- 1123/03/11(土) 21:07:08
- 2二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:08:03
このレスは削除されています
- 3123/03/11(土) 21:08:10
- 4123/03/11(土) 21:10:32
- 5123/03/11(土) 21:11:54
- 6123/03/11(土) 21:12:14
はて。
自分たちの現在の状態を俯瞰的に考えてみる。
・最近照明を取り替えたサニー号の食堂。
・テーブルに並べられた料理の山。
・料理を食べる一味のみんな。
・椅子に座るルフィ。
・その膝の上に座る私。
うーん…
「そうかな?」「こんなもんじゃねェか?」
「近いわ!」ビシィ! - 7123/03/11(土) 21:12:50
「落ち着いてよウソップ…オーバーだなあ。
幼馴染なんだからこれくらい普通だって」
「ぜってー普通じゃねーぞ…」
「まあウソップ。野暮なこと言うもんじゃねェだろ」
「ゾロ。お前までどうした」
「はいルフィ。あーん」
「うめェ」モグモグ
「そういうとこだぞ!?」 - 8123/03/11(土) 21:13:39
「いいかウタ。普通の幼馴染は、相手を膝に乗せて食事はしねェ」
「そう?」
特等席って感じでお気に入りなんだけどな。
「向かい合って食べさせ合わねェ」
「そう?」
じゃあ、どうやって食べさせ合えばいいんだろうか。隣に座るのかな。
「一緒に着替えねェ」
「そう?」
手の届きにくいホックとか付け外ししてくれて便利だけど。
「2人で風呂に入らねェ」
「そ…う?」
洗いっこするの楽しいと思うんだけどな…
「同じベッドで眠らねェ」
「そ…うかも…?」
でも一人だと寂しいもん… - 9123/03/11(土) 21:18:29
- 10123/03/11(土) 21:21:10
そんなことがあった日の夜。
「明かり消すよー」
「おー」
部屋が静かな暗闇に包まれる。今日も良く歌った…
ルフィ率いる麦わらの一味(ルフィの通り名は“麦わら”らしい。最高!)
のみんなはとても聴き上手で、私も歌っていて楽しい。
「明日は何を歌おうかな…」
そんなことを考えつつ、ルフィのベッドの中にもぞもぞ入り込む。 - 11123/03/11(土) 21:22:19
- 12123/03/11(土) 21:23:25
「おれの方こそ、ありがとな」
ルフィの言葉に、自然と笑みが浮かんだ。
誰かと一緒に寝られるって、とっても幸せだと思う。
自分以外の存在がいるんだって分かって。
お互いの温もりがじんわりと伝わって。
目を閉じる前に─おやすみを言える。
「ルフィ…おやすみ」
「くかー…」 - 13123/03/11(土) 21:24:06
「…」ピシッ
「ぶわっ!何すんだウタ!」
「ルフィ、おやすみ」
「お前のせいで目が覚めたんだぞ!?」
「すー…」
「おい!寝ようとすんな!」
「もー、うるさいなー!寝れないじゃん!」
「今のはお前が悪りぃだろ!」
「ちょっとくらい空気読みなよ!」
「何の話だ!」
(((((((他の部屋でやってくんねェかな…))))))) - 14123/03/11(土) 21:26:02
- 15123/03/11(土) 21:26:40
「でも、いいの?私たちだけで、こんな良い部屋使っちゃって」
「いいってことよ!むしろ使ってくれ。…ところでお前ら」
「ん?」「なーに?」
「なんだその体勢」
ああ、これか。
フランキーに言われるまで半分くらい忘れかけていたが、
現在私はルフィにお姫様抱っこされているのだ。 - 16123/03/11(土) 21:27:05
「フランキー、これには訳があんだ」
「そうか」
「夜、寝てるルフィが私の上に乗っかってたみたいでさ…足が痺れちゃったんだ」
「だからおれがウタを抱えて代わりに歩いてんだ!」
「そりゃあ仕方ねェな」
「まあもう痺れは引いたんだけど」
「そりゃあ仕方なくねェな」 - 17123/03/11(土) 21:31:22
- 18123/03/11(土) 21:33:23
- 19123/03/11(土) 21:33:50
「男女のアレコレについてもちゃんと知ってたのよねー…」
「分かっていてあの近づきっぷりなのね」
「“ルフィは私に手出したりしないよ!”ですって」
「それはそうでしょうね。ルフィだもの」
「…あと、“ルフィだったら手を出してくれてもいいかな”って」
「…あらあら」
「誰がノロけろっつったァ!」ドン!
