- 1二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 00:04:28
なんやかんや心霊スポットに凸らないといけなくなった5人
凸先は
1.廃村/2.廃病院/3.廃校
dice1d3=2 (2)
5人のホラー耐性値(出目が高い程心霊現象が起きても平常心でいられる)
敦:dice1d100=11 (11)
鏡花:dice1d100=79 (79)
芥川:dice1d100=96 (96)
中也:dice1d100=61 (61)
太宰:dice1d100=9 (9)
霊感(出目が高い程何かが見えたり聞こえたりする)
敦:dice1d100=29 (29)
鏡花:dice1d100=89 (89)
芥川:dice1d100=62 (62)
中也:dice1d100=20 (20)
太宰:dice1d100=39 (39)
ホラー映画は
1.好き/2.嫌い/3.普通/4.興味なし
敦:dice1d4=2 (2)
鏡花:dice1d4=3 (3)
芥川:dice1d4=2 (2)
中也:dice1d4=2 (2)
太宰:dice1d4=1 (1)
- 2二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 00:04:51
- 3二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 00:05:35
スローペースですみません、お付き合いありがとうございます
- 4二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 00:10:51
【現在】
廃病院を凸った五人
↓
敦、中也、太宰の三人と鏡花、芥川の二人に分かれて外周を確認し異形に遭遇
↓
合流後、建物内の捜索を開始するも敦、鏡花、中也と芥川、太宰の二手で分かれてしまう
↓
敦、鏡花、中也はよく似た別の場所に出る - 5二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 00:11:57
【敦、鏡花、中也視点】
電話を切った三人は緊急外来の方へ歩きだします。
敦「変な奴らはいないけど、登り階段が無いのはどうしてなんだろう……」
鏡花「気になるなら降りてみる?」
敦「いやいやいや!や、やめとこうよ!」
中也「ビビり過ぎだろ……」
敦「あはは……そういえば、中也さんが取った電話ってどんな声だったんですか?」
中也「あー……多分、探偵社の女医にかけた時の声だったな。直ぐに切れたから確証はねぇが」
鏡花「どうして緊急外来だったの?」
中也「知らねぇよ」
三人が真っ直ぐな道を歩いて暫くすると、左手側に非常口の扉が見えました。
敦「非常口……?」
鏡花「外に出られるかもしれない」
三人は非常口を開けるのを
dice1d2=2 (2)
1.試す
2.試さない
- 6二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 00:26:37
中也「厭、辞めとけ。太宰は外に関して何も言わなかった。外に出れたとしても意味が無いんだろ」
敦「そ……うですね、そうですよね……」
中也「ンな落ち込むなよ、電話繋いだら非常口があったって言えや良いだろ」
鏡花「……この非常口、館内図には無かった気がする」
敦「え?」
鏡花「先へ進もう。二人はもう着いてるかもしれない」
三人は緊急外来へ
dice1d2=2 (2)
1.辿り着ける
2.辿り着けない
- 7二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 01:34:41
三人は緊急外来へ向かいます。
けれども歩いても歩いても、目的地は出てきません。
敦「なんか……長いですね?道間違えちゃったかな」
鏡花「緊急外来までは一本道だった筈」
中也「そこまで離れてるようには見えなかったがな」
周りを見渡した鏡花が小刀を取り出して壁を斬りつけます。
敦「どうしたの?」
鏡花「確認」
そう言って歩き出した鏡花の後を敦が慌てて追いかけます。 - 8二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 02:11:54
建て乙
続けてくれてありがとう
保守 - 9二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 02:12:10
一応10まで保守
- 10二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 02:12:20
ほしゅ
- 11二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 10:00:11
保守
- 12二次元好きの匿名さん23/03/16(木) 19:31:14
楽しみ
- 13二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 00:08:22
五分程歩いても三人が歩く壁に変化はありません。
敦「……電話、してみますか?」
鏡花「まだ待って。一つだけ確かめたい事がある」
また暫く歩いていると鏡花が「矢っ張り」と立ち止まります。
鏡花「先刻と同じ道」
中也「壁に付けた傷がそのままあるな」
敦「如何して……」
三人が立ち止まった箇所には、先程鏡花が目印として付けた壁の傷がありました。
中也「同じ道だが非常口は無かった。それなりに歩くまで傷は見えなかったのは非常口が消えてるのか、別の仕掛けがあんのか?」
敦「で、電話しましょう!太宰さんなら何とかしてくれます!」
鏡花「まだ判らない事が多すぎる。伝えても解決は出来ないと思うけど」
三人は再び電話を
dice1d2=1 (1)
1.かけてみる
2.かけてみない
- 14二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 11:02:18
鏡花「かけてみる」
中也「お前は充電少ねぇだろ、俺はまだあるからこっちからかけろ」
敦「あ、ありがとうございます」
中也の携帯電話を預かり敦が自分の番号を入力します。
Prrr...Prrr...Prrr...Prrr...Prrr...Prrr...
