- 1二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 21:06:22
- 2123/02/17(金) 21:06:54
- 3123/02/17(金) 21:09:55
前スレあらすじ
語り手は大体ティル・ネイス、時々4号、たまにアリヤ。
そしてどうやら宇宙世紀からアド・ステラに飛ばされてきたらしいエラン・ケレス様。
本編開始から1年くらい前の世界線
ある日突然、アリヤの占いに、昔の幼なじみの■■君がこのアスティカシア学園にいる、という卦が出た
ちょっと気になる男の子で、アリヤの髪飾りと同じタッセルのお守りをあげるほど仲が良かったらしい
しかし、現在、そのピアスをつけているのはアリヤが知っている■■君とはまったく別人のエラン・ケレスである
姿も違うし、疎開地キャンプの貧困層の男の子と、ペイル社の筆頭パイロットとはまったく境遇が違いすぎるが、幼なじみの手がかりはあるかもしれない
アリヤとティルはペイル寮に出かけ、そこで筆頭パイロットのエラン・ケレスと遭遇するが、アリヤは一目で彼が■■だと知る。
戦災孤児だった彼が、名や顔を変えても今の地位を得たのなら、むやみな介入はやめようと一度は決めた。
しかしアリヤとの接触をきっかけに、■■の記憶はだんだん蘇る。
他寮とのアリヤをかけた決闘にも勝ち、その際、スポッターを務めたティルとも友情ができた。
強化人士4号としての自分の事情に二人を巻き込みたくない■■だったが、二人は「本物」のエラン・ケレスに目を付けられる。
卓越したアリヤの占い能力は、どうやら宇宙世紀でいう「ニュータイプ」であるらしい。
それを欲しがる「本物」から逃れて、3人はペイル社のスペースランチと、開発途中のモビルスーツ、ファラクト・ベータを鹵獲して宇宙へ出る - 4123/02/17(金) 21:12:47
前スレに新スレを張り損ねて呆然中…
ど、どうしてこうなった - 5123/02/17(金) 21:28:21
とりあえず、即落ち回避に設定補遺。
■■が乗るMSは、本編一年前の実験機ファラクト・ベータなので、ダイス神の思し召しによりコラキが付いていません。
アリヤが石占いに使っていた石は、マフヴァーシュ家の先祖代々受け継がれていた石だけれど、実はパーメットの結晶だった模様。
アリヤの占いの精度の高さは、ニュータイプの精神感応力とパーメットとの相乗効果があったかと思われる。 - 6二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 21:40:21
- 7123/02/17(金) 21:41:55
即落ち回避ダイス。
3人が鹵獲したペイル社スペースランチの仕様はMS2機を格納・サポートできる程度。
格納庫部分はそれなりに充実しているけれど、バックヤードは?
1. 飲料水とパッキングされた宇宙食があるだけの簡易キッチンのみ
2. 飲み物・食べ物もちょっと充実した簡易キッチンと仮眠室付き
3. キッチンほかパントリーがそこそこ充実。仮眠室のほか、シャワールームあり
dice1d3=3 (3)
- 8二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 21:44:29
建て乙、可能な限り保守参戦
- 9123/02/17(金) 21:46:19
シャワールーム付きなら、多少は快適な逃避行ができそうか、うん。
- 10123/02/17(金) 21:50:56
- 11二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 07:21:24
保守
- 12123/02/18(土) 08:09:52
アリヤは大丈夫だろうか。
パーメット・スコアを上げた時の僕と同じ苦しみ方をしていて血の気が引いたけど、意識はしっかりしていて、ティルの手を引き、ティルに看病されることを望んだ。
僕は二人の代わりにスペースランチの操縦席に座って、プラント・クエタを目指しているけれど、星が満ちる宇宙空間を眺めながら、正直、休憩室の二人が気になって気になって仕方がない。
ティルは、アリヤが落ち着いたらすぐに戻ると言ったけれど、一向に戻ってくる気配がない。
アリヤの身体に何か異常があるのか、それとも、二人で……いや、こんなことを考えるのは下衆の勘繰りだ。
もやもやする頭を振って、なんだか笑えて来た。
データ流入実験の、身体をいたぶられる苦しみ以外のことで頭を悩ませて苦しめるなんて、なんだか、幸せだ。
とても、幸せだ……
アリヤの声を聞くごとに、アリヤの紅茶を飲むごとに、僕の脳髄に漆喰のようにへばりついたパーメットの粒子が剥がれて、流れて、霧が晴れていくような感覚がある。
アリヤの声で、僕の本当の名前を呼ばれる時に、地球の青空が見える。
懐かしい景色、茶園の農場、以前はもっとたくさんの山羊や水牛を飼っていたという広大な農地跡。そこに押し込められた大勢の戦災難民、僕と、僕の母さんはその一人だった。
記憶を思い出すのは楽しいことばかりではない。 - 13123/02/18(土) 08:12:41
雨風をやっとしのげる程度の暗いバラック小屋と、今日も満足な食料は手に入れられなかったと俯いてる母さんと……
時々、翼を広げた鷲のロゴが入ったカップで食糧が配給されることがあった。
今、思い出してみると、あの配給食糧のスープから強化人士の選別は始まっていたらしい。
他にも同じ配給食糧をもらっていた子供たちは大勢いたけど、食べた後で頭痛がするとか体がだるいとか、言い出さない子供は僕一人だった。
生来のパーメット耐性を試されていたんだろう。
でも、疎開地の食べ物が質の良くないことも、病気が流行るのも珍しくはなかったし、そもそも、万全な体調の子供自体が珍しかった。
カップと同じ、翼を広げた鷲のロゴのカーゴ・トラックがゲームセンター仕様に改造されて慰問に来て、子供たちを招いてシューティング・ゲームで遊ばせてくれたのは、パイロット適性の選別だったと、今ならわかる。
子供たち全員の中で最高点を叩き出した時の高揚感、単騎戦術を自分一人で練ってやり遂げた時の達成感、あの嬉しさを、今、こんなに苦々しい気持ちで思い出す、その二律背反で、また頭がかき乱される。
薄暗いゲーム機の陰で、笑いながら僕を見ていたあの顔は、今の僕の顔、「本物」のエラン・ケレスだったんだろう。
……いいとも、あんたがくれたものを返してやるよ。
ペイル・テクノロジーズで磨かれた僕のパイロットの腕は、一流だよ。
アリヤ、ティル。君たち二人を安全な場所に確保するまでは、僕が戦う。
スペースランチの探査レーダーが前方に複数の移動体があることを捉えた。同社製のサインがあるからすぐわかる。
僕は船内コールでティルに呼びかけて
「ティル、ザウォート小隊がこっちに向かってきているようだ。操縦室に戻れる?」
だが、返事は休憩室からではなく、MS格納庫からのコールで、しかもアリヤの声で返ってきて
「すまない、■■、あと少しだけ操縦室を任せていいかな? こちらも準備してるんだ」
アリヤ、元気そうなのは安心したけど……いったい、何を? - 14123/02/18(土) 08:14:47
勝手に引用させてもらってしまっていいのかな?
ファラクト・ベータはこんな感じ…というのをプラモで構想してる方がいらっしゃった
ファラクト組んだ人来て|あにまん掲示板ザウォートとバックパックをニコイチしたいんだけどさあのデカいブースター?はザウォートのやつと穴の規格は同じかな?bbs.animanch.com - 15二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 08:49:42
引用元スレ貼ればOK
改造ファラクトかっこいいやつばっかで凄いよな - 16二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 13:15:46
- 17二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 15:04:43
- 18二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 15:05:46
- 19二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 15:06:35
- 20二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 15:48:15
- 21123/02/18(土) 18:58:06
うわあああ!
ありがとうございます、ありがとうございます!!!
まさかプラモ方面の方がss見ててくださってるとは思わず失礼しました
しかも色違いまで、すげぇぇぇです!
SS書きながら語彙消失しちゃいかんと思うのですが、ありがたい、すげえ以外の言葉が出てきません
作中、いっぱい活躍させようと思います
- 22123/02/18(土) 19:13:44
- 23二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 23:54:02
めちゃくちゃカッコいい…言い値で買う
- 24123/02/19(日) 01:41:55
疑問に思う間はそれほどでもなかった。
コールから程なく、ティルがやってきたが、なぜかいつも高く括り上げられている髪がほどかれている。
彼はくいっと親指で格納庫の方を示し
「交代する、■■。アリヤが待ってる」
「わかった。でも、準備って、何を?」
ティルは口を開きかけ、しかし、迷うようにまた閉じ、眉根を下げて
「…………アリヤじゃないと、説明できないと思う」
「……そうか」
訳は分からないが、今はザウォート小隊が目前だ。交代の印にティルの肩を軽く叩けば彼も同じようにこちらを叩き返し、お互い、その反動で低重力の宙を進む。
すれ違い際に、いつも髪を括っている紐がネックレスのように首に巻かれ、その端にどこかで見たような気がする玉石が括りつけられているのがちらりと見えた。 - 25123/02/19(日) 01:45:18
格納庫の中へ入ると、そこには鹵獲してきたファラクト・ベータ。
二人が出撃準備を整えてくれたか、射出レーンの上にスタンバイしている、薄いグレーの機体。要所要所がオレンジの塗装のままの試作機だが、現時点でペイル・テクノロジーズの最新機だ。
そこまではわかったが、わからないのはその後ろ、ファラクト・ベータが発出されたら続いて出ると言わんばかりに並べられた3艇の宇宙救命ボートと、2枚の予備装甲だ。
Vの字の翼の形に並んで、その真ん中にアリヤがゆったりと座って、穏やかに微笑んでいる。
そしていつも二つに分けて緩やかに結われている彼女の髪が片方ほどかれ、タッセルの髪飾りが無い。
さっき、ティルの首にかかっていたのがその片方の房飾りに使われていた玉石かと思い当たる。
「……アリヤ、これは?」
「相手はペイル社のザウォート小隊、16機の構成だな。いくら■■が優秀なパイロットでも1機で戦うのに限度はあると思うぞ」
アリヤは、船内コールでは伝えていなかったはずの敵の数を正確に口にした。
僕が驚いたのがわかったのか、微笑みが少し困ったような笑みになって
「私たちにも、君を守らせてほしいんだ。どれほどのことができるかわからないけれど、やってみる価値はある。
なあ、■■。それをずっと、ずっとずっと持っていてくれたんだな。今、そのおかげで一つ助かる。片方、戻してくれないか」
僕の耳元、昔、アリヤ自身がくれたタッセルピアスを指さした。 - 26123/02/19(日) 01:45:40
「何をする気?」
片耳のピアスを外して手渡すと、アリヤは嬉しそうにそれを両手で受け取ってタッセルをかき分け、房をくくって留めている部分を露わにした。
「やっぱり、残っていた。この結び目の玉止めのところに小さい石を使っているのがわかる? パーメットの結晶だよ」
「……!」
思わず、もう片方の耳に残したピアスに触れれば、結び目の中心に、確かに芯になっているらしい硬いものがあるのが分かる。
「推進剤にいれて使ったりするから消耗品だと思っていたけど、結晶体になっているなら違う使い方ができるようだよ。これ……わかるかな?」
アリヤが、掌の上のピアスの片方をじっと見つめた。瞬間、僕の全神経がふわりと大きく膨らんだ気がした。
その感覚は、パーメットのデータ流入実験の時のような、ぞわりとする感覚と似ているようで、でも全然違う、さわさわと風が全身を吹き抜けていくような。
無理やり許容外のものを押し付けられるのではなく、僕自身の許容値をすんなり大きく広げてくれる感覚で、アリヤの感知能力が僕に共有されているのだとわかった。
このスペースランチの進行方向、まだ小さいが、攻撃性の意志が正面にあるのもわかる。全部で16。そういうことか。
「アリヤ……君、凄すぎないか? つまり、互いにパーメットの結晶を持ち合う全員の意識を君が繋いでくれて、それで僕は防御を君たちに任せられる?」
言葉で説明されずとも、瞬時に意識で理解した。アリヤはにこにこと、
「そういうことだな。ああ、礼は本物のエラン・ケレスさんに言ってくれるかな。
ニュータイプとやらの思念に、こんな使い方があるというのを教えてくれたのはあの人なので。なるほど、私が欲しがられるわけだなあ」
うん、そうだね。でも、同じ意識を共有してるんだよ、アリヤ。
君がそうやって笑いながら、ぶっつけ本番で戦況司令の要にならざるを得ない状況に不安がっているのも、僕にはわかった。
僕こそ、君を守って見せる。 - 27二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 02:23:23
幼馴染がくれたお守り的なアクセサリーがキーアイテムなのめっちゃ少年漫画じゃん…ときめくわぁ
- 28二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 10:25:06
パーメットって本当なんなんだろうな(今更感)
- 29123/02/19(日) 16:21:39
このss内限定の設定ですが、パーメットってラピュタの飛行石的な性質に近い感じ…と思っていただければありがたいです。
