【SS】暴れん坊将軍U

  • 1第五園長21/11/19(金) 04:32:07
  • 2第五園長21/11/19(金) 04:32:55

        「暴れん坊将軍」

    暴れん坊将軍 オープニングテーマ

    「幻の苦労葉愛」

  • 3第五園長21/11/19(金) 04:34:00

    近頃、江戸中にある噂が広まっていた…。


    「オイお前、知ってるか。幻の蕎麦屋の話」
    「あぁ、この世のモノとは思えない程の逸品だと」
    「今まで食った事のない味で、他の奴にゃ教えたくないって、みぃーんな口を噤んでやがる」
    「何でも子の刻(11時〜1時)にしか現れないらしいな」
    「しかもよぅ、毎日別の場所に現れるんだと」
    「かーっ!今宵は何処に現れるのやら」



    その日の夜。江戸1の火消しを自負するめ組の棟梁、辰五郎は1人街を歩いていた…
    「いっけね、まさかこの俺が酒に潰れて置いてけぼり、終いにゃ勘定を押し付けられるとはな…。
    おさいにどやされちまわぁ…」

    「おォ!?こんな所に立ち食い蕎麦か!
    へっへっへ、いっちょ腹ごしらえして帰ェるとするか」

  • 4第五園長21/11/19(金) 04:34:52

    「いらっしゃいませ♪」
    「おや嬢ちゃん、アンタがこの蕎麦屋の店主かい」
    「あっはは、違いますよ。ここは蕎麦屋じゃなくて拉麺処(らーめんどころ)です」
    「雷鳴処(らいめいどころ)たぁ大層な名前じゃねぇか。どれ、1杯貰おうかい」
    「ありがとうございます、ちょっと待っててね♪」

    「はい、出来上がり♪どうぞ、召し上がれ!」
    「応よ」
    ズルッ ズルルルッ
    「何だいこりゃ!?こんな旨いもん食った事ねぇ!」
    「ありがとうございます、大切なのは湯切りなの。見ててくださいねー、よッ!」
    ズルルルッ ゴクゴクゴク
    「かぁー!食った食った。女将さん、勘定頼まァ」
    「はい、また来てくださいね♪」

  • 5第五園長21/11/19(金) 04:35:47

    「──ってェ事があったのよ」
    「何だよカシラ、狡ィじゃねぇか!」
    「そうだそうだ!俺たちにも食わせろ!!」
    「水臭ぇですぜ!」
    「うるさいよ、大体お前らが俺を置いて店出てっちまったんだろがい!」
    「やべ、忘れてなかった」
    「カシラ、あっしら急用を思い出したんで……」
    「話はまだ終わってねぇぞ!!」
    「アンタたち!さっきから五月蝿いよ!!
    大体アンタ!幻を見る歳かい!?
    まさか、幽霊相手に鼻の下伸ばしてたんじゃないだろうね!?」
    「いやいやいや、確かにいたんだって。信じてくれよ〜」

  • 6第五園長21/11/19(金) 04:36:32

    「その話、俺にも詳しく聞かせて貰おうか」
    「新さん!?来てたんなら言ってよ!今お茶を用意するからサァ」
    「それには及ばんよ。して肝煎、その蕎麦屋について、何か思い出せぬか?俺もちと、食ってみたくなってな」
    「はぁ…、何処をどう歩いたかも覚えてねェですし…。そういえば、女将は確か、雷鳴だかなんだか言ってたかねぇ」
    「雷鳴、雷がどうかしたのか?」
    「さぁ、あっしには何とも…。それからねぇ、看板には見た事もない花の絵が書いてあったよ」
    「花の絵、ふぅむ…」
    「何か、分かりましたかい!?」
    「いや、さっぱりだ」
    「そうですかい…。もう一度、食ってみたかった……」
    「そこまで言うとはな。とにかく今夜、俺も探してみよう」

  • 7第五園長21/11/19(金) 04:37:35

    「とは言うものの、そう簡単には見つからぬか…。あまり城を抜け出していては、またじいに小言を言われてしまうしな」
    スタスタスタ
    「む、さっきあの道を通った時に、灯りなど見えたか?」
    スタスタスタ
    「いらっしゃいませ、今日1人目のお客さん♪」
    「おお、まさか此処が幻の蕎麦屋か?」
    「むー、ここは蕎麦屋じゃなくて、拉麺処です。看板にもそう書いてあるの」
    「拉麺処…?雷鳴とは拉麺の事だったのか。
    む?こ、これは!?」
    「?、うちの看板がどうかしたの?」