敦「駄目だ……繋がりません」
中也「向こうもゴタついてんのか単純に繋がらねぇのか……」
三人は違和感に
1.気が付く/2.気が付かない
敦:dice1d2=2 (2)
鏡花:dice1d2=1 (1)
中也:dice1d2=1 (1)
- 15二次元好きの匿名さん23/03/17(金) 22:03:02
敦が携帯をかけ続けている最中、鏡花と中也は廊下を見渡します。
病院らしい清潔感のある白い壁紙に霧がかった窓。所々あるソファは患者用の物だと予想ができました。
そして一箇所、違和感を覚えます。
鏡花「……何かある?」
そっと鏡花が窓に近づきました。
違和感に気が付いた中也も鏡花の隣に立ち目を細めます。
中也「……芥川?」 - 16二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 09:32:03
中也が目を凝らした窓の奥では、霧の中で薄っすらと黒い塊が歩いているのが見えました。
それは何時もの黒外套を着た芥川で中也と鏡花は驚きます。
鏡花「窓を叩けば気が付くかも」
ばんっばんっばんっ
鏡花が平手で窓を叩きますが芥川は動きません。
歩くこともせずただその場に立っているだけです。
中也「つか一人で何してんだ?まさか青鯖に置いてかれたんじゃ……」
二人が窓を叩いていると敦の耳元で呼び出し音が止まりました。
敦「あっ、つ、繋がりました!」 - 17二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 18:35:49
太宰『もしもし?』
携帯電話からは太宰の声が聞こえます。
敦が携帯をスピーカーにすると中也が太宰に詰め寄ります。
中也「おい太宰、テメェ今どこにいる」
太宰『未だ廊下だよ。こっちは床に物が散乱している上暗いんだ、少しは考慮して貰いたいものだね』
中也「芥川は如何した」
太宰『いるけど。変わる?あんまり音立てられないからスピーカーにしてないだけだけど』
鏡花「見えない……」
鏡花が硝子に目を凝らしても太宰の姿は見えません。
中也「おい太宰、二人で窓に近付け」 - 18二次元好きの匿名さん23/03/18(土) 23:11:01
保守
- 19二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 09:24:12
敦「窓に何かあるんですか?」
中也「よく見ろ、薄っすら芥川が見えるんだよ」
敦「えっ」
鏡花の隣に走った敦が声をあげます。
敦「芥川……!?」
中也「太宰は見えねぇがな」
不意に鏡花の手が止まります。それと同時に太宰の『見えた』という声がしました。
太宰『此方からも鏡花ちゃんだけが見えた。揃って行動してるんだよね?』
敦「三人並んでます……如何して鏡花ちゃんと芥川だけが見えるんでしょう……というか、窓を割って其方側に行けば善いんですかね……?」
太宰『割れないと思うけど試してみようか』
窓を割るのは
dice1d3=1 (1)
1.敦
2.鏡花
3.中也
- 20二次元好きの匿名さん23/03/19(日) 18:31:53
敦が窓を割ろうと虎化した腕を振りますが予想通りヒビすら入りません。
然し、携帯電話からは太宰の驚いた声が聞こえました。同時に窓越しの芥川が大きく目を見開いています。
太宰『わっ、えっ?』
中也「如何した!」
太宰『窓が割れたんだよ。元々割れてたんだけど残ってた分が散らばったんだけど……鏡花ちゃん、敦くんは何処を割ったかな?』
鏡花「ここ」
鏡花が指を差します。
太宰『此方で割れた場所と同じだね……』
敦「な、なんで……?」
芥川『人虎の爪の効果では?』
何時の間にか窓の向こうで芥川が携帯電話を持っていました。
中也「どういう事だ?」
芥川『人虎の爪には異能を裂く効果があります。其方の空間にかかった……異能かは判りませぬが、それを裂き此方の空間まで届いたのでは?』 - 21二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 00:46:36
ほしゅ
- 22二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 08:46:59
保守
- 23二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 18:19:52
