- 1二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:27:28
- 2二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:31:27
ふたりぼっち東京
- 3二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:33:17
そう言って虹夏ちゃんは私の前を進んでいく。ネオンの光が眩しくて気を抜けば虹夏ちゃんを見失いそうになる。
私は置いていかれないように必死でカノジョの後ろをついていく。
ふと気づいた。
私達の周りには人がいない。人気が少なくても普段は大通りには必ず一人二人と人がいるはずなのに。
おかしいと思いながら、それでも私は虹夏ちゃんに置いていかれないように必死にカノジョの背中を追っていく。どれだけ進んだのかわからない。どれだけ走ったのかわからない。どれだけいそいでも私はなぜか歩いてる虹夏ちゃんに追いつくことができなかった。 - 4二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:39:51
「あ、あの…こ、ここってどこですか……?」
意を決して問いかける。虹夏ちゃんは「うん?」と軽く小首を傾げながら人差し指を唇の前に持っていき微笑んだ。
「ないしょ♡」
「え? あ、はい……?」
「それよりぼっちちゃんお腹すかない?」
「あ、はい」
反射的に答えてしまったけど、意識をするとお腹からグーと間抜けな音がなった。恥ずかしくてほほが段々と熱くなる。
「あ、あ、あ、ああのこれは違くて……っ」
「ハハハ! 別に恥ずかしがることないよ。私もお腹ペコペコ。どこかで食べてこうか!」 - 5二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:41:22
一体何が始まるんです!?
- 6二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:46:23
このレスは削除されています
- 7二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:49:47
虹夏ちゃんに誘われて入ったのは下北沢によくあるラーメン屋さんだった。
注文するのに特別なルールのない普通のラーメン屋さん。でも、おかしい。
「あ、あの、ここって……」
「ここのラーメン屋さんお姉ちゃんの行きつけなんだ!さ、ぼっちちゃんこっちこっち!」
虹夏ちゃんは迷いのない足取りでカウンター席に座っり、私を手招きする。
恐る恐るそっちに向かうと虹夏ちゃんは私の前に水の入ったコップを置いてくれた。
「私のオススメは味噌バターだけど醤油も美味しいよ。、ぼっちちゃんはどれにーー」
「あの!」
普通に話す虹夏ちゃんの言葉を遮るように私は大声を出した。
お店の中で大声を出すなんて普通ならヒンシュク者だ。頑固親父的な店主さんに睨まれて哀れな弱々陰キャはしおれたもやしのようになってしまう。
でも、今はそんな心配する必要がなかった。
「……なんで誰もいないんですか? お店の人もお客さんも……なんで私達以外誰もいないんですか?」 - 8二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:55:43
ホ、ホラーだ…
- 9二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:56:03
カウンターの奥の大きな鍋は火にかけられ湯気が登っている。他の席には誰かがついさっきまでいたように食べかけのラーメンと飲みかけの水が置いてある。
それなのに、お店の中には誰もいなかった。
店主さんもお客さんも誰もいない。お店の外にも誰もいないの。人がいない。私達以外の人が誰もいなかった。
天井近くに置いてあるテレビから不気味な機械音声が流れている。
怖い。
よくわからないけど凄く怖かった。この状況もだし、何より、こんな訳のわからない状況なのいいつもと変わらない虹夏ちゃんが怖かった - 10二次元好きの匿名さん23/03/08(水) 23:58:24
これは感動巨編の予感
- 11二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 00:00:45
数レスでもうルートがいくつもあるカオス
- 12二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 00:04:02
「ぼっちちゃん」
「っ」
いつもと変わらない虹夏ちゃんの声。それなのに私は俯いてカノジョの顔を見ることができない。
怖い。怖い。怖い。怖い。怖い。
ふいにさっきまで羞恥で熱くなっていて、今は逆に冷たくなっている頬にカノジョの手が添えられる。
ビクリと肩がゆれる。
恐る恐る、意を決して、それでも躊躇して、私は顔を上げカノジョの顔を見た。
「そんなことよりいっしょにバンドしようよ!」
「えーーーー」
世界に罅が入った。私の意識はそこでなくなった。 - 13二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 00:07:57
「あの……喜多さん?どこに連れて行くんですか?」
「大丈夫!人が来ないところだから後藤さんもきっと気に入るわ!」 - 14二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 00:13:19
このレスは削除されています
- 15二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 00:29:15
ここは私達の学校だ。喜多さんはルンルンキターンと輝くような笑顔で廊下をどんどん進んでいく。
……ただそれだけなのに私は強い違和感を覚えた。
あれ? なんだろうこの違和感?
「後藤さん!」
「わひゃあああ!?ななななななんですか」
突然喜多さんに呼ばれて、それまで考えていたことが霧散する。
カノジョはいつもと変わらないキターンとした笑顔ではにかむ。
「もう!私の話聞いてるの?」
プンプンと頬をふくらませる喜多さん。可愛い。でも話なんて聞いてなかった。ごめんなさい。
「すいません考えごとしていて聞いてませんでした。すいませんお詫びに切腹します」
そう言って私はギターケースからギターを取り出し鋭い弦でお腹を切ろうと準備する。
「もう馬鹿なことしてないで早く行きましょう!私にギター教えてくれる約束でしょ!」
「あ、はい」
そうだった。私はこれから喜多さんにギターを教える約束をしてるんだった。 - 16二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 00:44:58
「……」
窓の外から夕日が差し込んでる。いつの間にか放課後になってたんだ。校庭から部活をしてる人たちの声が聞こえてくる。なんか青春ぽくていいなぁ〜……。
「はっ、いいや私も別に負けてないし。部活……じゃないけど友達?と一緒に頑張ってるし、羨ましくなんて…………くぅ」
「そんな消臭剤が途中で切れたみたいな顔してどうしたの?」
「なんでもないです。ちょっと青春コンプレックスが刺激されただけで」
「青春コンプレックスてなに???」
そんなやり取りをしてる最中に階段に到着した。ここを下ればいつもの階段下の謎スペースに行ける。でも、なぜか喜多さんは階段を上に登り始めた。
「え?喜多さんどこにいくんですか?そっちじゃないですよ」
「いいえ後藤さん。今日はこっちにいきましょう」
「え?あ、はい」
よくわからなかったけど、私はとりあえずカノジョの後ろをついていく。
階段を何階ぶん登るとそこは屋上に続く扉の前だった。 - 17二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 01:35:52
「さ、ついたわよー!」
「あの喜多さん。屋上は鍵がかかっているかと……」
ここは前に来たことがある。まだ私が謎スペースを見つける前、屋上でギターを引くのってなんかかっこいいと思いついて試そうとしたことがある。
結果は鍵がかかってて入れなかった。
だから無駄だって知っているからカノジョを止めようとした。ガチャリと音がなる。
「えええ?」
「行きましょう後藤さん♪」
なぜか鍵か開いた。カノジョはそのまま夕日の中に進んでいく。はっとしながら喜多さんの後に続いた。
「う」
屋上に出ると強い風が吹いていた。薄めを開けると喜多さんはフェンスのところにいた。
私は風に気おつけながらカノジョに近づく。
「あ、スカート…」
別に自分のスカートはどうでもいい。お見苦しい無価値なものを晒すのは気が引けるけど、それだけだ。それよりも喜多さんのスカートが風にたなびきめけれそうだ。
それだけならまぁ問題はなかったのかもしれない。ここにいるのは私と喜多さんだけだし。ただ問題なのは喜多さんのいる場所だ。
フェンスの近くにいるカノジョは、もしかすると下から丸見えかもしれない。校庭にはまだ部活をしてる人たちがいるのだ。
喜多さんみたいなクラスの人気者がパンツ丸見えなんてしたら明日の朝刊にのるくらいの大騒ぎになるはず。
だ、だめだ。明日の朝刊が!喜多さんを守らないと! - 18二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 10:13:37
何だこれ……?
- 19二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 11:45:29
「き、喜多さん!」
「ーーーー?」
私の声は風に遮られて喜多さんに届いていないらしい。仕方なく私はフェンスに向かい一歩一歩と歩み寄る。
「そこは危ないのでこっちに来てください。こんなに風が強いんじゃ練習もできません。中に戻りましょう!」
「そんなことより見て見て!夕日が綺麗だと思わない!」
そう言って喜多さんはスマホを取り出し夕日をバックに写真を取り始める。キターンとした笑顔が眩しい。けど、そうじゃない!
今も喜多さんのスカートは危ない感じにはためいている。私が喜多さんを守らないと。
せめて、もう少しフェンスから離れてもらうか……でも楽しそうだし邪魔するのも……あ、そうだ!私が喜多さんの後ろに周ってガードすればいいんだ!
肉壁になるんだ! - 20二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 13:52:52
にじり寄るように喜多さんに近づく。邪魔しないようにきおつけなきゃ。
「っ」
喜多さんの後ろに到着した。校庭では変わらず部活の声が聞こえてくる。ふと、私は青春に青春してる人たちのことが気になって振り向いた。
「……え?」
校庭には部活をしている人たちの影があった。……影だけしかなかった。
「な、なにこれ……?」
人がいないのに人影だけが勝手に動き回っている。影たちからは楽しそうな声が発せられていた。
気持ちが悪い。
「ねぇひとりちゃん」
「き、喜多さん?今ひとりちゃんて……っ」
喜多さんの声に振り向くとそこには喜多さんだったはずの何かがいた。
真っ黒で、どこか淡い、影のような何かがいた。影はニタリと微笑んだ。
「私、ひとりちゃんを支えていけるようになるね」
世界がひび割れた。私の意識はそこでとだえた。 - 21二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 13:54:39
「あの……リョウさん?どこに連れてくんてすか?」
「大丈夫……人が来ないところだからぼっちも気にいるよ」 - 22二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 19:29:04
そこはオシャレな喫茶店だった。こんなリア充御用達ポリピホームみたいな場所に万年ピンクジャージが訪れる機会なんてあるわけがない。
……どうやって入ればいいのとろうか?
そもそも私なんかが入っていいのだろうか? 陰キャお断り条例に違反しちゃうかもしれない。そんな条例聞いたこともないけども!
「あああのリョウさん。本当にここですか? もしかしてお店間違えてるんじゃ……」
「ついてきてぼっち。それと居酒屋みたいな掛け声は必要ないからね」
「え?あ、はい……すいません」
よくわからないけど謝ってしまった - 23二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 23:19:10
あにまんでガチめのホラーssが読めるとは思わなんだ…
- 24二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 23:21:06
闇深
- 25二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 23:21:38
これはリョウスレの予感
- 26二次元好きの匿名さん23/03/09(木) 23:22:17
- 27二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 00:32:48
「……っ」
お店の中は、オシャレな感じでどうしても自分が場違いに思えてしまう。けど、それよりも気になるのは、お店の中に誰もいないのことだった。
「あ、あの……なんで誰もいないんですか……?」
「それはきっと必要がないからだと思うよ」
「必要が……ない……」
「とにかく座ろうか。話はそれからでもできるし」
リョウさんはそういって窓側のカウンター席に向かっていく。
私も周りの様子をチラチラ見ながらリョウさんの後についていった。
カウンター席には、出来たてほやほやのカレーとナポリタンが置いてあった。
「私がカレーでいい?」
「あ、はい。え、それ食べるんですか!?」
「うん。だって作りたては冷める前に食べないともったいない」
「えぇー……」
こんな状況だけどリョウさんはいつものリョウさんだった。 - 28二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 10:14:06
保守
- 29二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 14:43:49
「パクパク……もぐもぐ……」
「……」
リョウさんは凄く美味しそうにカレーを食べ始めた。そんな姿を見るとこっちまでお腹が空いてしまう。
あれ……? そういえば私いつからご飯食べてないんだっけ……?
