- 1二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 20:21:37
北風が弱まり、穏やかな暖かい風が吹いて、徐々に咲く花が咲き乱れ始める春の初め頃。
「トレーナーさん、今、ウグイスが鳴きませんでしたか」
「アルダン、鳴いた?聞こえなかったけど」
「鳴きましたよ。ほら、トレーナーさん耳を傾けて、集中して聞きましょう」
私は午前中のトレーニングを終えた後、トレーナーさんと共にトレーナー室に向かう途中に、春を告げる特徴的な鳴き声が耳に入ってきた。
ウマ娘の耳の構造ゆえか、トレーナーさんよりも早めに音を拾ったゆえか、彼はウグイスの鳴き声を聞き取れなかったみたいだ。そのため、今度は二人して目を閉じ、耳を澄ます。
ホーホケキョ、ホーホケキョ。
日本人なら誰もが耳にする鳴き声が、先程より近い所で鳴いているのが聞こえた。
「あぁ、本当だ。ウグイスの声がするね」
「少し鳴く時期が早い気がしますが、春を感じさせてくれますね」
「そうだな。朝のニュースで桜の開花や花粉情報も出てくるようになってきたな」
「はい、チヨオーさんもまだか、まだかと桜の開花ニュースを喰いゆるように見る姿はとても可愛らしいです」
「ははっ、あの子らしい」
私達はウグイスの鳴き声から、しばらく春についておしゃべりをしながら、トレーナー室に向かって歩きました。
その会話をしている時に、頭に素敵な考えが閃いたのです。ただ、これは他の人の目がある所でやるのは恥ずかしいので、トレーナー室に入ってからやりましょうか。 - 2二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 20:22:21
そして、トレーナー室に着くと、先程閃いたことを実行します
「トレーナーさん、ウグイス以外にも春の鳥はいます。例えば……と鳴く鳥とか知ってますか?」
私はある鳥のさえずり、チュルチュル、ピーピーと甲高い鳴き真似を少し恥ずかしながら、彼に披露しました。
トレーナーさんは思い浮かばないのか、私に何度かさえずりを要求しましたが、
「う~ん、鳴き声は聞いたことあるような…分からん」
と首を傾げていました。
私も分からないのは仕方がないと思いながら、質問を出したので、この反応は予想通りです。なので、
「ふふっ、分かりませんか?では、お暇がある時に実際に聞きに行ってみませんか」
「……君が楽しめるなら、付き合うよ」
「ありがとうございます。では、いつにしましょうか?」
こうして、答え合わせもかねて、二人でお出かけする約束をしました。 - 3二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 20:22:55
「トレーナーさん、お待たせしました。待ちましたか」
「いいや、今、来たところ。行こうか」
約束の日、まるで恋愛ドラマのようなやり取りをして、私はトレーナーさんと一緒にある鳥が見られる梅の花で有名な公園に歩き始めました。
行く道中、黄色や白色の羽の蝶々が飛んでいたり、つくしが生えていたりと、生命がみなぎってる様子が目に映ります。
春爛漫ですね。そんな事を思っていると、目的地に着きました。公園内に咲いている桃色や紅白の梅の花は、花弁が丸く円のように可愛らしい咲いております。
二人で歩きながら、梅を楽しんでいると、あの愛くるしい鳥のさえずりが聞こえてきました。
「アルダン、やっぱり聞いたことある」
「はい。ふふっ、トレーナーさん、実は、あそこにいます」 - 4二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 20:30:14
そうして、わたしが指差した所に、目の周りが白く、緑色に包まれた、鳥のメジロが桃色の花の蜜を吸っておりました。
メジロの姿を見たトレーナーさんは感嘆の声をあげております。
「あぁ〜、メジロだったのか。姿も可愛らしくて、さえずりも可愛らしいのかメジロ。」
「えぇ、メジロは花の蜜など甘いものを主食としてますから、この時期は花と一緒に映る姿が可愛らしいです。だから、トレーナーさんには知って欲しかったのです」
二人して、メジロを見ていると、もう一羽メジロが飛んできて、一緒に花の蜜を吸い始めた。
「メジロも綺麗な花々と蜜、春を感じられて幸せだろうね」
「そうですね、メジロも二羽で春を感じて幸せでしょう」
仲慎ましいメジロを眺めていると、自然と彼の手を握ってしまいました。彼は握られたことに驚いてましたが、私の手をそっと優しく握り返してくれました。
トレーナーさん、知ってますか、メジロは同じ相手を一生を添い遂げるみたいです。 - 5二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 20:34:12
春を楽しむ様子書きたいと思いながら、書いてみました。
- 6二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 20:40:42
読ませていただきました
言葉の美しさを感じられる素敵な文章でした