保守
- 24二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 18:26:08
中也「太宰の異能無効と同じって事か……?」
芥川『其処までは判りませぬ。試しにもう一枚割りますか』
中也「厭、それより同じ効果があるなら青鯖も窓に触れ」
太宰『もうやっているよ。何か変わりは?』
何時の間にか電話口から太宰の声も聞こえてきました。
どうやらスピーカーにした様です。
敦「何も……特に変わりは無いです」
鏡花「多分、私たちは同じ道をぐるぐる回っている。其方は?」
芥川、太宰の道は
dice1d2=1 (1)
1.普通
2.違和感がある
- 25二次元好きの匿名さん23/03/20(月) 22:02:35
ストーリーも面白いしエミュも上手くて尊敬する
- 26二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 08:10:40
保守
- 27二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 17:34:01
ありがとうございます……!
- 28二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 17:34:28
太宰『私たちの方は普通の道だよ。曲道も無い一本道だしね』
中也「そうなるとそっちが先に着くか……如何すりゃ良いんだ」
太宰『繰り返している場所があるのなら簡単だ。敦くんの虎の爪で斬ってしまえば良いのさ』
敦「で、でもどうやって?」
太宰『芥川くんに歩いて貰うのだよ。もうすぐ緊急外来に着く筈だからそこを君の爪でやってしまえば良い』
鏡花「なら急ごう。私が行く方向で合っているか確認しておいて欲しい」
五人は同じ方向に歩き出します。 - 29二次元好きの匿名さん23/03/21(火) 23:10:38
保守
- 30二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 09:18:47
保守
- 31二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 19:49:33
保守
- 32二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 22:11:58
ほ
- 33二次元好きの匿名さん23/03/22(水) 22:17:40
五人は通話をしながら廊下を歩きます。
窓越しの芥川は携帯電話で床を照らしながら頻繁に鏡花と目を合わせていました。
太宰『芥川くんと鏡花ちゃんだけが窓越しに見える理由なのだけれど』
中也「判んのか?」
太宰『十中八九、院内に入る前に二手に別れた事が原因だと思うよ』
敦「それって……」
太宰『私達の方が出会って異形に何かあるのか、二人が目撃した腕に何かあるのか……腕の方は中也と敦くんも見てるから男の方だとは思うけれど』
中也「異形……俺は見えなかった奴か」
鏡花「中に入れば見れるかもしれない」
中也「厭別に見たい訳ではねぇよ……」
敦「僕ももう見たくないです……あの人、見ててゾワゾワしたというか……次会ったら不味い気がして」
太宰『敦くんの野生の勘は当たるかもねぇ』
窓越しの芥川が口を開いて、太宰が電話口で笑います。
瞬間、眉間に皺を寄せていた芥川の姿が三人の視界から消えました。
電話は
dice1d2=1 (1)
1.繋がったまま
2.途絶える
- 34二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 00:26:42
敦「あっ」
太宰『見えなくなったね。鏡花ちゃん、一歩下がってみて』
指示通り鏡花が足を後ろに進めますが、窓越しの芥川の姿は消えたままです。
太宰『矢張り駄目か』
中也「そっちも見えねぇのか」
太宰『うん。空間が繰り返されている訳では無いのかもしれないね』
敦「とりあえず試してみても大丈夫ですか?」
太宰『いいよ。但し位置は少し戻って、消えた場所を裂く様にしてくれ給え』
敦「判りました」
敦も一歩後ろに下がり、巻き込まれない様中也も下がります。
敦「行きます……!」
芥川、太宰視点に移動します - 35二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 10:41:20