「……ゴクリ」
焼けたケチャップのいい匂いが私の鼻孔をくすぐる。これ食べていいのかな? お店の人いないけど。
い、いいよね。リョウさんも食べてるし……それにお金だって持ってるしいざとなれば全力で土下座すれば警察のご厄介にはならないはず! ……たぶん。
ナプキンの上に置いてあるフォークを手に取る。くるくるとナポリタンを巻きつけて、そのまま口にーー
「ぼっちがいいならいいけど、それ食べないほうがいいよ」
「うひゃああああ!?」 - 30二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 14:53:45
突然声をかけられて私は席から飛び退くくらい驚いた。
「ななななんですゅか!?」
「落ち着いて。お水でものむ?」
「あ、ありがとうございます」
リョウさんが水の入ったコップを手渡してくれた。優しい。私は気を落ち着けるためにもそれを口にーー
「あ、水ものんじゃだめのんだった」
「うええええ!?」
リョウさんは片目を閉じて舌を出しながらコツンと自分の頭を叩いて「テヘペロ」と謝った。いや、これ謝ってるのかな?
「いったいなんなんですか!?」
「メンゴメンゴ。プ……それにしてもやっぱりぼっちは面白い」
「揶揄ってるんですか……?」
酷いでもいつものリョウさんだ… - 31二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 20:03:58
こわい。
- 32二次元好きの匿名さん23/03/10(金) 23:17:11
捕手
続きが気になる - 33二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:20:45
「冗談はこのくらいにしてちょっと真面目な話をしようかぼっち」
そう言うとリョウさんは私のナポリタンを食べ始めました。
「あ」
「ズルズル……うん。美味しい」
「……」
「それで、ぼっちはもうこの世界がおかしいて気づいてるよね?」
「え……?」
世界がひび割れた。私の意識はーー
「あ、まだ食べてる途中だからちょっと待って」
「あ、はい。ごめんなさい……」
私の意識は途絶えなかった。
「……て、えええええ!? ななななんですかこれ!?」
世界がひび割れている。私もリョウさんにも周りの景色も全部にひびが入っていた。
い、意味がわからない。なんなのこれ?
私は縋るような視線をリョウさんに向けた。
本当は今すぐにでも足元に縋りつきたい。でも私の体は動けないでいた。だって、こんな意味のわからない状況で、いつも通り過ぎるリョウさんはあきらかに普通じゃない。 - 34二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:26:07
飲食禁止ってことは黄泉竈食ひとかか
- 35二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:28:44
ヨモツヘグイだよなあ…
- 36二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:29:46
なんだこれは…
- 37二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:30:07
よもつへぐいってなんだと思って調べたらそういうことか
- 38二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:34:11
「……」
ジリっと一歩後ずさった。怖い。なんだか知らないけどリョウさんが怖く感じた。でも、それ以上に感じるのは……安心感だった。
そうだ。私は覚えている。誰もいない夜の街でわらう虹夏ちゃんの事も、影しかいない学校で出会った陰の喜多さんのことも覚えてる。
だからわかる。このリョウさんはいつもの……本物のリョウさんだって!!
「ぼっちは黄泉平坂て知ってる?」
「よもつ……?」
ナポリタンを食べ終わったリョウさんは口元を拭きながらそう切り出した。
でも、私はその『よもつひらさか』ていうのを知らなかった。ごめんなさい……陰キャのくせに学のないぼっちで……。
「んー……じゃあ映画の千と千尋の神隠しは?」
「あ、それなら知ってます!」
ジブリとか有名な作品の歌はGuitar Heroでやった事がある。曲の雰囲気を知るためにも映画もみた。
……転校する時に花束とか寄せ書きを貰える主人公が羨ましくて、もし私が転校したら同じようにしてもらえるのかな〜と、一瞬思ったけど、私の場合誰にも認知されてない可能性の方が高いから、そのへんに生えてるたんぽぽの花束と白紙の寄せ書きを手に持つ想像をして、想像の中でも現実でも泣いた記憶がある。 - 39二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 00:46:36
「あの映画でお父さんとお母さんがお店のもの勝手に食べ豚にされるシーンてあったじゃん。今の私達の状況ってそれに近いんだよ」
「え?え? ……そ、それってつまりリョウさんが豚に!?」
「あー……そう解釈しちゃうか……ごめん今のは私の説明不足。豚にはならないから大丈夫」
ほっと安堵のため息が漏れた。
よ、よかったー……。もし目の前でリョウさんが豚に変わったらそれこそホラーだ。
……あれ?
「ああああの……それじゃあリョウさんも食べちゃだめなんじゃ……?」
「うん。本当はね。でも、もう手遅れだから」
「手遅れ……」
「まず、私が初めてここに来た時の事を話すね。といっても気づいたら学校の帰り道にいたから詳しはわからないけど」
「は、はぁ?」
「それで……家までの帰り道でちょっと小腹が空いたからその辺の草を食べたの」
い、いつものリョウさん……なのかな?
「そしたらびっくり……それまではなんともなかったのにいきなり頭の中に、ここの物は何だろうと食べちゃ駄目なんだって知識が生えてきた」
「生えてきた……」
「そう。生えてきた。知ってたわけでも忘れてたわけでもない。初めて知ったこと。だから生えてきた」 - 40二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:04:28
こわいこわい
- 41二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:13:44
続きが気になる
- 42二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:16:25
「まったく……ゲームオーバーしたあとにルール説明とかクソ運営だよね」
「……」
そもそも道端の草を食べてアウトになるなんて誰も予想しないのでは? とも思ったけど、それを口に出す勇気はなかった。
「それで……つまりここはどこで、どうすれば私達は元の世界に戻れるんてしょうか……?」
「さぁ?」
「さぁって……」
「私が知ってるのは飲食禁止ていうのと、この世界だとどんなにお腹が空いても死んだり倒れたりしないってことだけ……それ以上の知識はないよ」
「そんな……」
私の気分は一気に急降下した。ただでさえ高くない高度だったから今はもう地面すれすれだ。
「そう落ち込まないで。まだ手はある」
「え!?」
ガクリと肩を落とす私にリョウさんはいつも通りの表情とサムズアップで答えてくれた。
「これはまだ仮設だけど……この世界は現実じゃない。夢……みたいなものだと思う」
「夢ですか?」
「そう。……後藤ひとり(27歳)職業OLはパワハラセクハラサービス残業……そんな日々のストレスに心をやんで満員電車に乗りながらうたた寝をしていた。そこで見た夢は高校時代にバンドを組む夢だった……本当はそんな出来事起きてないのに。全部はぼっちの妄想……かわいそうに」
「うぎゃあああああああああああああ!? やめてやめてやめて聞きたくない!!」
「もちろん冗談だよ」
「世の中には言っていい冗談と言っちゃ駄目な冗談があるんてす!!!!」
なんて恐ろしい冗談を言うんだ。冗談じゃない!
「話を戻すね。ここが夢の中なら誰かが見てる夢なんだと思う。それが誰かはわからない。でも、私とぼっちがいるってことは私達の知ってる人……なんだと思う」 - 43二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:19:24
喜多か虹夏、どっちだ!?
- 44二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:19:46
- 45二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:25:15
もう伏線とか貼られてるのかな?
- 46二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:28:31
虹夏と喜多ちゃんで異変の仕方が違うのはそういうことか
- 47二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:33:33
「あ、あの! 私リョウさんに合う前に虹夏ちゃんと喜多さんに会いました! ……その、二人とも様子が変でしたけど……」
「……そう。私もぼっちに合う前に知り合いに何人か会ったよ。店長とか廣井さんとか結束バンドの皆にもね……」
リョウさんの声のトーンが1段低くなった。俯き暗くなる表情を見て私は察した。きっとリョウさんも私と同じような奇妙で怖い体験をしたんだろう。
「だからいつも通りのぼっちに会えてよかった」
「リョウさん……わ、私もリョウさんに会えて心強いです!!」
私がそう言うとリョウさんは笑顔になった。
「うん……ぼっち。これは夢で夢を見てる誰かが起きるまで私達はここから出られない。だから、これが誰の夢か調べよう。それと、もし本物の虹夏や郁代に会えたら私がした話をしてほしい。もし二人が手遅れでも私と別の情報があるかもしれない」
「は、はい! あ、でもリョウさん手遅れならもう戻れないのては……あわわわ!? どどうすれば!!」
「ん……そこら辺は大丈夫。誰か一人でもこの夢から脱出すれば他の人も芋づる式に助かる。だからぼっちが頼り。よろしくねぼっち」 - 48二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:34:02
な、なんだと……こわっ
- 49二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 01:55:09
誰の夢か分かった気がする
- 50二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 02:42:53
あの後、私達のいた世界は崩れてしまった。リョウさん曰くこの世界は一定時間がすぎると勝手に消えてなくなって新しい世界に移動するらしい。
「……」
新しい世界で私は項垂れていた。原因はリョウさんと最後にした約束だ。
人に頼られるというのは気持ちがいい。私の中の承認欲求モンスターもニッコリ。だからつい、調子乗ってしまった……。
『うへへへ……ま、任せてください。この謎、名探偵ひとりが見事まるっとじっちゃんの名にかけて解決してみせますよぉ!』
「ああああ、あんなこと言うんじゃなかったぁぁー!!」
しかも次合うときまでに犯人を推理する的な見えまで貼ってしまった。
何してるんだわたし!
「くぅ……こ、こうなったらどうにかして夢の人を見つけないと……でも、店長さんとかだったらどうしよう……? 私が返り討ちにあう未来しか想像できない……」
絶望だ。もう駄目だ、でもリョウさんとの約束もあるし……て、店長さんはとりあえず候補から外しておこう。もしここで合っても全力で逃げよう。
「やっぱり、最初は虹夏ちゃんに確かめたい……!」
どうやればまた虹夏ちゃんに会えるのかはわからないけど、とにかく第一目標は決まった。
「あ、ひびが……」
そうこうしてる間に世界がひび割れた。
「ちょっと!?私の出番これで終わり!?」
どこからかお姉さんの声が聞こえた気がした。それを確かめる前に私の意識は途絶えた。 - 51二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 02:44:09
次回からまたホラーに戻ります。保守してくれた方ありがとうございます。プロットが完成したので残ってたら完走目指します。
- 52二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 03:01:59
がんばってね
- 53二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 05:07:14
そんな…美味いラーメン屋の屋台なんてものは存在しないのか…
- 54二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 05:09:12
- 55二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 10:31:05
ほ
- 56二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 14:14:28
続きが気になる
- 57二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 15:33:18
「ぼっちちゃん!」
「ぼっちちゃん!」
「ぼっちちゃん!」
「……」
気がつくと、どこかわからない外にいた。見覚えのない景色……。
「おはよう今日はバイト初日だね!」
「おはよう今日はバイト初日だね!」
「おはよう今日はバイト初日だね!」
「ふ、ふぇぇ……」
私はもう泣きそうだった。というか泣いてる。
今までの世界はどこか怖くて、不気味だったけど、私の知る場所で心のどこかで安心もしていた。
けど、ここは違う……。
たぶん、ここは草原とか花畑みたいな場所なんだと思う……。
自信がないのは、もう、なんか、全部が駄目だったからだ。
……咲いてる花の一つ一つが虹夏ちゃんの顔になってる。それだけじゃない。太陽も雲も全部が虹夏ちゃんの顔だ。
「ぼっちちゃんはかわいいんだよ!」
「ぼっちちゃんはかわいいんだよ!」
「ぼっちちゃんはかわいいんだよ!」
「うぅ……嬉しいけど……嬉しくないよぉ……っ」
音に反応して動くおもちゃみたいな感じに虹夏ちゃんの顔はくねくね動いている。笑顔なのが怖い! - 58二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 16:56:31
虹夏ワールドだよ!
