【架空馬SS】ラスト200m、君は翔んだ

  • 1◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 21:57:11

    あの大歓声を覚えている。春。3月の終わり。桜の散る頃。馬房の前でうずくまって、堪えきれない涙を拭って拭って、拭っても止まらなくて。自分よりも年嵩の男がわあんと泣いているのを聞きながら、私は右手を強く握りしめた。決して潰れることない赤いお守りの、薄く解けかけた紐が揺れる。涙と歓声の隙間で、それは確かにそこにあった。

    ── ── ── ── ──
    ※安価・ダイスなしのSS
    ※登場する組織や人物、競馬場等はもちろん、全馬が架空ですが、一部、複数の史実馬をモチーフとした馬がいます
    ※現実世界とは少し異なる並行世界的な舞台です
    ※できる限り毎日、夜に投稿します

  • 2◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 21:57:36

    私が牧夫を志したのは、13歳の春のことです。
    生家はなんて事ありません、どこにでもある農家の四男坊として生を受け、下には5人の弟妹がいました。
    少年期は『戦後』という言葉も薄れかけた1970年代、後継でもなければ自由な末っ子でもない、宙ぶらりんの立場をのらりと生きていたのです。
    戦前でも珍しいのに、70年代でありながら9人兄妹の我が家は当然、楽な暮らしではありませんでした。
    それでも両親と上の兄3人が日々をあくせくと働いて稼ぎ、最低限の食い扶持はあって飢えずにいたのですから、十分幸福な暮らしだったと言えるでしょう。
    私もゆくゆくは兄たちに倣って鋤を握り、土を混ぜっ返して種を蒔く、そんなことをぼんやりと考えていたものです。
    しかしそれは、兄たちのように家族を守ろうだとか、家の役に立とうだとか兄としてどうたらとか、そんな立派な志から来るわけではありませんでした。
    前述したように、私は宙ぶらりんの立場を、深く考えることもなく、流されるままに生きていたのです、本当に。
    兄たちのように頼りになるわけでもなければ、実際に頼られるわけでもなく、かといって弟妹たちのように甘え上手でもなかった。
    私は人に流されて、右に倣えで生きていたまま、うすらぼんやりと自分の未来を見て、それを良しとしていたわけです。
    そんな私の意識を根本から覆す出来事が起きたのは、10歳の初夏のことでした。

  • 3◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 21:58:31

    長兄が競馬を見に行くことになったのです。確か、取引先の知り合いの、さらに知り合いが馬主をやっているそうで、ツテで見に行くのだと。
    当初は長兄と次兄で見に行く予定が、次兄は夏風邪を拗らせて行けなくなり、三男は大の賭け事嫌いで、流れるように四男の私に話が回ってきたのでした。
    三男とでさえ5つも離れていた子供の私に、競馬のなんたるかを語る取引先の知り合いとやらは、たぶん話し相手ができれば誰だってよかったのでしょう。
    幸いにも私は愛想良くできていたようで、長兄はそのままおとなしくしておけよ、と言って取引先と話し込んでいました。

    「君、今まで馬を見たことは!? 農耕馬じゃないぞ、サラブレッドだ!」

    ありません、と答えると、取引先の知り合い── 以下、Aさんとしよう ── は、一瞬残念そうな表情を浮かべてから、にんまりと笑いました。

    「君は運が良い! 何せ、初めてみるサラブレッドが── ダービー馬なんだから!」

    当時の競馬場は、今のように特定の窓口があってそこで馬券を買ったり、と言うのがあまり整備されていませんとうでした。
    もちろん、競馬場には馬券売り場があって、大抵の客はそこで馬券を買ったり、払い戻しを受けていたのですが、何人かで集まってお互いの金を出し合って賭け合う、そんな光景も横を向けばあるような、そんな状態だったのです。
    場内はハズレ馬券が地面を埋め尽くしたり、たまに怒鳴り声が聞こえたり、お世辞にも綺麗とは言えませんでしたが、だから、と言うべきなのか、勝負師たちの熱気がある種の、独特な空気を醸し出していました。
    それもこれも、その日のレースがダービー、東央優駿日本ダービーだったから、なのかもしれません。
    4歳馬(旧齢:現3歳馬)の頂点を決める、一生に一度の大舞台だと、Aさんは興奮したように語りました。
    今日この日のためだけに調整されてきた20頭前後の馬たちが、2400mと言う距離の中で互いの一生を賭けて走るのです。