保守
- 36二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 18:32:26
【芥川、太宰視点】
敦『行きます……!』
電話越しの声と共にパリン、と何かが割れる音がしました。
二人は月明かりを頼りに窓を注視します。
そこには三人の姿が
dice1d2=2 (2)
1.見える
2.見えない
- 37二次元好きの匿名さん23/03/23(木) 21:10:39
保守
- 38二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 07:54:53
ほしゅ
- 39二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 10:10:06
芥川「……消えたままかと」
太宰「見えていたのがイレギュラーだったと考えるべきかな」
芥川は目の前に見えていた緊急外来の扉に手をかけます。
太宰「通話も切れちゃった。向こうの状態は判らないけど入るしか無さそうだね」
芥川「では、開きます」
ぐっと力を込めて芥川が扉を引きます。
中の様子に二人は目を見開きます。 - 40二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 10:20:47
中は廊下同様医療器具や砂、硝子だらけでした。
然し廊下と違う所が一点。
窓も無いのに部屋の様子がはっきりと見えるのです。
天井の中央には青緑に光蛍光灯がぶら下がっていました。
二人は久方ぶりの明るさに驚き、吸い込まれる様に緊急外来の中へ足を踏み入れます。
芥川「……向こうの電気が消えたのでしょうか」
太宰「それなら廊下も明るくなる筈だけど」
二人が室内を見渡していると一番奥に硝子の両開き扉がありました。
芥川「出口でしょうか。一度外に……」
芥川がもう一歩踏み出した処でキィ、と扉が動く音がしました。
音を聞き、先に身体を動かしていた芥川が振り返り太宰の身体を引っ張ります。
そうして二人は入ってきた扉に身体を向けました。
そこには開けたままにした筈の扉が閉まっており、更には異形の物も二人を見下ろしながら身体を揺らしていました。
両目が妙に大きく、瞳が横を向いている男……太宰が敦、中也と共に目撃した男でした。
心霊現象遭遇(出目が耐性値を上回ると取り乱します)
芥川(96):dice1d100=49 (49)
太宰(9):dice1d100=36 (36)
- 41二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 12:03:43
芥川「太宰さん!」
異形のギョロギョロと揺れる瞳に太宰は固まり、芥川は掴んだままだった太宰の腕を引っ張り奥の扉へ走り出します。
異形も負けじと追ってきます。
芥川と太宰は
dice1d3=2 (2)
1.辿り着くことができる
2.芥川の足がもつれる
3.太宰の足がもつれる
- 42二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 13:25:48
扉まで後数歩、という所で芥川の足がもつれ転倒しました。
引っ張られていた太宰も一緒に転がり、異形が一歩一歩走ってきます。
転んだ事で正気に戻った太宰が胸衣嚢から自動小型拳銃を取り出し異形の心臓を貫きますが、一瞬小さな穴が開いただけで直ぐに塞がってしまいました。
太宰に触れたままの為芥川が異能を使う事もできません。
体勢を立て直す事もできず、二人は頭上にいる異形から目を逸らせません。
ぽた、ぽた。異形から流れる血液に二人の外套が濡れました。
異形は顔の半分ほどある口を大きく広げ二人の頭に数糎まで迫りました。
次回から敦、鏡花、中也視点です。 - 43二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 17:32:30
【敦、鏡花、中也視点】
敦「行きます……!」
明るい廊下で敦が進行方向に向け虎の爪を振りかざしました。
すると何もない空間がパリン、と音を立てて透明の硝子の様な物がポロポロと落ちていきます。
その奥には緊急外来と表記された扉があり三人は目を見張ります。
敦「や、やった!やった!」
中也「よくやった!」