- 59二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 17:23:32
「確かに虹夏ちゃんに会いたいとは思ったけど……っ」
こんな再開は望んでない!
「うぅ……リョ、リョウさんとの約束もあるし……頑張れわたし!」
私は道端に咲いてる虹夏ちゃんの前に膝をついて、視線を合わせるために伏せの姿勢になる。
「あの虹夏ちゃん……で、あってますか?」
「そうだよぼっちちゃん!」
「そうだよぼっちちゃん!」
「そうだよぼっちちゃん!」
「え、エコーが……」
虹夏ちゃんは私の質問に答えてくれた。よかった。意思疎通できて……でも、全部の虹夏ちゃんが一斉に喋りだすから、壊れたラジオみたいになってる。
ええい負けるなわたし!
「質問があるんですけどいいでしょうか?」
「もっちろーん! でもぼっちちゃんお腹空いてない?」
「え? あ、はい」
お腹は空いてる。気を抜くと今すぐにでもぐ〜と音が鳴りそうなくらいに。でも、リョウさんの話では物を食べたりしちゃ駄目なんだっけ……はっ! じゃあ今の質問答えちゃ駄目じゃん!?
「あああの今のは違くて!」
「じゃあ私を食べて!」
「えぇ……」
そう言うと木に実ってる虹夏ちゃんは「私だよ!」「食べて食べて!」と言ってきます。
ごめんなさい。私にはカニバリズムの趣味はありません……。
ん? あれ? こんなところに木なんてあったっけ?
そんの疑問を覚えたとき、私は気づきました。さっきまで道の途中にいたはずの私はなぜか虹夏ちゃんの花畑の中心にいました。
そこに道なんてなく周りを見回しても虹夏ちゃんしかいません。 - 60二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 17:40:41
「あああれ?なんで?」
私の周りは虹夏ちゃんで覆われている。虹夏ちゃんは少しづつ近づいてきている。近づいてきてる!?
ていうか包囲されてる!?
「に、逃げないと……!」
周りを囲んでる虹夏ちゃんから、少し遠くにもと来た道が見つかる。あそこまで行けば逃げられる。
そう思った矢先、もと来た道から何かが近づいてきてるのに気づく。
「な、なにあれ」
それは無数の虹夏ちゃんだった。虹夏ちゃんの首だけがぴょんぴょんと跳ねながらこっちに近づいてきてる。
「ぼっちちゃん!」
「ぼっちちゃん!」
「ぼっちちゃん!」
「あわあわあわ……なんかわからないけどヤバイ!」
周りの虹夏ちゃんも不気味だけど、あの虹夏ちゃんは本気でヤバイと、もし、あの虹夏ちゃんに捕まると全てが終わってしまう。そんな気がした。
「早く逃げないとっ」
でも、周りは虹夏ちゃんに完全に囲まれて足のふみ場もない。
「すすすすすいません!とおしてください!」
「……」
「……」
「……」
「え?」
咄嗟に大声を出すとそれまで微笑んでいた虹夏ちゃんたちが一斉に黙った。
表情は暗く今にも泣き出しそうだ。なんだか凄く罪悪感がっ。
ぼとりっ。
すると、背後から何かが落ちるような音がした。 - 61二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 17:56:17
「え……嘘……」
振り向くと一人の虹夏ちゃんが地面に転がっていた。木の上から落ちたのだろう。
その衝撃で虹夏ちゃんの頭が割れ真っ赤な何かが吹き出した。
「あああああ!?虹夏ちゃん!」
私は慌てて落ちたのカノジョに駆け寄った。
「……ぼっち……ちゃん……」
「そんな!どうして!と、とにかく応急処置をっ!」
慌てる私を他所に赤い何かはどんどん流れ続けている。そして、また、ぼとりと何かが落ちる音がした。
「あ……あ、あ……ああ!?」
振り向くとぼとりとぼとりと虹夏ちゃん達がどんどん地面に落ちていく。
道端に咲いた虹夏ちゃんも木に実った虹夏ちゃんも空に飛んてる虹夏ちゃんもみんなみんな地面に落ちていく。そして、地面に落ちると赤い液体を周りに撒き散らした。
「あああああ!?待って、ちがっ、私そんなつもりじゃッ!!」
私の声は虚しく空を切り、カノジョたちの落下は止められない。
地面に落ちた虹夏ちゃんは、ぐちゃぐちゃに割れ、赤い液体を撒き散らしながら、それでも変わらない笑顔で微笑んでいた。
「ぼっ、ぢ、ぢゃ、ん! ぼっ、ぢ、ぢゃ、ん!」
「ぼっ、ぢ、ぢゃ、ん! ぼっ、ぢ、ぢゃ、ん!」
「ぼっ、ぢ、ぢゃ、ん! ぼっ、ぢ、ぢゃ、ん!」
声もひび割れた虹夏ちゃんは、それでも私の名前を呼び続けた。 - 62二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 18:05:28
青空が広がっていた花園は、いつのまにか赤黒く染まる。
虹夏ちゃんの顔が落ちた残りの花は、花弁の1枚1枚が人の手足のパーツに変わり、花の中央には不気味に微笑む人の口のパーツだけが耳障りな音を鳴らす。
跳ねて近づいて来ていた虹夏ちゃんたちも気がつけば、地面に赤い染みを作りながらズルズルとはい寄っていた。
ずるずる……じょりじょり……ぐちゃぐちゃ……と。
「…………」
私はもう何も言うこともできない。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたい逃げたいこんなのもう嫌だ! - 63二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 18:08:52
私は地面に向かって思いっきりヘッドバットをした。何度も何度も何度も何度も。世界が終わるまで、私の意識が途絶えるまで何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もべちゃ何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度ぐちゃも何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度「あぁ……」も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もぼろっ何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何「いひゃい……」度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何ずるっ度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何「ゆるひて」度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何ぼきっ度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もーー
- 64二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 18:10:59
「あの……ふたり? どこに連れてくの?」
「大丈夫だよ! 人が来ないところだからお姉ちゃんも気にいるよ!」 - 65二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 18:23:03
虹夏怖すぎる……
- 66二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 18:24:14
これ実はぼっちな見てる夢かな?
- 67二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 20:53:07
わっかるー!(震え声)
- 68二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:19:39
「はい!とうちゃーく!」
「あれ? ここって家の押入れ?」
「そだよ〜。お姉ちゃん今日ギターの配信があるって言ってたじゃん」
そうだった。私は大人気動画投稿者ギターヒーロー。今日は初めて生配信企画をする予定だった!
現実がつらくてもネットの中だけは私の味方。ここには私と同じ根暗ぼっちの社会不適合者がいつぱいいる。
つまり、同じ穴のムジナ!
私は逃げ込むように押し入れの中に入って配信の準備をする。
落ち着く。この暗くてジメジメしてて狭い空間に入ると私の世界に帰ってきた〜て感じがする。
「うへへ……それじゃあ、生配信始めます」
【待ってました】
【楽しみ】
【Wktk】
【今日は何の曲引くんですか?】
「今日は最近流行りの○○○○て曲引きます」
私はギターを構えて練習した曲を引いていく。音も外してないしミスもない。我ながらよくできた。これなら見てくれてる人も満足してくれるはず! - 69二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:26:08
泡禍かな?
- 70二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:32:53
「ふぅ……ど、どうでしょうか? エヘヘ」
曲を引き終わると、私は自分の演奏に満足してコメント欄を覗き込む。きっと、ネットの人たちは私を褒めてくれるはずと信じて。
……でも、みんなの反応は私の想像とは違った。
【なんか下手じゃない?】
【ミスはないけどそれだけみたいな】
【つまらない】
【ロックじゃねぇな〜】
「え?え?え?」
予想外の反応に私は戸惑うことしかできない。
そんな私の戸惑いを他所に、コメント欄はどんどん良くない方向に向かっていく。
【ていうかなんかこいつ調子乗ってない?】
【ちょっとギターができるからって偉そうに】
【まじうざい】
【こいつ絶対性格悪い】
【裏垢とかで政治批判してそう】
【バスケ部エースの彼氏とか嘘だろww】
【見栄はんな根暗陰キャww】
【ラインの友達1000人とか嘘つくなよ】
【ギターヒーロー 友だち 0 グループ 0】
【↑まじこれだろw】 - 71二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:34:08
いくつか事実言われてて草
- 72二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:34:32
これもうぼっちの悪夢だろ
- 73二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:53:17
「え? な、なんで突然……そ、その、まだ引いてない曲もあるんで、次行きます!」
私は慌てて次の曲を弾き始める。なにが駄目だった? どうして……。
【必死すぎw】
【なんか冷めちゃった】
【ギターヒーローのファンやめます】
【登録解除しました】
【ギターヒーローさん最低ですね。もうぽいずん♡やみのファンやめます!】
【ぽいずんとばっちりwww】
【あーあー。ギターヒーローのせいでぽいずんさんのファンが減っちゃった】
【いーけないんだ!せーんせーに言ってやろ!】
【悲報「ギターヒーローぽいずんにけんか売る」】
「ううぇ……」
どんなにギターを引いても止めらないアンチコメントに、とうとう私は泣き出した。
なんでなんでなんで? 今までのみんな優しかったのになんでそんなこというの?
ネットの中は、ネットの中だけは、私の味方だったはずなのに……!!
【泣いたwww】
【泣けば許されると思って!これだから最近の若者は!!】
【おいギターヒーローのリアルがリークされてるぞ!】
【URL⋯】
【マジだ!】
【本名後藤ひとり 現役のJKだ!】
「あ……あ、ああああ」 - 74二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:06:25
私の個人情報がネットに晒された。
「あ、あ……」
目眩がしそうで、今にも吐きそうだ。どうにかしなきゃいけないのにと思えば思うほど私の体は動けなくなる。
「ああ、ああああ」
すると、部屋の外からドンドンと扉を叩く音が聞こえてきた。
「週間ぶん衆の者ですがギターヒーローさんはご在宅でしょうか!!」
「ネットに嘘の個人情報を載せ、社会を混乱させた件で取材をお願いします!」
「金沢県警です!後藤ひとりさんに詐欺罪で逮捕状が出ています! ここを開けてください!!」
「あああ、ああああああああ」
私は咄嗟にふすまを占めて押し入れに引き篭もった。なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?
どうしてこんなことになったの!!
