- 1二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:28:48
何番煎じかもよく分からないけど、AIのべりすとを利用して、安価SSをやってみようというスレです。
参加者がいなくなったら消滅してエタります!
まずジャンルを決めます、>>2 (AIノベリストの脚注に貼ります)
ファンタジーにプラスしてって感じになります。スレタイがファンタジーだから!
- 2二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:29:07
- 3二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:29:15
伝奇
- 4二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:35:03
- 5二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:35:52
安価ズレてない?21
- 6二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:36:52
- 7二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:37:18
モヌメント葦原
- 8二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:37:53
女性
- 9二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:38:02
探偵
- 10二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:38:06
男
- 11二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:38:43
モヌメント草
- 12二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:39:27
トンチキですね…
- 13二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:40:45
- 14二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:41:37
- 15二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:42:02
薄暗い霧の中
- 16二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:42:04
解凍されたその瞬間にはもう目の前は深海400000㎞であった
- 17二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:50:37
- 18二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:51:05
がんばれー
- 19二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:51:46
- 20二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:52:19
私の名前は、モヌメント葦原。親しい友人はモニュと呼ぶ。
この大陸でも有数の大都市で育った私は、街で唯一、探偵を職業としている者だ。
街の出身者は、たいてい、商人や芸人になる。街に集まる人間を相手にする商売というのが共通点だ。
だが私は、同じ共通点を持つ探偵という仕事を選んだ。もっともこの世界では、探偵という職業に理解を示す者は少なくて、相談事を専門にしている冒険者だと認識しているものがほとんどではある。
便利だから冒険者ギルドに籍も置いてるのも原因だとはいえ、21歳になるまで、もう十分に仕事をこなしてきたのだから、もうちょっとメジャーになって欲しいと思う。
◆
その日、私は裏路地にいた。
夜になると通りを照らすのは灯りの魔法のかかった街灯。
だが、裏路地にはそれも届かない。
どこからか漂ってきてきた霧のせいで、今はもう数歩先も見えなかった。
「なんで私がこんな目に……」
今日の依頼は簡単なはずだった。
この街の外れにある小さな村からの依頼だったのだが、村の畑が何者かによって荒らされているとのことだった。
被害にあった畑を見に行くと、そこには人骨が落ちていた。
その人骨はどう見ても
どう見ても・・・? 安価>>22
- 21二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:53:19
私のものであった
- 22二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:53:31
皇帝
- 23二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:55:00
皇帝やべえ
- 24二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:56:07
畑に落ちてる人骨が皇帝の末路ですか…
- 25二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:56:41
国大混乱になってそう
- 26二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:56:59
皇帝の骨は丁重に葬ってやれよ
- 27二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 12:58:18
滑り出しとしてはインパクトクッソでかいですね
- 28二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:18:41
その人骨を探るうちに、その人骨が羽織っていた服や装飾品の残骸をひとつひとつ調べているうちに、私は恐ろしいことに気付いてしまった。
こいつは皇帝のものだ。つまり、これは事件なのだ。
かつてその強大武力で大陸を蹂躙した帝国。やがて民衆の中から産まれた反乱軍の台頭により討ち取られた皇帝の遺体は、帝都へ運ばれて霊廟にて埋葬されたはずだ。
そんなものが、どうしてこんな村の畑に?
しかも畑荒らしの痕跡を見ると、かなり手慣れた犯行のように思える。
犯人は帝国の関係者なのか? それとも帝国以外の国の人間の仕業なのだろうか? どちらにしても、このまま放置しておくわけにもいかない。
私はすぐに村を離れて都市へと戻ると、冒険者ギルドを通じて調査を依頼することにした。 - 29二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:19:46
きなくせえなあ…
- 30二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:21:33
確実になんかヤバいの差し向けられそうでな…
- 313ページめ21/11/14(日) 13:21:51
そして数日後、私の元に現れたのは、いかにも冒険者らしい風貌の男達だった。
「依頼内容は、この村に最近現れた正体不明の人物の調査です」
男達は顔を合わせて変な顔をした。基本、冒険者はモンスターの退治を生業としている。聞き込み調査のような仕事は専門外のものが多い。
だが、冒険者の中には、そういう仕事を得意とするものだって少なくはない。
「報酬は金貨100枚。成功報酬です」
ちょうど今、報酬額を聞いて口笛を吹いた痩せぎすの男がそうだ。
冒険者といえども、彼のような裏世界に通じている人間は必要だ。
「それと、もし何らかの理由で戦うことになり、これを捕縛することができたら、さらに追加で50枚の謝礼をお支払いします」
この追加条件に、冒険者たちは黙り込んだ。言外にそういう危険が十分に考えられるということを察したのだろう。金貨100枚の報酬はかなりの額だが、それを払うだけの仕事であることは理解してくれたと思う。
もっとも、私にとってもその危険がどのようなものかは未知のものなのだけど。
「期間は3日間。その間、宿もこちらで手配させていただきます」
村に泊りがけで三日間。
畑荒らしはまだ続いているらしい。皇帝の人骨は元に戻しておいた。
つまり、犯人はなにかを探している。
「ただし、危険を感じた場合はすぐに逃げてください。無理をして怪我をすることもありえますからね。できれば、なにかの証拠品を持ってきてもらえれば嬉しいです」
これは、もしも手に負えない問題だったときの保険。
「もちろん、犯人の正体については口外はなしで。公表するかどうか、役所に突き出すかどうかはすべて私が判断します」
この提案に冒険者達は再び難しい顔をした。うん、分かるよ。警戒心を刺激するよね。今ぜったいめちゃくちゃ怪しい人物だと思われてるよ私。
冒険者のリーダーがギルドのマスターに目配せとかしてるし。ちゃんと頷いてくれたから危険はないと判断してくれたと思うけど。確認される時点でかなり胃にくる。
「何か質問はありますか?」
冒険者たちはしばらく顔を見合わせて何かを話した後、例の痩せぎすの男が代表して首を振った。そして、リーダーの戦士らしい男性が、仕事の依頼書を手に取る。
「では、よろしくお願いします」
その日のうちに、彼らは村に向かった。
◆◆◆
冒険者たちがどうなったか大雑把に、>>32
- 32二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:22:13
- 33121/11/14(日) 13:22:37
すいません安価まちがいです>>40で!!
- 34二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:23:09
2コマ落ちするとこだった
- 35二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:23:36
ksk
- 36121/11/14(日) 13:24:08
- 37二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:24:44
いつかだれか爆散するんだね…
- 38二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:25:07
きたねぇ花火だ…になるのか
- 39二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:25:15
死亡(外傷なし)
- 40二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:25:19
便槽で発見された
- 41二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:25:40
雛見沢村の梨花ちゃまがいますね…
- 42二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:26:19
中々ハードな世界観だ
- 43二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:31:24
でも死んでるとは限らないし…
- 44121/11/14(日) 13:42:28
二日目の夕方頃、村から村長の言付けを預かった人がやってきた。
私が雇った冒険者たちは、全員が村の片隅にある公衆便所の、その下にある便槽の中で発見されたのだという。もちろん、全員が死体として。
「一体何があったんですか?」
「分かりません。私達が見つけたときにはすでに便槽の中で……」
冒険者の死体は全部で7つあったのだという。そのうち6つの死体は装備や冒険者を証明する腕輪から、私が雇っていた冒険者であることが確認されたのだという。
そして、残りひとつの死体も、その装備が身元を証明するものだった。
「あの鎧は、その、まちがいなく……かの帝国の、それも皇帝陛下のものであると」
「ああ、あの物語にも描かれている、皇帝の鎧ですか」
「自分は村育ちですが、あれは見たことがあります。ここの大劇場でも、皇帝が討たれるまでを描いた物語は上演されていたでしょう? それを見たことがあって……」
「だから、皇帝の死体だ……と」
この2日の間に集めた話では、皇帝の遺体が盗まれたという情報はなく、そもそも皇帝の霊廟には鍵がかけられており、誰も入れない状態だったらしい。
皇帝の遺体は霊廟に安置されていたはずなのに、それがどうして畑に?
なんて、バカな疑問を私は抱いたりはしない。
「…………死体は、どれも人の形を留めていたんですよね?」
「それは、もちろんそうですが、しかしなにしろ便槽の中に半日も沈んでいたのですから、それはもう酷い有様で」
「人相が分からないぐらいに?」
「ええ、顔は、その、潰れていたと思います。」
「なるほどね」
息を吐く。なんとなくだけど、この事件の全容は見えてきた。
ただ、思っていたよりも良くない事態だとも言える。なによりも酷いことは。私が雇った冒険者達が殺されたこと。危険の大きさを見誤った。大きなミスだ。
顔を両手で覆ってしばらく呻く。きりかえろきりかえろ。次の手は失敗できない。
「この話は、村の外には?」
「まだどこにも伝えていません。何があるか分かりませんから」
「賢明な判断ね」
頷くと、私は話を聞いていたテーブルから立ち上がった。
カウンターの奥に立つ店主を呼ぶと、いくつかのお願い事をして、村人と一緒に事件の現場へと急ぎ向かった。
◆◆◆
村では何が起こっている? >>50
- 45二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:43:51
飢饉
- 46二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:43:54
判断ミスっていうにはあまりにも予想外なんだよなあ…
- 47二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:44:08
かっそっく
- 48二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:44:39
なろうでやっていけそう
- 49二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:45:03
インフラ整備
- 50二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:45:10
洪水
- 51二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:45:24
あにまんまん破壊
- 52二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:46:18
殺人事件と洪水かー…大変だなあ
- 53二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:48:52
悲惨だなあ…一村落でどうにかできるアレを越えてるよ
- 54二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:49:37
村捨てた方がいいまである
- 55二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:50:27
呪われてるのでは?この村
- 56二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 13:50:51
皇帝の呪いか
- 575ページめ21/11/14(日) 14:01:59
村には洪水が押し寄せていた。
上流から流れる水の量が劇的に増えたせいで川幅が広がって、川と村の間にあった籍が破られて一気に村の半分ほどが洪水に飲み込まれたらしい。
雨や嵐に襲われたわけでもないのに、村の残り半分をも飲み込まんと押し寄せる水の勢いは激しく、高台から見下ろすそれはどこか非現実じみた光景だった。
「村人の皆さんの避難は?」
「すでに終わりました。幸か不幸か、今日の事件のことも合って村人たちが浮足立っていたのが良かった。川の状態が判明して、すぐに避難することができました」
疲れた表情で村長が言う。
皮肉なことに、荒らされた畑は村から離れているので、洪水の被害にあってはいない。
だが、住む家を奪われた今、畑だけが残ったとしてどうしろというのか。
「……例の、便槽から発見されたという、皇帝の鎧は今どこに?」
「それでしたら、半日をかけて清めて死体とともに教会に移したところなのですが」
洪水から避難する時に、そのまま置いてきたのだと聞いて、私は胸を撫でおろした。
それならば、彼らに害が及ぶことはもうない。
ついに村の中心に洪水が届く。村の中でも一番立派な建物であった教会が、洪水に押し潰されるようにひしゃげ、崩れていくのを見て、村人たちは嗚咽を漏らした。
けれど、それで終わりじゃないことを私は知っている。私はじっと崩れ落ちる教会を見ていた。今、このタイミングでできることはほとんどない。見極めることしか。
「なんだ、あれは!」
村人の一人が教会を指差して叫ぶ。
崩れ落ちた教会の中心に、人影が立っているのを見つけたのだ。
帝国、皇帝の鎧。それが洪水の中心に立っている。そう、中心だ。今や洪水だったものは、渦巻き逆巻く水の螺旋となって、皇帝の鎧を襲っていた。
「皆さん、近づかないでください! 距離をとって!」
皇帝の鎧の手から光が放たれ、水を弾く。だが、弾けた水は再生して皇帝の鎧に叩きつけられる。そのたびに、鎧はひしゃげ、動きが鈍っていく。
皇帝の鎧と洪水の対決、その結果は? >>65
- 58二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:03:23
やべーことになってきた。ファンタジー感すげえ
- 59二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:05:36
鎧マジでスゲエんだな…
- 60二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:05:49
空に昇っていった
- 61二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:06:38
かそくく
- 62二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:07:13
天から祝福の光が差し込まれ、跡形もなく四散
- 63二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:07:46
かそく
- 64二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:08:12
地割れが起きて水も鎧も落ちた
- 65二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:08:41
むしろ合体
- 66二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:09:46
村滅びそう
- 67二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:10:40
もう滅びを待つのみか…?
- 686ページめ21/11/14(日) 14:39:34
「どうなるんでしょうか、これは」
「鎧が壊れるように祈って」
村長の言葉に、私は視線を向けずに答えた。
両手はを合わせたままギュッと手を結んでいるのは、そういうことだ。情けないことに、この勝負の結果で、私たちの運命は決まる。
「鎧が壊れる……あの水を応援してるんですか!?」
「たぶん、そちらの方がマシだから」
私がそう言うのと、蛇のように鎌首をもたげた水の塊が、その先端を皇帝の鎧の胸に突き刺したのは同時だった。
「おお……!」
村長の感嘆の声が上がる。
皇帝の鎧は、胸に刺さった水を掴むように両手を合わせる。輝きが繰り返し明滅する。水にその光が広まっていく。まずい、やめろ。押し寄せていた水が、皇帝の鎧にみるみる吸い込まれていく。ああ、ダメだ。終わった。
村を襲っていた洪水は、すべて皇帝の鎧の中に吸い込まれた。
高台に集まって戦いを見ていた村人たちがシンと静まる。洪水から救われたと思うには、瓦礫となった教会の上に立つ皇帝の鎧は、あまりにも不気味だったからだ。
「逃げましょう、今すぐ」
『そなたら』
避難の指示を村長にお願いしようとしたのと、声が周囲に響いたのは同時だった。
鉄を擦り合わせて出しているような、耳に響く、耳障りな音だ。声と言うにはあまりにも不気味で、異質だ。感情の欠片すらそこには浮かんでいない。
だが、皇帝がこちらを見ている。皇帝の、兜に完全に覆われた頭部がこちらを向いている。だから、自分達に向けて話しかけていることはイヤでも分かった。
『服従し、我が帝国の民となれ』
手のひらを向けて鎧はそう言った。耳に触る声、耳の中で軋む音。とっさに耳を抑えたけれど、音が隙間から入り込んでくるようだ。気持ち悪さに膝をつく。
とっさに周囲を見回すと、村人たちは皆、地面に額を擦りつけるようにして跪いていた。
「……何様の、つもり、ですか」
絞り出すようにして声を紡ぐ。血を吐くんじゃないかっていうぐらいに喉が痛い。
皇帝の鎧は、ふわりと宙に浮くと、高台へと降りてきた。
がしゃりと足甲が音を立てる。洪水に破壊されてひしゃげていた部分はすでに修復しているようだ。 - 697ページめ21/11/14(日) 14:40:23
『我は皇帝である。女、お前は何者だ。我が意志に屈しない貴様には、皇帝に名を名乗る栄誉を授けよう』
そんな言葉を囀りながら皇帝の鎧は手甲を向けたまま、ゆっくりと糸を操るように動かしている。頭の中を何かが探っているような感覚が続く。ゆっくりと頭の中が鈍りそうになる。思考を止めるなと理性が警告する。
「私の、名前は、……モヌメント・葦原。……し、たしい仲間はモニュと呼びま、す」
口から滑り出た言葉の半分は、もう私の言葉じゃない。
『我をこの地に埋めたものはどこにある。まずは、それを滅ぼそう。次には我を呪ったエルフ共を。その次に我を破った反乱軍の者たちを。すべて』
反乱軍は、皇帝を滅ぼすことができなかったのだ。
今も皇帝の鎧は、皇帝を再生させようとしている。自分を動かすための部品として。
それどころか、かつて皇帝に向けられたエルフの呪いは再生し続ける皇帝の鎧をめざして周囲に災厄を撒き散らし続けていた。霊廟になんて入れられるはずがない。あそこは帝国の民たちが山のように集まっている。洪水に襲われたらひとたまりもない。
反乱軍の連中は、死体の扱いに困って、こんな村まで移動してきたのだ。
最初に畑で見つけた白骨がまとっていたのは皇帝の鎧の欠片の意匠だけだった。それが再生して、今、目の前に立っている皇帝の鎧にまでなっている。
一度再生した体は殺したけれど、こいつは再び体が再生するまでに使える、新しい体を手に入れた。エルフの呪いを取り込むなんて、反乱軍の連中も想像していなかっただろう。私だって想像してなかったし。
『さぁ、言葉にしろ。我をこの地に埋めたものはどこにある?』
皇帝の言葉が繰り返される。頭の中を探る見えない指が、私の口を開かせた。
◆
皇帝の鎧を埋めたのはどこのだれ? >>73
- 70二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:42:51
面白い展開
- 71二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:45:36
反乱軍もやっぱクソっすね…
- 72二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:47:12
あの頃のイッチ
- 73二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:47:30
恐らく従兄で力士をやってる反乱軍のヴィリー
- 74二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:47:40
墓からよみがえったあにおじ
- 75二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:48:27
力士やってるって事はだいぶガタイのいい男なんだろうな
- 76二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:49:02
反乱軍でもそこそこの大物なのかもしれない
- 77二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 14:51:52
四股名が気になるところだな
- 788ページめ21/11/14(日) 15:14:11
「り、りり、力士って、知ってる……?」
私は口を開いた。ゆっくりと、慎重に、言葉を選ぶ。思考を巡らせる。
『……?』
皇帝の鎧は答えを返さない。兜の奥に輝く光が、じっと私を見つめている。
「ニホンって国の、スポーツ、スポ、そう、競技、競い合うの、人がたくさん見てる中で、二人の男が、力をぶつけ合う。それの、競技者が……力士…………」
皇帝の鎧が言葉を止めようとしないのは、私の言葉に自分の知らない単語が多く含まれているからだ。こいつの問いが続く限り、私の思考はいずれ答えに辿り着くしかない。
「力士はね、強いのよ。それも、神聖なものとして扱われてる。神の前で戦う、ウォーリアなの。だから、武器もなく、マワシ一つだけの姿で、肉体をぶつけ合う。そのための肉体を持っているの」
だけど、答えに辿り着くまでに、まわり道をすることを、こいつは止められない。
私の口にするそれが、必要な情報か不要な情報かを判断するには、知識が足りないのだ。
「私の、その、育ての親の、お姉さんの子。えと、そう、従兄。従兄に、子供の頃、よく遊んでもらってたの、私、おでんばだったから。外で遊んだりね。その時に、こう、スモウごっこをしたのよ。スモウ。分からないでしょう?」
頭をぐるぐる回す。皇帝の鎧が、手甲を動かした。
ひきつるような頭痛が増して、喉が締め付けられる。息をするのが苦しくなる。
「スモウをとるのが、力士。その従兄は、とっても強かったから、こう言ったのよ。『ヴィリーはすごく強いからきっと力士になれるわ! シコナはそうね、ヴィリー之海がいいわ』ってね。だから、ヴィリーは力士なの。そう、ヴィリーが従兄の名前。するとヴィリーはこう答えた。『ぼくは力士になんからならいよ! 今日、劇場で見た、皇帝をやっつける反乱軍のお話。あれに出てきた皇帝に反旗を翻した騎士たちみたいに、誇りのある騎士になるんだ!』ってね。それからヴィリーは両親と一緒に帝都に向かったの。そう、帝都!」
もっとゆっくり話さないといけない。
そう思っても早口になってしまう。思考の速度をいじられているのだ。もっと、もっと考えなきゃと思っても、そろそろ考えるのも限界だ。もう、まわり道できる場所がない。
「きっとヴィリーは、帝都でかつての反乱軍の元に立ち、立派な騎士になったにちがいないわ! だから、あなたをこの地に埋めたものは、ヴィリーだって信じてる!」 - 799ページめ21/11/14(日) 15:14:47
ああ、言ってしまった。これが終点。くそ。
皇帝の鎧が、兜の奥で目を細めたのを感じる。つまり、怒りだ。
『……女。……貴様、なにも知らないな?』
もちろんその通り。
だけど時間は可能な限り稼いた。これだけたくさん稼いだんだから、どうかその時間が無駄になりませんように。
祈りの言葉を頭に浮かべる。皇帝の手甲が握りしめられる。頭の奥が焼けるのを感じた。
次の瞬間、皇帝の鎧が爆発四散した。
◆◆◆
助けに来たのはだれ? 適当にキャラクターとか職業とかをどうぞ>>85
- 80二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:15:29
なんとかAIくんがひり出してて草
- 81二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:16:51
かそく
- 82二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:17:36
剣士風の男
- 83二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:18:44
大イカ
- 84二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:18:46
ギルマス
- 85二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:19:05
- 86121/11/14(日) 15:20:06
なんかMTGのカード名みたいな人出てきた……!!
- 87二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:22:24
カッコいいだろ…?
- 8810ページめ21/11/14(日) 15:48:21
「偉大なる皇帝の鎧も、あっけないものだね」
空気から生まれるようにして、白衣の人物が四散した皇帝の鎧の爆心地の少し後ろに出現した。たぶん、透明化して隠れていたんだろう。試算した破片で傷ついてないから、透過する魔法か何かかもしれない。羨ましい。
「……まだです。すぐ再生します。今のアイツの本体は、エルフの呪い水です」
「話が違うじゃないか」
白衣の人物の、薄く笑っていた端正な顔が真顔に変わった。それはそうだろう。私だって呪いを吸収してパワーアップするなんて展開、想像もしてなかったし。
皇帝の鎧は、爆発四散した状態から逆回りに元に戻っていく。その肉体を構成している液体が、破片の一つ一つを引っ張ってるのだ。しかも呪いの力をそのまま原動力にしてるせいで、バカみたいに修復の速度が早い。
「さっきのはもう一度できます?」
「無理だ。あれを作るのに一年かかった。くそ」
今にも逃げそうな顔をしている白衣の人物の、裾を掴んで引き止める。こいつは逃げられても、私と、動けない村人たちは逃げられない。
「ほかにできること。急いで、言ってください。なんでもいいです。はやく」
「待て、離せ。私は死にたくない」
「言え」
絶対に離さないという意思を込めて、両手で白衣をしっかり掴んでやる。
皇帝の鎧は、もうすぐ完全に集まって再生を終える。それまでに私を引っ剥がすことを諦めた彼は大人しく私の言葉に従うことを選んだ。
「私は堕天使だ。だから魔を支配することはできるが呪いは専門外だ。もちろん魔法生物も専門外。能力で操ることはできない。私は科学者で、さっきのは超強力な爆発反応を起こす物質を使った。他にも科学反応を起こす物質は持ってきているが、科学では物理的な効果しか起こせない。魔法に干渉はできない」
「確か呪いは魔法現象じゃないですよね?」
「……呪いは因果に影響を与えて物理現象を起こす。奇跡の裏返しだ」
「温度を下げる科学反応は起こせますか?」
私の言葉を聞くと同時に、白衣の男はすぐさま再生しつつあった皇帝の鎧へと振り返り、その懐から何かを取り出して手のひらから放った。
『皇帝に、したガエ…………!』
手甲をこちらに伸ばしたポーズのまま、皇帝の鎧は凍りついた。
そしてそれきり動かなくなった。
「それで、次はどうする?」
「考えがあります」 - 8911ページめ21/11/14(日) 15:49:43
転移の魔法を感じる。
ほんの一瞬で、凍結していた自らの仮の肉体が砕ける。
それは破壊ではない。
砕けるのに合わせてそれは液体と戻り、液体は自らの肉体として自由を取り戻すのだ。
ここがどこだとしても、自らが不滅の存在であることを彼は知っている。ゆっくりと再生して力を蓄え、再びこの世界に皇帝として帝国を築き上げるのだ。
それはほんの僅かな刹那の思考。
皇帝の鎧は、知覚を周囲に巡らせた。
だが、解凍されたその瞬間には、もう目の前は深海400,00Kmの彼方であった。
最後の瞬間にそれが見たものは、無限の海に沈む巨大なる邪神の眠る姿。
それきり、皇帝の鎧は二度と動き出すことはなかった。
◆◆◆
こっからは後日談です。村はその後どうなった? >>95
- 90二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:53:34
深海要素回収してて草
- 91二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:54:11
ちゃんと深海要素回収しててえらい
- 92二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:55:14
いやあ偉大な叙事詩だった
- 93二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 15:59:57
なんか栄えた
- 94二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:05:16
ksk
- 95二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:05:22
KSK
- 96二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:05:29
帝国残党も反乱軍も脅して復興資金をたんまり稼いだ
- 97二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:06:35
今度は村が重加速しはじめたらかわいそうですし、次の>>96を採用しますね!
