すいません、ここに来れば

  • 1二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:33:41

    「キタちゃん、また大きくなってない?」

    トゥインクルシリーズをトレーナーさんとひた走っていたある日、ダイヤちゃんがそんなことを言ってきた。正直面食らったと思う。ウマ娘は思春期に急激に成長するが、自分の身体は伸びなくなったし、成長が緩くなって止まりつつあると思っていたからだ。おまけに毎日見ているから成長を実感しにくいときた。幼少期のような成長ならともかく、緩やかな成長には気が回っていなかった。

    「どこらへんかな?」

    「…ちょっと鏡を見てみて」

    ダイヤちゃんは懐から鏡を取り出すと、私の身体を指さしながら成長の証拠を指摘していった。
    例えばスカート。下半身が大きくなったせいか布地が太腿の中程あたりまで上がっていた。中が見える程ではないが心許ない。例えば上着。胴回りが太くなったせいか肌への密着感が大きい。胸の輪郭が若干分かりやすくなっていた。入学時はそれなりに余裕をもったサイズを選んでいた筈だが、私の成長がそれ以上だったらしい。

    「キタちゃんはウマ娘の中でも育ち盛りだから、もっと気にしてないと」

    そういうダイヤちゃんの顔は真剣そのもの。私も些か放置し過ぎたと反省し、上のサイズを発注し事無きを得た。でも、私は大事な事を忘れていた。もう一つ、サイズ変更をしておくべき服があったことを。

  • 2二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:33:55

    それから数週間後、私は久方振りにG1に出走すべくレース場に来ていた。パドックに出る時刻も迫り、更衣室で勝負服を着替えていたとき。私は違和感に気付いた。

    「あれ…きつい?」

    腰の辺りの締付けが記憶にないくらい強い。まさかと思い着用してみると、次々に不味い箇所が明らかになってくる。上着が以前よりギチギチで胸が潰されてしまう。元から短めだったスカートの丈が更に悪化し、激しく動けば足の付け根やお尻の肉が見えてしまいそうだ。ソックスもパンパンで太くなった太腿の肉に布地が食い込んでいる。

    「ど、どうしよう…」

    勝負服についても発注しておけば良かったと後悔するものの後の祭り。違う衣装を用意するにしても、レースに間に合わない。かといって、レースを辞退しトレーナーさんや皆の期待を裏切るなんて出来ない。私は数分考えた末に選択した。

    『●枠□番、堂々の一番人気。キタサンブラック!』

    「うぅ……」

    このレースのことを、後にキタサンブラックの関係者はこう語る。当時の彼女は、しきりに自分の勝負服を気にし、終始モジモジしていたという。

  • 3二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:34:50

    みたいな感じで、成長期で体がでかくムチムチになって恥ずかしがるウマ娘のSSが見れると聞いたのですが

  • 4二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:35:21

    お前さんが始めた物語だろう

  • 5二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:35:55

    当店はセルフサービスです

  • 6二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:35:56

    かけたら書こう(書けなかったらすまん)

  • 7二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:37:37

    ちょっとよくわからないな
    参考イラストとかないんですか?

  • 8二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:39:01

    「もりもり成長中!」とかいう全二次創作者への希望の言葉

  • 923/04/03(月) 17:52:21

    >>4

    >>5

    一人で考えるにも限度があるんだ…


    >>7

    多分こんな感じ

  • 10二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 17:56:33

    人間と同じように考えるとトレセン学園に在学してる年頃は肉体の激変期でもあるからトゥインクルの3年間だけ考えても大変そうではある

  • 11二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 18:01:12

    ドンキに売ってる自分の勝負服を買ってきてもらうという手段が…

  • 12二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 18:02:23

    貼られるべき続きがスレにない、それは麻呂にとって同時に存在の証明でもあった

  • 1323/04/03(月) 18:32:09

    >>12

    待っててくれ

  • 14二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 20:52:35

    出てきたのはよかったものの、私は早くも後悔していた。久しぶりの復帰レースだからか観客の数が多い。パツパツの姿ををこれだけの人に見られていると思うと頭が沸騰しそうだ。内の何割かは衣装のことに気付くかもしれない。スカートの裾を気にしながらゲートに収まる。私は祈るようにその時を待った。

