【ホラー/🎲/クロス/ss/閲覧注意】部屋 其の二

[1 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 20:38:03]

《注意喚起》
当スレは「back rooms」を元としたホラーダイススレです。
※登場人物の死ネタ、キャラ崩壊が含まれます。※
死ネタや残酷な表現が無理だという方はブラウザバックを推奨しております。

⚠スレ主は初スレ立て、OP知識少なめの為進行やエミュが下手な可能性がありますがご容赦ください⚠
⚠挿絵、あまりにも残酷な表現はワンクッションを置くためテレグラフを使用しております⚠


スレ画、挿絵提供……スレ主の妹

[2 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 20:38:49]

《ルール》
・各エリアへは一定の階層までは固定とし、その後は完全ランダム（ダイス）で進みます。
・各エリア毎に登場人物の視点が変更します。その都度ダイスを回します。
・エリア内で全滅した場合、そのエリアの入口でリスポーンし、最初からやり直しになります。（例:level1で全滅した際、level1の入口から再スタート）
・エリアを脱出した際、そのエリアで死亡した登場人物はリスポーンという形で蘇生します。
・リスポーン時、以前までエリア内で入手し所持していたアイテムは全てロストします。
・進行不可能エリアに侵入した場合、そのエリアで全滅した場合のみlevel4に戻されます。

[3 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 20:39:24]

《キャラクター詳細》

トラファルガー・ロー

能力 シャンブルズ

エンティティとの遭遇を一度だけ回避することができる。



バジル・ホーキンス

能力 ライフ

ライフを1所持しており、エンティティに殺害された際ライフを1消費する事で死亡を回避する事が出来る。尚、ウイルスや原型の残らない程のダメージは貫通し、ライフが残っていても死に至るものとする。



X・ドレーク

能力 恐竜化

エンティティとの遭遇率が格段に低くなる。恐竜化することで一時的に身体能力が上昇する。しかし使用中は体力の消耗が激しく、使用後は動くこともままならなくなる。また、一部エリアの障害物を破壊する事ができる。

[5 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 20:41:43]

>>4

URLミスしました

前スレ

【閲覧注意！ホラー・クロス注意】部屋｜あにまん掲示板

スレまとめ

【ホラー/⚂/クロス/ss/閲覧注意】部屋

[6 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 20:44:28]

【＿＿あなた達が注意を怠って、おかしな所で現実から外れ落ちると、古くて湿ったカーペットの匂いと、単調な黄色の狂気と、最大限にハムノイズを発する蛍光灯による永遠に続く背景雑音と、約十五兆 ㎡を超えて広がるランダムに区分けされた空っぽな部屋に閉じ込められるだけの、 ”The Backrooms” へ行き着くことになるのです。

もし、近くで何かがうろつく音が聞こえたら、
それはきっとあなたが出す音に気付いていることでしょう。
あなたに神の救いがあらんことを。】

[7 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 20:46:11]

エリアを移動したため、各登場人物の能力がリセットされます。

・X・ドレーク 能力 恐竜化 0→1

・トラファルガー・ロー 能力 シャンブルズ 0→1

前回のエリアでの死亡者はいませんでした。

登場人物の視点変更を行います。（前回の視点であった登場人物は除くものとする。）

1.トラファルガー・ロー

2.バジル・ホーキンス

dice1d2=1 (1)

[8 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 20:55:37]

***

……エレベーターは上昇し続けている。もう大分上がったはずだが、もうそろそろ着くだろうか。エレベーターの中は沈黙が続くものの、先程まであった気まずさは消えている。しかしそれでも、早く次の部屋にたどり着いて欲しいものだが……そんな事を考えていると、

ポーン


と音を立て、エレベーターは停止した。

「……着いた、のか？」

おれはドレーク屋とホーキンスの方を見る。ドレーク屋はあの化け物から逃げるのに能力を使用したためか酷く疲労していてそれどころでは無さそうだ。ホーキンスは銀色の扉を見つめ続けているだけで返事は無い。
完全にエレベーターが停止したのだろう、銀色の扉はゆっくりと開き、辿り着いた部屋があらわになった。

[9 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 21:05:53]

エレベーターの中は蛍光灯がひとつ、薄暗く光っているだけだったのもあるだろう。
扉の向こう側はエレベーター内よりも明るく、開いた事で差し込む光が酷く眩しく感じる。おれは目を細め帽子を深く被り直し、その光から目を守った。

……新しいエリアだ。
疲労しているドレーク屋にはホーキンスを付け、安全なエレベーター内に残ってもらいおれが先に安全な場所を探すのが最善かもしれない。
また、安全な場所がなかった場合、このエレベーター内で休憩をするのが一番いい。

おれは脳内で作戦を立てる。しかしエレベーターの扉が開くや否や、ホーキンスが警戒もなしに一人でスタスタと歩いて出ていってしまった。なんなんだこいつは、新しいエリアだと言うのに警戒もしないのか？それにおれが考えを言う前に出ていっちまったせいで、考えていた事は全部パーになっちまったじゃねえか。ドレーク屋に関しても、そんなホーキンスの後に続いてふらふらとふらつきながら歩いて出ていこうとしている。

………仕方ねぇ。おれはドレーク屋に肩を貸してやると、新しいエリアへと足を踏み入れた。

[10 lol◆zwjg81Wprg 23/02/16(木) 21:37:59]

新しいエリアは先程のエリアと打って変わって広々としていて、見渡す限り白色の壁紙で覆われている様だ。
灰色の廊下。均等に並んで配置された扉。
窓からは外の景色が見えるが……雨が降っているのだろう、ザアザアと雨音が聞こえてくる。
壁際には何か機械のようなものが明るく光っていて、植木鉢に入った植物の様なものも置かれているのが分かった。
おれはドレーク屋に肩を貸している為あまり周りを確認できず、見える範囲で当たりを警戒している……が、ホーキンスはどんどん奥へと進んでいってしまう。……奴は警戒という言葉を知らないのか？

「おいホーキンス、あまりずかずかと奥に行くな。念の為警戒しとけ。」

おれはホーキンス向かって注意を促す。
ホーキンスはおれの注意には返事はせず、しかし立ち止まりおれ達が傍へと来るのを待っているようだった。
……あまりにも自分勝手な男だ。誰かに振り回されるなど、麦わら屋だけで十分だと言うのに。

「…トラファルガー。ここは安全地帯かもしれないぞ。」

[11 二次元好きの匿名さん 23/02/16(木) 23:46:40]

>>5のまとめの情報量からスレ主の熱意が伝わるぞ…すげーや

前スレのドレークをふまえて焦らず気を抜かないでこの世界観を楽しむぞ

三人衆みんな生き延びられっかなァ…

[12 二次元好きの匿名さん 23/02/17(金) 01:19:03]

>>10

雨が降ってるって事は四季がある方かな…？

[13 二次元好きの匿名さん 23/02/17(金) 07:29:48]

保守

[14 lol◆zwjg81Wprg 23/02/17(金) 08:45:48]

>>11

back rooms知らない方でも世界観と設定を楽しめるようにと思ってテレグラフにまとめたものです！

各level終了後に内容追加したらまたURL貼るつもりなのでその都度楽しんでいただけたら嬉しい

[15 lol◆zwjg81Wprg 23/02/17(金) 08:47:33]

今日は少し多忙なので更新遅くなります
23時頃には更新したいと思ってます よろしくお願いします

[16 二次元好きの匿名さん 23/02/17(金) 15:06:14]

保守
更新待ってる

[17 二次元好きの匿名さん 23/02/17(金) 20:35:08]

イッチ乙！！すげえおもろいわ
挿し絵も可愛くて最高
楽しみに待ってるね

[18 二次元好きの匿名さん 23/02/17(金) 23:02:29]

楽しみッス
無理しない程度に頑張ってくれ！

[19 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 00:30:47]

ホーキンスが立ち止まった場所でそう呟いた。

「奥を見ろ。広い廊下だが明るさを保っている。明るいということは「スマイラー」は出てこないだろう。…どこか扉を開けて部屋に入ろう。そこで休憩すればいい。」

おれとドレーク屋はようやくホーキンスの元に辿り着くと、ホーキンスに言われた通り奥の方へと視線をやった。

無駄に広く白い壁が続くも、こいつの言う通り電気が消えているような場所は見当たらない。それにいくつもいくつも設置された、赤色だったり茶色だったりと様々な色の扉がある……ホーキンスはその内の茶色の扉を開こうと扉に近付いているようだった。

「……おいホーキンス、無闇矢鱈と触ろうとするな……」

声色に疲労が滲み出ているドレーク屋がホーキンスに声を掛ける。ホーキンスはそれも無視してか、はたまた聞こえなかったのか、扉に触れる寸前だ。

危険がないとも限らない。開けさせないべきだろうか。

1.開けても問題は無いだろう。

2.開くのは危険だ。

dice1d2=1 (1)

[20 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 00:38:02]

……開けても、問題ないだろう。
ただの直感でしかない。おれ自身の直感を信じても良いのかは分からないが、そう考えた。
ホーキンスはおれからの待ったが無いからなのか扉に手を掛け、開こうとドアノブを回す。………瞬間だった。


ぽん。


突然、おれの肩に手が置かれた。


「＿＿ッッッ！！！？！？」

咄嗟の事に、声にならない悲鳴を上げてしまう。

「！？どうしたトラファルガー！！」

ホーキンスはおれの悲鳴が聞こえてなのか、扉を開くことなくおれ達の元へと走り寄ってくる。
おれは後ろを振り返る事が出来なかった。ここまで急接近してくる化け物がここには存在したのか！？触れられている状態でシャンブルズをしても意味は無い。唯一まともに動けるホーキンスもまだ距離がある…ドレーク屋も今は動ける状態じゃねえ……！万事休す、なのか？


一瞬、そう思った。
しかし、そんなおれの考えとは裏腹に、背後から声が聞こえてきた声は素っ頓狂なものだった。

[21 二次元好きの匿名さん 23/02/18(土) 01:02:15]

うわー気になるぞ！？！？

[22 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 01:23:17]

「……兄ちゃんたち、見ない顔だな？」

後ろにいる「何か」は言葉を発している。その声はどう聞いても人間の声だった。しかし油断しては行けない、もしかしたら人間の声を出せる化け物だっているかもしれねぇ。そう思いその場で硬直していると、やってきたホーキンスが後ろの「何か」に向い声を掛け始めた。

「貴様は誰だ？見る限り人のようだが、化け物か？おれ達の敵か？味方か？」


…おれの前に立つホーキンスには後ろの「何か」が見えているようで、ホーキンス曰くそれは「人間」だと言う。おれはばっと肩に置かれた手を叩き落し、後ろを振り向いた。ドレーク屋もおれの動きに着いてこれたようで、同じく後ろを向くと背後の人物を確認した。

奴はおれよりも少し小さい位だろうか、褐色肌で筋肉質の体型で無常髭が目立つ。…歳は、おれ達よりも歳上のようだ。真っ黒のキャップ帽を被り大きめのリュックサックを背負っている、目元は帽子のせいで見えないが…口元は不敵に笑みを浮かべている。

……外見は、人のようだった。
しかし外の世界でも面識が無い。おれは警戒を解くことはせず口を開く。

「てめぇは誰だ、この場所のことを知ってんのか？」

[23 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 01:33:00]

目の前の人と思わしき人物は手を振り払われたことに対し何事も無かったかのように振る舞う。こんな呑気な奴が気配もなくおれの背後を取っていたと思うと、無性に腹が立った。

「あー………オレのことはボブとでも呼べ。まあ、そんなに警戒するな、オレは敵じゃあねえ。お前らがここに慣れていねえのは見れば分かる。……着いてこいよ！安全な場所を知ってんだ。ついでにここの事も少し教えてやる。」

奴はおれの問いに曖昧に応えると、奥の道を指差して進んでいってしまう。おれは未だに奴を信じていいとは思っちゃいねぇ。しかし、疲労しきったドレーク屋といい、休むこと無く進んできたためおれも疲れている事といい、着いていくくらいなら問題は無いんじゃないかと考えた。いざとなれば、おれは二人を連れて別の場所へも移動することが出来る。避難も可能な事からの考えだった。
そう頭の中で考えていると、ふと隣のドレーク屋が口を開いた。

「……ひとまず着いていこう、トラファルガー。いざとなれば逃げればいい…」

自業自得とはいえこいつが一番疲労し切っている。安全な場所を知っているというのなら、ひとまずは＿＿

「………ドレーク屋、ホーキンス。奴に着いていくぞ。」


……着いていくことにしよう。

[24 二次元好きの匿名さん 23/02/18(土) 01:34:21]

ほかの探索者か！

[25 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 01:49:26]

