【CP・SS・閲覧注意】夢中

  • 1123/03/11(土) 21:07:08

    「恋人ごっこ、しようか」

  • 2二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:08:03

    このレスは削除されています

  • 3123/03/11(土) 21:08:10

    とある日の昼食。
    「ルフィ。ほっぺにソースついてるよ」
    「ん」
    「全く~子どもだねー!」フキフキ
    「おいウタ。お前もソースつけてるぞ」
    「え!噓!」
    「全く~ガキだなー!ししし!」フキフキ
    「む~!」

  • 4123/03/11(土) 21:10:32

    「お!それうまそうだな!半分くれよ!」
    「食べかけなんだけど…まあいいよ、はい」
    「うわ!ありがとう!」ムシャムシャ
    「美味しい?」
    「…うんめェ~!」
    「ふふ、良かった」
    「?なんでお前が喜ぶんだ」
    「アンタが美味しそうに食べるから」
    「そうか!んじゃ、うまそうに食うからそっちの肉もくれ!」
    「ダメ!これは私の!」モグモギュッ
    「あー!?」

  • 5123/03/11(土) 21:11:54

    カチャリ。
    「なあルフィ、ウタ。ちょっといいか?」
    徐に食事の手を止めたウソップが、どこか歯がゆそうに話を切り出す。
    「どうしたウソップ」「どうしたの」
    私とルフィも料理をほおばる手を休め注目。
    「前から思ってたんだけどよ」
    なんだろう。深刻そうな雰囲気だ。
    「…お前らって距離感近過ぎねェか?」

  • 6123/03/11(土) 21:12:14

    はて。
    自分たちの現在の状態を俯瞰的に考えてみる。
    ・最近照明を取り替えたサニー号の食堂。
    ・テーブルに並べられた料理の山。
    ・料理を食べる一味のみんな。
    ・椅子に座るルフィ。
    ・その膝の上に座る私。
    うーん…
    「そうかな?」「こんなもんじゃねェか?」
    「近いわ!」ビシィ!

  • 7123/03/11(土) 21:12:50

    「落ち着いてよウソップ…オーバーだなあ。
    幼馴染なんだからこれくらい普通だって」
    「ぜってー普通じゃねーぞ…」
    「まあウソップ。野暮なこと言うもんじゃねェだろ」
    「ゾロ。お前までどうした」
    「はいルフィ。あーん」
    「うめェ」モグモグ
    「そういうとこだぞ!?」

  • 8123/03/11(土) 21:13:39

    「いいかウタ。普通の幼馴染は、相手を膝に乗せて食事はしねェ」
    「そう?」
    特等席って感じでお気に入りなんだけどな。

    「向かい合って食べさせ合わねェ」
    「そう?」
    じゃあ、どうやって食べさせ合えばいいんだろうか。隣に座るのかな。

    「一緒に着替えねェ」
    「そう?」
    手の届きにくいホックとか付け外ししてくれて便利だけど。

    「2人で風呂に入らねェ」
    「そ…う?」
    洗いっこするの楽しいと思うんだけどな…

    「同じベッドで眠らねェ」
    「そ…うかも…?」
    でも一人だと寂しいもん…

  • 9123/03/11(土) 21:18:29

    確かに、よくよく考えてみれば私とルフィの距離感は、うん、
    一般的な感覚からすると、ちょっとだけ近いのかもしれない。
    ちょっとだけね。
    「いや、全然ちょっとじゃねェよ!なんも知らない連中がお前らを見たらなァ」
    「見たら?」
    「十中八九、カップルかなんかだと勘違いするだろうな」
    おお、その発想は無かった。流石ウソップ!
    もし私たちが恋仲だと勘違いされたら…


