- 1二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:39:46
- 2二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:40:26
「どういうことですのーっ!」
生徒会室にマックイーンの怒声が響いた。うるさいなあ。
「どうしたの、マックイーン。そんなに怒って」
「どうもこうもありませんわっ! このまえ生徒会の企画会議で通った『学園大食い王決定戦』、いつの間にか『ウマ娘異種格闘技大会』に差し替えられているじゃありませんの! テイオーは知っていたんですかっ!?」
「ああ、あれね……ホラ、オグリ先輩が卒業しちゃったじゃん。だから大食い選手権なんかやったってスぺちゃんの勝ちが濃厚だし……それならこっちの方が盛り上がるかなって。マックイーンは大食いの方が良かった?」
「別に大食いだろうが格闘技だろうが野球大会だろうが構いませんっ! 問題は副会長たるわたくしが一切そのことを知らなかったということですっ! 報・連・相は仕事の基本ですのよ!?」
「あれ、会計にマックイーンに伝えといてーって言ったんだけど……忘れてたのかな」
「あの方が業務連絡なんてするわけないでしょう?! 仕事の振り方が雑! 生徒会長なのですからもっと上手く人を使って下さいませっ!」 - 3二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:40:57
ふふ。生徒会長か。いい響きだなあ。
そう、ボクはカイチョーの卒業後に跡を継いでトレセン学園の生徒会長になった。
当選したらすぐマックイーンに「副会長になって!」って頼みに行った。
「どうしてあなたが会長でわたくしが『副』会長なんですの!? 嫌ですわ!」
そんな感じで断られた。でもキミはそもそも会長選に立候補してないでしょ。会長になれるわけがない。
それで「ボクにはマックイーンが必要なんだよ」って何度も何度も頼んだら最後には折れてくれた。マックイーンが押しに弱いのはよーく分かってるのだ。にしし。
ちなみに現生徒会はカイチョー時代の3人体制から5人体制になった。
副会長2人、広報1人と会計が1人。
カイチョーは1人で何でも出来たから3人でも回せてたけど、ボクには数が必要だった。
決してボクの手腕がカイチョーに劣ってるんじゃないよ。ボクは人を使いこなすタイプなのだ。
「だいたいあなたは──」
「その辺にしてあげてください、マックイーンさん。お茶が入りましたよ~」
グラスワンダーがお茶を入れてくれた。彼女はもう一人の副会長。
凄く優しくてみんなから慕われていて、でも締める時には締めてくれるなくてはならない存在だ。
怒ったらものすごく怖いってスぺちゃんが言ってた。ボクはまだ見たことないけど何となく分かる。怒らせないようにしなきゃ。 - 4二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:41:28
「あれ、随分と立派なお茶菓子だね。どこで買ってきたの?」
「ふふ、キタちゃんとダイヤちゃんがお二人にって持って来て下さったんです。生徒会大変だから元気にしたいって」
「あの二人、もうすぐ有馬記念なのにそんなこと……マックイーン! キタちゃんとダイヤちゃんのお菓子だって!」
「聞こえてますわよ……全くすぐに話をそらして」
とか何とか言ってるけど、マックイーンも嬉しそう。
「あのお~、大変尊みあふれるやり取りのところすみません……みなさまの崇高な会話を中断させたくはないんですが、そろそろ会議の時間だと思って……」
そう言ってデジタルが生徒会室に入って来る。この子は広報担当のアグネスデジタル。
生徒会メンバーを探してる時ファル子とカレンチャンに推薦してもらった。
勧誘しに行った時はこの子にももの凄い勢いで拒否されたっけ。
「イベントごとにすっごく強いんだってね! ファル子たちが褒めてたよ! ボクね、カイチョー時代よりもさらに楽しくて素敵な学園を作りたいんだっ! 手伝ってくれない?」
「ヒョエエ……あたしなんかがあの神聖な生徒会に入るなんてムリ……ムリムリ……あたし如きが役員になってもウマ娘ちゃんの尊みを引き出すことなんて出来ない……ご勘弁を~」
手をぶんぶん振りながら生徒会に入れない理由を5分くらいまくしたてられた。でも言っている意味が半分以上不明だったので聞く耳持たず、強引に生徒会に入れた。
入れてみるとものすごく優秀で、ボクはイベントを開く時は必ずデジタルに相談している。 - 5二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:42:03
そうそう、あと凄く助かるのが、学園中のウマ娘の顔とプロフィールを覚えていること。
ボク、人の顔覚えるの苦手なんだよね~。会長としては良くないのかもだけど、どうにも記憶に残らない。だからとても重宝している。
「あ、じゃああたし、隅っこのほうで大人しくしてますから……」
「え、なんで。会議に参加してよ」
「いいんです! あたしはここでみなさんの会話をお聞き出来るだけでも幸せだと思うことにしました! これはこれで生徒会役員だけの特権ですよねっ!」
相変わらず何言ってるのか全然わからない。ひょっとして日本語じゃないのか。
