ウイと先生がイチャイチャする妄想を吐き出します

  • 1ウイかわいい大好きマジ愛してる23/03/15(水) 20:52:09

    「珍しいですね、先生の方から私を呼ばれるなんて…」
    ウイはそう言うと、何か用事でもあったのか?と言いたげな目で私を見つめてきた。
    断られたらどうしよう…と微かな不安を抱きながら私は彼女に一言の提案をする。
    「ウイ、今日は用事とかじゃなくて…ウイと一緒にお出かけがしてみたいな…と、思ったり…して…」
    お出かけ、という単語を聞いた途端、一瞬眉をしかめるウイを見て、言葉が尻すぼみになってしまう。
    「ど、どう……かな?嫌じゃなければでいいんだけど」
    おそるおそる聞いてみる。しかし彼女は私の不安とは裏腹に、その提案に肯定的だった。
    「まぁ先生となら…別に構いませんが…でも、あの…行くなら、その…できるだけ、屋内の方がいいです」
    仕方なく行く、というのをアピールするような言い回しをしているが、瞳はいつもに増してキラキラしていて、早く行きたくてたまらないと思っているのは火を見るよりも明らかだった。
    そんないつもは見られないウイの様子に、ついフフッと笑いが漏れる。
    するとウイはムッとした顔で、「何がおかしいんですか?」と聞いてくる。
    そんなウイの頭を2、3度ポンポンと撫でて、私はウイとシャーレのドアをくぐるのだった。

  • 2二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 20:53:00

    また君か
    それはそうと良い妄想だ

  • 3二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 20:55:27

    映画とか観に行きたいよね、普段本ばかりなんだけどこういった形の表現もまたいいものですねとか思いつつも素直に言うと何度も連れ出されそうだから悪くはないですけど…ぐらいに抑えた感想だといい

  • 4ウイかわいい大好きマジ愛してる23/03/15(水) 21:08:50

    太陽が緩やかに照る午後の通りを歩きながら、「どこに行くのですか?」とウイが問いかけてくる。大通りを通ったほうが近いのにわざわざ回り道をしているのは、ウイがしんどく感じるかもしれないという配慮と、ウイと少しでも一緒に居たいという私欲からだった。
    私はウイのその問いかけに優しく応える。
    「そうだね、本屋さんに新しい本を見に行くのもいいし、あ!あとこの前一緒に読んだ小説が映画になったみたいで、それも一緒に観たいな…とか」考えるより先に、頭の中に貯め込んでいたウイと行きたい場所、やりたいことが口から飛び出していく。ウイも興味津々といった様子で私の言葉に耳を傾ける。
    そんな彼女を見て、不意にポロッと「かわいいな」という言葉が口をついて出てしまった。物凄い勢いでそっぽを向いて、耳まで赤くなっているウイを見て、私の頬も気恥ずかしさから赤くなってしまった。

  • 5二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 21:11:13

    あーウイと一緒に毎日を過ごしたい…

  • 6ウイかわいい大好きマジ愛してる23/03/15(水) 21:37:17

    歩くこと十数分、ウイの息が切れてきたので、公園で少し休憩することにした。
    すみません…と申し訳なさそうにしているウイに、大丈夫だよ、と声をかける。実は私も息さえ切れていないもののそこそこ体力が尽きていた。
    「日頃からもう少し体を動かしていれば…」と呟くと、彼女は少しからかうような顔で「先生も結構歩き疲れていらしたんですね」と微笑んだ。その彼女が初めて見せる表情に思わず見惚れてしまう。じっと私に見つめられているのに気付くと、「な、なぜそんなに見つめるんですか…!?」とまた勢いよくそっぽを向いてしまった。
    「ごめん、ウイの顔に見惚れちゃって」と考え無しにそう言うと、ウイの頭からボンッ!と音がした…気がした。

  • 7ウイかわいい大好きマジ愛してる23/03/15(水) 22:07:00

    もうしばらく歩くと、目的地の一つであるこじんまりとした映画館が見えてきた。
    チケットを2枚買い、シアターの中へ入る。
    中にはほとんど、いやまったく人はおらず、
    完全に私とウイ、二人だけの空間になっていた。
    二人でじっと待っている内にシアターの明かりが消え、辺りは完全な暗闇に包まれる。
    そしてそれと同時に、正面のスクリーンに映像が映り始める。これから上映されるのは、二人の男女のふとした出会いから始まる、優しく、暖かく、そして儚い恋の物語だ。前にウイと原作を一緒に読んで、一晩中感想を語り合ったこともある、私のお気に入りの本だ。あの日は私もウイもその本について語らうのに夢中で、気がつくとカーテンの向こうで日が昇っていたっけ。
    その後二人でほぼ丸1日寝過ごして、シミコにこっぴどく怒られたのを覚えている。

