【閲覧注意SS】空になったコーヒーカップ(エアグルーヴ)

  • 123/03/06(月) 22:13:00

    空になったカップの淵から、一滴のコーヒーが落ちる。

    ゆっくりと、しかし確実に落ちている。

    何をする訳でも無く、ぼうっと、眺める。

    静寂の日々が輪廻する部屋にはぽつり、私ひとりだけ。

  • 223/03/06(月) 22:13:23

    目の前には、果てしない霧が立ち込めている。

    絶対に晴れる事のない、真っ白い霧。

    色の無くなった世界で、あの時の光景だけがリフレインし続けている。

    霧の中には、取り残された私。

    ──あの日飲んだのは、確かコーヒーだったか。

  • 323/03/06(月) 22:13:38

    ひとつ、杖があった。

    毎日を共に過ごした。

    どんな苦難も、共に乗り越えてきた。

    どんな喜びも、共に分かち合ってきた。

    いつしか、その杖は私にとって掛け替えのないものとなっていた。

    できる事なら、私の全てを捧げたかった。

    できる事なら、一生を添い遂げたかった。

    もう叶わない幻だ。

  • 423/03/06(月) 22:13:51

    轟く不協和音。

    スローモーションの景色。

    浮遊感。

    安堵した彼の顔。

    それが最後の色だった。

  • 523/03/06(月) 22:14:16

    溢れ落ちた一滴のコーヒーが、遂にテーブルに落ちる。

    この刻さえもまるで永遠のようだ。

    杖は、もういない。

    私はもう、どこにもいない。

    あの日飲んだコーヒーの苦味すら、もう思い出せない。

    彼の居ない空っぽの世界。

    永遠にひとりとなった世界でぼそり、呟く。

  • 623/03/06(月) 22:14:36

    「どうして私を置いていったんだ…たわけ」

    掠れた声が虚しく響く。

    カップの淵から、コーヒーがまた、一滴。

  • 7二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 22:17:35

    この絵柄に見覚えがある……

  • 8二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 22:39:57

    このレスは削除されています

  • 9二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 22:40:26
  • 10二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 22:41:05
  • 11二次元好きの匿名さん23/03/06(月) 22:43:37

    このレスは削除されています

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