やっぱり、やめにしないか【SS】

1二次元好きの匿名さん21/11/15(月) 16:12:33

　私を見下ろす瞳が、うっすらと差し込む窓の光を反射して金色に光っている。
　制止の言葉を聞いて何を考えているのかはわからないが、薄明かりに照らされたその表情は揺れていない。
　それでも、私の肩を掴む指には先程よりも強い力が込められている。
　最初は私から……こんなことになった責任の原因は間違いなく私にある。ほんの好奇心、興味本位だけで手を出したことが、ここまでくるとは思わなかった。
　こんなことは私の研究にはなにも関係はないし、時間や手間ばかり取って明らかに有意義な行為ではない。
　そう思いながらずるずると、この関係を何ヵ月続けてきたのだったか。

「……いいから…………動かないで、ください…………」

　別に動いていないし、最初から抵抗をする気もない。
　明らかにその体がもつ本来の体重よりもはるかに重いであろう体重は、ウマ娘の力をでも押し返すのは容易ではない。無理に引き剥がそうものなら怪我もありえる。
　静かな部屋の中で、かち、かち、と秒針を刻む音を聞きながら、じっと見つめてくる彼女の顔を見つめ返す。
　もう何十分もこのまま固まっている気がする。
　いい加減重たいし、この沈黙も早く終わってほしかった。

「……服、シワになるだろう」
「いい…………です…どうせまた私が……洗濯するから…………」

　それもそうか。
　一つだけ小さく息を吐いて、その日は眠りにつくことにした。