- 1二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:11:29
今日も賑やかなトレセン学園だけど、その中であたしは、食堂で考え込んでいた。悩み……って言うと大げさになっちゃうかも。だって、あたしのトレーナーさんとお話したいなぁ〜って思ってるだけだからね。
う~ん……トレーナーさんとお話したいけど、何もないのにトレーナー室にお邪魔するのはどうなのかなぁ……。トレーナーさんもお疲れだろうし、そういうのは良くないよね……。ううん……どうすればいいのかな……。
「あの……何かお困りですか……?」
「えっ?」
突然声をかけられて少し驚いてしまった。
声が聴こえる方を見てみると、桜の髪飾りが印象的で、少しあたしよりも小さなウマ娘がいた。ええと……確かこの方は……
「サクラチヨノオーさん……ですよね?」
「はい、チヨノオーです!ええと……キタサンブラックさん……ですよね?」
「はい!でも、キタサンブラックって言うのは呼びにくいと思うので、キタサンで大丈夫ですよ!」
あんまりお話しすることがないから、自己紹介からになっちゃった。
サクラチヨノオーさんは、あのマルゼンスキーさんのライバルである偉大な方なのだ。その上国民的妹ウマ娘なんて言われるくらい可愛いので色んな方に人気だ。一つ一つの学びをノートに書いてるくらい努力家な方だから、密かに尊敬していたんだけど……あたしのほうが年下なのに腰が低いというか、丁寧な方だなぁ……。
「改めてまして、キタさんは何かお困りですか?悩んでるように見えたのでどうしたのかなって……」
なるほど……あたしがうんうんと、唸ってたから心配させちゃったみたい。うう……チヨノオーさんに心配させちゃうなんて、反省してもしたりないよぉ……。
「その……大したことじゃないんですよ……。実はですね――」 - 2二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:11:53
こんなことを話すのはどうかとも思ったけど、力になってくださるのが有り難くてお話しちゃった……。トレーナーさんとお話がしたいけど、迷惑になるのが怖いこと。それを伝えると、チヨノオーさんはうんうん頷いたあと、勢いよく手を握ってきた。お、思ったよりも強く握られてて、少し痛い……。
「凄く分かります!迷惑かな?とかいいのかな?とか思っちゃいますよね!!」
「えっ……チヨノオーさんもですか?」
少し意外かも……チヨノオーさんとそのトレーナーさんは、とても仲がいいらしくて、その様子はまるで兄妹みたいだって聞いている。だから、そんな風に考えることなんてないと思ってた……。
「はい……。やっぱり忙しそうだと気を遣ってしまうんですよね……。ただでさえ色んな事をやっていらっしゃいますから、どうしても尻込みしちゃうというか……」
「分かります!出来れば手伝いたいと思っていても、それが迷惑になるんじゃないかと思うと怖いんですよね……」
ふたりして深刻そうな顔になってしまう。けどお互いの顔を見たら、少しおかしくなって笑ってしまった。大切な人のためにそこまで深刻になって……ふふ、こんな方がいるなんてな……。
「ふふふ……私達って意外に似てるところがあるのかもしれませんね」
「あはは……そうかもしれません」
お互いに笑いあったあと、チヨノオーさんは少し考え込んでる様子だった。何を考えてるのかな?
