- 1◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:02:14
- 2◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:02:49
事の発端は数日前に遡る。
「むーん……こまったなー」
例年より寒暖差の激しかった2月を乗り越え、ようやく春の兆しが顔をのぞかせた。そんな3月の日差しが照らすトレーナー室に、彼女の声だけが漂った。
困った。一体、何にだろう。小さく唸る姿に去年の姿が重なって見え、パソコンのキーを叩く手が止まってしまう。もしかして彼女が春になると患っていた原因不明の不調が、また。『春と仲良くできない』。聞こえていたという波の音も、ここ最近は言わなくなっていたがゆえに油断してしまっていた。また、居なくなってしまう。
と思っていたのだが、
「……花粉さんめ」
どうやら杞憂に終わったらしい。鼻をかむ姿に心底安堵を覚える。
「薬、飲まなかったのか?」
「えっと、お昼のときに飲むお薬、飲み忘れちゃいまして……えへ」
花粉症になったのは初めて。と、この間二人で病院に行ったときに処方してもらったたはずなのだが、ぬけているというかなんというか、そういう部分はまだまだ治っていない、ということなのだろう。何も話してくれなかったあの頃よりは、ちゃんと言ってくれることはずっといいが。
とりあえず、彼女は前の様ではないということだけは確認できただけでも良しとしよう。そう結論づけ、目の前の仕事に意識を戻そうとしたとき、
「おっと。困っているのは、花粉さんだけではないのでした」
少し芝居じみた声とともに、真ん丸な金色の目を少し細めた微笑がこちらを眺めていることは、想像に難くなかった。 - 3二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 21:03:01
長すぎて草
- 4◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:03:24
「花粉だけじゃない?」
おそらくは独り言ではなく、この部屋にもう一人といない居ない人物。つまりは自分に向けられた言葉と捉え、彼女のお望み通りパソコンから視線をそらし顔を上げると、御名答と言わんばかりだったのがより一層華やかになった。
「そうなのです。花粉さんもそうですが、それはお薬で良くなっちゃうので」
"ふんすっ"。効果音が付くとすれば、間違いなくそう付きそうな顔。そんな顔にチクリとイヤミを言いたくなってしまった。
「その良くなる薬を飲み忘れたのは誰だっけ?」
「…………はうっ」
『痛い所を突かれた』。初めて出会った時よりもよく顔に出るようになったおかげで、彼女の考えていることが前より分かるようになっていた。というより、勝手に出ているといったほうが正しいが。
ただ、流石にこれ以上意地悪くしては彼女の機嫌が悪くなるし、何より自分自身それを望んではいない。からかうことと、意地悪をすることはまったく同じ意味ではないのだから。
訝しんだ目元も口元も軟化させ、彼女の困り事に耳を傾けることにした。
「で、何に困ったんだ?」
「……はっ、そうでした。実はですね、今週末はなんの日か、トレーナーさんは覚えていますか?」
意気消沈すること数秒。見習いたいほど立ち直りは早い。先程まで目を伏せていたのが、ぱっ、とまた満開になる。 - 5二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 21:03:34
あにまんじゃなくてピクシブとかに投稿した方がよいのでは…?
- 6◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:04:37
- 7◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:05:22
今週末というと、3月5日。はて、なんの日だったかなと頭を巡らせる。いや、答えはとうに出ているのだが、先程のいぢらしい顔がどうにも離れてはくれず、先程の心持ちはどこへやら、ついつい意地悪をしたくなってしまう。
「確か、日本初のミスコンが開催された日、だったか。今年の感謝祭でもやるみたいだから、出たらきっと優勝できるな」
「……おお! トレーナーさんもそう思いますか。えへへ……って、違うのです!」
当たり前だというか、やはり違ったらしい。自分で撒いた種ではあるけれど、女心と秋の空とはよく言ったもので、本当によく変わる。
ただ一つ違うとすれば、どんな空模様も見ていて飽きない。そう感じてしまうのは、彼女が持つ愛おしさから来るものなのか、それとも。
「むう、トレーナーさんのそういう所、キライです」
「……ゴメン、つい」
「……そういうこと、他のヒトにしちゃダメですよ」
『嫌い』。口ではそういってはいるものの、2度も突っつかれては分かっていて敢えてとなるのか。心の底から、というよりは、どこか作った様な顔に。
