- 1121/11/22(月) 02:03:17
- 2121/11/22(月) 02:04:10
俺は蒼月 潮(あおつき うしお)。何処にでもいるフツーの美大生だ。
中学くらいの時には色々大変な目にあったけど、今は大好きな絵を描くことに集中出来て最高に幸せさ!
最近はメキメキと絵の実力もついて来た気がするし、画家デビューも近いかもしれないな!
ある日、親父から急に実家の寺に呼び出されてこんな質問をされた。
「潮よ、府中にあるトレセン学園を知っているな?」
───日本ウマ娘トレーニングセンター学園
国民的スポーツ『トゥインクル・シリーズ』に出場するために、
ウマ娘たちが全国から集まって日夜厳しいトレーニングを積んでいるそうだ。
幼馴染の麻子と真由子も大ファンで、昔はよく3人でTVに齧り付いてレースを見たもんだ。 - 3121/11/22(月) 02:04:43
「そこの理事長さんの親父さんとはちょっとした知り合いでな、この間ちと頼み事をされてなぁ」
親父の話はこうだ。
今の理事長のお父さんが、トレセンの創立記念日に飾る絵を描いてくれる画家を探しているらしく、
久々に再会した親父に話したところ、それなら自分の息子はどうだろう?粗削りだが将来有望な画家の卵だ。
報酬は要らないから試しに描かせてやってくれないか、と言ってくれたそうだ。
「…親父、いやお父様。俺は今、生まれて初めて親父が俺の親父で良かったと思ったよ…」
「そうだろう、そうだろう…ん?なんだと?」
その描いてほしい絵の内容は決まっていないらしく、
トレセンに直接来て泊まり込みで学園やウマ娘さん達の練習風景を観て決めてほしいそうだ。
こうしちゃ居られない!早速準備をしなきゃな!スケブにキャンパスに筆に絵の具に…、
そうだトレセンには事務員寮に泊めて貰えるらしいから着替えや歯ブラシなんかも要るな! - 4121/11/22(月) 02:05:46
「あら、潮?もう行ってしまうの?折角お茶を淹れたのに…」
慌ただしく家を出て行こうとする俺に優しい声が掛けられた。俺の母ちゃんだ。
俺の母ちゃんはとても若く見えて凄く美人で…、白髪でハゲの親父とはえらい違いだ。
とある事情で亡くなったと聞かされていた母ちゃんに中学時代に再会したんだけど、
もう随分経つのに未だに照れてしまう。
「へへへ、じゃあもうちょっとだけゆっくりしていこうかな…」
「うふふ、じゃあお茶菓子は羊羹と最中、どっちがいいかしら?」
ニヤニヤと俺を見る親父にはちょっとイラっと来たが、俺は羊羹と最中どっちにするか考えながら座布団の上に戻った。 - 5121/11/22(月) 02:07:27
「…潮、トレセンには『とら殿』も連れていきなさい」
羊羮と最中を平らげた後、母ちゃんが出してくれたきんつばに齧り付いた時、親父が優しげな顔で俺に言った。
「……そう、だな…。たまには外に出してやらねぇとな…」
親父の気遣いなんだろうけど、親父も母ちゃんもこういう言い方をする。
俺は食い掛けのきんつばを口に放り込んで立ち上がった。
「境内に行ってくるよ」 - 6121/11/22(月) 02:11:34
うちの寺の境内には、ある物が祀られている。
境内の奥、一般の人は立ち入れない場所に安置されており、公開もされていない。
それは上等な木製の祭壇、その台座の上、綺麗な布を敷かれた、小指の先程の小さな金属片。
「…獣の槍」
そのひと欠片。
───既に力は失われており、我々の研究にとって只の金属片以上の価値はない。だが君にとっては違うのだろう?
戦いの後、失われた筈の獣の槍。その小さな欠片をハマー機関のおっちゃん達が発見して俺に渡してくれた。
俺はこの破片が、ジエメイさんとギリョウさん、そして【とら】の形見の様な気がしてスゲー嬉しかったのを覚えている。 - 7121/11/22(月) 02:15:05
- 8121/11/22(月) 02:16:23
「大体何で親父達には見えねぇんだよ!お前が戻って来たときに俺が大騒ぎしたら、親父達にメチャクチャ優しくされたんだぞっ!!」
『ケッ!知らねーよ!別にあいつらに見えたところでわしに何の得もネーよ!』
「真由子だけには見えるからってちょいちょいバーガーをたかりに行くのも止めろ!」
『この"とりぷる月見てれやけメガバッガ"が中々いけんだよ。まぁニンゲンのハラワタには劣るがな!ギャハハハ(ゴムッ!)イッテェな!!いきなり殴るんじゃねえよ!このクソうしお!!』
「うっせえ!こっちはさっきも獣の槍の破片をお前の形見だと思ってる親父に優しい顔で「とら殿を連れていきなさい」とか言われてメチャクチャ気まずかったわ!」
『ギャハハハ!とんだお笑い草だぜ!!わしがこんなガラクタに取り憑くかよ!』
「他人事みてーに言いやがって…。んで?お前は来んのかよ?トレセン」
『あぁ?あのウマ娘ってはしっこい女どもが居るガッコだろ?あったりめーよ!』
『わしはお前に取り憑いてんだぜ?』 - 9二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 02:22:57
そうくるか!
- 10121/11/22(月) 02:26:28
ここまで書いたけどこの先どう絡めていいか解らんくなった…
- 11二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 02:28:37
単純なうしとらファンワイ、とらちゃんが復活してバカやってるだけでとてもうれしい
- 12 21/11/22(月) 02:28:46
とらが潮にだけ見えるのが潮が字伏に2度も成りかけたからとか割と理由を考え易いのと、とらが見えるって言う潮に親父さんが妙に優しいのが余りに想像し易くて良い❗️
- 13二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 02:35:49
おいなんだこの俺得SSは
この組み合わせは考えもしなかったが実に良いじゃないか…
でも確かにどうやって絡んでいくのか想像つかんな大変そう
カフェはとら見えるのかね?いや親父と母ちゃんというとびきりの霊能者2人が見えてないから極めて特別な縁でもないと無理なんだろうか - 14二次元好きの匿名さん21/11/22(月) 02:38:05
- 15121/11/22(月) 03:14:59
「俺はウマ娘はTVでしか観たことねーんだけど、とらは会ったことあるのかよ?」
『槍の使い手にも一人いたぜ』
「まじかよ!?」
『槍構えて人間の何倍もスゲー早さで突っ込んでくるからやべーのなんの、わしが全力で飛んでもやたらと体力があるのか山を5つ越えても着いてきやがる』
「はーおっかねぇなぁ」
『6つ目の山でやっとへばってきて丁度嵐が来たから雷撃山ほど食らわして、ついでに土砂崩れ起こして生き埋めにしてやったんだがよ』
「げぇ~えげつねぇ…」
『直ぐに出てきやがってその後も丸2日おいかけっこよ。ありゃ正真正銘の化け物だぜ?まぁわしには及ばんかったんだがよ!』
「あの字伏たちの中に居たのかなぁ…」
『さあな!』