    ゲートが開きレースが始まった。スカートは問題しかなかった。思った以上に走りに合わせてユラユラ揺れている。お尻がスースーする。これ後ろからスカートの中丸見え―――

    「わああああああああああああああああ!!??/////////」

    結局の所、私は他のウマ娘に見られまいと加速し、ツインターボさん並の爆逃げを敢行した。それで勝てたのは普段のトレーニングのお陰かもしれない。

  • 15二次元好きの匿名さん23/04/03(月) 22:19:26

    >>10

    ダスカもキツくなってるって言ってたしな

  • 16二次元好きの匿名さん23/04/04(火) 07:42:15

    >>8

    他にそういうの明言されてる子っていたっけ?

  • 17二次元好きの匿名さん23/04/04(火) 17:05:14

    その日のキタサンブラックは普段と違った。若干挙動不審というか、周囲を気にしてレースに集中できていない。レース内容も事前のプランとまるで違う暴走の様な逃げ。勝てたから良いものの、トレーナーとしてそれは看過できなかった。レースが終わった直後の彼女を捕まえて事情を聞くことにする。

    「えっと…そのですね…」

    キタサンブラックは答えに窮する。今も尚周囲を気にしている様で、目線も泳いでいた。どうやら口に出したくないようだ。私は君が心配なのだと説明し事態の打開について説得を試みることしばし。彼女も根負けしたようで、意を決して話し始めた。

    「私を見てください…違和感ありませんか…?」

    言われるがままに勝負服を眺めていると、漸く彼女の走りの原因が判明した。全体的に衣装のサイズが小さくなっている。成長した身体を何とか収めようとしたのかどこもパツパツで生地が伸びきっていた。スカートに至っては中が見えてしまいそうなほど心許ない。なるほど、この状態だからこそ彼女は周囲の目線を気にしていたのだ。サイズは余裕をもって出していた筈だが、成長速度が上だったということか。

    「……新しい勝負服の発注しておくよ」

    「は、はい……//////」

    ジロジロ見られてしまったからか、キタサンブラックの顔はトマトの様に赤かった。

  • 18二次元好きの匿名さん23/04/04(火) 20:59:40

    >>11

    その発想は無かった

  • 19二次元好きの匿名さん23/04/04(火) 21:02:07

    名作

  • 2023/04/04(火) 22:01:58

    ひとまず以上……誰も書いてくれねぇ…
    妄想だけでも良いから開示していってくれぇ…

  • 21二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 07:02:55

    ええSSじゃあ…
    そんなホイホイ後追いの文章出てこないからムチムチで大変になりそうなキャラで思いついた娘だけ
    通常ブルボン、チケゾーは通常、新衣装両方、マミークリーク、ウインディ
    あたりかな?

  • 22二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 16:40:44

    「うっそ!キツくなってる!?」
    って焦って何とか誤魔化そうとするも
    トレーナーに指摘され
    「うにゃああああああああああ」
    ってなるネイチャ

  • 23二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 21:13:46

    大正義ダスカとか

  • 24二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 07:39:02

    キタちゃんがあるならダイヤちゃんもムチムチになるだろう

  • 25二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:33:42

    コルセットみたいな構造だとすぐ気づきそうだからオペとかアヤベさんはならなそうかな
    一見ゆったり気味のキャラのが遭遇しそうなシチュだ
    パーマーとかアイネスとか?

  • 2623/04/06(木) 19:37:20

    >>25

    気付くか気付かないかは重要な問題ではないので大丈夫です!

    ムチムチを恥ずかしがるウマ娘の方がメインなので!