- 98二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:07:32
流石にね…
- 99二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:11:36
エピローグいいねえ
- 100二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:20:19
思ったよりちゃんとしてて草
- 10112ページめ21/11/14(日) 16:35:25
「交渉人の仕事、お疲れさん」
「はーい、ありがとうございます。お酒ください。よく眠れるあったまるやつ」
あれから色々合って、ようやくすべての仕事を終えて村から都市まで戻ったのは、一週間も後のことだった。あのクソ皇帝の手甲じゃないけど、頭脳の重労働で頭が痛い。
「まさか、帝国の残党が絡んでいたとはね」
「呪われた死体を無関係な畑に埋めた反乱軍もクソですけど、あんなクソ鎧の命令で生きる栄光が忘れられなくて掘り起こした帝国の残党もクソでしたね」
「クソの見本市か」
「反乱軍は、悪評を広めない約束で、帝国の残党は首にかかってた賞金で、たーんまりお金をふんだくってやりましたよ」
ケッと吐いてワインを喉まで一気に流し込む。喉が焼ける感じが良い。アルコールが頭に回って、ちょっと頭が悪くなる感じ。しばらくのところ味わえなかったから、ゆっくりと楽しみたい。
「そいつを村の復興資金にか。立派な心がけじゃないか」
「半分はもらいましたよ?」
「郵便ギルドのトムから、例の死んだ冒険者の家族に送金したって聞いたけどな」
「トムはクビですね」
「慈善事業のウワサは広まってナンボだろ。気を使ったんだから責めてやるな」
「そういうの嫌いなんですよ。私の中ではトムもクソの仲間入りです」
「かわいそうに」
お代わりのワインが注がれる。奢りだ。余計なことを口にした詫びだろう。
こういう気が利くところが、このおっさんが冒険者ギルドのマスターを続けてられる理由の一つだ。味方を増やすよりも、敵を少なくする方が良い職業もある。
「ところで、例の鎧はどうなったんだ?ちゃんとほら、もう、戻ってこないんだろうな?」
「大丈夫ですよ」
「一体どこに送ったんだ? 反乱軍の連中にはちゃんと教えてやったんだろう?」
「ヒミツです」
とある事件で関わった、海辺の村の教団の人達にお願いしたのだ。
彼らの偉大なる神の身許に送ってほしいと。
本来それは、彼らの一族のみが許される栄誉なのだが、大陸を支配していた皇帝その人もまた、偉大なる神の身許で眠る権利があると考えたのだろう。
自分もいつかその時が来たらと誘われたけれど、丁重に断っておいた。 - 10213ページめ21/11/14(日) 16:35:49
こうして、村を荒らした犯人達は牢に入って、ついでに皇帝の鎧は永遠に歴史の闇に葬られた。
一つだけ心残りは、恐らく冒険者達を殺したもの、エルフの呪い水については、多少、思うところがあるのだけれど、エルフに触れる勇気はないので、胸の底に沈めておくことにする。
私はお代わりのワインを飲み干して、彼らの冥福を祈るのだった。
◆◆◆
『村外れ、皇帝の人骨不法投棄事件』 END - 103二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:39:03
乙!
すごい丁寧なプロットだったな… - 104あとがき21/11/14(日) 16:39:52
お付き合いありがとうございました!
安価をくださった皆さん、ありがとうございます。この小説はみなさんのお陰で完成しました。
そしてAIのべりすとは、なんかこう、割とめちゃくちゃな文章になるので、修正、修正しまくりでした。
実は冒険者のシーン、なぜか全部主人公が一人で喋ってる謎のシーンになって恐怖しかありません。
機会があったらこの設定で、また別の話でも書いてみたいです
やるならば唐突に登場した科学者の人の設定&名前安価からスタートですね・・・
読んでくださった皆さん、すべてに感謝! - 105二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:41:41
- 106二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:43:20
力士のヴィリーの与太話で時間稼ぐシーン好き
そう受け取るのねぇ~って感じだわ - 107二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:44:35
ともあれ校正お疲れさまでした…!
またいつか見てみたいね - 108二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:46:51
そういえば探偵でしたね
- 109あとがき21/11/14(日) 16:52:23
もうなんかあの人を出した瞬間AIのべりすとがかなりバグって変な行動とらせまくってメチャクチャになるので、あんまり主張させることができなかったのです。私こそが皇帝だとか言い出すの……
次の機会があったら、なんか落ち着いたところでちゃんと描きたいですね!
「助けに来たぞ!」「ありがとうヴィリー従兄さん!」ってシーンが始まったけどなんやこいつ感がすごいので何度も書き直して今の形になりました!あんまり過去の設定参照しないからこんな感じに……!
うぇへへへ楽しかったです。ありがとうございます!
AIのべりすとも、だんだん語彙とか展開のバリエーションが増えてやがて校正あんましなくてもよくなっていくんでしょうねー
開始して即下請けに仕事を外注する探偵とかヤバいですよね!
一応推理能力はウッソだろなんで推測立てられるんだよっていうレベルで雑に超速理解してました(シナリオが雑)
- 110二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 16:58:07
面白かった
お疲れ様 - 111二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 17:10:00
やっぱ転移ってチートだね…
- 112二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 17:10:48
あとエルフは邪悪
滅ぼそう - 113二次元好きの匿名さん21/11/14(日) 17:21:48
うおお寝落ちしてたら終わってた!
お疲れさまです!!力士から笑いまくった - 114121/11/15(月) 01:26:22
読みやすいように、SSとして編纂し直してアップしました。
『村外れ、皇帝の人骨不法投棄事件』私の名前は、モヌメント葦原。親しい友人はモニュと呼ぶ。
この大陸でも有数の大都市で育った私は、街で唯一、探偵を職業としている者だ。
街の出身者は、たいてい、商人や芸人になる。街に集まる人間を相手にする商売というのが共通点。
だけど私は、同じ共通点を持つ探偵という仕事を選んだ。もっともこの世界では、探偵という職業に理解を示す者は少なくて、相談事を専門にしている冒険者だと認識しているものがほとんどである。
便利だから冒険者ギルドに籍も置いてるのも原因だとはいえ、21歳になるまでいくつも仕事をこなしてきたのだから、もうちょっとメジャーになって欲しいと思う。
◆◆◆
その日、私は裏路地にいた。
夜になると通りを照らすのは灯りの魔法のかかった街灯。
だが、裏路地にはそれも届かない。
どこからか漂ってきてきた霧のせいで、今はもう数歩先も見えなかった。
「なんで私がこんな目に……」
今日の依頼は簡単なはずだった。
この街の外れにある小さな村からの依頼だったのだが、村の畑が何者かによって荒らされているとのことだった。
だが、被害にあった畑を見に行くと、そこにはなんと人骨が落ちていたのである。…telegra.ph続きの一話、やってみようかなと思うけど、一時間ぐらい付き合える人いらっしゃいますかね?
- 115二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:28:09
やろうぜ
- 116121/11/15(月) 01:35:13
- 117二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:35:54
自分1人で決めることにならなきゃいいが……そうなったらすまん!
- 118二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:36:25
アンドレイ木納
- 119二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:36:44
料理
- 120二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:37:58
ネガティブ
- 121121/11/15(月) 01:40:52
安価ありがとうございます! 堕天使っぽい科学者の名前はアンドレになりました!
アンドレ:[フルネームはアンドレイ・木納。その正体は堕天使。男性。外見年齢は二十代。趣味は料理。趣味はネガティブ思考。] - 122121/11/15(月) 01:42:44
- 123二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:43:19
サイコホラー
- 124二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:43:32
グルメ
- 125二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:43:56
堕天使で科学者って設定やばいな
- 126121/11/15(月) 01:45:02
- 127二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:46:06
サイコホラーってなんなんだろうな?
- 128二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:46:48
テレビの中から女が
- 129二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:47:19
荒涼とした原っぱ
- 130二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:47:43
お茶漬けおいしい
- 131二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:47:44
クジラの群れ
- 132二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:48:18
頑張れー!
- 133121/11/15(月) 01:49:59
テレビの中から、荒涼とした原っぱ、お茶漬け美味しい、の要素からオープニングを書きますね!
なんだこれ!
あとサイコホラーなので最後は全部妄想オチとかだったら泣きます!私が!
ではしばらくお待ち下さいー。 - 134二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 01:51:07
お茶漬け入れたの俺だ!すまん!趣味料理だからなんとかなるかなって
- 1351ぺーじめ21/11/15(月) 02:05:36
大都市の郊外になにもない原っぱがある。
軍隊が駐留する時とかは、この原っぱいっぱいに天幕やら篝火だかが作られて、ムキムキの兵士だらけになるのだが、この季節は軍隊はよそに出払っていて誰も使っていない。
そんな場所に、不法投棄されたゴミの山があった。
壊れてバネが飛び出したソファに、錆びついた冷蔵庫、ブラウン管のテレビ、動かないレンジ。えとせとら、えとせとら。そこにはいわゆる粗大ゴミが山と積まれている。
もっともこのゴミの正体を理解できる人間はこの地には少ない。だってこの世界はファンタジー。ドラゴンと騎士と剣と魔法の世界だ。捨てる場所が間違っている。
今回の依頼は、この不法投棄されたゴミの山についてのものだ。 - 1362ぺーじめ21/11/15(月) 02:06:30
「で、アンドレさん。どうして私にご依頼を?」
「アンドレイだ。モヌメント・葦原君。君はこのゴミの山が、何かを理解できるな?」
「わかります。あ、私のこと、親しい人はモニュって呼びます。そう呼んでいいですよ、アンドレさん」
「正直に答えてくれて感謝する、モヌメント君。それと、私はあの死地にギリギリまで付き合わせた恨みは忘れていないので、親しい人のカテゴリに入れないように」
「えー、無事に乗り越えられたじゃないですか。友情、努力、勝利!」
「努力はしていないだろう」
呆れたようにため息をつくと、彼はゴミの山に向き直る。
長い黒髪にメガネ、白衣を着ている美人さんだ。いや男だけど目には優しい容貌だ。
本人談によると堕天使だそうだが、見た感じでは特にそれっぽい特徴は見えない、普通の人間のように見える。せいぜい美形すぎるとこぐらい? 羽根も生えてないし。
堕天使だから、現代日本のことを知ってるのだろうか?
「テレビは分かるな?」
「はい、分かります。あれですね」
私はゴミの山の頂点辺りにある、ブラウン管のテレビを指差した。
画面は割れていないけれど、今更なんの役にも立たない。この世界に電波は届かないし、電源だってないのだ。ただの四角い箱にしか過ぎない。
「あそこから、深夜に女が這い出してくる。これの対処をお願いしたい」
「ええ……」
探偵への依頼としては、ものすごく変化球が来た。でも対処。退治じゃないわけね。
「襲われた時の護衛として手伝ってもらえたりします」
「そのつもりだ。君には知恵を出してもらう」
私の提案に、アンドレさんは快く頷いてくれた。それならまぁ、なんとかなるかな。
いやでもこの人って堕天使だから、別に聖なるパワーとかないんだった。
「……見捨てて逃げないでくださいね?」
「今回はこちらから持ち込んだ仕事だ。可能な限りの安全を保証しよう」
断言しないとこが微妙にイヤだけどあんまりおねだりするのも探偵失格だろう。
私は頷き、この依頼を受けることにした。
◆◆◆
さて現場検証からスタート。女が出てくるまでに見つけ証拠品とかを教えて下さい>>140
- 137121/11/15(月) 02:07:08
- 138二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 02:09:00
- 139二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 02:11:47
学生証
- 140二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 02:12:58
- 141121/11/15(月) 02:18:43
安価ありがとうございます! スマホですね!異世界はスマホと共に!
- 142二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 02:19:48
また異世界に文明機器が入り込んでしまった…
- 143二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 02:19:48
保守
- 1443ぺーじめ21/11/15(月) 02:22:30
まずは現場検証の時間だ。
今はすでに夜だから、テレビから女が這い出してくるまでそんなに時間はない。
「……もう這い出していった後だったりしませんよね?」
「いいや、出てきてはいない。そのためにここで見張りをしていた」
なるほど。それなら今のうちにこのゴミの山をよく見てみよう。壊れた資源ゴミの山の中に、テレビと関係するものがなにかあるかもしれない。
あるいは女と関係するもの?
ゴーストというのはこの世界にもいる。ただ、ちょっとジャパニーズホラーのモンスターとはちがうものだ。具体的には白くてフワフワで光ってるという共通点がある。
他にもアンデッドはいるけれど、テレビから這い出す女、というのは聞いたことがない。そもそもこの世界にテレビとかないし。いや、今、目の前にあるんだけどさ。
「みーっけ」
私はゴミの間から、怪しいものを見つけた。四角い物体を見つけた。
拾い上げて、じっと見る。うわ、これスマホじゃん。知らない機種だけど。たぶんこれ私の知ってるより未来のやつだ。すげーな。小さいし薄いし。
しばらく操作してみると、ボタンの一つに反応して、四角い板に明かりが灯った。
「電気が残ってる。わ、やば、電気ちょっとしかないじゃん。急いで見なきゃ」
「なんだそれは」
「スマホ。携帯電話のすごい版。もうすぐ使えなくなるからちょっと待ってて」
私は急いでスマホを操作して中にある情報を探しはじめた。ブラウン管のテレビから出てくる女と、このスマホに、なにか関係があるかもしれない。
日記アプリがあった。らっきーと即開く。
そして、そこに書かれていた内容を見て、私は思わず固まってしまった。
『あの女は、私が殺した』 - 145二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 02:23:27
面白い展開来てるな…
- 1463ぺーじめ21/11/15(月) 02:38:36
「見つけたぞ、テレビの女!」
私は大声で叫んだ。ちょっと恥ずかしい。
だって、テレビからはまだ女は出てきていない。でもこれは必要なことだ。見つけたと思わせることが大事。
「出てきたところを叩けば勝てるはずだ! がんばれモヌメント君!」
アンドレさんが私を鼓舞してくれるけど、めっちゃ雑な鼓舞なのであんまりありがたみがない。しかも棒読みだし。堕天使だしそういうのニガテなんだろう多分。
そもそも私、こういうの苦手なんだよなぁ。でも、やるしかない。
「よし、行くよ!」
私はそう宣言して、勢いよく、テレビの画面に手を振り上げた。
破壊される!と思ったのだろう。狙い通りに、私はテレビの画面の中へと吸い込まれた。
瞬間、私の視界が暗転する。
真っ暗闇の中、私は一人きりだ。なにも見えない。
「……えぇ?」
困惑の声が漏れる。間違ったかも、とちょっと不安になったけど、幸い答えはすぐに出た。
私の周りに光が溢れる。白い。強い光。あまりの眩しさに目を閉じてしまう。
次に目を開いた時、私の前には、一人の女がいた。
私よりも年は上だと思う。赤いワンピースがよく似合っていた。
綺麗な人だった。
長く美しい黒髪に、透き通るような肌。まるで西洋人形のような姿。
だけどその顔は、怒りに醜く歪んでいる。
「お前は誰?」「あなたこそ、何?」
私の言葉に、彼女は質問で返してきた。 - 1475ぺーじめ21/11/15(月) 02:39:02
「私はモニュ。探偵だよ」
「探偵?」
「そう、困ってる人の依頼を受けて、事件を解決するの」
「……ふぅん」
彼女は興味なさそうに返事をした。
「それで、あなたのことはなんて呼べばいいんですか」
「私は、テレビ」
「へぇ」
「私は、あそこから出ると、ああやって人間を襲うの」
「へー」
「ねぇ、なんで、私を殺したの」
「それは」
「私は何もしていないのに、なんで殺されたの」
「えっと、それは」
「答えてよ」
「…………」
私は、言葉に詰まった。どう説明すればいいのか、ちょっと迷っていたからだ。
真相は実にシンプルだけど、正しい答えが良い答えではないのが探偵の難しいところだ。真実はいつもひとつ?そういうのは殺人事件の時だけにしておくべき。
「私はただの機械で、ただのプログラムで、ただのゴミなのに」
「そこは知ってるんですね」
「そうよ。そう……でも、どうして、こんな目に遭わなくちゃいけないの」
「それはまぁ、ゴミになっちゃったからでしょうね」
「よくもそんなに簡単に!」
彼女は私を睨みつける。
だけどその瞳には最初のときほどの力はない。今にも泣き出しそうに見えた。 - 148二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 02:40:17
テレビの女さん……
- 1495ぺーじめ21/11/15(月) 02:54:06
「事実はちゃんと、受け入れなきゃいけませんよ」
「………」
「それで、どうして、テレビの中から這い出して、人を襲おうなんて思ったんですか?」
「私は、この世界には必要のないゴミだから」
「……え?」
「私は、この世界のことを見てきたわ。この世界では、こんなゴミの山、誰も見向きもしないでしょう。だから、私はずっとあそこで放置されてる。朽ち果てるまでずっと」
「そ、そんなことないと思うよ。ほら、この世界って魔法使いとかもいるし。興味を持つ人だっているんじゃないかな? ほら、今ならちょうど、テレビの近くに自称科学者のメガネのお兄さんがいるからその人に話を聞いてもらったらどうかな!」
「嘘つき」
「ホントなのに」
「この世界の人間は、ゴミの山なんか気にしない。人間は、捨てられたものを拾い上げたりはしない。だから、私は人間に復讐するの。このテレビから、這い出して……」
「えーと、ちょっと、ストップ。つまり、あなたは持ち主に捨てられたと思ってるんですね?」
「……そうよ。だから」
「そうじゃないんです。あなたはそもそも、テレビじゃないんですよ」
「え」
私は懐にあったスマホを取り出した。
ボタンを操作すると光が灯る。よかった、これで充電切れてたので動きません、とかのオチだったらどうしようかと思った。胸を撫で下ろして、画面に映った日記を見せる。
『あの女は、私が殺した』 - 1507ぺーじめ21/11/15(月) 02:54:58
日記の書き出しは、こうだった。それから、こう続く。
『あの女は、テレビの中に映っていた。最期に映った、あの時の姿のままで』
日記に書かれているのは、テレビに映るかつての友人、自分が殺した女の影に怯える女性の日記。なにかに助けを求めるように、あるいは許しを求めるように。日記には長々と持ち主の思いが綴られている。そして最後のページ。そこには、テレビから這い出してくる女について書かれていた。
『私は、この女を殺すことにした。この女さえ殺せば、もうあの女が蘇ることは無い。私の前に現れることはない。そう信じて』
「これが、彼女の日記の終わりです。彼女はテレビの中の女取り憑かれたと思いこんで、その真実は、テレビに取り憑かれていたんです」
「どういう、意味なの」
「テレビに取り憑かれた女性は、こうして自分の罪を忘れないようにするために、日記をつけます。そして、最後には、恐怖に因われてテレビごと破壊して、捨てた」
スマホを操作して、アルバムを開く。
そこにはスマホの持ち主の姿が写っている。楽しそうな姿、仲間と一緒の姿、何かを食べている姿、どの写真にも共通して映っている人物。
それが、テレビの中から這い出した彼女だ。
「そんな……だって、私は」
「あなたは、いらなくなったから捨てられたわけじゃないんです。狂った持ち主の恐怖から、壊されて、だから捨てられてしまったんですよ」
「じゃあ、私はだれなの?」
私は答えの代わりに、スマホの電源を落とした。真っ黒な画面。黒い鏡。
それを彼女に向けると、画面には彼女の顔が写っているはずだ。かつての自分の持ち主とおなじように。罪の意識から見つけ出した、自分を糾弾する女の顔が。
「……捨てられたテレビも、人を襲う女もいません。あなたはただの鏡なんです」
◆◆◆
このあと、テレビの女さんはどうなるか、>>153
- 151二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 02:58:02
かそく
- 152二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:00:23
泣く
- 153二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:02:08
テレビを壊す
- 154二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:09:01
割といい感じにホラーしてるのすごいな
- 1557ぺーじめ21/11/15(月) 03:18:58
原っぱを衝撃が吹き抜ける。
刹那の後に爆発音。
積み上がっていたゴミの山は、すべて粉々に吹き飛んだ。
レンジも、コタツも、冷蔵庫も、あの世界の痕跡は、跡形もなく吹き飛んでしまった。もったいない、という思いがちょっとはあるけれど、上手くあのゴミを役に立てる手段も思いつかない。郷愁をほんの少しも感じなかったのは、少し不思議な感じだ。
「本当に、これで良かったのだね」
「ご本人の希望ですからね」
あのテレビも破壊されてしまった。
もう、誰もあのテレビの中に誰かが幻を見ることはない。
私は無事に依頼を達成した。
◆◆◆
翌日、私はアンドレさんの研究室にお邪魔していた。
予想していたよりも整理されていて拍子抜けしたものの、通された私室には、ちゃんと稼働している炬燵があって、思わず二度見した。
「なんですかこれ」
「分からないかね」
「コタツじゃないですか! こんなの入るしかないじゃないですか!」
私はコタツに吸い込まれて出られなくなった。
「ふむ。依頼を達成した報酬のオマケだ。何か希望する《故郷》の料理があれば作ってみせるが。なにか希望はあるかね。なかったらカレーにする」
「クッ……カレー食べたい! いや待って! カレーやっぱなし!もっと食べたいものが、もっとこう、今食べたいやつ。今食べたいやつを……」
アンドレさんがいきなりとんでもない選択肢を突きつけてきたので、私はめちゃくちゃ悩んだ挙げ句、つい「お茶漬けで!」と答えてしまった。 - 156二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:20:52
ここでお茶漬け要素は草
すいません!!!モニュちゃんすいません!!!もっといい物食ってくれ!! - 1577ぺーじめ21/11/15(月) 03:21:07
おこたの上には手鏡が一つ。
「なるほど、あの女は鏡の精霊だったのか」
「え、それって、実はこちらの世界の住人だったってことですか?」
「世界を越えてこちらに来る時、人が何らかの力を得ることはよくある。あのテレビには、人に似た意志が宿っていた。だから力を得たのだろう」
「それじゃやっぱり、元の世界じゃ、あれはただのテレビだったんですね」
「当然だろう」
やっぱりこの人、地球出身っぽい。スマホが分かんなかったところを見ると、ちょいと昔の人なのかもしれない。自分からは言わないなら、聞くのも野暮かなぁ。
それにつけてもお茶漬け美味しい。
水分少なめのお米と、お茶の渋みに、梅干しのほどよい酸っぱさが混ざり合って、さらに小さくカットされたお魚の塩味がよいアクセントになって、クチの中でハーモニーを奏でているのだ。いい塩梅、とはコレのことをいうに違いない。
「例の姿見はしばらくしたら完成するだろう。それまで、これを使うといい」
「え? あ、はい。美味しいです」
「話を聞け」
アンドレさんごめん今お茶漬けのことしか考えてなかった。
「ほら、例のスマホとやらをこれに向けてみろ」
「はいはい、ちょっと待ってね」
懐から取り出したスマホの画面を、手鏡に向ける。これでたぶん、いいと思う。
くるりと手鏡を覗き込む。鏡の面が真っ黒に塗りつぶされた鏡。
そこには、赤いワンピースの女が、少し照れたように笑って手を振っていた。
◆◆◆
『テレビの女殺人事件』 END - 158二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:24:06
いい話で終わった!!!お疲れ様でした!!
