- 1二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:43:48
最初は面白半分で手を出したことだった。
「カ、カフェ…?」
いま私は、見知った顔の女性からソファに押し倒されている。
何故こんなことになったのか……事の発端は、一週間前まで遡る。
「惚れ薬?」
「お願いしますー! 神様タキオン様!」
いつものように実験対象を探して学園内を散策していたところ、一人の生徒に話しかけられた。
名前も顔も知らない生徒だったが、聞けば私の噂を聞いて探していたらしい。「どんな薬も作れるはぐれ者のマッドサイエンティスト」がいる、と。
実際のところ、私はそんな万能な存在ではないし、過大評価というよりは願望を押しつけられているようで、あまりいい気分ではなかったが……。
「ふぅン……そんな薬、作ったことないんだけどねぇ」
「お、お金なら払います! どうしても振り向いてほしい人がいるんですぅー!」
永続的に効果が持続する薬はない。もし効果を得られても、それは一時的なものでしかないし、そもそも他人の感情をそんなもので手に入れて楽しいものか。
肉体を強化する薬や怪我を治す薬といった注文をされたこともあったが、感情を支配する薬というのは珍しい注文だった。だが……。
「興味がないでもない」
「本当ですか!」 - 2二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:45:28
もしも他人の感情を一時的にでも自由にコントロールできるのなら、それはそれで興味深い成果になりそうだ。
それを使って何をしようとは思わないが、純粋に好奇心をくすぐられる。
「お代はいらないよ。代わりと言ってはなんだが、この薬の試験に協力してもらいたいんだが……」
「します!飲みます! そんなことでいいなら!」
効果の説明もまだだったが、二つ返事で承諾してくれるのならまぁいいだろう。
もし成功すれば、彼女の体はあらゆる光りを跳ね返すことで、その姿を周囲から視認できなくなる。
いわゆる光学迷彩のような状態、透明ウマ娘になるはずだ。
「…….? 何か変わりましたか……?」
「ふむ、すぐには変化が現れない可能性もある。体に何か起きたらまた話しかけて報告してくれたまえ」
「はい!わかりました!」
名前を聞きそびれたが、まあ顔は分かっているし向こうから声をかけてくるだろう。
彼女とはそこで別れ、私は研究室で注文のあった「惚れ薬」の開発に挑戦してみることにした。
それから、どんな光を当てても真っ黒な姿のままの「闇のウマ娘」が現れるという噂が学園に広まっていることを聞いたのは数日後のことだった。 - 3二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:46:31
その日から私は研究室に籠りきって薬の開発に勤しんだ。
人の感情は脳の発する電気信号。
その信号を自由にコントロールするには飲み薬では難しいだろうが、それならば別の方向からアプローチすればいいだけのこと。
薬を飲むことで、特定の脳内物質の分泌を促し、恋をしている状態だと脳に錯覚させればいいのだ。
アドレナリン、ノルエピネフリン、ドーパミン……麻薬やギャンブルの高揚感にも似たような状態。
これを任意の相手を見た場合にのみ引き起こさせることができれば、所謂「惚れ薬」になるだろう。
快感や高揚感を得られる薬だけならば、既に現存する薬なので難しいことはないのだが、特定の相手を見た場合のみ、という条件はとても非現実的だ。
「まあ、不可能とは言わないがね」 - 4二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:47:11
誰に向けて言うでもなく、研究室の中で一人、くっと笑う。
薄ぼんやりとした明かりに照らされた手元には、いくつもの試験管に保管された企業秘密の薬品郡。
生徒会の面子や教師陣に見つかれば、あまりいい結果にはならないだろう危険な薬物も中には含まれている。
その試験管の内の一本を手に取り、惚れ薬の中に一滴だけ垂らす。
先ほどまで毒々しかった青緑の液体は、みるみる内に透明に変わり、鼻を突いていた刺激臭は急速に落ち着いていく。その液体の表面を指で軽くなぞり、かすかに液体の付着した指先を舐めて味を確かめる。
ふむ、無味無臭とまではいかないが、少量なら飲み物に混ぜてしまえば気づくこともないだろう。
振り向いて研究室の反対に視線を移す。
この薬の実験対象は、既に決まっていた。 - 5二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:47:24
うおおおおおおおおおおおおお
- 6二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:48:17
「惚れ薬」製作の依頼を引き受けてから一週間。
「ふぅン……ひとまずの完成、といったところか」
睡眠時間を削り、研究室に籠りきって、ようやく薬の試作品が出来上がった。
効果のほどはこれから実験するとして、薬品を調合する分量を微妙に変えて複数用意した試作品は、その色をとりどりにしてならんでいた。
青、黄色、桃、白、黒……。
