- 1二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:29:22
「トレーナーさん。今日の夜は空いていますか……？」
トレーニング終わりの夕暮れ時、カフェはそう尋ねてきた。
「空いてるけど、どうした？」
「……今日、ようやく花が咲きます」
それは二年前、カフェがトレーナー室に持ち込んだものだった。
どうしても、とのことなのでそのままそこで育てていたのだ。
「それで、開花を一緒に見届けたいと」
「はい……。あれは、今日しか咲かない花ですから……」
「……分かった。じゃあ、今日の夜はお花見だね」
「ええ……。楽しみにしています……」 - 2二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:29:43
───そして現在、薄黄色の蕾を前に、俺たちは珈琲を飲んでいる。
月明かりの差し込む部屋、その光に花は照らされている。
「カフェ、これは何て名前の花なんだ？」
「……まだ、秘密です」
「……そう、じゃあ待つしか──あっ」
それは、まるで糸がほどけるかのようだった。
四方に広がる花弁が、謙虚に、儚げにその存在を主張する。
ほのかに柑橘が香るなか、カフェが口を開いた。
「…………この花の名前は、マツヨイグサ」
「たった一晩、一夜だけ花を咲かせることからつけられた花言葉は──」
そこまで言って彼女は黙る。
「……花言葉は？」
見ると、彼女は口に指をあてている。
“言えない”らしい。
詮索はやめて、花を眺める。
吐き出しかけた言葉を珈琲で飲み込めば、後に残るのは沈黙だけ。
彼女の影は、揺れていた。 - 3二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:43:19
花言葉ググってきた
複数あるけど言えないって事はそういう事かぁ……
いい…… - 4二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:45:53
カフェは花も似合うね…いい…
- 5二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:19:36
うう…ビューティフル
- 6スレ主21/11/17(水) 21:49:25
- 7二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 21:58:59
- 8スレ主21/11/17(水) 22:51:02
- 9二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 23:17:30
- 10二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 23:32:58
こういう雰囲気好きだなぁ
- 11二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 07:04:19
あっさりかと思ったら意外と強烈だった…好き…
- 12二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 17:14:18
ううむ、問題の答えやいかに…
- 13スレ主21/11/18(木) 18:01:15
今日の20時ごろに答えを出します。お楽しみに。
- 14スレ主21/11/18(木) 20:02:16
時間ですので答えです。
結論から言うと、答えは”おまじない”です。
人知れず咲いて、また人知れず枯れることから”無言の愛情”や”打ち明けられない恋”というマツヨイグサの花言葉は作られました。
こんな由来なので、そのまま花を渡すのでは想いを伝えるどころか悲恋になってしまうわけです。
そこでカフェはポジティブな意味合いでこの気持ちを伝える方法を考えました。
思いついたのは人知れず咲くという部分を消すこと、すなわち開花を見せることでした。
開花を見せることは今からアナタに告白します、という意思表示であり、また想い人に想いが伝わり、受け取ってもらえるように願った一種のおまじないだった、ということです。
こじつけっぽいですがこれが私の解釈です。 - 15二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 20:29:52
そういうことかぁ
人知れず咲くから打ち明けられない恋なのであれば、見せれば愛の告白、かぁ……考えてるなぁ
実にロマンチックだ……それにあえて直球の花言葉をもつ花を選ばないところがカフェっぽい気がする
- 16二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 21:34:03
健気だ…可愛い…