- 159あとがき21/11/15(月) 03:24:37
短く終わらせるぞ!夜中だし!という意気込みで書きましたけど結構時間かかってしまいました。
お付き合いしてくださった方には本当に感謝!これはあなたの作った物語です!
AIのべりすと君は、なんかとくに理由もなく「あの女を殺したのは私だ!」みたいなこと言いたがるのやめよう
たぶんサイコホラーってそういう感じなんじゃないですかねたぶん!
最終的にはファンタジーに落ち着きました。
この時間だとお茶漬けも美味しそうじゃないですか!?
科学者で転生者で堕天使ならきっと、科学と堕天使パワーでめっちゃ美味しいお茶漬け作りますよ!
というわけで安価達成しました!ありがとう!たくさんの感謝を読んでくれた皆様に!
- 160二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:25:03
前回の破天荒というかハチャメチャ具合とは違って上手くまとまりましたね…
- 161二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:25:47
- 162あとがき21/11/15(月) 03:27:49
- 163二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:29:12
のべりすとくんたまに暴走するからなー制御おつー
- 164二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 03:29:58
- 165二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 09:37:55
このレスは削除されています
- 166二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 09:51:17
- 167二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 09:54:45
言うほど全部かこれ?
- 168二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 09:56:16
- 169二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 09:59:53
- 170二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 10:00:17
色々保つにはそのレスも消した方がいいかもね
- 171二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 10:02:35
人がいない安価スレって侘しいもんだしな
どうにも角が立つことだってあるさ… - 172二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 10:10:09
いつかこの世界観でまたストーリー作ってくれることを期待してるぜ!
- 173二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 10:44:59
しかしのべりすとすげえなあ、割としっちゃかめっちゃかな安価でも物語としての体はなんとかなってる
- 174二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 20:50:23
オアー! なんか色々あった模様! ご不快なことあったならすいません!
安価についての何かかな? できるだけみんなの意見を受け入れたいみたいな欲はあるけど、安価スレってそういうのできないから難しく!そもそも人あんまりいないときのほうが多いですので!
なので、とりあえず書くことでお返ししたいと思います! まぁAIのべりすと君が主に書くのですが!
というわけで、人がいるなら、また一話書いてみようと思います。
安価に参加デキルゾー、という方、いらっしゃいますか? - 175二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 20:50:56
- 176二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 20:52:53
実際にはしっちゃかめっちゃかの二重になったりするので、何度も書き直しを要求する過酷な編集が必要だったりもします!
油断するとずーっと会話シーンでループとか特殊な文学作品みたいなことをすぐやりたがるので……
でも、どんどん進化してるから、いずれはパーフェクトな文豪になるはず!
- 177二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 20:55:21
よっしゃあ参加するぞ!
俺以外も来い! - 178二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:02:21
- 179二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:04:50
スベンソン
- 180二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:05:03
倶利伽羅
- 181二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:07:27
鏡を割ると相手を殺せる
- 182二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:08:34
野球観戦
- 183二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:09:25
このレスは削除されています
- 184二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:11:02
- 185二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:14:51
まあ安価の話しよか
能力は随分凶悪ね… - 186二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:15:29
安価ありがとうございました! とりあえずこんな感じになりました。カラちゃんです!
……日本人だから名前後ろでいいですよね!後ろじゃないと困るので後ろということでお願いします!
カラ:[本名は、倶利・伽羅。鏡の精霊。女性。二十代。絶世の美女。赤いワンピースを着ている。黒い鏡の中を出入りできる。モニュに感謝している。相手の写った鏡を割るとその相手を殺せる。趣味は野球観戦。]
野球はファンタジー世界にあるんだろうか・・・
安価取ることに遠慮なさらないでくださると安心できます!どんどん取って下さい!
安価ないとこの物語は死ぬんで!もし奇跡が起こって人がいっぱい来て安価とれない!って人がいたらその時に考えます!
つまりそんな日は来ません!(絶望)
では今回のジャンル>>190、物語の最初のシーンの要素を>>195、>>196、>>197、で安価お願いします。
ちょっと間に時間とって、22:00ぐらいから3話を書き始めますね。
- 187二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:18:19
ジャンルは前回ともホラー入ってたし明るいヤツを言おうかな。
ラブコメミステリー - 188二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:18:42
時代劇
- 189二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:19:05
ノンフィクション
- 190二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:19:47
日常系
- 191二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:21:58
ううむ悩みどころ
- 192二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:22:51
最初のシーン
ボードゲームを考えてた - 193二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:22:56
かそく
- 194二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:23:10
ksk
- 195二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:23:19
ひび割れる天地に降り注ぐ流星群
- 196二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:23:40
駆逐艦
- 197二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 21:25:56
小説を書いていた
- 198121/11/15(月) 22:06:30
安価ありがとうございました! ジャンルは日常系ファンタジーで!
物語の要素は、ひび割れる天地に降り注ぐ流星群、駆逐艦、小説を書いていたで書き始めました!
それではスタートです。 - 1991ぺーじめ21/11/15(月) 22:07:14
その時、天が割れた。
夜空に浮かんでいた星々は、硝子に描かれた虚飾と成り果て、ヒビ割れた天の向こうから本当に空が姿を現す。それは生命を育む世界への、悪意に満ちた呪いの宇宙。
眩き輝きが空を染め、地に流星群が降り注いだ。
空間そのものが軋むような激しい衝撃に、空中駆逐艦が激しく揺れる。
「被害報告!」
「バリアは健在!ジャイロ修正、78%!空間異常を周囲に感知!」
「地上が、地上が真っ赤です! 我らの大陸が……」
指令所に映し出された周辺地形図には、降り注いだ流星群による衝撃と超高熱に焼き尽くされたかつての大陸が映し出されたいた。生命など一つも残っていない。
「第二波、来ます!」
「回避!!!」
流星群が再び降り注ぐ。白く染まった天は、絶望に染まっていた────。 - 2002ぺーじめ21/11/15(月) 22:07:46
「人の研究所の休憩所に陣取って、コタツの一角に潜り込んで、なにをしているのかね」
「小説を書いています!」
今ちょうど、邪悪宇宙からの使者、暗黒艦隊司令と、コズミック駆逐艦を駆るクルーたちの絶望的な戦いが切って落とされたところであった。
私の筆はノリノリである。このまま一気にエンディングまで書いちゃいたい。
「やっていることを聞いているんじゃない。なぜ当然のように人の研究所を自分の書斎のように利用してるのかと聞いているのだ」
「それは、ほら。自分の家で書くよりも程よい緊張感のある外で書いたほうが効率良くなる感じ、分かりません? 事実、今こうして筆が進んでいるのでその効果は証明されています!」
えっへん、と胸を張って応えると、研究所の家主であるアンドレさんは顔を抑えて呻いた。
「君ねぇ……、進捗はどうなっている?いつ終わって帰ってくれるのかね?」
「はい! クライマックスに差し掛かってきました!」
「そうかい。それなら良い。はやく帰れ」
「もちろんですよ!」
アンドレさんの研究所は、お仕事スポットとしては最適だった。
具体的にはコタツ!最近は季節もあってずいぶん寒くなってきたので、足元が冷え性の女の子には厳しい季節なのだ。この世界、タイツとかないんだよね。エセファンタジー世界なのに。でもズボンは蒸れるからちょっと慣れない。
アンドレさんとは、仕事で知り合ってから、今ではすっかり気心知れた間柄である。嘘です全く気心知れてません。でも、こうして小説の執筆中に居座っても追い出されないくらいには仲良くなった。嫌味は言われるけどね!
さて、私が書いてるこの小説は、もちろん今回のお仕事と関係がある。
だって私は小説家じゃなくて探偵だ。小説を書くことそのものを目的にはしない。
じゃあ、なんでこの小説を書いてるかというと────
◆◆◆
安価です。
マジでこの小説は探偵のお仕事のなにと関係があるんでしょう。関係ない。でもOKです。>>202
- 201二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:11:47
愛よ
- 202二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:11:55
文字と物語を食む流体高機動植物へのエサとするため
- 203二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:12:25
宇宙世紀始まったな…と思った
安価なら内職 - 204二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:19:58
くくく…まさか流星群程度で星間レベルまで時代進むとは思わんやん…?
- 2053ぺーじめ21/11/15(月) 22:33:07
「んー、これぐらいかな」
書き上げた小説の束を机でトントンとまとめて、カバンの中に詰め込む。
「それじゃーいってきまーす」
「帰ってくるな」
アンドレさんと心温まる挨拶を交わして、私は都市部の郊外にある、星を崇める会の教団の隠れ家へと向かった。
星を崇める会、というのはマイナーな宗教で、この世界で一番信仰されている女神教からは、いわゆる邪教のレッテルを貼られた集団だ。まぁ、邪教といっても危険度はそれぞれで、星を崇める会のように、地方の田舎などに集まって大人しく活動してるような人たちは活動を見逃されていることも多い。
本人たちはそんなに邪悪ではない、というか意思疎通はできるので、私はそういう人たちの仕事を請け負うことがある。今回の仕事もそれだ。
「おじゃましまーす」
森の奥に打ち捨てられた、苔むした石柱群。その下に彼らの隠れ家はある。ちょっと外からは見つけにくいけど、下に降りる段差があって、そこから螺旋階段が地下に続いているのだ。
入り口は頑丈な鉄格子になっているけれど、鍵はかかっていない。
「……んー、はいっちゃいますねー」
小声で言ってみる。いつもは一人はいるはずの、見張りの人がいないのは、つまりは取り込み中ということだ。外で待つのも嫌なので、入らせてもらうことにする。
ギィと鉄の軋む音がして扉を開けて中に入った。
地下は、洞窟のような作りになっていて、そこかしこから光が漏れている。その光は、壁に掛けられた松明の火が放つものだ。
私が訪れた時は、ちょうど集会が行われている最中だった。 - 2064ぺーじめ21/11/15(月) 22:34:24
星を崇める会は、基本的に一箇所に集まることはせず、定期的に集まって話し合いを行う。彼らは、星を崇める会と名乗っているが、その実、彼らが崇拝しているのは星ではなく、星に住むという神である。
星を崇める会は、その神に祈りを捧げているのだ。
「キィィィィ、キィィィィィィィ」
祈りを捧げる教団員達の中央に、奇妙な姿のものがあった。人ではない。
それは、植物だった。もちろんただの植物ではない。その表面は絶え間なく変形を続ける流体で形作られている。翼を、腕を、瞳を生み出しては、再びその肉体に溶かして、また新たな肉体を生み出す。
その表面が擦れる音が、鳴き声のように聞こえるのだ。
「ご依頼の品、持ってきましたー」
カバンから取り出した紙束を手にそう言うと、祈りを捧げていた教団員たちが一斉に振り返った。ちょっとビビって後ずさってしまうが、別に怖い表情ではない。
「こちらに」
仕事の依頼の時に会った教団のえらい人、恰幅のいいおじさん(頭から黒いローブかぶってる)が落ち着いた歩みでこちらに来ると、手のひらを差し出した。
依頼料は先に受け取っているので、ためらわずに原稿の束を渡した。
「儀式を見ていかれますか?」
ふと、思い出したように聞かれたので、私は少し考えて答えた。
◆◆◆
どう答えますか? 見ていく、だと、この話が掘り下げられると思われ。
逆だと次のシーンになりそう? 予想外の答えでも合わせますのでなんでもどうぞ!>>209
- 207二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:35:19
見ていくついでに乗っ取る
- 208二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:35:26
星を崇める会絶対やべえわ
- 209二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:37:19
ぶん殴る!
- 210二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:39:23
過激〜
- 211二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:41:32
絶対ろくなことにならないんだよなあ…
- 212二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:53:42
ふと、思い出したように聞かれたので、私は少しだけ考える素振りをしてみせた。
そして彼の左頬を渾身のストレートでぶん殴った。
「こいつが私の儀式ですよ」
彼が倒れるのと同時に、触手が襲いかかってきたのを、身を低くすることで避けた。そのまま床に手をついて、後ろ回し蹴りを放つ。
触手の一本が千切れ飛んだ。だが、すぐに別の触手が生えてくる。
どうやら、本体を攻撃するしかないようだ。
私は、すかさず隠し持っていた拳銃を構えた。額に流れる汗を意識しながら、狙いを定める。蠢く植物生命体。その中心に生まれた瞳に狙いを定め────
◆◆◆
無事に小説を書き終えた私は、さっそく原稿を依頼主に渡しに行くことにした。
アンドレさんに挨拶すると、彼は顔をしかめて言った。
「君はどうやら、ずいぶん厄介な依頼主に関わっているようだな」
「そうですか? 今回のお仕事は小説を書くだけだから、すごく楽ちんですけれど」
首を傾げてそう応えると、アンドレさんはしばし考えるような顔をしてから、けっきょく一言「好きにするといい」とだけ口にして、猫を追っ払う仕草で私を見送った。
依頼主は、都市部の外れにある、小さな教会の牧師さんだった。
依頼内容は星を崇める会について調べることだ。
この世界では、宗教活動は許可制で、国ごとに管理されている。
その宗教の教義が、他の国の法律に反していないか、または、その国がその宗教を認可するだけの理由があるかなどを調べて報告するのが、今回受けた依頼の内容である。
もちろん、宗教活動そのものの調査は禁止されているので、これはあくまで表向きの仕事である。
この世界には、女神教以外にもいくつかの宗教が存在する。
例えば、星を崇める会のように、特定の神を信仰しない宗教もある。
しかし、そういった宗教の中には、女神教の布教活動を妨害したり、女神教の信徒に対して嫌がらせをしたりと、問題を起こすものもある。
女神教の信者は、この世界の住人にとって非常に多い。それは、女神がこの世界を作ったと信じられているからだ。
女神は、この世界が危機に陥った時に現れて、この世界を救うとされている。だから、女神教の信徒は、この世界の人々から大切に扱われる。逆に、女神教の信仰を持たない人々にとっては、女神は恐れるべき対象なのだ。 - 213二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:56:31
へぇー
この世界観おもしれえなぁー - 214二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:58:22
モニュちゃん強いっすね…
- 215二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 22:59:55
普通に格闘技術高くて驚いたんだよね
- 216二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:00:23
依頼主と約束した待ち合わせ場所は、教会の片隅にある懺悔室だ。
こちらは懺悔をする側で、牧師さんは懺悔を聞く側。二つの部屋は木の格子で阻まれ、互いの姿はヴェールで姿を隠されている。
「こちらがご依頼にあった、星を崇める会の活動内容に関する報告です」
カバンから取り出した紙束を、木の格子の下の隙間を通して渡す。するすると向こう側に紙束が引き込まれていくと、しばしの時間、紙束が捲られる音が続いた。
「ふむ、ふむ……よく書けている。素晴らしい。素晴らしい、報告書だよ」
牧師はしばらく黙り込んでいたが、やがて静かに語り始めた。
この世界は女神によって作られた。女神は、この世界を救うために、この世界に生きるすべての生命を生み出した。 そして、女神は我々にこう告げたのだ。
────女神の眷属よ、今こそ立ち上がれ。女神の敵を滅ぼせ。
女神の敵とは、女神を信仰しない異教徒たちだ。女神の敵を滅ぼすために、我々は武器を手にした。武器を手に、異教の民を殲滅せよ。
我々の正義は、女神の教えは、女神の祝福を受けた我らが同胞たちによって、必ずや成し遂げられることだろう。
────汝らに、神の加護があらんことを。
牧師の言葉を聞き終えて、私はゆっくりと息を吐き出した。
「それは、ちょっと極端な筋書きじゃないかと思います」
「…………なぜ?」
「だって、この世界の人たちは、女神様を信仰していない人でも、それなりに世界を愛してるじゃないですか。なのに、どうして異教徒を皆殺しにしないといけないんですか。そんなことしたら、女神様はきっと悲しんでしまいますよ」
「……ふむ、君は、ずいぶん変わった子だね」
「そうでしょうか?」
「そうだとも。……まぁいい。この話はやめよう」
牧師さんはあっさりとそう答えると。先程の話などなかったことのように、こう続けた。
「それで、君はこれからどうする?」
◆◆◆
これサイコホラーでは?日常系は? どうしましょう。>>216
- 217二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:00:46
にゃー! 安価は! >>221 で!!
- 218二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:01:26
猫を愛でる
- 219二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:04:42
ksk
- 220二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:05:04
ヤカンを4回沸かす
- 221二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:05:12
- 222二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:05:14
紅茶を飲む
- 223二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:05:22
座禅
- 224二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:06:53
多分これで日常系に近づけるはず!
- 225121/11/15(月) 23:08:24
- 226二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:09:54
がんばー
- 227二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:10:24
た、たのんだ…!
- 2287ぺーじめ21/11/15(月) 23:36:50
私は河川敷にいた。流れてくるBGMはレゲエ。
激しいリズムに自然と身体が動き出す。ステップを刻みながら、踊るように歩く。
「私の名はモニュ。モニュ・葦原21歳。女性で探偵。処世は万全。親しい友人はモニュと呼ぶ。大都会に住んでいる。悪いやつはだいたい友人」
私は河川敷で踊っていた。
丘の上の方から草むらを踏みしめて、星を崇める会の教団員たちが駆けてくる。
裸足で脚を踏みしめて、大地のリズムを刻みながら。
彼らは左右から模様を描くように、整然と駆けて集まって、私の後ろにずらりと整列した。ワン、ツー。ドラムの音に合わせて全員が同時に同じステップ。
「イッツ、ショータイム!」
教団員の幹部の恰幅のいいおっさんが、ステッキを手に声を上げた。
この踊りは体操だ。健康のためのダンスだ。私は、両手を腰に当てて、自信満々に胸を張って、顎を上げてみせる。手をまっすぐ空にかざして、一気に下ろす。
流れるような一連の動作のすべてに意味がある。肌に汗が珠のように浮かび、激しく私達が跳ねるたび、それが宙に散って飛沫を上げる。
「レゲエは魂のダンス。だれだって踊ることができる。リズムに乗るのがレゲエの流儀。私は知っている。あなたたちのすべてを。祈れ、祈れ、星に祈れ」
私は、後ろを振り返った。
そこには星を崇める会の一段がいる。
皆が何かを求めるように、その手を宙に伸ばしたまま固まっている。その瞳に宿るのは陶酔。
ドン、ドン、と体の芯まで響くドラムの音。
再びダンスが始まった。レゲエのミュージックが鳴り響く。ドラムとギター、ベースの音がかき鳴らされる。一人の手じゃとても足りない。
河川敷で水に浸かって、蠢く巨大な植物がすべての楽器を担当している。手の数も足りている、楽器だって自家製だ。スピーカーもないのにこの河川敷全部に響くぐらいのよく通る音。
教団員たちは陶酔の中、あふれる音の波に身を任せていた。
「キィィィィィィィ」
その喉の奥から、音が聞こえる。人の喉から聞こえる音とは思えない、何かがこすれるような音。音楽を鳴らす巨大植物も、同じ音を鳴らしていた。
私は口を閉じたまま、手拍子でリズムに合わせる。リズムに合わせて音が大きくなっていく。それはレゲエのミュージック。たぶん彼らの歌なのだ。 - 229二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:38:26
神秘的だあ
- 2308ぺーじめ21/11/15(月) 23:47:00
最高潮になるとともにばしゃ、ばしゃ、ばしゃ、と、激しい飛沫があがる。
音楽を奏でていた巨大植物の表皮から、硬い鉱物が剥げれて零れ落ちて、水面を叩いたのだ。それは純度の高い巨大な岩塩。
彼らの種族は求める食欲が満たされた時、喜びとともにこれを落とすのだ。
教団員たちの喝采とともに、巨大植物のドラムが激しくエンディングを告げて────
◆◆◆
無事に小説を書き終えた私は、さっそく原稿を依頼主に渡しに行くことにした。
「素晴らしい物語だ。雑多な情報量が複雑に絡まり合って、交わらず四方に散っていく。実に味わい深い」
膝の上の猫が満足そうに喉を鳴らしながら合成音っぽい声で感想を述べた。
言っていることはまるで分からないけど、どうやら満足していただけた模様だ。
私はお猫さまの喉を撫でてみた。ゴロゴロ鳴いた。
「妙なものを連れ込むな」
「無害なネコチャンですよー。ねー、ニャンタロウー?」
「ニャーン」
ニャンタロウは合成音っぽい声で鳴いた。ごめんちょっとキモい。
気の利く私は、お猫様の無害さをアピールするために、抱っこしてお腹を上にさせつつ、お腹のもふもふを撫でる可愛がりを実施する。
「ほーらこんなに可愛いですよ! フンスフンス」
「虐待するなよ」
なんという失礼なことを。お猫様は気持ちよさそうにしてるから正義なのだ。
「撫で方のパターンに物語性を加えて欲しい」
注文の難易度が高くなってきたので、私はお猫様のかわいがりを諦めた。 - 231二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:47:42
ね、猫だー!
- 232二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:50:27
モニュさん今日だけで3回小説書いてるな…
- 233二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 23:52:58
撫で方注文えげつなくて草生えるわ
- 234121/11/16(火) 00:03:37
- 235二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:05:04
草なにこれ初めて見た
- 236二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:08:43
すげえなあ(他人事)
- 2379ぺーじめ21/11/16(火) 00:11:41
書き上げた小説の束を机でトントンとまとめて、カバンの中に詰め込む。
「それじゃーいってきまーす」
「帰ってくるな」
アンドレさんと心温まる挨拶を交わして、私は都市部の郊外にある、星を崇める会の教団の隠れ家へと向かった。猫がトコトコついてくる。
「おじゃましまーす」
森の奥に打ち捨てられた、苔むした石柱群。その下に彼らの隠れ家はある。ちょっと外からは見つけにくいけど、下に降りる段差があって、そこから螺旋階段が地下に続いているのだ。
入り口は頑丈な鉄格子になっているけれど、鍵はかかっていない。
「やぁ、ずいぶんはやかったね。星の御子様に捧げる物語は完成したかい?」
「できましたできました。三本立てですよー」
「なんと、そんなに書いたのか」
「星の御子様はちょっとお腹空いてたみたいですねー。でも、ようやく満足してくれそうですよ」
「それは素晴らしい。ささ、こちらに。すぐに儀式を始めよう」
鉄格子にかかった鍵を開けてもらって奥へと向かう。猫がトコトコついてくるが、教団のおじさんは気にしていない。ちらりと猫を見たが、何かやってるわけでもないみたい。
たぶん、普段からこんな調子で教団の回りをうろついてるんだろう。
教団の隠れ家の奥、儀式の広間には星を崇める会の教団員たちが集まっていた。その中央には、巨大な植物。ゆっくり明滅しながら、その流体で形作られた表面を蠢かせている。
教団員が道を空ける。
猫は何でもないような顔で、植物の方へと歩いていくと、その中に飛び込んだ。猫だったものは、巨大植物の中に溶けて混ざり、一つのものになる。
「キィィィィ、キィィィィィィィ」
待ちかねたかのような甲高い鳴き声が広間に響くと、教団員たちは喜びの歓声をあげて、それぞれ儀式を準備しはじめた。
これから祭りのはじまりだ。楽しそうに広間を飾り付けていく教団員たちを見ながら、そろそろ帰るかと入り口に視線を移した。
すると、原稿の束を手にした教団員のおじさんが、広間に向かう途中に、ふと足を止め振り返った。
「儀式を見ていかれますか?」
私は少しだけ考えて、こう答えた。
◆◆◆
最後の安価です。どう答えますか! >>240
場合によってはループオチになりかねないので慎重に考えて答えてね! AIのべりすと君は絶対そういうことやるぞ!