  • 27二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 23:22:53

    クリークで考えてみますわ
    でも今日は疲れたので…保守に協力して頂けるとありがてえ

  • 28二次元好きの匿名さん23/04/07(金) 10:16:27

    保守

  • 29二次元好きの匿名さん23/04/07(金) 19:47:52

    脚太い勢もいいぞ

  • 30二次元好きの匿名さん23/04/07(金) 21:20:01

    保守感謝
    頑張る

  • 31二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 06:44:28

  • 32二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 06:54:27

    勝負服がスカートの子はラストスパート時は後ろの子からスカートの中身丸見えだけどな。見られること前提でスパッツとか見せパンとか履いてるし

  • 33二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 08:15:42

    「マーチャン?」
    「……ほぇ?あ、はい!」
    「マーチャン?なんか落ち着いてないけど大丈夫?……熱?怪我?」
    「あ、いえ、いえそういうことはないです」
    「動きがぎこちないだけど……まだパドック入りまで時間あるし、今のうちに教えてくれないか」
    「……レンズさんには、隠し事はできませんね」
    「いっぱいされたけどなぁ、隠しごと」
    「ふふ。そんなレンズさんなら、わかりませんか?いつもと違う今日のマーちゃん」
    「……あ。胸のボタン壊れてるじゃん。二番目がちゃんと止まってない」
    「いいえ、違います。服はいつも通りです」
    「いつも通りじゃないのはマーチャンの方ってことか?」
    「……はい。……その……えっと。えへへ……」
    「……あー……ごめん。いいよ、言わなくていい。……女の子が言うのは、恥ずかしいよな」
    「っ……もう。それをあなたに気付かれて、言われたら、結局恥ずかしいんですよ?」
    「おう、ごめん……」
    「それで、どうしましょう。他の衣装は、皆さんお揃いの衣装とかないんでしょうか」
    「マーチャンのサイズはないんじゃないかな……背と、その……ね、身体のバランス的に、マーチャンのって特注だから」
    「あうぅ……なんだかますます恥ずかしいです。追い打ちです」
    「いいや、恥ずかしくない。マーチャンは可愛いよ。素敵だよ」
    「あう、あう……!?」
    「それに、恥ずかしくなくしてあげるのが、トレーナーの仕事だよ」
    「……え?」
    「生地自体は傷んでない。ボタンの位置とかホックの位置のせいできつくなってるんだから、俺が今から調整する」
    「そ、そんなことできるんですか?」
    「着ぐるみ一人で作ったんだよ?できるさ」
    「あ……たしかに、そうでした。マーちゃんのトレーナーさんは、とってもすごいひとでした」
    「すごいマーチャンに見合うように、頑張ってますから。……だから、約束してね。これから、何か心配があればすぐ言って」
    「……はい」
    「調子が悪くなったら、一緒に考えよう。悩みがあるなら、一緒に背負うから。約束」
    「……はい。マーチャンとあなたの、やくそくです」

  • 34二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 15:26:57

    もうちょっと待ってね…

  • 352723/04/08(土) 20:18:39

    「フンフンフフ~ン♪」
    鼻歌を歌いながら、一人の女性が床に掃除機をかけていた。亜麻色の長い髪を半ばからゆったりとした三つ編みにして背中に垂らし、先端はシュシュでまとめている
    前髪には一房の白髪が混じり、こちらはきっちりと編み込んで額を斜めに流していた
    ……少女の頭には形の良い一対の耳が乗っており、腰からは豊かな尻尾が伺える。そのウマ娘の名はスーパークリークといった

    クリークはトレセン学園所属のウマ娘であり、普段は寮生活をしているはずだ。しかしながら今現在、彼女が掃除しているのは一人用の部屋である。机には雑誌や教本が重なり、壁にはクリークの受けたインタビュー記事や写真が飾られていた
    ここは彼女のトレーナーの部屋である。本来なら担当ウマ娘がトレーナーの私生活に踏み込み、あまつさえ部屋の清掃や洗濯、あるいは夕食の準備まで世話を焼いている状況は異常と言えるかもしれない
    だがスーパークリークとそのトレーナーはお互いが競技者および指導者としてデビューした当初より二人三脚でやってきており…この独特な役割分担が出来上がっていた
    当コンビのトレーナーはあまり私生活への頓着が無く、放っておくと仕事にばかりかまけてしまう。クリークはクリークで心配性のお世話好きであり、大切な自分のトレーナーは食事や着るものに気を使って欲しい
    だから定期的にトレーナーの資質を訪れて家事をしているのだ。もはや新人とは呼べなくなった彼は今や人気トレーナーの一角であり、クリークも最近はレースの間隔が開きがちになっているため時間に余裕が出てきていた。実際今日も体調を鑑みてオフである……最も、そうして生まれた時間を他人の為に使うというのが彼女の彼女たる所以であったが