  • 4◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 21:59:18

    「オオクラダイオーかフルエースか……いやゲツターナイトが勝てば払い戻しも……そうだ、君も馬券を買ってみなさい」

    もちろん、当時の私は馬券が買える年齢でもなければ、手持ちの金もありませんでした。
    ただAさんは私に「代理で買うことくらい誰でもやってるさ」と笑って、どの馬を買うんだと馬群の方を指差しました。
    言うまでもありませんが、代理で買う行為は褒められたものではありません。あの年代はそういった行為への忌憚感が今ほどなかった、と言うだけなのでしょう。
    ちらりと長兄に目を向けると、私に背を向けていました。おそらくAさんの言葉も聞こえていない。
    私は今回限りと思って、馬群に目を向けました。ただ、人混みもすごくてろくすっぽ馬が見えず、そんな私に気づいたAさんに持ち上げてもらい、ようやく馬たちを見れたと言うわけです。

    「いいかい、あの番号が馬番って言うんだ。数字は読めるね?」

    うんと頷きました。農夫の子ではありますが、70年代ともなれば読み書きは一通りできますし、アラビア数字だって読む分に困りません。
    5番はオオクラダイオー、皐月賞馬、一番人気。11番のフルエースは父馬が外国産で良く走る、二番人気。
    ゲツターナイトは八番人気、馬番は3番、内枠だから勝てるやも、とAさんは囁きました。
    これが初めての競馬ですから、私は当然、どの馬がいいだとか、どの馬が勝ちそうだかとか、ぱっと見でわかるはずもありません。
    適当にAさんと同じ馬を買ってもらうか、とも思いましたが、どうせですから、自分で選んだ馬を買って欲しいという思いもありました。
    どの馬がいいか、馬の良し悪しなどわかりませんが、とりあえずと一通り見て、あ、と声が漏れたのは、最後の馬を見た時です。

  • 5◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 21:59:54

    そいつは馬番20の、真っ黒な毛の、なんとも言えないぼんやりとしたシルエットの馬でした。
    他の馬のようにやれ足がスッキリだとか、タテガミが良しだとか、そう言うのは分かりません。
    Aさんに言わせれば、体が農耕馬のように太く、目もダルそうにしていて、やる気のない、見るからに走らない馬だと言います。
    これは消しだなあ、とAさんが言うその馬を、私は買ってもらうことにしました。
    えぇ買うのかい、と言うAさんに、ひょっとしたらって言うじゃないですか、と笑うと、子供の感性はわからんなァと笑いました。
    競馬に連れてこられて退屈してる子供が、当たり外れも考えずに適当に選んだとAさんは思ったのでしょう。
    けれど私は、不思議とその馬が勝つような気がしていました。
    ちらりと見た時の、遠くから見たにも関わらずまるで近くで目を合わせたかのような、あの一瞬の輝きが、私の中から消えなかったからです。
    そして私のそんな予感は、驚くほど見事に的中しました。
    21頭もいる馬の中で二十番人気のその馬は、4角(4コーナー目)を曲がった時にグッと首を下げました。
    それまで先頭を走っていたフルエースを軽く交わすと、追い縋る人気馬を寄せ付けず、そこからは独壇場。
    行けだの、下がれだの、何やってんだだの、飛び交う罵詈雑言、悲喜交々、全部浴び切ったその馬が、4歳馬の頂点に立ちました。