「あら、もう会議の時間ですのに、会計が来ませんわね。またあの方……」
「私が迎えに行ってきます~」
グラスが生徒会室を出ていく。数分の後に扉の向こうから声が聞こえてきた。
「離してくれ! 今日はこれからモルモット君と実験なんだ! これは人間の頭髪を七色に光り輝かせるクスリで──」
「いけませんよ~。明日はこの時間から会議だって、ちゃんと伝えたでしょう? こう何度も何度も遅刻していると、先輩と言えど怒らなくちゃいけなくなります……」 - 6二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:42:43
生徒会室の扉が開いてグラスに腕をつかまれたウマ娘が入って来る。会計のアグネスタキオン。
彼女は初め役員候補じゃなかったけど、スカーレットに頼まれて入れることになった。
曰く、
「タキオンさんは凄く立派な人なのに、何故か評判が良くないの。生徒会に入ればみんな見直してくれるかもしれないから、入れてあげて!」
と拝み倒されたのだ。とりあえず会計にしたけど、あまり仕事はしない。
でも興味があることに関しては凄く熱心に取り組んでくれるから、使いこなせればいてくれて良かったと思える存在だった。ボクの手腕が問われる。
「くっ……こうなると分かっていれば生徒会になど入らなかったものを……」
「いや、生徒会が実験の予算を出すと言ったら二つ返事で了承したじゃありませんの。どうせ幽霊部員にでもなるつもりだったのでしょうけど、そうは問屋がおろしませんわ」
マックイーンの冷静なツッコミが入る。
「何てことだ。これではルドルフ時代の方がよっぽど良かった……一体誰なんだ私を生徒会役員などに推薦したのは……」
サーダレナンデショウネー。
「さあ、今日も会議を始めるよ! デジタルもいい加減そんなところにいないでこっち来て! まずは予算関連から──」
うむ、今日も我が生徒会は順風満帆だ。
無敵のテイオー伝説は、生徒会長になっても続くのだ! - 7二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:43:06
おわり。
お目汚し失礼しましたー - 8二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:48:23
いい…
- 9二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:49:00
これは良い物だ…ありがとうございます…
- 10二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:49:08
ブラボー!ブラボー!!
- 11二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:51:13
まだオープニングだろ?
続きを早く - 12二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:53:13
良い…
会計タキオン…新たな扉を開いてしまった… - 13二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:53:42
このテイオーは見た目は少し大人っぽくなって会長っぽく威厳とか出てきてるんだろうけど 喋れば天真爛漫なんところはそのままなんだろうね 可愛い
- 14二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:54:15
辞めようとするとスカーレットが綺麗な目で見てくるからやめられないタキオン
- 15二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 21:55:13
めちゃくちゃ良かった…
無理にルドルフ時代を踏襲して3人に拘らずに人数増やして対応してるのが、確かにそうなるなって感じだしテイオーの成長も感じられて良き…
メンバーもマックイーン以外は予想外の人選で面白かった!
…で、このノベルの続きはどこに行ったら買えるの?
宣伝のためにオープニングだけ貼っといて、販売先のリンク貼り忘れてるよ - 16二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 22:00:19
(*´∀`*)良い
- 17二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 22:05:37
フラワーは寮長やってそう
- 18二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 22:11:08
- 19二次元好きの匿名さん21/11/20(土) 22:17:51
この世代の寮長も気になるところ
- 20121/11/20(土) 22:25:26
おお、感想がこんなにも…
みなさんありがとうございます!
正直1発ネタなんで続きとかは考えてないんですが、せっかくだからネタが出れば何か考えてみようかな
SS書きは感想を貰うと調子に乗って書きたくなるのだ…
ですね〜
テイオーは自分のイメージの中では髪を下ろして少しだけカイチョーっぽくなってる感じですかね
- 21121/11/20(土) 22:27:33