***
しばらく歩いただろう。灰色の廊下を進んでいると、×印の書かれた扉や〇印の書かれた扉など、色々な扉があることがわかった。…入っていい扉と、入ってはならない扉の識別なのだろうか。それとも、開けられない扉なのだろうか？考えても分からねぇことを考えても仕方がないのだろう、しかし考えざるを得ないのもまた事実。
…先を歩いていた奴は〇印の書かれた扉に手をかけるとその中へと入っていく。おれ達はその後へと続いた。

「…さ、ここなら比較的安全だ。ようこそ、"level4 廃オフィス"へ。オレはここでの生活が長いからな、お前らみたいな新参者のことは顔を見りゃわかる。」

扉の中は広々とした空間だった。
机や椅子が壁の方へと適当に山積みにされていて無理やりに空間を広げたようだったが、それでも人四人が座るには十分な広さ。壁には先程エレベーターから降りた場所から見えた光る機械、そして奴の荷物だと思われる物が乱雑に置かれていた。
…ボブとかいう男は、部屋に入ると部屋の壁に置かれた機械の前に立つと、カシャンと音を立てて機械に何かを入れ、そして何やらボタンを押した。すると何かがガタンと音を立てて落ちる音が聞こえてくる。ボブはその機械から何かを取り出すと、部屋の真ん中辺りに腰を下ろした。

[27 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 01:55:16]

「…ボブと言ったか。"level"とはなんだ？"廃オフィス"？それはここの、この場所の名前なのか？」

先に部屋に入ったホーキンスがボブの前に腰を下ろすとそんなことを訪ねている。おれはドレーク屋を肩から下ろすと、奴から少し離れたところに二人で座り込んだ。ボブは唯一近くに座ったホーキンスの前だけに、先程の機械から取り出した何かを置き、自分自身はその何かの口を開いたのか、飲み物を飲む動作をしている。……あれは安全な飲み物なのか？疑問に思った。

「ああ、そこから……か。いいだろう、説明してやる。」

警戒を解いていない事が見透かされているのだろう。離れた位置に座ったおれ達を見て奴は困ったように笑っている。そして、穏やかな口調で話し続けた。

[28 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 02:05:53]

「……まずここは 、この場所は、総称して<back rooms>と呼ばれる……いわゆる、現実世界から離れた別の世界だ。」

奴は飲み物を飲みながら訳の分からない事をつらつらと言い始めた。

back rooms？現実世界から離れた別の世界？何を言ってるのか全く分からねぇ。しかしここが全く別の世界だということは、今まで移動してきた場所のことを考えると嫌でもわかるものだった。ボブはおれ達の返事を待つ前に続ける。

「お前らはきっと、目が覚めた時黄色い壁紙と湿ったカーペットの上にいた。そうだろ？そこは"level 0"と呼ばれる、この世界に来ちまった奴が一番に辿り着く場所なんだ。……気の毒だな、こんな所に来ちまって。」

おれ達のことを気にかけてか、ボブはそんな事を言う。奴が言うように、おれ達が目覚めた場所は黄色い壁紙のある部屋だった。

[29 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 02:14:42]

眠いのでここまでです
明日は昼頃更新出来たらします

[30 二次元好きの匿名さん 23/02/18(土) 05:50:25]

情報だー！と手放しで喜んでいいもんかわからんぞこのオッサン…何者だ
乙です！しんどくないペースでやっていってくれな、楽しみにしてる

[31 二次元好きの匿名さん 23/02/18(土) 11:23:00]

オッサンはバックルームに迷い込んだ別の人だな バックルームの設定として元の世界から落ちる(物理的に)とここにくるからレベル4は色んな人達が集まるハブみたいな役割もあったはず 色んな部屋に色んな出口があるから正しくやればレベル4は比較的来やすいしね

[32 二次元好きの匿名さん 23/02/18(土) 20:32:24]

保守

[33 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 22:44:46]

「……貴様は何故そんなことを知っている？ここの場所の名前もそうだ、貴様が言っている情報を…出会ったばかりで名前しか知らない貴様を信じる事など出来るはずもないだろう。」

ホーキンスは目の前に置かれている、金属でできているであろう筒型の飲み物を飲むことはせず、手でいじりながら奴にそう訪ねている。奴がこの世界が<back rooms>と呼ばれる事や、階層のことを”level”と呼ぶ事など、様々な知識を得ている事について違和感を覚えたのだろう。

……この情報が真実なのか。

ボブと名乗るこの男のことを信じて良いのか。

まだ判断付けるには早く感じていたのは、おれだけでは無かったようだ。

「それを言ったら、オレはお前たちの名前も素性も知らねぇだろ？……オレを信じたくなきゃ信じなけりゃいい。だがな、ここでは協力と信頼が長く生きるために必要なもんだ。それだけは覚えとけ。」

先程までへらへらと笑いを浮かべていた奴の表情から笑顔が消える。ホーキンスの方を指さしながら、まるで子供に言い聞かせるかのように鋭い口調でそう告げてきた。

[34 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 22:54:58]

「……」

ホーキンスは返事をしない。おれも、ドレーク屋も、何も言い返すことは出来なかった。信頼が大事だと奴は言う。それはおれ達海賊に委ねる選択としては、厳しいものだったからだ。

”海賊には裏切りが付き物”

これは海賊であるおれ達はいやでも知っていることだ。裏切りが身近にあるおれが、ドレーク屋が、ホーキンスが。初対面であるこの男のことを信じることなど……出来るはずもない。しかし、この得体の知れない世界で初めて得られた情報。それを知りうる人物。それを怪訝に扱うのは、失礼にあたるのではないだろうか…とも、おれは思った。

返事をしないホーキンスに呆れている奴は、小さくため息を吐くと言葉を続ける。

「……まあ、いい。オレを信じられないなら、知らねぇジジイの言う戯言だとでも思え。続けるぞ。」

[35 lol◆zwjg81Wprg 23/02/18(土) 23:15:04]

「お前らが登ってきた階層のことを”level”と呼ぶ。一番最初の階層を”level0”、上に上がる事に数が増えてく。ここまではいいな？対して難しいことでもねぇ筈だ。」

奴は当たり前のことを話すように話し続けている。難しいことでも無いと言うが……。……一階、二階と表現するのではなく。level0、level1、level2と表現するのがここでの一般常識、ということだろうか。

「そして、level毎に生息している化け物。そいつらを”エンティティ”と呼ぶ。お前らも会ってきたんじゃないか？針金みてぇな身体で追いかけ回してくる化け物とか、暗闇に光る顔とかな！」

ボブは何故か楽しそうに話す。光る顔……それには思い当たる化け物がいた。

「光る顔というのは「スマイラー」の事か？」

ホーキンスがそう言いながら、二つ目の階層＿＿level1で入手した書類を取り出した。あの書類にはスマイラー以外の化け物の情報が載ったものもあった筈だ。その書類を確認する暇など無くここまで来てしまったのだが……ホーキンスは奴にそれを見せてやっている。奴はその書類を見ると、驚いた顔をしたあと、声を上げて笑い始めた。

[36 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 00:30:48]

「…！！ハハハ！！ああそうだ、光る顔はスマイラー。…よくそんなもん見つけたな！そりゃ、オレが書いた書類だ。他にも見てみろ、色々書いてあんだろ。そいつらのことを”エンティティ”と呼ぶんだ。書類にも書いてなかったか？いや、書いたのも随分昔だから書いたかどうかも覚えてねえけど。」

何がそんなに面白いのか、けらけらと笑うその姿は恐ろしくも感じる。奴はやはり化け物＿＿エンティティに近しい存在なのか？信頼しろと言っていたのにも関わらずこの態度だ。おれは不信感を覚える。
……ひとしきり笑い満足したのか、奴はふうと息を吐く。そしてまた飲み物を煽った。そんな奴を横目に、ホーキンスは言われた通り書類を読み始める。おれもその書類に目を通しておきたい。そのため、ドレーク屋には悪いがホーキンスの側へと近寄り、ホーキンスから一部を受け取ると書類を読み始めた。


【エンティティNo.64 スクラッチャー＿＿】
【エンティティNo.8 ハウンド＿＿】
【エンティティNo.10 スキンスティーラー＿＿】


……ナンバーこそはバラバラだが、確かにおれ達が未だ出会っていないであろうエンティティの情報が山のように載っている様だ。本当に存在するかは別として、これは強力な情報になるだろう。おれはそう考えた。

[37 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 00:32:41]

ハウンド出んのか パーティゴアも攻撃されるとそこから腐り落ちるけど ハウンドも設定によっては引っかかれたりするとハウンドになるんだっけな 自分よりでかいものと威圧に弱いから睨みながら後退すれば逃げられたはず

[38 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 01:03:01]

「…ひとまず教えるべき事はこのくらいだな。ほら、もう一人のでかいのもこっち来いよ。疲れた時にはアーモンドウォーターだろ、奢ってやるから飲め飲め！」

奴はおれが近付いてきた事で機嫌が良くなったのか、ドレーク屋のことも呼び寄せている。ドレーク屋は言われた通り側へとやってきた。
すると奴は、大きなリュックサックの中から瓶のようなものを取り出してドレーク屋の方へと置いた。……これがアーモンドウォーターという飲み物なのか？しかしどこかで見た事がある。確かこれは…

「……これは、この入れ物は、おれが飲んだ奴か？」

ドレーク屋がそう言いながら空になった瓶のようなものを奴に見せている。
そうだ。この飲み物は、level1でおれが木箱から見つけた飲み物で、先程の部屋でドレーク屋に飲ませた飲み物だ。何故これを奴が持っているのだろうか、この飲み物は他の場所にも存在しているということか…？
奴はその空になった瓶をドレーク屋から取ると少し黙り込み、そしてまた口を開いた。

[39 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 11:22:30]

「飲んだ事があったのか。そうだな、アーモンドウォーターについても説明しておくか…。」

空の瓶を置き、リュックサックから同じ形をした瓶……中身はおれ達が見つけた白く濁った液体ではなく、真っ赤に染った液体が入ったものを奴は取り出した。そして空の瓶と赤色の瓶の二つを並べ、おれ達の前へと並べる。

「これを見ろ。お前らが見つけ、そしてでかい兄ちゃんが飲んだのは”アーモンドウォーター”と言う。アーモンドの味がして割と美味かっただろ？今後は見つけたら持っておくといい、エンティティからのダメージや毒……病にも効く。それに栄養価が高いんだ。ほら、でかい兄ちゃんはあげた分飲んどけ。元気出るぞ。」

奴は空になった瓶を振りながら、ドレーク屋に飲むことを勧めながらそう言う。
なるほど、おれがパッチテストをして平気だったことから毒物ではないとは確信していたが、本当にただの栄養価が高い飲み物だったとは……。今後も見つけ次第持つ事にしよう。…持つにも、物を入れる為のアイテムを持っていない為限られるだろうが。

ドレーク屋は成程と頷きながら、アーモンドウォーターを飲み始める。アーモンドウォーターを飲むと、確かに…先程よりも顔色が良くなった気がした。
念の為、後で診察してやろう。

[40 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 11:30:51]

次に奴は、赤色の瓶を慎重に持ち上げると、険しい表現になった。

「そしてこれは”リキッドペイン”と呼ばれる………【毒】だ。触れても飲んでも、どちらにせよゆっくりと時間をかけて死ぬ。しかしエンティティに対しても有毒な物質だ、持っておいても損はねぇ。」

決して蓋を開けることなく、説明するや否やリュックサックへと赤色の瓶……リキッドペインを奴はしまい込んだ。

【毒】

その言葉を聞くと、ドキリと心臓が鳴った。焦ったのはおれだけではなくドレーク屋とホーキンスも同じだった様だ。沈黙が部屋に走る。

「……まあ、そんな訳だからな！今後は気を付けろよ。ここには食い物も色々あるが、食うのには気を付けろ。毒だったり、身体能力に影響が出るのもある。…食った後体調が悪くなったらアーモンドウォーターを飲めよ、アーモンドウォーターは解毒効果もあるんだ。便利だよな〜！」

そんな凍り付いてしまった空気を察してか、奴はまたけらけらと笑いながら、冗談でも言うかのように話す。………好き嫌いが多くて良かったなんて思うのはこれが初めてかもしれないな…。

[41 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 11:34:37]

「…さてと。こんくらいか？後何か質問がありゃ答えるぜ。」

奴は帽子を被り直しながらおれ達にそう言ってきた。

色々と情報を手に入れられた。しかし分からないことはまだ山のようにある。

…なにから質問していこうか。

1.他の人間について

2.ここは安全なのか？

3.おれ達について話す

4.この世界から脱出する方法

5.ボブについて

dice1d5=2 (2)