「落ち着いてちょうだい。テーブルに罪はないわ」 - 20123/03/11(土) 21:35:43
- 21二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:40:31
恋人のフリ…?
- 22123/03/11(土) 21:41:25
- 23123/03/11(土) 21:42:12
散々勝負した後(今日は私が勝ち越した)、夜も更けたので
私とルフィの新しい寝室に転がり込む。
「とうっ!」
勢い良くベッドにダイブ!ぼふん。ゴロゴロ。
そのまま体を伸ばして新しいベッドを堪能する。
「ん~…」
ふこふこしていて気持ち良い。シーツの肌触りはすべすべでマシュマロのようだ。
120点!
前のルフィ用のベッドよりサイズが大きいので、広々と寝られそう…
2人で寝やすいように、気を利かせてくれたのかな?
ありがたい。
ヘッドフォンを外して枕元に置き、靴と靴下を脱ぐ。 - 24123/03/11(土) 21:42:51
「おーいウタ。消すぞー」
「うん、いいよ」
月明かりだけが光源になった部屋で、ルフィがベッドに腰を下ろす。
「…」
「?」
表情を見るに考え事をしているようで、どこか上の空だ。
寝ないのかな──と思っていると、黙ったまま私の髪を触り始めた。
くすぐったいけど、されるがままにしておく。
「どう?私の髪」
「…サラサラしてんな」 - 25123/03/11(土) 21:48:45
「手入れしてるからね。これでも歌姫だし」
「…ウタ」
「んー?」
「お前、おれ以外の奴に、こんな風に髪触らせるか?」
「…え?」
コイツらしくもない質問にやや面食らうが、ちょっと考えてみる。
「他の人には…まあ、触らせないかな」
「そうか」
「…」
体を起こし、ルフィの隣に座る。
「何考えてるの。聞かせてよ」 - 26123/03/11(土) 21:50:23
- 27123/03/11(土) 21:50:56
「…!へー、アンタがそんなこと考えるなんてね」
予想外の答え。
明日は雪かな。(この海の気候なら十分あり得る)
ルフィは続ける。
「コイビトって、好きな奴どうしのことだろ?
おれとウタが恋人だったとして…今となんか変わんのか?」
「うーん、どうだろ…」
確かに…何か変わるのだろうか?
友だちとしての好意と、恋人としてのそれが違うことくらい、
私だって聞いたことがあるけれど、正直ピンと来ない。 - 28123/03/11(土) 21:52:15
友だちと、恋人。
分かりやすい違いと言えば、男女の仲かどうかかな…?
そんな単純なものではないのかもしれないけど、
如何せんそういった経験がないから見当がつかない。
経験が──
「…」
「ウタ?」
じゃあ、経験があったら?
目を閉じて、浮かんだアイディアを吟味する。
うん、うん、よし。 - 29123/03/11(土) 21:53:56
- 30二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:57:35
- 31二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:58:23
タイトル回収
- 32123/03/11(土) 22:00:43
ちょっぴりドキドキしながら反応を待つ。
「…?」
首を傾げるルフィ。こっちは照れくさいのを我慢してるのに…
相変わらず鈍いなコイツ。
「恋人ごっこ?」
「うん。今だけ、アンタと私で恋人になってみるの」
一晩だけ。
その気になって、接しあってみるんだ。
で、恋人にしかできないことをイロイロする、と。
“ルフィと恋人だったら?”