  • 362723/04/08(土) 20:19:15

    >>35

    一通りの作業を終えると、慣れた動作でエプロンを身に着けて台所に立った。今日はハロウィンだ、夕食は少し軽めにしようか。部屋にお邪魔することは連絡済みだし、昨日のうちに作っておいたマドレーヌも冷蔵庫に入れてある。トレーナーさんもデザートを買って帰ると言っていた

    カボチャを煮たお鍋をコンロから下ろし、炊飯器をセットして…細かく切ったお野菜のスープをとろ火にかける。あとはトレーナーさんが帰ってから何か適当に炒めるとしよう。どうせならあったかいうちに食べて欲しい


    さてさて、ここまでくれば暫くは目を離しても構わない。今のうちにシャワーを浴びることにした。髪を手入れしながら、お料理のレパートリーのことを考えた

    …家主が自炊をしないため、ここにはあまり調味料がないのだ。トレーナーさんはいつも美味しいよと言ってくれるが、味付けに代わり映えがしないのは密かに気になっている。お邪魔する頻度がそこまで高くないためまだ心配ないかもしれないけれど、そのうち飽きてしまったりしないだろうか。例えばそう、今よりもっと頻繁にお部屋に上がって、毎日のように一緒に食事をして、とか……

    だってトレーナーさんは今が働き盛りで、これからもっともっと忙しくなると思うし、そうしたらあの人はウマ娘たちのためにますます全力を費やすだろう。頑張り屋さんなのはよ~く知っているし出会ったばかりの頃に比べたらカップ麺ばかりの食事は止めてくれたけれど、お洗濯や片づけはまだ手が回り切らないみたいだ

    気づけば私だって本格化を迎えたのはそれなりに前のことである。一戦ごと、状態を仕上げるのに時間を要するようになってきたし、以前のようにトレーニング漬けの生活は既に送っていない。いつか…レースに出なくなる時が来るのだと思う。そうなったときは・・・・・・

    トレーナーさんは今より忙しくなって、私の方は反対に忙しなさが薄らいで。そうなったときあの人は私にお世話を焼かせてくれるだろうか?

    (…………――――……)


    蛇口をひねり水音が止む。いけないいけない、先のことまで考えすぎだ。まずは今日を楽しもう。もう少しでトレーナーさんも帰るはずである、身体を温めてから浴室を出た

  • 372723/04/08(土) 20:20:07

    >>36

    ハロウィンのトレセン学園はお祭り騒ぎとなる。校舎のみならず通路の脇に至るまで様々に飾り立てられ、放課後ともなれば半ハロンも歩く前に「トリックオアトリート!」と声がかかる。仮装してお菓子をねだる娘、同じく仮装してはいるがお菓子を配る娘、そして寮の企画で催し物も開かれる

    以前クリークもパーティ運営の中心にいたことがあったが、今年は最低限の手伝いにとどめたようだ

    こんな日だ、担当するウマ娘たちのトレーニングは基本的に軽い内容かお休みにしたので、クリークも他のみんなと一緒に楽しめばいいとそれとなく勧めたのだが、それならお部屋に上がらせてもらいますね、との返事だったので甘えさせてもらうことにした


    クリークが俺を甘やかすことでストレスを発散していることは十二分に承知している。しかし疲れるものは疲れるはずであるし、家事をやってもらうことで助かっているのも紛れもない事実である。だからせめて感謝の気持ちが伝わるようにちょっと奮発して話題のお菓子を買って帰路に就いた

    言葉も惜しまないぞ。いつも本当にありがとう、これからもよろしく……口に自信は無いがクリークなら待ってくれるだろう。情けないなどとは今更思わない、伝わらないなら伝わるまで何度でも繰り返す


    そんなことを考えながら玄関にたどり着くと、室内からパタパタと音が聞こえた。俺の足音に気づいたのだろう。扉を開けるとエプロンを付けたクリークがいた

    「お帰りなさい。すぐご飯用意しますね」

    頬に手を当てて微笑む彼女にただいまと伝え、着替えるため奥の部屋に向かった

  • 382723/04/08(土) 20:20:34

    >>37

    晩御飯をよく味わい、優しくて美味しい味だということ、今日も助かったということを繰り返し口に出した。クリークは少しはにかみながらニコニコと笑っていた

    チームの状況や今日目にした催し物などの話をして、さてデザートにしようかと思ったところでお風呂を勧められた。ちょっと準備がある…らしい。な、なんだろう…………準備?