飛び跳ねる敦の頭を両手でくしゃくしゃと撫で、中也が歩き出します。
敦「えへへ……何だか今日初めて役に立った気がします」
中也「んな謙遜すんなよ、早く行こうぜ」
敦「はいっ!行こう、鏡花ちゃん!」
鏡花「うん」
敦「太宰さんっ、僕達中に入りますね」
三人が緊急外来の方へ向かいます。然し何時の間にか電話は切られていました。
敦「あ……あれ?切れてる……」
中也「芥川も見えねぇままだな。かけ直してみるか?」
三人は電話を
dice1d2=1 (1)
1.かけ直す
2.かけ直さない
- 44二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 17:47:58
敦が電話をかけ直してみますが扉までもう数歩の所まで来ても電話は繋がりません。
敦「何かあったのかな……」
中也「案外、さっき言ってた事が本当になってたりしてな。俺は見えなかったが結構気持ち悪ぃ奴がいたんだろ?丁度こっちはそいつが消えて行った場所だしよ」
敦「えぇ!ど、どうしよう……僕、またアレに会ったら本当に動けなくなっちゃいそうですよ……」
鏡花「心配いらない。貴方は私が守る」
敦「鏡花ちゃん……!」
仕方なく携帯電話を衣嚢に入れて敦が緊急外来の扉に手をかけようとします。
その時
dice1d3=2 (2)
1.敦
2.鏡花
3.中也
- 45二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 18:07:52
このレスは削除されています
- 46二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 18:08:38
その時、鏡花が後ろの気配に気が付きます。
鏡花が振り向くと歩いてきた道、受付の方から白い壁をなぞって無数の腕が虫の様に這っていました。
それは鏡花が二度目撃した……窓の外に張り付いていた、屋上から降ってきていた腕でした。
鏡花が驚き声を出そうとしたと同時に敦が扉を引きます。
瞬間、弾かれた様に腕たちが三人の方へ猛スピードで迫ってきます。
鏡花「来てる!」 - 47二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 18:16:44
敦「えっ?」
中也「まじかよ!」
鏡花「走って!」
いち早く鏡花の声に反応した中也が一瞬後ろを振り向き直ぐに走り出します。
鏡花もその背中を追いかけ、扉を引いたまま止まっていた敦の手を取り駆け出しました。
緊急外来室の中は綺麗に整頓されており直線上には硝子の両開き扉があります。
中也「こっから出るぞ!」
腕は蠢きながら壁を這っています。
中也は
dice1d2=1 (1)
1.扉を開ける
2.扉を壊す
- 48二次元好きの匿名さん23/03/24(金) 20:46:51
- 49二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 07:02:42
保守
- 50二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 10:27:41
最初に奥へ辿り着いた中也が扉を引きます。
はっと気づいた敦が鏡花と手を放して扉へと駆けます。
鏡花も足を止めずにいると、扉の少し手前、逸れた場所に横たわっている人間を見つけました。
何処か見覚えのあるその顔に、鏡花は咄嗟に足を向け駆け寄ります。
敦「鏡花ちゃん!?」
中也「おい!」
鏡花「行って!直ぐ追いつく!」
腕は最後尾となった鏡花のすぐ近くまで迫ってきています。
dice1d2=2 (2)
1.壁
2.硝子
- 51二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 10:41:55
鏡花は手術台の様な物に横たわっていた人間を担ぎます。近くで見て、それが先刻腕に連れ去られた人間だと云う事に気が付きました。
鏡花が扉まで再び走り出します。
敦「鏡花ちゃん!」
中也「下がってろ」
鏡花の元へ走ろうとした敦を中也が止めます。
次いで開いたままだった扉に思い切り蹴りを入れ硝子を割りました。
敦「わ、割っ……!?」
粉々になった硝子を握りしめ中也が異能力で腕へと飛ばします。
腕は少しだけ怯み、鏡花との距離が少し開きました。
その隙に鏡花が夜叉を呼び一気に扉まで近づきます。