[42 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 11:40:42]

「……ここは安全な場所なのか？」

おれが質問をする前にホーキンスが口を開いた。おれが聞きたかったことを聞いているということは、やはり気になっていたのだろう。ボブはホーキンスの顔を見ると少し優しげに笑った様だが…気のせいだろうか。そしてボブは何か小さなメモを取り出しながら話し続けた。

「…そうだなぁ。最初にも言ったように、ここは『比較的安全』なだけで完全に安全じゃねえ。ただほとんどエンティティは出てこねぇな。…窓の外は雨が降ってるだろ。そこから外に出られるとは思わねぇ方がいいがな！」

「窓から外に出たら元の世界に帰れる訳では無いのか？」

「そんなに簡単に帰れてたら今頃全員元の世界に帰ってる。…ここに、<back rooms>に入ったら最後、元の世界に帰るのは諦めた方がいいと思え。」

酷く寂しそうに遠くを見つめながら奴は言った。

………待て。帰れない？諦めた方がいい……？

「どういう事だ、帰れねぇって。」

考えるよりも先に、おれの口からはそう言葉が出ていた。

（ここは安全なのか？、この世界から脱出する方法、ボブについて の選択肢消去）

[43 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 11:50:53]

奴は少し慌て始める。

「ああ悪い、違うんだ……誰も分からないんだ、脱出方法が。オレは長い間…何年…何十年とここに居るが、脱出できていない。次第に諦めた。だからそう言っちまった、悪い………」

そんな表情をされてはおれは何も言えなくなってしまう。先程までのおちゃらけた態度とは違い酷く落ち込んでしまった奴は、ぽつり、ぽつりと身の上話を始めた。

「…どうでもいい話だろうが聞いてくれよ、オレと、オレの家族の話だ。オレはもう自分の名前も、自分がどこから来たのかも覚えてはいないんだ。」


『…ボブ”とでも”呼んでくれ……』


奴は確かそう言っていた。自分の名を名乗るのにそんな言い方をするやつはいねぇ。成程、そういう事だったのか……。

「…だがな、オレに家族がいたことは覚えてんだ。嫁と6歳になる息子がいたんだ。オレは嫁と息子を愛しててな〜、会いたくて会いたくて、絶対に死なねぇ様に無理矢理に生き続けた。どうやって生き続けたかも分からねぇ。今じゃもう、何も覚えてねぇからな。」

[44 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 12:28:17]

何十年もいたのだとしたら子供ももう大人になってるだろうな
おじさ〜ん…

[45 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 12:37:44]

愛。

おれはその感情をよく知っている。

父様や母様、ラミ、シスター……そしてコラさんから与えられた愛情。それをおれは一度たりとも忘れたことはない。

だからこそ、おれには分かる。いや、わかってしまった。

奴…ボブが語る家族への愛情は本物であるということが。そして、脱出を諦めた事へのやりきれない感情と、家族に対する悔やんでも悔やみきれないという感情さえも、分かってしまった。

「……悪ィ。」

おれはそれしか言えない。ホーキンスやドレーク屋の表情は、見る事は出来なかった。

「いや、いいんだ。オレがお前らに情報を提供するのは、オレみたいになって欲しくねぇって事と…ただのお節介だしな。オレの息子の話聞くか？可愛いんだぜ、金髪でオレンジ掛かった瞳が嫁に良く似て＿＿＿＿」

……こいつは良く口が回る男だ。聞いてもないのに息子の話をし始めやがった。とりあえず聞き流すとして、他にも何か聞いておくべきだろうか。

1.他の人間について

2.おれ達について話す

dice1d2=2 (2)

[46 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 12:39:28]

>オレは長い間…何年…何十年とここに居るが、脱出できていない。

ある条件を満たした状態でbackroomsに滞在し続けると、偽りの希望を抱いたまま終わりを迎える事なく歩き続けてしまうエリアに辿り着いてしまう

『希望』と言う名のエリアでそこに行く条件は、『10年間希望を失わずにbackroomsを彷徨い続ける』事

奥さんと息子さんに会いたいと言う希望を持っているのに未だそこに行っていないと言う事は、忘れたから希望を失った扱いになったのか？

[47 >>46 23/02/19(日) 12:42:22]

すまん、書いている間に次が来ていた事に気付かなかった
もうとっくの昔に、諦めてしまったのか
それで詰みのエリアに辿り着かないのは、ボブ視点では知りようがないけど皮肉が過ぎる……

[48 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 12:47:53]

希望 に行くのって確か同じレベルに10年停滞だったはずだからボブが間違えてる可能性もあるのかな

[49 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 12:53:48]

「＿＿みたいな事があってなぁ。パパっ子だったんだ、本当に可愛くて…」

「…話をぶった切るようで悪いが、おれ達の話をさせて欲しい。」

話が終わるのを待とうとしていたがいつまでも終わる気配はない。自分の家族のことを話せて楽しいのは分からなくもないが、おれ達の話もしたいと、致し方なくおれは話を切り出した。

「…あ！ああ悪い。ついつい長話しちまった……で、話ってのは？」

「おれ達の話…いや、おれ達の世界の話と言うべきか。それを話したい。」

おれはひとつ、仮説を立てていた。

まず、ボブのいる……いや、元いた世界はおれ達のいた世界とは違う世界だと考えた。話や行動を見る限り、おれ達と住む世界とは違った文化や技術が整った世界に生きる人物のように思えたからだ。

ホーキンスの目の前に置かれた筒型の飲み物。おれは、この飲み物の飲み口を開ける方法を知らない。奥で光る機械の名前も、この瓶とも言えない柔らかな瓶の名前もだ。
しかしボブは、当たり前の様にその機械を使い、その飲み口を開け、瓶にも違和感を覚えていない。それはつまり、身近にそういった物が存在したからだろう。おれはそう考えた。

[50 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 13:00:09]

>おれ達と住む世界とは違った文化や技術が整った世界に生きる人物のように思えたからだ。

やっぱりそうか、ボブ初登場の時からそうだろうなって思っていたんだ

[51 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 13:00:27]

それを前提とし。

おれ達の住む世界を【A】。

ボブのいた世界を【B】とする。

【A】と【B】という本来ならば交わることのない多元宇宙。その多元宇宙の境目を無くすのが、<back rooms>という世界なのでは無いだろうか、と。

しかしそれならば、level0の時点でおれ達以外の人間と出会っていなければおかしい。それに、levelを上がっていく度に他の人間に出会っていないのも理由がわからない。

仮説はただの仮説に過ぎない。おれにはまだ分からないことが多い。だからこその質問だった。

[52 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 13:06:48]

「まず大前提として、おれ達はボブ、アンタとは違う世界に生きる人間だと思う。」

おれは混乱を招かないようにひとつずつ説明を始める。

「おれ達はこの飲み物が入ってる入れ物を知らねぇ。奥にある機械の名前も知らねぇ。だがアンタはそれを簡単に使いこなしてる。それにおれ達が知り得ないことでさえも知り尽くしている。それを踏まえての考えだ。…間違ってるか？」

ボブは口元にこそ笑顔はあるものの、その笑顔は冷たいものに見える。

「……ああ、合ってる。オレとお前らの住む世界はきっと違う。名前教えてやろうか？この飲み物は”缶ジュース”、後奥のは”自動販売機”って言って＿＿」

「それはどうでもいい。何故本来なら違う世界に生きるおれ達とお前は同じこの空間にいる？この<back rooms>という空間は、多元宇宙の境目さえも無いものにするのか？」

[53 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 13:10:15]

バックルームと現世の時間の流れて違うという説があるからボブも諦めんなよ……

[54 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 13:14:52]

「……説明が難しいんだよなぁ。」

ボブはそう言うと先程持っていた一枚のメモをおれ達に見せてくる。

「いいか？兄ちゃん、お前が言ってることは大体合ってる。オレやお前ら、そして他の人間…放浪者って言うんだが。そいつらは全員別の世界から来てるんだ。本来なら交わることの無い世界、出会うはずのないおれ達。だがこの場所は、色々な世界と繋がっちまってる気色の悪い場所なんだ。」

メモに書かれているのは…何かレイヤー分けされているような図と、細かな説明だった。

「この場所は時空に歪みがある。だから繋がる。兄ちゃん頭良さそうだもんな、それ位は予想してたんじゃねえか？」

「…時空に歪みが生じている可能性は考えていた。」

「だろ。それでまあ、兄ちゃんはきっと思ったはずだ。何故今まで他の放浪者と出会わなかったのか？と。」

……ふざけた様に見せて、思ったよりも博識らしい。ボブは話を続けた。

[55 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 13:17:56]

「他のlevelでオレや他の放浪者と出会わなかったのは、この場所が歪んでいてレイヤー…層になってるって言ったらいいのか？ひとつの場所でも、色々な空間に分かれているからなんだ。」

メモに書いてある層になっているものはそういう意味だったらしい。

「そして、同じlevelにいようとも、同じ層に存在しなければ、そのlevelで出会う事は無い。だからお前らは他の放浪者には出会ってこなかった。ここまでは分かるか？」

[57 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 13:48:00]

（すみません上手く画像貼れないのでテレグラフに貼ったもの載せます少々お待ちください）

>>55

>>56

[58 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 14:18:47]

ボブのメモ

[59 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 14:22:48]

同じ家に入っても居る部屋が違うから会えないて感じか

[60 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 14:38:12]

中々複雑な話だが、理解はできる。ドレーク屋やホーキンスも同じだろうか、頷いていた。

「まあ、これも全てただの仮説に過ぎねぇんだ。答えは分からない。ただその可能性が高いってなだけだ。そのメモに書かれている通り、level4では何故放浪者との遭遇率が高いのか……それは誰にもわかっちゃいねぇ。ただここで、情報共有するのはよくあること。それくらいだな。」

想像と仮説で成り立っているこの場所。おれ達がどう考えようとも答えはない。答えだと思っているものも、必ずしも正しいものだとは限らない。
……難しい。が、状況は理解出来た気がする。


「……もう聞きたいことはねぇか？ねぇなら、最後に見知らぬお前らにお人好しのジジイからいい事教えてやる。」

「……諦めるな。絶対に諦めるな。諦めなければ脱出は出来る。必ずなんていう保証はねぇ。だが、”外れ落ち”てやってきたのなら、必ずまた”外れ落ち”て戻れるはずだ。……オレは帰る場所を忘れちまったせいで諦めざるを得なくなった。だがお前らは違う、そうだろ？」

[61 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 14:39:00]

ハズレ落ちるとvoidになるからやばいな

[62 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 14:50:45]

な、なんだよいいジジイだったよ！
アイテム詳細ほど有り難いもんはねぇ
個人でなく三人だからアベレージと知恵を持ち寄ってこの先もどうにかなれー
彼の願いも請負って生き延びろ三人衆

[63 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 14:51:35]

ジジイトイレで用たさないで出てくれば現世に帰れる道に近ずけるからな……

[64 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 15:16:41]

「…わかった。情報提供感謝する。それと、警戒していて…悪かった。」

ボブはおれが思うよりも良い奴だった。本当にただのお人好しで、そして酷く…可哀想な奴だった。

「いいんだよ！警戒心が強いことは大事な事だ。名前くらい教えてくれねぇか？折角の出会いだ、忘れたくねぇ。」

けらけらと笑う様子も、思い出せない事に対して苦しまないようにする為にと。そういう理由で、わざとおちゃらけた態度を取っているのかもしれない。…奴に同情しか出来ないのが悔やまれる。

「……おれはトラファルガー・ロー。」

「……X・ドレークと言う。」

「…バジル・ホーキンス。」


「そうかぁ。ロー、ドレーク、ホーキンス……。………よし、ホーキンス。お前にいいもんやろうな！」

奴はおれ達の名前を聞くと、優しい表情を浮かべて黙り込む。奴の浮かべる表情は、子供を見るような優しい表情にも思えた。酷く寂しそうな、そんな表情でもあった。
奴はしばらく黙り込んだと思うと、ホーキンスの方へとリュックサックから取り出した何かを差し出してくる。ホーキンスはそれを受け取った様だ。

[65 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 15:25:16]

それは茶色の鞄のようだ。何の変哲もない皮でできたような鞄。それを奴は、ホーキンスに渡している。

「これ持ってけ。大きさはまあまあだがさ、その書類もアーモンドウォーターも、これから手に入る物を入れるといいさ。オレからあげられんのは情報と鞄と、これくらいだな………。…まだ外出ねぇならこの辺見て回ってこいよ。〇の付いた扉は入っていいが×はやめとけよー。」


