【閲覧・CP注意】ランチタイムですマスター

1二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 13:34:39

……はい、ですからランチタイムです。
正午――12時は万国共通でランチタイムの時間だと思っていたのですが、違いましたか？
……あっている？　
そうでしょう、いくら世間知らずとはいえ、それくらいは私でもわかります。
人間は一日に三食摂るそうですね。朝と夜は時間が上下するものもいるらしいですが、昼はおおよそ12時台だと聞きました。
となれば、貴方もこれから昼食のはずですね？
……なるほど。食堂で済ませるのですね？
……ところで、話は変わりますが、以前バレンタインで私がチョコレートを作ったのは知っていますね。
ええ、貴方に渡したアレです。……美味しかった？　ふふ、ありきたりで凡庸な感想ですが、許します。
貴方からのお返しも、美味しかったですよ。
っ……それで、ですね……あれから……少し好奇心が湧いたのでチョコレート以外にも挑戦をしたのです。
……ええ、もちろん料理の話です。
安心してください、流石に最初から難題に挑んではいません。
まずは誰でも作れるという初心者用とされるものを作りました。淑女たるもの無策にはいきません。
ええ。そうして、出来たのがこちらになります。
『………………？』
(ドンと出された皿には焦げの様な黒いものと卵(？)のような黄色の物体と、ところどころに無数の殻が混ざったものが置かれている)
え？　何を作ったのか？
見て分かりませんか……？
わかりませんか……そうですか……。
――これは、目玉焼きという料理。
…………を作ろうとして、力加減が出来ずに黄身が崩れた為に、卵焼きにしよう。
…………として上手く形にすることが出来ず…………気付いたらこのような姿になったもの、です。
………………。
『失敗作だね』って、そんなはっきり言わないでください！
……チョコレート作りの応用で出来ると思ったんです。ですが、思っていたより繊細で時間も気にしなくてはいけなく……何度か挑戦したのですが……焦げ目が少ないのはこれだけで……。
……はい。これが、一番焦げ目が少ないです……。
………………。
え？　食べる？　本当に？
いえ、たしかに、食べてもらえるなら私としてはそれは……あ。

2二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 13:37:34

………………。
(バリバリと、およそ卵焼きを食べているとは思えない音が暫くマイルームに響く)
……その、マスター、感想を聞いても……？
……はい。焦げている上に卵の殻が混ざって口の中がガリガリジャリジャリする？　そのくせ大量に使用されていると思わしき砂糖のせいで吐きそうな程の胸焼けをする……？
……一応味見はしたのですが、チョコレートと違い、甘けれぱいいという訳ではないのですね……。
もしかしたらと思ったのですが、すみません、マスター。不快な思いをさせました。
……それと、なんだかんだと言いつつも食べ切ってくださり、ありがとうございます。
こんなことなら、素直にアルクェイドに手伝って貰った方がよかったですね。
ええ、私一人で作りました。
……なんででしょう、今回は一人で作ってみたかったんです。
ですが、思ったようにはいきませんね。
……どうしましたか、マスター。考えこんで。え？　調理場へ行こう？　食堂ではなく？

それで、あの、端の方を貸して貰いましたが、何をするつもりですか？　マスター。
……一緒に作ろう？　料理を、ですか？
教えてくれるのですか？
ぁ……そうですね、貴方は私のエスコートでしたね。
……では、お願いしても？
ええ、よろしくお願いします。

3二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 13:38:18

では、目玉焼きを作ります。
……いきます。
――パアンッ！
…………すみません、力加減を間違えてしまいました。厚さ数ミリ以下だと流石に加減が難しく……。
え？　手に持って割るのではないのですか？　この間貸して貰ったマンガではそのようにして割ってる場面がありましたが？
……あれはフィクション？　できたとしても熟練の人のみが使える技術……？
……なるほど、そこから間違えてしまっていたのですね。では、どうすれば？
……角を使って割る……それは、どのような……？
手を貸して？　
――あ。
(コンコンと適当な角を使って罅を入れてから卵を割る。その動作を手を添えられて行なう)
…………………………なるほど。こう、するのですね、わかりました。
……ですが、その、いきなり淑女の手に触れるのは……。
い、いえ、なんでもありません。
…………それに、この方が覚え易いです。引き続きお願いしても？
ええ、文字通り、手取り足取りお願いします。マスター。

4二次元好きの匿名さん23/03/04(土) 13:40:27

「そうして、マスターと一緒に作ったのがこれです」
「あっま！　なにそれあまくない！」
「……まだ口にしていないはずですが、アルクェイド？」
「そういうことじゃないわよ。え？　なに、いつの間に過去のわたしこんなイベント起こせるようになったの？」
「……確かに、不甲斐ないところをマスターには見せてしまいました。最初から貴方に頼っていれば……」
「？　そこはいいんじゃない。確かにわたしに頼ってくれたら最初の失敗はなかったかもしれないけど、代わりにカルデアくんと一緒に料理する機会はなくなったのだもの。一緒に料理するの、嫌じゃなかったんでしょ？」
「それは……はい。次は卵焼きを教えてもらう約束もしましたし」
「……意外と抜け目ないわね、このわたし」
「…………？」
「無自覚かぁ……経験の無さがこういう方向に働くか……。まあいいわ、今のあなた楽しそうだし」
「……そう、見えますか？」
「ええ！　とっても！」
「そうですか……。なら、きっと、楽しいのだと思います」