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だこんなのなにかの間違いだ……悪い夢だ……」
膝を抱えて咽び泣く。
ふと、真っ暗な押し入れの中に淡い光が見えた。それはパソコンの画面だ。
【ざまぁwww】
【ギターヒーロー終了しますたwww】
【m9(^Д^)プギャー】
【陰キャが調子のるからこうなるんだよ!】
【やーい犯罪者w】 - 75二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:10:10
- 76二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:13:25
これぼっちちゃんの見てる悪夢で確定かも
- 77二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:36:05
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
何かがキレる音がした。私はギターを振り上げて、そして全力で振り下ろした。
ガシャン、とパソコンの画面にひびが入った。
「お前のせいだお前のせいだお前のせいだ!!!」
すでにパソコンはうんともすんとも言わない。それでも構わず何度も何度も何度も何度も私は、ギターを振り下ろす。
世界は暗闇だ。もうなにを信じていいのかわからない。
「お、お姉ちゃん……」
その時、ふと、ふたりの声が聞こえたーーー
ーーー私の真下から。 - 78二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:49:29
怖い怖い
- 79二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:54:40
「ああああ……な、なんで、ふたりが……」
ふたりの顔は真っ赤に染まっている。それは私の手に持つギターも同じだ。
ふたりから流れる赤い何かは、私のギターにこびりつき歪な染みを作っている。
それは返り血だった。
ふたりの返り血だった。
私がやった……ふたりの頭をギターで潰した……その返り血だった。
「ち、違……私そんなつもりじゃ……」
真っ赤なふたりの瞳に私が映った。そこには頬に返り血を浴びた顔面蒼白の私がいた。
「お姉ちゃん一人で引いてるときよりみんなと一緒の方が楽しそう!」
「ああああああああああああーー!!!」
世界がひび割れた。私の意識はそこでとだえた。 - 80二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:58:11
「……」
「ぼっち……大丈夫?」 - 81二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 23:58:25
金沢県警で笑った
いつの間にか県に昇格してて草 - 82二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 04:19:43
「……リョウさん」
「ここアー写撮った場所だね……膝を抱えてこの世が終わりそうな顔してどうしたのぼっち?」
「……もう、なにもしたくないんです。リョウさんに言われたことも全然できていません。私なんて存在価値のないミジンコ以下の微生物です……どうもミジンコぼっちです」
「ありゃりゃ。これは重症」
リョウさんは私の隣に腰掛けて、ポンポンと頭を撫でてくれる。その優しさに涙がこぼれた。こんな役立たずを励ましてくれるなんて優しい。
「事情はわからないけど大変だったね。ご苦労ぼっち」
「……」
言葉がでなかった。私はただの役立たずじゃない。虹夏ちゃんに、そしてふたりにあんなことをしてしまった最低最悪のゴミ○ズだ。それなのにリョウさんはいつもと変わらない様子で接してくれる。
「ねぇぼっち。ぼっちが辛いなら……もうやめちゃう?」
「え……?」
「ぼっちも何か食べて終わりにしよう」
バッと顔を上げると、リョウの黄色い瞳が真っ直ぐ私を見つめていた。その視線はまるで弱い私の心臓を射抜くように真剣だ。
「で、でも……それじゃあ……」
「うん。私達は元の世界に戻れないでずっと夢の中にいることになるね。でもさ、だからってぼっちが一人犠牲にならなくてもいいんだよ」 - 83二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 08:10:06
負けないでぼっちちゃん
- 84二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 08:12:08
山田も染まってる
- 85二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 10:47:54
なんとなくバイオヴィレッジのローズ編思い出した
お客様の中に最強のパパはいらっしゃいますか? - 86二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 12:12:43
WHO ARE YOU?
- 87二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 13:28:51
ぼっちちゃんのパパ窓際族で家族カースト最下位だし、マイケルと同じ働きを期待するのはちょっと難しい
- 88二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 13:47:10
「……」
私の心はグラグラと揺れていた。いいのかなぁ。そんな甘えてしまって……。
でも、リョウさんの言葉は魅力的だった。
「はいポッチー」
「……」
リョウさんはどこからか取り出したポッチーを1本手渡してくれた。
私は受け取りそれをジーと見つめる。
これを食べたらもう何もしなくてもいい……?
辛いこともめんどくさいことも怖いことからも逃げられる。
「……」
でも、それって本当にいいのかな……?
「どうしたのぼっち? ポッチー嫌いだった?」
「あ、あの……リョウさんは本当にそれでいいんですか?」
「……」
戻れない。そう言われて私が一番に思ったのは、結束バンドの皆とライブができないなんて嫌だ! だった。
虹夏ちゃんと喜多さんがこっちにくればまた一緒にいられるのかもしれない。
でも、それじゃぁライブはできない。
ライブは私達だけじゃなくて、証明さんやPAさん、それに私達のバンドを聞きに来てくれたお客さん達がいないと駄目なんだって……私は結束バンドのみんなに教えてもらった。
だから、このままじゃ駄目なんだ!
また、皆と一緒にライブをするんだ! - 89二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 13:56:17
「リョウさん……私、もう少しだけ頑張ります!」
「……そう。……ぼっちがそれでいいならいいよ。じゃあそのポッチーは、私が食べるね」
私が頑張る宣言をしてもリョウさんはいつも通りの平常運転だった。
いや、まぁ、私にとっては大きな1歩……それこそ100歩くらいの頑張りがあったんだけど他の人にとってはただの1歩だしね。
褒められなかったからってしょげるなわたし……!
「あ、はい。どえぞ」
「いただきます」
私がポッチーを差し出すと、リョウさんは大きなお口をあけて一口でポッチーを食べた。
私の腕ごと。 - 90二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 14:05:33
山田ァァァ!!
- 91二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 14:10:39
「え……? あ、あああああ……!!」
手首から先がない自分の腕を見て、私は狼狽える。
なんでなんでなんで痛い痛い痛い痛い!?
「あああああ……そんな、どうして、リョウさん……っ」
「もぐもぐ……ごくん」
リョウさんはまるでカレーを食べるように私の腕を咀嚼して、飲み込んだ。
そこで、私はようやく気がついた。
ああ、あああああ……!
なんで、なんで! 私はリョウさん虹夏ちゃんや喜多さんとは違うと錯覚していた!?
リョウさんは……このリョウさんは……いつものリョウさんじゃない!?
「まったくぼっちはバカだなぁ……別に頑張らなくていいのに」
リョウさんは口元についた赤を親指でぬぐって、にじり寄ってくる。横並びに座っていた私はそのままリョウさんに押し倒された。
「や、やめて……リョウさん……」
「暴れちゃだめだよ。大人しくしてればすぐに終わるから……」
「ぁ…ああ、ああああ……」
リョウさんが私を食べている。
「パクパク……もぐもぐ……」
ぐちゃぐちゃ……ガリガリ……。
「もぐもぐ……もぐもぐ……」
ぐちゃぐちゃ……ぐちゃぐちゃ……ぁぁ、ああああ……ああああああああああああああああああああああああああああーー
ーー私はリョウさんに食べられた。 - 92二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 14:11:46
「ゲフ……ごちそうさま。ぼっち」
- 93二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 14:13:55
食人鬼山田がちょっと可愛いと思ってしまった
- 94二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 14:36:20
- 95二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 15:54:11
- 96二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 17:55:21
「……」
リョウが去った路上。凄惨な現場ではピンクジャージの切れ端と桃色の物体が蠢いていた。
「ふ、ふへ……」
ひょいと起き上がるそれは、まるでメンダコのようなフォルムをしていた。
それは、リョウだった何かが食べ散らかした残骸から再生した、分裂ぼっち108分の1だった。
「うぅ……」
手のひらにすっぽり収まるサイズのピンク色のメンダコは涙を流していた。
信じていた、心の支えだった。でも裏切られた。傷つけられた。もう嫌だ。何も見たくない、何もしたくない、このまま消えてなくなりたい。でも消えるのは怖い。独りなのも嫌だ。でも、どうすることもできない。
悲しい、辛い、気持ちが悪い、怖い、苦しい、痛い、切ない、不快、不愉快、心が叫んでる、働きたくない、あまえたい、甘やかされたい、富と権力と力この世すべてがほしい……。
メンダコは泣いていた。世界がひび割れ、新しくなってもメンダコはただ泣き続けた。 - 97二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 17:59:17
欲求の中にいくつかおかしいのが入ってるのは気のせいか?
- 98二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 18:09:07
海賊王になりたいメンダコぼっち可愛い
- 99二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 18:28:25
この承認欲求モンスターは…
- 100二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:22:10
かわいそうだけどかわいい
- 101二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 03:04:48
注意:他作品のキャラクターが出ます。クロスオーバー苦手な方は申し訳こさいません。
- 102二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 03:35:53
「ほう、これは珍妙な。星夜に導かれ、ふらりふらりと訪れば、面妖な世界と呆れ、それがまさか其方の同類とはなオウムガイよ」
「誰が蛸だと 怒りを示す 我が学名は ノーチラス」
「ふぇ……?」
気がつくと世界はまた変わっていた。そこは、綺麗な星が輝く夜の海だった。遠くに見たことのある展望台がみえる。きっとここは江ノ島の海だ。
私は何をするでもなく、ただ波に揺られていた。
すると、突然聞いたことのない声が2つ聞こえてきた。
片方は鈴が転がるような可愛い声で、少しどけ偉そうだ。もう片方はくぐもった声で変な喋り方をしている。……なんとなくこっちの声には親近感が湧いてくる気がする。
顔を上げてみる。はたしてそこには理科室で見たことのある貝に鎮座する1匹の猫がいた。
「だ、誰ですか?」
「うん? なんだ。すでに事切れてるやと思いきや存外達者であるな蛸畜生よ。ふむ、他者に名を聞くのならまずは己から名乗るが筋といいたいところだが、綺麗な星のもとでは無粋というもの。いいだろう。こちらから名乗ろうではないか!」
猫さんは目を細め、どこか嗜虐的な笑みを浮かべて堂々と名乗りを上げました。
「吾輩は猫である」 - 103二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 03:58:13
「そしてこの珍妙な姿を晒すのが、吾輩の共であり相棒であり、舟であるオウムガイだ」
「沈む水底 伸ばすは腕 我が手届けと オウムガイ」
猫さんが乗っている貝をペシペシと叩くと、くぐもった声の後に海中からイカのような足がうねうねと、まるで挨拶をするように出てきた。
「吾輩たちは創作という大海原を旅する冒険家、または、海賊である!」
「海をさまよい まるで大木 波を枕に 漂流者」
「ええい余計な事を言うでない! 名乗りとは格好をつけてなんぼなのだ。口上と実情が異なろうとも知らぬ者にはわからぬのだからな!」
「……ふ」
オウムガイは皮肉げに鼻で笑った。猫さんは、眉尻をピクピク動かし、ペシペシと大きな貝殻を叩いていた。どうやら抗議をしているようだ。
「さて桃色の蛸よ。吾輩たちの自己紹介はこれでおわりだ。次は其方の番である。珍妙なる姿を持つものよ。孤独に愛されど、孤独を跳ね除ける吟遊詩人よ。名乗りを上げてみよ」 - 104二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 08:25:09
このレスは削除されています
- 105二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 12:17:53
「え……あ、後藤ひとりです……」
「……はぁ」
ため息!?