鏡花と扉の距離が後数歩、と云う所で中也が敦の身体を押します。
中也「先出てろ!」
敦「えっ、わ、あ、っえ!?」
よろける様に扉の外に出た敦が大きな声を上げます。
敦が踏み出した先に床は無く、代わりに霧が薄まり見える様になったボロボロの外壁と数階分は下にある地面が見えました。
敦の身体が重力に従って落ちていきます。 - 52二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 12:39:18
敦「わあああああっ!」
急速に感じた重力に敦が叫ぶと突如首の絞まる感覚と共に浮遊感だけが残ります。
敦「あ……え?」
恐る恐る上を見上げるとすっかり見慣れた異能生命体、夜叉白雪が敦の襟を掴んでいました。もう片方の腕には鏡花が運んでいた意識の無い男が持たれています。
更にその奥からは鏡花が夜叉目掛けて落ちてきていました。
敦「あっ、わ、わっ!」
咄嗟に手を伸ばした敦が鏡花の身体を受け止め、夜叉が静かに着地します。
敦が落ちてきた場所を見上げると空ぶった腕が何度か上下し、するりと中に戻って行きました。
追ってくる様子も無く敦は久方ぶりに息をつきます。
鏡花「怪我は?」
敦「う、ううん。ありがとう」
鏡花「守ると言ったから」
敦「ほ、本当にありがとうね……」
中也「異能使えば其処までの高さじゃねぇだろ」
ふわり、片手で帽子を押さえた中也が静かに着地し辺りを見回します。
そこは外観は先程よりもボロボロで、正に廃墟と言うべき病院がありました。
中也「ここまで来ると何が現実なのか判んねぇな」
dice1d3=2 (2)
1.敦
2.鏡花
3.中也
- 53二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 15:42:42
敦「僕たち一階にいましたよね?何であんな高い所に……」
中也「さあな。ま、追って来ねぇなら少し休憩できるか」
敦「ですね」
ふぅ、と一息ついた二人の間に連れてきた男を寝かせた鏡花がもう一度辺りを見渡します。
鏡花「此処……」
そして一点、既視感のある扉を見つけました。先程通った硝子の両開き扉です。
中は不自然に明るく黒い何かが蠢いていました。何となく人の形にも見えますが身体の芯が無く揺れている"何か"が人間だとは思えませんでした。
然し、鏡花がその陰に隠れるように砂色と黒色の外套を見つけました。
太宰と芥川です。
鏡花「いた!」
走り出した鏡花に釣られて敦と中也が扉を見つけ、更にその奥の"何か"に覆い被さられている二人を目にします。
敦はそれが先刻外で見た男だと
dice1d2=1 (1)
1.気が付く
2.気が付かない
- 54二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 17:18:30
敦は中にいるのが先刻の"何か"だと気が付きました。
敦「あ、アレです!アレですよ、外で会った奴!」
中也「まじかよ!」
鏡花が扉に手をかけ、開いた硝子の間を中也が駆け抜け中に落ちていた機材に触れ"何か"に投げつけました。
"何か"が一歩だけ後退します。
その光景に太宰と芥川が驚き、そして漸く三人の存在に気が付きました。
敦「立って下さい!」
敦が太宰を、中也が芥川を立ち上がらせて四人が走り出します。
異形も足を動かし追ってきます。
然し四人の方が微かに早く鏡花の待つ出口に辿り着きました。
四人が扉の外側に身体を滑り込ませたのを確認して鏡花が素早く両扉を閉めました。
それと同時にビタンッと肉のぶつかる音がして異形が硝子にへばりつきます。
大きな瞳をギョロギョロと動かし、然し数回瞬きをし部屋の中の電気が消えると奥へと去って行きました。
久方ぶりの再会に五人は呆然とします。
空は何時の間にか薄白い明るみが広がっており、廃墟と呼ぶに相応しい寂れた外壁が寒さを伝えてきます。
五人は直感しました。
敦「終わ……った?」 - 55二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 17:26:32
五人が廃病院を見上げます。
中也「此処が現実……で、あってんのか?」
鏡花「携帯……充電が戻ってる……」
敦「あ、あれ、僕の携帯、衣嚢の中にある……」
先刻までの激動に反して五人が驚きに立ち尽くしていると、木々がガサガサと音を立てて揺れました。