  • 8ウイかわいい大好きマジ愛してる23/03/15(水) 23:16:44

    とても悲しい内容だが、最後にヒロインと主人公が結ばれてハッピーエンドを迎えるこの物語を、ウイも私もとても愛していた。二人で何度も何度も読んだ原作は、ウイの手によって丁寧に管理されていながらも、所々にその時の流れを感じさせるようになっていた。
    そんなことを思い出している内に、映画は終局を迎えようとしていた。暮れていく夕日を背景に、二人が互いの愛を確かめ合うクライマックス。その情景は、二人で文章を読みながら、頭の中でカタチにしていた風景そのものだった。
    肘掛けに置いていた自身の手に何かが触れるのを感じてふと隣を見ると、ウイが私の手の甲に手を重ねながら、少しすすり泣いていた。
    そうだ、初めてウイとこの物語を読んだときも、ウイは同じシーンで、同じように泣いていたな…
    本の内容が映像として目に映る度に、それを読んでいるときの記憶も蘇っていくのを感じる。
    そして上映が終わり、エンドロールが流れ、館内にまた、優しい色の誘導灯が灯る。それでいてなお、私もウイもその余韻にしばらく立ち上がれずにいた。

  • 9二次元好きの匿名さん23/03/15(水) 23:22:03

    物凄い長編で笑う
    俺は好きだから続けてくれ

  • 10ウイかわいい大好きマジ愛してる23/03/16(木) 00:14:42

    それから映画館を出て、感想を語り合うために近場のカフェに入った。二人でコーヒーを頼み、届いたそれを飲みながら映画について語らうこの時間。普段は古書館でしている事も、外でするとこうも違うものなのか、と新鮮な気持ちになる。
    ウイはというと、興奮冷めやらぬといった様子でパンフレットをぱらぱらと捲りながら私に感想や考察を語りかけてくる。
    そんな彼女の愛らしい仕草に気を取られていると、その本人がムッとした顔でこちらを見ているのに気がついた。「どうしたの?」とそう問いかけると彼女は「ちゃんと聞いているんですか?」と少し怒ったような顔でこちらを覗き込む。
    「ああ、聞いてる。聞いてるよ」
    咄嗟にそう答えたのだが、それが逆に誤魔化しに聞こえたのか(まあ実際3分の1程度しか頭に入ってなかったのは事実だが)さっきよりムッとした顔で「適当言わないでください」と言われてしまった。「今日のウイは表情豊かだね」となんとなく私がそう言うと、「話を逸らそうとしてます?」と怪訝な顔をされてしまった。
    しかしそれでも、その顔はなんだか満更でもなさそうな様子だった。

  • 11二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 00:18:06

    ウイが色々な表情を見せてくれるってだけですごい幸せな気分になるな

  • 12ウイかわいい大好きマジ愛してる23/03/16(木) 07:21:19

    しばらく映画について語り合い、頃合いを見て店を出た。
    時間の流れは意外と早いもので、もう街の中には夕日が差し込んでいた。
    オレンジ色の夕日が辺りを照らす中、ゆったりとした足取りでまた閑静な路地を歩く。
    しばらく黙って歩いていると、ぽつりぽつりとウイが言葉を紡ぎ始めた。
    「私…こうやって誰かと映画を見たり…一緒にお出かけしたり…今まで、全ッ然、ホントに全ッ然好きじゃなかったんですけど、今日、先生から連絡を貰って、久しぶりに自分から古書館を出て、先生に、その、デーt…お、お出かけのお誘いを頂いて、その…と、とても嬉しかったんです。いつもなら、誰かとこれだけの時間を一緒に過ごす、っていうのは、その…とても苦痛で、すごく苦手だった…というよりは、今もそんなに好きじゃないんですけど…でも、先生と一緒にいる時だけは、そんな苦痛も、辛さも、全然感じなくって…いつもなら重い外の道を歩く足取りも、先生と一緒だとなんだか浮足立っちゃって…以前にも、こんな漠然とした、ふわふわした気持ちの話をしましたけど、何というか…その…まだこの気持ちの名前はわからないですけど、これが、先生と一緒に過ごすこの時間が、先生と一緒に居て感じるこの気持ちが…私にとっての幸せなんだと…思うんです」

