【SS】ツインターボは難しい

1二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:00:13

ツインターボのことをどう例えれば良いのか悩むトレーナーと、ツインターボのSSです
トレーナーの性別に指定はないので、自由に想像して頂ければ嬉しいです

2二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:01:00

「ぜえ…ぜえ…あーっ！！今日のレースも楽しかったー！！」
後先考えない、全力疾走の大逃げ。
どんなレースでも、一戦一戦が一世一代の大勝負。
何着だろうとレースの後はターフにへたり込んで、笑って倒れ込む。

ツインターボは、どんなウマ娘なのか。
ある人は、元気をくれるウマ娘だと言う。
またある人は、レースに欠かせない盛り上げ役だと言う。
そしてまたある人は、諦めない心を走りで伝えてくれるウマ娘だと言う。
多分100人に質問したら、100通りの答えが出るだろう。
ウマ娘きっての超個性派。
それが、彼女なのだ。

3二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:01:45

「トレーナー！今日も楽しかったね！」
笑顔の彼女を見ていると、私も自然と笑顔になる。　
そんないつもの、レース後の帰り道。
「また走りたいな！今度は天皇賞(春)とか！」
それは流石に…と苦笑いして返しながらも、ふと頭の中に、3200mを走る彼女が思い浮かんでこれはこれで面白いかも…？と思ってしまう。
トレーナーとして担当の適性を見極められないのは失格なのだが、そのタブーを侵してもその走りを見てみたいと思わせる魅力が、彼女にはある。

「レースのあとはお休みだよね！今度一緒にゲームしよーね！またねー！！」
…そんな自分を恥じている間に、いつの間にかトレセンに帰ってきていた様だ。
彼女はレースの後とは思えないくらい、元気に走って寮に向かって行った。
…本当に、元気な子だ。

担当を見送って、私はトレーナー室に戻った。
そして、目の前の依頼に頭を悩ませる。
"貴方にとってツインターボは、どんなウマ娘なのか"
手を付けられていない、真っ白な回答用紙。
オールカマー、有マ記念。
昨今の彼女の活躍を受け、私自身もコメントを求められることが増えた。
しかし、中々にこれが難しい。
ずっと見てきたからこそ言える。
何せ彼女は、一言で言い表せる様な存在ではないのだから。
結局原稿に手を付けられないまま、その日は終わった。

4二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:02:28

翌日。
私はまた、トレーナー室に篭って原稿を前に悩んでいた。
「トレーナー、悩み事？」
ターボが心配そうな顔をしながら覗き込んでくる。
この子に心配されるのは、何処か罪悪感が漂ってしまう。その顔を見たくないと、反射的に慌てて大丈夫だよと返してしまった。

「…それなら良いけど。もし充電切れになりそうなら言ってね！一緒にゲームして、元気チャージしよ！」
そう、その笑顔。彼女は、それでいい。

5二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:03:07

「…手伝えること、あったら言ってね？ターボ、良い子にしてるから。トレーナーとターボは、ふたりで無敵、だから」
そう言った直後、まるで親に大人しくしてることを言いつけられた子どもの様に、彼女は備え付けのソファに座り、自分のPCの電源を付け、自分の世界に浸り始めた。
これが始まると、数時間は平気で没頭し、トレーニングどころか食事を摂ることすら忘れてしまうこともしばしばだ。

データならお任せ、と言う彼女の言葉を信じ、それなら対戦相手のデータを調べておいてね、と軽いつもりで言ったら、翌日の朝に疲労困憊になりながらレース場、対戦相手全員の過去の着順や、傾向を分析した資料を渡された時は目を丸くするどころではなかった。
彼女の爆走は、ただの玉砕狙いなどではない。本気で相手を分析し、本気で勝ちに行くやり方があれなのだ。
究極の感覚派で、理論派。
大好きな物にはとことんまでに打ち込む。
良い意味でオタク気質とも言えるだろうか。

作業している彼女を見ている場合じゃない。
自分の仕事を片付けなければ。
取り敢えず今感じたことを言葉にしてみよう。
…"ツインターボは元気でいて、オタク気質なウマ娘"？
どちらも紛れもない事実の筈なのに、いまいちしっくりこない。
それっぽい文句を思いついては書いては消し、書いては消し。
一旦ワープロソフトで下書きした方が良いのではないかと思うくらい、繰り返していた。

6二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:03:53

「トレーナー、全然作業進んでない！！」
どれくらい時間が経っただろうか。
私はターボの一言で、ハッと目が覚めた様な感覚に陥った。
「ターボも良く動画制作するからわかるけど！いくら悩んでも作れない時は作れないぞ！だから、切り替え大事！はい！甘い物！」
無理やり口に突っ込まれた。
勢いのまま、彼女は言葉を続ける。
「それに…トレーナーがこんなに悩むのはいっつも、おんなじこと！ターボのことはターボが一番分かってるんだからな！ターボに聞かないでどうすんだよ！」
でも…と言うと更に言葉を重ねてくる。
「トレーナーとターボは、ふたりで無敵！そうだろ、トレーナー！…ターボがすっごいことは、トレーナーが一番分かってる筈だぞ！」
サムズアップした右手を、自分の身体に向けて彼女は胸を張る。
「手伝えることがなくても手伝う！こんなトレーナー、ほっとけない！詳しい仕事の中身見せて！！」
まさにエンジンフルスロットル、こうなった彼女は絶対に止まらない。
観念して、依頼の内容を伝えることにした。

7二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:04:47

「……ってことは、ターボが頼りないんじゃなくて…ターボが凄いから、悩んでたの？」
私は頷き、どう書けば沢山あるターボの魅力が皆に伝わるのかが分からず、ずっと悩んでるのだと伝えた。
「そっか。そう言えばトレーナー、インタビューされること増えたもんね」
ターボのお陰でね、と言うと彼女は少し照れ臭そうに笑った。
「じゃあこれ、インタビューの練習だな！トレーナー、ターボのことどう思う！？一緒に考えよ！」
練習じゃなくてどころか本番なんだけど…と思いながらも、私は彼女に向き合って言葉を紡いでみた。
一人で悩むよりも、言葉が出てくる気がした。
そして、これからその機会が増えることを期待せずには居られなかった。

"夢を乗せて走ってくれるウマ娘、ツインターボ"
結局、これだ！と言う言い回しは思いつかなかった。
だけど、ツインターボの走りを見る度私は、新鮮な感動を抱くのだろう。
そしてその度に、彼女に夢中になっていくのだろう。
それだけは、絶対に揺るがない。
そう、確信出来た。

─ツインターボは難しい　終わり─

8二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:05:19

辻SSとか書いてみて、ツインターボのエミュってクソ難しくね？と思ったのが書くキッカケでした
ご覧頂き、ありがとうございました

9二次元好きの匿名さん23/03/07(火) 01:09:40

普段からSSや育成レポなど書いています

良ければご覧頂けると嬉しいです（カップリング的な内容もあります）

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