実際、若干だが口角は上がっていて、反応を楽しんでいるような、そんなものが、換気のために開けていた、窓から入るそよ風になびく髪の間から覗かせていた。
けど、怒られてしまったからには次はない。仏の顔も3度まで。そういえば、ウルトラスーパーマスコットの顔は何度あるのだろう。聞いてみたい衝動に駆られたが、今はその時ではない。
当ててほしかった答えを出そう。目一杯の笑顔も添えて。ただ、男の笑顔など一銭にもならないが。
「3月5日は、記念すべき日。無事に1年を過ごせたということを祝う日」
「君の、誕生日。だ」
そしてまた一年、彼女の無事と活躍と、幸せを願う日でもある。いや、一年だけではない。
願うのは、今日も、明日も、──遠い未来をも。 - 8◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:05:53
「……ふふっ、ちゃんと覚えていますね」
「大切な担当の誕生日を忘れるなんてトレーナー失格だから」
安心したのです。そう言う彼女にまた、笑顔で返した。彼女といればいるほど、大切な日が増えていく。大切な思い出もまた、増えていくのだろう。
だが、
「……でも、そんな大切な担当ウマ娘の誕生日を、ミスコンの日。なんて言ったのは……どなたでしたっけ?」
「…………うっ」
まるで『お返しです』とでも言わんばかりの言葉のボディブローが突き刺さった。いつもの笑顔が、少しばかり怖い。やはり言ったことやしたことは必ず自分に返ってくるらしい。
その時ふと疑問が浮かんだ。この疑問は、おそらく誰しもが思うことだろう。
「誕生日なのに、何が困ったんだ?」
誕生日は祝われる側であって、祝う側ではないのだから。サプライズなどに頭を悩ますことはあっても、サプライズをされる側に困ることはあるのだろうか。
その疑問を汲み取ったのか、眉をハの字にさせた顔がゆっくりと口を開く。
「それがですね、3日はウオッカやスカーレット、クラスの皆さんが祝ってくれる予定で、4日は家族が祝ってくれるのです。お母さんが5日はお仕事なので」
「あ、そうでした。4日はお休みを頂きたいのです」
そういう理由があれば、それは構わない。と、快諾した。家族や友達の繋がりは大切で、かけがえのない物。とすると、彼女の困りごとは
「5日は何もないのか」
本人の誕生日である5日までに家族や友人からのお祝いがすでに終えていることに気づく。
「……む? トレーナーさんが祝ってくださるんですよね?」
そんな事を言ったそばから、疑問符を浮かべた顔に即答されてしまった。どうやら彼女の中ではすでに自分に祝われることは確定らしい。即答される事までは想像できなかったが。
確かに、その為に仕事に追われて目の前のパソコンと格闘していたのだから、準備は出来てはいる。
「……そりゃ祝うけど」
じゃあ一体何が困りごとなんだ。ここまでの会話に答えはあったかと頭を捻らせても、どうにも解は出てはくれなかった。けれどこのもやもやは、どうやら向こうも同じだったらしい。 - 9◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:06:23
「それがですね、どこに行きたいとか、何がしたい、とか。そういうものがですね、まったく浮かばないのです」
浮かばない。はて、誕生日に何がしたいか、なんてものが浮かばないことがあるのだろうか。普通なら普段できないことをやったり、食べたりするものではないのだろうか。
「浮かばないって、何かはあるだろ。何かは」
女の子の誕生日の楽しみ方はよく分からないが、カラオケに行くだとか、普段食べに行かない物を食べに行くとか、買い物に出掛けるとか、そういうのが浮かぶ。ドライブもと思ったが、それを喜ぶのは自分だけだろう。
そして浮かぶものは大抵、他の人も思い浮かぶもので、
「もちろん、クラスの皆さんと、カラオケに行く予定です」
「お父さんやお母さん、妹とも、お買い物に出掛けて、美味しいものを食べに行きます」
捻って考えついたアレコレが殆ど出てしまい、出鼻をくじかれてしまった。
「なら、な……」
何をすればいいんだ。そう言いかけた口に、いつの間にか近くに寄っていた人差し指がそっと触れた。遅れてきたオレンジの香りが、ふわりと顔をつつむ。
「トレーナーさんは、何をしたいですか?」
何をしたい。それはつまり、彼女はしてほしいのだろう。自分にできる、いや、自分にしかできない何かを。一つ、思い浮かんだ中で唯一彼女の口から出てこなかったモノがある。だがそれは自分が嬉しいだけで彼女が嬉しいのかは分からない。
言おうか言うまいかと考え込んでいた顔をあげると、
「おや? ……トレーナーさんとは、重なっているのではないのですか?」
いつもの微笑に少し首を傾げさせてそう言った。
"重なっている"。今の言葉で、ようやく言う決心がついた。学生が持っているハズもなく、家族と一緒に行くのとでは意味が違う、この自分にしかできないコト。それは、
「……ドライブ、か?」