- 238二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:20:27
ksk
- 239二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:20:37
ksk
- 240二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:20:46
お構いなく
ラーメンの注文と一緒にもう済ませたことですから - 24110ぺーじめ21/11/16(火) 00:36:06
私は少しだけ考えて、こう答えた。
「お構いなく。ラーメンの注文と一緒にもう済ませたことですから」
「は?」
きょとん、と目をしぱしぱ瞬かせる教団員のおじさんに、何も答えず笑顔で手を振って別れる。
「さすが星の神子様の声を聞ける方の言葉はワシのようなものには分からんな……」
そんなお気持ちが聞こえた気がするけど、聞かなかったふりをして、広間を後にした。後ろからは詠唱の声が聞こえてくる。
私の書いた物語を、教団員たちが揃って謳い上げているのだ。 - 24211ぺーじめ21/11/16(火) 00:36:23
そんなわけで、アンドレさんの研究所にスキップで戻ったけれど、注文していたラーメンはできていなかった。
「えー、用意してくれてないんですかー? ラーメンご馳走してくださいって言ったじゃないですかー」
「君はそんなことを私に言っていない」
「え、でもほら、最初の小説を書きはじめる前に、アンドレさん顔だしたでしょ? その時に」
「本当に?」
眼鏡の奥で、堕天使の科学者が目を細めた。酷薄な笑みが口元に浮かんでいる。
「君のその記憶は、自分の書いた物語ではなかったのかね?」
音が消えた。そんな感じがする。
足元が崩れるような錯覚は、自分の見ている現実が不確かなものだと感じた、その時に感じるものだ。
私はいつから小説を書き始めて、いつ小説を書き終えた? それとも私は、今も小説を書き始めているのだろうか?
「……ちーがーいーまーすー!」
なんてことを、私は考えたりしない。
物語の中の世界には、美味しいラーメンは存在しないのだ。テキストのレシピは味の情報を完全に伝えられない。
たとえ喋る猫だって、冬の寒空に湯気をあげる芯まで温まる美味しいラーメンは食べられないのだ。
「チッ」
舌打ち一つ。アンドレさんは研究室に引っ込んだ。
「お、お、いい匂い! これはもしや、これはもしや、ちゃんとスープ煮込んで準備してたやつー?」
「うるさい。これは無事に問題を解決した褒美だ」
そして、盛大に湯気を立てながら、美味しそうな湯気を立てるとんこつラーメンを手に、帰還したのだった。
◆◆◆
『連続小説リテイク事件』 END - 243あとがき21/11/16(火) 00:38:57
これにておしまいです! なんだこれめっちゃ難産じゃないですかすいません!
お付き合いくださった方には超絶の感謝を。こんなローディングがクソ長い安価スレ見てくれてありがとう!
日常系ってAIのべりすと君の中ではどうなってるんでしょうか。
実は途中ぐらいから展開を理解できないのか、繰り返しキャラクターデータを垂れ流すバグとかを吐き出しまくってて、この作品はたぶんAIのべりすと君的にはかなりアレだった模様です。
でも安価に振り回されたのは楽しかったので全然アリです! 楽しい安価ありがとうございました! - 244二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:38:59
一件落着だな!
- 245二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:40:08
ラーメンがメインになっちゃったあ…
- 246121/11/16(火) 00:41:51
一件落着です! たぶん星の御子さんは、教団員のところに降りてきたら、お話みんなで聞かせて貰う代わりに岩塩をめっちゃ出してくれる共生関係を結んでるんだと思います! そんな気がします!
文字と物語を食べて岩塩をいっぱい出す、流体高機動植物!それが星の御子!!(なんだこの生き物)
- 247121/11/16(火) 00:42:58
- 248二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:45:38
そっかあ…俺は知らず知らずのうちにアンドレの設定に誘導されて安価を…?
しかしキレイに完結したね…校正今回もお疲れでした - 249121/11/16(火) 00:47:32
- 250二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:53:02
今回の世界設定はかなり魅力的だったんすけど
我々が想像できる日常モノからはかなり遠ざかってたのが良かったんですかね…
これはこれでゆるふわなのかなあ - 251二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 00:57:34
本日もお疲れ様でしたー!
いやあ…独特な世界観…好きです - 252二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 02:35:06
面白かった 世界観と立地によっては塩は貴重だよなあ……と妙に納得しちゃった
- 253二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 12:36:50
難産だったね
当然ですねぇ現状ののべりすとくんでは…
いや普通の創作でもアレな安価だが - 254二次元好きの匿名さん21/11/16(火) 23:20:19
保守でもしとくか
- 255121/11/17(水) 03:15:49
オワー! 保守ありがとうございましゅー!
儚い存在である安価スレが生きているのは保守のおかげです、感謝!
さすがに夜遅すぎるので安価は諦めつつ、とりあえず三話目をちょっと推敲してアップしておきました。
- 256二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 12:19:13
保守
- 257二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 14:06:21
しゅしゅ
- 258121/11/17(水) 20:30:18
こんばんは! 保守ありがとうございます!
今夜はメチャ眠いです! でも今寝たら起きるのは深夜でなにか書くのは絶望的故!
安価を募集して書き始めてしまおうと思います。
眠さに耐えきれなかったら、前後編になります! たぶんそうなります!
それでも安価だしてやるぜ!な人は、一言ください!
10分以内に誰も書き込まなかったら涙をのんで今夜はお休みにします! - 259二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:32:04
書き込むけど無理しないで明日にしようぜ
体調崩すと悲しいよ - 260二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:32:19
しゃあこい!出来れば俺以外も来い!
- 261二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:33:06
- 262121/11/17(水) 20:36:26
- 263二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:37:24
用意周到〜〜〜〜
ならやるかー安価はまかせろー - 264121/11/17(水) 20:39:03
- 265二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:39:43
アンドレさんは今回はおやすみか
安価ならサスペンス - 266二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:40:03
格闘技
- 267二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:40:55
ksk
- 268二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:41:08
友達と一緒にいる
- 269二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:41:09
ケーキを買いに行ってる
- 270二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:41:21
巨大ゾウの大群
- 271二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:41:38
またまとめるのが大変そうだ
- 272二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:42:50
のべりすとくんなら格闘技もいけるっしょ
校正は…校正は…まあ… - 2731ぺーじめ21/11/17(水) 20:57:36
ここは大陸でも有数の大都市だ。港と川があって、商業が盛んである。
多少歪な星型の外壁が街をぐるりと囲んでいて、町の中央には大きな川が流れている。
中央には役所やら議会やらが集まった官僚区画があって、その周辺が高級住宅街。そこから街路樹と大きな通りを挟んで外側が、北側が商業地区やら住宅区画やら、街の施設などなど。
大きな門がある南側には街の外の人間が泊まる宿泊施設やら遊興施設やら、酒場や食堂やらもこういう場所にある。私の事務所、もとい自宅にはこういう区画にある小さな宿の一室を借りていた。宿代が安いのと、あと冒険者向けの施設もこの辺りにあるからだ。 - 2742ぺーじめ21/11/17(水) 20:59:59
さて、今日は街の北側の商業地区まで足を伸ばして、ケーキを買いに来ていた。
南側の宿泊施設などが揃った大通りにも食料品店はあるけど、ケーキのような高級なお菓子を取り扱っているものとなると、商業地区の大きな店を探す必要がある。
「こうして昼間に歩くと、意外ときれいな街並みなのね」
「でしょーう? ほら、馬車が入れる通りと、歩行者用の通りはきっちり分けられてるから、馬糞とかを踏むキケンもないですしー、ちゃんとそういう通りも清掃係がいますからね!」
「ずいぶんグイグイ自慢するわね?」
「よその街にいったらえらいことになってました。私はこの街に骨を埋めます」
さて、私の隣を歩く赤いワンピースが似合う美女さんは、カラさんである。とある事件で知り合った鏡の精霊の人である。
精霊といっても、透けたりしてなくて普通に触れるし、見た目も人間と変わらない。
人間よりも頑丈だったりするらしいけど、その辺の詳しいスペックは私にもよく分かりません。とにかく、黒い鏡の中の世界と、こちらの世界を行き来できる、美女である。
「それにしても、ずいぶんと注目を集めるわね」
「カラさん美人さんですからねー」
通りを歩いてみると、人が振り向く振り向く。
今日ようやくアンドレさんにお願いしていた人間サイズの姿見が完成したので、晴れてカラさんに街を案内する(+お祝いのケーキを買っちゃう)予定だったのだけれど、なんだか面倒なことになりそうな雰囲気だった。
「ねぇ、前の方、えらく人が多くない? こちらを目指すので間違いないのよね?」
「あ、はいはい。そうですけど……あれ?」
カラさんがピアニストみたく白くて細くて長い指で、大通りを指差す。
いつもは馬車が行き交っている普通の道に、なぜか人だかりができていた。目を凝らしてみると、大通りの方をみんなそろって指差したりしつつ眺めているように見える。
「今日って何かパレードとかあったっかな?」
「パレード、あるの」
「ありますよー。エレクトリカルじゃないけれど」
「それはちょっと残念だけれど。お神輿なら興味があるわ」
そんな事を呑気に話しながら、大通りを眺める人集りまで辿り着き、注目を受けている方を見ると、そこにいたのは……巨大なゾウの大群だった。
◆◆◆
巨大なゾウは、なんで町中を歩いてるのでしょう? >>276
- 275二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:00:47
サーカスの宣伝
- 276二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:02:03
出来るだけ多くの骨を踏み潰すため
- 277二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:02:49
てかテレビの中の女さん鏡の精霊になって美人になってるのキャラの昇華が上手い
- 278二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:05:14
パレードいいねえ
- 2793ぺーじめ21/11/17(水) 21:18:44
バキバキバキ、バキバキバキと、音が聞こえてきた。
近づいてみるとすごい音である。
大通りを歩く巨大なゾウ達は、足元に敷き詰められた骨を踏み潰しているのだ。
「なにこの祭り」
「すいません私にもさっぱり」
思わず口にしたという感じのカラさんの疑問に、私は真顔でそう答えるしかできなかった。なにこれ。いやほんとなにこれ。
ぱおーん、ぱおーんと象の鳴き声が聞こえている。
大通りを、象達が行進していた。その数、百頭以上。大通りは、完全に埋め尽くされていた。
よく見ると、象達の背中には、鎧を着た騎士達やら兵士が乗っていて、手に持った長い棒のようなものを振り回して、行進の道から外れた骨を通りに寄せて象に踏み潰させていた。
巨大なゾウのパレードの最後尾には、ベルトのついた一際大きなゾウがいて、こいつはその大きな体で、もっと大きな巨大な骨を引きずっている。
骨はまるで巨人が横たわったように、大の字になっていて、その真ん中には人間の頭蓋骨が乗っていた。いいや、遠くからだから縮尺がおかしく見えるけど、あれは超巨大な人間型の頭蓋骨だ。ようするに、あれは巨人の骨なのだ。
「……うーん、巨人を、退治した……凱旋パレード、みたいな?」
「野蛮な儀式だわ」
気分を害したようにカラさんは目を細めて言い捨てた。私もあんまり楽しい感じはしない。街に住む人達からすると、悪い魔物を倒した正義の騎士団の凱旋、なのだろうけれど。 - 2804ぺーじめ21/11/17(水) 21:19:22
さて、それじゃあケーキ屋さんに行こうかな、と振り返ると、大通りの向こう、南の大門に続く門を抜けて、今度は馬に乗った集団がやってきた。
「……あれ?」
先頭を走る黒馬に乗るのは、黒光りする全身甲冑の騎士。
その後ろには、同じく全身甲冑の騎馬兵。さらにその後ろは、大きな盾を構えた歩兵。
最後に、弓を持った軽装の兵士と、杖を持ったローブ姿の魔法使い。
全員が、金属製のフルプレートアーマーを着込んでいて、兜まで被っていた。
ゾウに乗った連中は、目立つ自国の紋章を付けていたのに、この集団は身分を示すものを何も身に着けていない。まるで戦場を走るように、身を低くして馬を駆けさせている。
「こっちよ」
「……は、はい」
カラさんが私の腕を引いて、物陰に隠れるように促してきた。
私はカラさんと一緒に建物の影に身を隠す。周囲の観衆に警告の言葉を口にしようとしたけれど、それよりも先に強く腕を引っ張られて、そのまま物陰に引っ込まれる。
その瞬間、馬に乗っている騎士の一人が、持っている槍を大きく振った。
ブンッと風切り音を鳴らして、その先にあった建物が崩れ落ちた。バリバリと派手な破壊音を立てて、建物が倒壊する。瓦礫はちょうどゾウたちのパレードを邪魔している。
カラさんが、眉間にシワを寄せて呟く。
「この街って、いつもこうなの?」
「ちがいますよ!」
巨大ゾウ軍団と、謎の騎士たちの戦いがはじまる。観衆が悲鳴を上げて逃げはじめた。
◆◆◆
大惨事ですね! 格闘技ファンタジーだからなんかバトル展開になったんじゃないでしょうか!
彼らの戦いの決着は? もしくはモニュたちはどうする? >>282
- 281二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:21:28
帝王の鎧が復活して全滅
- 282二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:21:55
口紅を塗る
- 2835ぺーじめ21/11/17(水) 21:39:27
「えーと、なにやってるんですか、カラさん」
「口紅を塗ってるのよ」
手にしたハンドバックから手鏡を取り出すと、カラさんは口紅を塗っていた。
いや、見れば分かるからそこは聞いてないんだけど。今、破砕音と巨大ゾウの鳴き声と剣戟と地響きがすごい勢いで大通りに鳴り響いてるんですけど。口紅塗ってる場合じゃないと思うんですけど。
観衆が巻き込まれて阿鼻叫喚、とならなかったのは、パレードの列が崩れなかったからだ。例の黒騎士の一行は、パレードの最後列に引かれていた巨人の骨が目的らしく、後ろのゾウへと攻撃を開始して、逆に巨大ゾウの騎士団はこれに迎撃しているものの、大通りを逸れて観衆に被害を出すことを恐れて無茶な攻撃が出来ていない。
「……で、どうして口紅を?」
「だって、これからショッピングの予定でしょう? そういえば口紅、してなかったのを思い出したの」
そういえばそうでした。
巨大像がものすごい悲鳴を上げて大通りをそれて歩行者通路に向かって倒れ込む。灌木が倒れて散った葉が宙を舞う。巨人の骨を引きずってたやつだ。
黒騎士たちは、巨人の骨を奪うため、引っ張っていたワイヤーを切り離そうとしている。
しかし、その時だった。
バキバキバキ、バキバキバキと、また破砕音が聞こえてくる。
今度はなんだと、視線を向けると、大通りの先に、今度は巨大なワニの群れが現れて、牙を剥き出しにして行進する行列に襲いかかろうとしていた。
バキバキバキ、バキバキバキ。
バキバキバキ、バキバキバキ。
バキバキバキ、バキバキバキ。
大通りの左右から現れた巨大なワニの群れは、大通りの両脇に並ぶ建物を、まるで蟻が砂糖菓子をついばむように、次々と噛み砕いては飲み込んでいた。
「うわー、うわー、うわー」
「すごいことになってきたわね。ケーキのお店、大丈夫なの?」
「えーと、あっちは川の方だから、大丈夫です!」
「よし」
大通りを行進していたゾウたちが、巨大なワニを見て慌てふためく。
騎士達は慌てて隊列を組み直そうとするが、巨大な骨を引きずっていたゾウは、バランスを崩して転倒してしまった。巨大ゾウの巨体が倒れた衝撃で、周囲の建物にも甚大な被害が出る。ゾウの足下にいた鎧姿の兵士達が、慌てて逃げ散っていく。
その時、ようやく黒騎士たちがワイヤーを切って、巨人の骨を確保した。 - 284121/11/17(水) 21:40:26
- 285二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:41:33
ワニ出てくるのか…
- 286二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:41:40
ksk
- 287二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:41:57
巨人になる
- 288121/11/17(水) 21:58:27
その時、ようやく黒騎士たちがワイヤーを切って、巨人の骨を確保した。
「我に力を!」
手甲を脱ぎ捨て、骨に直接触れると。黒騎士が叫んだ。
白い雷光が大通りを覆った。
光でぼやけた視界が次第に像を結んでいく。そこに見えたのは二本の巨大な脚、ゆっくりと顔を上げると、それは腰に繋がって、上半身に繋がって、頭がようやく見えた。
「巨人だ……」
「ウルトラ大きい巨人ね……」
大通りに立っていたのは、黒色に輝くメタリックな巨人だった。鎧のように全身を覆い、鎧よりも強靭そうな筋肉に覆われた巨人が、大通りにそびえ立っている。
腰ほどの高さで暴れている巨大ゾウを見下ろすと、その向こうから近づいてくる巨大ワニの方へと向き合う。どうやら巨人の眼中にあるのは、あの巨大なワニの群れだけらしい。
対するワニの群れは、その場で一箇所に集まりつつあった。
「私この後の展開がなんとなく読めました」
「奇遇ね、私もよ」
まるで巨大なワニ塊というように寄り集まっていくワニの中央から、巨大な肉塊が立ち上がる。急速に形を歪め、膨らみ、硬い甲殻をもった形になって……超巨大ワニになった。
そして、黒色メタリックの巨人と相対したのである。
先制をとったのは、超巨大ワニだ。
ドシン、と重々しい音を立てて、超巨大ワニの顎門が巨人を捉えた。巨人は咄嵯に両腕を交差させて防御したが、ワニの顎門は巨人の腕ごと巨人を地面に叩きつけた。
地面が揺れて、土煙が上がる。
しかし、巨人は倒されていなかった。
巨人は超巨大ワニの顎門を掴み、ワニの頭を持ち上げようとしていた。超巨大ワニは、それに抗うべく、全身の筋肉を膨張させ、巨人を跳ね除けようと力を込めた。
空気を裂くような鋭い声で、巨人が叫ぶ。
「ほら、引っ込むわよ」
「はいぃぃっ」
カラさんに引っ張られて、私が再び建物に引っ込むとほぼ同時に、巨人の全身を覆っていた黒い鎧のような装甲が、一斉に剥がれ落ちて、黒い稲妻が大通りを走った。黒い閃光が大通りを包み込む。きっと取っ組み合っていた超巨大ワニは焼き尽くされたことだろう。
その光景は、まるで黒い太陽が地上に落ちてきたかのようだった。 - 289二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:01:58
格闘とは
- 2907ぺーじめ21/11/17(水) 22:03:54
ボロボロと、超巨大ワニの表面から、ワニの骸が剥がれ落ちていく。あっという間に大通りは黒焦げになったワニのでいっぱいになった。すごい焦げ臭い。
黒騎士の部下たちは、巨人がワニの群れを倒したのを確認すると、すぐに馬に飛び乗って逃げていった。いつの間にか合流していた黒騎士が先頭を切っている。
後には、黒焦げになったワニの死骸の山と、あと巨人の骨、それに怯えて大通りをうろついている巨人ゾウたちだけが残った。あ、散り散りになっていたゾウの乗り手たちが戻ってきている。はやく巨大ゾウをどうにかしてね。マジで。
「じゃあ、パレードも終わったみたいだし、行きましょう?」
「は? あ、はい」
「店がちゃんと開いているといいのだけれど」
私はもう大通りから興味をなくしたカラさんに手を引かれて、ケーキを取り扱っている高級菓子店を目指して一路商業地区へと向かったのだった。
◆◆◆
ウルトラファイト部分が……格闘……かな……?
さて、二人は無事にケーキを手に入れられたでしょうか? それともまだなにか問題が? >>295
- 291121/11/17(水) 22:08:27
めっちゃねむみが限界に達したので、横になります!(急に)
途中で申し訳ありません!
安価を入れておいてくだされば、起きた時に書いて話を締めますね! あと追加で、>>296にエンディングに欲しい要素を書いててくれれば加えます!
お付き合いありがとうございます!お先におやすみなさいませ!