  • 13ウイかわいい大好きマジ愛してる23/03/16(木) 18:30:45

    ウイの言葉に耳を傾けながら、その横顔を見つめてみる。彼女は自身の想いを言葉に変換するのに必死で、私の視線にまるで気付いていないみたいだった。ようやく話し終わった時、やっと私の視線に気がついたウイが、一瞬目が合った後物凄い勢いで目を伏せて逸らしてしまった。
    ちょっとやりすぎたかな、なんてふと思っていたら、ポケットから出した手に冷たい感触を感じた。夕立か、と思うよりも早く雨は勢いよく降り始めてしまった。
    私はウイにコートを掛けてやり、とりあえず雨を凌ぐために二人で急いで適当な建物に逃げ込んだのだった。

  • 14二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 02:39:05

    ほしゅ

  • 15二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 14:09:15

    逃げ込んだ先は小さな本屋だった。
    店主のおじいさんが小さく「いらっしゃい」と言う。
    「雨もしばらく止みそうにないし、しばらくここで本でも見ながら待とうか」とウイに話しかけると、ウイはこっちを見ずに静かに頷いた。
    その顔がなんだか赤くなってるように見えて、「どこか具合でも悪い?」と聞いたら、彼女は恥ずかしそうに小さな声で
    「コートから…先生の匂いが…」といったきり顔を伏せてしまった。
    しばらく洗えてなかったから臭かったかな…と、年甲斐もなくちょっとシュンとしてしまった。

  • 16二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 00:24:59

    そのまましばらく、ウイと本をいろいろ見ながら過ごした。彼女はとても楽しそうに話をしてくれた。あの本の内容、この本の魅力…結局私はウイのプレゼンにノせられてすごく大量に本を購入してしまった。置き場もないし、ユウカにどう説明したものか…なんて考えていたら、いつの間にか雨は上がり、雲間から虹が顔を覗かせていた。
    「虹ですよ!」とウイが珍しく楽しそうな声を上げる。ちょっと走って虹に寄ろうとしたウイは、数十メートルほど走ったところで息を切らしていた。まあ…私も人のことは言えないけど。
    「ウイ、こっち向いて」ふと思い立って、ウイに声を掛ける。「なんですか?」とこっちを振り向いたウイを逃さずシャッターに収める。カシャッと小気味よく鳴り響いたシャッター音に驚いたウイは、少し目を丸くして硬直した後、私の所に来て「……何撮ってるんですか」と少し不満気な様子で聞いてきた。「ウイが綺麗でつい…」と素直に白状すると、何故かウイはまた顔を真っ赤にしたあと、それなら先生と虹の写真も私に撮らせろと言って聞かなかった。
    仕方ないし、せっかくだからとウイと二人で虹との写真を沢山撮った。
    後で印刷して飾っておこう、と心の中でこっそり決めた。

  • 17二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 11:08:47

    雨上がりの空の下をウイと歩いているとふと、ぐぅ、とお腹の鳴る音が聞こえた。パッとウイの方を見ると、また顔を真っ赤ににして恥ずかしそうにしている。「……晩御飯でも食べに行こうか?」
    できるだけ控えめに聞いたのがちょっと嫌だったのか、軽く殴られてしまった。まぁもっとも、彼女の渾身のパンチはぺちっ、と情けない音を上げたきりだったのだが。
    色々なお店を比べた結果、二人でちょっと高級そうなレストランに入った。
    ウイは「もっと安いところでいいですから」と言っていたのを私が半ば強引に連れて行ったのだ。
    「私なら大丈夫だから、気兼ねせず好きなの選んで」と言ってみても最初は遠慮がちに値段の安いメニューばかりを見ていたが、最終的には空腹のほうが遠慮に勝ったようで、あれ食べたいとか、これ食べたいとかを沢山言ってくれて、私はなんだか嬉しくなった。
    まあ結局二人で三人前ほどの量を食べてしまい、私は領収証を見て少し青ざめたのだが。