「! ……ふふっ、大正解です」
彼女はそう言って、また満開になった笑顔を惜しげもなく咲かせた。 - 10◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:06:56
明るかった窓の日差しも、いつの間にか暮れを伝える茜色になるほど、解くのに時間がかかった難問の答えは、意外にもシンプルで、
「なんでもよかった!?」
結構雑だった。
「はい。思い浮かばないのであれば、いっそ、トレーナーさんに任せてみるのもよいかと思いまして」
その方が何をしてくれるのだろうと、わくわくできますから。と、彼女はそう続けた。大正解とは一体。
「でも、ふふふっ。そうですか、ドライブですか。……ふふっ」
そして何がそんなに気に入ったのかは分からないが、いつも以上に笑顔だった。けれど、本当にそんなことでいいのだろうか。クルマなんて事有る毎に乗っている。買い物に付き合ったり、新幹線を使わずに行ける距離のレース場に送っていったり、それこそ彼女の家に送っていくためにクルマを出したりもした。それぐらい常日頃から乗っているのに、だ。
提案した手前、それで良いと言うならば構いはしないけれど、やっぱり不安だ。もっと女の子が喜ぶようなことを言えばよかったと今更になって後悔が押し寄せた。言ってしまったが後の祭りではあると頭では分かっていても。
「本当にそんなことでいいのか?」
それが無意識にだろうか、口からそんな言葉が漏れた。
「ドライブはキライではないので、トレーナーさんは大正解なのです。それに」
「それに?」
聞き返そうとして声の方を振り向いたが、彼女はこちらに背を向けていて数歩、沈みゆく陽が眩く飛び込む窓際の方へ佇んだ。目が眩むほどの逆光からか、表情は読み取りづらい。
「……好きですから。トレーナーさんとのドライブ。お父さんが連れて行ってくれる時は、助手席はいつもお母さんの指定席なので」
こぼした言葉に返すように振り返って呟くその声は、どこか寂しそうで、
「なので好きです。助手席に乗せてくれる、トレーナーさんとのドライブ」
「……素敵な景色が見られますから」
どこか嬉しそうだった。
「……そっか。だったら、その期待に応えてあげないとな」
好きと言われて悪い気分になる人はおそらく居ない。なら、自分が精一杯出来るおもてなしをしよう。幸い、まだ隠している奥の手がある。 - 11◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:07:28
やることが決まったならば、次に決めるのは、
「じゃあ、どこに……」
行きたい場所は。そう言おうとしてまた、人差し指に止められる。ただし今度は、彼女自身の口元で。
「トレーナーさんが行きたいところ、見たいもの、食べたい物。好きなように決めてくださいな」
わくわくさせてください。どきどきさせてください。口に指を当てる仕草が、そう訴えていた。
「そして、辿った道のりを、もう一度走ってみたいのです」
いつか、免許をとった時に。そういえば前にも同じことを言っていた気がする。あれは確かマルゼンスキーの車に乗ったときだったか。
彼女が免許を取れるまで、あと数年。
「……トレーナーさん? どうしたのです?」
それまで、どんな思い出を作ってあげられるのだろう。
「…………」
そして、それからも。
どんな思い出を紡いでいけるのだろう。
「トレーナーさん?」
「…………えっ?」
先程まで窓際にいたのに、いつの間にか目と鼻の先にいた。オレンジの香りがまた、遅れて香る。
「誰を、映しているんですか」
誰を映す。出会って、トレーニング中に聞かれた言葉。あの日から答えはずっと、変わらないままでいる。
「君のことを考えていた」
どんな場所に連れて行こう。どんなことをさせてあげよう。どんな物を食べてもらおう。
そしてその全てに、君の姿がある。
「ふむふむ。あなたの心の中の、誕生日のわたし。どんな事をして、なにをしているのでしょう。でも」
じっと見つめる、金色の瞳。その瞳はどこか嬉しそうで、
「でも今は、心の中のわたしじゃなくて、わたしを映していてください」
どこか寂しそうだった。そしてまた、
「……ふふっ、あわてんぼうのトレーナーさん」
どこか嬉しそうになった。 - 12◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:07:54
すっかり陽の落ちた校舎を二人で歩く。
コツ、コツン、コツ、コツン。二人分の足音が重なっては離れ、重なっては離れを繰り返す。それでも前に行く彼女との距離は、離れない。
「すっかり、遅くなってしまいましたね」
「……ああ」
廊下の明かりがなければ、歩くのも少し心細いかもしれない。陽は伸びてきたとはいえ、まだまだ暗い。それでも離れないでいてくれるのは、同じように心細いのか、それともやさしさからなのか。どちらにせよ、今の自分には有難かった。
しばらく歩き、階段を降りる。少し行った先の玄関で別れるのが常だ。それは今日とて、変わらない。