- 292二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:10:52
ksk
- 293二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:11:03
かそく
- 294二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:11:40
ksk
- 295二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:11:49
嘘みたいにスムーズに買えた
外では殆どのゾウが大地に溶けていったが幸せそうだった - 296二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:12:52
マジカルルージュをゲット
- 297二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:23:36
おやすみなさいね
- 298二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 03:34:05
ほっしゅ
- 2998ぺーじめ21/11/18(木) 07:22:47
「お買い上げありがとうございましたー♪」
お店の看板娘という、双子の少女の声を背中に受けて、私たちはお菓子屋さんを後にした。
商業地区の一等地に構えるような立派な店である。手ケーキを包む手提げ袋の包装も可愛らしく、食べ終えたら飾っておきたいくらいだ。やっぱ高いお店はいいなぁ。
「この街に住んでるのに、来るのははじめてだったの?」
「……こう、なんか気後れしちゃいまして。ほら、ステンドガラスとか使って、高級感あるでしょう?」
「そうかしら?」
「貧乏暮らしが長かったんですよぅ」
ちらりと商業地区の一等地に並ぶ店の列を眺めてカラさんが首を傾げる。
いつもの赤いワンピースも、美人さんが着ると様になる。高級住宅街をハンドバックを下げて歩く姿は休日の貴族令嬢とでもいう感じで、ふわりと風でたなびく髪はまるで妖精のよう。精霊だけど。
一方私は気後れしないようにそれなりに気合を入れたコーディネイトしたものの、どうにも冒険者的な活動が多いせいか、動きやすさを優先してしまってゴワゴワした服をチョイスしがちだ。防刃効果とかつい意識しちゃうの。
「せっかくだから、服とか見ていく?」
「心を読まないでください」
「物欲しそうな目で見てたからよ。あなた、美人なんだから、もうちょっと彩りのある服を着てもいいと思うのだけど」
「わぁい、もう一回言ってください」
「もうちょっと彩りのある服を着なさい」
「そこじゃなくてもうちょっと手前だったんですけどあと命令形!?」
結局そのまま私とカラさんは、半日をかけて商業地区でショッピングを楽しむことになった。生きていくのに必要じゃないものはあまり買い入れないクセがついてたので、こういう散財をするのも思いのほか楽しいことに初めて気付いた。
「貴族御用達なんて書いていても、言うほど接客が徹底してない店が多いのね」
「この街には貴族いないですからね。よその国からは来ますけど、自国領の外で大きな顔するようなのはそんなにいませんし」 - 3009ぺーじめ21/11/18(木) 07:23:04
カラさんは接客で気に入らない所があればごく自然に店員にダメ出しもするし、改善案をその場で教えて、必ずなにか一つを購入していく。その商品選びがまたセンスがよくて、店員と一緒に私まで感嘆の溜息を吐いていた。
なんでそんなにセンスが良いかを聞いてみると、こちらの世界の服飾のバリエーションに元々持ち合わせていた現代日本のファッションセンスを取り入れて、気にいるコーディネイトを選んでいるそうだ。これが異世界チートってやつかもしれない。
ごめんなさい、同じ現代日本のセンスを持ってるはずなのに全然分かりません。
「えー、えっとそれじゃ、私はこのマフラーを」
「それもいいけれど、さっき買ったアウターと組み合わせるならこちらの色がいいんじゃないかしら。貴女の好みにも合うでしょう?」
カラさんは、たまに私のことをじーっと観察しては、あれこれアドバイスをくれる。
私としては、着せ替え人形のように扱われるのが恥ずかしいのだが、カラさんは私を着飾らせるのが楽しくて仕方がないらしい。
私を着飾らせたカラさんは、それはもう楽しそうに笑う。美人さんの笑顔である。そりゃあまあいいかと思ってしまうだろう。私は悪くない。お財布には厳しいけどね。
けっきょく、カラさんはこの世界らしさのある上品な衣装を一通り。私は商業区のお高い店のある通りを歩いても恥ずかしくない、オシャレな一張羅を手に入れたのだった。 - 30110ぺーじめ21/11/18(木) 07:23:36
帰り道に、例のパレードからの大騒ぎがあった大通りにちょっとだけ立ち寄ってみた。
「……わー、なんだこれ」
例のパレードでのしのし歩いていた巨大ゾウたちが、いっぱい通りに横倒しになって、なんか半分くらい溶けはじめている。溶ける、といっても肉が溶けて骨が見えて、みたいな感じじゃなくて、アイスが溶ける感じでジワァ……って液状になってるみたいな。
「あら、気付いてなかったのね。あれは魔法で作った生物よ」
カラさんが何でもないことのように言ったのでちょっと驚いた。
「そういうの分かるんですか?」
「うーん、精霊だからかしら。なんか分かるのよ。本物かどうかとか、そういうの」
なるほど。今度そういうのアンドレさんにでも聞いてみるかな。それとも、精霊使いとかの専門家に聞いてみると良いかもしれない。カラさんのこと説明するの面倒くさそうだけど。
「……よく言うこと聞いてたわけですね。なるほど」
巨大ワニの群れが出てきたときとか、食べられまいと巨大ゾウ達がパニックおこして商業区やら市街地に逃げ出してたら、大惨事になってもおかしくないもんね。
ちょっと肝が冷える。
あんまりにも現実味がない光景だったから感覚がおかしくなってるけど、街のピンチだったのだ。たぶん私と同じ感じで、ほとんどの一般市民はすぐに元の生活に戻っていた。
びっくりすることに死者も出ていない。
たぶんあの黒騎士は、いわゆる良いやつだったんだろう。最初に巨大ゾウの騎士団を襲撃してた時に切り結んでたのだ。普通は斬り合いで一人や二人、殺しててもおかしくない。
巨人に変身した後にちょいと建物掴んで投げるだけで、大惨事にあっただろうしね。
大通りでは、今も街の衛視さんやら見回りの兵士さんが忙しそうに走り回ってる。
ずいぶん時間が経っているから、溶けるスピードは最初はゆっくりだったのかもしれない。でも、今はだいぶ溶けるスピードが早い。みるみる溶けて、消えていく。
大通りは一応石畳なのに、よく見ると大地に溶けるみたいに液状になった部分も蒸発していってる。そういえば魔力って揮発性だったっけ。そりゃ消えるか。 - 30211ぺーじめ21/11/18(木) 07:24:44
巨大ゾウたちはなんかつぶらな瞳を満足そうに細めたまま溶けて消えていく。そのせいか、あんまりかわいそうって感じはしない。こいつらなんでやり遂げた感出してるんだろう。
「生まれた時から生きる理由を知っているからよ」
ぽつりとカラさんが言った。一瞬、意味が分からなかったけど、私と同じものをミていた横顔を見て、私が思ってたことを察したのだと気付いた。
「えー、と」
「満足そうな顔、ヘンでしょう? でも、彼らにはあれでいいのよ」
カラさんはちょっとおかしそうに笑う。
「乗り物として生まれて、乗り物として生きて、乗り物として死ぬの」
なんだか言葉にするとすごく残酷なことのように思えるけれど、カラさんは楽しそうに、あるいはちょっとだけ羨ましそうにそれを言うのだ。街の通りでゆっくりと溶けていく巨大ゾウを見ながら。
人間なら、なんて話をするのは野暮だし。カラさんはどうなのか、なんて話をするのはもっと野暮だろう。
「私は美味しいものも食べたいですね」
「それには私も興味があるわ」
別にゾウを見て食欲が湧いたわけじゃないけれど、そのまま私とカラさんは、この時間から食事のできる美味しい店を探しに商業区へと足を向けたのだった。 - 30312ぺーじめ21/11/18(木) 07:25:31
次の日の朝、私は借りている宿の一階にある食堂で朝食をとっていた。
この世界の朝はパンとスープが定番だ。
パンは焼きたてで、バターがたっぷり塗られている。スープは野菜の出汁が効いていて、とても美味しい。
向かいの席では、カラさんが黙々とパンを千切っては口に運んでいる。
昨日の買い物でついついお金を散財してしまったので、節約のためにベーコンエッグとサラダは抜きである。コーヒーもミルク抜き。苦みに顔が渋くなるのを我慢する。子供っぽいとか思われるからね。
カラさんは、パンを千切るのをやめて、じっと窓の外を眺めていた。
朝日が眩しくて目を細めている。
カラさんは、窓から見える商業地区の景色を眺めながら、ぼそっと言った。
「ねぇ、モニュ」
「はい?」
「これ、昨日のお礼よ」
白い腕がすっと伸びてきたので、反射的に手を伸ばしたら、手のひらの上にちょこんと小さな円筒形の容器が乗せられていた。
「これは、えーと」
「口紅よ」
「あー、ありがとうございます」
この世界には、現代日本ではおなじみの、円筒形の口紅はない。平べったい容器に入れて指先で唇に塗るのが主流だ。なのでちょっと不思議な感じがする。
おっかなびっくり蓋を開いて口紅の色を見ていると、カラさんはふふっと笑った。
「さて、モニュは今日は何をするの?」
「えーと、私は、ギルドにお仕事でも探しに行こうかなと。なにか依頼があるかもしれません。例えば例の逃げていった黒騎士を追え!とか」
カラさんは、私の言葉に楽しそうに声をあげて笑った。いや冗談じゃなくて本当にそういう仕事の依頼が来たらいいなーって思ったんだけど。これでも探偵、人探しは大得意なのだ。黒騎士の一人や二人くらいちゃんと探してみせるよ?
依頼されたらね。
でもまぁ、そんな面白い仕事が都合よく来ないだろうなーとも思ってる。
「じゃあ、お仕事いってらっしゃい」
そんな言葉に振り向こと、カラさんの姿は部屋から消えていた。
アンドレさんから購入した黒い鏡面の姿見は部屋の壁にかかっている。これがある限りカラさんはいつでもこちらに出てこれるし、いつでも鏡の世界に戻れるのだ。
ちょっと高いお買い物だったけど、良い買い物をしたと思う。
「それじゃ、いってきまーす」
そう言って部屋を出ていく途中、背中から「いってらっしゃい」と声が聞こえた気がした。 - 30413ぺーじめ21/11/18(木) 07:25:44
◆◆◆
『異世界チートショッピング事件』 END - 305あとがき21/11/18(木) 07:30:01
おはようございます!そして完結しました安価ありがとうございました!!
安価をくださった皆様のおかげでこの物語は無事に完結しました
起きてまず目にしたのが満足そうに溶けていく巨大ゾウの安価でした。どういうこと!?
最終的になんかいい感じ風に終わりました! 格闘要素マジでどこにいったんだAIのべりすと君!
なんとなくでカラさんを出したら、最終的になんかちょっと百合っぽくなりました!
いやAIのべりすと君はもっと露骨に百合にしようとしてました。よそでホテルに泊まろうとしたりね!
友情パワー!友情パワーです!
読んでくださった方、すべてに最大級の感謝を! また機会と安価があったら続き書きます!! - 306二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 09:59:50
朝保守にきたら完結してて草
おつかれさまでした! - 307二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 15:39:18
しゅ
- 308二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 17:59:26
ゾウが溶けるところで何故かいい話風になるの普通に面白いっすね…
- 309二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 18:01:24
格闘とか日常はまだ苦手なのかのべりすと君
- 310二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 22:16:48
しゅ
- 311121/11/18(木) 22:19:33
- 312121/11/18(木) 22:22:41
今夜はお休みにして、推敲してまとめておきます。
この安価小説シリーズって、小説家になろうに投稿しちゃっていいでしょうか?
こう、人が読みやすい感じにまとめたい欲があるのですが、なかなかいい場所が見つからないのです。
この小説は安価してくれてる人あってのものなので「ちょっとモニョる!」な感じならやっぱナシで!
- 313二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 02:42:57
ほしゅ
何度か安価してるけど別に構わない - 314二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 14:42:10
ほしゅ
- 315二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:11:06
【設定ノート】
舞台:
ファンタジー世界の大都市。議会制政治で貴族階級がいない。
港町で街道があちこちに繋がっているため周辺諸国から交易商人や旅人がやってくる。
人物:モニュ
フルネームはモヌメント・葦原。21歳。女性。探偵。現代日本の知識を持つ。
なぜか色んな邪教とのコネがある。
人物:アンドレ
フルネームはアンドレイ・木納。その正体は堕天使にして天才科学者。男性。
趣味は料理。日本の知識を持つ。研究所にはコタツがある。ネガティブ思考の持ち主。
人物:カラ
本名は、倶利・伽羅(くり・から)。現代日本から転移した鏡の精霊。女性。絶世の美女。
黒い鏡の中を出入りできる。鏡に写った人間を殺す能力がある。趣味は野球観戦。 - 316二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:11:27
そろそろ本日のストーリーを開始しますー。安価に参加できる方、いらっしゃいますかー?
- 317二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:14:37
ほーい
- 318二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:15:22
ぽい
- 319二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:17:09
ぬい
- 320二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:20:02
- 321二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:20:47
ラブコメ
- 322二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:21:07
グルメ
- 323121/11/19(金) 21:23:39
- 324二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:24:45
墓地
- 325二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:25:18
- 326二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:26:07
- 327二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:27:04
- 328二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:29:17
戦場
- 3291ぺーじめ21/11/19(金) 21:41:58
私は絢爛な神殿を訪れていた。
街の北部、この街の運営に関わる政治家や役人、大商人などが住む、いわゆる高級住宅街の中に立てられている神殿である。白亜の大理石を削り出して作った床や壁面にステンドグラズが飾られ、建築技術と魔法の技術のなせるわざか、建物内には常に清廉な空気が保たれている。
塵一つなく掃除の行き届いた回廊には、この神殿で崇められている女神様を図案化したステンドグラスが左右に飾られている。世界の誕生、人間たちに奇跡を授け、魔王を放逐し、英雄たちを召喚する。この世界の神話の中では女神は常に人々に安寧と恵みを与える存在だ。
回廊を抜けて、角を曲がると小さな告解室がある。
私がその中へ入ると、向かいの窓の向こうにはすでにヴェールに覆われた人影が座っていた。
「ごめんなさい、お待たせしましたか?」
「いいえ、私が勝手に待たせていただきました。この件について、考える時間が欲しかったものでね」
穏やかそうな男性の声。年配の人だ。それなりに高い地位の人なんだろうと想像する。
この神殿に務める司祭だろうか。
「それで、冒険者ギルドの方からは、内密にお仕事の依頼をなさりたい、とお聞きしたのですけれど。さっそく要件を伺ってもいいでしょうか? ……それと」
「はい。秘密は守れる方だと伺っています。もし手に余るというのでしたら、断ってくださっても構いません。」
ちゃんと話が通っているようで良かった。
ここはファンタジー世界。それなりに文化も発展してるふうだけれど、まだまだ力が法な蛮族思考も抜けていない。権力者の秘密を握ったら問答無用で無礼討ち、なんてことも笑い話じゃないのだ。
「お気遣いありがとうございます。可能な限り引き受けたいと考えています」
「そうおっしゃってくださると助かります」
男性は嬉しそうに。嬉しそうに思える声色でゆっくりと話を始めた。 - 330二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 21:48:00
ここからどうグルメに繋げるか…
のべりすとくん… - 3312ぺーじめ21/11/19(金) 21:52:52
「籠城?」
「籠城です。今、この神殿の二階で、司祭の一人が立て籠もりを行っています」
引きこもりかな?
いや、こんな神殿の中で、引きこもりは無理か。落ち着かないだろうし。
「籠城、という表現をする理由はなんでしょう?」
「立て籠もっている人物、ジョエル司祭は強力な奇跡の担い手なのです。彼の『守護』の魔法は強力で、彼が立て籠もっている神器の保管室全体を完全に外界から隔離しています」
なるほど、だから籠城。私は了解した。
「精神力が尽きるのを待つという手が使えないのはどうしてですか?」
「神殿に保管されていた神器の中には、星人の血を奇跡の力に変える『血の聖杯』が含まれています。ジョエル司祭はコレを利用しているのです」
「それって」
「はい、いつかは司祭は死に至るでしょう。それゆえ、このまま待つべきという者もいます。ですが、私はできるならば彼が死ぬ前に、彼が籠城している原因を解決したいのです」
人命救助。厄介なお仕事なのは予想通りだけれど、予想していたよりは良いお仕事のようだ。
「ジョエル司祭が籠城している理由はなんでしょう? 彼は何かを要求してるんですか?」
「それが、ですね……」
告解室の向こう側、ヴェールの向こうで男性が困ったように言葉を途切らせる。
私は嫌な予感を感じながら、辛抱強く続きを待った。 - 3322ぺーじめ21/11/19(金) 22:10:52
小一時間後、私は市場にいた。目的は食材の調達である。
「お嬢さん、新鮮な野菜が入ってるよ! ほら、そこのお兄さんも買っていきな!」
店主の威勢の良い呼び込みを聴きながら、私は店内を物色する。
野菜。肉。香辛料。干した魚。港町ではあるが、ここらでは干し魚しか売っていない。
新鮮な魚は良いものだけど、生で食べる文化はこの都市にはない。
「ううーん……もうちょっと、いいものが欲しいなぁ」
この時間の市場で手に入る食材ではダメなのかもしれない。
「すいませーん!」
「なんだい嬢ちゃん!」
「こう、新鮮な食材が手に入る場所とか、教えてもらえませんか!」
「うちの食材が新鮮じゃないっていうのかい? ほら、見てくれよこの野菜の色艶! 隣町で仕入れてきた商隊が真っ直ぐに卸してくれたんだ。生でだっていけるぜ?」
「いえ、そうじゃなくて。あ、もちろんそれもありますけど。この辺りで手に入れることのできる、珍しい食材が知りたいんです。例えば、海産物とか」
「そういうことなら、港の市場に行けば良い。この街の市場には遠く及ばないが、新鮮さってだけならな。なにしろ採れたてだし、ここで並ばない妙なものも並ぶ。いろんな食材が揃うぞ」
「んー、ありがとうございます」
お礼を言って店を離れる。
珍味、珍味か。そういうのもいかもしれない。他には高級料理店に頼るとか。
冒険者ギルドに行って、急いで食材になるモンスターを狩ってもらうとか。いやどうかなぁ。
「なにしろ、女神の舌を満足させる料理を作らなきゃいけないんだから」
市場ですべての食材を揃えることを諦めた私は、いくつかの品を箱ごと買って神殿まで届けてもらうようにお願いすると、足を早めて次の目的地に向かった。
◆◆◆
よし!なんかそれっぽくなりました!どういうことかは分かりません!
とにかく食材をゲットする必要があります!めざす目的地は何処でしょう!
- 333121/11/19(金) 22:12:05
- 334二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:17:03
よし
- 335二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:17:32
とりあえずグルメにはなりそうで一安心www
- 336121/11/19(金) 22:18:15
(お仕事の電話が来たので冒険は一時中断で……! 続きは深夜に書きますので安価お待ちしてまーす)
- 337二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:19:06
食材豊富なダンジョン
- 338二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:19:29
極光の兄妹
- 339二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:19:49
竜宮城
- 340二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 22:20:17
伝説の超漁師
- 3414ぺーじめ21/11/20(土) 01:53:07
港には多くの船が停泊している。
この世界では大型の貿易船は帆船が主流だ。精霊使いが風を捉えて、潮を導いて、すごく速く遠くまで安全に航海を行うことができる。見張り台は彼らの特等席なのだ。
小型の漁船はそうはいかない。小さな帆で風をつかまえてもあまり速度も出ないし、櫂を漕いで潮を読んで、ようやく沖に出ることができる。経験なくては漁師は務まらない。
「あんだよーねーちゃん、かえれよー」
聞き込みをしながらようやく目的の人物を求めて、港近くの酒場に足を踏み入れた私は、奥のテーブルに陣取って酒をかっくらっていた一人のちびっ子に仕事をお願いしていた。
「伝説の漁師、アルフ・フェイドでなければ務まらない仕事なんです」
「あぁん? 今日はもう漁師は店じまいだ店じまい! 今日のオレは伝説のエールジョッキだ!」
めっちゃ酔っ払ってる顔だった。たぶん本来は白いであろう肌が酒でほんのりピンク色に染まっている。エルフ特有の尖った耳の先端までピンク色。
げっぷと共に酒の匂いが向かい合ってる私まで届く。世界一かわいくないピンク色だ。
「そこをなんとか。尊い人命がかかっているんです」
「あぁん? クラーケンやらリヴァイアサンでも釣れっていうのか?」
アルフさんの目が剣呑な光を帯びる。アルフさんは、世にも珍しい海エルフだ。
彼らは森に住むエルフと比べて背丈が低く、子供みたいに見えるものの、体はドワーフよりも頑丈で。しかしめちゃくちゃ泳ぎが上手い。生まれつき海の加護を受けた種族なのだ。
そして、彼らが操る水の精霊は、他の種族の操るそれと比べて段違いに強力だ。人間の精霊使いが操る水の精霊がゴム動力のスクリューなら、海エルフのそれは原動機付きスクリューなのだ。
「いえ、クラーケンやリヴァイサンじゃなくて」
ごくりと息を呑んで。言葉を続ける。
場合によっては逆鱗に触れるかもしれないという覚悟で、私は彼女を探した理由を口にした。
「問題なのは、目的地です。竜宮城まで向かって欲しいんですよ」 - 3425ぺーじめ21/11/20(土) 01:53:22
この世界、この街において知られている『龍宮城』とは、この港町から出向して二日ほどの距離を海岸線に沿って南に下った沖合にある、奇妙な島の名前である。
この島には、神話に語られる伝説の存在、すべての海を統べる、すべての海の生命の長である、海王種の姫君が住んでいるとされている。
海エルフも、その海王種の血を引く一族であるとされている。そして、ウワサが確かならば、アルフさんはその血がとくに濃いのだと。
「海王種が狙いかよ」
アルフさんの目がスッと細くなった。声色が鋭い。酔いを覚ましてしまったようだ。肌のピンクは変わらないから、どっちかというと怒りに転じちゃったとかそういうことかも?
「いえいえぜんぜんちがいます。狙いはそういうのじゃなくて」
慌ててブンブン首を振って否定する。
それから眉をひそめているアルフさんの耳元にそっと口を近づけて、こっそり目的を説明した。
「……はぁ? つまり、なんだ。あのクソガキにご馳走するために、わざわざあの島まで行こうってのか? んなことしなくても、この辺りの食材で適当に美味いもん作ってやりゃいいだろうが」
クソガキて。
呆れたようなアルフさんの言葉に、私は肩を落とす。
「やっぱり無理ですかぁ」
私だって、できればそうしたい。でも、確実に条件に合う料理となると、これしか思いつかなかったのだ。籠城しているジョエル司祭の命に関わる以上、いい加減な料理を出すことはできない。
中途半端な料理を出して、女神の舌を満足させることができなかったら?
絶対、次はもっともっとハードルが上がってしまう。一度肥えた舌はなかなか元に戻らないのだ。次から次にと料理を持っていけば、腹を満たせても舌を満たすことはできない。
「……無理とは言ってねぇだろ」
肩を落とす私を半眼で睨みつけながら、アルフさんが吐き捨てるように言った。
「ただし、あたしは運ぶだけだ。交渉はテメェでしろよ。連中とは口もききたくねぇ」
やった! 私は小さくガッツポーズをした。 - 3436ぺーじめ21/11/20(土) 01:53:52
それから一時間後には、私たちは竜宮城が見える海域へと辿り着いていた。
一時間後である。普通の船なら二日かかる道程を、アルフさんの船なら一時間まで縮めることができるのだ。これがアルフさんに依頼した理由。
ただし、アルフさんの船、❝一本角の巨大サメ号❞の乗り心地は最悪だ。人が乗れる巨大なサーフボードをジェットエンジンですっ飛ばしてる感じと言えば伝わるだろうか。
波は穏やか。天気は晴れ。絶好の航海日和である。
そこを巨大な波飛沫をあげる小舟がすっ飛んでいったのだ。今日、海を見ていた人間たちはドン引きであろう。軽く煽っていった帆船の乗員さんたちには心の中で謝っておいた。
「そろそろくるぞー。だらしなくへたり込んでないで、立て立て!」
「はいぃぃ~~」
龍宮城は不思議な島だ。孤島と言っても、見た感じは巨大な岩の塊のように見える。
島の中央には、まるで山のように大きな水柱が立っていて、頂点で四方に散っている。この水柱から散った海水が、薄い膜のように島全体を覆っているのだ。
海水の膜の向こう、島の上部に城が建っているのがぼんやりと見える。
あれが海王種の姫君の住処。
それを私が確認した直後に❝一本角の巨大サメ号❞の前方に、二つの巨大な水飛沫が上がった。
『人間よ。何用でここを訪れた』
『この地は我らが姫の塒。疾く、その穂先を陸に向け、引き返しなさい』
降り落ちる飛沫が虹を描く。その下で、海面に立つ二体の威容は美しき白亜のシードラゴン。
伝説に語られる竜宮城の守り手たち、❝極光の兄妹❞であった。 - 3447ぺーじめ21/11/20(土) 01:54:14
「す~い~ま~せ~~~ん! 聞~こ~え~ま~す~か~~~?」
さっそく私は船の上に立ち上がり、ぴょこぴょこジャンプして己の存在を全力アピールした。
シードラゴンたちは、そろって私を見下ろして、パチクリと可愛らしく瞬きをする。それからアルフさんの方に視線をついっと動かした。
視線にナニコレって書いてある。そういう珍獣を見たようなムーブはちょっと傷つくんですけど?
「こっち見んな! 今日のオレはそいつを運びに来ただけだっつーの」
大声でコミュニケーションを拒否られたので、シードラゴンたちの視線がまた私に戻ってくる。
諦めてこっちの話を聞いてくれるきになったらしい。
伝え聞く伝説とかいきなりの要求の割にわりと人が良さそうなドラゴンさんたちで良かった。
「私は、女神様の舌に合う料理を求めてここに来ました!」
シードラゴンはもう一度、今度は目を閉じて、首を傾げて、それから目を開いた。
それからアルフさんをじろりと睨む。
アルフさんは知らんぷりして、そっぽを向いていた。
「えーとですね、女神様とあなた方の関係はよく分かりません! ですが、現在、女神教の大きな神殿で、女神様からの啓示を受けた罪のない司祭さんが、ご馳走がくるまで籠城していて、このままではヘタをしたら死んじゃいそうな状態になっています! 彼のためにもどうかご一考を!」
めちゃくちゃこっちの事情であるので、もはや情に訴えかけてるだけなのだが、私は海エルフさんや海王種の間での反応から、この交渉の勝機を見出していた。
そう、女神様の印象がクッソ悪いので、被害者に対する同情を誘えばいけそうな気がするのだ!
そして予想した通り、シードラゴンたちが顔を見合わせて、マジか……って雰囲気を出してる。ついでにアルフさんまでドン引きしてた。そう言えばそこまでは伝えてなかった。 - 3458ぺーじめ21/11/20(土) 01:56:33
『……それは確かに、我らの姫君ならば捨て置きはしないであろう』
重々しく唱える言葉に、私はマッハで誤解を解く。
「あ、私は女神教とかぜんぜん信仰してないので! 使徒とかそういうのじゃありません!」
ぱちくりとシードラゴンたちが瞬きして私を見下ろしていたが、不意に長い首を垂らして私の顔を覗き込んできた。口を開けたらパクっと飲み込まれそうなサイズにちょっとドキドキする。
でも、近づいてみると綺麗な目だなー。なんて。匂いも不思議と海の生き物特有の潮臭さとかがなくて、これだけ近い距離でも不快さがまるでない。神聖な生き物の雰囲気をビンビン感じる。
『ふむ……事実のようだ』
『だが、外なる神の匂いを感じたが』
「ちょっとだけ付き合いがありまして。そちらの信者しゃんのお仕事を何度か受けたり」
シードラゴンたちは、しばらく何かを探るような目でじっと私を見つめていたけれど、どうやら満足したらしく、顎を上げて私を見下ろす態勢に戻った。近いと迫力がすごいので、ホッと一息。
『この者はどうやら、ずいぶんと役に立つ存在のようだな、妹よ』
『そのようなものも必要でしょう。お兄様』
二体のシードラゴンは顔を合わせてそう言うと、ゆっくりとこちらを見下ろす。
『姫様の許しは得られた。お前の望むものを授けよう』
◆◆◆
というわけで、竜宮城から持ち帰った料理を、籠城している私菜様に渡せば依頼達成です。
その女神の舌も唸らせる、伝説の料理とはいったい!? というわけで安価です。
- 346121/11/20(土) 01:57:32
安価ありがとうございました!