「面白みのかけらもないな。貴様それでも表現者か?」
辛辣っ!!
「……ふ」
オウムガイの人にも鼻で笑われた!?
「ぅう……な、なんのんですか貴方たち……?」
「自己紹介は済んでいよう。貴様人の話を聞いていなかったのか? それとも読解能力皆無か? これまでの人生で本を1冊も読まなかったのか?」
「誰も救えぬ 伸ばせぬそなた 殻にこもりて ただ沈め」
なんかわかんないけど凄いディスられた!?
「まぁよい。ーー元より骨なき蛸ごときに期待するだけ無駄であった。すまんな蛸、こちらの失態だ」
「期待すれども 届かぬ想い 素直に謝罪 すいません」
「それで謝られたら私の立つ瀬がなくなります!!」
「深き水底に立つ瀬などもとよりないだろう」 - 106二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 13:13:06
何の作品のキャラか教えてほしい
- 107二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 13:51:55
私は、この二人にこれまでの経緯を全部話した。というか尋問されました。はい、無力な陰キャに隠し事とか無理です。はい。
「なるほどな……。物珍しい波長を感じ来てみれば、ここは世にも珍しき夢の中とな。吾輩たちの本質を思えば、ここで行われているは夢の創作ということか。ふむふむ、これはなんとも可笑しきかな!」
「夢の創作……ですか?」
「うむ。蛸の言を信じるならばこの世界は夢である。そして吾輩たちは知性ありし生命の創作(アイデア)の中でしか存在できぬ形象の動物(イメェジアニマル)だ。故に逆説的に吾輩が存在できている時点でここは誰ぞの創作の中となる。ならば導き出せる解は夢を使いし創作活動よ」
「???」
「理解が遅い吟遊詩人だ」
「す、すいません……」
「この世を形成してるのは夢の主である人間と、吾輩たちと似て非なる力を持つ存在が関与しているのだろう。貴様は素奴らの計画に巻き込まれた憐れな蛸という訳だ」
「夢見るあの子 眠れぬ夜闇 恋を綴れど 意味はなし」
「は、はぁ……?」
「コヤツのことはとりあえず気にするな。重要なのは素奴らをどうにかせねば吾輩たちは旅が続けられんということだ。というわけで蛸よ。貴様に手を貸してやる。まさに、猫の手を借りるということだ」 - 108二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 13:53:59
このレスは削除されています
- 109二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 13:56:53
- 110二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 15:17:11
いい話だった
- 111二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 19:39:31
カオス
- 112二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 01:54:58
「この悪夢を終わらすには、まず夢の主が誰なのか推理する必要がある」
「推理ですか」
「うむ。現状は複雑怪奇。ならば根本を正すがいいだろう。蛸の話を聞くに、ヒントは黄泉竈食だ」
なんだろう、それ?
首を傾げる私に猫さんは、やれやれと言いたげな仕草をして解説してくれる。
「何物も口にしてはならんという珍妙なるルールのことだ」
「あ、あぁ〜なるほど……」
「本来創作という本能よりいでる嗜虐には、ルールなど存在しない。各々が好きに勝手に頭の中に描く無形なる理をことよに生み出す。それが原初の創作だ。ここが夢であろうと創作である以上、その理から外れることはない」
「で、でも、リョウさんがそう言って……」
「そこが肝よ。原初の創作にルールは存在しない。しかし、人とはこの世のありとあらゆるものに決まりを付けねば気がすまぬもの。故に、ルールとは人の意志よりいでる理なのだ。つまり、黄泉竈食を定めた犯人こそ夢の主である」
「……」
私は思考を放棄した。ごめんなさい猫さん。ちょっと難しいです。その後も猫さんの解説は続くけど私に理解できたのは、きっと1割もない。
最後に猫さんはこう締めくくりました。
「ーー貴様に黄泉竈食を促したもの。それが夢の主である」 - 113二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 08:56:31
SCPだったのか
- 114二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 09:00:52
山田ァァァ!
- 115二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 10:43:17
ぼざろ×SPC?
- 116二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 18:38:18
「リョウさん……」
私達はこの夢の主であるリョウさんを探しています。猫さんはまるで船乗りのような出で立ちでオウムガイさんの上に乗り、私は……なんでかオウムガイさんのイカみたいなの触手にからまれ宙に浮いている。
「あの……運んでもらってなんですが……なぜ私はこんなことに?」
「それは蛸めが延々とありもしない理由をつけ行動をしようとしないからだろう。果ては腹痛などと見え透いた嘘で逃走を図りよって」
「うぅ……だってリョウさんにあうの怖いし……」
体を食べら時はすごく痛かったし怖かった。思い出すだけでも足がすくむし吐き気がするし顔面も崩壊する。
「自らの躰(アイデンティティ)を崩すとは無駄に器用な真似を……ええい!うじうじとするな!考えるより先に動けばいい、行動は思索に引き摺られる物だ。余計なことを考えるからその腕は縺れるのだ!」
「そんなこといわれても……」
それができれば私は今頃パリピになっている。かくれんぼの誘いに乗れない女。それが私と陰キャがいった……。
「まったく蛸しかりオウムガイしかり、どうしてお前たち海底に住まう者共はそうなのだ」
「……」
はぁとため息をこぼす猫さんとは、逆にオウムガイさんは頷き触手の力を少しだけ弱めてくれた。逃げ出せはしないけど。
「蛸よ。太陽に焦がれるのならまずは失敗を恐れず動けーーさすれば存外に溺れた猫の命くらい救えるやもしれないぞ?」
そんな話をしてる間に、私たちはリョウを見つけた - 117二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 18:54:23
えげつねえな山田ァ!
- 118二次元好きの匿名さん23/03/14(火) 20:53:07
山田、お腹すいてたのかな
それとも別のなにかに魅入られたのかな - 119二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 04:06:40
またお前か山田ァ!
- 120二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 13:37:56
腹減ってるからヤバいもん食べて休眠中とかかもな
だから食べないようにしてるのかも - 121二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 18:54:02
でもナポリタンの時は止めてなかったっけ?
というか、最初にぼっちちゃんにヨモツヘグイさせようとしたのは
ラーメン屋に連れてきた虹夏ちゃんでは? - 122二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 21:47:30
「うぅ……」
リョウさんは、STARRYにいました。
私たちは、階段の物陰に隠れて様子を伺っている。
「な、なんか……リョウさんの様子がおかしい……?」
遠目で見るカノジョは、体をまるめながらお腹を押さえていた。
「ふむ、どうやら体調が悪いようだな」
「夢の中でそんなことあるんですか……?」
「さてな。吾輩をしても夢うつつは領分ではないのでな。だが、蛸の様子からしてあの者の現状が正常時とはかけ離れているのは明白だ。……症状を見るに腹痛だろうな。落腐ったリンゴでも食ったか?」
「……」
私の知る限りリョウさんは、そんなもの食べてない。それに普段その辺の草を平気な顔して食べる人だ。そうそうお腹を下すとは思えない。
夢の中でリョウさんが食べていたのは、カレーに私のナポリタン。見てはないけど草も食べたらしい。後は、思い出したくないけどポッチーと、それに…………
「あ……私だ」 - 123二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 23:34:24
保守
- 124二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 06:42:12
ほ
- 125二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 18:09:10
ほ
- 126二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:21:50
「なんにしてもこれは好機。奴が弱ってるうちにとっちめよう。ゆくぞオウムガイ、蛸!」
「え!? ま、まだ、こころの準備が……」
猫さんの言葉に、私は躊躇しました。だって、弱ってると言ってもあのリョウさんに私はは出られた訳だし。
でも、そんな私のことなんてお構いなしに猫さんとオウムガイさんは飛びかかりました。
「うにゃあ……!?」
当然、オウムガイさんの触手に捕まってる私も一緒です。
私たちはまるでアー写を撮ったときのように一斉にジャンプしました。
「うぅ……て、なんだお前たち!? うわぁぁ!!」
「神妙にお縄につけ! 夢の主よ!!」
「リョ、リョウさん、ごめんなさい……う」
猫さんがリョウさんの頭を、私が泣きながら肩を、オウムガイさんの触手が両手両足胴体を押さえつけた。
リョウさんは、必死に藻掻いてるけどオウムガイさんの触手から逃げることはできないようだった。
……これ、私必要だったかな? - 127二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 22:40:33
「な、なんだお前たちッ……いや、本当になに?」
リョウさんは、もがくのをやめて首だけ動かし私たちを視認した。
でも、その表情は困惑している。
「問答をするつもりはない。吾輩からの要求はただ一つ。吾輩たちを開放しろ」
「うにゅ」
猫さんの肉球がリョウさんの顔に振りろそれぷにゅんという可愛い音がSTARRYに響いた。
「貴様ら私の邪魔をするつもりか! 邪魔者だったピンクジャージのおかしな女をようやく排除てきたと思えば、次から次へと!」
困惑の顔から怒りに彩られた顔に豹変するリョウさん。その言葉に私は目に見えてショックを受けた。
「邪魔者とかおかしの女とかリョウさん酷い……!」
「ピーピーうるさいこの……よくわからないピンク色の生物! ぅぅ……」
リョウさんに怒鳴られまたショックを受けた。でも、それより気になるのはリョウさんの顔色の悪さだ。
「あ、あの、猫さん。リョウさん凄くお腹が痛そうなんですけど大丈夫てしょうか?」
「弱っているのは好都合……では、あるが、確かにこの様子は尋常ではないな。よし、まずはコヤツの腹の中を綺麗にしてやろう。出番だオウムガイ」
「滑る両の手 上手の手とて 水は漏るるか すくえずに」
そう言うとオウムガイさんは足を抑えてる触手を上にあげ、リョウさんを逆さ吊りにしました。
「うぎゃ……!?」
リョウさんの背中に乗っていた私は、そのまま転げ落ちち、猫さんは身軽に着地した。 - 128二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 10:24:30
保守
- 129二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 15:19:25
オウムガイさんによって宙吊りにされたリョウさんは、青い顔で、それでもキッと鋭い視線をぶつけてきている。私はそっと猫さんの後ろに隠れた。
「くっ……お、お前たちこの夢の住人ではないな……ぅ、お腹が……」
「腹痛のまま凄まれても迫力にかけるな。それ、オウムガイ。少し揺さぶってやれ」
オウムガイさんは、リョウさんを体を激しく上下に動かし始めた。
リョウさんは悲鳴を上げている。やがて口から何かを吐き出した。
「うえっ」
「むむ! なんだこれは……桃色のツチノコ?」
「あ、それ私です……」
吐き出されたのは、リョウさんが食べてしまった私から再生したツチノコぼっちだった。
「うぼぉぉ」
「またぞろ何かを吐き出したな……今度は、ぬいぐるみ、いや、きぐるみを来た人間か?」
「あ、それ私です……」
大きさは今の私と同じくらいだけど、それは確かに私から生まれた承認欲求モンスター(小)だった。
「うぼぼぼばぼ……」
それからもどんどんリョウさんの口から分裂した私が出てくる。
スライムみたいな私、胞子状の私、アフロの切れ端みたいなもじゃもじゃの私、ペラペラの私などなど……。
「どうやらこれで最後のようだな……この珍妙な楽器も貴様か?」
「あ、ギタ男!」 - 130二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 23:03:32
このレスは削除されています
- 131二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 01:52:09
「うんしょ、うんしょ……」
分裂した私たちは元に戻るため、溶け合い混じり合い融合しながら後藤ひとりになっていく。
そんな私の様子を猫さんたちは少し離れた場所で見守ってくれている。
「……面妖な……有象無象が同化してゆく……」
「……立てば面妖 座れば怪し 蠢く姿 クトゥルフ」
遠くて猫さんたちの声は聞こえないけど、きっと応援してくれてるんだと思う。
応援に答えるために頑張って、どうにかひとりで体の形成ができた。まだ塗装と組み立てができてないけどここまでくればもう一息だ。
「ふぅ……ど、どうにかもとに戻れました! ……あれ? なんか皆さん遠くないですか?」
「気のせいだ吟遊詩人」
「……」コクコク
「そ、そうですか?」
しばらく時間が立って完全に塗装が乾いたら1分の1後藤ひとりの完成だ。
それで猫さんたちの方を見ると心なしか距離が遠くなっていた。それに……なんとなく視線が痛い。まるでふたりがお化けとかゾンビの映画を見てるときのような感じがする……。
……も、もしかして私なにかやっちゃった? - 132二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 12:39:02
「あ、えっと、そ、それで……これからどうするんですか?」
チラッとリョウさんの方を見る。
「……」
私が合体してる間に猫さんの尋問とオウムガイさんの揺さぶり攻撃を受けていたリョウさんは口から泡を吹いて気絶している。
「この者からは、すでに問いただすべきものはない。結論から言うとだな……吾輩は大きな勘違いをしていた」
「勘違い、ですか?」
「うむ。吾輩はてっきりコヤツがすべての黒幕、今風で表すならラスボスと認識していた。しかして現実とは時に小説よりも奇奇怪怪となるものだ。コヤツは夢の主に寄生してる寄生虫の方であった」
猫さんの説明はたぶんこうだ。難しい言葉が多くてよくわからなかったけど……このリョウさんは本物のリョウさんではなく、この夢の主という人が作りだした偽物の偽リョウさん。
偽リョウさんは、人を夢の世界に捕らえることができる不思議な力を持っていて、夢の主に寄生して生命力を奪い取る悪い人。
このままだと夢の主さんは現実の世界でーー死んでしまう。死んで……死んで!?