「では、5日。お願いしますです。……期待してますからね」
振り向きざまに期待を投げられる。目は蛍光灯に灯されてなのか、いつも以上に輝いている。
「ああ。……いい誕生日になれるよう、頑張るよ」
嘘偽りなく、本心からそう応える。誰だって悪い誕生日にしたい人間などいないだろう。
その答えにまた目を輝かせては、
「えへへ……はい。……よい誕生日になりますように」
誰に祈ったかわからない。けれど小さく、祈った。
「……トレーナーさんが楽しくないと、マーちゃんも楽しくありませんから」
最後の言葉は、よく聞き取れなかったが。 - 13◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:09:07
「……どうして、ここなのですか?」
ここは去年の春、彼女を見つけ、連れ戻したあの海。再起を誓い、伝説が始まった海。けれど、彼女にとっては少なくとも純粋に楽しい思い出がある場所ではないと思う。
「……ちょっと、歩かないか? 天気も良いし」
車から降り、駐車場から浜へと続く階段を降りて、浜辺を歩く。雲ひとつない快晴が海に反射して、鏡のように光り輝いている。もう少し春になれば、もっと暖かくなって春の訪れを如実に実感できる。
「……トレーナーさん、どうして」
「……そうだな。ちゃんと言わなきゃだな」
先程から聞きたかったであろう答えを、ようやく話すことにする。
「……ここ、実はあれから何回も来たことあるんだ」
「…………。…………え」
振り向きはしないが、呟いた言葉に心配と驚きが混じったような顔をこちらに向けたことは、なんとなく想像がついた。
確かに一人で来たことがあるなんて言えば、他の人ならともかく、彼女にとっては、もっとだろう。
「まさか……トレーナーさんも波の音が」
そう思い込んでいると突然、手を掴まれる。離さないといわんばかりに強く。
「ダメです……! トレーナーさんはマーちゃんだけのトレーナーさんなのです……!」
「……絶対に行かせませんから……!」
どうやら勘違いされているらしい。今まで一緒にいて、波の音を聞いたことはない。それよりも、なによりも、
「大丈夫。ここには自分の意志で来てるんだ。呼ばれたとかじゃないんだよ」
ここに来たいと思って来ている。そう言って安心させるように頭を撫でたが、それが尚更彼女の顔を険しくさせた。 - 14◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:09:41
「……なら、どうして」
「どうして、ここへ」
どうして。いざ言葉にして疑問を投げかけられると返事に困る。嫌なことを思い出させに来たわけではないが、どう言ったら良いのだろうか。鈍い頭を捻って、
「……ここに来るとさ、思い出せるんだ」
「思い……出せる……」
ようやく出た言葉は、思い出せるだった。
初めて会ったとき。初めて走りを見たとき。初めて担当になったとき。メイクデビュー。レースだけじゃない。日々の日常も、様々な情景が浮かぶ。
「…… 思い出すんだ」
「…………」
彼女は黙って聞いていた。顔は伺えない。
波の音だけが、ただよう。やがて、ようやく口を開いた。
「……そう、ですか。なら、安心したのです」
掴んでいた手も、徐々に力を抜いて。
「でも……一つ、また、ひとつ。分からなくなってしまいました」
「……まだ、覚えていると、思い出すの違いも分かっていないのに」
分からなくなった? 何が? 怪訝そうな顔をよそに、ぽつぽつとつぶやき始めた。
「ファンの皆さんは、マーちゃんを記憶に残してくれました。走る姿がお守りになったり、勇気や希望を与えたり。マーちゃんは皆さんの幸せを運ぶマスコットに成れたと思います。……まだ仮ですが」
困り顔はそのままに、少しばかりの笑顔が帰ってきて、
「でも、一緒に記憶に残そうとしてくれたトレーナーさんの思い出は、何になったのですか?」
「トレーナーさんにとって、覚えてること。思い出すこと。そして」
「思い出とは、一体何ですか」
そう問われた。
覚えてること。思い出すこと。思い出とは一体何? 思いもしなかった問いに困ってしまった。なんて返していいか、分からない。その言葉の意味を言うことは簡単だけど、何かに成るとなると。
一体何なのだろう。 - 15◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:10:33
「何なの……か」
波の音に掻き消されてしまいそうなくらい、小さく呟いた。そして、とあることを思いつく。覚えている思い出が、確かに何かになった事。
「……そういえば、バレンタインのチョコにオレンジを入れたこと。どうしてそうしたのか、までは言ってなかったっけ」
話していく内に、ある一つの答えが浮かびながら。
ただ、この問題に答えなんていうものはないのかもしれない。
「……ふむ、トレーナーさんのお母さんから貰った、オレンジ味のチョコレートが、ですか」
「そう! わざと割って食べるチョコって子どもの頃新鮮でさ」