夜遅いのでこのまま横になります。次みたときに安価が来てたら書くですよ! - 347二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 09:38:11
ksk
- 348二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 09:38:23
ksk
- 349二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 09:38:32
ksk
- 350二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 09:38:41
吸血ゴリラの腕
- 351二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 09:42:18
綺羅星の雫
- 352二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 09:55:25
妖精の尻尾
- 353二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 18:25:55
ほしゅ
- 354二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 23:45:24
保守
- 3559ぺーじめ21/11/20(土) 23:48:17
神殿の、神器保管庫。それは祈りが集まる祈祷室の真下にある。
信者たちの祈りの力はこの保管庫に設置された女神の写し身、女神像へと注がれて神の力になるのだそうだ。世界にはこういう女神の写し身である神器がいくつか存在していて、これの管理を女神様に任されることは栄誉あることらしい。
だからこそ、今回の不祥事は取り急ぎ内々のうちに片付けてしまいたいのだろう。女神教の総本山である大神殿は、虎視眈々と神器の管理を自分達の管轄にしたいと狙っているだろうし、秩序の破壊を目論んでいる過激派の邪神教徒に存在を知られたらテロの標的になる可能性もある。
「……正直、聞きたくなかったなぁ」
そんな秘匿性の高い情報なので、知らされた私も今後ガッツリ監視されるに違いない。もちろん女神教の神器をどうこうしたいなんて私は思っていないけれどね。
さて、明日の心配よりも今日のお仕事だ。
竜宮城で授けて頂いた、新鮮な料理。
伝説に伝わる言葉にできぬ美味なるご馳走。
アレフさんの❝一本角の巨大サメ号❞で鮮度が落ちないうちにこれを運んできた私は、すぐに馬車で神殿まで運び込んだ。神殿で待機して頂いていた料理人(堕天使)に市場で買い込んだ野菜や果実などを添えて盛り付けて頂いた。
サービスワゴンを押して、一人、地下へと降りるスロープを降りていく。
一人というのは、籠城を決め込んでいるジョエル司祭からの指示だ。
「ご所望のものをお持ちしました」
宝物庫の扉の前まで来たところで、声を鋭くして到着を告げる。
しばらく間があって、扉が僅かに開いた。隙間から憔悴した白髪の男性、恐らくジョエル司祭であろう人物が覗いてくる。ぺこりと頭を下げると、安堵したような溜息の音が聞こえた。
「あの御方の望まれるものに、間違いはありませんか?」
「はい、自信があります。通してください」
期待と葛藤の間で揺れる、責任感の強さが伺える披露した瞳。
私はじっとそれを見返して強く断言した。
しばらくの間があって、扉の片側が大きく開く。一礼をしてから、私はサービスワゴンを押して宝物庫の中に足を踏み入れた。 - 35610ぺーじめ21/11/20(土) 23:49:13
「……なるほど、それで」
ずっと私の中に、一つの疑問があった。
どうして、ジョエル司祭は宝物庫の中に籠城していたか?
女神様の託宣にて、彼女の舌を満足させるご馳走を振る舞うよう命じられた、そう聞いたけれど、どうしても籠城する理由と結びつかない。仕事の依頼をした高位司祭もそのことは不思議に思っていたようだ。
その疑問は、宝物庫の中に足を踏み入れたことで解けた。
そこには女神様そのひとが降臨していたからだ。
ジョエル司祭は、例え女神の崇拝者であっても、女神様の御姿が人の目に触れることを良しとしなかったのである。
なぜならば、女神様の御姿は、この地上の万物に宿る聖なる力、美の結晶であらせられるから。人の目にはあまりに眩しく、目にしたものは心を奪われてしまう。とくに男性は。
だってこの女神なんにも着てないのである。
裸の女神様が、その細くしなやかな肢体を惜しげもなく晒している。腰まである金髪に、美しい碧眼。透けるような真っ白な肌に、かすかな丸みを帯びた胸とゆるやかな腰のライン。
そして、輝かんばかりに人の心を惹きつける美貌。
その肌と髪の毛は裡から溢れる輝きを留めることもせず、宝物庫は女神様の放つ輝きによって眩く照らされている。うん、女神様はすごい美人だ。
宝物庫の中央に浮かび、女神様は私を見下ろしている。
彼女は、私の姿をみとめると、ふわりと微笑んだ。
男性ならだれだって心奪われるような親しげな笑みだ。笑みだけど、私は即座に見抜いた。その視線が私からちょっと逸れてサービスワゴンに突き刺さったことを。
私は女神様の美しさに感動すると同時に、一つの確信を得た。
このひとマジでご馳走目当てに地上に降りてきただけじゃねーかと。 - 35711ぺーじめ21/11/20(土) 23:49:52
この女神様、やはり人格に問題がある。
そもそもこの女神が常時スッポンポンだからジョエル司祭は紙みたいに真っ白な肌で死にそうになってるのである。冷静に考えたら酷い。服を着ようよ。
「モニュ、でしたね。よくぞ神命を果たしてくれました」
「お呼び頂き、恐縮です。本日はお日柄もよろしく、この度の拝命においては……」
「そういうのいいですから、ほら、こっち、こっち」
女神様がふわふわと降りてくると、宝物庫の中央に準備されていたテーブルに着席すると、テーブルの上をぺしぺし叩く。ぺしぺし。
私は、ジョエル司祭に目配せして、ワゴンの上のものをテーブルに並べはじめた。並んでいく数々の料理に、女神様が目を丸くする。
「これって竜宮城の……?」
「はい。シードラゴンさんたちを通してお姫様に許可をもらって、ちょっとだけ」
「へぇー! あの子たちが人間に協力するなんて、珍しいこともあるんですねぇ」
「ええ、まあ。色々ありまして」
「うふふ。これは期待できますね」
私と女神様が話している横で、ジョエル司祭が震えながら祈りを捧げていた。 - 35812ぺーじめ21/11/20(土) 23:50:22
前菜などは省略して、竜宮城から頂いてきたご馳走、一品目め。
『吸血ゴリラの腕』
それは、血の滴る生肉。
その筋骨隆々とした腕は、人間とは似ても似つかない。
その腕は、筋肉質で赤黒く、人間のものより一回り大きい。硬い毛に覆われていて、鋭い爪が生えている。
吸血ゴリラとは、血の滴る生肉を好む。狂暴な種族である。
人里に現れては、若い娘を攫い、生き血を吸う。人語を解し、人語を操る。
好物は、生娘の生き血。
「……あの、これ本当にご馳走なんですか?」
「ふふふ、吸血ゴリラは貴重な種なんですよ。吸血鬼と違って血族を増やす習性がありませんし、なによりパワーがすごいので狩るのも大変なんです」
「いや、貴重ならいいって話じゃないですよ見た目の問題ですよ」
「むしろ興奮します」
「…………えっ」
「うふふ」
「……あっ、いや、そういう性癖なら、はい、大丈夫です」
女神様は皿に盛り付けられた吸血鬼の腕、いわゆる生肉そのものを、フォークとナイフで器用に一口サイズに切って、小さな口の中に運ぶ。
「ん……」
白い頬が愛らしく動き、口の中のものを咀嚼する。
小さく喉を動かして飲み込んで。女神様は口元に手を当て嬉しそうに顔を綻ばせた。
「……美味しいです」
口の中で蕩けた肉の味を確かめるように、目を閉じて、感想を口にする。
「柔らかい口当たりと、舌の上で形が崩れて灰になる食感。楽しい料理ですね」
食べたら灰になるんだ吸血ゴリラ。
食感が理解不能すぎる。私は微妙に顔を引き攣らせながら食事風景を見守った。
「なによりこのお酒と合いますね。お肉に合うワインは、そのお肉を何倍も美味しくするんですよ? 選んだ方には女神が満足していたとお伝え下さい」
「……お気に召したようで何よりです」
アンドレさんに伝えたらどんな表情をするだろう。堕天使だしめっちゃ女神様と折り合いが悪そうな気がするんだけど。
女神様はグラスに注がれた赤い液体をくぴりと飲んで、満足そうに息を吐いた。 - 35913ぺーじめ21/11/20(土) 23:50:48
続いて、二品目。
『綺羅星の雫』
それは、宝石のように輝く果実。まるで虹のような輝きを放つ。だから綺羅星。
「……これは、また変わったものが出てきましたね」
「はい。伝説によるとこの果実は、星を丸ごと一つ食べてみたいと、海王種の賢者が試行錯誤して作ったのだとか。それから彼らの王族たちが、お祝いの席で好んで食べるのだそうです」
「まぁ、お詳しいんですね。なるほどなるほど。では、いただきましょう」
今めっちゃ聞き流された。
薀蓄をスルーされたショックで微妙に落ち込む私を他所に、女神様は皿に手を伸ばす。彼女が手に取ったのは、水晶玉のようなものが浮かんでいる、透明な果実だった。
「……ん、これは?」
果実は女神様の手の中でぷるんと揺れる。
虹のように輝いていたのは、光が見せる幻で、傍でじっと見ると果実には種も果肉もないように見える。表面が不思議な張力で保たれたゼリーみたいな。
「それは、星を食べてみたいと願った海王の願いが叶った結果だそうです」
「……えぇ?」
女神様は手にした果実を見下ろして、小さく首を傾げる。
そういう仕草は少女のようで、まるで年下の子に言って聞かせているような気分になる。
「海王種ですから。星は水でできているべき、ということじゃないかと」
「なるほど、そういう理由ですか。うふふ、面白いですね」
女神様は、しばらくその果実を眺めていたが、やがて意を決したように、その表面の滑らかな表面に歯を立てた。
ぷるんとした感触が、彼女の唇に触れる。
「んっ!」
驚いたような声を上げて、女神様は目を丸くした。
「まぁ……今までにない食感と、甘みと酸味が同時に押し寄せてきて、そのあとに爽やかな風味が広がって、すごく、面白いです」
「お口にあったのならば何よりですよ」
「ええ、合いました、合いました。ぴったりジャストフィットです」
そうしてさらに、一口、二口。果実をぺろりと平らげると、女神様は唇についた果汁を舌で舐め、顎の下に垂れた果汁を指で拭って舐め取って、満足そうにふぅと息を吐いた。
胸元に、ぽたぽたと垂れた果汁が、なんだか背徳的だ。
「……これは、実に美味しいわ。次に世界を作るなら、水だけの星を作りましょう」
「そんな、お戯れを」
「うふふ」
女神様は楽しげに笑って、次の料理を出すように私に言った。 - 36014ぺーじめ21/11/20(土) 23:51:19
三品目は、『妖精の尻尾』。
皿の上に盛り付けられたそれは、一見すると普通のチーズケーキに見える。
これのどこが妖精の尻尾なのか私にも分からなかった。
話に聞いたところによると妖精の粉を練り込んだ小麦粉で作った妖精のチーズケーキ、とのことだけれど、それでどうして尻尾なんだろう。
私は、皿の上に鎮座するそれを、まじまじと観察した。
「えぇと……これは、小麦粉に妖精の粉を練り込んで作ったチーズケーキで」
「ええ、匂いですぐに分かりました。ふふふ、妖精の尻尾ね」
「知ってるんですか?」
私の質問に笑みを返すと、女神様はフォークを手に取った。
先端でケーキの欠片を切り取って、それを私の口元に向けて近づけてくる。
ちらりとジョエル司祭を見ると、そっと視線を逸してくれた。うぅ、気を遣わせてごめんなさいというか、よくも見捨てたなというか。
私は観念して、そっと口を開いた。女神様は目を細めて笑うと、私の口の中、舌の上にケーキの欠片をそっと乗せる。
「んっ……」
口の中で溶けるチーズの風味と、甘くてほんのり香る蜂蜜の香り。
「……美味しい、ですね。うん、すごく美味しいチーズケーキ」
「でしょう? ふふふ、これは私の大好物なんですよ」
女神様は嬉しそうに微笑んで、今度は自分のためにケーキを切り取り、幸せそうに頬張った。
たしかに美味しいチーズケーキ。だけど、他の二つのメニューとはちがって、すごく奇抜なメニューってわけじゃない。妖精の粉がなくても、これぐらいのチーズケーキなら、街の高級菓子店で食べられなくもないぐらい。
どうして龍宮城のご馳走の中に、これが入っていたんだろう?
「うふふ、不思議でしょう?」
「……はい」
ケーキを食べる手を止めて、女神様がこちらを見た。見透かされているのがちょっと怖い。 - 36115ぺーじめ21/11/20(土) 23:51:40
ご本人は満足そうだし問題はなさそうだけど、何か理由があるのかな?
ドキドキしながら言葉を待っていると、女神様は急に宝物庫の端で置物のフリをしていたジョエル司祭を名指しで呼んだ。
「ジョエル司祭、分かりますか?」
「はぇ!?」
「もしかして、地上に降臨した私のありがたーい話を聞いてなかったのですか?」
「いいえいえいえいえ! 一言一句逃さずすべてお聞きしていました!」
からかうような女神様の言葉に、ジョエル司祭はブンブンと首を振って否定する。
そうしながらも、視線は必死に部屋の宙空、天井の辺りに向かっている。素晴らしい精神力だった。女神様すっぽんぽんだもんね。見ちゃダメだから大変だよね。
私の方はもうなんか慣れてきた。
彫像とかの裸婦像みたいなもので、神聖さとか感じても、生々しい色気とかを感じる段階は過ぎちゃった。めっちゃモリモリご馳走食べてるだけだし。
「それで、ジョエル司祭、妖精の尻尾のことだけど……」
「ええ、もちろん存じ上げています! 妖精の尻尾という菓子は、元々は嗜好品のなかった人々に、女神が与えた恵みの一つ。人はそれで甘味を知り、デザートで食事を彩ることを始めたのです」
え、そういう話だったの。妖精の尻尾って。女神教の経典はちらっと読んだことあったけど、その話はなかったはず。
「よくできました」
女神様はクイズの正解を認める名司会者な顔で満足気に頷いた。
自分の偉業を称える言葉に、ちょっと自慢気な顔をしてる。
「昔はもっと、硬かったり、甘すぎたり、パサパサしたり、洗練されていなかったのだけれど、妖精たちの粉は人々に明日を楽しみにする幸せを教えたのよ」
きっとそのことへの感謝を込めて、ご馳走の中に入れたのね。
自慢気に語る女神様の言葉を聞きながら、私はこのメニューがご馳走の中に入っていた本当の理由に気付いて、表情に出さないよう苦労していた。
人々が妖精の粉を求めた結果、妖精たちが乱獲されて、それを保護したエルフと人間の間に戦争が起こったのは、歴史書を読めばだれだって知ってる。
絶対、それを思い出して自粛しろって意味だよねこれ。
しかし私は楽しそうに自分語りをはじめちゃった女神様に真相を告げる勇気もなく。笑顔を浮かべて「知りませんでしたー、女神様がお菓子を作ったんですねー」みたいな相槌を返すことに集中するのであった。 - 36216ぺーじめ21/11/20(土) 23:53:02
すべてのご馳走を食べ終えると、女神様は満足そうに席を立った。
「素晴らしい食事でした。これでしばらくは戦えます」
ぽんぽんとお腹を叩いて満足気にそんなことを言う姿は、はしたないというか色っぽいというかエロいというか。だって裸だし。満腹でもスタイルはぜんぜん崩れてないのは女神様ゆえだろうか。
ジョエル司祭は完全に壁を見つめる人になっている。
「なにか望むものはありますか? 今なら幸せボーナスでちょっとした奇跡を授けてあげますよ。あなたは私の信徒ではないのでしょう? それなら見返りが必要でしょう」
女神様はじっと私の目を見つめて、そんなことを口にする。
私はしばし考えて、こう答えた。
◆◆◆
女神様がお願いを叶えてくれるそうです。なんと答えますか? >>370
これがこの話の最後の安価です。
- 363二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:43:52
ksk
- 364二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:51:32
ksk
- 365二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:56:26
ksk
- 366121/11/21(日) 09:19:02
オアー、加速で保守されつつ安価まで届いてない! 安価場所またまちがえたーーー!!
この安価SS、テキスト量がムダにおおすぎてだれにも読まれてない可能性ががが
この形式とか文章量とかが致命的に安価スレにあってないですね!これ!
女神様が全裸なのは、AIのべりすと君に女神様を人前に出せない理由をブン投げたからです
全裸でゴハンという地獄みたいな絵面になりましたがテキストだとそんなに気にならないですね! - 367二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 10:04:57
ksk
- 368二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 10:05:07
ksk
- 369二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 11:10:29
ksk
- 370二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 11:10:32
ksk
- 371二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 11:11:41
女神様の様な体型になりたい
- 372二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 12:47:27
- 37317ぺーじめ21/11/21(日) 18:00:17
私はしばし考えて、こう答えた。
「それなら、女神様みたいな理想的なボディラインが欲しいです!」
壁を見てたジョエル司祭の方がピクッと動いたけど見なかったことにする。
ちゃんと最後まで話を聞いて欲しい。この願いはあくまで、女神様にとっての理想の願い事。別に私が本当に理想のボディラインが欲しいわけじゃないのだ。
「あらあら、まぁまぁまぁ! なんて素敵に可愛らしいお願いでしょう」
女神様は私の願いに、とても嬉しそうに微笑む。
よし、成功。女神様は私の答えに満足してくださったようだ。
「ですが、その御姿は尊いもの、私には……」
「それじゃあなたの体を、理想的に整えてあげましょう!」
「えっ」
待ってちゃんと人の話を聞いて。
慌てる私にお構いなしに、女神様が手を伸ばすと、私の体がふわりと宙に浮かび上がった。足の裏から床が離れてバランスがとれなくなる感覚に、必死に手をバタバタさせる。
「わっわっわっわっ……!?」
「安心なさい、痛くありませんから。ほら、リラックスリラックス」
そのままふわふわと浮き上がっていく私。
リラックスとは程遠い状態で手足をバタつかせながら、天井近くまで持ち上げられてようやく止まる。
そして身体がなんか光りだした。ぴかーって。服を貫通して肌が直接光ってる。うわなにこれ。周りから見たら体のライン丸見えじゃん!
あ!って思ってジョエル司祭見たら、壁を見つめる人になったままだった。良かった。いや良くない。
「ちょっ、ちょっと待ってください女神様! あの、これ、どういう……?」「大丈夫、痛くはないはずよ」
そういう問題じゃないんだよ! っていうか痛いかどうかよりも、まず何が起こってるのか理解できないんだけど!
「……え? あれ?」
そうしている間にも、私の体はどんどん変化していく。
全身が熱くなって、脂肪が燃えて、筋肉が引き締まって、骨格が変わって、骨が太く固く、しなやかなバネみたいになっていく。
やがて光が収まる頃には、私の体はすっかり、女神様の身体、それの似姿になっていた。
「はい、これで良し」
女神様が満足そうにそう言って、私の体から手を離した。 - 37418ぺーじめ21/11/21(日) 18:00:38
私の身体はゆるゆると地上に降りて、保管庫の床に着地する。
「……うそぉ」
私は自分の手を見下ろした。
黄色人種の特徴のまるでない、透けるような真っ白な肌。この世界の生活の中で、傷やシミなどもあった腕は、ほっそりと細くしなやかな筋肉に包まれている。
ふくらはぎもキュッと締まっていて、太ももも細く、お尻も小さくて、腰回りもスッキリしている。そう、効果音にするとストンって感じ。
おそるおそる胸元に手をやる。そこには微かな丸みがあった。ちっちゃい。
服が、ブカブカになっていた。
女神様の肉体、アレフさんがクソガキと称した女神様そのものの肉体。つまり、その、かなり幼くなっていた。少なくともこれは21歳の身体じゃない。
「あああああ……」
「ふふふ、感動で言葉もないのですね。いいのです。感謝の言葉は必要ありませんよ。これはあくまで報酬ではなく、私から貴女への好意として受け取ってください」
満足げにそんなことを言うと、女神様の肉体は出し抜けに光に包まれた。
放たれるものすごい輝きに部屋全体が白で覆われ、やがて世界に色が戻ると、そこにはもう女神様の姿はなかった。 - 37519ぺーじめ21/11/21(日) 18:01:10
「そんなわけでおっぱいが小さくなりました」
「訴えたら勝てるんじゃない?」
「かーてーまーせーんーよーーーーーー」
テーブルに突っ伏して私は泣いた。世の理不尽とかに泣いた。
戻ってくるなりいきなり泣き出した私に、すわ何事かと、鏡の中から出てきたカラさんにお付き合いいただいて、盛大に愚痴ってる最中である。
神殿で保管庫を出て、この借りてる部屋まで戻ってくるまで、私は人に会うたびに事情を説明しなければならなかった。いや、神殿関係者以外には、魔法の実験の被害によるものと言い換えてたけど。
肌の色まで変わってるので、メチャクチャ訝しがられた。
幸いなことに、顔は私のままなので、別人だと思われることはなかった。話によると若干印象が変わって見えるらしいけど、鏡で見た感じはイマイチその辺はわからない。
「この前買ったばかりの服、まだ一度も着て歩いてないのに……」
「それは残念だわ」
「あんまり残念そうじゃありませんね……?」
「一式買い直すんでしょう? あなたで着せ替えして遊ぶのは、楽しいもの」
そうだった。服がダブダブになったので、よそいきの服どころか、もうほとんどの服は使えないのだ。恐ろしい出費である。
特に野外用の頑丈な革鎧など、またサイズを測ってもらわなきゃ。
せめてもの救いは、さすが神殿からの直接のお仕事だけあって、報酬だけはたんまり頂けたことだろう。服と装備を買い直してもプラスにはなる。
「そうですね……カラさん、またショッピング、付き合ってください」
「ええ、それに今夜は美味しいものを食べましょう。仕事を成功させたのでしょう? あなたの自慢話を聞きたい気分だわ」
「か~ら~さ~~~~~~ん……」
「よしよし」
気遣いに心が満たされる。瀟洒なレディは慰め方も瀟洒だった。
それからサイズ差があっても大丈夫な服を選んでもらって、わたしは近くの酒場兼食堂で、ひっそりと今日の事件の成功を祝ってもらうことにした。 - 37620ぺーじめ21/11/21(日) 18:01:39
余談だが、今回の一件については神殿から箝口令がなされた。
ジョエル司祭は私の対応のすべてについて満足して頂いたようで、今後のことについては最大限取り計らってくれることを約束してくれた。
女神様の肉体そっくりに変身されちゃったことについては、私の望み通りではないことについては察して頂いたので、不問ということになっている。
今回の一件でジョエル司祭は高位司祭の中でも抜きん出た地位を得ることになるそうなので、女神教の方から私が追求を受けることはないだろう。むしろ、強力すぎるコネができちゃったので扱いに困るぐらいだ。
ただし、と、ジョエル司祭からは、もしも顔まで女神様と同じにされていたらさすがに庇いきれなかったし大神殿で一生飼い殺しにされてたかもしれなかったと、割と真面目な顔で言われてしまった。
女神様、怖すぎる。
願掛けする時に、願い事を口にするのはもう絶対にやめよう。
◆◆◆
『女神教司祭グルメ籠城事件』 END - 377あとがき21/11/21(日) 18:06:11
おーーーわーーーーりーーーーーでーーーーーーす!
安価に参加してくださった皆さま、ありがとうございました! 皆様のおかげで最後まで書けました!
グルメファンタジー!! 第4話完結しました!!!!
なるほどSS! ご意見ありがとうございました!
私も実は安価SS!って思った時、あんな感じで書くものと思ってたので、今の形式になったのもありまして
本来はどうやらもっと短いテキストを短いスパンでバンバン打って進めていく感じと気付くのが遅すぎました……!
なんか3日ぐらいかけるgdgd感になりました
もう無理に一晩に終わらせるとか諦めて今後はこんな感じになるかも……?