  • 18二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 19:30:39

    「夕ごはんも食べたし、そろそろ帰らないとね」
    もうとっくに日は暮れ、辺りは建物の光で騒がしくなっていた。
    「ウイ、どうだった?今日1日いろんな所に行ったけど、楽しかったかな?」なんとなくそう聞いてみる。しかし彼女はずっと俯いて黙ったまま、何も言ってくれない。「ねぇウイ…?」何も言わない。何か機嫌を損ねてしまうような事をしてしまっただろうかと不安になっていると、唐突にシャツの裾をキュッと掴まれた。「ウイ…?」
    「……せんせい、私の…私のわがまま…聞いてもらえませんか?」そう、街の喧騒にかき消されそうなほど小さな声で呟く。「わがまま……言ってみて?」
    「……私まだ、帰りたくないです。もう少し先生と……一緒にいたい…です。」ウイにしては珍しいその言葉に、つい目を丸くしてしまう。
    「ダメ…ですか?」
    これまた初めて見る、お願いするような目で私を見つめるウイ。
    「ふふっ…いいよ、ウイ。君がそうしたいなら、もう少し一緒に居ようか」

  • 19二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 20:07:59

    ウイキチが今日も元気で嬉しいよ

  • 20二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 22:23:40

    私がそう言うと、途端にウイの顔がぱっと明るくなり、そのすぐあと恥ずかしそうに目を逸らしてしまった。
    「ウイはどこか、行きたいところとかあるの?」と私が聞くと、う〜ん…としばらく唸った後に「私にはちょっぴり分からないので…先生に任せます」と言われてしまった。仕方ないのでどこかいい場所が無いか記憶を彷徨ってみるものの、結局私もう〜ん…と唸る羽目になってしまった。

    結局なんやかんやで、港の近くにやってきた。観光地にもなっており、夜景が綺麗な場所だと書かれていたのをどこかで読んだのだ。
    そしてその情報に違わず、その港から眺める景色はとても綺麗だった。
    人だかりのある場所から離れ、私達二人以外誰もいない港の端までやってきて、対岸を眺める。
    向こう岸で光る建物の明かりがとても幻想的で、私もウイも言葉を忘れてその景色に魅入っていた。
    「……まるで、夢の中みたいです」
    ぽつり、ウイが誰に言うでもなくそう呟いた。
    「……そうだね、夢みたいだ」
    私も、それとなく返答をする。
    「誰かと一緒に、これだけの時間を過ごしたのは、先生が初めてです。」
    互いに海を見ながら、目を合わせることなく会話だけが続く。
    「……私も、実はこれだけ一日中一緒にデートしたのは、ウイが初めて。」
    港の岸にゆっくりと二人で腰を下ろす。
    「デーt…っ!?あう……本当に……先生って人は………///」
    船の汽笛が遠くでボー…と聞こえる。
    「ねぇ先生」「何?ウイ」
    「もし先生がよければ…これからもたまに…ここに来ませんか?この時間、この場所に。ここなら私達以外は、ほとんど誰かが来る事もなさそうですし…それに静かで優しくて、落ち着きますし…何より」
    「私と二人の秘密の場所だもんね」
    そう私が言うと、ウイはそっと地面に置かれた私の手の甲に、自身の手のひらを重ねる。
    そしてその手をきゅっと優しく握りこむと、こちらを向いて、緩やかに微笑んだのだった。

  • 21二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 09:27:54

    「さ、名残惜しいかもだけど、そろそろ帰らなきゃ」私がそう切り出すと、ウイはさっきと違って晴れやかな声で
    「……そうですね、帰りましょう」と言った。
    「改めて…ウイは今日1日、どうだった?」
    さっきは途切れてしまった質問を、もう一度かけてみる。「今日は………とても、楽しかったです。沢山の楽しいこと、知らないことを知れました。この綺麗な夜景も、あの小さな劇場も、静かな本屋も…そして、いつもと違う私も。」
    「そっか、それは良かった。」

    「だからまた、絶対に一緒に行きましょうね。2回でも3回でも、何度でも何度でも……」
    「…うん、もちろん。」

    二人はゆっくりと歩き出す。
    「もう遅いし、一応私が古書館まで付いていくよ。」
    そう私が言うと、ウイはポケットの中の私の手に自身の手を絡ませて…「そのまま一緒に泊まります?なんて」と言って、いたずらっぽくフフッと笑った。これまたいつもと違う大胆なウイに、私は何故かドキリとしてしまったのだった。