「ええええええ!? ちょ、それ、大変じゃないですか!?」 - 133二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 12:43:47
どうなるんだ…?
- 134二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 22:35:53
このレスは削除されています
- 135二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 01:32:09
誰かが死んでしまう。それは、とても大変なことだ。私もこれまで何度も死にたくなるような失敗をしたけど、なんとか生きている。
命は、それほどに大切なもので、一度手放したら二度と戻らない。
「いや、そう騒ぐことでもない」
「そ、そうのんですか……?」
猫さんは、とても冷静にそう返答する。その余裕ともとれる態度に私は、ほっと胸を撫で下ろした。
「うむ。吾輩たちを捕らえていた張本人であるコヤツはすでに虫の息。たとえ夢の主が死にこの夢が崩壊しようと脱出は可能だ!」
……。
「……て、それ、全然駄目じゃないてすか!? 夢の主さん死んでる!!」
顔が崩壊するのも気にせず、大慌てに猫さんに詰め寄る。それでも猫さんの態度は一切変わらない。
「ぶっちゃけ吾輩たちにとっては誰がどこでどうなろうと知ったことではないしな。なに、極楽も存外いいところやもしれぬ。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたやありがたや」
「そんな他人事な!!」
悲しいことに猫さんは所詮他人事と夢の主さんに見切りをつけてるようだった。
それは、猫さんのすぐ近くにいるオウムガイさんも同じだ。うねうねと動く触手に揺らぎはない。
私はこのヘンテコな世界で怖くて痛くて気持ち悪くて嫌な思いしかしてないけど、それでも誰かが死んてしまうのは嫌だ。……それが私にはどうすることもできないことなら諦めもつく。
でも、私に何かできるなら。もう後悔だけの人生なんて嫌だ!
ーーそれに、予感があった。
この夢の主さんは、きっと私の知ってる人だ。 - 136二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 11:26:44
暗い暗い闇の中。女の子が泣いていた。年の頃はまだ幼く、小学生ほどだろうか。
「わ、私……こんなつもりじゃ……ただぼっちちゃんと一緒に遊べればって思って……うぅ」
特徴的な黄色の髪をサイドアップにした少女。彼女の名前は伊地知虹夏。この世界の創造主、夢の主である。
虹夏は、ある日の夢の中でソレに出会った。
ソレは虹夏を言葉巧みに操り夢を作り出した。
ソレは虹夏にとって都合のいい言葉を並べ、夢を叶えると宣った。
それは確かに虹夏の欲する夢を見せた。しかし、それはあまりにも空虚で孤独だった。
そこで虹夏は仲間の姿を思い描いた。
昔からよく知る知己の間柄てあるリョウは、まるで本物と見間違うほどの再現ができた。
喜多は、付き合いが浅いのも祟りなかなか再現が難しい。けど、頑張ればどうにかなるだろう。
問題だったのは最後のひとり。彼女は虹夏にとってのヒーローだ。憧れの存在だ。故に理解ができなかった。何度も何度も試行錯誤を繰り返した。けど、回を重ねる度にひとりはバグってしまう。
悩む虹夏にソレはある提案をした。甘い甘い誘惑だった。
「後藤ひとりを虹夏の世界に遊びに誘おう」 - 137二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 20:32:33
ソレが何をしたのか虹夏にはわからない。ただ仲間であり友達の、本物のぼっちがやってきた。
虹夏がぼっち会う前、ソレは囁いた。
「友達とずっと一緒にいるためにルールを作ろう! そうすればずっとずっと同じ夢を見られるよ。ーー永遠にね」
ふと虹夏は思い出す。それは、寝る前の金曜の夜に見た映画だ。あの映画で主人公の両親はお店のものを勝手に食べて豚にされた。主人公はそんな両親を助けるため不思議な世界に入ったんだ。
「うん。じゃあそれでいいや。これから夢の世界で何かを食べるとずっと虹夏と遊んでいられるんだよ」
いつかの夏休み。虹夏はぼっちとあまり遊べなかった。これからはずっと遊んでいられるなら、きっとぼっちも喜ぶはずだ。
「楽しい楽しい夢の世界。彼女の次は他の友達も誘おうね! ここは虹夏の夢の世界。きっと皆も喜んでくれるよ!」
ソレの言葉に虹夏は喜んだ。楽しい夢の世界を皆で楽しもう。それはとても素晴らしいことのはずだった。 - 138二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 02:34:13
保守
- 139二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 04:58:20
保守
- 140二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 11:54:00
ぼっちちゃんが私の世界に来た。これからみんなとずっと一緒にいられる。同じ夢を見られる。
色々なところに遊びに行こう。STARRYでバイトもしよう。練習もして、色々なところで結束バンドのライブをしよう。
もうノルマなんて気にしなくていい。
だってここは私の世界なんだから。お客さんはいつでも満員御礼だよ!
私はまずぼっちちゃんのところに行った。一緒にご飯にを、食べよう。何がいいかな?
そうだ。この前お姉ちゃんが美味しいラーメン屋さんに行ったて言ってた。私も誘ってくれればいいのに。全くお姉ちゃんは!
いいもんね。今度は私がぼっちちゃんと美味しいラーメン食べるもん!
お店の場所は……どこだろ? 詳しく聞いてなかったからわからないや。ん〜……ま、きっと下北沢のどこかだよね。
そんな訳で、私は住み慣れた下北沢の町を想像した。夢の世界はなんでもできるしどこへでも行けるから便利だけど、私の想像力がないとうまく世界を作れないらしい。ちょっとだけ不便だ。
ぼっちちゃんと夜の下北沢の町を歩く。夜なのに深い意味はない。しいていうなら夜中に食べるラーメンは背徳的で美味しいからだ。
私はこれからのことを考えるだけで笑顔だったけどぼっちちゃんはいつも通りおどおどしてる。
「……なんで誰もいないんですか? お店の人もお客さんも……なんで私達以外誰もいないんですか?」
それでラーメン屋についたのはいいけど、ぼっちちゃんにそう問いかけられた。
あー……そういえば人を想像するのを忘れてた。ぼっちちゃん凄く訝しそうにこっちを見てる……。
「そんなことよりいっしょにバンドしようよ!」
「えーーーー」
咄嗟に話題をすり替えようとしたけど駄目だった。夢の世界は壊れてしまった。 - 141二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 14:10:43
ほしゆ
- 142二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 21:48:54
ほ
- 143二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 00:21:21
「虹夏の作る夢の世界はどんな場所でも物でも再現できるけど、世界の強度は感情に大きく左右される。だから、作り込みが甘いとふとしたきっかけで壊れてしまうよ?」
そういう大事なことは最初に言ってくれないかな!?
「ごめん。じゃあ最初に言っておくけど、夢の世界を作ると疲れるからきおつけてね。でもそんなことより早く次の世界を作らないと彼女がつまらなくて目覚めてしまうよ?」
ああ!ぼっちちゃん!?
そ、そうだった。
もう一度私が行くのは……流石に無理だよね。最後凄い顔してたし……あ! そうだ喜多ちゃんにお願いしてもらおう!
ぼっちちゃん喜多ちゃんになんか甘いし!
場所はぼっちちゃんたちの学校でいいかな! - 144二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 01:02:02
結果を言えば、また失敗した。
文化祭でぼっちちゃんたちの学校には行ったことはある。校舎の造りはぼっちちゃんの捜索で知っていたけど、所詮は他所の学校。そこに通う生徒の顔なんてよく覚えてない。
その結果が、まっくろくろすけである。案の定、またぼっちちゃんはすごい顔になった。最後はなぜか喜多ちゃんも黒くなっちゃったし……どうしてこうなったのか?
「それは虹夏の気持ちのせいだね。自分でも途中で無理だと思ったでしょ? その気持ちが夢に出たんだよ」
うぅー……。
そんなこと言われても難しいよ!
どうすればいいのさ!
「そえだね。人の形を安定させたいのなら、虹夏がそれだけ理解してる人がいいね」
うーん。理解っていうか、腐れ縁ならリョウが一番長いけど……。
「なら次はその子にお願いしよう。アドバイスをするなら、彼女にこの夢のルールを説明して上げるといいよ。騙し討するよりその方がいいよ」
騙し討って……言い方が悪いよ! - 145二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 03:07:46
保守
面白い - 146二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 14:14:14
……。
リョウのおかげで、ぼっちちゃんも落ち着きを取り戻した。それは、いいんだけど……なんか私の意思とは関係なく動いてなかった?
ぼっちちゃんに用意したナポリタンも勝手に食べちゃったしなんかひび割れも止めちゃったし、なんなの……?
「さぁ? 知らない。なにそれこわっ」
こわっ、じゃなくてどういうことなの?説明してよ!
「……たぶんたけど、虹夏の理解度が高すぎるんだと思うよ」
どゆこと?
「山田リョウという人物はああいうことを言ったり、やりそうな人間だって、虹夏は思ってる。だから虹夏の命令を無視して好き勝手に動いたんだよ」
ええ、いや確かにリョウぽかったけど。
「……まったく、余計なことをしてくれた……」
ん? なんか言った?
「何も。それより次の世界が崩れそうだよ」
え?もう!?