- 378あとがき21/11/21(日) 18:08:47
読んでくださった方、すべてに絶大なる感謝を。
また機会と、あと需要があったら、時間のある時に続き書きますね。 - 379二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 00:28:40
保守
- 380二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 10:45:51
hosyu
- 381二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 19:31:07
保守
- 382二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 01:22:11
保守
- 383二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 11:28:27
保守
- 384二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 21:18:15
保守
- 385二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 00:19:59
ほしゅ
- 386二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 09:12:02
保守
- 387二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:55:07
保守
- 388二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 21:47:17
- 389二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:32:08
【設定ノート】
舞台:
ファンタジー世界の大都市。議会制政治で貴族階級がいない。
港町で街道があちこちに繋がっているため周辺諸国から交易商人や旅人がやってくる。
主人公:モニュ
フルネームはモヌメント・葦原。21歳。女性。探偵。現代日本の知識を持つ。
なぜか色んな邪教とのコネがある。
女神様からの依頼を達成したら女神様の肉体を与えられた。美少女の肉体になった。
人物:アンドレ
フルネームはアンドレイ・木納。その正体は堕天使にして天才科学者。男性。
趣味は料理。日本の知識を持つ。研究所にはコタツがある。ネガティブ思考の持ち主。
人物:カラ
本名は、倶利・伽羅(くり・から)。現代日本から転移した鏡の精霊。女性。絶世の美女。
黒い鏡の中を出入りできる。鏡に写った人間を殺す能力がある。趣味は野球観戦。
人物:女神
この世界を想像したとされる神様。外見年齢13歳。お美しい御姿の美しき女神。
貧弱な人類を救うため、勇者を召喚しまくって魔王を滅ぼし人類を繁栄させた。
人類のために妖精の羽で美味しいケーキを作れることを教えたら妖精が乱獲された元凶。
妖精たちからメチャクチャ嫌われている。というか人類以外の種族のほとんどに嫌われている。
宗教:女神教
人類最大勢力の宗教。人類の危機には再び女神が降臨して世界を救うとされている。
なお女神教以外の宗教はみんな邪教としているヤバい宗教でもある。
地方では過激な宗教じゃなければ互いにノータッチで上手いこと共存共栄している模様。 - 390二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:32:19
【過去回まとめ】
『村外れ、皇帝の人骨不法投棄事件』私の名前は、モヌメント葦原。親しい友人はモニュと呼ぶ。
この大陸でも有数の大都市で育った私は、街で唯一、探偵を職業としている者だ。
街の出身者は、たいてい、商人や芸人になる。街に集まる人間を相手にする商売というのが共通点。
だけど私は、同じ共通点を持つ探偵という仕事を選んだ。もっともこの世界では、探偵という職業に理解を示す者は少なくて、相談事を専門にしている冒険者だと認識しているものがほとんどである。
便利だから冒険者ギルドに籍も置いてるのも原因だとはいえ、21歳になるまでいくつも仕事をこなしてきたのだから、もうちょっとメジャーになって欲しいと思う。
◆◆◆
その日、私は裏路地にいた。
夜になると通りを照らすのは灯りの魔法のかかった街灯。
だが、裏路地にはそれも届かない。
どこからか漂ってきてきた霧のせいで、今はもう数歩先も見えなかった。
「なんで私がこんな目に……」
今日の依頼は簡単なはずだった。
この街の外れにある小さな村からの依頼だったのだが、村の畑が何者かによって荒らされているとのことだった。
だが、被害にあった畑を見に行くと、そこにはなんと人骨が落ちていたのである。…telegra.ph『テレビの女殺人事件』 大都市の郊外になにもない原っぱがある。軍隊が駐留する時は、原っぱいっぱいに天幕やら篝火だかが作られてムキムキの兵士だらけになるのだが、この季節、軍隊は他所に出払っていて誰も使っていない。
そんな場所に、不法投棄されたゴミの山があった。
壊れてバネが飛び出したソファに、錆びついた冷蔵庫、ブラウン管のテレビ、動かないレンジ。えとせとら、えとせとら。いわゆる粗大ゴミが山と積まれている。
もっともこのゴミの正体を理解できる人間はこの世界には少ない。だってこの世界はファンタジー。ドラゴンと騎士と剣と魔法の世界だ。捨てる場所が間違っている。
今回の依頼は、この不法投棄されたゴミの山についてのものだ。
◆◆◆
「で、アンドレさん。どうして私にご依頼を?」
「アンドレイだ。モヌメント・葦原君。君はこのゴミの山が何かを理解できるな?」
「はいはい、わかりますよー。あっ、私のこと、親しい人はモニュって呼ぶんです。そう呼んでいいですよ、アンドレさん」
「正直に答えてくれて感謝する、モヌメント君。それと、私はあの死地にギリギリまで付き合わせた恨みは忘れていないので、親しい人のカテゴリに入れないように」
「…telegra.ph - 391121/11/24(水) 22:37:29
というわけで、話を書きます。
はじめての人は上の方を読んでいただければ分かるかなと。
安価で進めていく物語です。
短時間で一気に進めるんじゃなくてゆっくりなので、のんびりお付き合いいただければ。
というわけで、いつものように今回の話のジャンル。ファンタジープラス安価です。
脚注に書いて欲しいジャンルとして記入します。
前回はちゃんとグルメファンタジーになってたのでAIのべりすと君も無視してるわけじゃない模様!
ジャンルは、ファンタジー+安価>>392
- 392二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:45:22
パニック
- 393二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:45:32
うわあやってるう
ksk - 394121/11/24(水) 22:47:54
- 395二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:50:23
まあ理解できないときはそれはそれで
安価なら洋館 - 396二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:51:30
空飛ぶ高層ビル
- 397二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:53:47
ハーフメカゴリラ
- 398二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 22:54:18
弔問帰り
- 3991ぺーじめ21/11/24(水) 23:21:21
私は古びた洋館を訪れていた。
街外れ、大門からも随分離れた森の深くだ。かつてこの辺りには村があり、そこを管理していた領主の使っていたものだというが、今は広がった森に浸食される形で村は取り潰され、この洋館も主を失っている。
壁は蔦に覆われて、周囲は鬱蒼とした森の中に飲み込まれていた。けれど、目敏いものならそこまだ人の手が入っていることに気付くだろう。
この洋館は、星を崇める会が利用している隠れ集会場のひとつなのだ。
「この屋敷には、恐怖の記憶が眠っているのです」
依頼者であるフードを目深にかぶった人物は、まるで物語の人物のように静かに語る。
「それが、星星をめぐる御子の拠り所となる条件であったのですが」
ぎぃと音を立てて扉を開くと、古びたホールの中に通された。遠くでごおごおと、耳の奥をつくような音が聞こえる。
中を見渡してもおかしな物は見当たらない。だが、こんな音は、地上ではそうそう聞こえない。まるで巨大な龍が宙を裂いて飛ぶ音。
「大きすぎる恐怖の記憶が洋館に接続され、この洋館の秩序を乱しているのです」
そう言って、依頼者はホールの奥にある扉に手をかけた。
依頼を受けると言ったのだから、はじめるタイミングは向こうの好きにしていいのだけれど、正直もうちょっとゆっくりと始めてほしかった。私は口を結んで息を止める。何があってもいいように意識を張り詰める。
扉が開く。 - 4002ぺーじめ21/11/24(水) 23:22:09
ごおおおおおおお、ごおおおおおおおおおおおお、ごおおおおおおおお。
そこは、空だった。
いや、空じゃない、建物の中だ。すごい勢いで、斜めに傾いだ床を転げ落ちていく。下を見ると、地上が見えた。豆粒のような世界。
何が見えたのか理解するのに時間がかかった。意識を何度も切り替えて、ようやく意味を理解する。
ここはとんでもない高所で、私は落ちようとしてるのだ。
「なろ……っ!」
すでに準備していた、腕に結んだロープをぶん投げた。
ロープの先端には魔法のアンカーがくっついている。アンカーの先端が床に触れると、即座に床に深くまで突き刺さっていく。
ピン、とロープが張って、落下が止まる。
「うしっ」
ようやく息を吐いて、この場所が何処なのかを確認する。
それでようやく、自分のいる建物が、古い記憶に触れるものだと気付いた。例えば天井の蛍光灯、つるつるしたビニルの床。のっぺりした色の壁紙。散らばってるスチール机やら、オフィスチェアー。
ここはビルだ。現代のビル。そんな感じ。ただし案内板が英語で、なんて書いてるのかはわからない。
「これが恐怖の記憶、なんだよね。それで、その正体を探すのが依頼って話、だったけど……なんで、ビル? それも……」
それも、空飛ぶビル?
そう、窓の外から見る限り、このビルはナナメになった状態で、地上より遥か上空を飛行している。
確かに怖い、恐怖の記憶だけど。いや、落下してるわけじゃないから恐怖じゃないのか? そもそもビルが飛ぶって怖いか?
頭の中にハテナがたくさん浮かんでは消える。
そして、それが止まらないうちに、窓の外に巨大な影が動くのが目に映った。
「……やばっ!」
壁を蹴って、ぶら下がった状態から振り子の原理で勢いをつける。トン、トン、トン。
三度目に地面を蹴った勢いで、私は手近に見えた扉の中に飛び込んだ。とりあえず廊下に出れば、窓は遠いから落ちないはず。
窓が割れる音。すぐ背中のうしろを巨大な拳が横切った。毛むくじゃらの腕。
とっさに振り返りざまにそれを見た。
窓の外、たぶん空飛ぶこのビルに取り付いている、巨大な人型の影。私を捕まえようとした巨大な腕の持ち主。
ゴリラだ。巨大ゴリラ。
しかもそいつの身体の右半身が機械!すなわちハーフメカゴリラである! - 4013ぺーじめ21/11/24(水) 23:24:59
- 402二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 23:26:56
巨乳になる寄生スライムが襲いかかる
- 403二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 23:32:48
先史超古代ゴリラ文明の文字が浮かび上がる
- 404二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 23:34:02
偉大なるバナナキングの来訪
- 405121/11/24(水) 23:41:19
・巨乳になる寄生スライムが襲いかかる
・先史超古代ゴリラ文明の文字が浮かび上がる
・偉大なるバナナキングの来訪
よし……ちょっと寝ながら考えるから明日に続きます。明日の私とAIのべりすと君が考えてくれるはず……!
安価ありがとうございました!ぜんぜんミックスできないですがなんとかします! - 406二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 23:43:20
乙です!
- 407二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 23:54:35
乙じゃ
- 408二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 08:43:04
保守
- 409二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 18:11:08
保守
- 410二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 23:15:06
がんばえー
- 411二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 08:35:36
今日で続き出るかな?
- 412二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 17:04:43
保守
- 413二次元好きの匿名さん21/11/26(金) 23:57:55
保守だっ
ゴリラですねゴリラ - 4141ぺーじめ21/11/27(土) 01:14:24
名探偵にとって最も重要なことはなにか?
私が思うに、それは『真相に辿り着くこと』である。
ナナメに傾いた空飛ぶ高層ビルの中に放り出されて半分機械のゴリラの襲撃を受けているとか、常人ならばふざけんなクソ映画って投げ捨ててしまうところだろう。道理が通ってない状況に理由を探すのは馬鹿げているからだ。だけど名探偵は投げ捨てない。
傾いた廊下のスロープで、手すりに捕まったまま私は思考する。
バリアフリー設計最高。すべての階段と言わず、なんならすべての廊下に手すりをつけるべき。ビルが斜めに傾いた時用に。
「これが映画なら、どうすれば終わる?」
まずはここからはじめよう。
いくつかこの世界には妙なところがある。例えばコレがホラー映画として、主役は私なのだろうか? 正直なところちがうと思う。だって展開が突然すぎる。いきなり宙を飛んでる高層ビルで機械ゴリラに襲われるとこからはじまる映画は物語として突飛すぎるのだ。それじゃ視聴者はついてこれない。
いくつか仮設を考える。まずは試せるところから試そう。
私は廊下の床を蹴って動き出した。
◆◆◆
ビルの中を見ていくうちに、いくつか襲撃の跡があった。
血糊とかべったり。死体がないのはありがたい。
だいたい窓が破壊されているのは、外から機械ゴリラが腕を突っ込んだからだろう。落下の危険に注意しながら襲撃地点を探っていくうちに、いくつか気付くことがあった。
まず、襲撃から随分経っているように見える。
血が固まって、だいぶ経ってるからだ。ビルのあちこちが穴だらけなせいでホコリが積もってるような場所は見当たらないけど、少なくともあの機械ゴリラが人を襲い始めて数時間以上が経っている。
映画だったらとっくに終わってる。 - 4152ぺーじめ21/11/27(土) 01:14:41
「主人公とかと合流できたらいいなーって思ってたんだけど」
どうやらそれは無理らしい。
理由をちらりと考えたけどあまり意味はないと思い直す。主人公がいきなり死んでモンスターが野放しで終わっちゃうモンスター映画だって普通にあるからだ。
「それじゃあ、次」
このクソ映画のストーリーを探そう。
襲撃地点に落ちていたクシャクシャになったチラシを苦労して翻訳すると、こんなことが書いてあった。
『恐るべき先史超古代ゴリラ文明の謎が今明かされる!』
『偉大なるバナナキングのミイラ展示中!』
『古代ゴリラ再生プロジェクトの秘密に迫る!君もゴリラと握手!』
私は突っ込まないぞ。
ビルの外から振動を感じる。たぶん機械ゴリラがこちらを探してるんだろう。
足音に気をつけながら、私はそろりそろりと移動していく。
目指すは古代ゴリラ再生プロジェクトだ。
九割それがなんかクソ映画特有のガバガバ研究コンプライアンスによって大暴走してあの半分機械のゴリラを誕生させて大惨事になったんだろう。それでなんでビルが飛んだかについてはもう後で考えることにする。
私は、足音を殺すことに集中しながら、チラシに書いてあったプロジェクトの展示場へと向かった。 - 416121/11/27(土) 01:15:21
今夜はここまでで……ちょっとリアル事情で遅れます。ごめんねごめんね。
保守、ありがとうございます! - 417二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 12:44:06
保守
- 418二次元好きの匿名さん21/11/27(土) 19:56:43
ゴリラ要素が多すぎる!
- 419二次元好きの匿名さん21/11/28(日) 01:55:13
クソ映画のガバコンプラで草しか生えない
- 420二次元好きの匿名さん21/11/28(日) 12:40:37
保守
- 421二次元好きの匿名さん21/11/28(日) 21:14:13
保守
- 422二次元好きの匿名さん21/11/29(月) 08:47:59
保守だ
- 423二次元好きの匿名さん21/11/29(月) 18:17:59
保守
- 424二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 00:06:39
ほしゅ
- 4253ぺーじめ21/11/30(火) 00:14:52
そこは、二階ぶち抜いた大きなホールを使った、めちゃくちゃ安っぽい展示場だった。
微妙に明滅しているよくわからんオブジェがたくさん。泡がブクブクしてる中にホルマリン漬けみたいなのがプカプカしてる水槽っぽいのがいっぱい。説明の書かれたパネルは英語だしチンプンカンプン。
一つ確かなのは、中央になんか大きめの物体があって、それがなくなってることだ。
だって周囲が吹っ飛んでるもん。誰のものかもわからない、古い血糊もたくさん。ついでに、窓も割られてるので、モリモリ空気が荒れ狂ってる。大惨事が起こったのは確実だ。
「さて、この話を終わらせるのに、なにか役に立つものはないでしょうか……」
私はそーっと手すりにロープを巻き付けて展示会場になっているホールに降りると、めぼしいものを探して周囲に視線を走らせた。
基本的には、それなりにお金かけてそうなオブジェが狙い目じゃないだろうか。アップで画面に写したら確実に発泡スチールなのがバレそうな石像っぽい物体とかはちがうだろう。たぶんホルマリンも違うと思う。よく見たらぬいぐるみが泡でブクブクされてるだけだしかわいそう。
黄色い液体が詰まった水槽は、なんかこう、純粋に気持ち悪いから近づきたくない。あれほっといて腐っちゃったなにかなんじゃないだろうか?
この建物、傾いてるし。水槽の上の部分の隙間から、液体がちょっとこぼれてるし……絶対近づきたくない。匂いとかしそう。
「うーん……ぜんぜん、ゴリラっぽいものがない。ん、ゴリラ?」
不意に閃くものがあった。
この世界はB級映画的な法則で作られている。だからゴリラといったら恐らくアレがあるはず。私はそれらしきものを探して展示場の中を移動していく。
ゴリラといったら、アレだ。絶対アレがあるにちがいない。
「あった……!」
展示されている石版の列の中に、一際黄色くペイントされたバナナのマークを見つけて、私は真っ直ぐにそれを取りに向かった。ゴリラといったらバナナ!これは絶対なにかあるはず! - 4264ぺーじめ21/11/30(火) 00:15:17
「……ん?」
ふいに、周囲が暗くなる。
その理由に気付くと同時に背後のガラスが割れる音がした。
「やばっ!!」
振り向いた私の目の前に、巨大な腕が飛び込んでくる。
ガシャンガシャンと派手な音をたてて砕け散る窓ガラス。その向こうに見えたのは、機械ゴリラの上半身だ。外から身を乗り出すようにして半身をホールに乗り出して、こちらに腕を伸ばして────
「っっつあっ!!?」
私が反射的に床を蹴るのと、ゴリラの腕が私を捕まえるのにほとんどタイムラグはなかった。巨大なのに俊敏。私が全力で跳んでもゴリラにとっては誤差程度、掴むのはたやすい。この距離まで近づかれた私のミスだ。
幸運なのは、私を捕まえたゴリラの腕が、機械じゃなくて生の腕だったことだろう。たぶん機械の腕だったら掴んだ時点で潰されていたと思う。
「は、はろー……ぅぅぅうううっ、くっ、やめ、いたいいたいいたいっ!」
だからって何の慰めにもならない。
万が一の可能性に賭けて話しかけてみたが、私を掴む手の力がじわりじわりと増してくるだけだった。見上げた巨大なゴリラの顔の、半分機械で生身の部分は、実にいやらしくニヤついている。こいつは悪いゴリラで間違いない。
武器を抜くにも腕ごと掴まれていて、武器が出せない。せめて傷を与えらた、何か衝撃を与えたら、生身の手はショックで力を緩めるはず…………。
身体が軋む。女神様に与えられた肉体だって、別に無敵というわけでもないので、ゴリラに握りつぶされたら死ぬ。死ぬよね。うわぁ、死にたくない。
『力が……欲しいか……?』
なんかいい感じに頭の中にテレパシーが聞こえてきた。 - 4275ぺーじめ21/11/30(火) 00:15:46
「なんとかできるなら欲しいです今すぐ!」
即答えた。
マジで死ぬ寸前のこの状況で、細かい契約条件とか確かめる余裕はない。悪魔とか神様だったなら口約束とかしりませんと後でシラ切ってでも今すぐ何とかしてもらうしかない。
にゅるん、にゅるん、と、妙な感触を首筋の後ろから背中に感じる。
なんか生ぬるくてヌメッとした感じ。
「グヲゥゥッ、ウォオオオオオオオオオオオオウッ!!!?」
驚いたように半分機械ゴリラが唸り声を上げた。腕の力が緩む、というか腕をブンと振って手の中から投げ捨てられる。まぁ分かる。理由は。
私は一瞬のうちに推定Gカップ以上の超巨乳になったのである。
いきなり握ってたものが内側からブニュッ!って膨らんでなんか柔らかくて生暖かくてプニプニしてたら誰だって『きもちわる!』ってとっさに捨てるだろう。そういうアレの反応だった。
なんで私が超巨乳になったのかとかどうでもいい。床が猛スピードで迫ってるので考える暇がない。
「ひぁぁああああああ!!?」
せめて両腕で身体を庇おうとしたけどおっぱいが邪魔でできなかった。
というか床におっぱいが接着した瞬間にボヨーンって弾んで衝撃を吸収してくれたのでダメージはなかった。なんだこれ。マジでなんだこれ。
咄嗟に自分の体を見下ろす。着てた服が内側から破れたり留め具がちぎれたりすごいことになってる。幸い伸縮性の高いインナー着てたお陰でギリセーフだった。
でもぱっつんぱっつんで今すぐ破れそう。マジでどうなってんの。いやさっきの声が原因だよね。力が欲しいなんちゃらのやつ。
『お前は今、力を手にしたのだ。使い方はおいおい説明する。今はこの場を切り抜けることが先決だ』
脳内にまた声が聞こえてきた。
すごく嫌なことに気がついたんだけど、もしかしてこれおっぱいが喋ってんの?
「ウォォオオッ、ウオ、ウ、オ、オオ……!!!」
ゴリラが咆哮を上げて怒っている。
すぐにこちらに再び手を伸ばしてくるだろう。もうゴチャゴチャ考えているヒマはない。
私は咄嗟に例のバナナの石版を手に掴んで、手近な通路に飛び込んだ。
背中に壁がえぐれる音を何度も聞きながらとにかくホールを離れて上の階の方に逃げた。もちろん途中で下の階に向かって石を投げたりしながらね。
これでしばらく時間は稼げるだろう。 - 428二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 00:16:03
英語なのか…
- 429二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 00:17:39
なんでこうなったんだろう…
- 4306ぺーじめ21/11/30(火) 00:18:13
「それで、あなたって何なの?」
手近な化粧室に飛び込んだ私は、息を整えてからあらためて聞いてみた。
一人で鏡に向かって話しかけるのはちょっと間抜けだけど、自分のおっぱいに向かって話しかけるよりはずっとマシだと思う。
『私はかつて先史超古代ゴリラ文明によって作られた奉仕生物である』
「…………水槽に浮かんでた黄色いやつ?」
『うむ、それだ』
嫌な考えが当たるのはいつも嬉しくない。
「私の背中から、こう、肌にくっついて、おっぱいに擬態してるわけ?」
『寄生といって欲しい』
嫌な考えよりももっと嫌な答えが返ってくるのはもっと嬉しくない。
ライターで炙ったらイヤがって逃げていかないかな、と、ちょっと思ったけど自分で自分のおっぱいを炙るのは猟奇が過ぎる。それに知性があるみたいだし、可能な限り交渉でどうにかするのが探偵だ。たぶん。
「それで、あなたは何ができるの? さっき言ってたよね、使い方はおいおい説明するって」
どんなにアレでも、この黄色スライムはようやく遭遇できた映画の登場人物だ。このクソ映画時空をどうにかできるヒントを持ってるに違いない。
『そのおっぱいでゴリラ様の一物を、こうぎゅっと挟んで両手で包むようにな』
「それ以上喋ったら燃え尽きるまで焼きます」
目にも止まらぬスピードで取り出した火付け魔法具の発火口をおっぱいに当てると静かになった。やっぱりこいつおっぱいに擬態してるだけじゃないかな?試しに軽く炙ってみようかな?