  • 22二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 13:47:41

    ウイとのお出かけからしばらく経ったある日。
    その日は雲一つ無い青空で、気温も高くなんだか蒸し暑い日だった。私は用事でトリニティに行った後、なんとなくついでに古書館に寄っていく事にした。
    ……しまった。古書館の前まで来た所で、モモトークに連絡するのを忘れていた事に気がついた。
    仕方ないのでそのままドアをノックする事にした。
    コンコン。反応がない。
    ゴンゴン。少し強く叩いても反応は無い。
    「ウイー?」さらに強めにノックしながら呼びかけてみる。するとギィッ…と音を立ててドアが開いた。鍵をかけていなかったのだろうか?ウイにしては珍しいな…そんなことを思いながら古書館の中に入っていく。すると中ではウイが床にぐったりと倒れ伏していた。

  • 23二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 16:47:26

    「ウイ!?」驚いて駆け寄る。触れた彼女の手のひらがなんだか熱い。「熱中症か…」汗だくのウイをソファに寝かせ、コンビニに走って氷と飲料を買う。
    「んぅ……あれ…せんせい……?」しばらく側で看病してやると、彼女はゆっくりと目を覚ました。「って先生!?どうしてここに!!??」完全に意識を取り戻したウイはとても驚いた様子で驚愕の声を上げる。それもそうだ、彼女の中で本来私はここにいるはずがないのだから。
    私はとりあえず……看病のためとはいえ勝手に服の胸元を緩めたりしたことを謝った。ウイは言われて初めて自身の服装の状態に気がつくと、物凄い顔をして隠すように腕を胸の前で交差させ縮こまってしまった。
    私が呆気にとられていると、彼女はそのまま顔だけをこちらに向け、「どうして先生がここに…?」と蚊の鳴くような小声で尋ねてきた。
    私はここに至るまでの経緯をざっと説明した。
    ウイはまだ少し納得がいかない顔をしながらも、「ま、まぁ…おかげで助かったのは事実ですし……そ、そこは一応感謝しておきます。あ、ありがとうございました。」と、また小さく呟いたのだった。

  • 24二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 01:36:53

    「それで…ウイはなんで倒れてたの?」となんとなくそう聞いてみると、ウイはなんだか恥ずかしそうに「その…本を、読んでて…それが、とっても面白い本だったので……その、でも、すごく長い本で……えっと、飲み物を飲むのも忘れて、没頭してたので………」
    思った通りの理由で、なんだかウイらしいなと笑ってしまった。するとウイは可愛らしく頬を膨らませて「もう、なに笑ってるんですか!」と怒ってしまった。
    「ごめんごめん、なんだかウイらしいな…と思ってさ」と出来るだけオブラートに包んで弁明すると「もう私は騙されませんよ、できる限りオブラートに言ってますけど、実際は『コイツ思った通りだなープププ』とか思ってたんじゃないですか?」とさらに怒らせてしまった。「違、そんな…ご、ごめんよウイ」と素直に謝ると彼女は「私はそんなに甘くないですよ、そうですね……じゃあ今度は私が水飲みを忘れないように、先生が一緒に見ててください」と要求されてしまった。そんなウイを見て私はついポロッと「今日のウイはなんだか大胆だね」とか言ってしまい、頬を赤らめたウイにぺちっと殴られてしまった。

  • 25二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 10:40:23

    その後はウイと、一日中本を読んで過ごした。
    古書館の冷蔵庫には、心配になるレベルで飲み物がなかったので、
    ウイのために頑張ってレシピを覚えたアイスアメリカーノを作ってみた。
    お世辞にもあんまり美味しいとは言えなかったけど、それでも彼女は嬉しそうにそれを飲んでくれた。その笑顔があまりにも眩しくて、私もつい目を細めてしまった。
    そうして日が暮れた頃、ウイと軽い別れの挨拶をして古書館を出…る前に、「今度からは倒れないよう気をつけなよ」と軽く頭を撫でてやった。
    私の突然の行動に驚いたのか、急いで後ずさるウイ。私はなんだかムキになって、ドギマギするウイを逃がさないように両手でワシワシと頭を撫でる。
    彼女は最初、照れと驚愕と困惑が入り混じったような顔をしていたが、満更でもなかったようでなんだかフニャッとした顔で笑っていた。
    相変わらず可愛かった。
    そしてふにゃふにゃのままのウイと別れて帰路についてから、私は大量のモモトークの未読通知とフラッシュバックする今日の予定に青ざめるのだった。

