え゛っっ! たきなの京都時代の友達?! part2

  • 1二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:34:13

    注意


    ・オリキャラが出るよ

    ・13話の後、日本帰国後もリコリスやってるよ

    ・割とひどい目に遭うよ


    え゛っっ! たきなの京都時代の友達?!|あにまん掲示板SSスレだよ~注意・オリキャラが出るよ・13話の後、日本帰国後もリコリスやってるよ・割とひどい目に遭うよbbs.animanch.com

    全スレまでのあらすじ

    ・たきなと千束が京都DAからの依頼を受ける

    ・その依頼は京都DAに宛の書類を別の人から受け取って、渡すこと

    ・しかしその書類入れには爆弾が入っていて二人は京都DAを爆破しようとした重罪人として

    取り調べを受けることになってしまう

    ・たきなの抵抗によって、たきな自身がこの捜査に加われば少しは慈悲を加えるというDAから譲歩を引き出す

    ・たきなは作戦の指揮官として隊を率いるが命令通りにできず、結果は失敗という扱いになる

    ・たきなの身柄は京都に移されることになってしまった

  • 2二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:36:40

    「千束は……どうしてるか分かりますか? はやせなら分かったりしますか」
    「ん、早く言っとくべきやった。千束はちょっと前までは地下牢に居たんやけど
    多分拷問とかは喰らってない。ただ手足を拘束されてただけで。それからなんかあってどこかに移動されてしもて、会えんくなった」
     
     思いのほかさらっとされる報告にたきなのあまりよく開かない目は今は、実に刮目という文字で表して十分だろう。
    「ほんとですか?!」
     がたっ! と老朽化したベンチから跳ね立つたきな。その視線の先はDAの建物。
     最後に会えたところより前には地下牢に居たこと。そこでは拷問を受けていないように見えたことでたきなは少し安堵する。

  • 3二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:37:50

    >>2

    「ごめん、たきなは会ったって聞いたからさ。そこで待遇を聞いてたと思ってそんなに驚くとは」

     わざと伝えんかったんと違うんや、と弁明する。

    「いいえ、千束が無事なら……いいんです」

     憑き物が落ちた、という表現が最も似合うだろう。

     たきなの肩には作戦の失敗や指揮官としての任や、それから京都への再転属などの

    様々なものがあるが、千束の安否が最も重く、それ以外の事柄なんか羽毛より軽いようなそんな雰囲気である。


    「ほんま千束千束って、お前は千束めっちゃ好きやんな」

    「相棒を気遣うのは当然です」

     キリッとした表情のたきな。しかし、それを揶揄うようなはやせ。

    「ホンマにそれだけか? 付き合っとるんとちがうん?」


    「そんな関係じゃありません。噂を信じてるようなら、はやせもまだまだですね」 

     何度もされた質問のようで、たきなは若干うんざりしたような、疲れたような

    そんな風な顔をしつつ、それでもなお、はやせには冷たい声では接しない。

     遠く離れた期間が長かったことによって、的外れな噂を信じてしまうのも少しは仕方がないと譲歩しているようだ。

  • 4二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:38:45

    >>3


    「じゃあ、まだあの頃の約束生きてるんやな?」

    「約束……?」

    「忘れた? 生きてリコリスの現役を終えられたら――」

    「あああ、あれですか。勿論覚えていますが、きっとそれは果たされないと思いますよ」

    「なんでや、破る気か?」

    「生きてられるか分かんないので」

    「……んなんお互い様やろ。それに、約束だと『生きてられたら』だからさ」


     お互い様、それは確かに変わらない。

     リコリス同士でこのような約束をする者は少なくはないが、叶えられた者は多くはない。

     ふと、会話が止まる。それをたきなは気にした。他の者にはしない配慮。

  • 5二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:40:13

    >>4

    「でも、はやせのやり方だったらきっと長生きできますよ。それに、ファースト昇進も近いんでしょ?」

    「耳が早いな……ウチが教えたこと、あんまり実践しとらんかった癖に」

    「それは昔のうちや、あンときは、直接突っ切るのが早いて思っとった」

     はぁ、とたきなは額に指をあてた。長く細い指をあてて首を左右に振る。

     過去の思い出したくない事柄が多分沢山、頭に過っているはずだ。


    「悪即撃がたきなのモットーやからな」

    「でも、今はそればっかやない。それじゃ千束を救えへん」

    「そか、じゃあウチは振られたってことでええんやな」

     振られた、という言葉の割にそこまでの悲壮感は見えない。


    「そもそも、うちらもそういう関係やなかったやろ」

  • 6二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:44:35

    >>5

     さらり、と述べたたきなに、はやせは戸惑う声を混ぜる。

    「え? マジ? ウチが14の誕生日にさ、『誕生日プレゼントはたきながいーなー。それでずっと一緒に居たい』って言ったら『何を言ってるのか分かりませんが、それであなたが満足するなら』って言ったやんか!」