    『拉麺処  苦労葉愛』
    そして、白い花の絵が描かれていた

    「この花は白詰草。将軍に呼ばれ江戸を訪れた阿蘭陀(オランダ)人が、この花を乾かして陶器を包んでいたという物だ。何故それがここに…?」
    「そうなんだー?私の地元では、シャムロックやクローバーって呼んでるよ?4葉のクローバーは珍しくて、幸運の証なんです♪」
    「苦労葉愛(くろうばあ)、正しく苦労して葉を愛するという事か」

  • 8第五園長21/11/19(金) 04:38:09

    「にしても、お主は一体…?」
    「それは…」
    「ファイン!!やっと見つけた…ゼェ…ハァ…」
    「トレーナー、もしかしてバレちゃった?」
    「いや…ゼェ…まだ…。でも、時間の問題だァ…ハァ…」
    「大丈夫か御仁?竹筒だ、飲めるか?」
    「ありが…ハァ…たい…」
    ゴクゴクゴク スゥー フゥー
    「申し訳ない、助かりました」
    「いやいや、この程度で礼など。それよりも、追手に追われているのか?」
    「いえ、寧ろ逆です。詳しくは話せませんが、彼女は高貴な家の出でして。
    しかし、拉麺を愛しすぎて、遂には移動式の拉麺屋台まで作り出す始末。
    なんとか家の者に気付かれぬ様に毎晩抜け出せていますが、それもいつまで続くかどうか。
    しかも、この辺りの地形を知らず、毎晩違う場所にいるのです」
    「でもトレーナーなら、必ず見つけてくれるでしょ?」
    「そりゃもちろん」
    「なるほど、それが幻の蕎麦屋の正体か」
    「ははっ、そんな名前で呼ばれてたんですか」
    「だーかーらー、蕎麦じゃなくて拉麺!1度食べてみて下さいな。トレーナーも、もう1人分作るから食べてよ♪」
    「では」
    「頂こうか」

  • 9第五園長21/11/19(金) 04:38:55

    ズルッ ズルルルッ
    「旨い」
    「うん、美味しい」
    「この拉麺とやら、もしや清の物か?」
    「よく知っていますね。私が貿易中に個人的に気に入って、持ち帰った物です。製法と寒冷地仕様の種ももらったので、彼女の故郷でも作る事ができます」
    「昔、水戸のご老公から聞いた事がある。何でも、明の学者に中華麺なるものを馳走してもらったらしい。蕎麦とは似て非なる物であったと言っていた。幼かった故に、腹を鳴らした覚えがある。まさか実際に食す日が来るとは」

    「まことに美味であった、また食したいものだ」
    「えへへ、嬉しいな」
    「例と言ってはなんだが、俺は貧乏旗本の三男坊・徳田新之助。困り事があれば、いつでも相談に乗ろう」
    「覚えておきますよ」

  • 10第五園長21/11/19(金) 04:40:07

    「あの人、美味しいって言ってたね。トレーナー」
    「そりゃもちろん、なんてったってファインの拉麺は日ノ本1、世界1だからね」
    「もう、照れちゃうよ」
    ヒュッ トスッ(地面に刺さる矢)
    「貴様が清帰りの商人か」
    「誰だお前たち!?ファイン、僕の後ろに」
    「貴様が持ち帰った代物を欲する方がいる。我らと来い」
    「…嫌だと言ったら?」
    「ならば、そこの女の命は無いな」
    「ファイン、君は絶対に僕が守るよ。だから逃げてくれ、頼む」
    ……、スッ
    「ファインやめろ」

    「下がりなさい」 
    「何?」
    「下がりなさいと言っているのです、下郎」
    ビクッ
    「な、なんだこの女は。ええぃ、邪魔立てするなら斬るまでよ!!」

  • 11第五園長21/11/19(金) 04:41:04

    「それは困るな」
    「チッ、武家方か!?退け!」

    「やぁ、さっきぶりだな」
    「徳田さん!?助かりました…。ファインも、助けてくれてありがとう。でも、絶対に2度としないでくれ。僕は君を失いたくないんだ」
    「だって、トレーナーは私だけのトレーナーなんだもん」
    「はっはっは、俺には奉行所の伝手があるすぐに片を付けるさ」
    「はぁ……、疲れた」