当時を出来るだけ思い出しながら、彼女に語る。子どもの自分にとって初めての体験だったと思う。けれどそれは、オレンジ味のチョコが好きになった理由であって
「でも、それはそのチョコレートの思い出なのでは?」
彼女にも指摘されてしまった。
「……まあ、そうなんだけど……。でも」
「でも?」
それでも、きっかけとしては十分ではないだろうか。いつからオレンジが好きになったなんていう、その思い出は、埋もれてしまってどこへ行ってしまったか分からない。でも、
「好きだってことは、覚えているもんさ」
覚えていられる為の、思い出なのかもしれない。 - 16◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:11:10
「好きなことは、覚えていられる」
なぞるように、ゆっくりと飲み込んで、復唱してゆく。顔が険しくなって、数秒。
「好きじゃないと、覚えていられませんか?」
怪訝そうな顔が、こちらを覗き込んでは、答えを待っていた。
好きだから覚える。というわけではない。もしそうだとしたら、好きじゃないものは覚えられないものなのか? 覚えていられる。思い出せることは、決して好きだからの為だけではない。
「ごめん、そうじゃないんだ……」
「好きだから、じゃなくて」
うまく言葉にできない自分に腹が立つ。けれど伝えたいことはきっと、彼女もわかってくれると思う。そう願いたいだけかもしれないが、
言わないで後悔するより、言って後悔したい。
「大切だから覚えている」
好きだとか、そんなものは関係なく、大切なんだ。他にとって代われない、かけがえのないものなんだ。今日、今、この一瞬。1秒1秒が。
そして大切なことは覚えている、覚えていられる。覚えていることは、思い出す、思い出せる。
誓ったあの日からいままでの思い出を振り返る。スプリンターズステークス連覇。クリスマスの思い出。バレンタイン。色々なこと。
大切だから、覚えていて、思い出せる。
「そういや、思い出は何になる? マーチャンが聞いたのはそんな問題だったな」
思い出は、勝手に解釈するのであれば、
「思い出は、力になるんだ」
どうしてオレンジの味にしたのかも、そう。
「オレンジが好きという思い出があったから、バレンタインのチョコはその味にしようって」
好きという思い出があるから。
出来合いのものを買えば、それもまた気持ちがこもっているというのに作ったのも、そう。
「マーチャン、君の笑顔が脳裏に浮かんだんだ。だから、絶対に完成させよう、って思えたんだ」
思い出は心を動かす力になる。 - 17◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:12:30
「……って、結構恥ずかしいなコレ」
ガラにもないコトを言った自分が今更になって恥ずかしくなる。照れ隠しのように顔を伏せた矢先、
「……いいえ。ステキな答えだと思います。とっても」
目を伏せた先に彼女の顔が先回していて、ぴったりと目があう。見つめる金色の瞳から、目を逸らすことができない。波の音より、大きい鼓動だけが響く。この音は自分だけの音なのか、それとも。
「思い出は、力」
瞳が重なったまま、ゆっくりと言葉を紡いでゆく。
「あの日、トレーナーさんがマーちゃんを思い出してくれたからこそ、わたしは今もキラキラ輝いているのですね」
「輝いて、ゆけるのですね」
金色の瞳が、一層煌めく。
波の音だけが、二人の間を通り過ぎてゆく。けれどそれは、まだ肌寒い3月の海風と言う事を忘れさせるほど暖かく、
「……よい、海ですね。トレーナーさん」
心地が良かった。
「……ああ」
「……よい、思い出になりました」
いい思い出も、わるい思い出も。
どんな思い出も、一緒に作っていこう。
そして、それからも。どんな思い出も、紡いでいこう。
そんなことを考えていると、彼女が胸元から小さい何かを取り出した。そしてそれを両手に握り込んで何かを祈るようにした。それは、
「それは……俺が作った……」
いつの日か作った、彼女を想って作った、この世に一つしかない、
「いつも、持ち歩いているのです。……この香り袋」
ところどころほつれて、ヤレもある。でも、ちゃんと持っていてくれて、
「お勉強をしているときも。トレーニングをしているときも。レースをしているときも。お出かけをしているときも」
「……香りも、思い出も、いっぱい、いっぱい詰め込んだ、トレーナーさんが初めてくれた、贈り物」
「"わたしだけ"の思い出ですから」
大切にしていて、くれていた。 - 18◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:13:00
「…………あっ! そうだ忘れてた! マーチャン今日はまだ時間あるよな!?」
「……え? ……はい、時間はありますよ?」
そのときすっかり忘れていた奥の手があることを思い出した。店員さんには本日中にと念をおされていた、例のもの。今から帰れば、食べてもらってからでも門限までには送り届けられる。