「…感謝する。おれ達から手渡せるようなもんは何も無い。…すまない。」

ホーキンスは鞄を受け取ると肩から提げる。…荷物を持ち運ぶ手段も手に入った。初対面のおれ達に、ここまで手厚く対応してくれる奴に渡せるものが何も無いのは申し訳が立たない。……しかし、おれ達に出来ることは何も無い。歯痒いことこの上無かった。

[66 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 15:32:57]

………ここの部屋を後にしよう。
ここにいても先に進めはしない。随分と長い間話していたようにも思える。ドレーク屋も充分体力が回復したようだ。ホーキンスとおれも回復ができた。おれは奴を見つめ、そして口を開く。

「……おい、ボブ。おれはお前に感謝してもしきれねぇ。だからおれ達は恩を返してぇ。だが今のおれ達には何も出来ねぇ……から、ここを発ち別のlevelへ行き、帰り方がわかった時。…ここへ戻れたら、お前にも戻り方を教える。元の世界に戻る方法を伝える。だからお前も……諦めるなよ。」

[67 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 15:33:45]

MEGに会えないかな

[68 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 15:40:39]

「…ああ、そりゃあ助かるなぁ………」

奴は静かにそう言った。

……おれ達は部屋を出るために立ち上がる。そして扉の近くまで行くと、ノブに手を掛け外へと向かっていった。ドレーク屋が先に外に出る。おれもドレーク屋の後に続く。…外に出る寸前、おれは少しだけ後ろに視線をやった。


ボブは帽子を外し今まで隠していた目元を露わにしていた。その目は酷く優しい瞳をしてたが、その視線の意味はおれには理解できないものだった。
暖かく優しい視線。それはまるで＿＿＿

[69 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 15:53:17]

＿＿＿＿＿


……あの三人は部屋を後にした。オレは扉が閉じる寸前まで、ホーキンスという男のことを見つめてしまっていたが…きっと、ローにはバレちまっただろう。だがこんな所で息子の面影のあるやつに出会えるなんて、思ってもみなかったから致し方ないだろ？

6歳になる息子は金髪で綺麗なオレンジ掛かった瞳をしていた。昔の記憶は全て無いが、息子と嫁の事は覚えているんだから不思議な事だ。いつものようにこのlevelをふらついて、他の放浪者が居ないか探していたら…綺麗な金髪が見えたものだから、つい話し掛けたが。

お節介だっただろうか。

オレはオレの息子に似た男に出会ってしまったから、世話を焼いちまった。ホーキンスと息子を重ねて見ちまっていた。
…ああ、あいつらが無事に外に出られればいいなぁ。そう思うばかり。オレは外に出られないから、オレの分まで生きてくれれば…それでいいさ。
オレは空になった缶を放り投げる。カランと音を立てて缶は転がり、もうオレしかいない空間にはよく音が響くものだった。
また何も無いこの空間で、とっとと命が終わるのを待ち続ける。早くしねればなぁ。しねば…息子や嫁の元に帰れるのになぁ。

大きくため息を吐く。
ロー。ドレーク。そしてホーキンス………。

………三人の行く未来に幸多からん事を。

＿＿＿＿＿＿

[70 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 15:54:18]

一旦ここまでにします。更新は夜か明日に。

[71 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 17:28:32]

ボブも無事に脱出できたらいいなあ
もちろん、ローもドレークもホーキンスも

[72 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 20:45:27]

***

…おれ達は部屋を後にした。ボブの事は気掛かりだが、おれ達はおれ達のことを考えて先に進まなければならないのも分かっている。割り切らなければならない。
…先に進めそうな道は三つ。次のlevelに繋がっていそうな場所は二つある。

ひとつは扉を出て右に進む道だ。奥には上り階段のようなものが存在している為、上り階段を上がる事が出来るだろう。そしてその先はlevelに繋がっていると考えられる。

もうひとつは左の道を進んだ先に見えるエレベーター。おれ達がこの階に登ってきたのとは別のエレベーターの様で、それは上と下のマークが書かれたスイッチが設置されているのが見える。上に進むか下に進むか、エレベーターを進むことにするならばそれも決めなければならないだろう。

そしてもうひとつ。ボブが言っていた、〇の付いた扉をそれぞれ探索してみるという案だ。

[73 lol◆zwjg81Wprg 23/02/19(日) 20:46:49]

おれ達に今必要なのは、情報収集とアイテム集めだろう。何せ今は書類とアーモンドウォーターのふたつしかアイテムが無い。他にも使えそうなものをこの場所で探すのも良いと考えた。

…色々な場所に書かれた〇と×の扉。

この場所に長居するつもりは無いため、探索するなら1つか2つに絞る必要がある。手分けをして一人ずつで場所を調べればもう少し調べられるだろうが、ボブの言っていた『比較的安全』という言葉が気になる為単独行動は控えた方がいい気がする。

先を急ぐのでも良い。

情報を集めるのでも良い。

これが正しいといえる道はおれには分からない。

………どの道を行くべきだろう。

1.階段の方へ進む

2.エレベーターの方へ進む

3.部屋の探索を行う

dice1d3=2 (2)

（3.部屋の探索を行う場合の探索方法）

1.単独行動

2.三人行動

dice1d2=2 (2)

[74 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 21:55:55]

今いる所でエンティティ出てくるんだっけ？
もし出てくるなら早く移動した方が良いのかな？でも情報の見落としも怖いからなあ、上手い具合に進めればいいのだけど

[76 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 21:57:34]

>>75

訂正ごく稀にいるけどほとんど居ないし逃げ切れるレベルだったと思う

[77 二次元好きの匿名さん 23/02/19(日) 21:58:34]

安全な出口としてはゲーム部屋でゲームクリアか3999の窓から飛び降り 飛行場で紙飛行機を飛ばす
だな

[79 >>74 23/02/19(日) 22:20:13]

>>76,>>77,>>78

教えてくれてありがとう！それらの出口に辿り着ける/気づけたらいいな

[81 二次元好きの匿名さん 23/02/20(月) 00:26:24]

水ぶっかけるようで悪いがback roomsについて良く知ってる方々らよ
脱出する云々を話すなら別で話してくれ
ここのスレ主が書くSSの感想やその先の予想なら判るが全くSSの内容に沿ってないレスはその他ソゲーム・ソシャゲカテでback roomsのスレ立てして話してくれ
おれはback rooms知らない民だがスレ主のSSを楽しく読ませてもらってるんで頼むわ

[82 二次元好きの匿名さん 23/02/20(月) 04:00:47]

保守

[83 lol◆zwjg81Wprg 23/02/20(月) 08:24:06]

本日多忙なので更新夜にします
それと補足ですが、back rooms内から脱出する方法は多数ありますので安心してください。勿論脱出できない可能性もありますが。
back roomsを知らない方にも楽しんでいただけるように今後も分かり易く書いていくつもりなので、今後の予想や考察程度に収めつつ、三人の無事を祈っていただけたらと思います〜

[84 lol◆zwjg81Wprg 23/02/20(月) 15:48:02]

>>83

日本語が足りていない感じしたので補足の補足

どんどんレスして頂いていいのですが、レス内容は今後の予想やどこに向かうかの考察、感想などだけにして頂けたらということです。わかりづらくて申し訳ない

back roomsの世界を知ってる人でも知らない人でも平等に楽しめるようにしたいので、そこだけ守ってください！次スレの注意事項にも付け加えときますね

[85 81 23/02/20(月) 15:57:48]

スレ主色々とありがとう
いらん自我出してすまんかった
この先も楽しみにしてるぞ！

[86 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 00:05:54]

スレ主忙しいのかなー
一応保守

[87 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 00:40:40]

…やはり先を急ぐべきだろう。探索はここでなくても出来るはずだ。
ここでもたもたしていては時間が勿体ない。おれは左の道へと足を運びながらも立ち止まっているドレーク屋に声を掛ける。

「おいドレーク屋、ホーキンス。こんな所に長居したって仕方ねぇ、とっとと先に行くぞ。」

ドレーク屋もボブの事が気掛かりなのか、今閉じたばかりの部屋をじっと見つめていたものの、おれが声を掛けるとようやく動き出した。ホーキンスはというと、おれが声を掛ける前からエレベーターの方へと向かっていた。おれ達は奥の道へと足を進めていく。

……左の道にも色々な扉がある様だ。
×と書かれた扉の上には【温室】と書かれたシンボルがあったり、【海の波】と書かれたシンボルがあったり様々。この部屋には入っては行けないという印なのだろうか？この部屋に入ると別のlevelに移動してしまう可能性があるのかもしれないな…不用意に触らない方がいいだろう。
〇の部屋はなんの変哲も無い部屋の様に思える。ここには入っても問題なさそうだ。
しかし、おれ達が進むべきはエレベーターの方。この部屋に興味が無い訳では無いが、先に進むべきだろう。
おれ達はどんどん先に進んでいってしまうホーキンスの後を追うように奥へと進んで行った。

[88 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 00:50:22]

……しばらくするとエレベーターのある奥へと辿り着く。目の前にあったエレベーターを確認すると、そこには遠目から見ていた時にも確認できたボタンが二つ、上と下に向かうものがあった。

上か下か。

この選択肢で向かうlevelは変わるだろう。

普通であれば上に向かえば、level5に向かうはずだろう。下に行けばlevel3。おれ達がいくつのlevelからこのlevel4にやってきたのかは分からないものの、下へ向かうべきでは無いことは確かだろう。
しかし、大前提としてこの世界は「時空に歪みが生じている」のだ。
エレベーターで上に上がったから必ずlevel5にたどり着くとは限らない。
エレベーターで下に下ったから必ずlevel3にたどり着くとは限らない。
そういう世界にいるのだ。……選択は、慎重でなければならないだろう。

[89 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 01:03:18]

1.上へのボタンを押す

2.下へのボタンを押す

dice1d2=1 (1)

[90 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 01:18:18]

やはり上へと向かうべきだ。
おれはホーキンスとドレーク屋の方を向くと、エレベーターの方を指し示し考えを綴る。

「おい、このエレベーターも動きそうだし乗って上に向かう。下に行ったってどうしようもねぇからな…とっとと進むぞ。」

「上か……下に行くとlevel3に着く可能性が高いのか？上に上がったら出口に近付くとは限らんが、動かないだけじゃ仕方無いしな。異論は無い。」

ホーキンスも異論はないようで、ドレーク屋の後に頷いているのがわかる。
…おれはエレベーターの上のボタンを押した。カチリと音を立て明るくランプが灯り、機械の動く音も聞こえてきた。やはり正常に動いているようだった。

level 4。
廃オフィス。

ここは今まで来たlevelの中でも比較的安全なlevelではあった。色々な情報も手に入った。…そして、ボブという、酷く寂しく、酷く優しい男にも出会えた。
奴もここから出られたら……。…他の奴の事を気にかけている余裕はやはり無いのだ。おれは、おれ達は、おれ達の命とおれ達の脱出の事だけを考えよう。そう考えている内にエレベーターは到着した様で、ポー…ンと音を立てながら銀色の扉が開く。


……おれ達はエレベーターへと乗り込んだ。
中にあるのは【閉】のボタンのみ。上に上がるのはわかるが、どこに止まるかは分からないらしい。
仕方無く【閉】を押す。ボタンを押すとゆっくりと扉が閉まり、機械はおれ達を乗せたまま上へと上っていった。

この先に待ち受けるlevelがいくつであろうとも、おれ達は決して諦めない。ボブにも言われた様に、『諦めなければ脱出できる』可能性がある、からだ。元の世界に残したクルー達が心配でもある………なるべく早くに脱出することが出来ればいいのだが。


＿＿＿＿level 4 廃オフィス 脱出

[91 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 01:22:15]

警告文

!!WARNING!!