ラピュタの飛行石って空気に触れるだけでただの石になってしまうのに、抽出して結晶化すると生体及びキーワードを認識してあらゆる権能を持ち主に与え、飛行能力を有する石になる。
パーメットも結晶化することで野放図な情報共有(データストーム)ではなく持ち主の意図した方向で足並みをそろえる、拡散せず蓄積する…ような。
マフヴァーシュ家の祖先がどこからそれを手に入れたかはまた謎。
>>19のグレー×オレンジがいかにも試作機だけどスマートなので、もう作中でグレーって書いちゃったけど、せっかく3色あったんだから設定つけてダイスすればよかった…
ファラクトβ・グレイは
1. ビームサーベルが本編のロールアウト版と同じように使える。
2. ビームサーベルは使えるけど、本編ほどの出力はない。5割そこそこ。
3. ビームサーベルなんて(試作機には)飾りです。代わりにつま先のビーム射出が強力だよ。
dice1d3=1 (1)
ダイス神のお気に召さなかった他2項の選択肢が、それぞれブラックとアクアに振り分けられているということで一つ。
- 30二次元好きの匿名さん23/02/19(日) 22:57:57
ファラクト亜種カタログが欲しい…
- 31123/02/20(月) 01:17:26
「コロニー指定座標を当該支援機相対座標に切り替え、補正完了」
「了解、起点設定ゼロ確認、問題なし」
「バイオインフォ識別完了、全操作権限をパイロットに移譲する」
「了解。ファラクトβ・グレイ、出る!」
■■の操縦するモビルスーツがハッチから射出されるのをモニターから見届けた。
俺は管制モードに切り替えたスペースランチの操縦席に座り、その後ろの床にはアリヤが直にぺたんと膝を両側に曲げて座っている。
本当は胡坐を組みたいらしいが、宇宙空間で必須のノーマルスーツを来ている状態ではなかなか難しい。
彼女は自分の前に占い盤を置き、五つの石をV字の翼型になるように並べ、目はファラクトβの射出先が映されているモニターを見ている。
けれど、もう視認よりも敵探査レーダーよりも、彼女の感知能力のほうが速い。
占い盤は占いに使うわけではなくて、彼女の意識の地図のようなものらしく、時々、石を振り投げるような形に手が動いたりしているが、彼女の手には、タッセルピアスの片方と、今は俺の首にかけられている髪飾りの片割れが握られたまま、投げられることはない。
「……ティル、来た」
「うん」
声をかけあうより早く、敵の動きをアリヤの意識で共有された俺の手もコンソール上で動く。
前方16機のザウォート小隊が散開して、俺たちを360度の全天位から包括攻撃しようと動いてくるのがわかる。
俺たちの背後に回り込まなければならない2機が目標とするだろう座標と時間を割り出して
「2機で来る、まずは180秒後だ、座標XYマイナス12、Z90」
「180秒後了解、待機する」
座標データをモビルスーツの操縦席に送れば、ファラクトβが、背後の今は何もないただの虚空に向けて長距離狙撃用のビームライフルを構える。
アリヤの意識が■■の照準と同調して、ビームの射出速度と敵機の移動速度の差異から角度の微調整がなされた。
「150秒後に、続けて三つ、座標XYマイナス15固定、Z72、96、114、各2機ずつ」
「150秒後了解、座標3点了解」
「次、敵の展開増加、120秒後に各1機で5座標になる。行けるか?」
「管制に待機願う、先行分を片づける!」
パーメットの流入に悩まされずファラクトβを駆れる■■の声は弾んで聞こえる。 - 32123/02/20(月) 01:19:01
まずは2発、ビームライフル発射。
閃光が暗い宇宙をまっすぐ予測地点へ走ってゆく。
俺たちの背後を取ろうと迂回して飛んでいたザウォート2機は、ポジショニングの瞬間、このビームライフルの餌食になるだろう。
同じように、背後狙いの散開部隊がそれぞれポジショニングするだろう位置へ、予測されたビームが6発、次々と叩き込まれていった。
少しずつ、ビームライフルの発射の間隔が短くなっていって、
「管制、次を」
「了解、座標XYプラス17で固定、Z18、42、76、次、XY24固定、Z102、136」
音声の通信とほとんど同時に、5発のビームが丁寧な角度調整と共に発射される。
最後の一発が発射された瞬間、俺たちを取り巻く輪のような形で、花火にも似た光が一斉に光った。13機の同時被弾だ。
「予測通りの撃破だ。正面の残り3機は僕ひとりで行ける。待機だけ頼む」
「了解」
■■の音声に呼応するように、すーっと意識を共有していく感覚が消えていく。
振り返ると、アリヤがそれまでずっと握りしめていたピアスと、髪飾りとを静かに占い盤の上に置いたところだった。
「ありがとう、ティル。こんなこと初めてで、本当に上手くいくかどうか、わからなくて怖かったんだ……なんだか、今は上手くいきすぎて逆に怖いよ」
疲れた顔で俺に笑って見せる。
まだ敵は3機も残っていて、それに一人で対峙する■■と同調を切るのは早い。
でも、アリヤは自分の惧れを俺たちに同調させないために意識の共有をやめたんだとわかった。
「なあ、ティル、敵にしてみれば、亡霊にやられたようなものだろうな。
何もないところから、突然、ビーム弾が現れて撃たれるなんて」
「戦闘不能になっただけだ、大丈夫」
「……うん」
アリヤの惧れが当たっていないことを祈るような気持ちで、俺はそっとその背をなでた。 - 33二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 11:56:09
アリヤ凄い……
この能力が知れ渡ったらあらゆる勢力に狙われてしまう - 34123/02/20(月) 21:00:21
アリヤごめんよー、だいぶ無理させてしまった…
しばらく4号君にがんばってもらいますが、一応相手はプロ3機なので、
1. 通常のパーメットスコア1で余裕で勝てる
2. さすがに2まで上げないとあかんかった
3. モブ機かと思ったら様子が違う。スコア3まで上げないと無理っぽい?
dice1d3=2 (2)
- 35二次元好きの匿名さん23/02/20(月) 23:06:29
俺嫌だよ…刻の涙を見るアリヤ先輩を見るのは…
- 36123/02/21(火) 07:07:49
ハピエンなのだけは約束します
いちばんの敵は年度末のお仕事嵐っす… - 37二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 14:03:56
約束された勝利の祝福結末
- 38二次元好きの匿名さん23/02/21(火) 22:27:43
お疲れ様です
いつものんびり待機保守して待ってます - 39123/02/21(火) 23:20:05
パイロットの僕が要求するのを待ち構えていたようにアリヤとの同調が消えた。
身体の内側から風が吹き広がって、広大な空を見渡していたかのような視界の広さが急速にしぼむ。
アリヤはぎりぎりまであの感覚に耐えていたんだ。
敵機の操縦者が向けてくる攻撃性の意思に対抗するのは容易い、立ち向かわなければ此方がやられるだけだ。
だけど、怯え竦んでいる相手には、それは。
宇宙の真ん中で亡霊にでも会ったかのように、何もないところで撃破される死の恐怖をアリヤは感知し続けた。
更に、僚機がわけのわからない方法で撃破された、その動揺で恐怖する精神を目標にして攻撃方向を定めるなんて、アリヤはそんなことができる人じゃない。
いいよ。ここからは僕の仕事だ。
僕はビームライフルを構えなおして前方に照準を合わせなおす。
けど、敵も一気に13機を失って作戦をを変えてる、こちらから遠ざかっているけど撤退じゃない、いったん引いて、ランダムに隊列を変えながら徐々にこちらに向かってくる。
言いたくないが、さすがペイル・テクノロジーズの機動力、ザウォート3機は一気に迫ってくるかと思えばがくっとスピードを落とし、反転し、急激に角度を変えまたスピードを上げて、こちらに狙いをつけさせてくれない。
更に、こちらのライフルの射程がブレてるのを読まれてチャンスと見られたか、3機から同時に追尾弾を撃ち込まれた。
けれど、ファラクトβは、僕の命を喰う機体はもっと速いよ。
「……パーメットスコア2」
僕の脳内をかき回してゆくデータ流入量は感じるけれど、なんだろうな、二人を守れるっていう高揚感みたいなものがその不快さを散らしていく。
まだだ、まだ、今動けば追尾弾は僕の背後にいるスペースランチを標的と認識してしまう。
認識域のギリギリまで引き付けてから急上昇して追尾弾を釣り上げた。
完全にスペースランチが追尾弾の射程から外れるまで速度で引っ張って、続けざまにファラクトβの背中を思いっきり反らして360度の反転、ランチの下をくぐって再上昇すれば、この追尾弾を打ち出したザウォートの死角だ。
GUNDフォーマットは機体の操縦性に柔軟さと繊細さをかけ合わせて、機動性を高めていく。
3機のザウォートが隊を組むちょうどその真ん中、針の穴に糸を通すように、僕はファラクトβを駆け抜けた。
追尾弾は、自身を発射したザウォートに着弾、機体は散った。 - 40123/02/21(火) 23:24:26
「……お見事、■■」
ティルからの通信が入る。
カメラもオンになっていて何か連絡したいようだけれど、何か戸惑った沈黙が少しあって、
「■■、君の顔のそれは、血ではないよな?」
「ああ、これ。パーメットのデータ流入の跡だよ」
赤く光る痣の、実物を見るのは初めてだろうね。
僕はいつもの通り無表情で答えたつもりだけど、彼らに心配させてはいけないと思うと妙に芝居がかってしまう気がする。
「それより、何かあった?」
「いったん戻って、機体整備させてくれ。
ペイルから第二陣の追手が来る。
それが、アリヤによると、『本物』のエラン・ケレス本人だっていうんだ」
エラン様は、
1. アリヤとの精神接触のみ
2. ザウォート大隊を率いて指揮官として出てくる
3. 自分がパイロットとしてザウォートに乗ってくる
dice1d3=2 (2)
- 41123/02/21(火) 23:26:11
ええ……エラン様はニートでいてほしかったw
- 42二次元好きの匿名さん23/02/22(水) 00:12:26
ニュータイプ対決か
- 43二次元好きの匿名さん23/02/22(水) 03:28:18
エラン様が有能に見える…だと…!?
- 44123/02/22(水) 12:31:15
エラン様が率いてくるのは
1. ペイル社私設軍隊の精鋭(でもこの場合、バトル的には日和ます。収集つかなくなるw)
2. ジェターク社顔負けのAI搭載機
3. 美少女パイロット軍団
dice1d3=3 (3)
書き手の愚痴ですが、戦闘シーンってアニメにすると多分2分くらいのもんだろうに、書くのは負荷100倍ですな…
いや4号君もとい■■君の活躍シーンはいっぱい書きたいですけども!
- 45123/02/22(水) 12:33:04
美少女に囲まれるエラン様は新鮮だなあ!
- 46二次元好きの匿名さん23/02/22(水) 19:30:38
エラン様ハーレム部隊だと!?いいぞもっとやれ!!
- 47二次元好きの匿名さん23/02/22(水) 23:48:09
美少女水着ハーレム部隊だってぇ!?(水着とは言ってない)
- 48二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 08:07:37
エラン様ガールズとか何それめっちゃ見たい
- 49123/02/23(木) 11:34:37
スペースランチ内格納庫で、俺と■■の二人でファラクトβの機体メンテナンス作業に入った。
アリヤにランチの操縦を任せて、プラント・クエタを目指す航路は変わりない。
疲れてるのに悪い、と言ったらなんだか脱力した顔で
「頭を使わない作業がしたい……」と言われた。
確かにそうだろうし、一度は追撃を警戒したものの、なんだか膠着状態らしい。
ニュータイプがノーマルな人間に対するなら圧倒的優位が取れるが、ニュータイプ同士だと思考の読みあい、裏の取り合いになり、結果として動けなくなるようだ。
「それに、実験台にはされるかもしれないけど、少なくとも今すぐ命を取られはしない。あっちも私が……私たちが欲しいんだからな」
いくら戦局を圧倒できるとか言っても、MSの操縦者やサポートに全幅の信頼を置いて自意識を預けて統合する、というチームをゼロから作るのは、時間も、それ以外の手もかかりすぎるだろうことは想像に難くない。
最初からまとまってる俺たちが欲しいらしい。
ということで、こっちはファラクトβのメンテに入った。
■■と一緒に…と思ったが、こっちもこっちで疲れているし、なんだか普通の疲れ方じゃない。
さっき、モニター越しに顔を見た時にも驚いたが、パイロットスーツのヘルメットを取ると、顔の赤痣が、嫌な感じで鮮やかだ。 - 50123/02/23(木) 11:35:22
俺の目線に気づいた■■が薄く笑って、
「ガンダムに乗るって、こういうことだよ。操縦者の命や記憶や、あらゆるものを喰らってこいつは動くんだ」
「エラン・ケレスって、ペイル社パイロットの自分の代わりに君をガンダムに乗せて、パーメットの害を受けさせていたってこと?」
■■は頷きかけて、我に返ったようにその顔を上げた。
「多分、そうだと……そういうことではあると思うんだけど。
僕が疎開地から攫われたのは、多分、10歳になる前くらい。
その頃、初めて『本物』に会って、それから……ずっとあの姿が変わらない、10代後半くらいの姿で『本物』は居るんだ」
■■は自分の顔に両手をあてがい、その与えられた顔を引きむしりそうにパイロットグローブの指を立てて
「僕は、なんでこの顔になることを承知したんだった? 肝心なところが、思い出せない……ッ」
「もういい。いいから、■■は休めよ。仮眠室もシャワー室もある」
俺は半分強引に■■の肩を掴んで格納庫からバックヤードに彼を押し出した。
一人で、改めてファラクトβの前に立ち、その機体を見上げてみる。
4本のブレードアンテナ、機体の要所にあるシェルユニット。
人間の感覚を機械に拡張するシステムとしての、ガンダム……エラン・ケレスって何者なんだろう? - 51123/02/23(木) 11:56:51
「やあ、アリヤ・マフヴァーシュ嬢。君ひとりかい?