    『まさかまさかのどんでん返し! お見事なりハルノテイオー』

    レースの後、Aさんは、ダービーを「春と夏の境目にある幻覚みたいなもの」と言いました。
    競馬に絶対はないんだと言いながら、みんな、絶対が存在しない競馬が生み出す幻覚に、驚くほど熱狂するのだ、と。
    馬番20、二十番人気、春と夏の境目の幻覚の、春の方── その馬の名を、ハルノテイオー。

  • 6◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 22:00:45

    「ほら、これ。君のものだ」

    帰り際、Aさんはそう言って私にお金を握らせました。
    ハルノテイオーの単勝、その払戻金だと気づくのに数十秒を要し、私は慌ててAさんに返しました。
    だって、このお金の出どころはAさんの資金なのですから。当てたのは私であっても、受け取るべきは私ではありません。
    しかしAさんは笑いながら、私にもう一度お金を握らせました。

    「競馬に絶対はないし、人気が全てじゃないし、だからこそ面白い。それを思い出させてくれたお礼みたいなものだよ」

    裕福な大人とは、このように太っ腹なのかと慄きながらも、10歳であってもなんとなく大金だと理解していた私には、やはり荷が重い金額です。
    日頃より清貧であれと父母から言われていたのも、それに拍車をかけたのでしょう。
    頑なな私に、Aさんは少し考えてから、一つ提案をしてくれました。

    「知り合いの牧場で働いてみないかい? これは、その初期費用みたいなもので……そうだな、準備金としよう。そうしたら、兄にも取られまい」

    牧場で働くことは、全く想定していませんでした。けど、Aさんは言います。私は目が良いのだろう、と。

    「所詮は偶然と片付けることは容易だ。だが、こうも考えられる。君は馬を見る目がよくて、今日のこれは、君の才能を咲かせる良い機会だったのだ、とね」

  • 7◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 22:01:27

    そう言われるまで、私は自分は凡庸で、特に取り柄もない、どこにでもいる男であるつもりでした。いえ、つもりどころか、本当に凡庸な男だったのです。
    流されるままに生きようとしていたのが、まさにその証でした。
    けれど私は、初めて自分の意思で選んだ何かが成功する体験を通して、そしてそれを才能だと囁かれた経験を通して、ようやく、自分の未来に想いを馳せることになったのです。
    才能があるならそれでよし。なくても、牧場勤という職を得られよう。何、牧場が肌に合わなかったら誘ったよしみ、私が次の働き場所も見繕ってやると、Aさんは気前よく笑いました。
    兄が戻ってきたのはそんな時でした。私が頷く間も無く、Aさんは兄に牧場勤のことを話して、常日頃から弟妹たちの働き先に悩んでいた長兄は機嫌よく頷きました。
    兄妹全員が農家というのも、なかなか大変なのです。いずれは兄も世帯を持ちますし、妻子の食い扶持を稼ぎながら弟妹の分もとなると苦しいのでしょう。
    帰りの車では長兄はずっと機嫌よく笑って、よかった、お前も働き先ができた、安心だと私の頭を撫でていました。
    もちろん、まだ子供ですから今すぐ働くわけではなく、最初は手伝いとして牧場に通うことにしました。
    と言っても、私の家の近くに競走馬を育成する牧場などなかったので、いちばん近い千葉の牧場でしたが。
    毎日通うのは大変なので、Aさんの勧めで夏の、小学校が休みの間、牧場に住み込みで手伝いに行ったのです。
    手伝いとは言っても小遣い程度の賃金も出て、食費も向こう持ちだと言うから、両親も快く私を送り出してくれました。
    お相手様に愛想よく、良い子にして、よく働き、よく尽くし、ご恩に報いるよう、言い聞かせながら母は私の作業服を繕いました。

    「今時は、男児も愛想がなければいけません。特に、お前は子供ですから。めいっぱい愛想よくして、可愛がってもらって、お手伝いは積極的にするんですよ」

    思えば母には随分と心配をかけたように思います。夏の間だけとはいえ、11歳の子供が顔も知らない大人のもとで過ごすのです。
    牧場で私が苦労しないように、母なりに思い巡らせた末の言葉だったのでしょう。
    そんな母の言葉を守って、私は夏の間、できることはなんでも手伝いました。