[92 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 01:33:45]

あの警告文、怖い
何だろうと思って覗いてみたら、あの内容だったから
このスレのダイス神が女神様なのか邪神なのかまだ分からない、だけど1つだけ確かに言える
行ってしまったら確実に『詰み』のlevelに行かない事を祈るしかない、本気で

[93 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 01:37:25]

ダイスロールでの移動は明日から行います。
ダイスロールは絶対ですが、進行上の疑問などあれば答えたいと思うので聞いてください。無いようでしたらそのままダイスロールを行いたいと思います。

[95 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 02:06:49]

>>93

もしも、もしも『詰み』のlevelに着いてしまったらそこで物語はおしまい/ゲームオーバー？

『詰み』は死んでもそこから解放されないような、そもそも死ぬと言う発想すら思いつかないような、永遠にどうする事もできないまま閉じ込められる、そんな恐ろしい状況

そういうlevelもあるのは知ってるから、例えば『希望』に『void』とか

[96 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 07:28:15]

>>95

「『詰み』のlevelに入ってしまった時点でゲームオーバー」です。物語はそこで終了になります。

[97 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 09:14:23]

>>93

死んだらlevel4からのやり直しっていうけどそれは全員死ぬってこと？全滅したときなんかデバフとかついたりする？

[98 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 09:16:08]

詰みの部屋て文字通り詰みで死ぬ事も出来ないから詰みて話のはず

[99 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 09:29:10]

>>93

マイナスlevelとか小数点とか999以上のlevelにはいかないの？3999とか行けないのかな

[100 95 23/02/21(火) 11:04:04]

>>96

やっぱりそうなんですね、教えてくれてありがとうございます

ダイスの数字が出た時にlevel調べて読み進める方が、心理的にはだいぶ楽になりそう

調べて万が一、『詰み』だった時は……うん

[101 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 11:36:09]

警告文怖えなここからが本番かぁ
詰みだけは勘弁と祈るがダイスの神は本当にシャレにならんことするしな
うん、結末を見届ける覚悟でいるぞ

[103 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 17:36:20]

>>97

脱出不可能なlevelで『全滅』する事が出来れば、level4へと強制移動です。脱出不可能なlevelで『全滅』することが出来なければ、そこで物語は終了です。

デバフは特にないです

[104 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 17:37:25]

>>99

マイナスlevelや999以上のlevelにはダイスロールでは行く事は出来ません。(1d9999にするとキリがないのと、1000以上のlevelのデータが今ほとんど無いという事から1d999にしてます。)

また、η(イータ：日本の団体が発見したlevelに付くマークのこと)には原則行きません。基本は海外版のをメインに取り扱っているからです。

ですが、ハプニングダイス、もしくは特定のlevelで特定の動作をした場合のみ、ダイスロールとは関係無しにマイナスlevelや999以上のlevel、小数点のlevelに行く可能性はあるので、それもまたダイスロールが決める事になるでしょう。

[105 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 17:45:06]

level4を移動しました。

これよりランダムでエリアを移動します。

ダイスロールは絶対です。

dice1d999=840 (840)

[106 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 18:18:04]

【level 840 禁断の霧】へ移動したため、各登場人物の能力がリセットされます。

・能力使用者無し

前回のエリアでの死亡者はいませんでした。

登場人物の視点変更を行います。（前回の視点であった登場人物は除くものとする。）

1.バジル・ホーキンス

2.X・ドレーク

dice1d2=1 (1)

[107 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 19:19:01]

***
エレベーターはごうごうと音を立てながら上り続けている。
このエレベーターはlevel4に来るのに使ったエレベーターよりも中は広く、蛍光灯が明るくこの密室を照らしていた。しかし、エレベーターが動く度ミシミシと軋む音が酷く響く為、途中で落ちたりするのではないかと考えてしまう。…大男三人が乗っているんだ。そう考えるのも仕方が無いだろう。
おれは、エレベーターに入るや否やトラファルガーがドレークの診察を始めたのを横目に、いつまでも登り続けるエレベーターの中でボブから貰った鞄を弄っていた。

この革鞄は使い古されているようで随分と柔らかくなっているものの、中には色々と入りそうではある。奴が何故おれにこの鞄をくれたのか全く意図は分からないが、いい物を貰ったものだ。
奴がドレークやトラファルガーに向けていた視線とは違った視線をおれに向けていた事から、なにか他の人物をおれと重ねて見ていたのかもしれないと考えるも…別れた今真実は分からなかった。

[108 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 19:22:00]

比較的ましだけど充分にヤバイ場所か……
ここのダイス神の傾向がここら辺で分かるといいのだけど

[109 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 19:34:50]

「…特に異常はねェ。次の場所がどこに行くか分からないんだ、怪我なんかするんじゃねえぞ。ホーキンスもそうだ。」

一通り診察を終えたであろうトラファルガーがドレークとおれにそう声を掛けてくる。
言われずとも、みすみす命を投げ捨てる程おれは愚かでは無い。ドレークもそんな男では無いはずだ。エンティティに出会った場合、命に関わる事があった場合。逃げる事、そして命を優先することを第一に考えて先に進むべきだと言うことは重々理解している。
おれはそれらを理解しているという事を伝えるべく、頷く事で返事をする。トラファルガーとドレークにはそれが伝わったのだろう、二人とも頷いた。

[110 lol◆zwjg81Wprg 23/02/21(火) 19:56:15]

＿＿＿ポー……ン


しばらく経っただろうか、エレベーターは音を立てて動きを止める。ようやく次のlevelに到達した様だった。
ゆっくりと扉が開いていく。
開いた隙間からは、冷たい霧のようなものがエレベーター内へと入り込んでくる。

おれ達の目の前に現れたのは、大きな橋の様なもの。
タイドアーチ、と言えばいいのだろうか。何本もの引張材でアーチ状に作られた、遠目でも分かるほどには古い、今は使われていなさそうな橋がある。
霧がかっていて奥の方はしっかりと見る事は出来ない。しかし、微かな水の音と雨で濡れた様な草木や土の匂いが感じられ、そして何より何かおれ達以外の生物……予想だが、エンティティと思わしき生物がいる気配もあるのがわかった。

「……外、か？これはまた随分とでかい橋だな…」

ドレークが先にエレベーターの外へと出ながら話し出した。トラファルガーもそのあとに続いて外に出たようだが、おれは中々、足を踏み出すことが出来ずにいた。

よくあの二人は外に出ることが出来るなと、素直に感心してしまう。おれにはこの場所が……このlevelが、酷く恐ろしく見えて仕方がないというのに。

[111 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 22:40:51]

ホーキンスの嫌な予感…はガチっぽさがやべーなエンティティ出るんだね！すでに怖ェ！

[112 二次元好きの匿名さん 23/02/21(火) 23:35:29]

警告文の演出良い…怖くてすき ボブのメモとかもそうだけど世界観設計が念入りで素敵

[113 二次元好きの匿名さん 23/02/22(水) 04:05:48]

全滅したら4から…って書いてたけど
もし全滅イベント？が起きて4に戻った時、
3人の記憶はどういう事になっているんだろうか…
デバフが無いって事は動画の巻き戻し機能みたいに
3人が4にいた時まで記憶やら時空やらが巻き戻って
全滅やそこに行った記憶がない事にされるのかな…
ゲームで言うリセット？みたいな

[114 lol◆zwjg81Wprg 23/02/22(水) 12:33:12]

理由は分からない。
分からないが、このlevelは、おれには酷く恐ろしく見えている。

霧が濃く奥が見えない橋の事。
湖か…川でもあるのだろうか。はたまた海か。どこからともなく、絶え間なく聞こえてくる水の流れる音。
このlevelの異様に冷たい空気。
何者かの気配。
動く音。
風。
色。

視覚に入るもの全て、聞こえてくるものの全て、感じるものの全てが恐ろしくて仕方が無い。
このlevelに対し恐ろしいという感情を抱く理由は全くもって不明だ。しかし、恐ろしいことこの上無く、一番安全であろうエレベーターから一歩たりとも出たくなかった。

[115 lol◆zwjg81Wprg 23/02/22(水) 12:36:40]

いつまで経ってもエレベーターから出てこないおれに違和感を抱いたのだろう、エレベーターの外にいるドレークが不思議そうにおれの方を見ては首を傾げている。


「……？どうしたホーキンス。先に進まないのか？」


……この恐怖心を抱いているのはどうやらおれだけの様だ。この恐怖心はこのlevel特有のものなのだろうか…？それとも、精神攻撃を仕掛けてくるエンティティが存在して、そいつの攻撃がおれだけに向いているのか…？
何に対しここまで怯えているのか分からない。しかしこんな所で立ち止まっている訳にはいかない。

＿＿＿おれは、滲み出る不安に無理矢理蓋をする事にした。臭い物に蓋をする様に、おれはおれが抱いている恐怖心を何者にも悟られぬ様に平常を装うべきだと考えたのだ。


先に進む為に己を騙そう。


目を伏せ深呼吸をする。

…おれは大丈夫だ。
何も怖くはない。
怯えることも無い。

心の中でそう唱える。

[116 lol◆zwjg81Wprg 23/02/22(水) 12:52:56]

「……、………いや、今行く。」

重い口を開く。
言葉が震えないように。あたかも平気だと言うように振舞った。

…おれはこんな恐怖に負ける程弱くなどない。

そう言い聞かせながらエレベーターから外へと一歩踏み出す。
ここで足を止めたら進めなくなる可能性があると、そのままの勢いで足を進めていった。

ほんの僅かな距離。ドレークとトラファルガーの元まで10mも無い。それなのにも関わらず、嫌に長く感じてしまう。
…冷たい風がおれの頬を撫でる。
湿気っぽい空気が非常に不愉快に感じる。
恐怖心は無くならない。どれ位時間を掛けたかは分からない。だがおれは、エレベーターから外へと出ることが出来た。

[117 二次元好きの匿名さん 23/02/22(水) 13:17:15]

そりゃこんな橋目の前にしたら怖くもなる

[118 二次元好きの匿名さん 23/02/22(水) 17:01:46]

もう初っ端から『何か』の影響を受けていそうだけど、ホーキンス大丈夫かな……

[119 二次元好きの匿名さん 23/02/22(水) 20:18:21]

こういう精神衛生のこと隠すと2人に怒られるし根に持たれるって………
もしやこのまま隠してなんか不利益が出たら戦犯ボードもたされるのでは……？

[120 lol◆zwjg81Wprg 23/02/22(水) 23:41:27]

おれがエレベーターの外へと出ると、待っていたと言わんばかりにエレベーターは独りでに閉まってしまう。
大きく、最上階が見えない程高い建造物に設置されたエレベーター。このエレベーターには外側にはスイッチは無く、こちら側からは呼べないようになっている事から、後戻りは出来ないのだとわかる。
…外に出たのに戻ろうだなんて考えるのは往生際が悪い。覚悟を決め、先に進むことを決意する。
トラファルガーとドレークはおれが外に出たことを確認すると先を歩いていってしまう。その為、おれもその後を続く事にした。

「霧掛かってて何も見えねぇな……おい、ドレーク屋。ホーキンス。はぐれるんじゃねえぞ。」

トラファルガーが辺りを見回しながらそう呟く。
……確かに、目の前に広がる大きな橋以外に今の所は何も無い様だ。この橋はどこまで続いているのだろうか、霧が濃くて先が見えない為分からないもののやはり恐ろしいと感じる事には変わりない。
地面は石のような素材で出来ているが…確かに草木や土の匂いがしたというのにそれらは見当たらない。冷たく吹く風に乗って匂いが流れてきたのだろうか？

「ああ、分かっている。………ホーキンス、平気か？さっきから様子がおかしいぞ。」

先頭を行くトラファルガーにドレークが返事をすると、後ろにいるおれにも声を掛けてくる。
変に辺りを見回し続けるのに違和感を覚えたのだろうか？今までのlevelでは奥にどんどん進んでいたのに、ここでは先を行こうとはしない事に不信感を覚えたのだろうか。…はたまた、両方かもしれないが。

……平気かだと？平気な訳が無いだろう。

しかしそうは答えられない。

[121 lol◆zwjg81Wprg 23/02/23(木) 00:02:52]

「……大丈夫だ。分かっている。」

一言、二言。
それを返事をするので精一杯で、疑われる要因であろう辺りを見回す行動をやめ先を見据える事で平常を装うことにした。しかし、先の見えない霧を見つめるのは酷く怖く、すぐに視線を下へと向けてしまい平常を装うことが出来ない。
挙動不審なおれを心配しているのだろうか、ドレークは「そうか」と返事をするも先を歩く中でもちらちらとおれの方を見てきているのが分かる。
……おれはそんなドレークからの視線を感じていながらも、下に向いた視線をあげることは出来ずにいた。

[122 二次元好きの匿名さん 23/02/23(木) 10:24:55]

精神系デバフはキツいなあ
相談してくれよホーちゃん
何か居るのかねそういう敵が

[123 二次元好きの匿名さん 23/02/23(木) 16:33:53]

普通に考えてホーちゃん痛み有りで一回ﾀﾋんでるし怖がるのはしょうがないよな………どうにかローとドレークに回復してもらってくれ〜

[124 lol◆zwjg81Wprg 23/02/23(木) 20:38:28]

少し歩いた頃だろうか。

霧の中を進んでいると、次第に橋の外側が見えるようになってきたのがわかった。……下ばかり見ていては怪しまれる。それに、少しでも気を紛らわせる事が出来ればと、おれは橋の外側の方へと視線を向けた。