「不躾だな、君は。通信回線を開きたいなら、普通にコールサインを飛ばせばいいじゃないか」
スペースランチ操縦席に、半分くらい放心状態で座っていたところに、突然、エラン・ケレスからの映像通信が入ってきたけど、私はあまり驚かない。
ニュータイプ同士だけど、多分、「本物」は何らかのパーメットの加工品を介さないと、このアド・ステラ宇宙ではその能力を発揮できないらしい。
おまけに、それを使われると私の頭痛が甚だしくてまともな話し合いはできないからな。
だいたい、このスペースランチ自体がペイル社の船なんだから、回線コントロールは本社の手の内だろう。
「この宙域、そろそろプラント・クエタが近いからな。ドミニコス隊あたりに嗅ぎつけられたらたまらないからね、シークレットモードにしておこうかと」
「秘密の会談か。なんのお話かな?」
もう、エラン・ケレスが何を言ってきても驚かない、と、思っていたけど、カメラが引いてモニターに映し出された次の光景には驚いた。
椅子の上で高々と足を組み、自分の腕を後頭部に回して枕にしている格好のエラン・ケレスの後ろに、水着姿の可愛い女の子たちがずらりと並んでる。4人いる。
宇宙空間で水着?というのに一瞬驚いたのだけれど、よく見るとプチハイネックにラグランスリーブ半袖、ショーツ一体型のパイロットのインナースーツだった。
でも、ウエストだとかデコルテラインを肌色メッシュにするのはどうかと思う。
他の部分がパステルカラーとかおしゃれなボタニカル柄とかいうのも錯覚のもとだ。
「君には、彼女たちを紹介しておきたいなと思ってさ」
「それより、その彼女たちのインナースーツの販売元を紹介してくれないかな。可愛くて良いなー」
警告色を採用していないインナースーツは宇宙空間ではなかなかリスキーではあるが。
「ネボラ」
彼の言葉に、女の子たちの一人が進み出た。
……ネボラ? どこかで聞いた名前だぞ? - 52123/02/23(木) 11:57:52
「初めまして、アリヤ・マフヴァーシュさん。このスーツは私が開発したの。可愛いと言っていただいて嬉しいわ。でもね、これ、インナースーツではなくてこのままMS操縦ができるパイロットスーツなのよ」
広い額に、くりっと大きな目がとっても可愛い、私たちと同年代、と思われる女の子が挨拶した。
「ゴルネリ」
次に呼ばれた女の子はすらっと背が高くて、顎がちょっとしゃくれ気味なのがコケティッシュで魅力的な子だ……でも、その名前は。
「ネボラのスーツは可愛いんだけどね、これで操縦できるモビルスーツはやっぱりまだ限られているから、それを開発するのは私なの」
モビルスーツって、個人で開発できるものじゃないですよね?
「カル」
小柄で丸顔で、思わずその頬をぷにぷにいじめたいようなキュート系の女の子が進み出て
「統合プログラムのエンジニアは私。実際にパイロットもやってみた方が、より良いプログラムも組めるってものよねー」
「最後に、ニューゲン」
ああ、やっぱり。
ニュータイプでなくたって、今の私の心境は誰にだって手に取るようにわかるだろう。
シュッとした感じの正統派美女がにっこりと
「アド・ステラ宇宙でこれだけの経済基盤を作るの、大変だったのよー。
今のペイル・テクノロジーズのCEOは、私たちのクローン体なの。ちゃんと歳を取れる身体と籍を持ってないと、正体不明で資金援助の信用が取れないんだもん」
ああ、そうですか……そうですか。
「と、とりあえず、こっちも仲間を呼んでいいかな?」
エラン・ケレスと4人の美少女の微笑みに囲まれて、ティルが駆けつけてくれるのが待ち遠しすぎる、長い、長い時間だった…… - 53123/02/23(木) 12:06:04
ついでなので美少女たちに水着(っぽいパイスー)着せてみました。
確かリアルでも普段は柔らかくて衝撃時だけ瞬間的に剛性を持つ素材があったはず…と、書いた後に調べてみたら逆で、普段は硬くて衝撃時だけ柔らかくなる床素材だった。まあいいや
デザイン的には、みんなそれぞれどんなのが似合いますかね。
ニューゲンが大人っぽいおしゃれボタニカル柄、カルが可愛い系パステルカラー、までは考えた。 - 54二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 12:23:18
美少女4BBAの衝撃に宇宙猫になっちゃう…
やべぇ…スレ主天才か…? - 55二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 21:47:29
だめだどうしても老4BBAの水着で脳内再生してしまう!!
- 56123/02/24(金) 02:15:49
決してイコールではなく、受ける印象の近似値として
美少女ニューゲン→サビーナ(黒地に暗緑色のボタニカル水着)
美少女カル→レネ(ベビーピンクにひよこ色水着)
美少女ネボラ→メイジー(青グラデーションストライプ)
美少女ゴルネリ→イリーシャ(上が白レース、下が黒ハーフスパッツのセパレート)
が近いかなーと思ってます
本文はまた明日更新しますー - 57二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 10:37:07
乙!毎回ワクワクが止まらん展開で楽しい、待機してる
- 58123/02/24(金) 21:25:40
感想嬉しいです!
少年少女の冒険活劇に全振りしてよかった…
ちょっと先の展開だけど、保守代わりにエラン様の指揮官またはパイロット能力値ダイス振っておこう
もちろん100に近いほど有能
dice1d100=10 (10)
スレ主に有能指揮官描写が書けるかどうかは、えー……大目に見てくださいw
- 59123/02/24(金) 21:26:27
やっぱり寝顔がへちょい人は指揮能力もへちょかった草
- 60二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 22:48:33
情報を多く集めることとそれをうまく使えることは別だからね仕方ないね
- 61二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 22:55:46
ゼロが一つ足りないですよエラン様
- 62123/02/24(金) 23:23:02
美少女カルテット及び、エラン・ケレスさんのお話要約
私たちがこのアド・ステラ宇宙に飛ばされてきたのは120年くらい前よ。
元いた宇宙もこことよく似て、人類が宇宙に進出して、モビルスーツでたくさん戦争をしていたわ。
そのうち、宇宙に進出した人類の中から、ニュータイプという、精神感応力・思念波がとても強力な人類の進化形が少しずつ現れて、この能力も戦争に役立てるべく、たくさん研究が行われたの。
でも、自然発生するニュータイプでなおかつパイロット能力も高い…なんていう人材を見つけるのは大変でしょう?
最初から人工的に能力を進化させて育てる研究所もできて、私たち、みんなそこで一緒に育ったのよ。
でも、ある時、研究所の実験施設が原因不明の大事故を起こしてね、その時の衝撃で、私たちみんな、こちらの宇宙に飛ばされちゃったの。
そこからほんっとに大変だったわ……まず、その日食べるものから困ったもの。
こっちの宇宙じゃニュータイプの能力が消えてしまったみたいで、ほんとにどうしようかと思ったわ。
でも幸い、パイロット技能はここでも通じたから雇われパイロットでしばらくその日暮らしでなんとかやっていたの。
そのうち、エランだけがニュータイプの力をかろうじて少しだけ使えるとか、どうやらアド・ステラ宇宙ではパーメットという鉱物が、人間のニュータイプの代わりに存在してるんじゃないかとか、いろんなことがわかってきたのよね。
でも、その頃、私たちはこの宇宙では歳を取らない……というか、身体の時間が飛ばされてきた時のまま動いてない、ということもわかってきたの。
16、7歳くらいのまま10年も20年も見た目が変わらなすぎると、周りからは化け物扱いになるわ。
アド・ステラ宇宙で新しくできたお友達もいたんだけど、自分が20代、30代と年を取ってくのに私たちはどう見ても10代なんだもの。
もう、もとの宇宙に帰りたくて帰りたくてたまらなくって、皆で泣いたわ…… - 63123/02/24(金) 23:57:53
とにかく、元の宇宙の研究所で、ニュータイプの力を人工的に爆発させたのがアド・ステラ宇宙との、次元転移のきっかけなのだけは解っていたから、ここでパーメットの力で同じようなことをしたらどうなるかなって思ったのよ。
次元の扉が開きそうじゃない?
だから、そういう研究ができそうな会社を作って、人前に出せる義体としてクローンを作って……この宇宙で出来たクローンなら、ちゃんと普通に人間らしく歳を取るのが分かってほっとしたわ。
ああ、今のペイル・テクノロジーズのCEO4人はクローン体の3代めよ。
私たちの孫のようなものね。
エラン?
エランはどういうわけか、クローンを作っても作っても培養胚のまま、死んじゃうのよね。
これは、エランがちょっとだけはニュータイプの力が使えることと、きっと関係あると思うのだけど、エランの培養胚はパーメットの力に反発するの。
ニュータイプの精神感知と、とパーメットの情報共有値は似て非なるもの、同族嫌悪というか、似ているからこそ反発するというか……
ねえ、この培養胚を、アド・ステラ宇宙の人間に投与すると、どうなると思う?
そこまで話を聞いたところで、私は隣のティルと顔を見合わせ、少し後ろで同じように話を聞いていた■■を振り返った。
振り返るのが怖かったけど、■■のことを見ずにいられなくて、振り返った。
■■は自分の顔に両手を当てて、がくりと頭を垂れた。
私は思わず駆け寄って、彼の肩を抱き寄せる。
上背の伸びた、青年に近い男性の肩なのに、なんだか私の腕の中で華奢に震えて、昔のままの、小さい男の子みたいだ。
ティルが、私たちの代わりに、
「データストームを受けると死んでしまうアド・ステラの人間に、パーメット耐性を与えるのに使えるというわけか。
いや、耐性というのともまた違う、反発して受け流すだけだから、結局、彼の身体は徐々に蝕まれることに変わりはないし、それに、顔……」
「そう、どういうわけか、俺の顔になるんだな。面白いもんだなあ」
……もう、絶対、許さない。
「だからさ、アリヤ・マフヴァーシュ。
このアド・ステラ宇宙で、パーメットと並列してニュータイプ能力を使える君の力なら、俺たちは元の宇宙に帰れるかなって思ってるんだよね。
君ひとり、来てくれさえすれば男二人には手出ししないし、アスティカシア学園内でも、卒業した後も優遇してあげられるけど?」 - 64123/02/24(金) 23:59:11
うーんエラン様の悪役セリフが能力値10のおかげで全然決まらない。
ダイス神は残酷だなあ… - 65二次元好きの匿名さん23/02/25(土) 08:24:52
空気の読めるダイス神
- 66二次元好きの匿名さん23/02/25(土) 14:26:12
無能でないんだよな無能では…
- 67二次元好きの匿名さん23/02/25(土) 22:56:25
お労しや…エラン様…
- 68123/02/26(日) 01:33:18
「もし、私がうんと言ったら……■■の顔は、元の■■の顔に戻るのか?」
「そうだね、戻せるよ」
「戻った後の処遇は?」
「お好きなように。こちらとしては、ペイル・テクノロジーズの特待生としてあらゆる優遇を与える用意があるけど、君たちが地球寮でみんな仲良く目立たず小市民的な平穏を望むならそれもいい」
私は、背中でエラン・ケレスの言葉を聞きながら、■■の肩をなでているのか自分の支えの杖みたいに掴んでいるのかよくわからなくなってきた。
ペイル・テクノロジーズの5人には腹が据えかねるが、戦力差は大きくて、私たち全員のこれからの未来も、全部彼らに握られているんじゃないか。
私一人が、うんと言いさえすれば。
けれど、■■は私の気持ちがわかったみたいで、私の手の上に自分の手を置いて首を横に振って
「アリヤ、それはだめだ……君を犠牲にして僕たちが本当に平穏な生活を遅れると思う?」 - 69123/02/26(日) 01:34:19
「■■の言うとおりだ、アリヤ」
どん、とコンソールを拳で叩いた音と一緒にティルが立ち上がって、5人が映っているモニターを冷静な……すごく、冷静すぎて冷たく見えるような顔でじっと見据えて
「信用できかねるよ。
クローンの培養胚を人体に投与したということは、飲み薬や注射で与えたわけじゃないだろう。
遺伝子レベルの操作になるならその先は不可分、不可逆な処置を施したとしか考えられない。
アリヤにうんと言わせたいなら、そこまでの技術をあなたたちが持っている証左を示して欲しい」
明らかに、モニターの向こうの5人の表情が変わったのが分かった。
曲がりなりにもフレンドリーな笑顔だったものが、まずったなあ、というような苦笑いになっている。
ティルは続けて、
「それに、あなたたちの目的は元の宇宙に帰ることだというけれど、本当にそうなのか?