狙って色を分けたつもりはなかったが、七色に発光するような、こっそり飲ませるのには向かない液体が出来上がらなかったのは運がよかった。
それらの試作品を全て個別の容器に移し変え、その内の一つを携帯可能な小瓶に入れて白衣のポケットに忍ばせる。
無色透明で味も水に近く、最もカモフラージュ率の高い「惚れ薬」だ。
見込みではこれが最も効果が薄く、その代わりに効きが早くバレにくい薬になっている……はず。 - 7二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:48:39
振り向いて室内を確かめる。
部屋の中央……半分を境に、私の研究室とはガラリと雰囲気の変わるアンティークグッズが敷き詰められた空間。
この部屋を共同で使用している、マンハッタンカフェの個人スペース。
今そこに彼女の姿はなく、テーブルの上にはコーヒーの入ったマグカップが一つ暖かそうに湯気を立ち上らせているだけ。
その彼女こそ今回の実験の被験者だ。
普段から製作した薬の実験に付き合ってもらっているせいか、ここ最近の研究への入れ込み具合を警戒されていたようだが、彼女は不用心にもコーヒーの入ったカップを私の目の前に置いたまま、トイレへと席を外した。
どうやって彼女にバレないよう惚れ薬を混入させるか考えていたが、まさか自分から目を離してくれるとは。実に僥倖。
「今日も付き合ってもらうよ」
ぽつりと一人呟きなから、完成した惚れ薬をカップの中へと数滴垂らす。
透明な液体は茶色く濁った液体に波紋を立て、少ししてカップの中身と全く溶け合ってしまった。
あとはこのコーヒーを彼女が口にし、私の姿を見れば効力が発揮される。
特定の相手にのみ薬の効力を発揮させる方法は、個人のDNAと嗅覚を利用することにしたが、詳細は企業秘密だ。
「さて、キミはどんな反応をするかな」 - 8二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:49:32
数分後、トイレから戻った彼女はソファに腰を落とすと、何一つ疑うこともなくカップに口をつける。
私はあえて彼女から視線を外し、戸棚のガラスや、手鏡で背後にいる彼女の様子を窺う。
混ぜ込んだ量はごく少量。
ちびちびとコーヒーを飲む彼女に効き目が現れるには、早くてもあと10分程度はかかるだろう。
それまでに不審がられてしまわないよう、この一週間使ってきた道具の片付けに勤しむフリをしておく。
しばらく無言で片付けていると、彼女はチラチラとこちらの様子を気にしだしていることに気づいた。
これは薬の効果ではなく、私が黙々と道具を片付けていることに何かしらの違和感を覚えたとかそんなところだろう。
だがタイミング的にはそろそろ薬が効き始める頃。丁度いい。
惚れ薬がその効果を発揮するのは、「匂い」がトリガーだからだ。
接近して彼女の嗅覚を刺激するには、今がいいタイミング。 - 9二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:50:21
「やあ、カフェ。さっきから私のことをチラチラと盗み見ているようだが、何か用かな?」
「別に…………今日はおとなしいと、思って…………」
「失敬だねぇ、まるで私が普段はやかましいと言っているようじゃないか」
「…………」
恐らくは肯定の無言。
冗談のつもりで言ったのだが、これは心外だな。まあいいだろう。
「そうだカフェ、実は新作の薬ができてねぇ。これはとある後輩から作ってほしいと頼まれたもので、効果が確かなものを渡したいと思っているんだ」
「…………それで?」
「ぜひ、キミに試してほしい」
「嫌…………」
小瓶に入った液体をちゃぽちゃぽと揺らして見せびらかし、薬に意識を向けさせる。
警戒はされているが、逃げ出すようすもなく、一歩、また一歩と彼女の下へと近づいていく。
薬を飲ませるための工夫はいらない。飲ませようとするフリだけでいい。そのために距離を詰めるのは不自然ではない。
テーブルを挟んで彼女の反対に立ち、ここ数日の間、着っぱなしになっていた白衣をわざとらしくはためかせる。
薬には嗅覚を鋭くする成分も混ぜておいた。
これだけの距離ならば十分に匂いは届く。
あとはその匂いをトリガーに「惚れ薬」の効果が作用し始めるはずだ。 - 10二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:51:23
「そう言うなよ、私とキミの仲じゃないか」
「どんな仲ですか……絶対、飲みません……」
ふぅン。
見た目にはそう変化は見えないが、効きが浅かっただろうか。
ならばさらに距離を近づけてみればどうか。
テーブルを回り込み、ソファに座る彼女の隣へと腰を落としてみる。
露骨に嫌そうな顔をされ、一人分ほど距離を空けられた。
「その白衣……洗ってません……」
「あとでお手製の消臭剤でも振り撒いておくよ」
「やめて……市販の物にしてください……」
うーむ……。
見たところ全くいつも通りの反応で、どうにも「惚れ薬」が効いているようには見えない。
そもそもこの実験、考えてみれば見た目に変化が出るような薬と違い、相手の心理が可視化できなければ、表面上の反応で判断するしかない、実験としては実に不適当なやり方だった。
となると自分で実験するのが手っ取り早いが、今作った「惚れ薬」の試作品に混ぜてあるDNAは全て私のものだ。
