の身体を抱くように覆い被さり、両頬に手を添えられて逃げられなってしまう。

    恥ずかしそうな彼女の顔がゆっくりとまた近づいてきて、僕は……その口唇を、今度は落ち着いて受け止めた。

    彼女の口唇はとても甘く、優しくて。

    このバレンタインの贈り物も、きっと永遠の愛を意味しているのだろう。

    なら僕も────……どうか、これが答えとなりますように。

    彼女の身体を抱きしめながら、僕はこの行為にも意味をつけた。

    キミを愛している、と。

  • 22二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 00:00:34

    以上となります
    14日中に間に合ってよかった…

    もしお気に召されなければ削除してくださいませ
    よろしくお願いします

  • 23二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 00:32:55

    ヴンンッッありがとうございます……。こんなん蕩けてきてしまぁぁっ

  • 24二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 00:39:50

    読んでるだけで口の中が甘くなってきた
    良い…

  • 25二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 07:27:38

    いいやん…いいやん…

  • 26二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 07:38:29

    オオン素晴らしい
    今舐めてるミント飴が角砂糖になっていくようだぜ

  • 27二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 07:46:20

    朝から砂糖ドップリのものもらった
    ごちそうさまです

  • 28二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 07:48:10

    知らないうちに口の中にチョコ入れられてたな

  • 29二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 11:52:33

    本当に中等部か…????

  • 30二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 11:54:41

    うわーっ、唐突なSS!

  • 31二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 14:23:51

    完璧なSSすぎて、俺の稚拙な文字の羅列が恥ずかしすぎて出せねえよ…

  • 32二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 14:24:52

    >>31

    出せっ!SS出ろっ!

  • 33二次元好きの匿名さん23/02/15(水) 20:11:21

    これはお返しも頑張らないといけないやつ

  • 34二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 08:02:19

    31を待ちますよ

  • 35二次元好きの匿名さん23/02/16(木) 10:25:27

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オススメ

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