  • 8◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 22:02:15

    幸いにも、働き先の牧場は朗らかな人が多く、11歳でありながら牧場の手伝いをする私をよく気にかけてくれました。
    特に、牧場を切り盛りする牧場主夫妻には大変可愛がっていただき、特に旦那様からは我が子のように様々なことを教えて頂きました。
    馬引きや、馬房の掃除、藁入れ。流石に馬には乗れませんでしたが、馴致の様子も間近で見せていただき、忘れられない夏の思い出となりました。
    私はその次の年も同じように牧場の手伝いに行きました。
    1年ぶりなので最初はまごつきましたが、感覚を取り戻せば日雇い労働の青年たちよりも動く私は、ずいぶんと可愛がられたと思います。
    すっかり手慣れ、牧場に馴染んだ私に、旦那様は冬の間も来れるかと持ちかけてきました。
    その頃には牧場仕事も悪くないと思い始めていたので、すぐ頷きそうになったのですが、生家の手伝いもありますから、父母の答えを聞いてからとその場ではなりました。
    結局は冬、長兄に送ってもらい牧場で年末を過ごして、分けてもらった餅を抱えて生家に戻ることとなったので、その場で頷いても同じだったかもしれません。
    父は一丁前に餅を持ち帰った私に笑って、安心したように頷いていたのを覚えています。
    それからさらに数ヶ月後。小学校を卒業し、中学校に進学した私を、父が迎えに来ました。
    奇しくもその日は私の13回目の誕生日。何ぞあったのかと聞く私に、父は何も言わずに笑って車を走らせました。
    父が言うには、昼頃に旦那様から電話があったそうです。なんでも見せたいものがあるとかで、ちょうど手が空いたことで父がやってきたと言うわけです。
    行く道で父に牧場での仕事ぶりを少し盛って聞かせながら、一体何を見せてくれるのかと、年相応に胸を踊らせました。
    到着すると、牧場の門には旦那様と、ダービーでお世話になったAさんが待っていました。

    「今日は君がいちばん喜ぶやつが待ってるよ」

    そう言って笑ったAさんが指差した先に、その馬はいました。
    どこか野暮ったい馬体に、モサモサとした冬毛と、ダルそうな目に見覚えがある── ダービー馬、ハルノテイオーです。

  • 9二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:02:38

    そのトリップは以前ダイスで架空馬SS書いてたウインディちゃんなのだ?

  • 10◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 22:02:47

    「うちには繁殖場もあるんだ。一度だけ見せたことあるだろ? あそこに、今度からハルノテイオーも入るんだよ」

    あのダービーの後、ハルノテイオーは菊花賞で11着、有馬記念で9着に入りました。
    5歳になった翌年には、京都記念(春)、天皇賞・春に出走し、共に7位入着、京都記念(秋)で2着に入ったのち、競走馬を引退。
    ダービー以降はパッとした活躍を見せることはありませんでしたが、その一瞬の輝きもあって、こうして種牡馬として牧場に来たのです。
    今度はダービー父子制覇の夢を目指して。

    「君が見出したダービー馬……だが親としての価値はその子供が作っていく。どうだい、君、今度は君がハルノテイオーの子供を育ててみないかい」

  • 11◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 22:03:13

    今思うに、その言葉が決め手だったと思います。
    居心地の良い職場、頼れる大勢の大人たちに、可愛がってくれる牧場主夫妻の存在。
    このまま牧夫になろうかとグラグラ揺れていた天秤が、一気に傾いたのです。
    そしてそれは、周りに流されたわけでもなく、ただ目の前にいるハルノテイオーの瞳を見て、他でもない私自身が志した、最初の夢となりました。