  • 26二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 16:35:03

    「海に行こう!」「嫌です」

    「えぇ〜…なんでぇ…?」大人気なく不平をブーブーと漏らす私にちょっぴり冷たい目を向けながら、「先生もよく知っていらっしゃるでしょう?私が外に出ることと暑いのの両方嫌いなことも」と、絶対に行きたくないとでも言わんばかりにキッパリ言い放つウイの脚に縋りついて「それはそうだけどさぁ……」と粘る私。
    これではどっちが大人なんだか、といった呆れた表情で大きなタメ息を吐きながら「なんでそんなに私を海に連れて行こうとするんですか」と聞いてくるウイに食らいつくように即答する「だって海とウイとか絶対似合うし綺麗だよ!!?それにこんないい天気の夏の日に引き篭もってるなんて勿体無いって!あとウイの水着姿とか絶対可愛いしえっちじゃん!!」
    しまった、後半つい本音が出た。「水着の下りが本音ですよねどうせ」しかも見抜かれてる。「は、はい………」おとなしく認める私。
    「はぁ……変態ですね」容赦のない一言が胸に突き刺さる。

  • 27二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 17:15:55

    「…………ですがなんだか気が変わりました。海水浴………はしませんけど、海の近くで本を読むのも新鮮で楽しそうです。」くるっとこちらを振り向きながらそういうと、ウイは私に「だからいつまでも私の足に引っ付いてないで、早く準備してください」と言ってくれた。私は舞い上がってウキウキで事前に準備していた荷物を背負う。「えらく準備がいいですね…」と若干引かれつつも、そうして私達は外に繰り出したのだった。

    二人並んで電車に揺られる。車内には私達の他に数人しかおらず、その静かな車内にガタンゴトンと電車の走る音のみが一定のリズムを刻み続ける。隣のウイは早速読書に夢中といった様子で、私や外には見向きもせず目で文字を追っている。
    陽射しが向かいの窓から私達の膝に降り注ぐ。そして幾駅か過ぎた後、1時間程度かけて目的の駅に到着したのだった。

  • 28二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 02:03:05

    終点、目的の駅に辿り着き車両から出ると、ホームの向こうは見渡す限りの海が広がっていた。とても綺麗で透き通った、美しい海だ。私はその絵画のような風景になんだか舞い上がってしまい、子供のようにはしゃぎながら暑さにうんざりした顔のウイの周りをチョロチョロしていた。
    私達はまず駅から出て、とりあえず海を見に行くことにした。これほど綺麗な海なら、観光地として人がそれなりにいてもおかしくなさそうなものだが、そこら一帯にまるで人の姿はなくなんだか奇妙な感覚を覚えた。
    まあそんなことはさておき、私は波打ち際までなんとなく近寄ってみることにした。
    寄せては返す波の一定の周期がなんとも心地よく、自然とその場に座り込んでしまった。
    ウイも私のあとを追って、隣までやってきた。
    「そんなところに座ってたら、お尻濡れちゃいますよ…?」と、心配そうに話しかけるウイに「いいんだよ別に、ちょっと濡れるぐらい」と返す。
    まあ内心は、替えのズボンも無い状態なのでお尻が濡れる自体はなんとしても避けたかったのだが。

  • 29二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 10:36:57

    結局波が自分の座ってる場所ギリギリまで流れてきて、思わずビビって離れてしまった。その後二人で適当な岩場の上に座り、いろいろな話をした。最近の出来事や思い出、面白かった本の話なんかだ。話の内容はいつも古書館でしているものと大差はないが、海でこうして話しているだけでなんだか特別なことをしている気分になった。そこで私は、なんとなく行けそうな気がしたのでそれとなく、せっかくの夏の海だし水着でも着て水遊びでもする?と聞いてみたが、やっぱり全力で拒否されてしまった。
    仕方がないので私はおもむろに岩場から離れ、靴を脱いでズボンを捲り上げ、海に足を浸けた。海水はひんやりと冷たく、結構心地よかった。
    「ウイもこっち来なよ」と割としつこく呼んでみる。

  • 30二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 11:09:44

    何がこのスレ主をここまで駆り立てるんだ

  • 31二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 22:25:18

    私とウイとの間で続いたしばらくの無言の攻防は、ウイが折れることで決着がついた。彼女は靴とタイツをそっと脱ぎ、スカートを濡れないように少し捲りあげて恐る恐る海に足を浸けた。
    爪先が水面に付いた途端、その冷たさに驚愕して全身をぶるるっと震え上がらせる。その動きがなんだか小動物みたいで、私はつい吹き出してしまった。
    すると彼女は私のもとに勢い良くやってきて、少ししゃがんだかと思ったら手で掬った水を思い切り私に浴びせてきた。
    バシャッ!水の音が弾けて私を濡らす。「やったな!!」負けじと私もかけ返す。その応酬は次第に激しさを増し、いつの間にかウイも私もそこそこびしょ濡れになっていた。