自分で飲んで試すのであれば、誰か身近な相手のDNAを入手して作り直すことになる。 - 11二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:52:46
レシピがあるので作業にはすぐ取りかかれるが、その誰かのDNAを手に入れるというのが少し面倒だ。
それに、もし正常に効果が発揮されれば、私はその誰かに対して至近距離で匂いを嗅ぎ、さらに恋をしたような状態になってしまう。
薬のせいだとわかっていても、好意のない相手にそんな状態になるのは真っ平ごめんだ。
「一度出直しかな……」
「……………………ぅ」
考え事をしながら席を立つ。
失敗したのなら、また作り直すだけのことだ。
今回は大人しく、彼女へ正直に打ち明けて薬の効きを確認するとしようか。
「なあカフェ? 実は正直に言うとだね、キミのそのコーヒーには既にこの新薬が少量混ぜてあるのだが、何か体に変化は……いっ!?」
研究室へと戻ろうと足を進めようとした時、お尻の辺りを何かに強く引っ張られ、前方に大きくつんのめる。
「き、急に何をするんだカフェ……」
「…………」
振り返ると、カフェが私の尻尾を両手で握ったままソファの上に固まっていた。 - 12二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:54:11
「……? おーい、カフェ」
「…………」
「痛いんだが……離してくれないと困るよ」
掴まれた尻尾を左右に振って抗議するも、彼女は俯いたまま動く気配はない。
長い前髪に隠れてその表情は窺えないが、どうやら小さく唇を噛み締めているようだ。
これはもしかすると……。
「ははぁーん、カフェ。キミはもしかして私に離れてほしくないのかな?」
腰を曲げて俯く彼女の顔を覗き込もうとすると、ふいっと顔を逸らされた。しかし、髪の隙間からわずかに覗いた顔は赤く染まっているように見える。
どうやら惚れ薬の効果が出てきたらしい。
予想よりは少しばかり遅かったが、数滴で効果が出るのであれば量を増やせば効果の効きも良くなるかもしれない。
次は態度が分かりやすいスカーレットくん辺りに試してみようか。
彼女には栄養ドリンクだと言って渡せば素直に飲んでくれるだろう。
思い立ったが吉日とも言うし、早速スカーレットくんを探しにいこうか、という前に一つ。
「カ~フェ~? そろそろ離してほしいのだがねぇ」 - 13二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:55:29
相変わらず私の尻尾を握って離さないこの甘えん坊は、手を離すように腰を振って引っ張っても、尻尾の先で手元を叩いても一言も発しないままだ。
先ほど顔を覗いた時に反応はあったし、こちらの声も聞こえているはずだ。
この薬の効果はそこまで強くないはずだし、いつもの調子で返事ぐらいはしてもおかしくないはずだが。
「……これは……」
「なんだい、喋れるじゃないか」
「…………タキオンさんの、薬のせいなんですね…………」
「うん? ああ、その通りだよ。この薬は先ほども説明したように後輩に頼まれたものでね。意中の相手を手に入れたいということで製作した惚れ薬なのさ。飲み物に混ぜればこの通り、今キミは私の姿を見て愛おしく感じているんだろう?」
ようやく彼女から返ってきた言葉に、しおしおと倒れた彼女の耳に聞こえるよう、指先でつまんでいじくりながら高らかに言葉を返してやる。
触れた耳がピクピクと、指先から逃げるように震えるのがまた面白い。
このままここで、この娘と遊んでやるのも悪くないかもしれない。
まだ日も高いのだし、スカーレットくんを探しにいくのは放課後のトレーニングを待っていれば、自然な理由でドリンクとして渡せるだろう。 - 14二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:56:55
まだ試していない試作品もあることだし、折角なら今の状態のカフェで試してみるの悪くない。
ついでに自分で実験するためのDNAを彼女から採取しておこうか。
身近な相手であれば、惚れ薬の効果の対象になっても抵抗は少ないし、無許可とは言え協力してもらったのだから、私も自分で試しておあいこにすれば、この後怒られることになっても許してもらえるだろう。
改めてソファに腰掛けながら、京一日の今後の予定を考えていると、尻尾を握られる感触が不意に消えた。
「ん? ひゃうっ!?」
突然、襟元を掴まれたかと思うと、目に映る世界がぐるんと回転する。
一瞬、何が起こったのか理解できなかった。
体に掛かる重みに顔を上げて確認すると、仰向けにソファの上に引き倒され、そのままカフェに跨がられているようだった。
「と……突然何をするんだ! ビックリするじゃないか!」
「…………」
いきなりの乱暴に声を荒らげて抗議するが、彼女からの返答はなかった。
見ると彼女は、口を開けて呼吸するほど息を荒くし、首筋には先ほどまでは見られなかった発汗も見られる。
口の端には垂れてきそうな量のよだれがぷくりと泡を立てるほど溜まっており、明らかに異常な状態だと目に見えてわかった。
「お、おい……大丈夫かい……?」 - 15二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:57:53