確かに、この宇宙での不自由もあるだろうけど、すでに120年もの時をここで過ごし、馴染み、ベネリットグループ御三家の一角に上げられるほどの経済基盤も作り上げ、事実上の不老不死を得て、そういうものは簡単に捨てられるものなのか?
元の宇宙に帰ったところで、120年もたっていれば、あなたたちが飛ばされてくる前と同じ環境を維持しているとも考えられない。
本当の目的はなんなのか、正確な情報共有で、こちらも積極的な協力ができる場合もあるんじゃないかと思うが、どうか?」
ティルが饒舌なのにびっくりして、おかげて私は平静を取り戻せたような気がする。
モニターの向こうでは、ニューゲンが
「今後のペイル・テクノロジーズの決定権は、エランじゃなくってあの子に渡そうかしら?」
と言っているのが聞こえた。
いや、それは絶対にダメだぞ。 - 70二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 08:50:26
エラン様をもっと大事にしてやれw
- 71123/02/26(日) 10:11:00
いやあ、エラン様性格悪いんで大事にはされないと思うw
- 72123/02/26(日) 16:21:34
外の宇宙からやってきたという異界人に、何かの言質をとろうとしてもあんまり有用ではないとは思う。
こちらの理解できない技術や事情なんかを説明されても、有効に使える気がしない。
それでも、この場のイニシアチブを取ってるのはティルだった。
ティルはさらに畳みかけて、
「俺が、このスペースランチや、ファラクトβの整備をしていて感じたことだけれど、そもそも、ペイル・テクノロジーズの技術基盤は、一般的な設計思想とは一線を画している。
元々、あなたたちが外宇宙から持ち込んだ技術を基盤にペイル・テクノロジーズは設立され、その異質さ故に宇宙開発の技術で優位に立って、ここまで企業体を大きくできたんじゃないか?
でも、それから100年以上たってしまってる。
元々持っていた異質さはこの宇宙にも馴染んだものとなり、単に、企業としての特色程度の技術になって、もはやとびぬけた優位性は保てなくなっているはずだ。
あなたたちは、ただ単に元の宇宙に帰りたいのではなく、このアド・ステラ宇宙で優位に立てる技術を向こうから持ち込みたいのでは?」
「…………うわあ」
モニターの向こうのエラン・ケレスが音を上げたようなため息をついた。 - 73123/02/26(日) 16:21:52
項垂れていた■■が、そのエラン・ケレスと同じ顔をぐっと上げて
「元々、あんたたちは企業人でもないだろう。
僕もわかった。元の宇宙のニュータイプ技術と、この宇宙のパーメット技術の融合で遊びたいだけのマッドサイエンティスト、というのがあんたたちの本質なんだな」
「さすがに、遊びといわれると心外よ。人間の能力をどこまで人間の技術で拡張できるか、追求してみたいのは学究心だもの」
美少女たちの一人が、可愛くぷくっと頬を膨らませて見せたけど、もうその可愛さには惑わされない。
私も、ティルの隣に立って、
「元の宇宙では、学究のためには人道を無視しても良かったのか?
■■が強化人士4号なら、1から3までの人たちは今どうしているのか、私が欲しいなら、それは答えてくれないか」
「……もう、どう答えてもアリヤさんの積極的な協力なんて、無理そうね」
「もし、元の宇宙に帰れても、そこは私たちのお友達がいるのよ」
「そうよ、お友達を被験体にはできないわね、って、答えられるとしたらそれくらいかしら?」
美少女たちは何でもないことのように恐ろしいことを口にして頷きあっている。
ティルが肩をすくめて、こちらもなんでもないことのように
「……アリヤ、■■。僕たちも最後の抵抗になるかもしれないけど、いいかな?」
私たちは、同時に深く、頷いた。 - 74123/02/26(日) 16:26:54
や…やっと最終決戦に持ち込める、長かった…
ティルは普段は必要ないからしゃべらないだけで、必要あるならがっつりしゃべるし、しゃべりだすと自分がどこからその発想を得たかまで遡って説明しないとならなくなるからだまってるだけ、の無口だと信じてる、うん。 - 75二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 21:56:04
もう最終決戦か…まだまだ冒険して欲しい
- 76二次元好きの匿名さん23/02/26(日) 23:47:31
ティルもメカニックの男の子だから語り出すと早口になっちゃうって思ってる(カワイイ)
- 77123/02/27(月) 01:17:36
ここらで決着つけないと、マルタンが待ってる地球寮には帰れなくなるのでw
そしてティルはストッパー外れたらたくさんしゃべる男子ですよね!
そのストッパーを自分でコントロールできる系の人でもあると思ってる
本編では処分直前の4号君もとい■■くんは健康状態「D2」なのが確認されてました。
これから決戦に赴く■■くんは、
1. Aに近いB、この程度なら余裕で全力出せるよ
2. Cに近いB、かなり頑張れるけど、多人数相手のフルスロットルは時々ヤバイ
3. D目前のC、戦闘自体は問題ないけど、その後が……
dice1d3=1 (1)
更に、ファラクトβはビームライフルもベータ版なのでエネルギー効率は良くないです。
前回の戦闘でカートリッジが予定より
dice1d50=41 (41) %ほど目減りしました。
- 78123/02/27(月) 01:23:37
…………物理攻撃にいくファラクトは新鮮だなあ!
- 79二次元好きの匿名さん23/02/27(月) 09:03:46
MS戦の華は白兵戦よ!
- 80二次元好きの匿名さん23/02/27(月) 17:22:12
ファラクトの手首ギュルン!ってビームサーベル取り出すアクション大好き
- 81二次元好きの匿名さん23/02/27(月) 23:25:49
ビームライフルなんて飾りです!偉い人にはそれがわからんのです!
- 82123/02/28(火) 00:04:21
すみません、スレ主が仕事のデータストーム受けてます…
更新は水曜になると思われます……
ちょっと追加で美少女4BBAそれぞれのパイロット能力値を振っておくよ
ニューゲン dice1d100=1 (1)
カル dice1d100=64 (64)
ネボラ dice1d100=76 (76)
ゴルネリ dice1d100=81 (81)
- 83123/02/28(火) 00:05:34
にゅーげんさん!!!
美少女バージョンはサビーナさんに近いタイプと信じていたのに!!!!! - 84二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 09:05:36
待ってよニューゲンCEO!(手を広げるポーズ)
- 85二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 15:20:32
1って逆にパルプンテなんじゃ…
- 86二次元好きの匿名さん23/02/28(火) 22:56:48
うっかり自爆スイッチ押しちゃいそうなドジっ娘オチが見えるぞ!
- 87123/03/01(水) 07:08:34
パルプンテ採用したいけどマジで何をどう書けばいいか分からないw
ニューゲンちゃんったら、ニューゲンちゃんったら! - 88二次元好きの匿名さん23/03/01(水) 16:17:35
爆発オチなんてサイテー!
- 89二次元好きの匿名さん23/03/01(水) 20:39:38
ニューゲンちゃんはCEOの中でも一番ドジっ娘だから…
- 90二次元好きの匿名さん23/03/01(水) 23:52:38
様に被害が行くパルプンテにしよう(提案)
- 91123/03/02(木) 02:21:38
「あ、来た……そんな予感は、してたんだけど、痛たたたた、ああ、本当に使われた……っ……」
俺が二人の名を呼んで、意気揚々と3人が頷きあったところで、アリヤが頭を抱えてしゃがみ込んでしまった。
モニターの向こうでは、エラン・ケレスが椅子に座ってふんぞり返っているけど、眉間にしわを寄せてどことなく辛そうにも見える。
その椅子は、こちらと同じようなスペースランチの指令室の椅子のように見えて、一般的なメカニックの知識からすると、意図のよくわからない配線がひじ掛けや背もたれなんかに仕込まれているようだ。
あれが、ニュータイプ能力を不完全に発動させるパーメットの加工品とやらか。
さっきまでアリヤに背をなでられていた■■の方が、今は逆に彼女を自分にもたれさせるようにして、
「思念波の妨害?」
「ああ……私の集中力を乱してしまえば、二人をつなげること、できない……痛いっていうより、ぐるぐるかき回される、みたいな、感じが、気持ち悪いよ……」
「……わかった。待ってて、あいつを直接叩いてくる」
多分、似た感覚に覚えがあるだろう■■がモニターの向こうをにらみつける。
■■の視線の先では、美少女たちが漣のように笑って
「じゃあ、私たちも本気で行かせてもらうわね」
「アリヤさんをお迎えに行くわ、待っててね」
「素直にハッチを開けて待っていていただけると嬉しいのだけど」
「いくら強化人士4号でも、戦力差は歴然だから、ね」
ヘルメットを抱えて次々画面から消えていった。
モビルスーツで来襲か。
一人だけ取り残されたようなエランが、歯を食いしばるようにしながらも薄く笑って、
「アリヤ、君にできることは俺にもできるんだ。
まあ、君が一番わかってるだろうけど、ニュータイプの戦い方は俺から読み取った使い方しか君には使えない。
さっさと諦めて降伏してほしいね」
捨て台詞か何なのか、よくわからない言葉を吐いて通信が切れた。
「ティル、接近戦なら、アリヤの精密補正がなくても僕たちだけで行けるな?」
「まかせろ」
俺は親指を立てて見せた。 - 92123/03/02(木) 02:31:43
スレ主の仕事状況がパルプンテでいやはやもう
ニューゲンちゃんのパルプンテも遅効性ですがどこかで発動するよ
しかしよりによってニューゲンちゃんがエラン様より問題児とは思わなかった…… - 93二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 08:25:05
エラン様は尻拭い担当だからね仕方ないね
- 94二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 16:33:04
爆発オチでもうガンダムはこりごりだ〜!って黒バックに丸ワイプでフェードアウトする様を想像してしまった…
- 95二次元好きの匿名さん23/03/02(木) 22:05:19
ギャグオチがどうしてこうも似合うペイル社…
- 96123/03/02(木) 23:10:52
「ファラクトβ・グレイ、出る!」
「了解。……■■、敵は多数で平面散開してくる。垂直方向そのまま維持」
「垂直姿勢維持、了解」
■■のファラクトβは、発出姿勢からブラストブースターの角度だけを滑らかに切り替えて、そのままスペースランチの天頂方向へまっすぐ上ってゆく。
ランチの正面、探査レーダーには50機以上の敵モビルスーツが映っているし、アリヤは床にうずくまったまま動けないでいるのだけれど、どういうわけか負ける気がしない。
一度、アリヤが俺と■■の意識を繋いでくれたおかげだと思うのだけれど、■■の戦闘思想が少し解るようになって、敵の動きの解析データを彼が欲しいタイミングで投げられる。
■■も同じことを感じてくれているようで、マルチパネルの1面にはこっちが欲しいファラクトβ側のカメラ画面を良い角度で連動させてくれている。
わざわざ言葉にする必要はないが、管制とパイロットの連携として
「ビーム砲準備、XY12から24、曲線はZマイナス2」
「準備了解、角度了解」
ファラクトのつま先部分が畳まれて、両足に格納されているビーム砲2基が現れた。
群れで迫ってくる敵の射程距離を逐次送信しながらモニターを見守れば、音のない宇宙空間に空間を切り裂く音が見えるような業火の閃光が走ってゆく。
オーロラめいた曲線で視界の端から端まで、次々にザウォートが火を噴いていくのを見るのは壮観だ。
それにしては簡単すぎて、かえって不審で、
「すごいな、■■、あれだけの数を一気に」
「僕もちょっとびっくりしてるんだけど。チュートリアル操縦みたいだ」
「……あー、それ、多分あってるぞ、チュートリアル。
あのザウォート大隊、クローン義体にAIで操縦させてるから、画一的な動きしかできないらしい」
こめかみを拳でぐりぐりしながら、アリヤが会話に入ってきた。 - 97123/03/02(木) 23:13:19
「大丈夫?」
「うん。今の攻撃でエラン様が戦闘指揮の方に意識を持ってったから、今は平気だ……私を抑え込んでおくか、戦闘指揮に意識を振るか、それとも4CEOとケンカするか、本人がわちゃわちゃ迷ってるぞ」
………………はい?