そんな疑問も、実際に“そういうこと”をしたらハッキリするだろう。 - 33123/03/11(土) 22:01:29
「そうすりゃ、確かに分かるな」
「でしょ?」
我ながら、名案だと思う。
…こんなこと、ルフィにしか聞けないけど。
「良いのか」
「ん?」
「初めてだろ、ウタ。お前、おれで良いのか?」
「良いけど」
バカだなあ。嫌だったら、言い出したりしないでしょ。 - 34123/03/11(土) 22:02:47
- 35123/03/11(土) 22:07:46
夜闇の中、密やかに距離が消えていく。
指と指が絡まると、じんわりとした温かさが伝わって、
私の方が少し体が冷えていたのだと気が付いた。
「…」
「…」
分厚くてごつごつした手の感触に、男らしさを感じる。
記憶の多くを占めるルフィの手は、もっと小さかったのに。
あれから12年経ったんだ、当たり前だよね。
恋人らしいこと…
暫し逡巡した後、目を閉じ顔を寄せる。
「ん」
意図を汲んでくれたルフィが私の体を抱き寄せ、
刹那、ふに、と唇が触れ合う感覚。
「…」
軽い口づけを終え瞼を上げると、ルフィの顔がすぐそばにある。
目の前の表情に何かたまらないものを感じて、今度は私からキスした - 36123/03/11(土) 22:10:33
両腕を深く差し込み、ぎゅうっと抱きしめる。
やっぱり、強く、でも優しく抱きしめ返してくれた。
嬉しい。
ルフィの温かさを全身で感じたくて、腕に力が籠る。
(こういう時、胸がジャマだなって思う)
ハグはいつもしているけど、今夜は恋人としてのハグだ。
首元に顔をうずめ、匂いを嗅ぐ。
あー落ち着く。
すりすり。
「…」
私の体を支えていた腕が解かれ、優しく押し倒される。
あ、大きいベッドで良かった。
覆い被さっているルフィの顔を見つめる。
何か渋っているような表情。
…まだ躊躇してるな?
「ウタ、おれ」
「しーっ」
ルフィの口に人差し指を当てて黙らせる。
言いたいことは大体分かってる。つもりだから。 - 37123/03/11(土) 22:11:30
- 38二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:12:23
ひゃー…
- 39二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:22:12
ひゃー……!
- 40123/03/11(土) 22:35:32
- 41二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:42:44
果たして今夜だけで終われるかな…?
- 42二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:44:33
てぇてぇ……てぇてぇ……ポロッ
本気で涙が流れた。なんでだろう。
他のスレではこんなに泣かなかったのに…
すげぇよ、すげぇ……
ただただ尊い…ただただ温かい…
てぇてぇ……!! - 43二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:44:45
溶けていいですか?ふぇぁ~
- 44二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 01:57:35
このレスは削除されています
- 45二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 01:59:37
このレスは削除されています
- 46二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 03:40:17
素晴らしいSSに出会えた…
ひゃー… - 47二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 04:54:25
ごっこじゃ終われない
- 48二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 08:51:04
こりゃどっぷりハマってしまうな
- 49二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 09:35:22
てえてえ
- 50二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 19:28:59
ひゃー…
- 51123/03/12(日) 20:50:44
- 52123/03/12(日) 20:56:11
喜んでいるのは私の心だろうか、それとも体?
どっちでも良いかな。どっちも良いな。
名前を付けることのできない心情が、胸をくすぐる。
「…ふふ」
ルフィと心でも体でも繋がっている感じがして、どうにも笑みが収まらない。
腕を組み換え、再び抱きしめなおす。
求めあっていた時とは違う感情から、もう一回キスをした。 - 53123/03/12(日) 20:58:06
- 54123/03/12(日) 21:01:33
- 55123/03/12(日) 21:06:00
その後、何度も、何度も、くたくたになるまで交わって、
私とルフィの恋人ごっこはようやく終わった。
「疲れたー…」
「無理させちまったか?」
「全然。気持ち良さの方が強かったし」
「そうか」
「ねぇねぇ、私と恋人するの、どうだった?」
「…すげェ良かった」
「そ。私も」 - 56123/03/12(日) 21:08:32
- 57123/03/12(日) 21:11:47
翌朝。
「ルフィ!今日の勝負はババ抜き!
