- 1二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 20:16:42
────怖い。
府中、GIレース。
あの時よりは短い2000mだけど、それでも怖い。
あのゴールの後、私は自分を責めた。
みんなの期待に答えられなかった、無敗の二冠を取りたかった、見せたかった。
あのハナ差は、私を絶望させるのに十分だった。
それでも、走り続けなければならなかった。
私は、こんなところで終わっていいウマ娘ではない。そう思っていたのかもしれない。
最後の一冠である菊花賞は諦め、私が次に選んだのは────
────私にとって走りやすい距離で、そして私にとって厳しくなる『天皇賞・秋』だった。
そして今、私はゲートの前に立っている。 - 2二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 20:50:08
続けて
- 3二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 21:03:11
wktk
- 4二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 21:16:17
書いてた文章消えてたわ
『ファンファーレに続いて、大きな拍手が響き渡りました東京レース場です』
今年の出走ウマ娘も、役者が揃っていると言われているらしい。
昨年のクラシック三冠を無敗で制したウマ娘、GIを5勝しマイルの女王とも言われているウマ娘もいる。クラシック級で挑むには、相手の力が大きい気すらしている。
だけど、私はここで勝たなきゃいけない。
勝たなきゃ、私はずっと苦しくなる。
『11レース、第164回天皇賞GI。芝の2000mに、今年は16人が競います』
『どんなに時代が変わっても、決して変わることの無い盾の重み。その誉れ高き天皇盾を懸けた秋の大一番です』
盾の栄誉を巡って、皆が争う。
勝ちたいという気持ちが渦巻いている、私にも分かる。
やらなきゃ。
その一心で、私はゲートに入る。
『大外16番ユーキャンスマイル、収まってゲートイン完了』
そして。
────ゲートが開いた。 - 5二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 23:15:00
書けてないけど上げるだけ上げておく
- 6二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 23:15:32
がんばれ
- 7二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 23:24:19
支援
- 8二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 23:43:55
『スタートしました！』
好スタートを切れた。3枠5番、勝ちに恵まれないらしい枠だが、まずはスタートを切れた。
しかし周りを見ても出遅れたウマ娘がいる感じではない。真っ向勝負になってしまうか、と内心に焦りを抱く。
そして2人が前に出てくる、あの服はトーセンスーリヤさんとカイザーミノルさんだ。
明確に『逃げ』を打ってくるだろう、落ち着いて、ペースを保ち、前目につける。
『3番手にグランアレグリア、これをマークするようにカレンブーケドール、内にポタジェが続いています』
『1バ身差、好位の後ろにエフフォーリア、先頭までは6バ身』
思った通りの好位につけたまま、向正面に入る。
行こうと思えばいつでもいける。しかし後ろから感じる圧、これはコントレイルさんのものだ。
まだだ、あの時のことは忘れろ、今のことだけに集中しろ。そう自分に言い聞かせながら走り続ける。
1000mの通過は、1分0秒5と計測されたらしい。 - 9二次元好きの匿名さん21/11/13(土) 23:46:35
良いね
- 10スレ主21/11/14(日) 00:00:15
がんばれがんばれー
- 11二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 00:03:51
- 12二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 06:21:46
1000mを通過すれば 第3コーナー、周りの空気が一変した気がする。
『カイザーミノルが先頭ですが、外からグランアレグリア10番手まで上がってきました』
アレグリアさんが上がっていく、しかしここではまだ仕掛けない。
そして私は外に持ち出すことが出来ている。外を回ることになってもいい、今の私にはそこから走れる自信がある。
大欅の横を通過して4コーナーに向かっていく。
まだ仕掛けてくるウマ娘はいない、そうなると600mからの瞬発力勝負になる。
瞬発力勝負と考えた瞬間に、あの思い出が蘇ってきた。
仕掛けるタイミングさえ間違えなければ、私はあのハナ差を制することが出来たのか。
しかも今だって、不運なことにコントレイルさんが後ろで息を潜めている。
またやられるかもしれない、そう思うのも無理はないだろう。
しかし、やるしかない。仕掛けられる前に、ここから仕掛けてやらなければ。
600m標識を通過して直線を向く。ここから、スパートを掛ける。 - 13二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:04:47
期待
- 14二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:14:56
『バ場の四分どころに出したグランアレグリア、ここで先頭に変わるか！残り400mを通過！』
直線コースを向いた時、見えたのは前に前に出ていくアレグリアさん。あの人はマイラーとは言え、府中のコースについてはよく知っているはずだ。
行かせてはならない。ここからだ。
『その外から押し上げてくるエフフォーリア！間からはポタジェ！更に外からはコントレイルも上がってくる！！』
前も、後ろも、強者揃い。
だけど、悔しさを知っている私だって、勝ちに対する執念を持つ私だって強い。
それを見せつけてやるっ！！
「うあああああああああああああっ！！！！」 - 15二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 21:33:57
『残り200を切りました！やはり3人の争いか！！』
捉えた、捉えたっ！！
『グランアレグリア！躱してエフフォーリア！』
いけ、走れ！！耐えろ！頑張れ！！
『エフフォーリアが先頭に躍り出た！リードを1バ身とっている！！』
振り向くな、振り切れ、振り払え！！
『コントレイルも追っているが、なかなか差が詰まってこないか！！』
盾の栄誉は、中距離の王座はっ！！
「私のものだぁぁぁぁぁぁぁっ！！！！！」
『エフフォーリア堂々先頭でゴールインっ！！』
2000mを、通過した──── - 16二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 21:38:06
グレイト！！やったぜ！！！
- 17二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 07:51:41
『2番手は接戦！1番コントレイル9番グランアレグリア！！』
聞こえてくる場内実況は、私が紛れもなく1位入線出来たという事実を私に教えてくれる。
『高々と、右手がゴールのあと上がりましたエフフォーリア！』
全身から喜びが湧いてくる、無意識に体が動く、止められない、でも止めようとは思わない。
『クラシック路線からやってきた若武者エフフォーリア、ダービーの悔しさも一気に晴らして、日本中距離界の王者に立ちました！！』