なんだか、モニターの向こうで椅子にふんぞり返って足を高々組んでて、ニュータイプなんて言う能力を使えて、ものすごく大物に見えたんだけど。
MS戦をしようというならせめてその程度の方針くらい決めておけと、敵ながら言いたい。
あと、アリヤ、今、彼のことをなんて呼んだっけ。
「エラン様……ああ、クローン義体たちは『本物』のことをエラン様って呼んでるのがうつってしまった。
でも、私たちには■■の方が本物だ」
アリヤはすっかり復活した笑顔で、■■のピアスと俺の髪飾りを握って
「油断は禁物だぞ、数はまだまだあっちが優位だ。AIがこちらの戦闘パターンを学習しないうちに、叩いてしまおう」 - 98二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 07:32:38
いいね、偽物だったはずのものが本物の価値を得るのは
- 99123/03/03(金) 08:14:15
……頭が痛い。
実に、実に、頭が痛い。
自分がニュータイプと言われる能力持ちだなんて知りもしなかったのに、突然、手に握った占い石に力を吸い出されて、そのまま手を引っ張られて力の海に投げ込まれたみたいに自覚させられた。
エラン・ケレスとの精神の接触があるたびに、ニュータイプの精神感知は同調し、増幅し、自覚は深くなってゆく。
サイコミュだとか、精神感知でモビルスーツ戦はどう戦うかのノウハウなんかは感覚をコピーするみたいに掴めたけど、正直、戦争のノウハウは知りたくなかった。
彼らが私に見せたがっている、宇宙に解き放たれた人類のための次の未来、のイメージなんかも、見えると言えば見えるのだけど、うん。
「ちょっとぉ、エランったら、あんまり一気にやられすぎなんじゃないの? だから私に先陣を切らせなさいよと」
「うるさいなゴルネリ、こっちはアリヤ嬢を抑えるのにも手を割いてるんだよ」
「だから私たちに指揮をさせればいいでしょ、MSの中でじっと待ってるだけなんて退屈だわ」
「ニューゲンに指揮なんかまかせられるかよ!? 風向き次第でどこでもすっ飛んでいくくせに」
「だからそれをフォローするAIをクローンにプログラミングしてあげたんじゃないの。有効活用してちょうだい」
「カルよ……問題は指揮じゃねえよ、指揮を無視するお前らだろっつってんの」
「ごめーん、時々、忘れちゃうのよねえ、今のエランは昔と違って、せいぜい2機かそこらの運用が精いっぱいだって」
「てめえネボラ、ザウォート大隊52機ひっぱってきておいた後でそれを言うか?」
「今のアリヤさんなら数で押せば、落ちるな、あ・れ・は、とか言ってたのエランじゃないの」
「都合のいい時だけ忘却力おじいちゃんにならないでほしいわ」
「都合のいい時だけ忘却力ばあさんになってるのそっちだろ!」
「ねえ、喧嘩してる場合じゃないわ、ファラクトβが接近してきてる。エラン、どうにかしてよ」
「てめえらなんでもかんでも俺に投げてんじゃねーよ!」
実に、実に、頭が痛い。
こんな舞台裏まで見せてくださらなくって結構です、エラン様。
私たちはこんな奴らに愛しい日常を取り上げられたというのか。
ああ、ティコ、地球寮に帰ってお前に餌をやって思いっきり撫でまわしたいよ。
……うん、さっさと片づけよう。
「ティル、ハッチを開けてくれ。盾を出すよ」
「了解!」 - 100二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 18:04:42
ペイル社はコント集団か何かなの?
- 101二次元好きの匿名さん23/03/03(金) 21:24:30
サービス精神が旺盛なペイル劇場
- 102二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 00:32:35
ボケ老人コントは鉄板なんやろなぁ…
- 103二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 09:00:29
大変!緊張感が息してないの!
- 104123/03/04(土) 10:02:54
僕は狭いコクピットの中にいて、パイロットスーツもきっちり着こんでいるというのに、風がさーっと吹き抜けていくような感触があって、アリヤが復活したのだとわかる。
パーメットスコアを上げなくても、ファラクトβの指先まで自分の感覚とまったく同じように使える爽快感があって、ティルの立てた作戦をいちいち言葉で説明されなくても一瞬で共有できるのもありがたい。
この感覚を、ペイルのやつらは人為の技術的として確率したいんだろう。
けど、今はその実験を僕につぎ込んだことを後悔させてやりたいな。
加速しながらファラクトβにビームライフルを構えさせた。
でも、エネルギー効率の悪いこいつは、むやみには撃ってはいけない。
前方、頭上にも足下にも、左右両翼にもザウォートの群れがいて、彼らはがんがんビームライフルを撃ってくるけど、今のファラクトβは自由自在だ。
ビームとビームの隙間をぬい、上下左右をかいくぐって一気に距離を詰めていく。
僕の左右には、予備の装甲板にアリヤの占い石を取り付けて、盾にしたガンビットがいっしょに飛んでいる。
僕の軌道では避けきれない攻撃をティルの探査とアリヤの思念の連携で捕捉して防いでくれるのだ。
「雑魚は撃たなくっていいぞ、■■。逆に、エラン様には操作しなきゃいけない機体の数をたくさん持たせておいた方がこっちの有利だ」
「ああ、要注意は4CEOの乗ってる機体だけだね」
「■■、射程圏内だ」
「了解!」 - 105123/03/04(土) 10:03:28
音声でも合図しあって、僕は敵のスペースランチ―――僕に今の顔をよこしたエラン・ケレスの乗るスペースランチに照準をきっちり合わせ、引き金を引いた。
ビームの軌道は一直線、ファラクトβとランチの間にいるザウォートの群れのわずか一点の隙間を流星の速さでぶちぬいて、おそらく、敵の管制室を直撃したはずだ。
二発目を撃つ前に、明らかにザウォートの群れからのビーム砲撃が減ったのが分かる。
……いやあ、本当にこれだけの数を一人でコントロールしようとしてたのか、エラン様。
むしろ尊敬したい気持ちになりつつも、僕は追撃弾を二発、三発と撃ってゆく。
管制室はその程度の攻撃でどうにかなるような設計にはなっていないはずだけど、五発目を撃ったあたりで、ザウォート同士が統制を失って、無意味に宙に浮いているだけの機体が増え、中には同士討ちをするような機体も出てきている。
……僕は、もしかして。
ビームライフルを撃ち込みながらふっと湧いてきた考えは、これは、希望という奴なんだろうか。
もしかして、ペイルから完全に自由になった、その後の自分を想像しても許されることがあるんだろうか。
敵ランチの後方から新機体が脱出していく様子を捉えながら、戦闘とは関係ないことを考えている僕が、いた。 - 106123/03/04(土) 10:06:15
スレ主も息してません……
緊張感を持ってバトルする4号君を書く予定だったはずなんですが、逆に弱い者いじめになってる気がする
ダイスって怖い…… - 107二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 17:53:10
大体ハピエン厨ダイス神のせい
- 108二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 22:56:49
シリアスってなんだっけ…
- 109二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 07:54:06
希望の光…
- 110123/03/05(日) 11:29:55
敵スペースランチから、指揮官がMSで脱出していったのがこちらでも確認できた。
精神感知を続けているアリヤが肩で一息つく。
音声の会話で俺たち二人に呼びかけて、
「ティル、■■、エラン様があぶりだされてきた。いよいよだぞ」
「ザウォート一般機より翼が大きい。ファラクトβとは別の実験機だな、要注意だ」
「了解。あれは……F/D-19XG型ザウォートだ。前に僕が実験パイロットで乗った時には、ニュータイプのことは知らなかったけど、今ならあれがなんなのか解る」
「?」
言葉で説明するとまわりくどくなるような感覚的なことは精神感知で共有される。
敵エランの乗って出た実験機は、大型の翼や、脚部のシェルに小型のビットが搭載されていて、本体機の周囲を個別に飛んで盾になったり、対になって対象物を挟み、ビーム攻撃ができる武装だというのが伝わってきた。
同時に、アリヤも俺も、う、と顔をしかめてしまう。
その機体の実験に大量にパーメットデータを流し込まれた時の、■■の苦痛の記憶も共有してしまったんだ。
■■は何事もなかったように記憶を今現在の意識に切り替えて
「エラン様なら、パーメットの代わりにニュータイプの感知能力でこれを扱えるんだと思う。策はあるか、ティル?」
「策といっても、こちらの武器は■■一人だっていうことは動かない。また無理をさせるけど」
「問題ない」
今、一瞬共有されたあの苦痛の感覚を伴わず、ペイル・テクノロジーズの機動性ぶっちぎりの最新鋭機を思い通りに動かせるのは、実際問題なくて、むしろ爽快感まであったりするんだろう。 - 111123/03/05(日) 11:30:25
さて、これは戦闘中の会話だし、■■の実験の苦痛を自分で感じたり、緊張感は維持すべきなんだろうけど、でも。
正直なところ気が抜けてしょうがない。
「……アリヤ、聞いていいかな。彼女たちは何をやってるんだろう?」
「私が聞きたい……解説を求めないでくれ」
アリヤはげんなりした顔で両耳を抑えて首をぷるぷる振った。
モニターには、あの4人の美少女が乗る仕様機だというのが一目でわかる水着……もといパイロットスーツと同じデザインを施されたザウォートが足の引っ張り合いをしている映像が映っている。
けっこう練達らしい胸部が白で脚部が黒のモノトーン機がこちらを狙い撃ちしようとしてるが、全面に森林迷彩らしい塗装のある機体がそのたびに前に飛び出たり、体当たりして邪魔になってる。
意図して体当たりしてるわけでもなく、うーん、なんというか、ブレーキとアクセルを間違って、止まるつもりで突進…………?
あとの2機ががんばってそれを止めようとしてるけど、迷彩機はやっぱり見当違いの方向にすっ飛んでって話にならない。
おかげで対エラン機の作戦を練る時間ができる。がんばろう。 - 112123/03/05(日) 11:35:21
どうでもいい話だけど、ここの投稿上限、1000字なのは地味につらい
自分の投稿はたいてい110字オーバーではねられてしまうんで1200字になってほしい
10字とか20字オーバーなら削るけど110字は無理
小学校の作文で叩き込まれた原稿用紙400字3枚で1作ってベースが染みついてるんかなー - 113二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 19:40:41
乙乙、他にはTelegraph使うぐらいしか方法ないかなぁ
- 114123/03/05(日) 21:12:29
「いいからニューゲン、あなたは大人しくしてて!」
「そのつもりですけど? 静止待機だけしてますけど?」
「宙空静止モードにする前に姿勢角度変更するんじゃないわよ、宇宙ほど慣性の法則が働く場所はないんだったら、あ、ああああ、また行った!」
「ゴルネリ! よけて!」
「なんでこのタイミング!? どうして毎回ライフル照準合わせた途端に私に突進してくるのよ!」
あーあーあーあーもう、婆さんたちはしょうがねえなあ……いや、俺もあいつらにツッコミを入れられる状況ではないわけだが。
管制室をピンポイントで狙撃されて、この実験機ザウォートに乗って出たは良いが、アリヤ嬢の感知に追っかけられて強化人士4号のビーム砲の的だ。
ニュータイプの使い手としちゃ俺の方が年季が入っているはずで、精一杯、感知を先回りして逃げちゃいるが、くそっ、コクピットに座るの、いつぶりだ、俺!?
4号がライフルを使ってこないところを見ると、ファラクトβのライフルのカートリッジはもう尽きたんだろうが、Gに振り回されてそれを有利に取れるどころの話じゃない。
気が付くと、統制を失ってただ漂ってるだけのザウォート群の壁の中にすっぽり取り囲まれた形になってる。
ちくしょう、俺は、いつの間に追い込まれたんだ……いや、彼女のニュータイプ能力を格下だと思って、逃げる先を先回りさせられていたとしたら?
もしかして、アリヤ嬢自身は格下かもしれんが、ティル、あいつの座標の特定と指揮能力と連動してるのか。
やれやれだ、こうなったらしょうがない、正面対峙してやるよ、"俺"。
油断してるだろうが、こっちもただポンコツのニューゲンをわざわざパイロットで連れてきてるわけじゃないんだぜ?
