- 1私23/03/27(月) 23:17:42
気づけば、私は電車に揺られていた。
がた、ごと、と音が響く、古びた浪漫を体現する内装にはどうやら、私ひとりだけがぽつんと座っているようだ。
どうしようもない浮遊感が私を覆っている。
どこか気だるい、不快な感覚から逃れたいと思い、窓の外に顔を向けた。
人工的なオレンジの明かり。その枠組みの外には一面、夜空が広がっている。
満天の、美しいとしか表現のしようがない夜空。
チラチラと星が輝き、気の遠くなる程に広がっている夜空。
心地よく揺れる列車に身を預け、暫く窓の外を眺める。
遠く、虚しい微睡みの中で思い出すのは、もう覆らない、後悔の記憶。
決して忘れたくない、最低の記憶が、私から溢れ出す。
けれど、私はもう、懺悔する事さえもできなくなってしまっていた。
小さくとも煌々と輝く星々の、変わり映えのしない景色は、まるで私を責立てる様にも思えた。
もう随分と、遠くに来たようだ。
ぱたり、涙が頬を伝って、手のひらに落ちてゆく。
手のひらに感じる冷たさからは、取り返しのつかない、もうどうしようもない現実がとめどなく溢れてくる。
いつの間にか、私は堰を切ったように泣きじゃくっていた。
私は今、きっと酷い顔をしているのだろう。
絶望的な浮遊感の中、脚だけが痛んでいる。そんな気がする。
暗闇と、硝子に映る列車の景色。
しかしそこには、私の姿だけが無かった。 - 2二次元好きの匿名さん23/03/27(月) 23:20:06