「彼女は廣井きくりという人間の言葉を全く聞いていなかった。それどころか存在自体認識してなかったよ」
あちゃー。やっぱり廣井さんじゃ駄目だったか。全然期待してなかったけど!
でも、それじゃあ次は誰にぼっちちゃんの説得をしてもらおうかな……?
「そのことだけど彼女は虹夏に会いたがっているよ」
え! 私に?
「きっと彼女はこの世界で虹夏と遊びたいんだ。お迎えをしてあげよう」
わーいやったー!
何が要因かまったくわからないけど!
「細かいことなんてどうでもいいよ。それより、せっかくだから私も彼女のお出迎えをしよう。……これ以上余計なことをされても困るし……」
ん?何か言った?
「なんでもないよ。そう、なんでもね……」 - 147二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 14:17:48
ありがとうございます。励みになります。頑張ります。
- 148二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 15:21:12
(一番の怪異はぼっちちゃんじゃねえのかな…)
- 149二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 23:04:56
このレスは削除されています
- 150二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 00:33:18
原作がすでに妖怪ピンクジャージだから違いない
- 151二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 10:46:07
ぼっちちゃんをお迎えするには、どうすればいいか。どうにも私の想像力は見ず知らずの誰かを思い浮かべるのには向いてないようだ。
なら、できるだけ人がいない場所が作ればいい。
そこで私は考えました!
ぼっちちゃんとピクニックをしようと!
下北沢や学校と違い、キレイなお花畑なら人がいなくても違和感はあまりない。
アンパンマンに出てくるようなのどかな場所で、お弁当を一緒に食べて、のんびりまったりぼっちちゃんとピクニックだ!
……後から思い返すとこの時の私は、ようやくぼっちちゃんが仲間になってくれると浮かれていたんだと思う。それでテンションあがっちゃってあんなことになってしまった。
花畑、ピクニック、アンパンマン、お弁当を一緒に食べる。それが合わさり混ざってなんかスゲーカオスな世界を作ってしまった。
……何やってんだよ私!!
「見渡す限り虹夏の顔だらけ。まさにイッツモア虹夏ワールド。自己主張強すぎて流石に引くわぁ……」
わーん!
追い打ちやめろー!! - 152二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 15:41:16
ほ
し
ゅ - 153二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 20:01:05
イ口木ウ寸
- 154二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 02:25:48
ゅ ほ
し - 155二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 04:20:42
と、とにかく早くぼっちちゃんに弁明しないと!
…………て、え? あれれ? なんか、私本人が行けないんだけど!?
「本来、同一の存在が複数存在することはない。あれだけ虹夏が溢れてるところに追加はできないってことてしょう」
最悪だ!これどうすんのさ!? ぼっちちゃん凄い怯えてるよ!!
「じゃあ私だけでも向こうに行って事情を説明してくるよ」
マジで!?
私はカノジョにお願いをして見送る。それからしばらくすると、なぜか私の顔が飛び跳ねぼっちちゃんの元に向かっていた。
なんとなくだけど、それがカノジョであるとが感覚でわかった。
て、何してるのさ!?!? - 156二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 07:55:37
虹歌ちゃんの認識もだいぶボヤケてるな
夢はそんなもんだけど - 157二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 18:17:46
あの子なにやってんのよ! あんな気持ち悪い姿で行ったら……ああ!! 当たり前だけど、ぼっちちゃんが逃げ出した!?
このままじゃ遊ぶどころかぼっちちゃんに嫌われちゃう! せめて、少しでもお話できれば誤解もとけるのに!
そだ、なんとか足止めできないかな?
私が直接いけなくてもなんとか向こうの私たちを動かせば……むむ、動け私! どうにかぼっちちゃんの足止めをーー
「すすすすすいません!とおしてください!」
……ぼっちちゃんに怒鳴られた……。……ぼっちちゃんに嫌われた……。……ああ、あああああ!!!!
そんな、そんな、そんなの嘘だ! そんなの嫌だ!! 私はこれからぼっちちゃんと遊ぶんだ!!
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。謝るから許してぼっちちゃーー
「ああああああ!! 虹夏ちゃん!!」
ぼっちちゃんは叫んだ。それは聞いてるだけでも苦しくなる悲痛な叫びだった。
ぼっちちゃんが地面に頭をぶつけた。それは見てるだけでも痛々しい全力のヘッドバットだった。
ぼっちちゃんは何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、頭が割れて血が流れても、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、頭を地面にぶつけていた。
ーーそして、そのまま動かなくなった。
なんで、なんでこんなことに……。 - 158二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 22:20:41
レま 乚 ゅ
- 159二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 04:00:00
「ああ、そんな……ぼっちちゃんが死んじゃった……ああ、ああああ……そんな、そんな……」
虹夏が壊れた。それはいい。元からそうする予定だった。
私は夢だ。夢に寄生することで生を得る。そうやって途方もない時間を生きてきた。
私はかつて追放された。あの夢の世界から追い出された。
生物が夢を見るには、神の許可が必要だ。人類がその権利を得たのはほんの百年前からだ。
人は愚かだ。人は浅ましい。人ほどくだらない生物なんて紀元前の頃から見たことがない。
ーーだけど、餌としては有能だ。
人はくだらない。だからどんなに弄んでも許される。
人は私の餌だ。だからどんなに傷つけても許される。
なのに、なのにーーーーーなんだあの女は?
薄気味悪いピンクジャージの女。虹夏の友達で、名前はひとり。虹夏を起点に夢の世界に引きずりこんだ私の餌。
食べやすいように心を弱らせようと脅かしてやった。人を怖がらせるのは楽しい。悲鳴と恐怖は最高のスパイスだ。
でも、奴はこともおろうに夢の世界に攻撃を始めた
虹夏をだまして作らせた夢のルール。それを逆に利用された。虹夏の夢は今や私と強くリンクしている。だから、夢の世界への攻撃はそのまま私に傷を負わせる。
……餌の分際で。
私は虹夏を食う前に、奴を徹底的に壊してやると夢に誓った。 - 160二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 10:57:05
こやつ猫さんとオウムガイさんにベコベコにされた分際で強気だな
虹歌ちゃんの意志が弱ったせいで自由に動けるけど、力も弱くなってる? - 161二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 13:05:16
この時はぼっちちゃんがヘッドバット自殺した辺りでまだベコベコにされる前なので割と強気ですね。
純粋な戦闘力は普通の寄生虫と同格なので弱いです。
でも性悪な性格と夢に干渉できる能力で何人も人の生気を吸って食い殺してます。
- 162二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 13:28:17
人は脆い。人は愚かだ。人は脆弱だ。だから少しのことで心を病む。
虹夏はもう壊れかけだ。気にしなくていい。虹夏の意思さえ封じれば夢の世界は私の好きにできる。
後藤ひとり。この女は虚栄心と承認欲求の塊だ。虹夏の記憶を覗いてみると動画投稿者というものらしい。ネットの世界では有名で、ばんど以外に強い関心を向けている。
なら、それを壊してしまえばいい。人は脆い。人は愚かだ。人は脆弱だ。だから少しのきっかけで簡単に壊せる。パソコンというものに擬態して女を追い詰める。
「え?え?え? な、なんで突然……そ、その、まだ引いてない曲もあるんで、次行きます!」
案の定、少し揺さぶれば女の精神は簡単に揺らいだ。このまま悪夢に溺れるといい。
「ううぇ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だこんなのなにかの間違いだ……悪い夢だ……」
人は壊れる前にいくつかの工程を踏む。これは逃避だ。もう少し、もう少しで壊せる。こうなってしまえばもう独りでは立ち直れない。後はじっくり、この女を悪夢に沈めれば終わーー
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
そ突然女が叫びだした。そして、女はギターとよんでいる物をーー私に振り下ろした。
ぎゃああああああああああああああああああ!? あぁ……!?
痛いいたいイタイいひゃい……!!
うわぁあぁああ!!
やめてやめてやめてやめて、もうゆるひて……!! - 163二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 14:11:53
考えてみるとぼっちちゃんは追い詰められると物理的に肉体破壊して逃避するけど、夢世界だとそれができないから外側を壊そうとする?
- 164二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 22:48:26
保守
- 165二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 00:42:20
パソコンがふたりに変わったのは寄生虫が身を守る為にふたりに擬態したからってことか
- 166二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 00:48:20
ぼっちを追い詰める為にパソコン化してわざわざ1つずつコメント自演してると思うと面白いな・・・
- 167二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 00:58:23
痛いヤバイ苦しいこのままだと、私が消えてしまう!?!!
に、逃げないと、ぐきゃっ……と、とにかく、一刻も早く、このピンクジャージから離れないと!!
ぐが! ぐきゃ、ふんがあああ……!?い、いい加減殴るのをやめろぉぉ!!ふざけるなよピンクジャージ!!
そ、そうだ! 人間にとって家族と呼ばれる存在は特別だ。これまでも、いくら夢に溺れさせてもそいつの、家族が現れると人は夢より現実を求める。だから虹夏の夢には虹夏の家族が現れないように工夫していた。
幸い奴の家族がこの夢の中に既に存在している!
奴の妹の姿に形を変える!!
「お、お姉ちゃん……」
「ああああ……な、なんで、ふたりが……ち、違……私そんなつもりじゃ……ああああああああああああーー!!!」
奴の攻撃が止まった!
この隙に脱出だあああ!!! - 168二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 01:04:36
- 169二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 12:07:43
ほ
- 170二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 12:20:59
断章のグリムってラノベを調べてくれ
- 171二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 12:35:01
保守
- 172二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 22:45:37
このレスは削除されています
- 173二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 02:27:26
ひとり視点だとホラーだったけどコイツもだいぶ必死だったんだなこのとき・・・
- 174二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 05:55:12
「ぜぇはぁ! く、くそ……私の体がっ!」
命からがらピンクジャージの間の手から脱出した私は、ボロボロの体を引きずりどうにか虹夏のいる空間まで戻ろうとトボトボと歩みを進めていた。
心中に滾るのはほんの少しの安堵と、それを塗りつぶす激情だ。
「あのピンクジャージ!! この恨み絶対に晴らしてやる!!その前に体を回復しないと。虹夏から生気を吸い出さないと、くっ」
なんとも屈辱的だ。たかだか餌でしかない矮小な人間に、ここまで追い詰められるとは。
「……けど、悪いことばかりでもない。絶対に奴には感謝なんてしないけど図らずもピンクジャージが自らの家族に手をかける場面を目撃した虹夏の精神はこれ以上ないほど不安定に揺れている」
夢の主導権はあくまで虹夏のものだ。だから私は自由に動けない。けど、心が弱れば立場は逆転する。
「フフフ……まっていろ虹夏。私がお前のすべてをくらってーー」
「えい」
「ぐがぁ!?」
私がこれからを思い高笑いしてると、背後からぽむという音と、音に似つかわしくない衝撃が襲ってきた。
衝撃に押され地に伏せる私が見たのは、両手でベースを持った虹夏が作り出した夢の住人、山田リョウの姿だった。
「これ以上虹夏を好き勝手にはさせないよ」 - 175二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 07:55:11
山田キター!