    されたら…


    「「…何か困る?」」
    「もういいです」

    何かを投げ出したかのようなウソップの言葉で、
    この話は締め括られたのだった。

  • 10123/03/11(土) 21:21:10

    そんなことがあった日の夜。
    「明かり消すよー」
    「おー」
    部屋が静かな暗闇に包まれる。今日も良く歌った…
    ルフィ率いる麦わらの一味(ルフィの通り名は“麦わら”らしい。最高!)
    のみんなはとても聴き上手で、私も歌っていて楽しい。
    「明日は何を歌おうかな…」
    そんなことを考えつつ、ルフィのベッドの中にもぞもぞ入り込む。

  • 11123/03/11(土) 21:22:19

    「ちょっと寒いね」
    「だな」
    毛布の中でルフィに抱きつき、胸元に顔を埋める。
    (何も言わず抱きしめ返してくれるのがちょっと嬉しい)

    あーあったかい…
    どく、どく、と鼓動が近く感じられて、
    真っ暗な中でも一人じゃないという安心感に心が安らぐ。
    距離感が近いと思われようが、この心地良さは他に代えがたい。
    「ありがとね、ルフィ」
    「何がだ?」
    「一緒にいてくれて」

  • 12123/03/11(土) 21:23:25

    「おれの方こそ、ありがとな」

    ルフィの言葉に、自然と笑みが浮かんだ。
    誰かと一緒に寝られるって、とっても幸せだと思う。
    自分以外の存在がいるんだって分かって。
    お互いの温もりがじんわりと伝わって。
    目を閉じる前に─おやすみを言える。

    「ルフィ…おやすみ」





    「くかー…」

  • 13123/03/11(土) 21:24:06

    「…」ピシッ
    「ぶわっ!何すんだウタ!」
    「ルフィ、おやすみ」
    「お前のせいで目が覚めたんだぞ!?」
    「すー…」
    「おい!寝ようとすんな!」
    「もー、うるさいなー!寝れないじゃん!」
    「今のはお前が悪りぃだろ!」
    「ちょっとくらい空気読みなよ!」
    「何の話だ!」








    (((((((他の部屋でやってくんねェかな…)))))))

  • 14123/03/11(土) 21:26:02

    翌朝。
    「アーウ!ルフィ!ウタ!こっちに来てくれ!」
    「どーしたのフランキー」
    「お前ら2人用の寝室を作ったぞ!」
    「?なんでだ?」
    「気にすんな!クルーみんなの総意だ!今日からは男部屋じゃなくてこっちで寝てくれ!」
    「まーいいけどよ」
    「ねぇフランキー、昨日までこんな部屋なかったよね…?」
    「オウ!さっき作ったからな!」
    「すごっ!?」

    建築ってそうだっけ!?そんなあっさり工事できるもんなんだ…
    いや、多分フランキーが凄いだけだ。私のステージ施工なんて数ヶ月かかったし。
    流石ルフィの仲間というか、いやはや…

  • 15123/03/11(土) 21:26:40

    「でも、いいの?私たちだけで、こんな良い部屋使っちゃって」
    「いいってことよ!むしろ使ってくれ。…ところでお前ら」

    「ん?」「なーに?」
    「なんだその体勢」

    ああ、これか。
    フランキーに言われるまで半分くらい忘れかけていたが、
    現在私はルフィにお姫様抱っこされているのだ。

  • 16123/03/11(土) 21:27:05

    「フランキー、これには訳があんだ」
    「そうか」
    「夜、寝てるルフィが私の上に乗っかってたみたいでさ…足が痺れちゃったんだ」
    「だからおれがウタを抱えて代わりに歩いてんだ!」
    「そりゃあ仕方ねェな」
    「まあもう痺れは引いたんだけど」
    「そりゃあ仕方なくねェな」

  • 17123/03/11(土) 21:31:22

    実を言えば1時間以上前からもう自分で歩けるんだけど、
    居心地が良かったので、そのまま抱えてもらっている。
    良きかな、良きかな。

    「お前らなァ…」
    フランキーはどこか呆れた様子で頭をポリポリかいている。
    ん?何、ルフィ。

    「おいウタ、それ早く言えよ」
    「まあまあ。もうちょっと運んでくれたっていいじゃん」
    「自分で歩け!」
    「行け―!ルフィ号!」
    「話を聞け!」