次いで静寂に包まれた空間に快活な声が響きます。
「ほらね、時間ぴったりだったろう!」 - 56二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 17:50:22
五人が声の方を向くと、そこには腕を組み高笑いをしている乱歩がいました。
敦「えっ、乱歩さん!?」
その奥には国木田や与謝野等探偵社の面々、そして樋口等ポートマフィアの構成員が歩いてきています。
乱歩「全く、本当に僕がいないと駄目だな!この名探偵に感謝するんだぞ!」
与謝野「アンタ達一週間も行方不明だったんだよ。乱歩さんがこの時間に此処に帰ってくるって言うから、皆で迎えに来たのさ」
五人は呆然と口を開いたまま探偵社とポートマフィアが乗ってきた車まで連れて行かれます。
車に辿り着くと鏡花と芥川が山積みにしていた人間たちが一人一人寝かされていました。鏡花が最後に連れた人間も国木田が運び寝かされます。
与謝野「治療は全員してあるよ。療養が必要だから病院に連れて行くけどね。アンタ達も怪我してるんじゃあないかい?治療してやろうか?」
敦「あっ、や、厭、厭!大丈夫です!でも僕達、未だ調査に入ってから数刻程度しか経って無いかと……」
国木田「調査?何の調査だ」 - 57二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 17:55:20
太宰「ははぁ……成程。そこからか」
中也「如何いう事だ、手前何か知ってたのか」
太宰「知らないよ。そもそも、私たちって何で此処に来たんだっけ?」
鏡花「入った人間が行方不明になるから、その廃病院の調査」
太宰「誰からの依頼だったっけ」
敦「それは……あ、あれ?」
太宰「芥川くん、ポートマフィアは如何してこんな所に来たのかな?」
芥川「……記憶にありませぬ」
乱歩「そうだよねぇ。だって、探偵社へ調査の依頼もポートマフィアの用も無いんだから!」 - 58二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 18:34:10
乱歩「お前達は呼ばれたんだよ、この病院にね」
乱歩が腕を上げ指を立てます。それと同時に大きなアタッシュケースを両手に持った梶井が廃病院の中に走って行きました。
梶井「うはははは!」
そして、梶井の高笑いと共に爆発音がしました。
敦「えぇっ!?」
中也「はぁぁ!?」
廃病院は元々の経年劣化もあり簡単に壊れて行きます。幸い車の場所は少し離れており被害を受けることはありません。
広津「安心し給え。此の土地はポートマフィアが既に買い取り首領の許可も出ている」
敦「な、何一つ安心出来ないんですが……」 - 59二次元好きの匿名さん23/03/25(土) 21:54:30
この乱歩さんの安心感よ
- 60二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 08:35:16
保守
- 61二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 10:08:50
早朝の山の中に似つかわしく無い爆音を背景に、五人は漸く戻ってきた実感が湧きました。
樋口「先輩!私……私ぃ……っ!」
芥川「煩い樋口。……探偵社は其処な探偵の推理結果だと判ったが、何故お前達まで此処にいる」
樋口「探偵社に手がかりを探しに行ったんです。そうしたら此処の地図と日時が書かれてて……」
涙でくしゃくしゃになった樋口が胸衣嚢から封筒を取り出しました。
それを芥川が鋭い眼光で睨みつけます。
芥川「敵を頼ったのか」
樋口「だ、だって、せ、先輩がずっと行方不明で、私、ずっと探し回ってて……それで……!」
中也「まぁ良いじゃねえか。今は探偵社とも停戦協定中、それに此処の処理はポートマフィアが受け持つって事だろ?トントンになるだろうがよ」
芥川「然し……」
中也「首領に話が通ってんだ、何も問題はねぇさ」
立原「この解体の仕方は如何かと思いますがね」 - 62二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 10:20:13
ポートマフィアが揉めている横で、鏡花は与謝野から大きな毛布をかけられていました。
与謝野「疲れたろう。寝ちまっても善いよ」
鏡花「平気。……結局、異能力では無かったの?」