    余計なことを考えないようにしつつ湯船に浸かる。いくらか落ち着かず普段より長風呂になってしまった


    脱衣所を出て台所に視線を移すと水に漬けられた食器がそのままだった。クリークにしては珍しい気がするが問題ない、これぐらいは自分で洗おう。さて…あれ、彼女はどこだ?


    「トレーナーさ~ん…」

    クリークの名を呼ぶと隣の部屋から返事があった。いつになく頼りない、尻切れトンボのような声だ。何かあったのだろうか

    戸を開けてよいか尋ねると慌てて制され、向こうから開けられて横向きになった彼女の頭が覗いた

    巻かれた包帯にギョッとしたのは一瞬――――すぐに思い当たった。以前のハロウィンで来ていたマミーの格好である

    クリークは上体を縮こまらせるようにしながらこちらの部屋に姿を現す。彼女はなぜかコートを羽織っていた

  • 392723/04/08(土) 20:20:55

    >>38

    「あの~…ごめんなさいトレーナーさん、幻滅しないでくださいぃ……」

    包帯の巻き付いた両手を胸の前に合わせて耳と眉を下げたクリークは本当に弱弱しく映った。何があったかは分からないが、彼女がこんな風に自信を喪失していていいはずがない。手を伸ばして肩に触れ、椅子に座るように促した。幻滅なんて絶対にしない、何でも言って欲しいと伝えた

    「うぅ~…、大丈夫です。では……とっ、トリックオア トリート~!」

    意を決したように目を閉じて、クリークはコートの前を開いた。その下は思った通り、例のマミーの衣装で、トモなどを見ても何も変なところなどないように思えるが――

    ――――?


    「あんまりじっくりと見ないでいただけると~~……」

    照れくさそうな声が聞こえる。しまった、そりゃあ担当ウマ娘の身体だ、確かに映像などで何度となく見つめてきたが年頃の女性相手に面と向かって不躾な視線を向け過ぎた。ゴメンと言って背筋を伸ばす

    上半身を引いてみて彼女の表情が目に入り、漸く思い当たった。目を伏せがちにして、二の腕や腋の辺りをしきりに気にしている。視線の先を眺めてみると、包帯の隙間から覗く肉が少々、その

    (秋だからな…)

    スーパークリークは肥えたことを気にしていたのだ

  • 402723/04/08(土) 20:21:11

    >>39

    トレーナーとしては特段、取り立てて騒ぐようなことでもない。ただでさえ彼女たちは成長期で、膨大な運動エネルギーを生み出すための食事量も多い。大量に摂取して大量に消費する、日々その繰り返しだ。ちょっとしたことで体重は変動する

    既に実力を証明してきたクリークはG1を転戦するようになってきており、それすらも所謂完全仕上げにできないことがある。能力が非常に高い水準にあるので維持するだけでも大変なのだ

    だからレースの間では身体をしっかりと増やし、本番に向けて脂肪を筋肉に変えていきたい。常に張りつめていては"もたない"だろう


    しかしそんな理屈で乙女心を説得するのは難しい……どうしよう。なんと声をかければよいだろうか

    「ごめんなさい」

    悩んでいたらクリークに謝られてしまった。体重を管理できていないと思ってしまったのか。彼女が責任を感じる必要はないのに

    俺は黙ってしまったことを反省し、とにかく言葉を尽くした。口下手だろうと、伝わるまで、である


    ――俺があまりに情けない様子だったからか、途中クリークから逆に慰められてしまった。俺もムキになっていい返したので二人とも少々ヒートアップし……

    ……勢いで今ぐらいのも好きだとかなんだとか口走ったせいで気まずい沈黙が流れたので、この話題はここで終了である

  • 412723/04/08(土) 20:21:29

    >>40

    …………

    ・・・顔がとっても熱い。トレーナーさんは何かに夢中になるとちょっとブレーキが効かないのかもしれない。いや、今の言葉が単に勢いから来たものじゃなく全部本心なのもよく分かっているけれど