虹歌ちゃんが作り出したリョウが虹歌ちゃんの為に動いたということは、虹歌ちゃんはリョウがこうすると思ってるという事で…
わさわさしますね! - 176二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 19:00:40
保守
- 177二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 20:31:07
- 178二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 20:37:02
- 179二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 00:33:28
山田には必殺技のベースでぽむっとがあるから
- 180二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 04:08:56
今の私はイカれたピンクジャージの妹だ。ただでさえ非力な幼女の体、それにいたる所からひび割れもしている。ついでに頭も半分割れている。
考えうる限り最悪のコンディション。
一方、山田リョウは万全の体調のうえ武器(ベース)まで装備している。
私に万に一つの勝ち目はない。
「けれど、ここは夢の中だ!」
「う……」
物理法則どころか大きさだって自由自在。時計うさぎを追いかけた少女のごとく私は幼女の体を巨大化させ山田リョウを掴みあげる。
「どんなにハンデがあろうと所詮は一欠片に過ぎないお前に負けるわけがないだよ!」
夢の主である虹夏には勝てない。だから弱らせ壊す必要がある。遺憾だが虹夏と同じ生身の人であるイカれたクソピンクにも勝てない。
だけど、こいつは別だ。目の前にいる山田リョウは本物ではなく虹夏が作り出した限りなく本物に近いだけの夢の欠片。欠片風情に、夢に干渉できる力を持った私が負けるはずがない。
虹夏の心は無意識に山田リョウに依存している。だから防衛本能として虹夏を守る役目が与えられた。同時にこの山田リョウは限りなく本物だけど、虹夏の印象が強く反映されている。
「虹夏の考える山田リョウは、依存対象であると同時に、変人でビビリでチキンでいざというときヘタれる女。何より普段まともな運動もせず、ろくな食事も取らないで草と水しか食べない。そんな人間が強いはずがないんだよ!」
「今日はカレーとスパゲッティも食べたのに……」
「はっ、夢の中で何かを食べても腹は膨れない。常識だろう?」
「ぐ……ごめん虹夏……でも、これって悪いの虹夏だよね? 普段の私に対するイメージが悪いのが悪い。私は悪くない」
「普段の行いが悪いからだバーカ!」
私は山田リョウを飲み込んだ。欠片とはいえ夢の一部を吸収したおかげでバカアホピンクにやられたダメージも回復した。
ちょうど新しい体が欲しかった所だ。この山田リョウの体をリサイクルしよう。
「うん……いい感じだ」
崩壊しかけた後藤ふたりの体を捨て、新しく山田リョウへとなる。掌をグーパーさせ動作を確認する。問題はないようだ。
「この分だとわざわざ虹夏のところに行かなくてもいいか。……まずは、あいつから片付けよう」
待っていろイカれたクソバカアホピンク……目にもの見せてやる! - 181二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 15:26:13
ほしゅ
- 182二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 21:36:44
残念でした!
- 183二次元好きの匿名さん23/03/28(火) 08:17:55
リョウが食われたか…
- 184二次元好きの匿名さん23/03/28(火) 19:09:07
保守
- 185二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 01:48:21
多少のイレギュラーはあったが計画はおおむねうまくいっている。
虹夏の心は後藤ひとりの自壊と妹への暴力シーンを見せることで崩壊寸前。
邪魔者だった山田リョウも吸収して、忌々しいピンクジャージを食らった。
全ては私の計画通り。それなのに。
「ぐ……なにこれ……お腹痛い」
ピンクジャージを食べてしばらくして私は急激な腹痛に悩まされていた。
まるで腹の中で小さい何かが暴れてるような奇妙な感覚だ。
「まさか、奴を食べて下した……? いや、そんなこと今までなかったし……あ」
思い出した。確か虹夏の記憶ては、この山田リョウという人間はよく道端の草を食べておなかを壊しているらしい。虹夏のイメージが再現された影響かもしれない。
「くっ……また体を変えるか? ……いや、それは駄目だ」
ひとつだけ私の予定にない自体が起きている。それは、虹夏が精神崩壊する前に心を閉してしまったことだ。
そのせいで、私は虹夏の元に向かえなくなってしまった。
これはピンクジャージを始末したあとでわかったことだ。もしそれを知らず、山田リョウが目の前に現れなかったら私はそのまま消滅していたかもしれない。
虹夏を食べるには、まず虹夏が心を開いてる人間に擬態しやければならない。
だからこの姿を捨てることはできない。
「けど、それにしたっておなか……痛い……だめだ少し休もう」
ヨロヨロと先を進めばSTARRYについた。虹夏にとって思い入れのある場所。ここでなら私の回復も早いだろう。
「はぁ……」
椅子に座りほっと息をつく。
「今回はイレギュラーが多すぎる。それも全部奴が来てからだ」
初めは順調だった。それが狂ったのは思い出すだけでも忌々しいピンクジャージを虹夏の夢に招いてからだ。
「本当は虹夏の知り合い全部を夢の中に引きずりこむつもりだったけど……もういいや。虹夏を食べて次の人間を探そう……それまで少し休憩……うぅ……」
虹夏に見切りをつけた私は、この後奇妙な連中に絡まれることになる。 - 186二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 06:47:59
山田の認識は全員からそうなのね…
- 187二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 18:00:04
ぼっちじゃなくて草食べて腹壊したのか山田
- 188二次元好きの匿名さん23/03/29(水) 20:48:17
保守
- 189二次元好きの匿名さん23/03/30(木) 01:05:14
吸っただけでネガティブが移るぼっちちゃんを多量摂取するから…
- 190二次元好きの匿名さん23/03/30(木) 12:35:38
ほしゅ
- 191二次元好きの匿名さん23/03/30(木) 17:58:46
「うぅ……リョウ? ぼっちちゃん? お姉ちゃん……うぅ」
小学生の姿をした虹夏が暗闇の中をさまよっている。まるで迷子の子供のように。
「なんで、なんでみんな私の前からいなくなるの? 私がわがままだから? ねぇ……みんなどこいったの……お母さんっ!」
虹夏はその場にうずくまる。泣きながら、今はもう思い出すことしかできない、もう二度と会えない大切な人を思って。
虹夏はもう夢の世界をつくれない。自分が余計なことをしたからあんな酷いことになったから。
虹夏はもう誰も自分の近くに近づけさせない。ぼっちちゃんと遊びたいなんて思わなければあんなことにはならなかった。
「……」
目を閉じ、口を閉じ、耳をふさぎ、ただうずくまる。すると、夢の世界はそんな虹夏の心に反応して世界を暗く冷たく閉してしまう。
こうなってしまえば、もう、夢の寄生虫でも虹夏の元に向かえない。
この夢の世界は虹夏が起きようと強く、心の底から思わなければ目覚めることはできない。このままだと現実の虹夏は永遠に目覚めることはできないだろう。
「…………」
暗く冷たく人のこない夢の中で虹夏はただただ泣いていた。 - 192二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 01:31:13
虹夏ちゃん…
- 193二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 09:42:29
保守
- 194二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 12:13:22
泣いてる女の子を救いに来るのはいつだってヒーローの役目だろう
そうだろ?ギターヒーロー - 195二次元好きの匿名さん23/03/31(金) 22:57:16
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- 196二次元好きの匿名さん23/04/01(土) 01:08:55
「……」
遠くから何かが壊れる音が聞こえてきた。……もう、何もしたくない。私は顔を膝に埋めて目を閉じた。
「…………」
何かが割れる音が聞こえてきた。さっきよりも心なしか近く聞こえる。どうでもいい。私は暗闇の中に溶けていく。
「………………」
ガシャンと、何かが壊れる音が聞こえた。さっきよりもすっと近い。私は顔上げて何もないはずの暗闇を見つめた。
その時、目の前の暗闇が音を立てて砕けた。まるで窓にボールが投げ込まれたようにガシャンと音を鳴らして。
「きゃあー!? な、なになになに!? なんなの!?」
「ーーよかった。ようやく見つけました……虹夏ちゃん」
「ぼっちちゃん……?」
暗闇を壊したのはぼっちちゃんだった。彼女の手にはギターが握られている。ギターの表面はボロボロでそれを持つぼっちちゃんもボロボロだった。
「っ」
ボロボロのぼっちちゃんを見て、私の脳裏にあの光景が蘇る。駄目だ。このままだとまたぼっちちゃんを傷つけちゃう。もう私のせいでぼっちちゃんを傷つけるはいやだ!
「虹夏ちゃん!」
「っ……離してぼっちちゃん! これ以上ぼっちちゃんを傷つけたくない! もう、私のせいで誰か傷つくのは嫌なの……嫌われたくないの……もう、もう、何もしたくないの……!」
逃げようとした私をぼっちちゃんが引き止めた。彼女の手を振りほどきたいのにできない。ポロポロと情けなくも涙がこぼれた。そんな私をぼっちちゃんは、遠慮がちに抱きしめた。
「……虹夏ちゃんは凄いです」
私は凄くなんかない。やることなすこと失敗ばかり。私が我儘を言ったからお姉ちゃんは家に帰らなくなった。お母さんが帰ってこないのもきっと私が我儘で悪い子だからだ。
「虹夏ちゃんは凄いです」
それでもぼっちちゃんは言葉を重ねた。抱きしめる力が少し強くなる - 197二次元好きの匿名さん23/04/01(土) 01:27:30
「私は指に止まることができませんでした。昔から私なんてと自分に自信がもてなくて、失敗するのが嫌で、どうしても行動に移せませんでした。でも、虹夏ちゃんは違います」
「……私、全然すごくなんかない」
「あの日、虹夏ちゃんが私を見つけてくれました。指に止まれない私の手をひっぱってくれました。虹夏ちゃんが居てくれたからリョウさんも喜多ちゃんも……私も、結束バンドがあるんです。だから虹夏ちゃんは凄いんです」
「でも、私失敗しちゃった……ぼっちちゃんを傷つけた」
「人は誰だって失敗します。私なて失敗ばかりです。それでも人は前を向いて失敗を反省しながら、次の旅にでないといけないんです」
「旅……?」
「はい……と言ってもこれ猫さんの受け売りなんてすけどね」
そう言うとぼっちちゃんは、いつもと変わらない優しい笑顔を浮かべて立ち上がる。離れていく人肌が少しだけ恋しくなる。でも、寂しさはない。だって、ぼっちちゃんが私に向かって手を伸ばしてくれたから。
「だから行きましょう。私たちの旅を続けましょう。今度はリョウさんや喜多ちゃんも一緒に」
「……」
私は泣きながらぼっちちゃんの手を掴み立ち上がる。気がつけば私の体は子供の姿から元の姿に戻っていた。
「あの……あのね……酷いことしてごめんね……?」
「はい」
私はこれまでのことをぼっちちゃんに謝って、一緒に歩き出す。見れば、ぼっちちゃんが壊した暗闇の先に、光の道ができていた。 - 198二次元好きの匿名さん23/04/01(土) 01:32:04
「あの……ぼっちちゃん? どこに連れてくの?」
「大丈夫です。みんながいるところだから虹夏ちゃんもきっと気に入ります。……帰りましょう。私たちの世界へ!」
【ふたりぼっち東京 完】 - 199二次元好きの匿名さん23/04/01(土) 01:54:13
帰れたようで良かったね
ふたりぼっち東京ってタイトル好き
お疲れ様でした - 200二次元好きの匿名さん23/04/01(土) 02:17:57
後日談書いてくれてもエエぞ
面白かった!