- 1二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:04:49
「なあカフェ」
「今夜、お月見をしないか」
トレーニング終わりにそう伝えてみた。
予報によれば、今日は満月。それも快晴。名月を嗜む絶好のチャンスだ。
選ばれた場所はトレーナー室。多分、二番目に長く一緒に過ごした部屋だろう。
「こんばんは、トレーナーさん」
ミル、豆、カップ、クッキー。その他の“必要なもの”を持って席に着く。
香ばしさとほのかな甘さに包まれて、その夜は始まった。
「綺麗ですね……」
そう呟いたカフェに目を向けると、月光に照らされた彼女の長い黒髪がつやめいている。
「……見慣れているはずなのに、どうしてこんなに美しく見えるのでしょうね」
「……どうしてだろうね」
カフェの瞳がこちらを向く。
あの月のように丸い瞳。その底にある想いは、きっと── - 2二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:05:10
「……あ、そろそろ珈琲も飲めそうですね」
「頂こうかな」
「ええ、召し上がれ……」
「ありがとう」
カップに注がれる漆黒。吸い込まれてしまいそうなそれを、カフェと共に飲む。
口に広がる深い苦み。いつもの味と香りが、むしろ眠気を助長する。
「ふぅ……」
熱が喉を通るのを感じる。今にもとろけてしまいそうだ。
まどろんでいると、声が聞こえた。
「おいしい……ですか?」
「……うん。やっぱりカフェの珈琲が一番だよ」
「……ふふ」
お互い黙って空を見上げる。気づけば、月は随分高くなっていた。
「……トレーナーさん」
「……私たちは、いつまでこうしていられるのでしょうか」
「……あの月に手が届くまで、かな」
「………摩天楼の頂上、ですか」
「支えるよ、そこに至るまで」
「……ふふ」
青い月光が照らす部屋。
その窓辺にて珈琲をすする。
コクリコクリと喉が鳴る。
その静けさは、二人だけのもの。 - 3二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:07:36
あぁ…素晴らしい…
- 4二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:07:56
静かな雰囲気いい……
- 5二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:12:49
カフェと静かにコーヒーを飲みながら夜更かししてえな…
- 6二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:17:03
トレカフェは五臓六腑に染み渡る
- 7二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:26:41
- 8二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:28:35
月下の誓い···静かな決意を感じるぜ
- 9二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:35:38
- 10スレ主21/11/20(土) 20:38:36
- 11二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 20:41:57
- 12スレ主21/11/20(土) 20:51:46
ありがとうございます…!!
- 13二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:23:08
凄い綺麗…
- 14二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 10:11:24
この距離感…すき…
- 15二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 21:39:02
カフェは夜と相性良いなぁ