  • 18123/03/11(土) 21:33:23

    少し離れたテーブル席。

    「あれで付き合ってないんだものねェ…」
    「そうね。年頃の男女にしては距離が近いわ」
    「はぁ…」
    「どうしたのナミ」
    「…ルフィに限ってないとは思うけど、アイツだって一応男でしょ?
     あのコ、そこんとこ良く分かってないんじゃないかと思って色々聞いてみたのよ」
    「ウタは少し幼いところがあるし、ああいう生い立ちだものね」
    「そうそう」
    「で、どうだったの?」
    「普通に知ってたわ…結構踏み込んで聞いたんだけど」
    「あら、意外」

  • 19123/03/11(土) 21:33:50

    「男女のアレコレについてもちゃんと知ってたのよねー…」
    「分かっていてあの近づきっぷりなのね」
    「“ルフィは私に手出したりしないよ!”ですって」
    「それはそうでしょうね。ルフィだもの」
    「…あと、“ルフィだったら手を出してくれてもいいかな”って」
    「…あらあら」
    「誰がノロけろっつったァ!」ドン!
    「落ち着いてちょうだい。テーブルに罪はないわ」

  • 20123/03/11(土) 21:35:43

    「ルフィに聞いても似たような答えだったのよ。…もう、さっさとやることやれ!」
    「まあいいんじゃないかしら。あの2人にはあの2人のペースがあるんでしょう」
    「そうだけど、横から見てると…焦れったい」
    「ふふふ、とってもお似合いだものね」
    「ロビンは楽しそうねー」
    「見ていて飽きないもの…あら、今度は釣りを始めるみたいよ」
    「仲良しねーホント…」
    「突然の事故で2人とも溺死しないといいけど…」
    「想像が暗すぎる」

  • 21二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:40:31

    恋人のフリ…?

  • 22123/03/11(土) 21:41:25

    「私の釣った魚の方が大きい!」
    「何言ってんだ!おれの奴の方が大きかっただろ!」
    「アンタが食べちゃったから比べられないんじゃん!」
    「…」モグモグ
    「よーし。じゃ、釣った数で勝負しよう!」
    「おれの方がたくさん釣った!」
    「私の方が多いでしょ、ほら!」
    「エビやカニを数にいれるのはダメだろ!魚じゃねェぞ!」
    「私は“釣った数”としか言ってないもん」
    「ずりぃぞ!」
    「出た!負け惜しみぃ!」

  • 23123/03/11(土) 21:42:12

    散々勝負した後(今日は私が勝ち越した)、夜も更けたので
    私とルフィの新しい寝室に転がり込む。

    「とうっ!」
    勢い良くベッドにダイブ!ぼふん。ゴロゴロ。
    そのまま体を伸ばして新しいベッドを堪能する。

    「ん~…」
    ふこふこしていて気持ち良い。シーツの肌触りはすべすべでマシュマロのようだ。
    120点!
    前のルフィ用のベッドよりサイズが大きいので、広々と寝られそう…
    2人で寝やすいように、気を利かせてくれたのかな?
    ありがたい。

    ヘッドフォンを外して枕元に置き、靴と靴下を脱ぐ。

  • 24123/03/11(土) 21:42:51

    「おーいウタ。消すぞー」
    「うん、いいよ」

    月明かりだけが光源になった部屋で、ルフィがベッドに腰を下ろす。

    「…」
    「?」

    表情を見るに考え事をしているようで、どこか上の空だ。
    寝ないのかな──と思っていると、黙ったまま私の髪を触り始めた。
    くすぐったいけど、されるがままにしておく。