橋の下は川のようなものが流れている様で、時々パシャンと水が跳ねる音が聞こえてくる。遠目から見るに、水は特に濁っていないようで、水の中を見ることが出来そうだった。

…川の中に何かいるかもしれない。

ここにエンティティ以外の生き物がいることが分かれば、少しは安心出来る可能性がある。それに、この<back rooms>にある川が安全な川かどうかの確認も必要になってくるだろう。

橋の上からの情報しかえられないのは確かだ。しかし少しでも状況を理解しておくべきだ。

…川の中を調べるべきだろうか。

1.調べる

2.調べない

dice1d2=1 (1)

[125 lol◆zwjg81Wprg 23/02/24(金) 01:26:24]

…おれはトラファルガーとドレークの傍から少し離れ、橋の上から川の確認をすることにした。

錆び付いている橋の欄干に手を置き、下を覗き込む。橋の下を流れているのは、川と言うよりは湖の様だ。湖は橋の上から見ても透けて見えるほど透明で、そして何かツンとした……刺激臭のようなものも感じる。
酷く透明な水の中には生き物は何もいないのか、水の中に動くものは何も無い。……しかし、何か白い…岩のような、大きなものがあるのが分かった。あれは何だと目を凝らしていると、

「おい、ホーキンス。勝手に行動してんじゃねぇ。」

と、背後から声を掛けられる。
おれは咄嗟の事に驚いてしまった。…おれが酷く脅えていることを見透かされてはいないかと不安に思うが、トラファルガーは気付かなかったのか、特に気付いている様子はない。おれは平然を装うと、今見えた白い岩のような物を指差すと口を開く。

「…湖の様子が気になっていただけだ。トラファルガー、あれが見えるか？岩のようなものだ。」

「あ？どれだよ、白い………」

トラファルガーはおれが指さしたものを目を凝らしては見つめている。そしてそれの正体がわかったのか、話している途中で言葉が止まってしまった。

「……？トラファルガー？」

何かいけないものを指さしてしまったのだろうか。

[126 lol◆zwjg81Wprg 23/02/24(金) 08:00:05]

今更報告になるんですがしばらく更新ゆっくりにさせてください(しばらく多忙なので…)
のんびり更新になりますが質が落ちないように書くつもりなので待っていただけたら嬉しいです

[127 二次元好きの匿名さん 23/02/24(金) 11:04:36]

もちろんで御座います　何時でもお待ちしております

[128 二次元好きの匿名さん 23/02/24(金) 14:32:04]

白い岩なんなのか気になる！楽しみにしてるので無理ない程度に更新してくれスレ主

[129 二次元好きの匿名さん 23/02/24(金) 23:46:51]

支援保守
無理はしないでねスレ主

[130 lol◆zwjg81Wprg 23/02/25(土) 00:11:33]

テレグラフ更新（エンティティ調査書の更新、オブジェクト一覧の追加、目次の追加、廃オフィスの追加）しました。

【ホラー/⚂/クロス/ss/閲覧注意】部屋

本日更新できなさそうなのでまとめ載せます

[131 lol◆zwjg81Wprg 23/02/25(土) 10:55:26]

「……あれは岩なんかじゃねェ、人魚……いや、何か大きい…魚巨人か？それの白骨死体だ。」

トラファルガーはその岩のようなものの正体を口にする。

……白骨死体？

信じ難い、とおれはもう一度その岩を見つめる。大きさは10mは簡単に越しているだろう。白くて所々が歪んでいたり、ゴツゴツとしているのが見て取れる。
確かに言われてみれば、人のような形をしている気がしてきた。

一番上にある丸い岩は、頭蓋骨の形の様に見える。
大きな二つの窪み、その窪みの真ん中下辺りにある大きな穴。
その岩のようなものを支えるように置かれた細長い岩。
それを中心とし、12本の岩が楕円を描く様に形作られていたりと人間の白骨死体に酷使しているのがわかった。

[132 lol◆zwjg81Wprg 23/02/25(土) 11:08:06]

下の方は長い岩に細い岩がいくつも生えていて、まるで尾鰭のように二又に広がっている。左右にはまるで腕かのように置かれた長い岩……

「…あれ程までに大きなエンティティがここにもいるということか？」

あれを白骨死体だと認めたくはなかった。
しかし、医師であるトラファルガーが言うという事と、言い逃れができないほどに形が酷似している事から、あれは白骨死体なのだろうと結論付ける。

ここにはあれほどまで大きなエンティティがいるのか？と、余計に不安におちいってしまった。元の世界にはあれよりも大きな存在は山ほど居るのは確かだ。しかし、ここにいる存在は何もかもが未知であり、どういった生物なのか、どういった性質を持つのか、何もかもが分からないのだ。
だからこそ恐ろしい。
だからこそ恐怖に満ちている。

「…だろうな。だがあれは死んでるんだ、気にすんな。……それよりホーキンス、お前さっきから様子がおかしいが何があった？」

トラファルガーが先に進みながらおれに問い掛けてくる。
おれは後を追いつつも、口篭ってしまう。
動揺を隠しきれなかったのだろうか？声に違和感でもあったか？俺の頬に嫌な汗が伝う。

[133 二次元好きの匿名さん 23/02/25(土) 16:37:04]

さすがのローでも精神医のスキルツリーは無さげだがホーキンス頼むよ共有してぇ
弱味を見せたくないのは判るけど占い師の勘が告ぐ危機感はシャレにならなそうだぞ

[134 lol◆zwjg81Wprg 23/02/25(土) 19:51:22]

「さっきまでのlevelでは率先して前に出てただろうが。それなのに今は後ろを黙って下向いて着いてくるだけ。……おかしいと思わねぇほうがおかしいだろうが。」

トラファルガーが言う事は、最もだとおれは思う。

確かに、今までのlevelではライフがある事からあまり警戒をせずに先に進んでいた。トラファルガーやドレークが何を言おうとも無視していたのも事実。ここでは行動を共にしているものの、本来ならば敵であるこの二人にあまり弱みを見せたくないと感じる点もある。

…どうするべきだろうか。

おれが今抱いている異常なまでの恐怖心は、おれが一度死んだ事が原因なのか。

このlevel自体が原因なのか。

精神攻撃を仕掛けてくるエンティティがいる可能性も捨てきれない。

この恐怖心を、奴らに、伝えるべき………なのだろうか。

1.伝えたくない

2.伝えられない

dice1d2=2 (2)

[135 lol◆zwjg81Wprg 23/02/25(土) 20:25:19]

出来ない。

出来ない。

伝えられない。

無理だ。
伝えることが出来ない。


言いたくても、言えないのだ。おれの口は、その事を伝えようとする時にだけ固く閉ざされてしまう。
伝えたくても伝えることが出来ない。

「……少し疲れているだけだ。」

重い口が紡げる言葉はたったそれだけのこと。トラファルガーは不審に思ったのだろう。少し顔をしかめ、何も言わずに先を進んでいくと、少し先でおれ達を待っていたドレークの元に行き何かを話し始めた。

[137 二次元好きの匿名さん 23/02/26(日) 13:08:34]

これでローが何となく気づいてドレークに共有している事を祈るしかないでもホーちゃん1人おいてスタスタ行くのはちょっとやめて差しあげて……

[138 lol◆zwjg81Wprg 23/02/26(日) 22:53:13]

奴らが何を話しているのか、おれの方からは断片的にしか聞こえてこない。

「…の様子が………だ、何か………」
「……精神…………なlevelが……のかも…」
「……かく、なるべく……って行動………」

……情報共有だろうか。
先程の白骨死体について話しているのか？
それとも、おれの様子がおかしいことを何か話しているのかもしれない。
疑心暗鬼になるのも良くないと言うのは分かっている。しかしおれと奴らは敵同士だ。もしかしたら、精神に異常をきたしたおれをここで切り捨てると話している可能性もある。どうするべきだろう、おれはあいつらの元に行くべきだろうか。しかし、行ってどうする？行って、おれはおかしくないと説明するか？

頭の中を色々な事が駆け巡る。
おれは頭がおかしくなってしまったのだろうか

「おい、ホーキンス。」


トラファルガーがドレークとおれの元へと近付いてくると、声をかけてきた。

[139 二次元好きの匿名さん 23/02/27(月) 06:32:21]

ホーキンス疑心暗鬼になっちゃうよね……

[140 lol◆zwjg81Wprg 23/02/27(月) 10:18:18]

「………なんだ、」

「お前はおれとドレーク屋の間を歩け。どう見ても普通じゃないお前を一人で行動させる訳にはいかねぇ。…死んでもらっても困る。」


そんな事をトラファルガーは言う。

死んでもらっても困る？…………ライフがある分おれを捨て駒にでもするつもりか?

そもそも、『外に出る』という目的が同じという利害が一致しているだけだと言うのに、おれ一人の為にそこまで気を配る必要などないのだ。…効率を考えれば、おれを切り捨てるのも正しい考え方だ。おれにはライフが存在する。おれを囮に使えば、この二人が逃げるだけの時間も十分に取れるだろう。
疑いの眼差しをトラファルガーに向ける。そんな視線に気付いたのだろうか、おれはトラファルガーのその表情を上手く読むことができない。

[141 lol◆zwjg81Wprg 23/02/27(月) 10:26:08]

「……きっとこのlevelが良くないのだろう。とっとと脱出するぞ。ホーキンス……お前が持ってるアーモンドウォーターは飲めば大分体力も回復する。気分も多少はよくなるだろう…だから、飲んでしまって構わない。」


おれからの返事を待たずに、ドレークがおれが肩から提げている鞄を指差しながらそう言った。

…………ここでは貴重であろう消耗品を使っても良いと言い、信頼を得ようとしているのか？
おれの船員がそういうのならば二つ返事で頷いていただろう。しかしここにいるのは船員でもなんでもない、海の上では敵同士の海賊の頭共。信頼など出来ない。利害が一致しているから、ライフにしないと決めたのはおれの方だが…。…しかし、恐怖心と焦りから上手く考えをまとめることができずにいる。
深く考え、自問自答し、奴らを疑い、そしておれ自身のことも疑う。
これの繰り返し。

……それほどになるまでに、おれはここにいるのが怖い。

[142 lol◆zwjg81Wprg 23/02/27(月) 10:28:40]

普段であればライフにも余裕がある。
仲間が傍にいる。
脅威あるものでも戦うことが出来る。
こんなに冷たく恐怖を煽るような場所には来ない。
占いの結果次第で全てが上手く行っていた。


しかしここではライフは一つしかない。それも死んだら発動するという条件付きだ。
仲間は傍にいない。
戦うことも叶わない。
タロットカードがない為占いもできない。



ここは地獄だ。
おれにはこのlevelが、酷く残酷な場所に見えて仕方がない…。

[143 lol◆zwjg81Wprg 23/02/27(月) 14:14:16]

…おれは返事をすることなく先を歩いていくことにした。

こいつらが信頼ならないから、というのもある。
こいつらを信じていいのか、という考えもある。
しかしなにより、とっととここから出ていきたいという感情が強くて仕方がなかった。

ここで考え込んでいても仕方がないのはわかっている。今のおれは矛盾だらけで、どうしようもないのも

わかっている。
わかっている。
わかっているんだ。
本当に…。

…自問自答せずにはいられない。
おれはそんなことを考える暇があるなら、と足を動かす。
トラファルガーとドレークがおれの後ろでおれの名を呼んでいるのが聞こえてきたが、振り返らずに先へと進んでいった。

[144 lol◆zwjg81Wprg 23/02/27(月) 16:41:44]

***

………橋を随分と歩いただろうか。ようやく橋の終わりが見えてきたのが分かる。
とても長い道のりに感じたが、早めに渡り切ることができて安堵のため息を落とす。奴らはおれを囲うようにして歩いているが、正直言って迷惑でしかない。だが、長い橋も渡り切ったことだ、多少不愉快でも我慢できる。…出口が近付いてきていることを祈るばかりだ。


「…橋を、渡り切った。」


おれは独り言を呟く。
ドレークとトラファルガーも気付いたのだろう、おれの独り言にトラファルガーが返事を返してきた。

「この先は…森か？」

一応、頷くことで返事をする。

橋を渡り切った先は霧が濃いことは変わらないものの、奥に行くにつれて木々が生い茂っていっているのがわかる。
地面は土でできている。ここに入る前に感じた土や草の匂いはここから来ていたのだろう。
そして雑木林の方は何かの気配と獣が唸る様な音が聞こえてくるのがわかる。…きっとエンティティだろう。おれはここはエンティティが住まう森だと予想した。おれのこの異常な状態がエンティティの仕業なら、こいつらを殲滅してやりたいが、やはり恐怖心が勝ってしまうためそんなことはできないとも考える。
先は霧でよく見えないが、一本道になっている為進むならこの道しかない…。
…しかし。この道は先程渡ってきた橋とは違い寒く感じる。木々の方からこの冷気が来ている様な気がするが…どうなのだろう。おれには判断ができない。
下を向いたまま考え込んでいると、ドレークの視線を感じ顔を上げる。奴はおれの様子でも確認したいのだろうか？その視線は心配している様にも、おれの事を監視でもしているかの様にも感じ…居心地の悪さに視線を逸らしてしまう。
ドレークが今どういう表情をしているかなどわからない。しかし奴は何事もなかったかの様に口を開いた。