    「ハルノテイオーの血で、ダービー制覇」

    きっとあの時、馬と目があったのは偶然に過ぎなかったのでしょう。
    けれどその偶然が私に牧夫という道を与えたのです。
    そのから何十年と続く、果てのない夢への道を。

  • 12報告◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 22:07:28

    本日はここまで。
    また明日。

    (ここから先は独り言なのだ)
    (以前はダイス振って架空馬作るスレをやらせてもらってたのだ)
    (ここ1ヶ月事故ったりその入院中にコロナ拗らせたりして長期間入院してたのだ)
    (実は一昨日になったようやく退院したのだ)
    (前回のスレ完走できなくてごめんなさいなのだ)
    (メモ帳に書く癖がなかったので、あの後書いてた続きは意識が浮上したと同時に消えたのだ)
    (正直これが一番悲しいのだ)
    (あの架空馬スレも絶対続きがやりたいので、折を見て続きを書かせていただくのだ)
    (見つけたらまた見守って欲しいのだ)

  • 13二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:08:47

    おかえりなさいなのだ
    また読めてうれしいのだ
    退院おめでとうなのだ

  • 14二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:10:50

    おおブンゴウウインディちゃん生きてたのだ!?!?
    退院おめでとうなのだ!!

  • 15二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:16:11

    正直スレ主にはじっくり架空馬モノ書いて欲しいと思ってたのでこれは嬉しい
    出だしというか、視点がなんだかインタビュー受けてるみたいな感じだから、多視点な感じになるのかな?
    1970年代のダービー馬という設定の馬ハルノテイオーのダービー後の戦績が妙にリアルで好き

  • 16二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:17:57

    ウマカテでウマ娘SSは多数ある中、架空馬SSとは珍しい
    あっても安価とかダイスのおまけばっかりだというのに・・・
    ここまでしっかりした内容だと、ハーメルンとかの投稿サイトの方がよくないか?と思うが

  • 17二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:20:47

    病み上がりにこのクリティはまずいですよ!!
    休め!!いややっぱ書け!!!!

  • 18二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:22:49

    退院おめでとうなのだ!!!無事でよかったのだ本当に

  • 19報告◆0y66DYsnuQ23/04/05(水) 22:24:38

    >>16

    (この文体はハーメルンでは読まれないだろうなーっと思ったのだ)

    (文章書き始めて長くない素人だけど、自分はポップな文章書くのが苦手だと思うのだ)

    (というかハーメルンだとオリジナル架空馬はそこまでメジャーじゃない印象なのでますます読まれない気がしたのだ)

    (あと個人的にウマカテの方が楽しく書ける気もしたのだ)

  • 20二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:27:36

    まあハーメルンは架空馬ブームがもう去ってる感じだから、、
    え?ウマカテでも去ってる?
    いやそれはそれ、これはこれなんでね。。。

  • 21二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 22:39:53

    ウマカテに投稿されてる架空馬モノだっておまけでSSつけてるとこもあるけど、結構軽めの文体だからなあ
    ちょっとスレ主は北方謙三味がするだけで・・・でも俺はこの文章が好きなので気にせずいっぱい書いて欲しい

  • 22二次元好きの匿名さん23/04/05(水) 23:50:24

    >>19

    架空馬小説餓えてるから笛だったら架空馬タグあった時点で突撃するからあったら読むよ俺は

    他の人は知らんけど

  • 23二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 08:08:44

    保守

  • 24二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 14:28:28

  • 25二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:08:49

    このレスは削除されています

  • 26二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:09:02

    このレスは削除されています

  • 27二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:29:42

    叙述トリックだとぉう

  • 28二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:29:56

    最後のとこでようやく百合ってことを理解した…はえ……文章うまい……

  • 29二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:35:39

    スレ主の文体は北方鎌三よりも東野圭吾味があると思うんだよなあ
    思わんか????

  • 30二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:39:27

    絶対にもう表舞台に出れない馬ってたまーにいるよな。キョウエイボーガンとか

  • 31二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:41:16

    >>30

    どの流れでこの感想でたん?