    「上様」
    「才蔵か」
    「ハッ、先程の男共、腕に入れ墨をしておりました。恐らくは罪人かと」
    「ならば権力のある武家を嫌うは当然の理か」
    「既に奴らの行き先は突き止めております」
    「拉麺処の2人は」
    「そちらはおそのが護衛に」
    「よし、おそのが戻り次第討って出る」

  • 12第五園長21/11/19(金) 04:41:39

    「それでおめおめと逃げ帰ってきたのか貴様は!?」

    「ハッ、申し訳ございませぬ!」

    「越後屋よ。貴様が舶来品に目が無いのは知っていたが、急ぎ過ぎたのではないか?」

    「いえ代官様、何としても手に入れます。あんな小僧の下にあるより、私が持つ方が上手く扱えますからね。」

    「仕方あるまい、だが儂の手で揉み消そうにも限界はある。しくじるなよ」

    「しかと心に。それにしてもまったく、金儲けの種を腐らせておくとは度し難い…」



    「度し難いのは貴様らの方だ」

    「何者だ!?」

    スパーン

    「愚か者、この顔がわからぬか」

    …?

    カーンッ

    カーンッ

  • 13第五園長21/11/19(金) 04:42:31

    「う、上様!?」
    「なんですと!?」


    「浅ましき我欲の為に無辜の民から強奪を画策し、低俗な妄執を垂れ流す越後屋!並びに、裁くべき罪を揉み消し己の都合よく捻じ曲げ、罪人を匿い手駒とした代官!」
    「両名潔く腹を切れぃ!」



    「ぐぐぐぐ…、上様が斯様な場所におられる筈が無い!」
    「貴様、まだ罪を重ねるか!」
    「者共かかれ!此奴は上様を騙る無礼者じゃ!!」
    「であえ!であえ!」
    ドタドタドタ


    スラァ…
    チャキッ!
    「才蔵!おその!」
    「「ハッ!」」

  • 14第五園長21/11/19(金) 04:43:03

    デーンデーンデーン

    【作業用BGM】◎良音質◎ 暴れん坊将軍 殺陣のテーマ

    「助けてくれぇー!、金ならいくらでもやる!!」

    ザシュッ

    「う……」



    バタッ バタッ

    「残るは貴様のみぞ、代官!!」

    「うおぉぉォ!」

    キン! ガッ!

    「成敗!」

    ドシュッ


    チャッ キン

  • 15第五園長21/11/19(金) 04:43:45

    それから数日後…


    「ほう、では彼女と異国で骨を埋めると」

    「ええ、覚悟は出来ましたから。僕が、ファインを守ります」


    「お待たせー!拉麺2人前だよ!」

    「食べましょうか」

    「ああ、そうだな」

    ハッハッハッハ

    ハッハッハッハ



    2人の未来に幸あれと、願って止まない吉宗であった…

    初代暴れん坊将軍 エンディング


  • 16第五園長21/11/19(金) 04:45:18

    設定として、
    異国の王族ファインモーションが長崎→江戸にやって来る

    江戸で清(中国)帰りの若商人のトレーナーと出会う

  • 17二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 04:46:22

    なぜこの時間に投稿したのだ

  • 18第五園長21/11/19(金) 04:46:51

    >>16

    トレーナー、ファインにラーメン(拉麺)を作って食べさせる

    ファイン、ラーメンにどハマリ。自ら究極のラーメンを追い求めるようになる

  • 19第五園長21/11/19(金) 04:48:47

    トレーナーが作ったラーメンの味を知っているのはファインだけ。
    ファインが作るラーメンはトレーナーの作るラーメンより美味しい。
    トレーナーだけが、ファインが下手だった頃のラーメンの味を知っている。
    となります。
    じゃあ寝るおやすみ!

  • 20第五園長21/11/19(金) 04:58:31

    あと自分のSSの「トレーナー」は人名・固有名詞だと思ってください。
    細けぇ事ァいいんだよ!!

  • 21二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 05:00:40

    テレビでもネットでも上様の活躍を拝めるたぁ、いい時代になったもんだ。

  • 22二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 05:14:05

    光圀が初めてラーメン食べた説が採用されている+64556店

  • 23二次元好きの匿名さん21/11/19(金) 07:17:47

    ウソでしょ…ガチでおはよう時代劇枠になってる

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