まるで猛犬のように、下手に手を出せば噛みつかれるのではないかと思うほど強く息をする彼女の顔にそっと手を伸ばす。
さすがに噛みつかれることはなかったが、彼女の長い前髪を掻き分けた先に見た金色の瞳は、まるで獲物を狙う猛獣に錯覚するほど、ギラギラと瞬いているように見えゾッとする。
「ち、ちょっと待っててくれ……念のために解除用の薬も用意して……」
万一にも惚れ薬の効力が消えなかった場合に備え、その効力を打ち消すために薬の成分を薄める薬も作っておいたのだ。
さすがに今のカフェの様子は只事ではないと感じ、その薬を取りに行こうと上体を起こそうとするが、跨がる彼女に肩を掴まれ、そのままソファの上に体ごと押しつけられる。
それでも何とか起き上がろうと力を込めるが、肩を掴んだ手は爪が食い込むほどに力を増し、のしかかってくる彼女の体重は明らかにウマ娘一人分の体重ではなく、まるで巨大な岩か何かに押さえつけられているみたいだった。
薬には筋力増強の効果など当然あるはずもないし、少量であればここまで精神を昂らせるような効果もないはずだ。
それなのに今の彼女は極度の興奮状態にある。
このままではマズイ。
生物の本能がそう訴える。
「カフェ、その状態を治す薬もあるんだ……本当だから……」 - 16二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:58:52
興奮状態の彼女を刺激しないように、努めて穏やかな口調で諭すように語りかける。
しかし、手の力も掛かってくる体重も緩む気配はない。
何とか冷静に対処しようと頭では理解しながら思考を巡らせるが徐々に焦りが勝り、何をすればいいのかわからなくなる。
「ふぅー……ふ……ぅ゛……」
カフェは息を荒くしたまま、抱き締めるように覆い被さってくる。
心なしかその息はどんどん強く乱れている。
肩を掴む手は二の腕、前腕を撫でるようにしてこちらの手元まで下ろされてくる。
拘束から逃れようと暴れさせていた手もまた、指を絡ませるように握られて拘束される。
「く、薬を取ってくるから! 治す薬を! だから離してくれ……!」
重たさに苦しい声を絞り出して懸命に叫ぶが、やはり彼女からの返答はない。
抵抗するほどに体力を奪われ思考する余裕も削られてゆく。
すぐ隣から聞こえる息遣いは、もはや極限まで餓えた猛獣のそれだった。 - 17二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 00:59:47
「悪かった! 私が悪かったよ! ふざけすぎた!」
「だから許して」、と叫ぶ前に私の口はほのかな珈琲の香りと、ねちゃりと粘っこい液体に塞がれた。
「むぐっ……!? むぅ……んんー!」
何が起きたのか理解するのに、数秒かかった。
こちらの口を塞ぐようにして覆うような接吻。
空いた手で彼女の体を押し返そうと力を込めるが、やはり動かせる気配はない。
ならばと足をじたばた必死に動かして蹴り上げようとしても、ぴったり密着されていてはそれも無駄に終わる。
残された手段は、口を一文字に結んでだだじっと、この時間が過ぎ去るのを待つことだけだった。
「んっ……ぷぁ……」
どれだけ経ったのだろう。
一分のようにも十分のようにも一時間のようにも思える。
もはや口の回りに無遠慮に垂らされたよだれも、目の端にかすかに伝う涙も、私には拭う気力は残っていなかった。
「…………これ、ですよね」
「……?」
ぽつりと呟いたカフェの言葉に、視線だけを彼女の方へと向ける。
その手には、いつの間にか白衣のポケットから抜き取られたのか、惚れ薬の入った小瓶が握られていた。 - 18二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:01:20
「こんなもの……また勝手に使われたら、困りますから……」
その指が瓶の蓋にかけられる。
自分の全身から血の気が引いていくのをはっきりと感じる。
「全部、捨てちゃいましょう……ここに……」
伸ばされた手に顔を鷲掴みにされ、口を上に向けて開けさせられる。
残った力で顔を振って抵抗しようとするが、相変わらず彼女の手は信じられない力で掴んできて離してはくれない。
この薬の効力を特定の相手に発揮させるためにはDNAが必要だ。
そのために使った私のDNAは『唾液』だった。
今、私の口には彼女の唾液がべったりとくっついている。
ごく少量をさらに珈琲で薄めたカフェですらこれなのに、原液のまま瓶の中身全て飲まされたら……私はどうなってしまうのだろう……。
「あーん……」
「かふぇ……やめへ……」
無理矢理開かされた口で出きる最後の抵抗。
儚いお願い。
喉を通る冷たい感覚に「あぁ、もうダメなんだな」と他人事のような思いを抱きながら、そっと目を閉じた。 - 19二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:02:11
「やあ、おはようカフェ」
毛布代わりの白衣にくるまれながら、ソファの上でごしごしと目を擦る彼女に、何の変哲もない珈琲を手渡す。
「コーヒー以外は何も入れちゃいないよ。不慣れだから味は保証しないがね」
まだ寝ぼけていそうなまなこで、じろりと睨み付けてくるこのウマ娘の顔がいやに愛おしく感じられる。