最後までジョーカー(ドフラミンゴカード)握ってた方の負けね!」
「よーし!今日もおれが勝つぞ!」
「何言ってんの!昨日は私の勝ちだったじゃん!」
「いや!ズルした分を抜いたらおれの勝ちだ!」
「ズルとは人聞きが悪いなルフィ!頭を使ったんだよ!」
「ズルはズルだろ!」
「騙される方が悪いでしょ、ガキなんだからー!」
「ぐぬぬぬ…!手加減しねェからな!」
「生意気!望むところだよ!」 - 58二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 21:13:40
このレスは削除されています
- 59123/03/12(日) 21:18:24
少し離れたテーブル席。
「2人きりにしたら、なんか変わると思ったんだけどねェ…」
「どうやら進展ナシ、ね」
「はぁ…どうすりゃ良いのよ」
「別に、下手にけしかける必要はないんじゃないかしら」
「永遠に友だちやってそうね」
「…そのうち、いつの間にかくっついてるかもしれないわよ」
「そう?あれ見てもそう思う?」
「おいウタ!往生際が悪りぃぞ!手を離せ!」
「ふんぬぬぬ…」
「もう諦めろ!おれの勝ちだ!」
「ズルい!見聞色はズルだ!」
「騙される方が悪いんだろ!」
「ぐぎぎぎぎ…!次は負けないから!」
「次もおれが勝つ!」
「よーし良い度胸だねルフィ!次の勝負は…」 - 60123/03/12(日) 21:23:40
- 61123/03/12(日) 21:24:41
そんなこんなで、また夜はやってくる。
「ルフィー、明かり消すよー」
「おーう」
明かりが消えると、窓枠がベッドに影を落とした。
今日もたくさん勝負したし、たくさん歌った。
「明日も楽しみだな…」
呟きながら、毛布の中にもぞもぞと入り込む。
すぐにルフィの腕が迎えてくれた。 - 62123/03/12(日) 21:29:27
- 63123/03/12(日) 21:44:41
友だちだとしても、恋人だとしても。
ルフィはルフィで。
私は私。
幼馴染って関係も、大切に想う気持ちも、絶対なくならないから。
お互い安心して寄りかかれるんだ。
ちょっとやそっと名前を変えたくらいじゃ、
2人の繋がりはビクともしない。
言葉にすればチープだけれど、“愛し合ってる”って信じている。
恥ずかしくって、言葉にできないけど。
いつでもアンタはそばにいてくれる。
いつでもアンタのそばにいてあげる。 - 64123/03/12(日) 21:45:09
「…」
「…」
「…」
「…全然眠くならないんだけど」
「おれもだ」
「お昼寝し過ぎたね…」
「甲板がポカポカだったからなァ」
「うん、私たちじゃなくてお日様が悪い!」
「なんじゃそりゃ」 - 65123/03/12(日) 21:46:14
- 66二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:04:14
このスレに出会えてよかった
- 67二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:06:26
最高の二人だ…
- 68二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:18:56
ひゃー…完全に夫婦の距離感…
- 69二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:26:24
良きタイトル回収!
- 70二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:27:16
良作ありがとうございました
- 71二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:28:55
君たち恋人ごっこという建前でイチャイチャしたいだけだろ!?
まあもう夫婦みたいもんだしいっか(?) - 72二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:29:31
完走まで勢いあったしルフィが結構シリアスなのも珍しかったね
- 73二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:31:08
すげえ
- 74二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 23:30:21
そうそうコレだよコレって言うかこの何とも言えない「ルフィとウタ」としか言いようのない独特の距離感と関係性こそがやっぱりルウタの醍醐味なんだよな……って改めて再確認しました
素敵なSS読ませて頂いてありがとう - 75二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 01:23:23
その内夫婦ごっこもしそうだなこの二人!
- 76二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 02:47:06
いや、このまま行くと三人ですることに・・・
- 77二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 07:18:44
支
- 78二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 16:14:55
俺はスレ主を王にする
良作をありがとうございました