- 1二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 22:58:16
「今のタキオンは昔ほど独りよがりじゃねェと思うぜ。少なくとも、お前を呼び捨てにしてるうちは。」
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「邪魔すンぞ。」
「失礼しまーす。このあたりでいいかな?」
徹夜明けがたたって教室で寝落ちしていたタキオンさんを運んで来たのは、意外なこと───でもないのでしょう、シャカールさんとファインさんでした。
旧理科準備室。かつて私が占拠していた部屋にやってきて、当たり前に居座り始めた人は、雑にソファへと投げ出されて寝息を立てています。はあ、随分と呑気なものですね、あなたも。
陽も傾き始め、オレンジ色が部屋を埋め尽くす時間帯。特にこの後予定もない私たちが、会話をしない理由はあまりありませんでした。
「その、なんだ。コイツなりに信頼してるってことだと思うぜ。」
タキオンさんを横目に、呑気だな、と思ったことを悟ったのか、シャカールさんが口を開きます。
「......それはとても感じています。良くも悪くも......。実際、この部屋に寮の自室とは違う居心地の良さがあるのは事実です......。」
「そうじゃねェ」
少し食い気味に訂正されたことには驚きました。この部屋にはタキオンさんがかき集めた実験器具に各種資料、彼女が生み出した研究の軌跡が詰まっています。その他に何が?という疑問は、直後にファインさんが教えてくれました。
「その居心地の良さって、カフェちゃんが作ってるんだよーって思うな。」 - 2二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 22:58:32
私がタキオンさんにとっての居心地の良さと言われても、私自身はいまいちピンと来ないのです。実験は基本拒否するし、珈琲派は譲りません。せっかくお土産で買ってきた紅茶には砂糖を山ほど入れるし(砂糖が切れかかっていたのを思い出しました)。あと、門限までにはデジタルさんに寝てるこの人を迎えに来てもらわないと───ってあれ?
思っていたよりも、思考がタキオンさんを中心に回っていることがあるような。
「......少し、世話を焼きすぎているかもしれません......」
「昔はそんなに人に甘えるヤツじゃなかった。ま、これに関してはカフェ、お前の功績だな。」
功績と言われると少し反論したくなりますが、思い返すとこれを補強する場面ばかりが浮かび上がってきます。悔しいですが、甘やかしたのは事実らしいです。まあ、自他ともに認める友人関係、ということにしておきましょう。
「今のタキオンは昔ほど独りよがりじゃねェと思うぜ。少なくとも、お前を呼び捨てにしてるうちは。」
ここで、悪い顔をしたファインさんが一言。
「ふふ。その言い方は、昔のタキオンをたくさん知ってるみたいだよ?」
いつも明晰なシャカールさんが、意地悪な詰められ方をしているのがどこか可笑しいです。相変わらずファインさんに対しては弱々しくて分かりやすいです。
「私は高等部からここに来たから、昔のことを知りたいなー。」 - 3二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 23:00:30
みたいな感じで始まる、本命を呼び捨てにするタキオンさんが中等部時代に呼び捨てにしていたという設定のシャカール目線で語られる、丸くなったタキオンさんにジェラシーとその他感情が入り混じったお話が聞けると聞いたんですが
- 4二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 23:02:23
完成したものがこちらにございます
- 5二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 23:06:41
コメントの仕方がわからないのでいいね推しました
- 6二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 23:30:39
良いですねぇ…… タキオンも罪作りだな
- 7二次元好きの匿名さん23/02/17(金) 23:36:12
>>1 ですが、続き考えてないけどプロットは以下を想定してます。
- タキオンは本命を呼び捨てにする
- 中等部時代はシャカール呼びだった
- 高等部になって、🧪カフェと絡むようになった、⚡ファインが日本に来た、ことで各々CPが成立
- かつて自分に対してはそこまで甘々じゃなかったぞ(後方元彼面)シャカールが若干のジェラシーをカフェにいだきつつかつての思い出をつらつら語りファインがイジって終わり
- 8二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 00:32:45
最近さまざまなスレでのタキオンさんの攻守が目まぐるしい
- 9二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 03:39:23
中等部時代シャカタキ流行れ流行れ流行れ
- 10二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 06:20:31
アイツが呼び捨てにするのは、どんなときだってひとりだった。
「シャカール」「シャカ↑ール!」「シャカァールゥ!!!」
当時のアイツは、俺の名前を呼ぶときだけ敬称を付けなかった。その時期最も親密である証。俺が勝ち得ていた、そして今、目の前の青鹿毛が美しいウマ娘に向けられた唯一無二の感情。
中等部の俺たちが惹かれ合ったのは何の不思議も無い。月並みな言い方をすれば、“理系”だったから。
物事には理由がある、起きた事象には必ず原因がある。この感覚をちゃんと捉えて、この世の全てに因果関係を見出す人種。
それに抵抗がない俺たちはその話ができる。今振り返って思うのは、こんなに近しいところに理解者ができたことが嬉しかったんだ。それだけで十分なくらい、若かったんだと思う。それ以上を求めるには、きっと若すぎたんだ。 - 11二次元好きの匿名さん23/02/18(土) 06:37:59
「タキオンはオレといるときに滅多に寝なかった。まるで、見せるべき顔を決めているみたいに。」
こんな顔して話をしたのはいつぶりだろうか。ファインとお互いの腹の中をぶつけ合ったときもこんな沈んだ顔はしてねェはずだった。
「ねえシャカールひどい顔だよ?わたしが一旦帰るって言ったときもこんな憂鬱な顔しなかったのに!」
「プログラムのバグの原因が......たしかあのときは3日でしたか......わからなかったときよりもひどい顔かもしれません......。」
ここまで言われるとむしろ鏡を見たくなるなァなんて思ってしまう。
元々親密だったヤツの話を、ソイツの今の本命と今のオレ自身の本命の前で話してるんだ。ややこしい!少しくらい察してくれ!淡い思い出が胸を刺してくるこの感覚がお前らに分かってたまるか!