夕陽に照らされる彼女に手を差し伸べる。
「じゃあ帰ろう! 一緒に!」
「……! ……はい、帰りましょう。……一緒に」
その手に、しっかりと温もりが伝わりながら。
因みに、駐車場まで走って戻ったのだがやはりというかウマ娘。走ると分かったら否や一瞬で置いていかれてしまい、
「おや、おやおや? 急いでいたのではないのですか? トレーナーさん? アルトわーさんも、早く、早く。と、待ってますよ」
「ぜえ……ほ、本気で走るやつがあるかぁ……ぜえ……」
余裕綽々とした顔で出迎えられた。
「……トレーナーさん」
「……ん?」
助手席に座りこちらを呼ぶ声は、流れてゆく海の方に向いていて、遠くに霞んでゆく夕陽を惜しむように眺めてはどこか幸せな目をしていた。
「マーちゃんも、マーちゃんもですね。考えてみようと思うのです」
「考える?」
何を考えるのかは、おそらく。
「はい。いっぱい、いっぱい考えて、答えを出そうと思います」
顔だけをこちらに振り返えらせた。瞳からは光る雫が陽に輝らされていた、様に見えた。
「わたしにとって、思い出とは。を」 - 19◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:13:25
「……どんな答えであっても」
そう、どんな答えであっても。
「間違いじゃない」
そもそも正解なんてないんだ。十人十色、人それぞれ。答えも人の数だけ。自分が納得できる答えを出すのは今すぐでなくてもいい。
彼女はこれから先、これからも色々なことを知って、覚えて、思い出していく。そして、心の底から大切になったものがきっと答えなのだろう。遠い未来、彼女が答えを導き出せるまで、出来る限り見守ろう。
「……トレーナーさんは、マーちゃんが納得できる答えを出すまで」
「……いいえ、それを確かめられるまで」
そう言いかけたところで、信号が赤に変わる。ギアをニュートラルにするためにシフトノブに手を置いたとき、
「わたしと一緒にいて、わたしの側にいて、くれますか?」
置いた手の上に、手を重ねられた。
一緒にいて、側にいてほしい。そんなことはとうに決まっている。担当になったあの日からずっと、この気持ちは変わらないでいてくれる。大切な想い人を乗せた助手席に顔を向けて、
「……ああ、一緒…………!?」
一緒にいよう。そう言おうとした口は、熱を帯びた柔らかいそれによって、遂に出ることはなかった。
理解するまで、数秒。永遠に感じられるほどの、数秒。灯った信号によって、青く照らされても、身を焦がすような燃え盛る炎に似た、熱いものが。顔を、心も紅く染め上げて。
そしてまた、人差し指を唇に当て、金色の瞳を沈みゆく夕陽よりも輝かせて、
「…………その答え合わせは、とおい、とおい未来で、また」
瞳から溢れた、笑顔で答えた。
「確かめましょう、ね?」 - 20◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:14:30
- 21◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:14:59
なんとか気に入ってくれたようだ。どうしようと頭をひねらせた奥の手。
それは彼女の勝負服をモチーフにしたバースデーケーキ。真ん中を赤いリボンで結び、その周りをリボンが目立つようにいちごを置いてもらい、紅白のコントラストが映えるようにしてもらった、この世に2つとないケーキ。
なのだが、先程の感覚がまだ残っていて、それどころではなかった。まさか担当と。
「? どうしたのです、トレーナーさん」
「……なんで」
なにがです? きょとんとした顔は本当に分からないのか、はたまた分かっていて、なのか。いつもの微笑からは読み取れない。
「…………なんでそんなに平気そうなんだ?」
「はて? へいき、とは」
……本当に? この動悸は自分だけなのか?
「むー? 甘いものはお嫌いでしたっけ?」
それとも平常心を装っているのか。何れにせよそれを確かめるためにもう一度、詰め寄ってみることにした。
「……ほ・ん・と・う・に?」
すると、
「…………ふふっ、そんなにこわい顔しないでくださいな」
ようやく観念したのか平然を装う顔がくだけた。少し頬が赤くなっているあたり、恥ずかしいのはお互いだったみたいだ。
「でも」
「そのおはなしの続きはケーキをいただきながら、しませんか?」
せっかくトレーナーさんがマーちゃんを想って、考えて作ってくれたケーキですので。そう促されて、残るもやもやを一度隅に置いて、ケーキをつまむことにした。 - 22◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:15:25
「あれは、事故なのです」
「…………事故?」
つまみ始めて数分。流石に二人で5号はきつかったと少しばかり後悔して、珈琲でだましだまし生クリームを流し込んでいると、そんなことを言い出した。
事故だって? あれが?