    「は……? そんなこと言うと……らんわ」

    「あ゛?? 今ちょっと思い出したやろ!」

     細くて鋭い指をたきなに向けてビシッと立てる。


    「全然何も覚えてないです!」

    「たきなが嘘つく時は標準語になるんや、知っとったか?」

    「は? いいえ? もう東京が長いんで?」


    「たった一年ちょいやろが! あれか? 百年で老舗気取りの風に当てられたんか」

    「んなわけないやろ、ふつーに覚えとらんわ、二年以上前の話やんか」


    「ハァーー! 信じて送り出した彼女が東京で一番のリコリスに寝取られてしまった件……」

    「だから寝取られとかではないです!」

    「信じて送り出した彼女のところは否定せんのか」

    「それはまるっきり間違ってるからです。まあええわ……」

  • 7二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:47:40

    >>6

    「でもまあ、安心したわ。たきなも遂に心の贅肉を付けたってことやな」

     ふぅ、とたばこの煙を吐く真似をする。

     たきなと喋ることを心底楽しんでいる、そんな雰囲気がはやせからする。

    「……わたし太りました?」

    「ちゃうちゃう、こんなスレンダーさん捕まえて太ったなんて言うたら全リコリスにウチは殺されんで、ちゃう。感情豊かになったなあって。昔は、「はい」「いいえ」「対処します」「……」ぐらいしか語彙なかったやんか」


     懐かしむように、天を仰ぐ。

     その瞳には、脳裏には、あの頃のたきながいた。

     たきなのその澄んだ目の先に悪人が居たら、無条件に撃ち殺し、目標遂行のための会話ばかりを優先する、そんなたきなの姿を。

  • 8二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:49:27

    >>7

    「そんなでしたっけ? もっと色々喋ってた気はしますけど」

    「それは業務連絡。understand ?」

    「Einverstand」

     英語で訊ねたのに、他の外国語で返答してくる。

     身の回りを飛び回るはやせに辟易して、こうしていた。

     遠回しの反抗、お前とは話す必要はないという意味の。


    「この流れ懐かしいな、まあいいや。たきなが人間らしい感情を得られてお姉さん嬉しいわ~」

    「あなたの方が年下なのですけど?」

    「精神的にはウチの方がお姉さんやん? あとファーストになったら実姉やんな」

    「それは関係ないやろ」

    「井ノ上たきなはワシが育てた、って言って回るつもりや」

     ニシシと特徴的な笑いを投げる。

    「まったく……」

     はやせはここまででたきなの声が柔らかくなっていっていることを感じ取る。

     さっきベンチに座り始めていた頃と比べるとその差は大きい。

  • 9二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:50:40

    >>8

    「取り敢えず、千束を取り戻さな」

     取り敢えず、なんて言葉を最初につけているけれど、これが、これこそが本題であると

    たきなには見通されている。


     笑わせようとして、それから本題に入ろうとする彼女の癖をたきなはよくわかっていた。

    そして、多くの場合、話の枕の方が主題のようになってしまうことだって。

    「はやせ……」

    「千束が捕まってるのは絶対おかしい」

     先ほどのふざけたような声色から一転、任務に臨む際のはやせの声は、芯があって、口が少ししか動いていないのに遠くまで至る。

  • 10二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:51:46

    >>9

    「でも達成条件が分かりません。わたしもここに戻されちゃいましたし」

    「そもそもなんで千束が捕まっとるんかって話」

    「それは……わたしと一緒にいたから、一緒に疑われて……」

     犯人の一味という形式になっている。


    「せやな、たきなの嫌疑が晴れればええんやな?」

    「それはそうなんやけど……どうやったら」

    「真犯人を捕まえる、そうやろ?」

    「それはそうなんですけど」

    「なんや、たきなんところには凄腕のハッカーがいるらしいやんか? そいつに任せて調べられんの?」

     

     クルミのことをバラしてもよいのだろうか? 千束? とたきなのあたまにはモヤモヤとしたが、どうせフキにまでバレているのだから……と話をそのまま続ける。

  • 11二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 20:52:11

    とりあえず10まで埋めといたぜ……

  • 12二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 21:30:20

    久しぶりの投稿うれしいぜ!

  • 13二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 22:01:25

    はやせ、結構千束に似てる

  • 14二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 23:18:18

    続き来てうれしいありがとう

  • 15二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 07:56:53

    保守だぜ

  • 16二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 08:31:01

    続きを読めて嬉しい嬉しい!