太宰「異能かもしれないし、異能じゃないかもしれないねぇ」
敦「太宰さんでも判らないんですか?」
太宰「そりゃね。今回は私も巻き込まれちゃったし、何より人の感情なんて理解できる物では無いからね」
敦「感情……?」
乱歩「まぁ戻って来たんだから良いじゃない?この名探偵のお陰で万事解決、君達は僕に感謝のお菓子を献上する。それで終わりさ」
国木田「お前達がいなかった一週間分の仕事はたっぷりあるからな。さっさと帰って処理して貰うぞ」
太宰「えぇ?私達被害者だよ?もう少し労りを……」
国木田「馬鹿者!貴様等が行方不明になったせいで一週間前から俺の予定は狂いっぱなしなんだぞ!」
敦「あ、はは……でも、迎えに来てくれてありがとうございます」
何時の間にか爆発音は止み、早朝の透き通った風に乗ってほんの少し焦げた匂いだけが漂ってきました。
敦「皆、無事に帰ってこれて本当に良かった」
鏡花「……うん」 - 63二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 10:39:10
穏やかな空気が流れています。
大きなトラックが横たえられていた人間たちを運んで行き、それが心霊スポットで行方不明になっていた人たちだと判明したのは運ばれた病院の先での出来事でした。
山に残っていた探偵社とポートマフィアの人々もそれぞれの用意した車に乗り込もうと準備をします。
太宰「厭ぁ、それにしても疲れたなぁ……あっそうだ中也、此れ返すね」
中也「あ?」
太宰が何かを高く放り投げ、それを中也が受け止めます。
中也の手の中に落ちてきたのは自動小型拳銃でした。
中也「てめっ、此れ俺のじゃねぇか!何時の間に擦ってやがった!」
太宰「だから返すと言ったじゃあないか」
敦「何か、安心したらお腹空いてきたなぁ」
鏡花「……家の食材、一週間も放置してた」
敦「あ゛……だ、大丈夫だよ!僕賞味期限過ぎてても食べられるよ!」
鏡花「それは辞めて」
廃病院での恐怖は消え、五人はすっかり何時もの調子に戻っていました。 - 64二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 10:49:57
敦「あ……芥川っ」
芥川「……」
車に乗り込もうとした芥川を、敦が呼び止めます。
敦「……今回、鏡花ちゃんと太宰さんを守ってくれただろ?その……あ、……ありがとう。それと、お疲れ……」
芥川「守った覚えは無い。あの二人は貴様と違って自分の身は自分で守れる……故に、僕は何もしていない」
敦「そ、そっか……厭、お前今さりげなく僕の事馬鹿にしただろ!」
フン、と視線を逸らして芥川は車に乗り込みました。
然し敦が目尻を上げていると芥川の隣に座っていた中也が満面の笑みで彼の頭をぐしゃぐしゃにしているのが目に入ります。
敦「何だよ、彼奴……」
独り言ちる敦の手を鏡花が握りました。
そうして国木田が運転席に座る車に引っ張られます。
扉の前では太宰が肘をついて待っていました。
太宰「帰ろうか、敦くん」
敦「はい」
廃病院は崩落し、その奥から朝日が昇っていました。
敦は直感しました。
屹度もう、行方不明者は出ないと。
終わり - 65二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 10:52:06
拙いSSでしたが保守やコメントなど長らくのお付き合い本当にありがとうございました。
- 66二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 13:56:47
このレスは削除されています
- 67二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 13:57:37
めちゃ良かった
文スト特有の漢字も使ってたしエミュも凄かったよ〜
良い物見せてくれてありがとう、おつかれ! - 68二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 15:52:10
乙、めちゃくちゃ面白かった
- 69二次元好きの匿名さん23/03/26(日) 22:58:13
おつ
面白かったわ - 70二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 01:04:53
めっちゃ楽しかった!ありがとう!