- 1二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 07:42:59
- 2二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 08:09:27
観たいか観たくねぇかと言われたら観たいゾ
- 3二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 08:10:23
大丈夫?ちゃんとハッピーエンド?
- 4123/03/04(土) 08:22:11
多分?
- 5123/03/04(土) 08:22:54
初めて書いたんで拙いのは勘弁してください
ー英雄ナツキスバルの死から十年ほどが経った。ミロード家所有の屋敷の書庫で、小さな椅子に腰掛け、ベアトリスは黒い表紙の本を短く愛らしい指で1ページ1ページ噛み締めるようにめくっていく。その本は勿論、叡智の書___。 - 6123/03/04(土) 08:26:18
ではなく彼のパートナー、ナツキ・スバルがつけていた日記帳のうちの一つで、昨日偶然家の者が数十年越しに見つけたものだ。
もう何十年も前のベアトリスの誕生日のことになる。彼が
「ベア子〜、一緒に日記つけようぜ!」
などと言ってプレゼントと一緒に持ってきたのだ。彼の日記帳は黒色の表紙が、ベアトリスのものは黄色の表紙と、髪色に合わせて彼が選んだものだった。
最初、ベアトリスは日記をつけることに乗り気ではなかった。
「こんなものなくても、ベティーはスバルのことを忘れんかしら。そのことを魂に刻み込んでやるって言ったのはスバルなのよ。」
と、そんな風に文句を言っていた。彼は確かに約束を果たしてくれた。十年経った今でも、ベアトリスはスバルの全てを覚えている。
初めて会った時のことも、燃え盛る館の中で、四百年の孤独から連れ出してくれた時のことも、髪が全て白髪になったからと言ってヴィルヘルムと同じ髪型にしようとしていた時のことも、今際の際の、母親の腕に抱かれて眠る子供のように穏やかな表情で息を引き取った時のことも__。
彼の声色や表情、顔の皺まで、全て鮮明に思い出せる。 - 7二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 08:29:13
多分、エミリアも生きてるはずだ
王さまになれたかはともかく - 8123/03/04(土) 08:34:00
しかし、だからと言って一緒に日記をつけたのを後悔したことも面倒に思ったことも一度たりとてない。どころか、途中からかなり楽しんでいた。
スバルと一緒に書いていると言うのもその原因の一つなのだが、それに加えてベアトリスは本を自分で書くという経験が全くなかった。
だからこそ、本を書くということの魅力を一層実感したのだ。
そういえば、スバルに煽てられて一度小説にも挑戦したのだが、ロズワールが趣味で書いている小説を読んだことで自信を打ち砕かれる、なんてこともあった。どれもひどく懐かしく、大切な思い出だ。 - 9123/03/04(土) 08:35:38
ナツキスバルに関する記憶は完全に覚えているベアトリスだったが、それ以外の人物や出来事については案外記憶があやふやだったりする。
可愛くて力もあって賢い大精霊を自称するベアトリスでも、全てを完璧に記憶できるわけではないのだ。
こうして日記を書いていなければ、オットーがある晩に酔い潰れ、翌日の朝、何故か物干し竿にぶら下がって干されていたことや、ペトラの可愛らしい寝言のことなんかも流石に覚えていられなかったことだろう。 - 10123/03/04(土) 08:38:41
きっとスバルは永遠を生きるベアトリスが、毎日を覚えていられるよう、自分がいなくなっても寂しくないように日記を提案してきたのだろう。
全くよくできたパートナーだ。
(それでこそベティーのパートナーなのよ!)