  • 32二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 03:05:48

    そのあとしばらく二人で冷たい海を堪能したあと、服が海水でビチャビチャになってしまったので服屋で替えの服を買うことにした。
    ウイは白いパーカーに制服とよく似たロングスカートを、私は安売りされてた簡単なジャージを選んだ。私が代金を支払い終えると、ちょうど試着室で着替えを終えたウイが出てきた。いつもの制服とは違うウイの姿に、なぜだかしばらく目を離すことができなかった。
    「よく似合ってるよ」となんとなく声をかけると、なんだか嬉しそうな顔をしていた。

  • 33二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 14:03:46

    店から出てもなお、あたりは綺麗な空と海の青がどこまでも広がっているのみだった。
    私達はとりあえず、このままびしょ濡れの服を持って帰るわけにも行かないからとコインランドリーにいく事にした。
    ランドリーにも相変わらず人はおらず、少し不気味に感じるほど静まり返っていた。
    洗濯機に服を放り込み、お金を入れスイッチを押す。すると洗濯機のドラムは一定のリズムを刻み始める。ゴウン…ゴウン…というその音だけが静かなランドリーに響く。
    二人で並んで座っていると、ふとウイが「これなら…水着でも持ってくればよかったですね」と、ボソッとつぶやいた。私は驚いてつい、「ウイも水着とか持ってるんだね」と言ってしまった。
    「長いこと着ていないですから、サイズが合うかはわかりませんが、一応。」とウイ。
    それに私が「じゃあ今度は、ちゃんと水着で海水浴しないとね」と言うと、彼女はふわりと笑って、「ふふ、そうですね」と言ったのだった。

  • 34二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 20:12:50

    妄想SSスレでもこんだけ長いのは初めて見たかもしれん。このまま突き進んでくれスレ主

  • 35二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 03:59:27

    日が暮れ始めるとあたりの雰囲気は昼間とはより一層がらりと変わって見えた。
    夕日が海面に乱反射して、水面がきらきらと光っていた。
    私達は昼間座っていた岩場にまた並んで座り、何をするでもなく海を眺めていた。
    ふとウイが「今日、ここまでわざわざやってきた甲斐がありました」と言った。
    「そうだね、ウイと二人でこの景色を見られただけで、心から来てよかったと思えるよ」
    と、私もそう返す。
    「さっき、今度来るときは水着で…と言いましたよね?」
    「?…そうだね」
    「実は私、さっき言っていた水着っていうのはスクール水着で…普通の水着、持ってないんですよ」
    「…そか、まあ私はスク水姿のウイも見てみたいけど。」
    冗談めかしてそう言う。
    「そこで、先生に頼みごとがあるんです。また近いうちに、一緒に水着を選んでもらえませんか?」ウイからの突然の提案に、さしもの私も少々驚いてしまった。
    「私でいいのかい?」と聞くと、ウイはすぐさま「先生だからです。先生の選んだ水着なら、きっと私に似合うことは間違いないと思うので…」
    私はウイのそのある種の信頼の言葉が嬉しくて、「わかった、最高にウイに似合う水着を選んであげるね」と大見得を切ってしまった。
    帰ってからファッション雑誌を買い漁ったのは、秘密の話だ。

  • 36二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 14:39:15

    その後、ここからシャーレや古書館までは割と時間がかかるので早めに引き上げることにした。
    同じように海を眺めながら、同じように並んで座って、同じように電車に揺られる。
    ただ一つ違うのは、太陽の光が少しずつ海に帰っていっている所だ。
    電車に乗ったときにはまだ赤かった空も、帰ってきたときには月と星が浮かび始めていた。
    「ウイ、着いたよ」駅に到着したので、私の膝に頭を乗せて眠りこけているウイを優しく起こす。
    「んぅ…うぁ……もうですかぁ…?もうちょっとぉ……」と寝惚けた声を上げるウイ。
    仕方ないし、これだけ気持ちよさそうに寝ているところを起こすのも忍びないので、おぶって帰ることにした。