俺はゆっくり、推進ユニットの張翼を羽ばたかせるようにしてザウォートを回転させた。
振り向けば奴がいる、4号。そしてファラクトβ。
俺のザウォートのガンビットをそちらの機体に乗せて、ファラクトはロールアウトするはずだった……いや、過去形にはしねえぞ、4号。
推進ユニットの両翼、脚部、胸部、そして両腕から二機ずつ。
俺が八組のガンビットを射出するのと、ファラクトβが両手首を一瞬の半回転でビームサーベルを閃かせるのが同時だった。 - 115123/03/05(日) 21:14:37
Telegraph、次があれば真面目に考えます
勢いが大事なダイスSSに自分は向いてなかったと思い知ったw - 116二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 22:42:55
読む側としてはめちゃくちゃ読みやすいですよ
お疲れ様です、続きも期待 - 117123/03/06(月) 08:30:39
ありがとうございます
終盤なので頑張ります - 118二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 12:50:38
乙乙待機待機
- 119二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 22:06:12
盛り上がって参りました
- 120123/03/07(火) 08:09:27
ぐはぁ寝落ちした…スレ主体力切れです
でも今日中には復活します
薬ルト1000は効くわー - 121二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 18:48:15
ティル先輩いつのまにか司令官に
- 122二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:46:26
ティル司令官って響きいいな…
- 123123/03/08(水) 01:30:44
「出る!」
■■の叫びと一緒に、ファラクトβが一気に大翼ザウォートの胸先に迫って距離を詰める。
その大翼の中からひゅんひゅんと次々に繰り出されるガンビット、俺たちにも、事前に■■が共有してくれた感覚のおかげで、あれがどんな機能と目的で動いているかがわかる。
一つが更に二分割されるユニットで、各ユニットに挟まれるとその間に発生する電磁ビームで機能不全にされてしまう武装だ。
ガンビットの誘導でどこにでもビームを発生させられるのは怖いと言えば怖いけど、このペアがペアとして働ける距離を確保しないといけないのは短所じゃないかな。
ビームサーベルで近距離真正面から飛び込めば、敵も味方も混然一体で攻撃できず、ガンビットの威力を相当削げる。
それでも、■■は、
「パーメットスコア、2」
データストームを浴びるリスクの方を選ぶ。
次々に振ってくるビームの雨をいなし、鋭角ドリフトのようにファラクトβにステップを踏ませてザウォートに肉薄する、あの足さばきの繊細さは身体拡張性を高めないと使いこなせないらしい。
俺たちができるのは、その彼の負担を少しでも和らげることだけ。
ビームサーベルの残像が扇のように広がる更にその背後、予備装甲版とアリヤの占い石で急ごしらえした盾を飛ばし、ファラクトの軌道を追いかけてゆく。
ザウォートもビームサーベルを抜き、対峙する二機は文字通り火花が出るしのぎの削りあいだ。
パワー押しのサーベル戦になってる隙を狙って飛んできたガンビットが、ファラクトβのブレードアンテナを挟みにきたのを、両脇からシャッターでも降ろすように盾を落として、ビームの連携を断ち切ってやる。
俺たちも素人だけど、ありがたいことに、敵も素人か、ガンビット操縦に気を取られればビームサーベルが、ビームサーベルに力を入れればガンビットが使えなくなるらしく、どうにかこうにかこちらが優勢だ。
ギリギリまで敵に迫っていたファラクトβが、フェイントみたいにビームサーベルをオフにし、同時にザウォートの胸倉を強烈に蹴り上げた。 - 124123/03/08(水) 01:31:28
腰位置の高い、脚部の長いファラクトβは振り上げた足をそのまま踵落とし、ザウォートのコクピットをつぶしに行く。
ここが少しでも重力のある戦場だったらここで決着が付くだろうけど、ザウォートはゆらりと半回転して逃げて、ガンビットで牽制しながらまた体制を整える。
アリヤはうっすら汗をにじませて占い盤を睨み、相手のガンビットの先を読んで宙空の盾で防ぎに行きかけて
「うわ! また、来た……ッ、痛っ、あうううう…っ………」
ニュータイプの思念波妨害だ。
「■■、アリヤが動けない、切り替えられるか?」
「了解、これも想定のうち……ッ、いや、なんだって!?」
俺は苦しむアリヤの肩を抱きに行きかけていたけど、■■の叫びに思わずモニターを振り返る。
そこに映っていたのは、
「……彼女ら、一応、人間だったと思うんだが………?」
通常、18m前後あるMSの倍……いや、3倍か4倍か、とにかく、ただ巨大な、あの4人の美少女が、半壊のザウォートをあやすように胸に抱いて、宙にそのまま浮いている姿だった。 - 125123/03/08(水) 01:35:46
遅効性パルプンテ発動。
何よりのパルプンテは、ニューゲンちゃんよりもティルの司令官化かなあと案じてましたが、縁の下の力持ちが自然と全員の中庸の位置にいて対応策を下すって、司令官化というより、ブライトさん化に近くて、意外とティルの性に合ってるんでは…?と書きながら思いました。 - 126二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 09:16:14
! ?
- 127二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 17:25:20
時代は巨女ブーム
- 128二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 22:19:38
この戦場カオスすぎんか?
- 129二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 00:00:07
巨大美少女4BBA!?
- 130123/03/09(木) 02:03:04
あああああああ!?!?!?!?!?!?!?
婆さんたち、いったい何がどうなってやがる!???????
何十年ぶりかのMS操縦と思念波干渉を同時にやらされてテンパってるところにてめえらの面倒なんか見れねーぞ???
あら、失礼ね。エラン、あなた今、自分が私たちの面倒を見られるかどうか、状況がわかってるのかしら?
強化人士4号にボコられてコクピットも半壊、このままじゃ宇宙空間にほとんど生身で放り出されることになるのよ?
脅迫かよ、おい。それで、何が何してどうなった?
さあ、私たちにもよくわからないのよね。
でもね、コレが飛んできたのが原因なのは確かみたい。
「ダメだ、それは私の! 私の石だぞ、返せ!」
あー、アリヤ嬢の占い石か。
装甲板につけてサイコフレームにして使うとは、よく考えたよ……ニューゲンにぶつかったんだな? ははっ、気の毒に。
で、それで?
うーん、それがねえ。私たち、次の宇宙に行かないとならないみたい……ものすごい力で引っ張られるのを感じるの。
何、なんだって?
ものすごい力で引っ張られて、気が付いたらこんなに巨大になってたんだけど、逆かもしれないわ。
私たちから見ると、あなたのほうが縮んだみたいに見えるんだもの。
そりゃあお前たちから見りゃそうだろうが、次の宇宙ってなんだよ、おい!?
えーっと、アリアン? アリスタ? ガンプラっていうのは何かしら?
婆さんども、俺にわかる言葉でしゃべれ! - 131123/03/09(木) 02:03:59
この状況下で、俺は、いったいどうしたらいいんだろう、ひたすら訳が分からない。
アリヤはモニター向こうの巨大な美少女たちを睨んで何か叫んで、懸命に思念波を読んでいるけれどニュータイプの特性をもってしても理解不能なようで、頭を抱えたままだし、■■も、あまりにも常識からかけ離れた奴らをこのまま攻撃していいのかどうか悩んだまま、はるか背後に距離を取って彼らを遠巻きに周回している。
あんな宇宙の亡霊を通り越して妖怪みたいなもの、攻撃したらさらに巨大化かなんかしそうで手は出せない。
ふと、俺は探査レーダーに俺たち以外の影を見つけた。
そうだ、この宙域は、もうプラント・クエタが近いんだ。
「アリヤ、■■。ドミニコス隊のパトロール機が近場にいるようなんだけど。
彼らにヘルプコールしてみてもいいかな?」
アリヤは涙目で頷き、■■は
「僕ら以外にもあの怪物が見えるものなのか、それが知りたい」
と、ぼそっと呟いた。 - 132123/03/09(木) 02:14:14
ガンダムビルドファイターズの世界観ってどれくらいメジャーなんですかね?
ファーストガンダムが起源の概念は、作品見てなくてもわりと知られてる感じですが、異世界アリアンとかプラフスキー粒子とかは説明無しじゃ伝わらなさそう…
巨大美少女4BBAが口走ってるのはビルドファイターズ中に出てくる異世界とか、異世界転移の力がある石とかのことです。
今、エラン様の乗った半壊ザウォートは彼女たちの大きさに比べて1/4スケールぐらいですが、このままほっとくと1/144スケールぐらいになりそう。
そうなる前にケナンジさんに来てもらうことにしました。 - 133二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 08:05:20
BFは見てたけど細かい設定はフワッとし覚えてねぇな…
- 134二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 18:13:41
ファンタジーとガンダムの組み合わせは正直嫌いじゃない
- 135二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 22:45:17
シリアスとギャグが混線している…!
- 136123/03/10(金) 06:42:23
「ヘルプコールです、ドミニコス隊、応答願います。ヘルプをお願いします」
「こちらに登録されている貴船の識別コードを確認する。ペイル・テクノロジーズのスペースランチL33-SH配備船で間違いないか?」
ドミニコス隊のオペレーターはすぐにてきぱきと応答してくれる。
「はい、その通りです」
「アスティカシア高等専門学園配備の練習船だな、事故か?」
「いや、あの……襲われています」
「…襲撃か? 相手は?」
事故か、と聞かれて俺は一瞬口ごもってしまった。
この状況を正確に説明しろと言われて何をどう言えばいいのか、それで躊躇したのを不審に思われたか、てきぱきした応答が詰問調になる。
正直に答えても悪戯通報と思われかねないが、正直に言うしかない。
「L33-SH、状況説明を。事故か襲撃かで、こちらとしても出る準備がある」
「襲撃ですが、怪物、というか……」
「は?」
「助けて! SOS、SOS、救助を要請します、女性型の宇宙要塞4基、いやだ、来る!」
言いよどむ俺の後ろでアリヤが叫んだ。
モニターには、巨大な手が映っている。スペースランチの窓を破り、直接俺たちを掴みだそうとしてくる手だ。
「うわああああ!」
「ダメ、破られる、どうしよう、ハッチの側にもいるぞ、挟み撃ちにされてる」
本物の恐怖が混じった悲鳴がドミニコス隊にも伝わったか、
「緊急救命艇で脱出を。こちらでも船影らしきものを捉えた。すぐに向かうが、可能な限り脱出を!」
「はい!」 - 137123/03/10(金) 06:43:39
ドミニコス隊の探査システムに何が映ったか聞きたかったが、もうそんな場合じゃない。
「アリヤ、状況を分かる限り教えて」
「あの4人は、私たちをどこかここじゃない、別の宇宙に攫って行こうとしてる。カルとネボラがこのスペースランチを挟み撃ちにして、■■がそれを追い払おうと頑張ってくれてるけど、ゴルネリに牽制されてて、実質動けないでいるみたいだ。ニューゲンはエラン様のザウォートを保護してて、動かない。でも、彼女たちがあんな姿になったのは、私の占い石とそのニューゲンが接触したせいらしい……あの、素人でもしないようなMS操縦してた彼女が、切り札だったんだな」
アリヤは震える手で髪をかき上げて、感知し得たことをなるべく冷静に話そうとしている。
みしっ、とランチ管制室の天井が揺れて、もう時間はなさそうだ。
「アリヤ、宇宙救命ボートにも占い石を取り付けておいたよね。
ハッチに出るのはもう危険だ、こっち側に引き込める? 1艇でいい」
「わかった」
戦闘を■■一人に頼るしかない、こちらの精一杯の支援の盾として出す準備だったが、ここで役に立った。
天井も壁もぎしぎし言い出した管制室を捨て、救命ボートとまるで通路で落ち合うようにして走り、二人で乗り込む。
本来、一人用のボートだけど今は緊急も緊急時であらゆる意味で余裕がない。
二人で互いの身体を押し込むようにして乗り込み、ぎゅっと抱き合ってボートのハッチを閉じた。
ノーマルスーツを着てヘルメットも装着してるから更に狭いのだけれど、お互い、ほっと安心したのが、ニュータイプの思念波とは全然違うところで伝わった。
アリヤの気力は今はこの救命ボートを動かすことだけに集中していて
「……ドミニコスもすぐに来る。脱出するぞ」
その声をかき消すように、ランチ全体にみしみしぎりぎりと破壊の振動が響き始めた。 - 138123/03/10(金) 06:47:05
ファンタジーとガンダムとシリアスとギャグと、それからパニックとラブも入ってきました。
すべてダイスのお告げの従った結果ですよ、はい。 - 139二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 13:53:22
新PVにワクワクが止まらない
- 140123/03/11(土) 00:44:59
今日はExpo情報やら新PVやら、あとWBCやらで更新できずです、すみません
書いてしまってからダイス振るのもなんですが、>>137のティルの心境。
救命ボートは複数あったのに1艇しかよばなかったのは、
1. 他のボートはハッチ襲撃されてもう壊れてたから(現実問題)
2. この状況で分散してボートに乗るのは危ない。まとまって行動するべき(冷静な判断≒朴念仁)
3. アリヤと常にいて一緒に守りたいから(やっぱりそうだよね)
dice1d3=1 (1)
- 141123/03/11(土) 00:46:26
つまり運命ということですね、ダイス神。
- 142123/03/11(土) 11:37:30
そして12時間ってss書きには短い
- 143二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 14:21:46
最近保守できなくて本当にすまない…
巻き込み規制ぜったいにゆるさない - 144二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:55:48
応援保守
- 145123/03/12(日) 00:45:26
宇宙救命ボートはシェル型のカプセルで、宇宙の真空と絶対零度から人体を守るだけの最低限の機能と空間しか持っていない。
窓はあるけどモニターではないから自由に方向は変えられないし、ましてやボート自体を思い通りの方向に進めるなんていうことも、普通はできない。
でも、アリヤの占い石を取り付けてあるこのボートに限っては、アリヤの思念波通りに動いてくれる。
宇宙空間に音は伝わらないが、ランチがものすごい衝撃で破壊された振動は伝わってきた。
「……行くぞ、ティル」
「うん、まかせた」
ランチ内に満たされていた空気が、隔壁の破壊で宇宙に拡散されていく方向に流れていく。
俺はアリヤの両肩に腕を回して、もしもの時のため、宇宙の真空と絶対零度と、振動の衝撃からの彼女の最後の盾になろうとしっかり力を込めた。
外の様子は全然見えないが、アリヤの意識は共有される。
救援に来てくれるドミニコス隊の精神を感知し、そちらへ、そちらへとボートを運ぶ。
宇宙空間に浮かぶ巨大な四人の水着美少女を視認した時の衝撃の感覚が伝わってきて思わず笑ってしまったけれど、そこから先の記憶はあまり、ない。
ドミニコスの艦長が艦隊射撃を行って彼女たちを打ち崩した。
ビーム砲の衝撃と一緒に、アリヤが最後に感知した彼女らと、ザウォート実験機に乗ったエラン・ケレスは、
「……ああ、この感覚、一緒だな、あの時と」
「フラナガン研究所の実験の時のね」
「アド・ステラ宇宙に来た時の、あれよね」
「私たちって、宇宙から宇宙をさまよう運命なのね、知らなかったわー」
「この姿、次の宇宙で必要な姿ってことかしらねー?」
なぜか、どこかのんびりしたような口調で消えていったのが俺たちの最後の記憶で、アリヤの感知は途切れて俺たちの意識も途切れ、なんだかよくわからない光の海に包まれた感覚だけを覚えている。 - 146123/03/12(日) 00:46:14
ここから先は、ほとんど語ることはない。
俺たちはドミニコス隊に保護されていろんな取り調べを受けたけれど、この宙域に漂う大量のザウォートの残骸や、何より、あの宇宙空間の四人の姿をしっかり映したドミニコス隊の戦闘記録が証拠になって、無事に無罪放免、地球寮に戻ることができた。
カテドラルの査察がペイル・テクノロジーズに入ったのに、あの4人のCEOが対応不可能だったこともこちらの証言を裏付けたらしい。
4人は、同時に一斉に意識不明になり、病院入りしているそうだ。
クローン義体は本当にただの義体で、意識はやっぱりあの彼女たちだったんだな。
そして、■■。
■■も同じように取り調べを受けた上、とんでもない申し入れを受けた、らしい。
その申し入れとは、
1. ■■のMS操縦技術は大変すばらしい。このままドミニコス隊に来ないか?