  • 17二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 18:43:39

  • 18二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 22:54:33

    >>10

    「今まで有力な情報が来ていないので、難航しているみたいではあります」

    「んーそか……。そこが突破口やと思ったんやけどな」

    「でも幸い、今わたしのいる部隊が、どうやら銃の密輸の摘発に関わっているので……遠くはないんじゃないかとは思います。爆弾魔の名前を知っていましたし」

    「お、そりゃいいね! 最高だわ、協力する! 何すればいい?」


    「えと……千束の様子を見てきてほしいんですが……」

    「地下に居た時は食事の配膳とか、監視カメラを潜り抜けて会話できたんだけど、今は別房やからな、ちょっと入れへん」

    「むしろ地下の方が入れたってのは不思議ですけど」

    「まあそこはね、死んでもいい人しか入らんから」

     なるほど、とたきなは頷く。

  • 19二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 08:30:43

    たまにリコリスにうっかり殺されてもいいって設計か

  • 20二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 12:29:05

    >>19

    たきなみたいなのにうっかり肩外されてもいい感じだね。死んでも仕方ない

  • 21二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 22:08:23

    >>18

    「海保の件ってどうなったかしら?」

     優しい声で部下に訊ねる女。自分が束ねていた民間人が捕まってしまったという割には

    実に余裕のある表情と声。

     それは大きな器であることを示すのか、それとも本当にどうでもよいコマ扱いしている

    だけなのかは今は伺えない。

     ただ、尋ねられた部下からの返答が実に穏やかな現状報告であるので、

    普段からこのような鷹揚な態度であることがわかる。


    「はい。銃器を所持していたことから通常通り……」

    「ははぁ、バレちゃったのね? 間抜けめ」


     口汚い台詞さえも綺麗なトーンで覆い隠してしまう。

     女の方も「ああしまった」というように気づき、手のひらで口を覆う。

     口にする事柄が殆ど犯罪関連のものばかりなのにも関わらず気品があるように装うのは

    生まれか育ちか、それともただの装飾なのかは分からない。

  • 22二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 22:08:53

    >>21

     ただ、そのアンバランスさには部下の方もゾワりとするものがあるようで、

    促されて漸く彼らは笑うのである。


    「まあいいわ、銃をバラまくのは真島様の御意思ですものね」

    「はい、それには適っているかなと思います」

     『配布数』というグラフが部下の持っているタブレットに表示されている。少しずつながら

    平時の日本とは考えられない数の銃が市民の間に出回っていることが示されていて、

    上司である者の笑みの源泉である。


    「いいわ、計画通りジャンジャン撒いてね」

  • 23二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 08:12:31

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 12:49:19

    まだあいつが関与してる

  • 25二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 21:39:50

    >>22

    ――

    「ジャンジャン撒けと言われても、撒く方の身にもなってほしいんだよな」

     

     カジュアルな格好に身を包んだ青年がぼやく。

     先ほどの上司から仰せつかった者、とは別人で、彼もどこぞの組織の末端にいるだけの人間。

    しかしながら階層らしい階層はなく、並列的なネットワークの、そのまた先に位置した「節点」でしかない。

     その節点は、駅前のコインロッカーに、自分がリュックに入れていた紙袋を――なにか非常に重みのあるそれを仕舞って鍵を掛けずに立ち去る。それを繰り返すこと数回。

     それだけのことで、ちゃんと自分の口座には約束の金額が毎回入っている。


     あるアカウントが募集している高額バイトに応募したのは、夏の暑さの所為だった。

    ここ数日、部屋にエアコンはおろか、扇風機のもはや熱風となるそれすらなかった。

    彼は命の危険を感じた。ライフラインの中でも最初の方に止まる電気。

    そしてガスもこの分だと真近。そしたらついには水までも。

  • 26二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 21:40:18

    >>25

    この酷暑にも近い天気で水を奪われることは、すなわち死を意味する。


    何件ものバイトの面接にも、条件が合わないということで落ち続け、帰る実家もなく

    もう今月には貯金が底をつくだろう時、それに出会った。


    こっそりアパートの外のコンセントから失敬した電気で携帯を充電している最中、

    即金で家賃一年分が支払われると聞いて、心を奪われたとしてもこの青年を責めることはきっとできないだろう。

  • 27二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 21:41:04

    >>26

    「適当にこれらを撒いてきてくれ、中身は見ない方がいい。撒いたかどうかは私たちは分かるから」


     待ち合わせ場所には青年と同じような服装と年代の男が気さくに待っていた。

    その時点で、青年は「あ、こいつもコマか」とどこか達観した気持ちになる。

    自分と同じ立場で、十中八九犯罪か、まだ犯罪になっていないものに加担している奴。

     しかし、青年は逡巡せず、それを受け取った。

     青年から彼に渡すものは何もないから、仮に何か騙されたとしても、自分は何も失っていないとその青年は思ったのだ。


     携帯電話経由で指示が飛んでくるが、場所や時間の指定は緩く、だいたいの通りにやれば

    問題はなかった。全部指示通り撒いたところで

    「ご協力有難うございます。お振込完了いたしました」

    というメッセージが飛んできた。

     感謝すべきメッセージには違いないが、自分の行動をどこかで逐一監視している存在があると

    仄めかされているようで、暑いくせに背筋が凍った。

  • 28二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 21:41:37

    遅筆でごめんね

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