    「どう?私の髪」
    「…サラサラしてんな」

  • 25123/03/11(土) 21:48:45

    「手入れしてるからね。これでも歌姫だし」
    「…ウタ」
    「んー?」
    「お前、おれ以外の奴に、こんな風に髪触らせるか?」
    「…え?」

    コイツらしくもない質問にやや面食らうが、ちょっと考えてみる。

    「他の人には…まあ、触らせないかな」
    「そうか」
    「…」

    体を起こし、ルフィの隣に座る。

    「何考えてるの。聞かせてよ」

  • 26123/03/11(土) 21:50:23

    「んー…昨日ウソップに言われたことだ」
    「距離感が近いって話?」
    「おれたちがコイビトみてェに思われるって」
    「言ってたね」

    私としては、他の人にどう思われたとしても別に構わないのだが…
    ルフィはそうでもないのだろうか?だとしたら意外だけど。

    「勘違いされるのが嫌?」
    「いんや、そうじゃねェ」
    「?」

    「ウタとコイビトになったら、どんな感じだろうって考えてた」

  • 27123/03/11(土) 21:50:56

    「…!へー、アンタがそんなこと考えるなんてね」

    予想外の答え。
    明日は雪かな。(この海の気候なら十分あり得る)

    ルフィは続ける。
    「コイビトって、好きな奴どうしのことだろ?
     おれとウタが恋人だったとして…今となんか変わんのか?」
    「うーん、どうだろ…」

    確かに…何か変わるのだろうか?
    友だちとしての好意と、恋人としてのそれが違うことくらい、
    私だって聞いたことがあるけれど、正直ピンと来ない。

  • 28123/03/11(土) 21:52:15

    友だちと、恋人。
    分かりやすい違いと言えば、男女の仲かどうかかな…?
    そんな単純なものではないのかもしれないけど、
    如何せんそういった経験がないから見当がつかない。
    経験が──

    「…」
    「ウタ?」

    じゃあ、経験があったら?
    目を閉じて、浮かんだアイディアを吟味する。

    うん、うん、よし。

  • 29123/03/11(土) 21:53:56

    「ルフィ。私とアンタが恋人だったらどうなるか、気になるんだよね」
    「おう」

    「私も興味あるんだ。恋人がいたら…どんな感じなんだろう、って」
    「そうか」

    「だからさ」

    膝に置かれている手に自分の手を重ね、体を寄せる。
    カーテン越しのぼやけた月が私たちを照らす。





    「恋人ごっこ、しようか」

  • 30二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:57:35
  • 31二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 21:58:23

    タイトル回収

  • 32123/03/11(土) 22:00:43

    ちょっぴりドキドキしながら反応を待つ。

    「…?」

    首を傾げるルフィ。こっちは照れくさいのを我慢してるのに…
    相変わらず鈍いなコイツ。

    「恋人ごっこ?」
    「うん。今だけ、アンタと私で恋人になってみるの」

    一晩だけ。
    その気になって、接しあってみるんだ。
    で、恋人にしかできないことをイロイロする、と。
    “ルフィと恋人だったら?”
    そんな疑問も、実際に“そういうこと”をしたらハッキリするだろう。

  • 33123/03/11(土) 22:01:29

    「そうすりゃ、確かに分かるな」
    「でしょ?」

    我ながら、名案だと思う。
    …こんなこと、ルフィにしか聞けないけど。

    「良いのか」
    「ん?」
    「初めてだろ、ウタ。お前、おれで良いのか?」
    「良いけど」

    バカだなあ。嫌だったら、言い出したりしないでしょ。

  • 34123/03/11(土) 22:02:47

    「…アンタこそ、良いの?」

    こくり、と頷くルフィ。
    珍しく真剣な表情を見せ、呟く。

    「お前が良い」
    「…」

    かちり。
    それを聞いて、私の中で何かのスイッチが入る。

    「オーケー。じゃあ…やろうか」





    そうして、長い夜が始まった。

  • 35123/03/11(土) 22:07:46

    夜闇の中、密やかに距離が消えていく。
    指と指が絡まると、じんわりとした温かさが伝わって、
    私の方が少し体が冷えていたのだと気が付いた。

    「…」
    「…」

    分厚くてごつごつした手の感触に、男らしさを感じる。
    記憶の多くを占めるルフィの手は、もっと小さかったのに。
    あれから12年経ったんだ、当たり前だよね。