「キタさん、トレーナー室に行きたいのでしたら、何か口実を作ればいいのではないですか?」
「口実……ですか?」
口実って言うと例えば、トレーナーさんが心配だから来ましたとか、そう言う感じなのやつだよね。ううん……出来ることといえば、マッサージくらいだし……それも気を遣わせちゃうよね……。
「キタさん!私はこう見えても、和菓子作りが得意なんですよ!」
「へぇ〜そうなんですね……ってもしかしてチヨノオーさん……」
「そのまさかです!私と一緒に和菓子を作りませんか?」
「えっ?えっとその……」 - 3二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:12:14
そんな……あたしのために、そこまでしてもらうのは申し訳ないですよ……。そんなあたしに、笑顔を向けてくれるチヨノオーさん。
「私もちょうど、トレーナーさんに桜餅を贈ろうと思っていたので大丈夫ですよ!」
「チヨノオーさん……ありがとうございます……」
チヨノオーさんの手をとって改めて感謝を伝える。その優しさをあたしは、絶対に無駄にはしません!気合を入れなきゃ!……とはいえすぐってわけにはいかないよね……。
「いつ頃作る感じなんですか?」
「う~ん……キタさんの予定に合わせて作ろうと思いますが……いつなら大丈夫でしょうか?」
チヨノオーさんにそう言われて、顔に手を当てて考えてみる。えっと、今日は元々練習がお休みだから悩んでたわけだから……。う~ん……出来れば今日が嬉しいけど……。
「その……今日とかは……大丈夫ですか……?」
「ちょっと待ってくださいね……」
そう言うと、メモを取り出してスケジュールを確認しているみたい。ま、まぁ無茶なことを言ってるのは百も承知だから、断られても仕方ないよね……うん。そう思っても、ソワソワしちゃってなんだか落ち着かない。
メモを確認し終わったあと、こちらをみてニッコリと笑っていた。
「私の方は大丈夫ですよ!早速調理室に向かいましょう!」
「わわわ、待ってくださいチヨノオーさん!」
はりきるチヨノオーさんを追いかけて、なんとか調理室に辿り着いた。少し息を整えて、調理室の扉を開けると、チヨノオーさんはもう、テキパキと準備をしている。あ、あたしも手伝わなくちゃ!その後はエプロンを用意して、手もしっかり洗ってっと……。
「では早速作りましょうか!」
「はい!よろしくお願いします!」 - 4二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:12:42
そんなこんなで始まった桜餅作り。一生懸命気持ちを込めながら作りつつ、横目でチヨノオーさんを見る。やはりというかなんというか、作り慣れてるだけあって、手際が凄くいいなぁ。
あたしは、あまり作り慣れてないから、失敗しないように気をつけて作らなきゃな……。そうこうしていると、特に大きな問題もなく、もう少しで完成しそうだ。ホッしながらふたりで息をつく。
「凄く上手ですねキタさん!結構経験があるんですか?」
「チヨノオーさんみたいに、沢山作ってる訳ではないですが、それなりに作ってはいますよ!」
手際の良さを褒められて少し照れてしまう。でも、チヨノオーさんのほうが、見た目が美味しそう何だよね……。じ~っとチヨノオーさんの桜餅を見つめる。
「ふふ……キタさん、私の作った桜餅食べてみますか?」
「あっ……違うんです!チヨノオーさんのほうが美味しそうに出来てるなと思っただけなんです!」
ワタワタしながら言っちゃったから、誤解されちゃうかな……。案の定、微笑ましそうにあたしを見ているチヨノオーさん。うう……本当に違うんですよ、チヨノオーさん……。
「大丈夫ですよ、私は結構作り過ぎちゃうんですよ」
「う、うぅ~……」
ニコニコしながらあたしを見ているチヨノオーさん。うぅ……誤解は解けそうにないし、何より好意を無駄にする訳にはいかない。
「ありがとうございますチヨノオーさん!ではいただきます!」 - 5二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:13:09
勢いよく桜餅をとり、巻いてある葉っぱをめくる。そして、美味しそうな色をしている桜餅を頂く。……!これは……!