    絶対に表に出てこない馬の話とかそういう描写なかったじゃん

    ちょっと気になったからレスさせてもらったわ

    (俺が描写を見落としてる可能性あるので)

  • 32◆0y66DYsnuQ23/04/06(木) 19:50:09

    (!?)
    (投稿したやつ消えてるのだ……規約違反の対象となる文言はなかったと思うのだ……)
    (どうしてなのだ……)

  • 33二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:52:38

    >>32

    報告を複数人がすると自動で消えることもあるって聞いたのだ

    消える前に読んだけど特におかしい点はないと思ったのだ

  • 34二次元好きの匿名さん23/04/06(木) 19:56:28

    >>32

    もっかい張り付ければOK

  • 35◆0y66DYsnuQ23/04/06(木) 20:08:54

    >>33

    >>34

    (ありがとうなのだ)

    (ただスレ主、あにまんの投稿フォームに直書きしてるのだ)

    (だから無いのだ、元データ)

    (いまから書き直すのだ……)

  • 36二次元好きの匿名さん23/04/07(金) 06:21:40

  • 37二次元好きの匿名さん23/04/07(金) 10:29:30

    しゅ

    メモアプリとか使わんと悲惨だな…
    自動保存されるnolaとかおすすめだもん

  • 38二次元好きの匿名さん23/04/07(金) 10:37:16

    ブンゴウウインディちゃん直打ち派なのだ!?ウインディちゃんなだけあってすごいことするのだ…
    SS系はスマホのメモアプリに打ってコピペがおすすめなのだ
    デフォルトのでもいいけどフリーでいいテキストエディタもあるのだ

  • 39二次元好きの匿名さん23/04/07(金) 13:35:41

    完全SSとは珍しい
    競走馬名がちゃんと1970年代っぽくてちょっと笑った

  • 40二次元好きの匿名さん23/04/07(金) 14:22:02

    文豪ウインディちゃん骨折のあと流行り病もこじらせてたのか…とりあえず無事退院出来て何よりなのだ

  • 41◆0y66DYsnuQ23/04/07(金) 20:16:02

    2つ隣の家に5歳年上の女がいた。
    くすんだ金髪にありきたりな緑の目。そばかすの散った顔は、それでも可愛かった。
    私は彼女に、深く、深く、憧れた。しかし。

    「恋よりも楽しいことがあるの」

    そう言って初恋の女は祖国を飛び出した。1955年。世界大戦と呼ばれるものが終戦 ── いちおう ── してからわずか10年後の朝だった。
    当時17歳の私は茫然と口を開けたまま、彼女のロングスカートが翻らないか願って、けれど俯いて、それから20年以上経った今も、単調な朝を迎えている。
    2時に起床し、手早くパンを飲み込んで、眠い目をこすって歩く道程は、きっと目をつむっても問題ない。
    けれど私は両目をしっかりと開いて、あいかわらず濃霧に沈む祖国の、ありきたりな草原をよこぎった。

    「おはようボス」

    いつ頃からか、私を『ボス』などと呼ぶ従業員を軽くあしらって、調子を尋ねた。
    従業員の調子ではない。今、私たちの目の前に広がるこの生命体たちの調子だ。
    そっけない私の様子にも臆することなく、従業員は親指を立てて頷いた。問題ないようだ。