    恋人らしいこと…
    暫し逡巡した後、目を閉じ顔を寄せる。

    「ん」

    意図を汲んでくれたルフィが私の体を抱き寄せ、
    刹那、ふに、と唇が触れ合う感覚。

    「…」

    軽い口づけを終え瞼を上げると、ルフィの顔がすぐそばにある。
    目の前の表情に何かたまらないものを感じて、今度は私からキスした

  • 36123/03/11(土) 22:10:33

    両腕を深く差し込み、ぎゅうっと抱きしめる。
    やっぱり、強く、でも優しく抱きしめ返してくれた。

    嬉しい。

    ルフィの温かさを全身で感じたくて、腕に力が籠る。
    (こういう時、胸がジャマだなって思う)
    ハグはいつもしているけど、今夜は恋人としてのハグだ。
    首元に顔をうずめ、匂いを嗅ぐ。

    あー落ち着く。
    すりすり。

    「…」

    私の体を支えていた腕が解かれ、優しく押し倒される。
    あ、大きいベッドで良かった。
    覆い被さっているルフィの顔を見つめる。
    何か渋っているような表情。
    …まだ躊躇してるな?

    「ウタ、おれ」
    「しーっ」

    ルフィの口に人差し指を当てて黙らせる。
    言いたいことは大体分かってる。つもりだから。

  • 37123/03/11(土) 22:11:30

    仰向けの体勢のまま、いたずらっぽく笑いかける。

    「ダメ」
    「…」
    「ちゃんと恋人しなよ」

    私を大事にしてくれるのは嬉しい限りだけど、
    こんな時くらい何も気にしないでほしい。
    両手でルフィの頬を撫で、じっと視線で誘う。

    「今夜だけだから、ね?」










    暗転。

  • 38二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:12:23

    ひゃー…

  • 39二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:22:12

    ひゃー……!

  • 40123/03/11(土) 22:35:32
  • 41二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:42:44

    >>37

    果たして今夜だけで終われるかな…?

  • 42二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:44:33

    てぇてぇ……てぇてぇ……ポロッ

    本気で涙が流れた。なんでだろう。
    他のスレではこんなに泣かなかったのに…
    すげぇよ、すげぇ……
    ただただ尊い…ただただ温かい…

    てぇてぇ……!!

  • 43二次元好きの匿名さん23/03/11(土) 22:44:45

    溶けていいですか?ふぇぁ~

  • 44二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 01:57:35

    このレスは削除されています

  • 45二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 01:59:37

    このレスは削除されています

  • 46二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 03:40:17

    素晴らしいSSに出会えた…
    ひゃー…

  • 47二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 04:54:25

    ごっこじゃ終われない

  • 48二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 08:51:04

    こりゃどっぷりハマってしまうな

  • 49二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 09:35:22

    てえてえ

  • 50二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 19:28:59

    ひゃー…

  • 5123/03/12(日) 20:50:44

    「…」
    「…」

    ふっと身体から力が抜け、ルフィにしな垂れかかる。
    夜の涼しさが急に戻って来て、汗でぐっしょり濡れていることに今更気がついた。
    身体に籠った熱がゆっくり逃げていき、呼吸が正常なリズムを取り戻す。
    けれど、抱きしめられている幸福感だけは一向に引く様子がなくて、それが嬉しかった。

    「…ありがと」
    「なんで、お前が礼言うんだ」
    「今、すっごい幸せだから」
    「…そうか」

  • 5223/03/12(日) 20:56:11

    喜んでいるのは私の心だろうか、それとも体?
    どっちでも良いかな。どっちも良いな。
    名前を付けることのできない心情が、胸をくすぐる。

    「…ふふ」

    ルフィと心でも体でも繋がっている感じがして、どうにも笑みが収まらない。
    腕を組み換え、再び抱きしめなおす。
    求めあっていた時とは違う感情から、もう一回キスをした。