[145 lol◆zwjg81Wprg 23/02/27(月) 17:15:31]

「奥に道が続いてるが、危険でない保証はない。先に進むが、警戒を怠るなよ。」

おれのことに関しては何一つ話さない。話すこともないということか？それともこいつなりの気遣い…なのか？疑うことをやめられる訳ではない。しかし、おれを利用しようという悪意は見られない…気がした。この勘を信じていいのか、考えている間にドレークは早々と先陣を切って進んでしまう。
その後ろをトラファルガーが続くかと思うと、先に行けと言わんばかりに顔を揺らした。どうやらおれを真ん中にいさせたいらしい。
……。
…。

おれは目を閉じて、少し考えを整理する。

おれとこの二人は本来ならば敵同士。
利害の一致で共に行動しているが、敵であるなら、おれのライフを利用しようと目論んでいてもおかしくはない。『協力と信頼が長く生きるために必要なもの』だとボブが言っていたが、所詮は海賊だ。協力も信頼もない。
…しかし。本当におれの事を利用しようとしているのであれば。
先程の心配とも捉えられる視線を送るだろうか？
おれを列の真ん中に置き安全である状態を作るだろうか？
おれの異変に気が付くだろうか？

本当は、おれを利用しようとなんて、考えていないのではないか？
全ておれの考えすぎや疑心暗鬼が生んだ被害妄想ではないか？
そういった考えが脳裏に過る。

[146 lol◆zwjg81Wprg 23/02/27(月) 17:22:43]

…信じてもいいのか？

この場所に恐れているだけでなくこいつらにも警戒するのは酷く精神力を削られるのも事実だ。…ここまでの道のりの中で疑い、警戒し、恐怖に震えているのにも疲れた。

どうするべきだ。おれはこいつらを信じていいのだろうか。

疑うことをやめてもいいのだろうか。

1.疑うことをやめる

2.…やはり、疑うべきだ

dice1d2=2 (2)

[147 二次元好きの匿名さん 23/02/27(月) 17:27:47]

うわぁ

[148 二次元好きの匿名さん 23/02/27(月) 19:04:53]

んががダイス神そこんとこ手心を
これもうホーキンス当人も心配だが二人が気を取られそうでおっかねえのよさ

[149 二次元好きの匿名さん 23/02/28(火) 03:57:33]

保守

[150 lol◆zwjg81Wprg 23/02/28(火) 11:55:24]

…油断してはいけない。
信頼してはいけない。

疑うことをやめてはいけない。

"今"奴らがその気でないとしても。"今後"利用してくる可能性もある。
協力していると見せかけて、突然裏切る可能性だってあるのだ。…おれが裏切りについて考えるなんて皮肉な事だ。元の世界でだけでも十分に苦しんでいると言うのに。…とにかく、この二人を信用しない方がいいだろう。心のどこかにあった奴らを信じてみてもいいかもしれないという考えをかなぐり捨てると、ドレークの後を続く。指示に従うのは不服だが、様子を見ておくのもいいのではないかという考えでおれは行動することにした。
トラファルガーはおれが先に進んだのを確認すると後ろをついて歩いてきている様だ。…特に、何かしようという気はない様だが、気を抜くことはできない。雨でも降ったのだろうか、少しぬかるんでいる道を黙って歩く。粘着質な土が靴にへばりつき歩き辛いが、遅れを取る訳にもいくまい。そう思いながら足を進めていると、先を歩いていたドレークが突如足を止めた。何事かと奴の先を見ると、何やら犬…の様なものがいるのがわかった。

[151 lol◆zwjg81Wprg 23/02/28(火) 14:00:07]

「…トラファルガー、ホーキンス。動くな、あれは…動物ではない。エンティティだ。」


ドレークが小声でおれとトラファルガーにそう告げる。おれは犬の様なエンティティの特徴を見るべく前のめりになると、そのエンティティをじっと見つめた。

一番にわかる特徴は黒く長い毛。それは顔全体を覆い隠すかの様に生えていて、その顔を見ることはできない。次に目に付くのは体だ。長く骨張った手足、そこには鋭く長い爪が生え揃っている。顔を覆い隠している毛は体にはひとつも無く、全体的に肌色をしているのがわかる。…犬と同じ趾行性なのだろう。その体は無理矢理に体を変化させたかの様に骨格は歪んでいるように見えた。
そしてそれは、唸り声をあげながらおれ達の方へと近付いてきている。
こいつは何というエンティティだ？おれはじりじりと後退しながら、必死にlevel4で読んだ書類の事を思い返す。確かこいつは…

[152 lol◆zwjg81Wprg 23/02/28(火) 14:02:02]

【エンティティNo.8の資料】

エンティティNo.8

[153 lol◆zwjg81Wprg 23/02/28(火) 14:20:03]

…そうだ、思い出した。

あれは確か、ハウンドと呼ばれる、放浪者をハウンドに変えてしまうウイルスを持つエンティティだ。

どうやらあのエンティティの正体に気付いているのはおれだけらしい。

しっかりと資料を見なかったのだろうか、トラファルガーはまだそれの正体に気付いていない。ドレークに関してはその書類に目を通していないため、エンティティの正体を知らないはず。

…どうする。

情報を展開するべきか？

資料にはハウンドは臆病な性格な為音を立てたり威圧することで隙を作れ、逃げる事ができると書いてあった。勿体無いが、アーモンドウォーターの入った瓶を雑木林の方に投げ込めばハウンドはそちらに気が向く筈だ。その内に逃げる事はできるだろう。

しかし、ハウンドだと気付いていない二人は対処方法を知らない筈。つまり、今ここでこの二人を見殺しにだって出来るのだ。

情報を教えればこの二人を助ける事になる。情報を教えなければ見殺しだ。

…………。

1.見殺しにする

2.情報を展開する

dice1d2=1 (1)

[154 lol◆zwjg81Wprg 23/02/28(火) 14:41:02]

…見殺しに、しよう。

おれは革鞄の中からアーモンドウォーターを探し出す。確か書類の束の下に置いたはず…書類を破らない様に動かすと、その下にアーモンドウォーターはあり、案外簡単に見つかった。
ドレークが飲んでしまってもいいと言っていたものの未だ一度も口を付けていない為、重さは十分にある。雑木林に投げ込めば音が鳴るはずだ。きっと上手く行くだろう。
そう考えながら鞄からアーモンドウォーターを取り出すと、後方へ投げるべく体を反対側へと向けた。

[155 lol◆zwjg81Wprg 23/02/28(火) 14:54:27]

………。
…本当にここで見殺しにしていいのだろうか。

思い出せ。パイプが沢山あったあのlevelを。ドレークが恐竜化して走り抜けてくれたことで助かった。
スマイラーに一度殺されたおれを診察してくれたのはトラファルガーだろう。
本当に見殺しにしていいのか？
信頼せずとも利用価値はあるのではないか？

おれは…どうするべきなんだ？
事態は一刻を争う。ここで悩んでいる暇はない。
自問自答が留まることを知らない。おれはおれ自身に問う。

[156 lol◆zwjg81Wprg 23/02/28(火) 14:55:50]

本当に　　それでいいのか？

1.…。

2.…情報を、展開する。

dice1d2=1 (1)

[157 二次元好きの匿名さん 23/02/28(火) 15:11:15]

ホーキンスダイスの神に嫌われてんのか？って位の結果だな

[158 二次元好きの匿名さん 23/02/28(火) 15:31:13]

あーあ、ハウンドの能力からしてそうしちゃったら……
下手したら、初っ端からゲームオーバーだよこれ

[159 lol◆zwjg81Wprg 23/02/28(火) 18:01:53]

……駄目だ。わからない。
わからない。何が正解なのか、おれにはわからない。
見殺しにしていいのか？情報を展開するべきなのか？おれはここから抜け出せるのか？こいつらは本当におれを裏切るつもりなのか？信じていいのか？
わからない。

振りかざしていた腕に入れていた力を抜く。手元にあったアーモンドウォーターを鞄の中へとしまうとだらりと腕を垂らし、下を向いた。
視界に映るもの全てが疑わしい。全てがおかしい。
わからない。
わからないんだ……。


「……ドレーク、あのエンティティを威圧しろ。」

おれの後ろでトラファルガーがそう言っているのが聞こえる。ドレークが何をしているのか、トラファルガーが何をしているのか、下を向いているおれには分からなかった。

[160 二次元好きの匿名さん 23/02/28(火) 19:31:46]

ローが資料を読んだか、内容を思い出したのかな？
ダイス結果は散々だったけど、とりまハウンドエンドは回避出来そう？？

[161 二次元好きの匿名さん 23/03/01(水) 07:20:49]

保守

[162 lol◆zwjg81Wprg 23/03/01(水) 11:13:00]

「いいかドレーク屋。あのエンティティはお前に怯えてる。図体がでかい事と、背を見せずに間合いを取っているのが効いてるんだろう。…威圧すれば逃げられる可能性がある。」

「…獣化だとあまりにも体力消耗が激しい。人獣形態でもいいか。」

「それでいい。威圧して逃げられんならな……この駄目になったホーキンスの腕はおれが引く。お前は前を走れ。」


トラファルガーとドレークが小声で相談しているのが聞こえてくる。
現実を受け入れたくないおれは視界には何も映したくない。下を向いたまま、話を聞くだけ。
唸るハウンドの声が聞こえる。しかしその声には怯えた感情が籠っている様にも聞こえた。ドレークが人獣化したのが効いたのか？トラファルガーがおれの手首を握ってくる。先程言っていた逃げるためだろうか？…わからない。
ハウンドの唸り声が大きくなる。それと同時に、ドレークの声が大きく響いた。



「後れを取るなよトラファルガー！」



ドレークの合図と共にトラファルガーがおれの腕を引いた。
ハウンドの唸り声が途端に甲高いものに変わり、おれ達とは逆の方へと走り去る音が聞こえてくる。トラファルガーとドレークはそいつを追い掛ける形で走っているのだろうか？おれは抵抗することもできずにただ歩調を合わせ足を淡々と動かすだけの単純な作業を繰り返し、進むにつれて地面に増えるトラファルガーとドレークの靴跡とハウンドの足跡を何となしに眺めるだけだが。

[163 lol◆zwjg81Wprg 23/03/01(水) 11:53:59]

メンタルハザード

[164 二次元好きの匿名さん 23/03/01(水) 12:08:02]

>対処方法

やろうと思えば確実にできる、特に1番目の項目は

対処法が簡単なのもそうだけど、共にbackroomsから脱出しようと頑張る『同士/仲間』がいて本当に良かった

[165 lol◆zwjg81Wprg 23/03/01(水) 14:37:26]

…極度のパニックのせいか、視界が歪んできている気がする。
木々の方から来る冷気で体が冷え、息をするのも精一杯だ。
おれは間違っているのかもしれない。間違っているのかもしれない。
頭の中はそれだけが強く残る。何を考えようとしても、間違っているかもしれないという言葉しか浮かばない。
おれは一体どうなってしまっているのだろう。どうなってしまうんだ。考えがまとまらない。

…ぐちゃぐちゃとしている土の上を走るのも嫌になってきた。
トラファルガーとドレークは変わらず走り続けている。おれもトラファルガーに続いて足を動かし続けていた。どうしようもない劣等感と疑心暗鬼、恐怖心は薄れることはない。早く終わってくれ。
…そればかり考えてしまう。そればかり考えているのが嫌だった。


______ふと、背後から気配が追ってきている事に気が付く。
二人は前に進むのに必死で気付いていないようで、気付いているおれだけの様だ。
しかもこの気配はひとつではなく、段々と数を増している気がする。

[166 lol◆zwjg81Wprg 23/03/01(水) 16:05:31]

「…トラファルガー、」

重い口が開く。この異常事態、おれの手を引くトラファルガーには伝えるべきだという判断だ。

裏切る可能性があるからではない。ただ生き延びる為に必要だろう。…名前を呼んだというのにトラファルガーからは返事はない。返事があっても聞き取れていないだけかもしれないが、おれにはわからない。背後の気配は増え続けている…あまり時間もなさそうだ、トラファルガーからの返事を待たずに続けた。