と、そんなことを考えながら、ベアトリスはページをまた一枚めくる。
かつての記憶を取り戻すようにさらにまた一枚とページをめくる手が進む。
彼が持っていたこの日記帳は数十年以上の月日が経ち、色褪せてしまったが、彼女の中にある思い出は色褪せず、鮮烈に今も輝き続けたままだ。
そうして日記帳の最後のページに手をかけたちょうどその時、扉を叩く音が書庫に響いた。 - 11123/03/04(土) 08:42:54
読み切る直前に中断させられたことが不満だったのか、ベアトリスは読んでいた日記を近くのテーブルに置いた後、ため息をついて、
「入ってきてもいいかしら。」
と短くノックに返答する。
「失礼します。今日もお話を伺いに参りました。」
そう言って書庫に入ってきた黒髪の男はベアトリスを訪ねる歴史研究者の一人である。
ナツキスバルの死後十年の間に、彼女の元を多くの人が訪ねてきた。
その大半はこういった者たちで、ナツキスバルはどういった人物で、どう言う活躍や影響をもたらしたかをより詳しく、より身近な視点も取り入れて書物にまとめるため彼女に聞き込みをしに来るのだ。 - 12123/03/04(土) 08:44:45
それに答え、協力してやるのがベアトリスの、ナツキスバルのパートナーに次ぐ、次の仕事だった。
ベアトリス自身、パートナーを自慢していれば済む仕事なので天職とも思っているのだが、たまにとんでもなく仕事熱心なのが来ることもある。
今日訪ねてきたこの男もその類の一人だった。
男はそれはもう熱心に、少し興奮気味で様々な質問を投げかけてきた。
最初の方はベアトリスも誇らしげに一々胸を張りながらパートナーの活躍について語っていたのだが、魔刻結晶の色がニ度変わった辺りで体力の限界がきたのだ。 - 13二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 08:46:59
このレスは削除されています
- 14123/03/04(土) 08:48:17
「お前、いっぺんに色々聞きすぎかしら!これ以上話を聞きたいなら日を改めるのよ!」
ベアトリスが半ギレでこう言うと、黒髪の男は少し肩を落としながらも、すぐに了承して、
「ではまた明日お話を伺いに参ります!まだ聞きたいことの1/10も聞けていないので!ではごきげんよう!」
と言って、疲れをまるで感じさせないような軽い足取りで部屋を出て行ったものだからさすがのベアトリスも軽く引いていた。
大仕事を終えたベアトリスは再び日記帳を手に取り、疲れきった体をなかば倒れるようにして椅子に体を預けた。
「恐ろしい男だったかしら...ようやく続きが読めるのよ...」
力なくそう呟いて、再び日記帳を開いた。 - 15123/03/04(土) 08:55:44
続きと言っても残りたった1ページなのだが、今のベアトリスにとってその1ページがなによりも待ち遠しかった。
最後の1ページは、王選が終わった日の記述だった。
しかし、何故だかやたらとこの日は字が汚く、ひどく読みづらい。理由を考えてみるとすぐに思い当たる節があった。
その日のスバルが、
「二十にはなってるし、めでたい日だから記念に飲んでみるか!」
とか言い出してお酒を飲んでいたのだが、当人が思っていたよりも酒に弱く、すぐに酔い潰れてベアトリスがつきっきりで介抱したのだ。
おそらくその後、酔いが残っているか二日酔いの状態で書いたのだろう。今や良い思い出だ。
納得が行ったところでベアトリスは笑みを浮かべながら日記帳をパタンと閉じた。 - 16123/03/04(土) 09:00:30
思い出を振り返ってこんな気持ちになるなんて、禁書庫に引きこもっていた頃には想像もつかなかった。
あの時は、母様の記憶や過去の思い出を寄せ集め、寂しさを誤魔化そうと縋りついていた。過去を振り返り続け、止まった時の中で孤独に生きていた。
もしかするとスバルを失った後、その頃と同じような状態に逆戻りするのではないかという不安もベアトリスの胸にはあったが、杞憂に終わった。
ベアトリスはもはや過去を振り返ることはあっても縛られることはなく、今を生きている。明日に向かって、未来に向かって進んでいる。
「明日はまたあの男が話を聞きに来るから、もう寝ないと体が持たんのよ」
そう呟いてベアトリスは近くのソファーで横になった。
「にーちゃが一人〜、にーちゃが二人〜スヤァ」
その日ベアトリスはエミリア陣営の皆と、そして彼のパートナーに夢の中で会えたそうな。
-END- - 17二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 10:17:41
良いものを読ませていただきました
- 18二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 10:32:43
傑作だったよ
良質なスバベアをありがとう - 19二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 10:53:33
普通にハッピーエンドだ...
- 20二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 10:59:39
面白かった!
普通にハッピーエンドで良かった - 21二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 13:50:03
スバベア最高!お前もスバベア最高と言いなさい!
- 22二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 20:51:41
スバベア尊い ちょっと泣きそうになった
- 23123/03/04(土) 21:17:14
続きを思いついたけど蛇足な気がするしやめとくね...
- 24二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 23:58:39
正直見たい気持ちとなくて良いって気持ちが半々くらいである...
- 25二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 03:17:19
あー、この後サテラに4章?まで戻されると思うと泣ける
- 26123/03/05(日) 14:01:00
本編終了したら死に戻りはなくなると信じてるのでこの話の後そんなことは起こらない...はず