「本当はですね。当たっちゃうとは思わなかったのです」
というがあの近さは分かっててやったんじゃなかろうかと思うのだが。けど、彼女が事故だといえば、納得せざるを得ない。もやもやは晴れはしないが、仕方ない。
「でも、意外でした」
意外? 何が? 訝しげな顔とは対に、何故か頬に手を当て赤くなっている。
「てっきり、その……経験がお有りなのかと」
あると思うのか。顔は一層険しくなって講義の目線を投げつけた。産まれてこの方そんな経験とは無縁だ。
「初めてだったんだぞ……」
「初め、て……? ……あらら、びっくりマーちゃんです」
すると今度は口を手のひらで隠し、言ってしまった、とでも言いたげだった。その仕草が余計に刺さる。自分だって好きで出来なかったわけじゃない。
「……ふふっ。でも、大丈夫なのです」
今に始まったことではないが、彼女は時々話を端折がちになって、深く聞き返さないと意味がまるで変わってしまう。なのでこれもまた聞き直すことにする。
「大丈夫だって?」
「マーちゃんのほうが一足お先でしたので」
お先……? まさかもうその歳でそういう経験が?
余りの出来事に目眩がする。大人びているとは思っていたがそこまでとは。それと同時に虚しくなってくる。こちらはこの歳でもこの体たらくだというのに。
「えっ……そんな……」
相手は一体誰だったんだ。いやそれを聞いてどうするんだ。頭が目まぐるしくまわってふらつく。
「だれ……と」
「誰と、ですか? お母さんとお父さんですよ?」
そんな謎の緊張が一気に崩れた。家族間はノーカウントだろうに。張り詰めた心が安堵したのか萎んでいた。自分の体なのに単純すぎるとは思う。
「なのでお先ですので、大丈夫なのです」
「いや家族間はノーカウントだろ……」 - 23◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:15:53
なんだか恥ずかしくなって、残っていたケーキを半ばかき込むようにして食べきった。口の中の甘ったるい生クリームをコーヒーで流し込もうとしたとき。
「……でも、いつかはちゃんと」
「……ぁ? なんだって?」
小声で話したのが聞こえた。確かになにか聞こえたのだが、如何せん小さすぎてはっきりとまでは分からなかった。聞き直そうとしたが、
「……いーえ。なんでもないです」
はぐらかされてしまった。
「時にトレーナーさん」
まだ残るケーキをよそに、フォークこそ置きはしなかったが声色が少し低くなった。さっきの雰囲気と違い、なにか大事なコトがあるらしい。なんだろう。
「トレーナーさんはいくつから、大人扱いをしてくれるヒトですか?」
大人、大人か。大人ってなんだろう。法律的には20歳、いや今は18歳になったんだっけかとそんなことばかり出てくる。けれど法律に当てはめれば18歳から成人なのは事実だし、それを答えればいいのだろうか。
ただ、何か引っかかる。規則じゃなくて、感情的な、何かが。
「……一応法律的には18からだな。でも」
「でも?」
彼女を受け持って、彼女の色々なことが分かり始めて思えたこと。それは、
「マーチャンも立派な大人だ」
考え方とか、そういう所はおそらく自分よりしっかりしていて、自分以上に大人に見える。年相応がないとは言わないけれど、それでも。
「………………ふむ」
「ふむふむ。マーちゃんも立派な大人、ですか。そうですか……! えへへ……」
あんまりちゃんとした答えになってないと思うが、何故か照れている。乙女心は本当によくわからない。自分は女性ではないから、無理なものは無理だ。 - 24◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:16:19
「なら、大人なマーちゃんは、今晩トレーナーさんのお宅にお泊りしてもいいですよねっ」
その言葉は意味は解っても理解できなかったが。
「…………………は?」 - 25◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:17:18
「(なぜ、こんなことになってしまったんだ)」
見慣れた天井と、嗅いだことのない甘ったるい香りに挟まれながら、天井を見上げるこの目はおそらく絵に書いたような虚無の目をしているだろう。家にあがらせたときからその香りはあったとはいえ、意識すればするほど、忘れなくなっていく。
「(特に、風呂はすごかった……)」
密閉されている部屋とはいえ、換気扇が意味を成してないほどの匂いが充満していた。それに
"覗いちゃ、めっ、ですよ"
なんていうものだから余計に意識してしまった。
「(…………心臓に悪い……!)」
せめて今度は前もって外泊許可が降りていたことを言ってもらおう。そう心に誓った。
明日は早い。彼女を送り届けなければいけないし、少しとはいえ残っている仕事もある。それにいやに心臓を酷使して疲れがどっと出た。目をつぶって、微睡みに身を委ねようとしたとき、隣からか細い声で呼ぶ声があった。
「……トレーナーさん、まだ起きてますか?」
「…………やっぱり眠れないか?」
枕が変われば眠れないということはよくある。だがそればかりは我慢してもらいたい。生憎変えの枕などない。
「はい……。気になってしまいまして」
気になる。何を気になるのかと聞き返そうとして、やめた。掛け布団の擦れる音が、2,3回。それからしばらく、静寂だけが残る。
「どうして、リボンだったのですか?」
帰ってきた言葉は、おそらくケーキについてだろう。リボン風のデコレーションのことを。
「"リボンは、マーちゃんとみんなを結ぶ"。だったか」