2. ■■の身体はパーメットのダメージをかなり受けているが、緩和できる技術が水星にあるらしい。
ベネリットグループ総裁の指示があるので、水星に出向しないか?
3. 現在、ペイル・テクノロジーズは非人道的な実験発覚に加え、4CEOが不在で機能不全。
4CEOの次に取り締まり権限があるのは「エラン・ケレス」という人物になっているが、エラン・ケレスとは■■のことなので、■■にペイルのCEOを継いでほしい
dice1d3=2 (2)
- 147123/03/12(日) 00:59:03
保守ありがとうございます
皆さんのおかげで、多分、次か、次の次の投稿で最後になります。
4号君はスレッタに会いに行くことになるんだな…
2期が終わってみないと、これが本当にハッピーエンドになるのかはわかりませんが、データストームの干渉を受けずにMSに乗れることになるのだけは確かかと思うので、本編2期に託そう。
そして本物様と水着美少女な4BBAはここにきてアド・ステラ宇宙でため込んだ120年分のニュータイプ能力を一気に解放させられました。
行先はガンダムビルドファイターズの異世界アリアンです。
ガンプラを動かして戦う世界なので、彼女たちにはガンダムをガンプラのように掌で扱えるサイズに巨大化してもらいましたが、ビルドファイターズの概念をSS内で書いてもしょうがないなと、ここで説明させてもらって終わりにします。
いやほんとに2期始まる前に終われそうでよかった… - 148二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 09:36:42
乙、最後まで駆け抜けようぜ
- 149二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 18:29:24
完結が近いと思うと寂しいな…
- 150二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 23:04:57
BFシリーズ見直してくるわ、乙
- 151123/03/13(月) 01:49:53
ファラクトβ。
この呪われた機体のコクピットから、こんなに穏やかな気持ちで宇宙を眺めることになるなんて思ってもみなかった。
隣に並んで飛んでいるのは、地球寮の実習用スペースランチで、ティルとアリヤが乗っていて、指示が来る
「座標XY02Z07、大破した装甲の陰になってる」
「了解。大丈夫、はい、確保した」
「ありがとう、■■」
GUND-ARMの滑らかな機体操縦は、宇宙空間に散らばった占い石なんて言う微小なものまでファラクトβの指でつまんで拾える。
もちろん、アリヤの感知の力あってのことだし、拾う対象がパーメットの結晶だからこそ、ということもあるけど。
摘まんだ石をスペースランチの回収ポッドにそれをいれれば、残りは一つ。
あと1個でアリヤがあの4人のCEOの襲撃から僕たちを守るために散らしてくれた石は全部拾える。
次の指示を待って、僕はモニターの向こうの宙域を遠い目で眺めた。
僕は、もう強化人士4号ではない。
カテドラルの監査がペイル・テクノロジーズの家宅捜索にまで至って、禁じられたGUND-ARMの実験の数々が明らかになった。
パーメット流入の痕跡濃厚な、僕のこの身体そのものが一種の証拠品で、拘束されたまま解放されるのはいつのことかわからず、それでも、あの荒唐無稽で説明不能な4CEOの起こした事件に巻き込まれた二人を―――アリヤとティルを守ることにつながるなら、と思って全てカテドラルの要求通り協力を約束したら。
「GUND-ARMについては捜査に慎重を要するため、ペイル社の実験の全てを公にはできない。デリング・レンブラン総裁から内々の指示があって、君には水星に出向してもらう」
なんていう指示が出た。
水星なんて、そもそも人が住んでいたのか、程度の認識しか僕にはないのだけれど。
「水星で、ひそかに総裁がGUND-ARMでパーメットスコアを上げても、データストームの害を受けない技術を研究させている。君にそこに行って研究に協力してもらえれば、身体を元に戻せる希望が見える」
という口実も体のいい厄介払いに聞こえて仕方がないが、もう、エラン・ケレスの影武者でもない僕は、アスティカシア学園に居られる身でもない。
アリヤのそばに居られる身でもない。 - 152123/03/13(月) 02:03:24
「……アリヤ? 次の位置は?」
通信スピーカーからはティルが促している声が聞こえる。
待機からしばらくたつけど最後の一個の指示が送られて来ていない。
「うーん……うん、やっぱり、どうも、あの時、一緒に持っていかれてしまったかな……まったく、精神感知に引っかかるどころか触れもしない」
悩んでいるらしいアリヤに、僕も声をかけてみた。
「ニューゲンCEOが、ぶつけられたとか、引っ張られるとか言っていた石?」
「多分。……しょうがない、他の宇宙に私たちを持っていかれなかった、引き換えだ。
私のご先祖様が、私たちみんなを守ってくれたのだと思うことにするよ」
「諦めても、いいの?」
「もしも私の手元にあるべきものなら、然るべき時に然るべくして戻ってくる」
「……ありがとう。ほんとうに」
「■■が身体を張ってくれたおかげでもある。礼を言うのは、こっちだぞ」
「いや……然るべき時に、然るべくして戻ってくる?」
「うん?」
「石の話だよ。…ねえ、アリヤ。改めて、受け取りなおしてもいいかな。君が僕にくれたピアスを、もう一度君からもらいたい」
記憶を失う前に、アリヤが僕に作ってくれた、僕たちを繋いでくれた、タッセルピアス。
「水星に持っていくのか? このままこうして片方を私が持っていれば、いつでも繋がれるのに?」
僕の水星行きは、カテドラルにとっては事件を公には明らかにしない意図が大きいのだろうとは思うけど、でも。
僕は、自分自身のために水星に行こうと思う。まずは身体を治せるかどうか、そこからだけど。、
「もう一度、地球で君と別れたところからやり直してみたいと思ってる。今度こそ、自分の意思で、さ」
「……うん、そうだな。もうこのピアスは■■のものだ。君に返そう」
然るべき時に然るべくして戻ってくる。
僕は、また君に会う希望をもって、水星へ行こうと思う。
「では、帰還しよう。軌道は天頂方向だ」
ティルの声がかかった。 - 153123/03/13(月) 02:09:13
これで4号君の行く末に道筋がついた……ペイルの厄災はしぶとかった。
次でティルアリのエピローグを入れて、本当に最後にします。
こんなSSのためにBFわざわざ見直すことないです…
ガンダムの中で異世界転移の設定があるのがビルドファイターズだっただけの話です。
今頃、4BBA美少女とエラン様はガンプラの組み立てに興じているころだと思われ。
- 154二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 10:03:56
エンディングまで泣くんじゃない…
- 155二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 19:46:58
ハッピーエンドなんだよな?な?
- 156二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 22:58:24
正座で待機してるぜ!
- 157123/03/14(火) 00:16:09
わーんすみません、スレ主、今日は仕事に嵐到来のため、更新無理です…
ラストにきてこんなんでほんと申し訳ないです
明日には…明日には…… - 158二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 09:15:52
それでも保守りたいスレがあるんだ!
- 159二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 18:21:15
頑張れスレ主
- 160二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 22:51:35
乙です!
- 161二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 08:30:11
朝保守
- 162123/03/15(水) 08:49:14
わーん毎回申し訳ない!
寝落ちしてたです、年度末残業の嵐が吹き荒れてます…
仕事を〆ないとssが〆られない
でも今日こそ、今日こそ… - 163二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 12:59:31
最後まで応援してるで
- 164二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 22:10:15
明日も待機!
- 165123/03/16(木) 02:09:18
ああ、懐かしい地球寮。
■■が水星へと去り、ペイル・テクノロジーズが解体に至り、でも、そのきっかけとなった4CEOの消滅現場に居合わせた私たちにはほとんど何の変化もない。
あれから何か月たっても、学園の授業から帰ってくるたびに、地球寮が懐かしい。
家畜たちに餌をやり、厩舎の掃除をして、ラウンジで紅茶を入れる。
最初の方こそ事情聴取でカテドラルに留め置かれて取調べを受けたりしたけれど、結局は無罪放免でこんな生活を送れるようになった。
夕日に染まって、草を食べるティコたちがいる放牧エリアの向こうにある地球寮の佇まいを見るごとに、懐かしい。
とても穏やかな日々だ……ラウンジのポットには紅茶が、二人分。
一つだけ心残りがあるとすれば、三人で一緒に紅茶をゆっくり飲める機会がなかったこと。
なんだか私たちと引きはがされるように■■は水星へ向かってしまった。
もっと、もっと話がしたかったけど、きっと■■が私たちを元の生活に戻すためにも、カテドラルの要求を呑んだということはわかる。
ニュータイプの力を使わなくても、よく、わかる。
使わなくても、というのはこの場合、正しくはないな。
正確には、あの時ほど、強力に、自在には扱えなくなってしまった。
精神感知は思念波の同調と共振であることを思うと、私の力もエラン・ケレスのニュータイプの力に増幅されていたんだろう。
でも、それでいい。
私には、恋占いだとか、日常のちょっとしたトラブルを避ける程度の占いがあれば、それでいいと思う。
他人の精神を乗っ取りかねないあの力を、私を完全に信じてくれた二人に、■■とティルとに使ってしまったことに、後悔もしているからな。
……私を、どれほど大事に思っていてくれるか、知らずに触れてしまって、私は私で後悔したんだぞ。
熱いのに柔らかくて、眩しくて、ふわふわしていて重たくて、時々ぴりぴりっとする。なんだか、心に火傷をしたようだ……人の感情に勝手に触れた罰を、こんな形で受けたんだな。
この心の火傷は多分、決して治らない。熱いから冷やしたいのだけれど、冷やすには――
「アリヤ、帰っていたんだ」
ラウンジに、髪を高く縛り上げたティルが顔をのぞかせる。
静かな、落ち着く声。音はなく湧き出る泉の水のような佇まいで、彼がそこにいる。
「ああ、紅茶がちょうど入ったところだぞ」
私は、彼のために紅茶を淹れた。心を込めて。 - 166123/03/16(木) 02:12:40
俺たちの日常が戻ってきた。
アリヤの淹れてくれた紅茶を飲み、家畜の世話をして、学園の勉強も真面目にこなす。
皮肉なことに、ペイル・テクノロジーズの最新鋭機に触れた後だとメカニックの勉強の捗り方も違って、ありがたい余禄ではある。
実習で遅くなってから地球寮に戻ると、先にアリヤが帰っていて、美味しい紅茶を淹れてくれる。
不思議なことに、前に飲んだ時より美味しい……と思う。
アリヤは同じ茶葉、同じポットとカップ、同じ手順で淹れているというのに。
こんなところまで事件の余禄だろうか。
別に、前はアリヤを信じていなかったとか決してそんなわけじゃない。
けれど、その手の動き、仕草、視線、彼女の佇まいの全部が、全部俺のためと思っても、誤解やうぬぼれなんかじゃないのだと、自然に感じる。
紅茶は美味くて、二人の間にある空気はただ穏やか。
彼女からはすっかり、ニュータイプと呼べるほどの能力はなくなっているようなのに、時々、あ、同じだ、と思うことも増えた。
二人で同じ、言葉で言い難い柔らかい気持ちを持ち合っている。
俺は紅茶を飲みながら本を開き、アリヤはほとんど習慣のように占い石を取り出して、振る。
占うのは、誰かに頼まれた恋占いだったり、日常のちょっとしたトラブルだったり。
「……あ」
アリヤは、少し日常とは言い難い声を上げる。
何が出た?と、俺は言葉にはせず目線だけで問う。
「うん……少し先だが、懐かしい誰かが、遠い場所から帰ってくる暗示だな」
それは、やはり彼だろうか?