「…後ろ」

…おれの口から出るのはほんの少しの情報。

奴がなんのエンティティなのか、どういう特性をもつのかは言えなかった。

大きな声を出す気力もないためぼそぼそと話した自覚はある。

ここはきっとハウンドの住まう森だ、後ろの気配はハウンドで間違いない。それを伝えたかった。

…おれが伝えたかった事はトラファルガーに伝わっているのか…？

1.上手く伝わった様だ。

2.伝わらなかった様だ。

dice1d2=1 (1)

[167 二次元好きの匿名さん 23/03/01(水) 16:49:52]

テレグラフの後半こわいな

[168 二次元好きの匿名さん 23/03/01(水) 19:23:14]

よく口に出せたホーキンス！
よく彼の言った意味を正しく捉えてくれたロー！

[169 二次元好きの匿名さん 23/03/01(水) 19:24:37]

>>167のおかげで後半に気づけたわ、ありがとう

最初見た時、気づかなかったから

[170 二次元好きの匿名さん 23/03/02(木) 07:24:12]

ほしゅ

[171 lol◆zwjg81Wprg 23/03/02(木) 11:30:23]

前回と同様190間近になったら次スレ立てます。
レス返信できず申し訳ないです、保守と感想ありがとうございます

[172 二次元好きの匿名さん 23/03/02(木) 11:43:06]

乙です！ハラハラするなあここから好転なるかいやいやまたダイス神が気まぐれ無慈悲やらかすかもで気が気じゃないや生き残れ！

[173 lol◆zwjg81Wprg 23/03/02(木) 13:05:39]

「…？なんだホーキンス、後ろがどうし…______！！！」


トラファルガーには、おれの声が届いた様だ。
主語のないおれの言葉が気掛かりになり後ろでも振り向いたのだろう、声色に緊張が滲んでいる。おれの腕を引く手にも力が入り、走る速度も上がった。後ろにいるハウンドは大きな唸り声を上げておれ達の方へと近付いてきているのが音でわかるが、おれは未だ顔を上げられない為今がどんな状態なのかわからない。


「ドレーク屋！後ろからもエンティティが来てる、急げ！まだ森は抜けられねえのか！？」


何度かぬかるみに足を取られそうになる。死なないようにと必死に走るものの、命を無くした方がまだ楽なんじゃないかと考える程今のおれは無力感に苛まれている。


「_________前にトンネルがある！！トラファルガー！」

「わかってる！！！【ROOM】、シャンブル＿＿」



ドレークが見つけた先の道。
トラファルガーが咄嗟にシャンブルズで奥へと移動しようとした瞬間。

ドン、という鈍い音と共に、おれの腕を掴んでいた手のひらが、するりと離れていった。

[174 二次元好きの匿名さん 23/03/02(木) 13:12:18]

あっ……

[175 lol◆zwjg81Wprg 23/03/02(木) 13:24:50]

何が起きた？

突然の事に、おれは思わず顔を上げる。目の前でおれの手を引いていた筈のトラファルガーはそこにはおらず、何かを引き摺った様な痕が地面に残っているのが分かった。
何かが強くぶつかった感覚は未だ腕に痺れという形で残っている。

トラファルガーは？
トラファルガーはどこへ消えた？

おれより少し先にいるドレークが声を上げているのか、口を動かしているのがわかる。
なんだ？ドレークは何を言っている？

耳が痛む。
音が上手く拾えない。
……しかし体を動かすことはできる。
おれはドレークが向いている方向に視線を向けた。そこには＿＿＿＿

[176 lol◆zwjg81Wprg 23/03/02(木) 17:12:00]

そこには、ハウンドの姿があった。
何かに覆いかぶさっているのだろうか、それは体を揺らしながら唸っている。
そしてその傍に落ちている、土で薄汚れた白い帽子。あれはトラファルガーが被っている帽子だろうか？よく似ている様に見える。
酷い耳鳴りがする。
上手く焦点が合わない。視界がぼやけて仕方がない。
トラファルガーの安否を確認するべきだというのはわかっている。しかしおれにはなにもできない。そう思っていた。しかし＿＿＿＿



「＿＿＿！！！ぐ、ゥ、くそ…ッ！！」



…ハウンドの方からトラファルガーの声が聞こえてきた瞬間、おれの焦点は、ハウンドの下にいるトラファルガーへと集中した。

[177 lol◆zwjg81Wprg 23/03/02(木) 17:16:58]

ハウンドの下でもがいている人影は見間違いではない。トラファルガーは生きている。

ハウンドに噛まれると、噛まれた対象はハウンドになると書類には記載されていた。つまり、噛まれていたらそれで〝終わり"ということ。しかしトラファルガーは、ハウンドの口を押さえつけ逃げようと必死になっていてまだ噛まれていない様だった。

…どうする。

トラファルガーに一番近い位置にいるのはおれだ。ドレークは先に進んでいたせいで距離がある。

幸いなことにこのハウンドは他のハウンドと比べると小さく、掴んで勢いよく投げれば助ける事ができるだろう。トラファルガーは噛まれない様に抵抗するだけで精一杯の様だが、時間を置いてしまうと抵抗も虚しく噛まれて〝終わって"しまう。

おれが動けば助かる。

しかし、動いていいのか？おれは敵の為に動けるのか？

ドレークが助けるのを待つことだってできるんだ。…おれは、おれはどうするべきなんだ？

1.助ける

2.助けない

dice1d2=1 (1)

[178 二次元好きの匿名さん 23/03/02(木) 17:54:16]

ナイス！！？

[179 二次元好きの匿名さん 23/03/02(木) 17:54:31]

主さんの文めっちゃ好き

[180 二次元好きの匿名さん 23/03/02(木) 18:32:16]

やっとダイスの女神が微笑んだ！！！

[181 二次元好きの匿名さん 23/03/02(木) 21:23:38]

頑張れホーちゃん！

[182 二次元好きの匿名さん 23/03/03(金) 08:01:37]

朝保守

[183 lol◆zwjg81Wprg 23/03/03(金) 16:01:53]

どうする。
動くべきなのか。
そんな事を考えていたのも束の間だった。


ギャンギャンと鳴き叫ぶ音。
手に感じる生ぬるさと人の肌の様な感触。


気付けばおれは、ハウンドの首元を鷲掴み、トラファルガーからハウンドを引き剝がしていた。

ハウンドの下にいたトラファルガーはハウンドから解放されると体を起こしそこから離れていく。おれの手の内にいるハウンドは、拘束を解こうともがき蠢き、鋭い爪をおれに向けようと足掻いている。黒く長い不潔な髪がおれの手にかかり、真っ白に変色した瞳と目が合った。
それと目が合った一瞬、おれは何をしたのか理解できなくなる。助けてもいいものなのか考えていた筈なのに、おれの手の内にはハウンドが確かにいる。気付いたらトラファルガーを助けていた。おれの体は無意識に奴を助けてしまっていたのだろうか？一体何が起きた？おれは一体何をしたんだ？なぜこうなったのか。今、なにをしているのか。…さっきまでは、なにがしたかったのか。
わからなくなってくる。
あたまがいたくなってきた。

[184 lol◆zwjg81Wprg 23/03/03(金) 16:09:55]

「ホーキンス！！投げろ！！！」





意識が朦朧としてきた中、ドレークの大声でおれははっと我に返る。
直後、おれは後ろから来ているであろうハウンドの大群目掛け、手に持っていたハウンドを勢いよく投げつけた。投げたハウンドはおれ達の方に走り寄ってきていた多数のハウンドに見事に激突したのだろう。バキンと硬いものにぶつかる音と、大きく「ギャン」と鳴く声が聞こえたかと思うと、ガサガサと逃げていく音が聞こえ、ハウンドの気配が遠のいていった。

…辺りは静寂に包まれる。
聞こえてくるのは風が吹くことで揺れる木々の音と、ずっと遠くで聞こえてくるハウンドの鳴く声だけ。
そんな中でおれは茫然としている。
おれがしたことに、おれ自身が理解出来ていないからだ。

[185 lol◆zwjg81Wprg 23/03/03(金) 16:40:09]

茫然と立ち尽くしたまま。考え込んだまま、立ったまま。
おれは何もできなかった。
数秒か、数分か、そうしていると、無事だったトラファルガーがおれの腕を掴んでくる。視界の端でドレークとトラファルガーが何かを話し頷きあっているのが見えたが、おれには何を話しているのかも聞こえないし、反応を示すこともできない。


「………【ROOM】、シャンブルズ。」


すぐ傍でトラファルガーがそう唱えるのが聞こえる。
それが聞こえたと思うと、おれ達は奥に見えていたトンネルの前へと移動していた。

[186 lol◆zwjg81Wprg 23/03/03(金) 17:13:16]

「…どこかに出口がある筈だ。トラファルガーとホーキンスはここにいろ、おれが見てくる。」

ドレークが話す声が聞こえる。トラファルガーからの返事はないが、足音がトンネルの方へと向かっていくのが聞こえた事からドレークがトンネルの奥へと進んでいった事は確かだろう。トラファルガーをおれの元に残したのは、なにか奇行を取らない様にと監視をするためだろうと判断すると、顔をあげられなくなり、下を向き黙り込む。…そして、助けたことを後悔し始めた。

やはりドレークが動くのを待てばよかったのだと。下手に動いて反感を買っていたらどうするんだ、と。おれを利用しようと目論む敵を助けてしまったのだ、そう思うのも仕方がない筈だ。森を抜けたものの緊張と恐怖、パニックから先程よりも寒さが増している気がする。この後、おれはどうなるのだろう。どうなるんだ？頭の中はまた自問で埋まっていく。

[187 lol◆zwjg81Wprg 23/03/03(金) 17:18:38]

…沈黙が流れる。
トラファルガーは何も言わない。だが視線はおれを捉えているのだろう、背中に視線を感じている。
頭が働かなく、なってきた。


「トラファルガー。奥に扉がある、トンネルの奥は瓦礫で埋まっていて進めそうにない。行くならこの扉の奥だ。」


トンネルの奥からドレークの声が反響して聞こえてくる。トラファルガーはそれを聞いたからか、またおれの腕を掴んでトンネルの中へと進んでいく。


「行く場所がそこしかねぇなら行くしかねえだろ。…行くぞホーキンス。」


下を向いているせいでトンネルの内部はわからない。最早時間の間隔もない為どれほど歩いたのかもわからないが、トラファルガーはドレークと合流したのだろう、何かが開く鈍い音と、トラファルガーの話す声が聞こえた。
これで終わりだろうか。本当に出口なのだろうか。次はどんなlevelに行くのか。おれは助かるのか。こいつらを信じていいのか。
わからない。わからない。
何もわからない。
…わからない。
わからないことだらけのこの場所。トンネルの中だというのに聞こえてくる木々の揺れる音とハウンドの声。目を閉じると浮かんでくる大きな白骨死体。気味の悪い冷気と得体の知れない恐怖。
おれは助かるのだろうか。

おれはどうなるんだ。


そんな事が一気に脳内に溢れたまま。トラファルガーに腕を引かれながら、その扉へと入っていった。



＿＿＿＿＿＿level 840 禁断の霧 脱出

[188 二次元好きの匿名さん 23/03/03(金) 18:00:17]

治りそうだな良かった

[189 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 00:18:29]

みんな生き残れた…！！！

[190 lol◆zwjg81Wprg 23/03/04(土) 01:22:50]

スレも終わりそうなので続きは次スレで行おうと思います。次スレ明日作りますお待ちください。
小話ですが、level 840の情報、実はほとんど無くて(サイトの情報は削除されていて日本語での情報は30秒紹介のみ、海外の動画もほぼ無し)色々と捏造してます
興味あれば是非動画探してみてください

[191 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 07:52:05]

回復・生存出来ても二回も見殺しにしようとしたことが（ホーキンスの中で、あるいは感づいたらローとドレークにも）
尾を引きそうだなと思っていたので最後に助ける選択肢とれて良かったよマジで

[193 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 18:39:03]

>>192

雛見沢症候群みたいになっちゃったホーキンスにドキドキしながら見てたわ みんな無事でよかった

[194 lol◆zwjg81Wprg 23/03/04(土) 19:42:13]

【ホラー/🎲/クロス/ss/閲覧注意】部屋 其の三｜あにまん掲示板

次スレ立てました

[195 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 19:52:21]

次スレ来たわね たのしみ

[196 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 20:44:38]

埋め

[197 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 21:02:59]

恐慌状態ホーキンスこわくて好き…
スレ立て乙

[198 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 21:40:05]

埋め！

[199 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 22:42:58]

無事に脱出して欲しいけど一回くらい全滅もして欲しい
心がふたつある

[200 二次元好きの匿名さん 23/03/04(土) 22:43:22]

神の救いがあらんことを