    「いよいよだな、ボス。なんだかここまであっという間だ」
    「……そういうものだ、馬産業なんて」

    祖国は『近代競馬のはじまり』として、しばしば他国の模範となる。
    レース体系のほとんどの原型がここにあり、最も馬産業の盛んな地域に至っては、その繁栄ぶりから『すべての競走馬の故郷』とも呼ばれていた。
    馬とともに生き、サラブレッドという種の繁殖に努め、ガラス脚とともに歩んだ300年近い歴史。
    小さな歯車が生み出す機械に『運送』という社会システムを奪われようと、その種への情熱が消え失せることはなかった。
    人間の生活のパートナーになるための品種改良は、今、競走という機能美を追求するために存在する。
    であるから、人類がその種への興味と追求をやめない限り、サラブレッドは永遠の種族であろう。
    追求人のひとりである私は、眼前の馬をじとりと見つめた。黒鹿毛の落ち着いた牝馬。腹はふっくらと丸みを帯びている。
    この牝馬は今年で6歳。胎の中で蠢く初仔に戸惑いながらも、牝馬は母の横顔で飼い葉を口にしていた。
    本能から湧き上がっているのだろう、その母性に感心できるのも、しかし今日までだ。
    牝馬は、間もなくこの牧場を去る。

  • 42◆0y66DYsnuQ23/04/07(金) 20:16:18

    「重賞は1勝のみ、父系もさほど目立たない ── だが牝系は我が牧場が誇る最良のナンバー。この血を日本が求めるとは……てっきり父系偏重なのかと。風向きが?」
    「変わっていない。今も偏重傾向だろうが、牝系に注目する生産者もいるということだ。それに」

    言い淀んだ私に、従業員は何かを言いたげに口を開いて、次いで何事もなかったように肩をすくめた。
    気を使わせてしまったことが情けなく思えて、私も肩をすくめて俯いた。やはり、昨日のように思い出せてしまうせいか。
    いや、この事があったからなおのこと強く思い出せるのか。
    祖国から遠く離れた異国 ── 日本にこの牝馬を呼び寄せたのが、ほかでもない初恋の女だったのは、誰が課した試練なのだろう。
    少なくとも神ではない。毎日、毎朝毎夜と祈る私を知る神が、こんな無慈悲なことをするものか。

    「……願わくば、偉大な母となれ」

    その仔の、仔の、仔まで、血よ絶えることなく続け。
    終ぞ翻らなかったあのロングスカートの傍で。私が繋いだ血で。私の知らない彼女の前で。
    やがて牝馬は車に積まれて牧場を去った。

    それからしばらくして一通の手紙が届いた。
    十数年前まで見慣れた懐かしい筆記体が牝馬のその後を綴る。
    初仔は無事に生まれ、母仔ともに健康。生まれたのは牝馬で、母によく似た黒鹿毛だという。
    日本である程度走らせた後、繁殖牝馬として迎えるつもりだそうだ。
    早々に馬名も決まり、今後が楽しみだと書かれていた、その馬名は ── シマノエリザベス。

    《 拝啓、親愛なるわたしの幼馴染、エリザベスへ 》

    その書き出しを人差し指でゆっくりとなぞってから、私は、誰もいない部屋でひとり、静かにスカートを揺らした。

  • 43二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 01:47:23

    病院から書いてたと思ったらヤバいことになってたんだな…
    回復したようで良かった

  • 44二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 06:55:33

  • 45二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 16:39:52

    保守

  • 46二次元好きの匿名さん23/04/08(土) 23:40:01

    保守

  • 47二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 08:40:17

  • 48二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 16:30:14

  • 49二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 16:31:52

    頼むスレ主、何でもいいから近況報告してくれ
    じゃないとこのまま保守で埋まってしまう

  • 50二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 21:16:20

    これやっぱ体調あかんかったパターンあるな
    投稿は調子が良い時でいいぞウインディちゃん

  • 51二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 07:55:55

    保守

  • 52二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 14:56:13

  • 53二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:35:15

  • 54二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 05:02:30

  • 55二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 15:24:04

  • 56二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:54:15

    ニキ本当に大丈夫か・・・?

  • 57二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 09:34:06

    元々忙しそうだったしおそらくリアルが忙しいのだろう

  • 58二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:25:17

    保守

  • 59二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 01:44:55

    保守

  • 60二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 12:00:42

    保守

  • 61二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 22:44:01

    保守

  • 62二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 08:20:42

    保守

  • 63二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 19:22:38

    保守

  • 64二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 02:17:45

    保守

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