彼女はふっと微笑んで、
「なんだろう……とても、大きい。とても、強い、可愛い、同伴者がいるぞ」
……■■。これは水星で可愛い彼女ができたということか。
帰ってくるなら、また三人で……いや、四人か。君の彼女とも一緒に紅茶のテーブルを囲んで、話したいな。
アリヤと二人で、待っている。 - 167123/03/16(木) 02:17:14
アリヤとティル、それぞれのエピローグで完結です。
なんとかティルアリで終われた気がします。
4号君は水星でスレッタと会って戻ってくるのでしょう。
保守して待ってくださった皆様、ありがとうございました。
ほんとに、前スレもこのスレも、自分の投稿じゃなくみんなの優しさで出来ている……
感想などいただけたら嬉しいです。
ほんとにほんとに、ありがとうございます。 - 168二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 08:26:35
乙乙、少年漫画読んでるみたいで面白かった!
次作もあれば応援します、完結おめでとう - 169二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 09:19:20
- 170二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 18:36:56
支援イラストやったー!!お疲れ様でした!!
- 171123/03/16(木) 21:15:55
スレ主です
お言葉にイラストまで!!!!
ありがとうございます、ありがとうございます
ハート押せるもんなら何個も何個も連打したいです……!
完結できたのはマジで皆様のおかけで、感謝感謝です
それにしても、ダイス神のお導きも神がかってた…
一応、シャディミオを引っ張り込んだりエラン様との直接バトル構想もあったんですが、ダイス神は横道にそれるのを許さずまっすぐ少年漫画街道を進むことを示されました。
4BBA美少女は……というか、ニューゲンさんがパルプンテ出さなければもっと違ってたものになったとは思いますが!
本当にここまでお付き合いありがとうございました。
また何か書くことがあったら読んでいただけると嬉しいです。 - 172二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 08:09:51
乙乙
- 173二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 16:02:42
完結乙カレー
面白かったよ、次作があればまた読みたい - 174123/03/17(金) 22:20:52
読んでくださってありがとうございます!
2期始まったら、また何か違うもの書きたいなーと思ってます。
書けますように……!(祈) - 175二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 08:09:36
乙
ガンダムエースでコミカライズされるべき - 176123/03/18(土) 12:06:33
公式採用されるなら>>17さんであるべきっすね
F/D-19XG型ザウォートとファラクトβの画像のおかげで話の解像度が爆上がりしました
- 177二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 21:41:02
- 178123/03/19(日) 07:51:21
ちょっと供養しておきたいシーンがあったので保守
もしも4アリが成立しててかつニューゲン嬢のパルプンテがなかったら、を書いておきたいです - 179二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 17:36:46
全裸で待機!
- 180123/03/19(日) 20:20:40
ダイスifの戦闘シーン
もし、4号君とアリヤとでフラグが立ち、なおかつエラン様がそれなりに、パイロット能力値が高いダイスを引いていたら、というifです。
__________________________________________________________________
敵は、エラン・ケレス。
僕に同じ顔を与えて、アリヤとの記憶を奪った奴。
奴が今、F/D-19XG型ザウォートに乗って僕たちを追撃しに来ている。
ただでさえ大きな推進機に、さらに大型の翼をつけて出力を上げ、僕らに迫る。
……面白いじゃないか、やりあおう。あんたたちが僕に代わりにさせていたGUND-ARMの実験の成果を、MS操縦術ごと返す時が来た。
僕が駆るファラクトβ、これもペイル・テクノロジーズの真髄だ。僕はエネルギー残量が少なくなったビームライフルを構えて相手を真正面から迎える位置につき、
「パーメット・スコア、2!」
「やめろ、■■、私たちのカバーじゃ足りないか?」
精神感知でつながっているアリヤが音声通信で呼びかけてきた。
「足りないとかじゃない、アリヤ。悔しいけれど、パーメットの情報共有でしか扱えない武器もある」
「……わかった」
武器の扱いもだけれど、敵は目前、議論の時間はない。アリヤとの通信が途切れた瞬間、僕はザウォートのコクピットにビーム一閃、ライフルを撃ちこんだ。
狙いはGUND-ARMの精密性を万全に発揮して吸い込まれるような軌道を描くけど、敵はニュータイプの力でそれを阻止してくる。
実験機ザウォートが一瞬角度を変えたかと思うと、推進機の大型の翼がそのまま盾になってビーム直撃を阻止した。ほとんど同時にその翼の内からいくつもの弧を描いてガンビットが飛び出してくる。
コラキ、1体が2基に分離して対象を挟みこみ、電磁波効果で相手の機能を奪う武装、あれをこのβ機に搭載してファラクトはロールアウト予定だったはずだ、けど。
「させるか!」
さんざん、実験に使われたおかげで僕はよく知っている。
一度に全8体を制御するのはパーメット・スコアを上げてもなかなか大変で、脚部から射出されるコラキ2体はどうしても反応が遅れる。その隙をついてこちらのつま先搭載ビームで狙撃し――――――!?
「外れた!?」 - 181123/03/19(日) 20:21:57
「……よう、"俺"。当てが外れたようだなあ? こっちはアリヤ嬢と同じ、システムの直接感知で動いてるんでね、"俺"の思った通りには動かねえぞ?」
「…………っ!」
コラキが宙を反転、方向転換してまた反転、こちらに襲い掛かってくると同時にエラン・ケレスの音声が入ってくる。
癇に障ることに、このファラクトβはペイル社のMS、通信チャネルはあちらの手の内だ。
こちらを煽る言葉に乗ってはならない。僕は応答せず、踵を軸に機体をとんぼ返りさせてコラキを避ける。避け続ける。8体のコラキが同時に、同時にと見せかけてタイミングをずらし、また同時に襲ってくる、これを避けるのに精一杯、スタン攻撃は掠るだけでも致命的だ。
「おお! さっすが我が社の誇る機動力だ、婆さんたちも良い仕事してくれるぜ、ははは!…………あ?」
エラン・ケレスの嘲笑に耐えかね、僕が今にもパーメットスコアを3まで上げかけた時だった。
「■■、5体は私が引き受ける。3体ぐらいなら、君なら撃つのは容易いのだろう?」
音声ではなく、精神の共有でアリヤが僕の意識に入ってきて、視界が、風が吹き渡るように拡大される。
……宙域には、2枚の予備装甲板と3基の宇宙救命ボートがぐるりと並んで浮いている。ファラクトβの周りを取り囲んで、コラキを阻む。
アリヤの思念波で動くよう、ティルが占い石を取り付けてくれた盾だ。
「なあ、エラン様。ニュータイプ同士だぞ、お互い、読みやすくて助かるな?」
「無理しない方が良い、アリヤ嬢。実戦経験があるのはこちらだ、あんたはそのコピーしかできないじゃないか?」
「コピーだってなんだってかまわない、■■を守れれば……」
二人の会話の間にも、コラキはアトランダムな攻撃を続け、宇宙空間にあって手作りの盾はそれを阻み続ける。
コラキのセンサーは動くものを攻撃対象としてとらえるけど、盾はエンジンを積んでいるわけではなく、アリヤの思念で浮いているだけだから、電磁スタンは全く効果がない。
「ありがとう、アリヤ」
僕はビームライフルを構えなおし、任された3体を次々に撃った。 - 182123/03/19(日) 20:23:03
広がった僕の視界は、スペースランチ内のアリヤの姿も同時に見ている。
胡坐を組んで座ったアリヤは目を閉じて、身体の周りをぐるりと小さな光に取り囲まれている。
……全部で五つ、盾と連動した占い石だ。
占い石はひゅんひゅんと小さく飛び回って急転直下し、反転してまた軽く浮き、アリヤの身体を周回しているよう。
戦闘の真っ最中だというのに、目を閉じた彼女の可憐さと、その周りを光って飛ぶ石の光景が微笑ましくて気が緩みそうになるが、いや、その盾の軌道は、おかしい、コラキの売り物は不連続性の攻撃のはずなのに妙な規則性がある………?
「アリヤ、やめろ! コピーさせられている!」
「だめ、いや……っ、あぅッ……!!」
「アリヤ!」
ティルの声が飛び、アリヤは身体を二つに折り曲げるようにして胸を抑え、周りを飛び回っていた小さな光はただの石になって転がった。
そして、ファラクトβの、僕のコクピットのすぐ前。5枚の盾が一列に重なり、ザウォートのビームガンに貫かれている。
「あーあ、紙一重だったな……おい、"俺"よ、アリヤ嬢に感謝しろよ? こっちとしてはアリヤ嬢の意識を散らしてお前だけを撃墜するはずだったのに、ビームガンの軌道を読まれて、最後の最後でそこに盾を集められちまったよ」
「……■■。」
怒気を含んだティルの音声通信が入った。
「アリヤは俺が守っておくから。いいな?」
「……わかってる」
僕は一気にザウォートの胸倉まで距離を詰め、袈裟懸けにビームサーベルを振り下ろした。 - 183123/03/19(日) 20:29:15
アリヤvsザウォートのコラキは書いておきたかったシーンなので、もうこれで満足です。
あと、もしかしたら有能だったかもしれないエラン様w
こんな供養分にまで保守いただいて、ほんとにありがとうございました。
おかげさまでスッキリです! - 184二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 23:29:12
ありがとう!ありがとう!
- 185二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 09:09:19
何度でも乙よ
- 186二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 17:15:07
このss薄い本にしないかスレ主
- 187123/03/20(月) 21:14:11
いやー、やっぱりこれはここのダイスあってこそのssなので本の形はちょっと無理かと…
ダイスの選択肢をアリヤの占いという形で組みこんでしまってるあたり、清書がめっちゃムズイですw - 188二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 23:58:15
オカルト要素があるキャラはダイス映えするから便利
そんでヒロイン適性もあるアリヤは優秀 - 189二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 09:20:13
2期で改修型ファラクトに期待してる
- 190二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 19:44:59
色違い2Pカラーファラクトでも良し
- 191二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 23:55:32
ファラクトΩまで作ろう
- 192123/03/22(水) 08:56:24
ファラクトΩまでいったら永遠にファラクトはロールアウトしないことに…w
けど水星でファラクトにエアリアルと同じ機構を組み入れられることになったら、4号君も安全なガンダムに乗れることになるので、良いですね
それがファラクトΩか
SSの中ではハブってしまったけど、強化人士実験が明るみに出て4BBA消滅となったら、ペイルの中では泥をかぶらないといけないベルメリアさんのフォローもしておきますか。
1. 人倫に悖る実験をしてたんで実刑を受けてもらう。容赦ないよ
2. よろしくない実験をしてた罪はあるけど捜査協力すれば恩赦になるよ
3. 犯罪を強要されてた被害者として扱うけど表には出せない。■■君と一緒に水星で今後の実験に協力してね
4. CEOが全員使い物にならんのでペイルの後始末をする人材は必要。馬車馬のように働くのだ
dice1d4=3 (3)
- 193123/03/22(水) 08:59:49
水星で先輩と邂逅してどうにか満足な研究者生活を送れそうかな?
本編2期の行方次第で天国か地獄か両極端になりそうではあるけど、天国の方になりますように… - 194二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 18:09:18
一番マシで希望があるかもしれない…とりあえず良かった
- 195二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 23:12:56
ベルさん一番生き残って欲しいキャラだから本編でもこうなる事を願ってる
- 196二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 09:03:42
天国でも地獄でも死んでるかもしれないっていう…
- 197123/03/23(木) 13:10:12
とりあえずこのss内では誰も不幸にはならないということでお願いします。
地獄を見るかもしれないけど、脱出口もきっとあるかと。
■■君の行く末を本編2期の展開任せにしちゃったのはしまらなかったなーと思いますが、ここのダイス神は一貫していちばん平和なルートを望まれてたんで、きっとそうなるでしょう。 - 198123/03/23(木) 13:12:15
コメの残数が微妙で、完走が惜しくてだらだらここまで続けてしまいましたが、ここらへんで本当に閉じることにいたします。
皆さま、ここまで読んでくださって、お付き合いくださってありがとうございました。 - 199123/03/23(木) 13:14:44
全てのキャラが幸せな場所に落ち着きますように。
- 200123/03/23(木) 13:15:30
完結