先日は丸一日、彼女と共にこの部屋で過ごすことになってしまった。
結果的にだが、自分でも惚れ薬の効力を調べることはできた。
効力は時間で消えることも無事に判明した。
ただ想定と違ったのは……。
「私の薬のせいで大変な思いをさせてしまったねぇ……」
「……本当に……もう二度と、あんな薬は飲ませないでください……」
「わかっているよ」
彼女に背中を向けたまま適当に返事を返す。
戸棚から惚れ薬の試作品を取り出し、中身を全てまとめて流しに捨てる。
私もあんな大変な思いはまっぴらだ。
こんな失敗作は捨ててしまおう。
そう、こんな……。
「嗅覚過敏になるだけの薬はね……」 - 20二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:02:55
エッチでした!お疲れ様です!
- 21二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:04:04
うーん……最高!
- 22二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:06:22
すごいよかった……
濃厚タキカフェほんと最高 - 23二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:06:42
ケダモノカフェとベタ惚れタキオンとても素晴らしい……
- 24二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:09:23
オチはカフェが元々タキオンを気になってて、嗅覚過敏になったことで我慢しきれず襲ったってことでいいのかな。
それはそれとして、タキカフェ供給助かる - 25二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:14:13
最高でした…
○やす薬のパターンの作品を以前書かれていた方ですか? - 26二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:15:54
ドトウはさぁ…。名作だった…。
- 27二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:18:45
- 28二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:20:48
- 29二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:24:21
嗅覚過敏でなぜキスする必要があったのか。その答えを求めて我々はトレセンへ
- 30二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:30:23
そらもうタキオンさんの匂いを間近でぷんぷんさせたらそうなるよ
余裕こいて挑発してたら押し倒されてはこの二人の黄金パターンといっても過言ではない - 31二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 01:48:17
こんな激しいカフェじゃどんな激しいプレイだったのか妄想が捗る
- 32二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 03:54:22
やはりカフェ攻めこそ至高
- 33二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 09:04:43
許しを乞うタキオンはなんというか…ふふ…下品なんですが……
- 34二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 10:04:38
やはりカフェは犬
- 35二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 10:13:30
いいものだぁ
- 36二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 11:49:42
薬のせい薬のせいと言い訳しながらな自分の意思で襲うカフェ…
私の脚質にはあっていますよ - 37二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 15:11:21
よきかな
- 38二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 17:06:24
タキオンに噛みつかれた痕とかありそう
- 39二次元好きの匿名さん21/11/21(日) 23:18:00
タキカフェはお互いにお互いの感情が見えてないけど矢印向けあってるのが尊い
- 40二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 00:05:41
大体ドトウで分かるから酷い
まぁ内容でどなたかは分かるが - 41二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 00:15:54
ドトウのSSはいつ書くんだろう…