  • 37二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 01:28:26

    おぶって古書館へ歩いていると、ふと背中のウイが目を覚ました。起きるなり「うおああっ!!?」と騒がしいウイ。もうすっかり夜なので、「ちょっと静かにね、」と叱るとしょぼんとしてしまった。
    しばらくすると、ウイが「なぜ先生が私をおんぶしてるんです…?」と聞いてきたので、私は「ウイがあまりにも気持ちよさそうに寝ているものだから起こすのが忍びなくておぶって送ろうとしていた」というと、ウイは恥ずかしそうに「私、先生の前で何か粗相とかしてませんでしたよね…?」と不安そうに聞いてきたので、「大丈夫だよ」と答えてやった。
    私の膝の上で気持ちよさそうに涎を垂らして寝ていたのは黙ってやったほうがいいだろう。

  • 38二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 07:46:07

    落ちる時間帯外出してるので今のうちに保守

  • 39二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 18:40:54

    そのあと、ウイは「降りる降りる」と言っていたがなんだか面白かったのでそのままおぶって帰ることにした。
    最初は降ろしてくださいと懇願していたウイだったが、私に降ろす気が到底ないことに気づくと「もういいです……」と諦めてしまった。
    ウイを背負ってしばらく歩いていると、ふと「先生と出会うまで、まさか私が自分から外に出かけて、疲れて寝ちゃうなんて思いもしませんでした。」と呟くのが聞こえた。
    しかし私が「そうだね。」とただ一言返すと、その後に言葉が続くことはなく、古書館に辿り着くまで一言も話すことはなかった。
    でも、私とウイの間にはどこか暖かく、優しい空気が流れていた…と、思う。
    古書館に着き、ウイを降ろしてやると「今日は楽しかったです。また、気が向いたときにでも。」と彼女は言った。私は「次は夏祭りかな?」と茶化し、軽く別れを告げシャーレへと帰るのだった。

  • 40二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 02:35:16

    ここ最近、先生がしょっちゅう古書館にやってくるようになった。あの日、私の手を引いて外に連れ出してくれたあの大きな手を、ここ最近では毎日のように見ている気がする。
    先生はいつもいつも、特定の…私が作業をしている時間帯にやってきて、私の隣で書類作業をする。私も、この先生と二人でただ黙々と各々の仕事をしている時間が好きだった。
    そして休みの日は、よく先生に連れられて買い物や様々な場所に出かけるようになった。
    デート、ではないと思うけど…でも私は、そうだと思うことにしている。
    ある日のことだ。私はこの日も例に漏れず、先生と一緒に買い物に出かけていた。不思議なことだが、あれほど一人ではしたくない外出も、先生が一緒ならなんだか苦ではない気がしていた。
    古書館に貯めておく妖怪MAXや、いろいろな食品(といっても、殆どがインスタントのものだが)を買い集め、その日は早々に帰路についた。

  • 41二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 14:29:46

    暖かくなってきたからかウイキチが元気になってきたな

  • 42二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 16:08:13

    一体何がスレ主をここまで動かすのか

  • 43二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 02:23:54

    「夏になったからか、いつもよりも明るいね」
    そう先生が不意に呟く。日頃外に出ることのない私は、あまり共感ができずに首を傾げる。
    「そか、ウイはインドア派だもんね」と、先生が冗談めかして言う。その言葉に「そうですね、そんなに進んで外に出るタイプでもないですし…室内にいても、日光は本に毒なのでカーテンは閉めてますし…あまり日の長さに敏くないのは事実です」と返してみる。淡々としすぎてるかな、と少し不安になったけれど鈍いのか優しいのか、先生は「そっか、日光は本の天敵か…」と私の心配とは全く別の場所に触れていた。「ええ、日焼けしてしまいますしね、私の大事な子達ですから、管理もしっかりしてあげないと」と軽く説明をする。「ウイは本当にあの子達想いだね」…いつもそうだ。先生は簡単に、当然のように、こんなズルい言葉を容易く吐く。そういう所が本当にニクい。そういう所が本当に悪い。そういう所が本当に………
    「ウイ、ウイ!!」と、やけに楽しそうな先生の声で我に帰った。ふと横を見ると、さっきまで並んでいた先生はおらず、いつの間にか私の前にいた。貧弱で吹けば飛びそうな先生だが、その体つきはがっしりしていて、なんだかこれであれほどひ弱なのが信じられないくらいだ。

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