「…………!」 - 26◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:17:43
あれは確か、勝負服が届いてすぐのことだったろうか。公報の写真を取ってる最中に彼女が辻映りしていた、あの日。あいにく日常風景が主だったために使われることはなかったが、後日、彼女が写っていた写真を全て送ってもらった。今でもアルバムに仕舞ってある。
「"みんなの記憶にぎゅっとむすんで、みんながマーちゃんを忘れないように"」
「"たくさん、たくさん結ぼう。マーチャンのリボンと、みんなを"」
「……覚えていて、くれてたんですね」
「忘れられない、思い出だから」
──最も輝く彼女を、皆が記憶に焼き付ける日。必ず来るその日のために力を尽くそうと思った、あの日。
「リボンは人だけじゃなくて、思い出も結んでくれたんだ」
だから、リボンのデコレーションをしてもらったんだ。今日、この日をずっと、ずっと忘れない日になることを祈って、願って。
「この日のことも、かけがえのない思い出になる」
想い出を、綴じていくように、と。
言葉を、静かに聴いていた。噛みしめるように、強く遺していくように。はなをすする音が、花粉のせいなのかは分からない。
「さ、もう寝よう。明日からまたトレーニング、頑張ろうな」
「…………はい。おやすみなさい、トレーナーさん」
「……うん、おやすみ」
そのあとには、穏やかな寝息だけが微かに広がった。 - 27◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:18:28
夢を見た。
白いウェディングドレスを着た、
若い女性。
ゆるいウェーブで明るい茶色のボブに、
目立つサイドテール。
耳のところには、
小さな赤い王冠が乗っていた。
その小さな手に引かれ、
赤いバージンロードを、歩む。
一歩。
記憶に残るように、一歩。
覚えるように、一歩。
思い出になるように、一歩。
──やっと、叶いました。やっと、大人になれました。
純白のフリルを踊らせ、
舞うように振り返る彼女の顔は
──あなたが、好きです。愛してます。ずっと、ずっと。
笑顔で、
泣いていた。 - 28◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:19:41
「──ん。──さん」
呼ぶ声がする。好きなオレンジの香りが香って、暖かくて、優しい声。聴き慣れて、忘れられない、声。香り。
「……ううん?」
瞼はまだ開かなくても、声を頼りに顔を向ける。比例するように、声も、香りも、はっきりと感じてゆく。
ようやく、瞼が薄っすらと開けられるようになる。眩しい朝陽とともに、入り込んでくる、金色の丸い瞳。
「おはようございますです、ねぼすけさん。どうでした、抱き枕マーちゃんは?」
「だき……まく……?……ほあああっつ!??」
一気に視界と思考ががクリアになっていく。眼の前にマーチャンがいて、抱きまくら!?
「脚も絡めて……顔を胸に埋めて……きゃー……」
脚を絡めて……顔を胸に!? 暖かかったのも束の間。冷や汗で凍りつく。寝てる間に何があったんだ。何をしたんだ自分は。
「……誰を」
「誰を、映していましたか?」
混乱する自分をよそに、そんなことを聞かれる。けれどその言葉でようやく混乱が収まった。
「……しあわせさんな顔」
「夢の中で、何をして、どんなことをして」
ゆっくり、ゆっくり、歩くように、一言。
「……幸せでしたか?」
自分は思い出のことを、力といった。勿論これは自分なりの答えであって、正しいとは思わない。けれど違うとも思わない。けれど、一つ、浮かんでくるものがあった。思い出とは、
「君の」
「はい。マーちゃんの?」
夢見に映るその希望は、叶わずに消えていく理想。
けれど、
先に映るその希望は、叶うのを待っている、 - 29◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:20:06
「君の、未来を見ていた」
未来。
おわり - 30◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 21:21:22
- 31二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 21:41:36
ごちそうさま
- 32二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 22:00:18
大作!
え、ケーキ作ったの!? - 33◆4soIZ5hvhY23/03/05(日) 22:03:16
- 34二次元好きの匿名さん23/03/05(日) 22:04:58
ケーキは甘く、うまい
このssも、きっと、とてもうまい - 35二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 00:32:52
両名ともに幸せであれと願わずにいられない
素晴らしい作品でした…感謝 - 36二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 01:52:30
ご馳走様でした…
今日引けて今日育成して育成終わって日付変わって誕生日ボイス聴き逃した心にスーっと入るわね… - 37二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 05:44:55
マーチャン未所持だけど、マーチャンの独特の言い回しや地の文とかですごく惹かれた…すごく好きな雰囲気ですありがとう……
あとケーキ買ってるとこ見るに愛がすごくていいな…