    ああ、でも…この格好をしてよかったかもしれない。以前と同じように包帯を巻こうとしたら長さがギリギリで、上手く結び目が作れずに姿見を見ながら悪戦苦闘したときは絶望したものだった

    でもこんなにたくさん、トレーナーさんから言葉を貰って、改めてこの勝負服の魅力を確認することもできた。今後はハロウィンに限らずもう少し着てみようか?沈黙を破りトレーナーさんに提案したらそれもいいねと言ってくれた

    でも年に一回の特別な格好があるっていうのも…そう呟くトレーナーさんは、未来のことを考えているようだった。来年も再来年も、想像の中の私はこの人と一緒にいるのだろうか?いたらいいなと、私の頭は自然にそう考えた


    (…………――――…………)


    「ところでトレーナーさん」

    お茶を淹れ、一息ついたところで切り出すと、トレーナーさんは首をこちらに向けた

    「せっかく用意していただいたお菓子なんですけど…もう遅くなってしまったので……」

    今しがた体重にまつわる話をしたばかりである。トレーナーさんは気にしなくていいと言ってくれたけれど、トレーナーさんにカロリー計算をしてもらってからの方が安心できる

    トレーナーさんは大丈夫だからまた明日にしようと言ってくれた。よかった私のマドレーヌも朝ぐらいまでは平気だろう

    そして…そうだ、確かにカロリーの心配を解決できるのはよかったが、それでも今日はハロウィンなのだ。私は既に"あの言葉"も口にしている。だから仕方がないのだ

    「あの…ですね。でもそのっ、トリックオアトリート~ なので……」

    トレーナーさんが私から視線を外し、首を傾げたのが視界の端に見えた。かと思えば何かに気づいたようにもう一度こちらを見る。また顔が熱くなってきた

    私は喉が震えてしまい、目も上げられなくて、なんとかトレーナーさんの手を握って囁くのが精いっぱいだった

  • 422723/04/08(土) 20:21:42

    >>41

    「今年のハロウィンは……お互いにトリックしちゃうということで・・・どうでしょうか?」


    ――

    ――――


    余談だが、この日の包帯は長さの足りない中で急いで結んだせいで端の方が結構ギリギリで持ちこたえていたらしかった

    本来なら解けにくいように結ぶのだがレースに出るわけでもないし、油断があったことは否めない

    とにかくまあ、"意図しない"タイミングで解けてしまうというハプニングがあったのは、誰が悪いわけでもないのだろう

    一つ言えるのは、トレーナーは借りた部屋の防音性の高さにこの時ほど感謝した日はないということだ

  • 432723/04/08(土) 20:27:58

    お、おしまい!

    ごめんなさい>>1の概念は成長期で~って書いてあるんですけど自分で書いてたら本格化の終わりみたいな方面になってしまった。お気に召さなかったらすまない

    あと季節感がまるでない内容になっちゃったんだけどあと半年ぐらいでハロウィンだから許して欲しい

    マミクリの衣装とか包帯緩めれば余裕じゃない?とも思ったけどクリーク自信が巻く回数とかを覚えてて意地で同じ巻き方をしようとしたとかで納得してください。言うほど太ってないからこそあとちょっと…って頑張った。みたいな

  • 44二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 20:28:19

    ありがてえ…ありがとう

  • 45二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 20:40:44

    現実とは半年しかズレてないからセーフ理論
    積極的に使っていきたい

  • 4623/04/09(日) 07:14:52

    >>33

    >>35

    ありがとう…ありがとう…

  • 472723/04/09(日) 08:52:12

    1がいたようでよかった

    >>35の最後の段落に誤字あり「×資質」→「〇私室」

    それと勝負服がきつくなってる描写が少なかった気がするので>>39の最後にちょっと加筆したい

    ――――

    なるほどそういう目で見てみれば……包帯によって締め付けられた部分の隙間、タイツにデザインされた穴などからはみ出た肉が、記憶にあるハロウィンのときよりも柔らかそうな輪郭を伴って膨らんでいる。

    胸元も上下を支える包帯の淵に確かな段差が見られ――っ

    咳払いをして自分の額を小突く。だから不躾な視線は止せ。確かに普段の勝負服だと隠されている箇所ではあるが…

    ――――

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