いや、命令には従ったから落ち着こう。落ち着こう私。
「質問を変えます。あの半分機械ゴリラをぶっ殺すために役に立つ能力はないですか?」
『ないです』
こいつマジでゴミだったわ。私が無駄に巨乳にされただけだったわなんなのこの要素。物語だとしたらぜんぜんいらないよね?クソ映画にも限度があるよね? - 4317ぺーじめ21/11/30(火) 00:19:00
私は深い深い息を吐いた。
鏡をぶち割りたい気持ちだけど、ゴリラに気付かれたら不味いので、呼吸を整える。
「この石版、何か分かりますか?」
私は持ち出してきた黄色いバナナのレリーフつきの石版を鏡に向けて示した。
『それは先史超古代ゴリラ文明の碑文ですな』
「…………読めるんですか?」
『それはもう。奉仕種族たる我らがゴリラ様の意を汲むためには必要であるが故』
おっぱいなのに文字が読めるんだ。とか、色々思うところはあるけど、翻訳機能は素直にありがたい。
「なんて書いているんでしょう?」
『これなるは鍵。門と一つとなる時、偉大なるバナナキングが来訪するであろう』
「なるほど」
全然分からないです。分からないけど、次の目的はそれにするしかなさそうです。
展示場の方はゴリラが暴れたせいでメチャクチャだ。この物語を終わらせるヒントがまだ残っていたとしても、もう破壊されてる可能性が高い。
手元に残ったカードで勝負するしかないだろう。
「その門がどこにあるか、分かります?」
私が問いかけると、おっぱいがぶるっと震えた。ぶるぶる、ぶるぶると震える。なんか変な気持ちになるのでめっちゃやめて欲しいんですけど。
でも、なんとなく意図は察してるのでここは我慢する。
「……うー」
ぶるぶる、ぶるぶる、ぶるるるるるるる、振動が細かく小さくなり、微細な振動が低音を発すると、不意に石版が光を放った。一本の線のような光が、ビルの上階の方に真っ直ぐ向かっている。
いつの間にか振動は止まっていた。妙な振動から解放されて安堵の息を吐く。
「この先にあるんですね」
『そのようです』
よし、と頷いて。私は軽く足をパンパンと叩いて身体を動かす準備をする。
ビルが斜めになってるので、当然、エレベーターは壊れてる。どれくらい登る羽目になるかは分からないけど、そろそろゴリラも下の階から順繰りに私のことを探し始めてる頃だろう。
ここからはスピード勝負だ。おっぱい邪魔だなくそ。
『ところで先ほどの振動はどうでしたか?』
「次に聞いたらマジで焼きます」
マジで邪魔だ。ここに置いていきたい。クライマックスシーンで私の身代わりになってこいつがゴリラに喰われますようにと、そっと女神様に祈っておいた。 - 432二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 00:22:06
パイリンガルですね…のべりすと君はハイスクールD×Dも履修してたのかあ
- 433121/11/30(火) 00:22:57
- 434二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 00:58:09
ksk
- 435二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 00:59:27
アンチ・エイプ・ウイルス
- 436二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 01:00:19
魔剣大根ブレード
- 437二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 01:02:20
強制トランス玄翁
- 438121/11/30(火) 01:33:11
・アンチ・エイプ・ウイルス
・魔剣大根ブレード
・強制トランス玄翁
安価ありがとうございました! 次回はこの三つでお送りします! ガッツがわきしだい書きます!!
ところで強制トランス玄翁ってなんですかね(真顔) - 439二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 13:28:00
保守
- 440二次元好きの匿名さん21/11/30(火) 20:44:46
保守
- 441二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 00:40:53
ほしゅ
- 442二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 06:22:38
まるで想像がつかないんだよね
- 443二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 16:47:24
保守
- 444二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 00:29:50
保守
- 445二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 12:02:59
ほしゅー
- 446二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 23:14:48
保守
- 4478ぺーじめ21/12/03(金) 02:32:23
階段を駆け上がる。
足先で軽く、足音を殺してすぐに次の一歩、転ばないように軽やかに慎重に。
最初は二段飛ばしで階段を上がろうとしたけどすぐに諦めた、この役に立たない巨乳がブルンブルン揺れるからだ。
インナーの下に着けていたブラの紐はとっくに千切れてる。ただでさえ擦れて痛いってのに、上下にブルンブルン動いて付け根が半端なく痛い。インナーが破れなかったのは素材の伸縮力のお陰だけど、完全にそれが裏目に出てる。
おかげでなかなかスピードが上がらない。
ゴリラはどんな風に私を追ってきているのかを想像する。恐らく中を覗き込んだり耳をそばだてたり。それでもサイズのスケールが違いすぎる。飽きたらスピードアップするだろう。二階飛ばしとか三階飛ばしとか。上階に回られたらアウトだ。
「なにか役立つものはありませんか?」
階段を駆け上がりながらで、私は小声で囁くように口にした。誰に、と書くならおっぱいになる。
前を向いて走りながらである。間違いなくバカみたいに見えるので、おっぱいの方を向いて喋りかけてはいない。いや、けっこう上下に揺れてるんで視界の下の方にはチラチラ映ってるけど。ああ邪魔くさい。痛い。
『この私以外で、ということですかな?』
どうでもいいけどこのおっぱい、最初はめっちゃ偉そうな口調だったのに、一回燃やそうとしてから急に丁寧語になった。これも奉仕種族、とかいうものだからだろうか? そんなことを思いながら火付け魔法具の発火口を胸に押し当てる。
『もう少し上の階に、過去に発掘された先史文明の不思議な品々を保管している倉庫があるはずです!』
よし。
「……なんでそんなこと知ってるんですか?」
『前はそこの奥で眠っておりまして』
そこで永遠に保管されてればよかったのに。いや、そうなってたら私は機械ゴリラに握り潰されて死んでるか。
運命はままならない。
私はおっぱいの指定した、倉庫のある階に立ち寄ることにした。探偵に希望敵推測は厳禁だ。基本的に相手が動いている時には最悪の動きをされることを想定しなければならない。流れに任せて踊るなら、背中にナイフは潜ませること。 - 4489ぺーじめ21/12/03(金) 02:33:12
「ほーら、やっぱりね」
私は冷めた声で投げやりに呟いた。
階段が、しかも上に向かう階段が、外から伸びてきた巨大な腕に破壊されたからだ。もちろんゴリラの腕である。毛深いお手々じゃない方の、鋼鉄製の機械の腕。ブンブンと振り回すたびに、コンクリと鉄が砕けて捻れ、私が上に向かうルートが消えていく。
今すぐ腕をかいくぐって突破するしかない。
まだギリギリ、手持ちのアンカー付きロープやらを使えば、階段まで腕が届く。
「ピンチになったらどうにかフォローして下さい。しなきゃあなたは私と一緒にペチャンコですよ」
『ヒッ、努力させて頂きます!』
頭の中に響くおっぱいのテレパシーを聞きながら、私は真上で暴れる機械の腕に向かった。
もちろん、手はすでに考えている。
倉庫で拾い集めたなけなしの切り札。怪しげな骨董品の中から持ってきた古代文明とかなんとかの遺産という設定の、トンデモクソ映画アイテムを使うのだ。袋から勢いよく取り出したそれを、私はゴリラの鋼鉄アームにぶつけた。
それは、真っ白な大根である。もちろんただの大根じゃない。
こいつを封じていた箱には、英語でこう書いてあった。『Magic sword - radish blade』すなわち、魔剣大根ブレード。
「これでも、くらえ!」
ぐしゃあとダイコンが砕け散った。まるでダイコンを鉄の塊にぶつけたように。
たしかに大根はゴリラの鋼鉄の拳に当たった。当たっただけだ。普通に考えたら鉄の塊にぶつかったらこうなる。
「ですよね!」
ちょっとキレ気味に私は叫んだ。ダイコンに期待しすぎた自分を恥じよう。
「ウホ?」
ゴリラは謎の感触に腕の動きを止めている。
手のひらを開いたり閉じたり、ぐっぱーぐっぱー、まるで大根が当たって、その痛みを理解できないかのような反応だ。
そうだろうそうだろう。ダイコンで拳を殴られた感触とかわからないよね。
『これでいいのです。あの大根の力はすでにあの機械のゴリラに痛手を与えたはず。伝説の魔剣、大根ブレード。その効果は、斬った相手の魔力を吸い取ること。そして、その奪った魔力によって持ち主の一時的に能力を向上させること。つまり、今のヤツは魔力を吸われて弱体化し、御主人様は強化されているのです!』 - 44910ぺーじめ21/12/03(金) 02:39:10
なるほどさすがはクソ映画の世界。実際元の世界の基準からしたらとんでもないチートアイテムが雑に出てくる。
でも、ちょっと待って欲しい。
「あのゴリラに魔力とかあるんですか?」
『…………なさそうですね』
ホントにクソの役にも立たなかったなダイコンブレード!
すかさず私は次の道具を取り出した。ダイコンの感触にびっくりしていたゴリラが、改めて手をこっちに突っ込んできたからだ。壊した階段の壁から顔をこちらに覗かせて、私を手の中に掴むつもりだ。握られたらもう助からない。
取り出したハンマーを振り上げる。金槌。玄翁。とにかくそんな名前のそれ。
近づいてくる手に向けて正面からぶつけた。
ガキンと音がして、あっさりと金属がひしゃげる。
「グォオオ!?」
ゴリラが悲鳴を上げた。驚いたことに、こっちに伸ばした鋼鉄の手、その指の一本が折れ曲がっている。
ちなみにこっちのハンマーは折れて使えなくなった。
『やりましたよ御主人様! そのハンマーは強制的に性別を変更する奇跡の力を持つ、強制トランス玄翁! 機械ゴリラも今や無力なメスに成り下がったはず、後はちょいと顎を持ち上げて唇を奪いベッドに押してやれば倒せるはずです!」
「鋼鉄部分に当たっても効果あるの」
『御主人様、今がチャンスですぞ。この調子でどんどん他の武器を試していきましょう!!』
よし、おっぱいがの言うことはもう無視しよう。
機械ゴリラがメスになったからといって無力化出来たとも思えないので、鋼鉄製の指をヘシ折れたことに感謝することにした。
少なくともゴリラは怯んでいる。それが重要で、私に必要だったことだ。
「届け……っ」
ブンブンと振り回したワイヤーの先端、魔法のアンカーを階段に向かって投擲する。
狙い通りに上に見える階段の奥に刺さった。一瞬、引っ張って固定されていることを確かめて、素早く床を蹴って壁に跳ぶ。三角跳びの要領でワイヤーを引っ張りながら、壁を連続で蹴って登っていく。このビルがナナメに傾いてるからできる芸当だ。
「ウォォォォォォォォオッ!!」
次の瞬間に、力任せに振り回した鋼鉄の腕が、足元をすり抜けていく。下の階にまだいたら私はぺしゃんこだっただろう。
ギリギリ足の先が、上に続く階段に届いた。腕を伸ばして階段の手摺を掴む。
届いた。登りきった。 - 45011ぺーじめ21/12/03(金) 02:40:58
「なんか当たれ!」
私は荷物袋から取り出した、倉庫で拾ってきた残りの道具を全部、まとめて鉄の腕に向かってブン投げた。
「ウゴオアァッ!?」
予想外だったのは、道具をぶつけられた鋼鉄ゴリラが甲高い悲鳴を上げたことだ。
苦しげに唸り声を上げながら、階下で暴れている。
振動でビルが揺れだした。驚いている暇はない。私は急いで階段を駆け上がっていく。
「今の、なに!?」
『恐らく割れたケースに入っていたアンチ・エイプ・ウイルスの効果です』
「なにそれ」
『類人猿に効果のある超強力なウイルスです。致死率100%の出血熱です。恐らくあの半機械のゴリラは初期症状の激痛に苦しんでいるのだと思われます』
私は口を閉ざした。
もう痛いとか音が出るとかの問題を無視して二段飛ばしで駆け上がってるのでおっぱいがバインバイン揺れる。
しばらく階下で巨大ゴリラが暴れる音と、私が階段を駆け上がる足音だけが階段に響いていた。
「今、類人猿に効果があるって言いましたよね」
『はい』
「私にもそのウイルスは効果ある?」
『はい』
巨大ゴリラの暴れる音が近づいてくる。暴れながら、階段の壁を壊しながら上階を目指してきている。
接触したら致死率100%のウイルスもちの巨大半機械ゴリラが。
「私なんかした?」
生きてるんだからそりゃ色々してるけど、ここまでの目に遭うほど悪い事してなかったと思うんだけど。
『説明書を読まずに道具を使いましたね』
「だってぜんぶ英語だったから!読めなかったの!」
こいつはきっと、クソ映画の本場、アメリカ産の映画なのだ。そして、本当に本当に本当にクソな映画は、日本語に吹き替えられることも、翻訳されることすらない。それほどのブツだと今の私なら断言できる。
だってクソすぎて主演男優がクライマックスに辿り着いてないとかありえないでしょ。
結果、私は添付されてた書類が読めなかったので、とにかく役に立つものをと、おっぱいの指定するものを片っ端から荷物袋に詰め込んできたのだ。
その結果がこれ。
一つだけ私にとって救いなのは、もうあとちょっとでこのビルの最上階ってことだ。例の門とやらがある階。偉大なるバナナキングとやらを呼ぶための門。
それが私の最後の頼みの綱だ。
このクソ映画がバッドエンドで終わるタイプのやつじゃないことを祈りながら、私は階段を蹴った。 - 451121/12/03(金) 02:42:11
こ、ここまでで……横になります。
たくさんの保守、ありがとうございましたー。
明日の夜にでも。最後の決着と最後の安価、出せるようにがんばります~……(すやぁ) - 452二次元好きの匿名さん21/12/03(金) 12:07:35
よくやった!ほしゅ!
- 453二次元好きの匿名さん21/12/03(金) 21:01:05
保守
- 454二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 02:13:45
保守
- 455二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 11:27:25
ほしゅ
- 456二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 18:39:55
保守
- 457二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 18:42:34
大根ブレードあまりにも役に立たなくて笑うんだよね
- 458二次元好きの匿名さん21/12/04(土) 18:43:22
どうでもいいがオスゴリラだったのか…
- 459二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 01:08:31
ほしゅ
- 460二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 11:38:22
保守
- 461二次元好きの匿名さん21/12/05(日) 20:21:37
ほしゅ
- 462二次元好きの匿名さん21/12/06(月) 01:21:57
保守
- 463二次元好きの匿名さん21/12/06(月) 11:09:39
保守
- 464二次元好きの匿名さん21/12/06(月) 19:49:57
hosyu
- 46512ぱーじめ21/12/07(火) 00:20:38
私は偉大なるバナナキングの門へと遂に辿り着いた。
たぶん研究室らしい、機械っぽいオブジェがいっぱい並んでいる部屋だ。それの意味するところは、そこそこお金がかかったセット。つまり映画としても意味のある場所ってことだ。
「ウォォォォォオオオオオオオ! ウォオオオオオオオオオオオオン!!!」
外ではゴリラの咆哮が聞こえる。階段からこの研究室らしいフロアに移動したことに気付いた殺人ウイルス半機械巨大ゴリラが、外からフロアの壁を壊して覗き込んではめちゃくちゃに壊しているのだろう。
死ぬほど痛くて苦しいから、せめてその原因である私を殺してウサを晴らしたいんだろう。もしかしたら、私を殺したら痛みがなくなると思ってるのかもしれない。
「さっさとやりますよ」
私は懐にずっと抱えていた石版を取り出す。
門と同じ鈍いブロンズ色。クルリと手の中で回してみて、門の模様と見比べてみると、門の表面にぴったり石版を嵌め込む窪みがあることにすぐ気付いた。
有無を言わせずカチリと嵌める。
間。
何も起こらない。ああ、これ何かが足りないやつだ。
『御主人様、バナナキングを呼ぶのです。門の向こうに届くように、高らかに!』
「バナナキングーーーーー!!!」
ヤケクソで叫んだ。
やっぱりなにも出てこない。なにこれ、バナナキングのテーマとか歌わないと出てこないシーン?
『先史超古代ゴリラ文明の言葉で呼ぶのです』
「ウッホォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!」
私はヤケクソでゴリラっぽく叫んだ。
なにも出てこない。
『御主人様、私が翻訳して発音いたしましょうか?』
「できるんなら最初からやれ!! あ」
思わず突っ込んだら、おっぱいは即座に発音を始めた。めっちゃブルブルしはじめた。
ああもう忘れてたまたこれ。
やめろやめろ震えるな。はよ終われ今上下にめっちゃ揺さぶられて付け根からめっちゃ痛いんだよ悠長にブルブルしてるんじゃない。あーもーあーもーはやく終われー。くそー、くっそー。
自分のおっぱいが振動して
『ウッホッウホッホ、ウホウホウッホ、ウホウホッホッホッ、ウホッホ』
みたいな音出してるのはめっちゃシュールだし、振動止めるわけにもいかなくておっぱい放り出したままはよ終われって毒づいてる私はもっとシュールだ。 - 46613ぺーじめ21/12/07(火) 00:21:33
『ウホッホ、ウホッ、ウォォォンンン!』
高らかにおっぱいが振動して咆哮っぽい音を上げる(おっぱい千切れるかと思った)。
門が、内側から輝き始めた。
ゆっくりと音もなく、まるで一枚の鉄板のように見えた門が開いていく。
光の中から一つの影がゆっくりと進み出てくる。
偉大なるバナナキングの来訪だった。
身長は二メートル五十センチくらいだろうか。
その全身を真っ黄色のつるりとした肌で覆われいる。その頭部は人間よりも一本のバナナに近く、目と鼻はなく、大きな縦に裂けている口がある。
それは、胸の前でひょろりと細くものすごく長い腕を伸ばし、門に手をかけて出てこようとしていた。それは目のないバナナの頭で私を見下ろす。
「これが、バナナキング……」
それは、私を見ていない。私の背後、ゴリラが暴れているであろう方向をじっと睨んでいた。
やがて、その目が私に向けられる。頭の中に何かが触れるような感覚があった。
ごくりと喉が鳴る。
バナナが食べたくなったのだ。あの頭部の、一本のバナナを剥いて、その中のものを。
その瞬間、私は悟った。
目の前にいるもの、バナナキングと呼ばれるそれが、私の理解できない、人智を超える存在なのだと。それはまさしく怪物だった。私の知識の中にある、どの生物とも違う。
この世のものではないと直感的に理解してしまったからだ。
バナナキングを食べてはいけない。これ以上それを知れば、私は私ではなくなる。その確信があった。
「……だけど、もう解き放ってしまった。私が……!」
私は、この世の終わりを確信した。
バナナキングは、私の背から迫る、あの巨大な半機械の巨大ゴリラよりも恐ろしいものなのだ。
ゆっくりとバナナキングは床を這うようにして近づいてくる。
お辞儀をするように頭を差し出して、私のすぐ手が届くほどの距離に、その頭の、先端がある。
「いや、いやだ」
私は必死に首を振って、必死になって叫んだ。
けれど、震える指がゆっくりと動く、腕が持ち上がって、バナナへと伸びていく。
鼻先に香る甘い香りに脳が痺れていく。
ぷつ、と、小さな音がして、バナナの皮が頭から、八つに裂けていく。内側から黄金色に輝く実が見える。私は涙を流しながら口を開いて、舌先を伸ばして。それに──── - 46714ぺーじめ21/12/07(火) 00:22:10
轟音が聞こえた。
激しい衝撃を横合いから受けて、私は、意識を失った。
◆◆◆
目を覚ました時、そこは病院のベッドの上だった。
私の病室には、誰もいなかった。窓の外を見ると、空が夕焼けに染まっていた。
一ヶ月ほど昏睡状態だったらしい。
医者の話によると、奇跡的な回復だそうだ。
確かに、死の直前のような苦しみからは解放されたが、私の心は晴れなかった。
私は、街の路地の真ん中で横たわったまま、ずっと目覚めなかったらしい。死にかけの私を助けてくれたのが誰なのか、教えてくれる人はいなかった。
だけどなんとなく見当はついている。
そっと自分の胸に手を当てると、あの無駄に大きな巨乳は、もうなくなっていた。
病室の外から身を乗り出して、夕焼けの空の、ずっと上を見上げる。
そこにはゆっくりと斜めに傾いたまま宙を舞っている、巨大な一本のバナナの姿があった。
◆◆◆
FIN - 46815ぺーじめ21/12/07(火) 00:22:32
◆◆◆
「…………すごく嫌な夢を見ました」
目を見開いて、アメリカの高層ビルではない、古びた洋館の一室の天井を見て、私は呟いた。
よろめきながら半身を起こしてベッドから降りる。
裸足のまま、木の板の床を押すと、小さく軋む音がする。そのことになんだか安心した。
服装は洋館を訪れた時と同じ。ベッドの側に置いていたブーツを履いて周囲を見渡す。たぶん依頼で訪れた洋館だと思う。客室かなにかだろうか。きちんと掃除の行き届いた良い部屋だ。
一通り見回した頃に、ちょうど部屋の扉が開いた。
「ああ、よかった。目が覚めたのですね」
出てきたのは、今回の依頼者である、フードを目深にかぶった人物である。
依頼、依頼。頭の中で思い出す。巨大ゴリラを一旦忘れよう。依頼は、洋館をどうにかするだっけ。えぇと、秩序を乱すものを取り除く?たしかそんな感じだったはず。恐怖の記憶がどうとか。
「記憶がまだ混乱しています。あのあと、どうなりましたか?」
そう尋ねてみると、フードの人は少し首を傾げるようにして動きを止めた。
少し躊躇した様子で口の中で言葉を選んで、ようやく言葉に乗せる。
「正しく依頼は果たされました。星々をめぐる御子は、たいそう喜んで、恵みを下さいました」
どうやら具体的なことを忘れてるなら伝えないの精神らしい。
私もそれなら好都合と話を合わせる。
「そういうことなら、依頼料を頂いて、いつものように解散、ということでよいですか?」
「もちろんです。満足の行くお仕事でしたので、すこしだけ色を付けておきました」
「ありがとうございます。また機会があったらお手伝いさせて下さい」
「ええ、今後とも頼りにさせて頂きますね」
小さく頭を下げる私に、フードの人は両手を合わせて同じように少しだけ頭を下げて答えてくれた。見た目の怪しさのわりに、なかなか人の良い方なのである。
私は客室を使わせてくれた礼を伝えて、報酬を手に屋敷を後にした。 - 46916ぺーじめ21/12/07(火) 00:23:05
街外れ、大門からも随分離れた森の深く。
広がった森に侵食されて、潰れた村の廃墟を横目に、草をかき分け歩いていく。
多少、足を早めても、胸の付け根が痛くないのはいいことだ。
見下ろした胸元は慎ましやか。
決して残念だとは思っていない。喋るおっぱいに未練などあるものか。だけど別れの一言ぐらいはあげても良かったかな。なんてことはちらっと思ったり。
「あれ、中身どうなってるのかな……」
目が覚めたあとに客室を見回した時に、ちらっと見えてしまったものを思い出す。
それは一本のビデオテープだ。
中世魔法ファンタジーなこの世界には相応しくない、プラスチックの四角い文明の落し子。
その背中に貼られたラベルには、こんなタイトルが貼られていた。
『巨大メカゴリラvsロリ巨乳女冒険者 ~偉大なるバナナキングの来訪~』
あのビデオテープの中身、いったいどうなってるんだろう?
ちらりと頭に浮かんだ映像を頭の中で振り払う。
頭頂から触手をたくさん生やした、円筒形の巨大な怪物が、まん丸の大きな目玉で、大きなテレビの画面に写った、私とゴリラの逃走劇を、くぐもった笑い声を上げながら鑑賞している。
そんな愉快な映像を。
◆◆◆
『クソパニックホラー映画強制出演事件』 END - 470あとがき21/12/07(火) 00:28:47
保守めっちゃありがとうございました!
ほんと保守されまくりで酷いですね!ごめんなさい!でもお陰でエタりませんでした!
これにて5話完結です!
はっきりいって安価とAIのべりすと君が合わさると高確率で夢みたいな話になりますね!
今回も夢小説にならざるを得なかった模様です。
モニュちゃんは夢女子ですね!
はっきりいって長くなりすぎだし時間かかり過ぎだし大失敗ですごめんなさい!
全部で1万5000文字ぐらいあります!私はなんでこんな無駄な内容にそんな大量の文字数を!!
でも安価に合わせて色々書くのは楽しかったです。ありがとうございました!
楽しく読んでくれたら嬉しいです。楽しくなかったらごめんなさい!
全ての読んでくれた人に感謝を!ありがとうございました!機会があったら続き書きます! - 471二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 08:58:57
ううんB級バニック
- 472二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 17:04:01
ううん酷いや…
いやいい意味でね? - 473二次元好きの匿名さん21/12/07(火) 23:49:42
保守
- 474二次元好きの匿名さん21/12/08(水) 00:32:50
夢落ち好きすぎぃ!
- 475二次元好きの匿名さん21/12/08(水) 07:30:55
hosyu
- 476二次元好きの匿名さん21/12/08(水) 17:01:25
hosyu
- 477二次元好きの匿名さん21/12/08(水) 21:59:58
のべりすとくんにはホラーはまだ早いや
おっぱいと夢に逃げやがったぜあの子 - 478二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 02:54:21
おもろかったぜ
- 479二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 10:32:22
保守