  • 5323/03/12(日) 20:58:06

    「ねぇ、あのさ」

    恋人なんだから、言っちゃってもいいよね。


    「好き。ルフィ、いつも大好きだよ」


    私の言葉を受けた幼馴染の目が一瞬見開かれ、嬉し気に細められた。


    「…おれも、お前が好きだ。ずっと」


    知ってる。
    だと言うのに、そう言ってくれるのが嬉しくて嬉しくて、
    目尻から熱いものが零れそうになる。

    「…」
    「…」

    抱き合ったまま暫し、静寂が2人を満たしてくれる。

  • 5423/03/12(日) 21:01:33

    「…」
    「…」

    ルフィの体を引き寄せ、そっと、優しく耳に口づけする。
    拙いお誘いだけど。
    私の胴に回されている両腕が、ピクリと震えた。



    耳元で囁く。

    「まだ夜は終わってないけど。…一回で、いいの?」

    「…」

    「んっ、」

    延長戦、開始。

  • 5523/03/12(日) 21:06:00

    その後、何度も、何度も、くたくたになるまで交わって、
    私とルフィの恋人ごっこはようやく終わった。


    「疲れたー…」
    「無理させちまったか?」
    「全然。気持ち良さの方が強かったし」
    「そうか」
    「ねぇねぇ、私と恋人するの、どうだった?」
    「…すげェ良かった」
    「そ。私も」

  • 5623/03/12(日) 21:08:32

    明け透けに言って、体がメチャクチャ気持ち良いのもそうなんだけど、
    はっきり“好き”って口にしてもらえるのが嬉しいって言うか、
    求められてる感じがお腹にぞわぞわクるって言うか、
    アンタに夢中になっちゃったよねルフィ」
    「明け透けに言い過ぎじゃねェか!?」
    「隠すようなことでもないし」
    「…うん、確かに」
    「でしょ」
    「んー…友だちとは、やっぱちげーな」
    「こーいうのも、たまには良いかもね」
    「たまにはな」
    「噓。いつでも良いよ」
    「…考えとく」
    「あはは。…ルフィ」
    「ウタ」



    「「おやすみ」」

  • 5723/03/12(日) 21:11:47

    翌朝。

    「ルフィ!今日の勝負はババ抜き!
     最後までジョーカー(ドフラミンゴカード)握ってた方の負けね!」
    「よーし!今日もおれが勝つぞ!」
    「何言ってんの!昨日は私の勝ちだったじゃん!」
    「いや!ズルした分を抜いたらおれの勝ちだ!」
    「ズルとは人聞きが悪いなルフィ!頭を使ったんだよ!」
    「ズルはズルだろ!」
    「騙される方が悪いでしょ、ガキなんだからー!」
    「ぐぬぬぬ…!手加減しねェからな!」
    「生意気!望むところだよ!」

  • 58二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 21:13:40

    このレスは削除されています

  • 5923/03/12(日) 21:18:24

    少し離れたテーブル席。

    「2人きりにしたら、なんか変わると思ったんだけどねェ…」
    「どうやら進展ナシ、ね」
    「はぁ…どうすりゃ良いのよ」
    「別に、下手にけしかける必要はないんじゃないかしら」
    「永遠に友だちやってそうね」
    「…そのうち、いつの間にかくっついてるかもしれないわよ」
    「そう?あれ見てもそう思う?」



    「おいウタ!往生際が悪りぃぞ!手を離せ!」
    「ふんぬぬぬ…」
    「もう諦めろ!おれの勝ちだ!」
    「ズルい!見聞色はズルだ!」
    「騙される方が悪いんだろ!」
    「ぐぎぎぎぎ…!次は負けないから!」
    「次もおれが勝つ!」
    「よーし良い度胸だねルフィ!次の勝負は…」

  • 6023/03/12(日) 21:23:40

    「望みは薄そうね」
    「でしょ?…もう、ほっとこうかしら」
    「結局、本人たちに任せるしかないでしょう」
    「はぁ…ま、そうよね」
    「あの2人が恋愛し始めたら面白そうだけれどね」
    「想像つかないわー…」
    「でも…あの関係がずっと続くのも、それはそれで素敵じゃないかしら」
    「うん、まあ、そうかもしれないわね」
    「もしかしたら、突如としてお別れになるかもしれないけど」
    「想像が暗すぎる」