「チヨノオーさん!凄く美味しいです!」
「えへへ……良かったです……!」
うん!これいくらでもいけちゃうよ!思わずもう一つ手が出そうになるけど、これはチヨノオーさんのトレーナーさんの物!我慢しないと……!震える手を抑えてなんとか我慢する。
「遠慮しなくてもいいのに……」
「だめです!ここで自分を甘やかすと、次も絶対に手が出ます!」
涙目になりながら我慢しているあたしは、きっと他の人が見たら面白いだろな……。だって、チヨノオーさんが今笑ってるんだもん……。
「キタさんは偉いですね。うちの妹なら遠慮なく食べちゃうと思います」
「チヨノオーさんって妹さんがいらっしゃるんですか?」
何か意外かも……。失礼だけど、チヨノオーさん自身は妹って感じで、お姉ちゃんの印象はないんだよね……。
「兄がふたりと妹がひとりなんですよ。妹も、昔は可愛かったのに、最近生意気になっちゃったからなぁ……」
「あはは……」
結構苦労してそうだなぁ……。妹さんかぁ……あたしも弟がいるけど、そんな感じではないしやっぱり違うんだろうな……。
「うぅ……。キタさんが妹なら、いっぱい可愛がるのになぁ〜」
「い、妹ですか!?そ、そうですね……その、あの……」
「ふふふ、半分冗談です♪」
「半分は本当なんですね……」 - 6二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:13:27
そんな風に、ワイワイ話しながら出来上がった桜餅は、とても美味しそうだった。これならトレーナーさんも喜んでくれるよね。そして、これをふたりで食べながらお話して……。
「うん……。きっと大丈夫……!」
「頑張ってくださいね、キタさん!」
最後まであたしを元気付けてくれたチヨノオーさん。……本当に感謝してもしたりないな……。
「本当にありがとうございますチヨノオーさん!きっとこの恩は返してみせます!」
「そんな、気にしなくていいのに!あなたの助けになりたかっただけですから!」
「そんなわけにはいかないですよ!だって、凄く嬉しかったんですから!」
しっかりと手を繋ぎ、感謝の気持ちを伝える。手を握られて少し驚いていたけど、しっかりと握り返してくれた。少し小さいけど、優しさに溢れるチヨノオーさんらしい手だ。
「分かりました!ではまた一緒に和菓子を作りましょう!それが私への恩返しということで!」
「あはは……それでいいんですか?」
「はい!」
「そうですか……えへへ、またよろしくお願いしますね、チヨノオーさん!」
あたしがそう言ったらニコリと頷いてくれた。その笑顔がまた見られることを嬉しく思いながら、あたしはトレーナー室へと向かった。
この桜餅のおかげで、トレーナーさんと楽しくお話が出来たし、美味しいって言ってくれて嬉しかった。
今度チヨノオーさんに会うときは、その時のお話が出来たらいいな。そう思いながら次に会えるときを楽しみに待つのだった。 - 7スレ主23/02/23(木) 19:16:20
Q 何故アニバーサリー前にこんな話を書いたの?
A 書きたくなったから……
特に絡みがあるわけではない二人を書いた理由は唯一つ。大好きなキャラだからです。
自分が書くと少しキタちゃんが幼くなるような気がするけどどうなんでしょうね…… - 8二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:17:36
なんで俺の最推し2人が分かったの?
脇出し和装勝負服が好きなんだよな、分かるよ… - 9二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:18:59
かわいいねぇ
スレ主のキタちゃんは本当にかわいい - 10スレ主23/02/23(木) 19:20:17
- 11二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 19:56:24
会話重点、一瞬で仲良くなったのがよく分かるやり取りだった
素直まっすぐで隠し事とか苦手そうな二人だし、この子たちはお互い相性いいかもしれない
みんなが頼りにしているお助け大将が、甘える相手は国民の妹っていうのが構図として面白い気もする - 12二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 20:01:02
同じ学園にいるからこそあり得る展開いいですねぇ…アプリやアニメで描写されてないだけで、こういったやり取りはそこかしこで行われてるんでしょうね。
寝る前に良いものを見させて頂きました、ありがとうございます! - 13二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 20:03:42
- 14二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 21:53:16
女の子たちがお菓子作ってるのって良いな…
- 15二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 22:04:53
- 16二次元好きの匿名さん23/02/23(木) 23:42:42
- 17二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 04:14:12
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- 18二次元好きの匿名さん23/02/24(金) 05:46:21
可愛い×可愛い
- 19スレ主23/02/24(金) 06:09:38