  • 6123/03/12(日) 21:24:41

    そんなこんなで、また夜はやってくる。

    「ルフィー、明かり消すよー」
    「おーう」

    明かりが消えると、窓枠がベッドに影を落とした。
    今日もたくさん勝負したし、たくさん歌った。

    「明日も楽しみだな…」

    呟きながら、毛布の中にもぞもぞと入り込む。
    すぐにルフィの腕が迎えてくれた。

  • 6223/03/12(日) 21:29:27

    「今日はあったかいね」
    「お前と一緒だからな」
    「バカ。そういうことじゃないよ」

    それも間違っちゃいないけど。
    首をもたげ、ルフィと目を合わせる。

    「ありがとね」「ありがとな」

    示し合わせたわけでもないのに、言葉が重なる。
    通じ合っている感じが愛しいやらおかしいやら、
    ふっ、と笑ってしまった。

    大好き。

    「ルフィ」
    「ウタ」



    「「おやすみ」」

  • 6323/03/12(日) 21:44:41

    友だちだとしても、恋人だとしても。

    ルフィはルフィで。
    私は私。

    幼馴染って関係も、大切に想う気持ちも、絶対なくならないから。
    お互い安心して寄りかかれるんだ。
    ちょっとやそっと名前を変えたくらいじゃ、
    2人の繋がりはビクともしない。
    言葉にすればチープだけれど、“愛し合ってる”って信じている。
    恥ずかしくって、言葉にできないけど。



    いつでもアンタはそばにいてくれる。
    いつでもアンタのそばにいてあげる。

  • 6423/03/12(日) 21:45:09

    「…」
    「…」
    「…」
    「…全然眠くならないんだけど」
    「おれもだ」
    「お昼寝し過ぎたね…」
    「甲板がポカポカだったからなァ」
    「うん、私たちじゃなくてお日様が悪い!」
    「なんじゃそりゃ」

  • 6523/03/12(日) 21:46:14

    しかし参ったな…瞼を閉じても一向に眠れる気配がない。
    ひたすら暇だ。

    「ねぇルフィ」
    「なんだ」
    「眠くなるまで面白い話しなよ」
    「無茶ぶりすんな!」
    「なんかないのー?冒険譚とかさ」
    「お前にはあらかた話しちまったしなァ…」
    「仕方ないなー…じゃあさ、今夜も」










    「恋人ごっこ、しようか」

    END

  • 66二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:04:14

    このスレに出会えてよかった

  • 67二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:06:26

    最高の二人だ…

  • 68二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:18:56

    ひゃー…完全に夫婦の距離感…

  • 69二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:26:24

    良きタイトル回収!

  • 70二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:27:16

    良作ありがとうございました

  • 71二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:28:55

    君たち恋人ごっこという建前でイチャイチャしたいだけだろ!?


    まあもう夫婦みたいもんだしいっか(?)

  • 72二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:29:31

    完走まで勢いあったしルフィが結構シリアスなのも珍しかったね

  • 73二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 22:31:08

    すげえ

  • 74二次元好きの匿名さん23/03/12(日) 23:30:21

    そうそうコレだよコレって言うかこの何とも言えない「ルフィとウタ」としか言いようのない独特の距離感と関係性こそがやっぱりルウタの醍醐味なんだよな……って改めて再確認しました
    素敵なSS読ませて頂いてありがとう

  • 75二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 01:23:23

    その内夫婦ごっこもしそうだなこの二人!

  • 76二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 02:47:06

    >>75

    いや、このまま行くと三人ですることに・・・

  • 77二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 07:18:44

  • 78二次元好きの匿名さん23/03/13(月) 16:14:55

    俺はスレ主を王にする
    良作をありがとうございました

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています