新入生の入学式を見に行ったら妹(ウマ娘)がいた EP.2

  • 1◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 22:43:40
  • 2二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 22:44:57

    待ってました

  • 3二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 22:46:16

    来たわね
    ところでスレ画はみゃ

  • 4◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 22:51:08

    「……」
    「……」
    「…………」
    「…………なんだよ」
    「いやぁ……ちょっと驚いてます。驚いてますよ、あたし」
    「何にだよ」
    「いやこれだよこれ、車!」
    「車くらい普通だろ。どこでも走ってる……さてはお前、田舎の出身か? 車も通ってないような……」
    「お前と同じ田舎だわ! 車走ってるわ! ぶんぶんしとるわ!」
    「じゃあ普通だろ。なに驚いてんだ」
    「いやぁ驚きますよそりゃ。だってあのお兄ちゃんが運転してんスよ? あのお兄ちゃんが」
    「そりゃ大人なら免許くらい持ってるだろ」
    「免許じゃねぇよ車だよ車。遠回りな会話すんなめんどくさい」
    「お前がいつもやってることだろが!」
    「あたしはいいんですぅ、コミュニケーション戦略ですぅ」
    「うっざ」
    「いまなんつった小声でなんつった」
    「車くらいで騒ぐなよ。降ろすぞ」
    「やだやだ素敵なお車であたしとっても感動しておりますわお兄さまぁ⭐︎」
    「……、」
    「ため息やめてもろていいすか。結構くるんで、胸に」
    「朝飯、マックでいいのか?」
    「ぁ、はい。マックがいいです。ポテト食いたいです」
    「うまいよな、ハッシュドポテト」
    「そうそう、あれが食いたくて朝マック行くんすよねぇ。お母さんダメって言うからこっそりだけど」
    「はは、そういやそうだったな」
    「でもこれからは食べ放題! お母さんいないしいつ食べても怒られないねっ」
    「今度は俺が怒る」
    「なんでだよ!?」

  • 5二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 22:52:46

    そりゃそう(アスリート)

  • 6◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 22:59:51

    「トレーナーとしてあんな悪い油の塊は食わせられん」
    「出たよトレーナー。あんたあたしのお兄ちゃんでしょうが、妹の幸せ願えよ。奪うなよあたしの幸せを」
    「兄でありトレーナーだ」
    「いま仕事中じゃないんですけど」
    「トレーナー業に休みなんてあると思うか? 家でもずっと考えてるわ、トレーニングのこととか」
    「あたしのこととか〜?」
    「はいはい」
    「おい流すのやめろよ毎回胸に刺さってんだからな結構深くまで」
    「前にも言ったがお前はアスリートなんだ。自覚持てよ」
    「でもでもぉ! たまには食べたいもの食べなきゃやる気出ないじゃん元気出ないじゃんストレス溜まってお兄ちゃんいじるしかやることなくなるじゃん!」
    「最後のを一番やめてほしいんだが……」
    「やだよこれ無くなったらあたしマジで死ぬぜ?」
    「クールな顔で何言ってんだろこいつ……」
    「お兄ちゃんはあたしの生きがいっ⭐︎」
    「コンビニ寄っていいか?」
    「ぇ、どうしたの?」
    「吐く」
    「ぇ、ぇ、ちょ、だいじょうぶ!? 炭酸買ってこようか!?」
    「まあ大丈夫だろ。お前が気持ち悪いこと言わなかったら」
    「遠回しなカウンターやめろよっ! いつもみたいにすぐ言えよ、一瞬ガチで心配したわ!」
    「マジで心配した顔だったもんな」
    「やめろ思い出すな恥ずかしくなってくるわ! もう嫌だこの兄貴絶対心配してやんない」
    「そろそろ着くからメニュー決めとけよ」
    「ぁ、はい」

  • 7二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 23:03:38

    SS感謝保守

  • 8◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 23:04:35

    「ん〜、なににしよっかなぁ〜」
    「早く決めろよな」
    「わかってるってぇ。でもでもぉ、迷っちゃうよねぇ……久しぶりすぎて」
    「まあ気持ちはわかる。俺も久々に来ると何していいか迷うんだよな」
    「ね〜」
    『ご注文をどうぞ』
    「おい、順番来たぞ」
    「ぁ、ぇ、ちょっ……待ってあと20秒待ってお願い!」
    「ソーセージマフィンセット2つ。両方コーラで」
    「は?」
    『かしこまりました。前に進んでお待ちくださいませ』
    「はーい」
    「おい、おい待て。待ておい」
    「なんだよ」
    「なんだよじゃねぇよ!なんで勝手に決めてんだよ!」
    「お前が遅いからだろ」
    「せめてドリンクくらい選ばせろよ!」
    「気に入らなかったら交換してやるよ」
    「2つともコーラじゃねぇか!」

  • 9二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 23:20:00

    待ってました!
    10レス到達まで保守

  • 10二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 23:21:06

    立て乙です
    そういやそうだ、10まで埋めとこう

  • 11◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 23:24:08

    「いただきまーす」
    「こぼすなよ。まだ新しいんだから」
    「わかってますよっと。お兄ちゃん食べないの?」
    「運転しながらどうやって食えと」
    「もぉ〜、仕方ないなぁ〜、そういうことですね? つまり、そういうことですね? 状況をうまく使いやがってこのシスコンめ〜」
    「ぶっ飛ばすぞ」
    「みなまで言うなみなまで言うな。わかってるぜジョニー。食べさせてほしいんだろ、そういうことだろっ」
    「いらん。店着いたら駐車場で食う」
    「えー……じゃああたしもそこで食べる」
    「なんでだよ。お前はもう食っていいんだぞ」
    「やだ。お兄ちゃんと一緒じゃないとやだ」
    「気遣わなくていいって」
    「遣ってない。あたしが嫌なの」
    「なんで」
    「お兄ちゃんと食べたいから」
    「はぁ……」
    「最近ため息多くない?」
    「お前のせいだろ」
    「あっひどーい! あたしなーんにも悪くないのにぃ!」
    「悪いだろだいたいお前のせいだろ俺のため息の9割はお前のせいだよ」
    「ほれ、ちょっとだけ顔こっち寄せやがれよ」
    「は?」

  • 12◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 23:24:22

    「食わせてやるって言ってんだぜ兄貴」
    「いらね」
    「なーんで! あたし居心地悪いじゃん! どうすんのこの片手に持ったソーセージマフィン!」
    「食えばいいだろ」
    「やだって言ってんじゃん!」
    「じゃあどうしたら食うんだよ」
    「お兄ちゃんが食べたら」
    「……はぁ」
    「あーあ、またため息だよ。最近すぐこれだよ。ツッコミの放棄だよ。ネグレクトだよ」
    「そこまでしてねぇよ! ……ほらポテトよこせ」
    「え、やだ。なにその手、お手? お手しろってこと?」
    「食うから貸せって言ってんだよ!」
    「いやだから食わせてやるから顔こっち寄せろって言ってんだよ!」
    「めんどくせぇなお前!」
    「それがあたしだ! 残念だったな! フハハハハ!」
    「ったく……危ないだろ、これ」
    「もうちょっとあたしが寄ればいい?」
    「じゃない事故る」
    「しゃーなしですなぁ。あたしがもっと近くに寄ってあげますよ、にぃにのそばに」
    「変な言い方すんなよ……」
    「はいはい。ほれ口開けろ口。あーんしてやるぞ」
    「屈辱だ……」
    「ガチトーンで言うのやめろかなり傷つくぞ。傷つきすぎておっぱいふたつに裂けるぞ」
    「思春期の女の子がそういうこと言うなアホ」
    「はい、すみません」

  • 13◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 23:34:39

    「はいあーん」
    「……」
    「あーん」
    「……」
    「あーんしろっつってんだろが。いつまで閉じてんだよ冷めるぞ」
    「ぁ……あ、あぁ……」
    「うー、めっちゃ嫌そうな顔で口開けてる」
    「早くしろよもうっ!」
    「はいはぁい」
    「ぁぐ……んむ。うまい」
    「ほんと? あたしも食べよー」
    「あっ!」
    「んま〜! やっぱ朝マックのポテトはこれに限るわ〜」
    「俺の食うなよ!」
    「やだ〜、間接キッチュ⭐︎」
    「もう俺それいらない……」
    「露骨に嫌がんなよ!」
    「いや……いやぁ、いや……」
    「アイスあーんしあっただろうが!」
    「それとこれはなんか……こう、違うだろ」
    「違わねえよ! どっちも同じ間接キスだわ! どっちも同じあーんだわ!」
    「ぅうん……」
    「妹に言われてもなんも感じないんじゃなかったのかよっ!」
    「悪い、感じた。すごい吐き気を」
    「やめろよっ! あたしが汚物みたいに言うのやめろよっ!」
    「次くれ」
    「あ、はい。あーん」
    「はぐ……むぐむぐ」
    「調子狂うななんか今日のにぃやん……」

  • 14二次元好きの匿名さん23/04/09(日) 23:37:35

    高度にボケとツッコミが流動している(小並感)

  • 15◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 23:41:02

    「コーラ」
    「はい」
    「ハンバーガー……は無理か」
    「うん、無理そう。丸いし」
    「あとは着いてからにする。サンキュ」
    「は〜い」
    「お前も食えよ」
    「うん、ポテトとコーラは」
    「ハンバーガーも食えって」
    「お兄ちゃんと一緒にね」
    「もう何も言わん……」
    「へへ、観念しろ。あたしはお兄ちゃんと食べるご飯が一番なのだ」
    「あっそ。もう勝手にしろ」
    「は〜い勝手にしま〜す」
    「まあもうすぐ着くけどな」
    「ドライブもう終わっちゃうのかぁ」
    「残念か?」
    「うん。もっと見てたかった、にぃにの運転」
    「なんで」
    「かっこいいな〜って」
    「うわぁ」
    「ガチなんだが? 引く要素あったか今の?」
    「いや……なんか、うん」
    「せめて照れろよ。女の子横に乗せてドライブしてんだぞ。ちょっとくらい照れろよ」
    「妹だしなあ……まだ前担当乗せた時の方が緊張したっつーか」
    「……へえ、乗せたことあんだ」
    「そりゃ、まあな。レース場向かう時とか」
    「イチャついたわけか」
    「するかアホ」

  • 16◆iNxpvPUoAM23/04/09(日) 23:55:47

    「どこ行ったの?」
    「レース場とか、訓練施設とか、合宿所……はバスだっけ。まあそんな感じだ」
    「デートは?」
    「するかよアホ。担当とトレーナーだぞ」
    「でも聞いた話じゃ担当とヤるトレーナーいるらしいじゃん。闇深いらしいじゃん」
    「ヤるとか言うのやめろマジで。俺たちは真面目にやってたよ。ちゃんと」
    「真面目にヤってた?」
    「降りろ」
    「ごめんなさい」
    「……真面目に、走ってただけだよ。それでも届かなかった。届かせてやれなかった。そんな世界なんだ、ウマ娘の生きる世界は」
    「……ふーん」
    「お前もその中に飛び込んでいくんだぞ」
    「うん、わかってる。明日、桜花賞見にいくもんね」
    「ああ。わざわざ阪神までな」
    「あ、車? もしかして車? ドライブ?」
    「新幹線」
    「かーっ! つまんねー……」
    「アホかお前。どんなけ距離あると思ってんだ」
    「オレンジの街灯が照らす夜の高速を走る車。運転席にはお兄ちゃんで、その隣には超絶美少女のあたし。ふたりで手を握り合って静かに会話をしながら阪神まで何時間も────」
    「着くぞ」
    「最後まで聞けよっ!」
    「くだらねぇこと言ってないで降りる用意しとけ。食ったら見にいくぞ」
    「わかってるよもぅ」

  • 17二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 00:03:23

    運転中に手を握り合うな!

  • 18◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 00:04:23

    「いただきまーっす」
    「いただきます」
    「……冷めてる」
    「だから先食っていいって言ったのに」
    「お兄ちゃんも食えばいいだけの話だったのに」
    「運転しながら食えるかよ」
    「どうせ片手空いてたじゃん」
    「片手空いてるのにあーんしようとしてたろ」
    「ほら、あれっすよあれ。ドライブ中に助手席の彼女から食べ物あーんしてもらうやつ」
    「お前、妹じゃん」
    「そうですよ。お兄ちゃんの大好きな妹ですよ。彼女なんかよりランクの高い妹ですよ」
    「……チッ」
    「おい舌打ちやめろよ。露骨に嫌な顔で舌打ちすんのやめろよ」
    「顔にケチャップ付いてんぞ」
    「んぇ、どこ?」
    「ここ」
    「……ん、んん? わかんない。とって」
    「はぁ? 鏡見て自分で拭けよ」
    「やだ。とって」
    「はあ……ったく。なんなんだよお前……」
    「そう言いつつも指で拭い取ってくれる兄なのであった」
    「うざ」
    「文句言いつつやってくれるんすようちのにぃやんはね。あたし信用してんすよ、ええ」
    「戻すか」
    「戻すな! 舐めろそれ!」
    「え、嫌だけど……」
    「ほっぺの米粒とったら食べるじゃん。それだよそれ」
    「漫画の読みすぎ」
    「おいナチュラルに拭くな指をっ!」

  • 19二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 00:29:09

    運転中の横顔っていつもよりかっこよく見えるよね…

  • 20◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 00:46:42

    「流石に大きいですな、店」
    「そりゃあこの辺じゃ一番でかい店だしな」
    「なんか目移りしちゃうな〜。あ、このクッションかわいい〜」
    「そんなもん買ってる余裕ないだろ」
    「見るだけならタダだもーん」
    「お前の箸とから皿も買うだろ?」
    「マイ箸は必須だね」
    「いつまでも割り箸は可哀想だもんな」
    「家であんまり食べてないけどね。にぃやん料理しないから」
    「お前もだろ」
    「そうだ、あたしもだ。あたしたちはカフェテリアの子だ」
    「トレセンに所属できてよかったよ。カフェテリアがなきゃ俺は死んでたね」
    「前担当さんの時もずっとカフェテリア?」
    「いや、あの頃は……、……」
    「ん? お兄さま?」
    「……いや、そんな感じだ」
    「おいおいちょっと含み持たせた間はなんだよ。なんか隠しただろ。言え、隠さず言え」
    「別に……なんでもない」
    「嘘つけ。遠い目するなよこっち見ろよこっち見て答えろよ絶対なんかあったろ」
    「……たまに、たまにな?」
    「うん」
    「…………マジで、たまにだぞ」
    「分かったから早く言えって」
    「…………飯、作ってもらってた」
    「うーわ、こいつ、うーわ」
    「んだよそんな顔すんなよ!」
    「お前教え子に飯作らせてたんか!? やっぱ付き合ってたんかオイ!?」
    「付き合ってねぇよ! そんなんじゃなくてだな、俺の食生活が……こう、アレすぎてだな」
    「アレってなんだ誤魔化すなはっきり言え全部」

  • 21◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 00:46:53

    「朝は10秒チャージのゼリー飲料だろ」
    「うわぁ」
    「昼はコンビニのパン。または弁当。またはカフェテリア」
    「うわぁ」
    「夜はいきつけの喫茶店とか……カフェテリアとか、スーパーの安売り弁当とか」
    「うわぁ」
    「その反応やめろよ」
    「お前それでよくヒトにマック怒るとか言ったな。むしろお前が怒られる側だろ、怒られた側だろむしろ」
    「はい。めちゃくちゃ怒られました。担当に」
    「うわダッサ。担当から食事管理されるとかダッサ」
    「で……まあ、あれだよ。ときどき……飯、作ってもらうようになった」
    「絶対結構な頻度だろそれ。たまにじゃねーじゃん、ときどきじゃん。ほぼ毎日だろむしろそれオイ!」
    「ま、毎日じゃない! あっちも学業もあるし、週に……二回くらい」
    「十分多いわアホか。うーわマジかよこいつマジかよ。前担当と付き合ってたのかよ……じゃあさっきのドライブしたことないって絶対嘘じゃん。絶対ドライブデートしたじゃん。絶対海に行ったよこいつ夜の海に」
    「言ってねぇよ、マジでそんなんじゃねぇから! ビジネスライクな、あれだよ」
    「嘘つけ下心あったくせに」
    「なんだこいつめっちゃむかつく……」
    「あたしの方もはらわた煮え繰り返ってますけど? ブチギレですけど?」
    「なんでだよ」
    「あたしのにぃにだぞ!」
    「お前のもんでもねぇよ!」

  • 22二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 00:51:54

    大丈夫?兄貴前担当の子にクソボケしてない?

  • 23◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 00:54:03

    「うぇーんにぃに取られたぁ〜……」
    「店の中でそれやめろよ……みっともないだろ」
    「誰のせいだと思ってんだおい」
    「お前だろ」
    「なんでだよ!」
    「お、ベッドあるぞ」
    「おい話逸らすなよ」
    「へー。色々あるんだな……身体の形に沈み込むんだって」
    「もう話す気なしか。なしっすか。そうっすか」
    「あーでも柔らかすぎるマットは腰に良くないしな。適度に硬い方がいいか」
    「絶対また問い詰めてやるから覚悟しとけよ……」
    「おいちゃんと見ろよ」
    「ぁ、うん。あっ! このお布団かわいい!」
    「それにするか?」
    「いやっ! まだ探す。まだ1個目だし」
    「なんでもいいけど、早く決めろよ。他にも色々探すものあるんだから」
    「はいは〜い。これいいな〜、ぁ、こっちもいい! うおっ、この手触りめっちゃいい! 気持ちいい〜」
    「……時間かかりそうだな、こりゃ」

  • 24二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 00:55:52

    このレスは削除されています

  • 25二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 00:56:23

    女の買い物は長いってね

    というか結局前担当先輩が卒業した後食生活是正されてないあたりに無気力や病みを感じてしまう……妹と再会してよかったよほんと

  • 26二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 00:57:48

    前担当にクソボケしてたら妹が兄×前担当に気ぶっちゃう

  • 27二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 00:58:12

    妹よりにいにの事が好きになってきたな…

  • 28◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 01:04:24

    ・・・
    「ほれ。オレンジでよかったか」
    「あ、うん。ありがと」
    「ほんとによかったのか? ベッド」
    「んく、んく……ぷは。うん。なんか……しっくりこなくて」
    「布団だけ買っとくか」
    「いいよ。にぃやんのベッドあるし」
    「俺のじゃねーか」
    「一緒に寝よ」
    「無理」
    「んだよちっちぇーなぁ」
    「自分の部屋で寝た方がいいだろ。その方がリラックスできるし」
    「でも、あたしはお兄ちゃんのそばの方がいいかな」
    「俺がリラックスできないんですけど……?」
    「あたしが気持ち良くさせてやんよ。食生活の管理からマッサージまでお手のものだぜ」
    「俺の仕事だわそれ」
    「あたしがお兄ちゃんのトレーナーだった……?」
    「俺の立つ瀬がないな、そりゃ」
    「お互いに支え合っていこうぜぃ!」
    「へいへい」
    「あっスルーした。スルーしたこのヒト」
    「とりあえずせめて布団は買おう。ソファで寝るのもそろそろツラい」
    「あたしのベッドを見に来たはずが、お兄ちゃんの布団を買うことに。なにそれこわい」
    「俺も怖いわ」
    「不思議なこともあるもんだねえ。世の中って何が起こるかわかんないもんだ」
    「確かにそうだな」

  • 29二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 01:12:14

    >あたしがお兄ちゃんのトレーナーだった……?

    割とマジでそうなんじゃねえかなあ!?

    あんたのにいに君以外担当できるメンタルじゃないんよたぶん

  • 30◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 01:19:36

    ・・・
    「よし、布団も買ったし車に積んだ。あとは……」
    「ねえ」
    「あん?」
    「よかったの? 一番安いので」
    「いいんだよ。どれもソファよりマシだ」
    「一緒に寝たら早いのに」
    「それはダメだ」
    「ちぇー、んだよ、ちぇー」
    「なんで一緒に寝たがるんだよ」
    「え〜? だってぇ〜、あたしが〜」
    「あ、もういいです。車出しますんで」
    「おい聞けよ! 最後まで聞けよっ!」
    「どうせ、あたしが一緒の方が嬉しいでしょ〜、とか言うつもりだろ」
    「全然違うわ! 180度違うわ!」
    「あ、シートベルト締めろよ」
    「あ、うん」
    「……って誤魔化されないからな!」
    「チッ」
    「うわ舌打ち。また舌打ち。舌打ちしすぎて舌切れろ」
    「お前ほんと退屈しないよな」
    「お兄ちゃんを楽しませるのだけが取り柄なので⭐︎」
    「別に楽しくはない」
    「そんなっ!?」

  • 31◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 01:21:02

    「でも実際、退屈はしてないのが不思議だな」
    「だってお兄ちゃん友達も彼女もいないもんね。コミュ障だもんね」
    「うっせ」
    「あたしも支えてもらわなきゃいけない分、あたしも支えますのことよお兄さま」
    「……あっそ」
    「前担当先輩もそんな感じだったん?」
    「そんな感じって、なんだよ」
    「支え合ってた系?」
    「…………、まあ」
    「イチャついてたのかやっぱ」
    「ついてねぇよ何回も言わすなアホ」
    「イチャついてたんだろー! あたしのいないところで浮気して! この浮気者!」
    「別に俺はお前のじゃねーよ!」
    「んだよ、くそぉ……」
    「次はどこ行くって?」
    「あ、服見たい」
    「服色々持ってきてたろ」
    「今年の春物っすよ、兄上。いいから近場のショッピングモール連れてって」
    「はいよ」

  • 32◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 01:28:48

    ・・・

    「お兄ちゃんどっちがいいと思う? どっちてもとか言ったら蹴る」
    「どっちでも」
    「よし蹴る」
    「どっちでもいいだろ似たような色なんだし」
    「は〜、これだからこいつほんま」
    「んだよ」
    「女の子がこういうこと聞くときってね、似合う方を選べって言ってるんじゃないすよ」
    「はあ」
    「あなたの好きな服装はどっち、って聞いてんの」
    「……はあ」
    「おバカなお兄ちゃんにも分かりやすく聞いてあげる。お兄ちゃんどっちの服が好み?」
    「どっちでも」
    「おい話聞いてたか?」
    「どっちも良いってことだよ。どっちも似合ってるし」
    「……ぁ、はい」
    「んだよ」
    「そういうこと言われるとは、思っとりやせんでした」
    「また軽口かと思った?」
    「うん」
    「ま、大人なんでこっち。多少は場数踏んでるんで」
    「前担当先輩か」
    「元カノみたいに言うな。ほんとにそういうのじゃねーから」
    「どーだか。あたしゃ信じんぞ」
    「はぁ……」
    「あ、これ可愛い。似合うと思う?」
    「うん。めっちゃガキっぽい」
    「うっわ!」

  • 33二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 01:32:58

    年の離れた兄妹にしてはベタベタに仲良いから
    この時点でも色々噂されてそう

  • 34二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 02:15:30

    前担当先輩がそろそろ生活気にして合鍵使って家に上がり込んでないかな……

  • 35二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 02:19:21

    まさか卒業した元担当に合鍵渡すわけ…そんなまさか、妹じゃあるまいし

  • 36二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 02:40:56

    にいにならやる
    勝たせてやれなくてごめん、何も出来なくてごめん、せめて君が望むこと何か一つなんでもって言う
    「ならこれからも元気にトレーナーを続けてください」
    「いつ私が会いに来ても元気でいてください 今日のような顔じゃなくてあの日のように笑っていてください」
    「だからいつでも会いに来られるように合鍵をください」
    とか言われたら合鍵渡すだろ 根がクソ真面目だから

  • 37◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 02:47:11

    「んっふっふ〜」
    「気に入ったの買えたか?」
    「ええ、そりゃもう。帰ったら着て見せたげる」
    「別にいいよ。妹のファッションショーなんて見ても、全然ありがたみがない」
    「なんだよぅ、つまんないなぁ」
    「それよりそろそろ昼飯だろ。なに食いたい?」
    「ん〜……カレー! 今日はカレーの気分であります!」
    「じゃあフードコート行くか。ココイチあるし」
    「ココイチか〜……ココイチもいいケド〜」
    「なんだよ」
    「さっき案内板で見たんすよ。そしたらっすよ、4階のレストラン街に〜」
    「ああ、インドカレー?」
    「そうなんすよ〜! インドカレーよ、インドカレー。お兄ちゃん食ったことある?」
    「そういや……無いな。変わったカレーなんて、カフェテリアのドライカレーくらいだ」
    「あんなんカレーピラフみたいなもんよ。インドカレーすごいよ、めっちゃやばい。マジうまい」
    「なんだよ、食ったことあんのかよ」
    「もちろんあるに決まってんじゃないすか兄貴〜」
    「ふーん。じゃあ行くか?」
    「うん、行く〜」
    「そんなうまいの?」
    「んまいよ〜? やっぱナンだね。カレーライスもいいけど、ナンで食べる本場のカレーは違うね」
    「へぇ……なんか気になってきた。実は俺もちょっと気になってた店なんだよな」
    「じゃあもう間違いなしだね。あたしたちの期待値マックスだよもう」
    「行くぞ」
    「わ〜い! インドカレ〜♪ インドカレ〜♪」
    「くっつくな暑い」
    「照れるなよ〜、いいじゃんかよ〜。実は兄貴もテンション上がってんだろ〜?」
    「その通りだ。急ぐぞ」
    「おいマジかよ待って! ちょっと待って! 速いよはしゃぐなよ! 小学生か!」

  • 38二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 02:51:10

    街中にいる限り同級生・同僚・前担当とのエンカウントがありえる

  • 39二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 03:00:35

    >>36

    仮にこれだったとして結果的に守れてるので妹ちゃんとの巡り合わせに三女神様の采配を疑わずにはおれぬ

  • 40◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 03:09:52

    「は〜、食った食った〜」
    「腹一杯だな」
    「あれだね。チーズナン、デカすぎ」
    「な。マジで残そうかと思った」
    「普通のナンおかわりするからだよ。やめといたほうがいいよって言ったのに」
    「悪い、食いたかった」
    「いや分かるけどさ」
    「男ならな。無理と分かっていても、挑まなくちゃならない戦いがあるんだ」
    「なにキメ顔で言ってんだ腹パンパンにして」
    「言っとくけど食べすぎてお腹出るのウマ娘だから許されてるんだぞ」
    「ウマ娘でも問題だよ、もっと恥じらい持てよ!」
    「可愛いって言われるんで大丈夫ですぅ〜」
    「アホか。レース前にそんな腹してみろ。ぶっ飛ばすぞ」
    「それこそ大丈夫ですぅ〜、うちには優秀なトレーナーがいるんですぅ〜」
    「……、」
    「なんで黙る」
    「いや……別に」
    「あれ、もしかしてあたしやっちゃいました? にぃやんの地雷踏んじゃいました?」
    「気にすんな。もう帰るか?」
    「せっかくだしもうちょっとデートしようよぅ」
    「デートじゃねぇって。むしろ職質されないか不安だわ、俺」
    「周りから見たら誘拐犯と美少女だもんね」
    「誰が誘拐犯じゃい」
    「じゃあデートってことにしとこうぜ兄貴〜、損はさせねぇよ、あたしにしとけって〜」
    「うざい。きもい。しんでしまえばいい」
    「あのほんとやめてもらえますか、そういうこと。あたし意外と打たれ弱いんですよ。知っててやるの本当に良くないですよ。見てほら涙目。ちょっと潤んでるのわかります?」
    「お、ゲーセン」
    「あ〜! あたしクレーンゲームやりたいな〜」
    「はいはい」

  • 41◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 03:10:04

    「お兄ちゃんに取ってもらお」
    「なんで俺なんだよ。自分でやれよ」
    「お兄様が確立機のドツボにハマって涙止まらんところが見たい」
    「うわぁ……こいつ、うわぁ」
    「あ、見てお兄ちゃんなんか変なぬいぐるみある〜」
    「なんか奇抜なデザインだな……なんだこれ。うさぎ……いや、なんだ……? 1頭身の顔から縦に一周してジッパーがついてる」
    「おぅ、わざわざ説明ありがとうございます」
    「やってみるかこれ」
    「え、やるんすか。あたし別にほしくないけどやるんすか」
    「くまちゃんの代わりだ」
    「ぁ、え、あたしこれ抱いて寝るの? これからくまちゃんの代わりこれなの?」
    「よーしいくぞー」
    「躊躇いなく500円突っ込んだ!」
    「こういうのは500円入れたら1回多めにできるんだよ」
    「絶対そのアドバンテージ活かせないだろ……」
    「まあ見とけって」

  • 42二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 03:28:17

    >>41

    こいつかな…

  • 43二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 03:47:57

    >>39

    しかし巡り合わせがこれで終わるとは思えんのだ

  • 44二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 03:49:49

    >>43

    メタ的に言うとあと2人くらいウマ娘出そうだもんねえ

    最後に快復した上で妹の隣にいれば良いの精神で見守りたい

  • 45二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 11:27:02

    具体的に言うと厨二のウマ娘と二重人格のウマ娘がね…

  • 46◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 14:19:48

    「……、」
    「……!」
    「、……」
    「……」
    「え、それ何枚目の500円すか」
    「……4?」
    「2000円も使ってんのかよ!」
    「ま、まだこれくらい余裕だ! こっちは大人だぞ、これくらい端金だ任せろ」
    「もう任せらんねーよっ! 怒られるぞ、怒られるぞなんかこう、色々と! ブルジョワジー極まってんぞっ!」
    「だ、大丈夫なんだ……あと少しで落とせるんだ……!!」
    「絶対このヒト過去に同じことやってるよ。絶対やってるよこのヒト。前担当先輩と出かけた時に一回はやってるよ」
    「……」
    「うーわ全集中じゃん、食いついてんじゃん、もう左右からアームの位置見直しちゃってるよ。ガチすぎて逆に引くんだけど」
    「うるさい」
    「もーいいってお兄ちゃん。欲しがったあたしが悪かったって。別にそんなめっちゃ欲しいわけじゃないよ、取れなくてイライラする〜ってお兄ちゃんが見たかっただけで────」
    「……あっ」
    「え」
    「……」
    「……」
    「取れた! 取れたぞ!」
    「やった、やるじゃんにいやん! さすがあたしの見込んだ男だよ!」
    「ほら取れ、そのよくわからんぬいぐるみ!」
    「う、うん、取った! 取った! やった〜、よく分かんない生き物だけど!」
    「は〜……スッとした」
    「あたしゃーもう帰りたくてしゃーなかったっすよ」
    「ぶっちゃけ1000円超えた時点で俺も帰りたかった」
    「なんで続けたん……」

  • 47◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 14:20:22

    「男にはな、やらなきゃいけない時ってもんがあるんだ。それが今だっただけさ」
    「やだイケメン。抱いて」
    「鏡見てから言え」
    「はあぁ!? 超絶美少女だろが! 結構告白されたことあんぞおい! 全部断ってますけどね、理想のヒトがおりますからね!」
    「外であんま騒ぐなよ」
    「くっそ〜……あとで車戻ったら覚えとけよ〜……」
    「他になんかやりたいのあるか?」
    「ないけど、見ていこ。2人でやれるやつないかな」
    「あるだろうけど、この歳になってはしゃぐのもな」
    「いや今さっきめっちゃはしゃいでただろ。お前こそ鏡見てこいよ」
    「あれは久々にスカッとしたな。めっちゃ嬉しかったもん、そのよくわからんぬいぐるみ」
    「ね、あたしも見ててめっちゃスッキリした〜。でもこれが2000円かぁ……値段相応って感じじゃないよね」
    「これならぱかプチやればよかったな。シンボリルドルフとか人気だろ」
    「あ〜会長さんね〜! あたし生で見ちゃった」
    「俺も見た……っていうかそりゃあるだろ。同じ学校にいるんだから」
    「ま〜ね〜」
    「お前は、どんなウマ娘になりたいんだ」
    「え、唐突だな」
    「憧れくらいはあるだろ」
    「ん〜……あたしは、別にそんな……大きなのとか、ないよ? お兄ちゃんのそばで走っていたいな、って……それだけ」
    「なんだそりゃ」
    「なんだとはなんだよぅ、聞かれたから答えたんだろっ」
    「……俺のそばで、か」
    「迷惑?」
    「んなわけ」
    「やだぁ……お兄ちゃんが優しい……怖い……」
    「張り倒すぞお前……」

  • 48二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 14:26:27

    お兄ちゃんやっぱおもしれー男…と思ったら最後がシリウスだあ

  • 49◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 14:30:35

    ・・・
    「ただいま」
    「ただ〜いま〜」
    「今日はめっちゃ動いたなぁ。もうくたくただ」
    「ね〜。あたしももう眠いや」
    「明日も朝早いし歯磨いて寝ろ」
    「まだ8時だぞっ! 夜はこれからだろっ!」
    「ちゃんと起きれるんならいいけどな」
    「にぃやん起こして〜」
    「絶対嫌だ」
    「起こせよ。そこは優しく起こせよ、ベッドまでモーニングコーヒーとトーストとスクランブルエッグ持ってきてキスして起こせよ」
    「ぉぇっ」
    「マジの嗚咽やめてもらえます? あたしも本気で言ってるわけじゃないけど傷つくんでやめてもらっていいです?」
    「とりあえず自分の部屋作れよ。買ってきたテーブルとか置いてさ」
    「あ、そうだね。そうしてくる〜! まっいるーむ! まっいるーむ!」
    「……、」

    「さて、そのあいだに俺は……」

  • 50◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 14:39:19

    ノートPCを開き、前担当のデータを呼び出す。
    使えそうなものは取り出したし、妹用に調整も一旦は済ませてある。
    これ以上見るものはないが……それでも、なんとなく開いてしまう。

    今ごろ、何をしているんだろう。
    卒業式に会って以来、連絡はない。こちらからもしていない。
    もともと真面目な子だったし、大学でも楽しくやっているだろうけれど。

    大学のリーグは、トレセン学園所属の俺とは無関係。
    わざわざこちらからアクションをかける意味もないし、向こうだって昔のトレーナーから連絡をされても迷惑だろう。

    ……きっと、そんなことはないと、言うだろうけど。

    「……」
    飾ってある写真を手に取り、眺める。
    ラストランの、パドックで撮った写真。最後に走る前の、笑顔の写真。

    それでも今になって見れば、無理をしている笑顔だ。

    どうして気づいてやれなかったのかと、眺めるたびに悔やむ。
    でもこれをバネにしなければ、妹のトレーナーはできない。もう同じ思いをさせたくない。同じ結末にはしたくない。

    出来ることは出来るうちに。やりすぎは当然よくないが、早めに手を打って悪いことはない。

  • 51◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 14:45:08

    明日は桜花賞だ。
    クラシック級で、妹が挑むことになるであろうレース。
    大切な、大切な……全てのウマ娘が1度しか挑戦できないレース。

    妹の目に、どう映るだろう。

    迫力に気圧されるだろうか。
    力強さに恐れてしまうだろうか。

    それなら、それでいい。
    妹が活躍できる場を探すだけだ。

    だが、あの頂を望むなら……俺が全力で届けてやらなくちゃいけない。

    ウマ娘ひとりの力で届かない頂点に、指先をかけさせてやるのが俺たちトレーナーの仕事なんだから。

    「ぎゃー! にぃやん助けてアイツが出た! 黒いの! デカくて黒いの!」
    「騒ぐなよ何時だと思ってんだ。ちょっと待ってろ」

  • 52二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 15:03:22

    >>50

    「元担当さんとは今も連絡取ったり?」

    「今もっていうか、つい1ヶ月前までここの生徒だったしな。大学でもリーグに出るらしい」

    (1−89)


    確かにとってるとは言ってなかったわ

    にぃにの言葉にはやっぱり色々隠れてそう

  • 53◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 15:11:04

    ・・・
    「……」
    「どうだった、生の桜花賞は」
    「ぁ……うん」
    「驚いたか?」
    「……正直、うん。あたしも走れるのかな、って」
    「お前が走りたいと思うなら、走れるさ」
    「前担当先輩は、勝てなかったんだよね」
    「……そうだな。皐月賞も、日本ダービーも、菊花賞も……他のG1にも、届かなかった」
    「あたしが……勝てたらさ。前担当先輩より、すごいってことだよね」
    「別に比べるようなもんじゃない。あいつだって、充分以上にすごいやつだった」
    「ね、兄上。データって残ってる?」
    「ああ、あるよ。全部残してる。レースの映像も、記事も」
    「帰ったら、見たい」
    「帰りの新幹線で見せてやるよ」
    「……うん」
    「ふひ」
    「ぇ、なに……」
    「ちょっと想像したら、にひひひ……」
    「は〜?」
    「無敗のティアラ三冠! どーよ!」
    「お前なぁ、そんな軽々しく口にすんなって言ったろ」
    「でも、勝てたらお兄ちゃんのキャリアもぐんとアップ。あたしもたくさん褒められる。めっちゃいいでしょ」
    「そりゃ、叶えばな」
    「……もし出来たら、にぃにも……褒めてくれる?」
    「考えといてやる」
    「いやそこは褒めろよ、無敗だぞ、三冠だぞ!?」
    「ちょっとは褒めてやる」
    「くっそ、絶対褒めさせてやる。G1勝って泣かせたる」

  • 54◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 15:11:21

    「頑張ろうな」
    「んっ」
    「俺とお前で、勝つんだ。頑張ろう」
    「……うん、頑張る。明日から早速トレーニングだ!」
    「やる気が出たようで何より。連れてきた甲斐はあったな────あ、あと」
    「なに?」
    「学校ではトレーナーさんと呼べ」
    「あ、無理」
    「なんでだよ」
    「兄者は兄者ですんで。それ以外に呼び方はございません」
    「……、まあ好きにしろよ」
    「しますぅ〜、最初からそのつもりですぅ〜」
    「でもアレだぞ。他のトレーナーが居る時はやめろよ」
    「好きにしろって言ったので聞けませ〜ん」
    「お前なぁ……」
    「まあまあ。期待してくれていいんだぜ、あんちゃん。あんたの妹は地元じゃ負け知らずだぜ」
    「嘘つけ。そこそこ負けてるだろ。中2の学内大会とか」
    「なんで知ってんの!? そんなデータまであんの!? こわっ、ウマ娘の世界こわっ!」
    「これでもトレーナーだぞ。担当ウマ娘のデータは集められるだけ集めるに決まってんだろ」
    「やべー、こいつストーカーかよ、あたし丸裸じゃん……」
    「ヒト聞きの悪い言い方すんな。仕事だわ。あと新幹線の中でいいからお前のこと色々聞かせてもらうからな。映像見ながら……どう考えながら走ってたとか」
    「なんだよぅ、あたしのこと知りたいとかシスコンかよぅ、あたしのこと大好きかよぅ」
    「仕事だわ」
    「はい」

  • 55二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 18:57:29

    1日ずつ進めていくのだろうか?

  • 56二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:08:27

    このレスは削除されています

  • 57二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:13:13

    いいねいいねぇ…もっとそうゆうのちょうだい!

  • 58二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 21:05:26

    トレーナー呼びする方がむしろ勘繰られそうである

  • 59二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 21:12:24

    考えてみたら兄妹でやっていくの教えてる子とかいるしな……
    確かにトレーナー呼びした方がなんかあったのってなりそう

  • 60◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 23:02:03

    「にぃやん早よせい! いつまでうんこしとるか!」
    「お前、お前なぁ……!」
    「うっしゃっしゃっ」

    そうして、俺と妹の二人三脚の日々が始まった。
    わざわざ桜花賞を見に行った甲斐はあったらしく、それからの妹はぐだぐだ言うこともなくしっかりと励んでくれた。

    「坂路ダッシュ10本」
    「うっそだろ、10kmランニングしてきたとこなんすけど……」

    俺も俺で出来る準備は早め早めに進めていったし、先輩トレーナーたちからティアラ路線に関しての情報を教えてもらったりして、下地作りは少しずつ、しかし着実に進んでいった。

    着実に、着実に。

    「んぁ〜もう無理! も〜走れません! あたしもう疲れた!」
    「お疲れ。飯食って帰るぞ」
    「死ぬほど走った後に飯なんて食えるかよバカかよ。お前あたしと同じくらい走ってみろよ」

    そして────ついに、デビュー戦を迎える、その前日。

  • 61◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 23:03:10

    「にぃに……起きてる?」
    「寝てる」
    「起きてるじゃんかよ……」
    「寝ろよ。明日はデビュー戦だぞ」
    「うん……分かってる。分かってるんだけどさ」
    「眠れない?」
    「……うん」
    「……、……」
    「ため息つくなよぉ……」
    「いや……実は俺も眠れん」
    「なんだ……にぃにもか」
    「ああ。俺も緊張してる」
    「へへ、そっか……そっか」
    「なんだよ」
    「ううん、別にっ」
    「嬉しそうだな」
    「別にっつってんだろ〜」
    「そうかよ。早く寝ろ」
    「寝ますよ。でも眠れないの」
    「……いま何時?」
    「0時過ぎたとこ。もう6時間しか寝れん」
    「あっちゃ〜……こりゃあ困った困った」
    「疲れてるってのにな」
    「ここ一週間くらい、ずっと夜遅くまで頑張ってたもんね」
    「お前もな。よくやってきたよ」

  • 62◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 23:05:16

    「あたしはほら、お兄ちゃんより頑丈なんで。ウマ娘さんなんで。体力に自信ありなんで」
    「見た目はあんま変わんないのにな、俺たちと」
    「あたしのこのナイスバディには無限のパワーが詰まっているのだ! はっはっは〜……なんてね」
    「いつもみたいに続けないのか?」
    「うん……なんか、緊張に負けちゃう」
    「明日は雨かもな」
    「ぇ、そうなん?」
    「お前のテンションが低いから」
    「んだとぉ!? どうせ降るなら雪とか槍とか降れよ!」
    「声がでかい」
    「はい、すみません」
    「これからはこんな生活が続くんだ。慣れとけよ」
    「ぅ〜……胸の辺りが変な感じぃ……」
    「大丈夫か?」
    「ぅ〜ん……なんか変。にぃにマッサージして」
    「嫌だわ。なんでこんな夜更けに妹の胸揉まんといかんのだ」
    「にぃにだけの特別サービスだゾ⭐︎」
    「彼氏作ってそいつにしてやれよ」
    「あたしの身体はそんな安くないんですぅ〜」
    「じゃあ俺にも安売りすんな」
    「にぃにのために大事に温めとりま〜す」
    「いらない。マジでいらない。本当にいらない。いらない」
    「何回も言うなよ傷つくだろ。もういいよ寝るよバカ兄貴」
    「そうしてくれ。もう静かにして寝ろ」
    「は〜い。おやすみ、にぃに」
    「ああ、おやすみ」

  • 63二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:11:06

    いよいよデビューか
    ただでさえ緊張が伝わるのに中2の学内大会がライバルの伏線にも読めてまたどうなるか読めないのがドキドキするぜ

  • 64◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 23:12:18

    ・・・

    レース当日。

    「コースの特徴は覚えてるか」
    「んっ! だいじょーぶい!」
    「レースはひとりで走るわけじゃない。他のウマ娘たちと駆け引きしながら走る。分かるな」
    「わ〜かってるってぇ。もう500回は聞いたもん」
    「543回な」
    「ぅーゎ……数えてんのかよこいつ、めっちゃキモい……」
    「嘘に決まってんだろが。……それだけ悪態つけりゃ平気そうだな」
    「……心配してくれたの?」
    「してねーよそんなの」
    「しろよ心配。あたしのことで頭いっぱいになれよ。あたしのことしか考えられなくなれよ」
    「お前は勝てる。お前なら大丈夫だ」
    「ぁ、ぅんはい。急に真面目な顔すんのもやめろよ……びっくりするじゃんか。……信じてくれるの?」
    「当たり前だろ。俺はお前の兄ちゃんだぞ、妹のことは兄ちゃんが一番よく分かってる」
    「へへ、ほんとかな。勝てるかな」
    「ほんとだ。楽しんで走ってこい」
    「うん! パドック見ててよね、お兄ちゃんに投げキッスしたる!」
    「すんな!」

  • 65二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:27:02

    こっちも緊張してきた…

  • 66二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:30:44

    頑張って…

  • 67二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:32:01

    がんばれ……がんばれー!

  • 68◆iNxpvPUoAM23/04/10(月) 23:42:06

    〈さあ準備が整ったようです〉

    場内にこだまする、久しぶりに聞く声。実況アナウンサーの……名前はなんだっけか。
    いや、それよりも────

    「あのアホ……」

    パドックでの投げキッスで妙なざわめきを作った妹は、それに気圧されて少し不安そうに引っ込んでいった。
    マジでアホなんかと思った。いやアホだったわうちの妹、アホだったわ。

    「はぁ……絶対明日怒られるぞ俺……」
    脳裏にフラッシュバックする、あのアホな一幕。

    『お兄ちゃ〜ん! あたし頑張るから見ててよねっ! んーまっ!』
    といった具合。
    そばにいたら割とガチで殴っていたかもしれん。いや殴ってた、絶対。

    「……、」
    ため息をひとつこぼし、自販機で買った暑いお茶を一口含む。これで不安や悩みが消えるわけじゃないが、切り替わった。

    「頑張れよ」
    視線の先────ゲートに収まったまま、緊張の色が出まくった妹へと、声をかける。
    だが当然、届かない。届くわけがない。
    でもそれでいい。声は届かなくとも、気持ちは届いている。

    ────いってくるね、にぃに

    こちらをチラリと見た妹の口元が、そう動いた気がした。

    〈ゲートが開き、今スタートを切りました!〉

  • 69二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:42:43

    何故か兄妹フルボイスで聴こえてくる不具合

  • 70二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:43:15

    >>69

    奇遇だな、俺もだ

  • 71◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 01:36:32

    ・・・

    「練習の成果だ、いいぞ!」
    開くゲートに合わせ、妹は飛び出した。しかもほぼベストタイミング。出遅れはない。

    このレースは1600m。所謂マイルの距離。

    トリプルティアラを目指すウマ娘たちは距離から始めることが多いと先輩から聞いた。
    だが目指す先はこのレースよりも長い2000よりも、さらに先。

    ここで躓いてなんか────

    〈ゼッケン3番ここで飛び出した!〉

    「……!」
    やばい、思考に落ち過ぎた。実況の声に釣られて顔をあげ、レースに目を向けた。

    3番はこのレースの1番人気のウマ娘だ。デビュー前から噂され、有名だったウマ娘。

    フードを目深に被った独特なスタイル。G1以下のレースは全てジャージと決められているが、こいつはそれも構わず上着を着込んでいた。

    見るからに粗暴なやつだ。その性格は、走りにも現れている。

    暴力的なまでの走り。周りを威圧するように轟く足音。そして……ここまで伝わってくる、殺意のような重く苦しいプレッシャー。

    それを真っ向から浴びる妹は、大丈夫だろうか。

    大丈夫なわけがない。
    デビューが決まり、出走リストが出てからずっと気にしていたから。

  • 72◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 01:37:10

    ああ、俺もずっと気にしていた。
    ずっと、ずっと気にしていた。
    だって……あいつは。

    〈外から追い上げてきたゼッケン8番! しかし先頭にはまだ遠い!!〉

    「……っ」

    8番。妹だ、妹が上がってきた。グングンとスピードを上げて、3番のあいつに迫っていく。

    〈しかしゼッケン3番譲らない! 先頭を維持したまま最終直線へ!!〉

    残り400mもない。

    〈逃げる3番! しかし8番の猛烈な追い上げ! 届くか、逃げ切るか!〉

    一騎打ちだ。
    距離は少しずつ迫っている。このままなら、妹が先頭に────

    だが。

    〈3番がここに来て加速した!〉

    まだ、こんな力を残していたのか。ようやく横に並ぶかと思ったその瞬間、3番のウマ娘は口元を楽しげに歪ませて、さらに加速した。

    一時はほとんど無くなっていた距離が、また離されていく。

    妹も負けじと喰らいつくが、埋まらない。

  • 73◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 01:37:54

    「……いけ、いけ……っ!」

    知らずのうちに、声が出ていた。握った拳に力が入る。

    頼む、届いてくれ。

    そう願わずにはいられない。
    妹に力を与えてやってくれと、願わずにはいられない。

    「うっ……ぁぁあああああっ!!!」

    張り裂けそうな声が、轟いた。これは、妹の声だ。

    苦しそうに、つらそうに、それでも前へ進む。

    妹は、前へ進む。

    もう絶望的かと思われていた距離が、また縮み始めた。

    〈残り100m!!〉

    残った距離でその差を取り返せるか。
    妹は叫ぶ。叫びながら走る。叫んで大地を蹴る。

    持てる力の全てを出し尽くす勢いで、3番を追う。

  • 74◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 01:38:34

    〈並ぶか!並ぶか!!〉

    「並んだ……! いけ……っ!」

    残り、何メートルだ。そんなことどうでもいい。ようやく並んだ、ようやくその差が埋まった。

    あとは1cmでも、1mmでもいい。

    ほんの少しだけヤツより前に出ることができれば、妹は────

    〈ゴールイン!!〉

  • 75二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:39:11

    さてどうなる

  • 76◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 01:46:08

    〈確定ランプが点灯しました!〉

    〈1着は3番! 2着は8番! 3着は────〉

    結論から、妹は負けた。

    僅差の勝負だった。結果はクビ差の、本当に惜しい敗北だった。

    ああ、まずい。嫌な思い出が、蘇りそうになる。

    これはG1じゃない。新バ戦だ、メイクデビューだ。まだあの頂にすら達していない、始まりのレースだ。

    だが、それでも……負けた。

    必ず勝たせてやると誓ったのに。約束したのに。

    ウマ娘の力だけでは届かない勝利という頂に、指先をかけてやるのが俺の仕事だと言ったのに。

    結局、俺はまた、また────

  • 77二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:50:46

    すごいびっくりしたけど、そういやシングレもデビューは負けから始まってたなと思い出した
    3番はなんか2人ともよく知ってそうな感じ?読み取れる情報からはなんかディクタみたいな子だが多分違うだろうしどんな子だろ
    とか言ってる場合じゃないのだ、やべえぞ妹ちゃん早く来てくれーッ

  • 78二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:54:07

    現実だと某キューカンバーさんも初戦負けてるからね

  • 79二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 02:03:10

    >>78

    鬼婦人とかもそうだし意外と伝説の名馬でもデビューでのつまづきはあるのよね

    ちなみにシングレの負け(≒オグリの史実)も見てきたらクビ差負けでオマージュとかではないんだろうけど妹ちゃんに大器を感じたわ

  • 80◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 02:08:13

    「ぁ……にぃやん」
    「……ごめん」
    「え?」
    「勝たせて、やれなかった」
    「ぇちょ、な、なに言ってんの、あたしが……最後踏ん張れなかったからじゃんか。お兄ちゃんなんも悪くないじゃん」
    「いや……俺のせいだ」
    「違うってば! あたしのせいなの!」
    「それこそ違う、お前は頑張った、めちゃくちゃ頑張った。あとは俺が最後のピースを埋めてやらなきゃいけなかったんだ!」
    「なに最後のピースって! それが私の根性が足りてないって話でしょ!?」
    「いやお前に足りてないものなんか────」

    「ずいぶんと仲良いねぇ」

    「……ぁ」
    「お前は……」

    「よう、久しぶりだな。まさかまた一緒に走るとは思わなかったぜ……なぁ」

    「……ども」

    「チッ……んだよ、もっと喜べよ。オレにクビ差だぜ? 中2の時より成長してんじゃねぇか、驚いたぜ」

    「あざす、うす」

    「……会話する気あんのか? なぁ、あんたはどう思うよ……え? トレーナーさんよ」

  • 81◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 02:08:49

    「1着おめでとう。すごい走りだったよ」

    「お褒めの言葉、ありがたく受け取っといてやるよ

    「……話さなくていいよ、いこ」

    「んだよ、負けて悔しいからって喋ってもくれねぇのか? まあ進む路線は違うみてぇだし、テメェは雑魚なティアラ路線だろ。じゃ、もう会うことはねぇな」

    「……そんなことはない。妹は、きっと強いウマ娘になる」

    「あ?」

    「ちょ、お兄ちゃんやめてよ……」

    「俺の妹は、いつかお前に勝つようなウマ娘になるさ。今はまだ届かなかった……けど、いつか、必ず」

    「クッ……ハッハッ! なんだよ、テメェ兄貴にトレーナーやってもらってんのか? ハハッ……おもしれぇ、面白えな」


    「じゃあ楽しみにしといてやるよ。せいぜい鍛えてやれよ、お兄ちゃん」

  • 82二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 02:11:02

    まさかライバルってゴースト…?

  • 83二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 02:13:43

    やはり中2で負けた相手か
    しかし物言いも併せるとますますディクタみたいだと思ったら元ネタにこう言うタイプがいるのね

    にぃにに火を付けてくれてありがたい反面、ここまで煽られるとこのままティアラに行くつもりのままかも読めなくなってきたぞう!?

  • 84◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 02:52:18

    ・・・

    「初めてのレースどうだった」
    「ん……ゲートでかくてビビった」
    「そうなのか? めちゃくちゃいいスタートだったじゃんか」
    「それは、ほら、あたし天才なんで」
    「ああ、やっぱりお前には才能がある。我が妹ながら喜ばしいな」
    「んだよ調子狂うな……突っ込めよ」
    「マジな話、してんだ。冗談に乗る気はないぞ」
    「ちぇ〜……」
    「……あいつ、すげー敵意だったな」
    「中学の時も、ずっとそんな感じだったよ。学年は違うけど……すっごい怖くて、なんか嫌な感じ」
    「なんかあったのか?」
    「別にないよ。気に入らない子にはだいたいあんな感じ」
    「ふーん……」
    「……またあの子に負けちゃった。悔しいなぁ」
    「次は、勝とう」
    「勝てる、かな」
    「当たり前だ。今度こそ、俺が勝たせてやる」
    「……ウマ娘に足りない力を、補う……のが」
    「ああ、俺の仕事だ」
    「……にぃに」
    「まずは今日はもう休もう。祝勝会……とはいかなかったが、飯連れてってやる」
    「うん……」
    「切り替えは大事だって教えたろ? レースのことを考えるのは少し先送りだ。しばらく脚を休めなくちゃ」
    「わかった……」
    「で、なに食いたい? 勝ったら行きたいとこあるって言ってたよな」
    「でも、負けちゃったし」
    「いいよ、そんなもん。お前のレース、すげー良かった。だからそのお礼だ」
    「なにそれ、意味わかんない」

  • 85◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 02:53:46

    「何でもいいだろ、ほら。その行きたいとこ、言ってくれ。車そっちに回すから」
    「……いいの?」
    「ああ、いいよ」
    「奢り?」
    「いつも俺出してるだろが……」
    「妹思いの優しい兄で大変助かっております」
    「いいから早く教えろよ。それかナビ登録してくれるか?」
    「じゃあさ、お兄ちゃんの、いきつけの喫茶店……行ってみたい」
    「…………え?」
    「ずっと前に言ってたでしょ? 夜ご飯、よく食べに行ってたって」
    「ぁ……、ぁ、……ぁ、ああ」
    「この半年……色々連れてってくれたけど、その喫茶店だけ連れてってくんなかったから。行きたい」
    「ぃ……いや、でもそれは」
    「やっぱりダメなんだ……」
    「ぉ、おい……」
    「ダメなんだ……やっぱり、あたしダメな子だったんだ」
    「わっ……わかった、連れてく、連れてくから!」
    「ほんと?」
    「ほんとだほんと」
    「あたし、ダメな子じゃない?」
    「ああ、ダメなもんか。お前はすごいぞ」
    「あたしのこと好き?」
    「ああ、好……ん?」
    「あたしのこと大好き?」
    「……」
    「あたしのこと愛してる?」
    「おい」
    「はい」
    「どさくさに紛れてなに言わそうとしてんだアホかお前」
    「はいすみません」

  • 86◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 02:55:39

    ・・・

    「は〜着いた着いた。結構良さげだねぇ、まさからにぃやんがこんなオサレカフェをいきつけにしていたとは」
    「……あぁ」
    「もしかしてあたしに内緒で通ったりとか? 許さんぞ? あたし、許さんぞ? 仲間外れとか許さんぞ?」
    「通ってねーよ。……少なくとも、1年近くは」
    「ぇ、あ、そうなん? なんだ、あたしのいない時にこっそり行ってるもんかと」
    「行ってない。本当に、久しぶりだ」
    「ふーん。まいっか。早く入っちゃお、お腹減った〜」
    「ぁちょっ待っ……」

    「いらっしゃいませ。2名様でしょうか」

    「は〜い2名で〜す」
    「おい、先に行くなよ……」

    「はい。それではお好きな席に……ぁ」

    「へ?」

    「お久しぶりですね、トレーナーさん」
    「ぁ、……ぉ、……おぅ」

    「へ?」

    「お元気でしたか? 食事、できてますか?」
    「ぁ、ああ……なんとかな。また惣菜とか、ばっかだったけど……食えてる」
    「そう、ですか。まだそんな食生活なんですか……?」

  • 87◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 02:57:10

    「最近は、気をつけてる。担当も新しく決まったし」
    「そうだったんですね。……よかった、まだ、トレーナーを続けていてくれて。私、ずっと感謝してるんですよ?」
    「いや、俺は……俺は、そんな……立派なもんじゃないよ」

    「……おい、おいおいおい。あたしを置いてけぼりにするな。おい兄貴、おい兄上、おいお兄さん」

    「ぁ、もしかして、妹さんですか?」
    「ああ、妹で……いまの担当ウマ娘」
    「そうだったんですね。はじめまして」

    「ぁ……はい、はじめまして妹です。……ん? んんん? どこかでお見かけしたような……」

    「あ、もしかして……写真、まだ飾ってくれているんですか?」
    「ぁ……ああ、まあ……はい」
    「もう……恥ずかしいからやめてください、ってなどもお願いしたのに……トレーナーさんったら」
    「……すまん」

    「……トレーナーさん? ……トレーナーさんだと?」

    「ほら……前の担当だよ。写真とか映像とか、見せたこと、あるだろ」
    「あー、はい。ありますあります、前担当先輩……えっ、前担当先輩!?」

    「はい、お兄さんの、前の担当ウマ娘でした。よろしくお願いします」

  • 88二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 02:58:18

    このレスは削除されています

  • 89二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 03:23:05

    調子が戻ってきて何よりと思ったらこれは前担当先輩!?

    自分はダメな子となるとこも似たもの兄妹だなとなるけど、
    負けを誤魔化さずに受け止めた上で立ち上がるきっかけも逃さないと思うと凄いやつらだ

  • 90二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 05:23:34

    走りのライバルに恋のライバルまで出てきて妹ちゃんのライフがもつのか…?

  • 91二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 06:39:51

    店に普通にいる……前担当の実家か?つまり義実家か?

  • 92二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 06:54:07

    恋のライバルはまだ分からん…まだ分からんがそうだといいな!

  • 93二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 07:55:42

    前担当ちゃん元気そうでよかった

  • 94二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 09:47:44

    前担当ウマ娘ちゃんきた!
    回想のみの登場だと思っていたから嬉しい

  • 95二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 11:40:14

    みゃーこ先輩だ!

  • 96二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 15:06:47

    >>21

    喫茶店のくだりはここで言及されてましたな

    あとあと出てくる伏線貼ってたのか

  • 97二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 15:18:53

    前担当ちゃんめちゃくちゃ人気でワロタ

  • 98二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 15:25:18

    これはもう2人も期待

  • 99二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 17:36:43

    こういうのって行き当たりばったりで書いてるもんかと…

  • 100二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 17:45:41

    ライバルも伏線張ってたしにぃには信頼できない語り部だしでかなりしっかり作り込まれてるよね
    元ネタ知らなくてもオリウマの話としてかなり面白い理由の一つだと思う

  • 101二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 19:50:49

    なんというかすごくすごい好きです!

  • 102◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 22:42:16

    「それでは、ごゆっくりどうぞ」

    「ぁ、ありがとございます」
    「ありがとう」
    「ちょちょ、にぃににぃに」
    「……なんだよ」
    「あの……あのヒトが、写真の?」
    「そうだけど」
    「ふぅん……なんか、久々みたいに言ってたけど」
    「まあ、な。連絡とってなかったし」
    「なんで?」
    「は?」
    「いや、なんでって……」
    「なんで?」
    「べ、別に……あれだよ。今は大学のリーグに所属してるし、俺とは違うトレーナーがいるし、昔のトレーナーがしゃしゃり出てきても、困るだろ」
    「はあ……そういうもんすか」
    「そういうもんなの」
    「でもなんか、先輩はそうじゃなさそうっぽかったけど」
    「そういうもんなの」
    「でもでも、あたしはにぃにの担当じゃなくなっても……いろいろ教えてほしいし、連絡取りたいし」
    「普通の担当とトレーナーはビジネスライクなの。お前がおかしい……ってか、お前はその前に妹だろが」
    「……へへ」
    「なに笑ってんだ気持ちわりぃ」
    「うっせ、うっせ! にぃににゃわかんねーよバカ!」
    「店で騒ぐなアホ。周りに迷惑だろが」
    「ぁ、はい、すみません」

  • 103二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:49:18

    クソボケの準備しといた方が良いかな?

  • 104◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 22:51:53

    「……」

    「うわわ、めっちゃ睨んでるヒトいる……ごめんなさい、ほんとすんません」
    「……あいつ、まだ通ってたのか」
    「へ?」
    「いや、俺が通ってた時もよくいた常連」
    「へー」
    「とりあえずメニュー選ぼうぜ。いつまでも水で時間食うのは申し訳ない」
    「あ、うん。なにしよっかな〜」
    「好きなもん食っていいからな」
    「もちろんめっちゃ食ったりますよ、へっへっへ」
    「俺は……ハンバーグセットかな。久しぶりに食いたい」
    「ハンバーグいいな〜! 美味しい?」
    「俺は一時期、これにハマってこればっか食ってた」
    「ということはお兄ちゃんのお墨付きかぁ。でもなぁ、スパゲッティもいいんだよな〜」
    「……両方食うとか言わねぇよな?」
    「いいの?」
    「ダメっ……とは、言えん。好きなもん食えって言った手前……」
    「くひひ、言質は取らしてもろとりますんでね。ほれ」

    『好きなもん食っていいからな』

    「なに録音してんの!? バカなの!?」
    「にぃにうるさい。お店で騒がしくしちゃダメじゃん」
    「くっそなんだこいつ腹立つ……」

  • 105二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:54:48

    これひょっとしてパフェクイーンでは?

  • 106◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 23:02:37

    「やっぱりあたしスパゲッティにする! ナポリタンと〜、コーラ!」
    「決まったな。すみませ〜ん」

    「ぁ、は〜い」
    「お、先輩だ」

    「お待たせしました。ご注文をどうぞ」
    「ナポリタンとハンバーグセットと、コーラ二つ」
    「ご注文を繰り返します。ナポリタン、ハンバーグセット、コーラ二つですね」
    「はい」
    「かしこまりました。少々お待ちください」

    「めっちゃ可愛いなあの先輩」
    「写真と印象は変わるよな、ここの制服」
    「コスプレ感強めだけどめっちゃ似合ってるもんね」
    「かもな」
    「バイトしてるんだねぇ。あたしもバイトしよっかな〜」
    「お前が着ても似合わねーよ」
    「なんだとこの野郎!」
    「お前の勝負服、考えとかなきゃな」
    「えっ」
    「いつかは出るんだ。勝負服のデザイン、考えないとな」
    「デビュー戦負けたばっかなんすけど。2戦目すら決まってないんすけど。現実見てもらっていいすか」
    「その話はいい。いまは先のことを考えよう。過去を振り返るのは、来週な」
    「ん……分かった」

  • 107二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:06:26

    お、勝負服デザインの話題出てきたか
    こいつは気になるぞ

  • 108二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:07:48

    勝負服のデザインは読めんな

  • 109◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 23:09:00

    「お待たせしたました。チョコパフェです」
    「ありがとう」

    「ねえにぃににぃに、めっちゃ美味しそうなんだけどあれ」
    「あんま見るなよ。また睨まれるぞ」
    「あたしも食べたい」
    「……マジで?」
    『好きなもん食っていいからな』
    「録音再生すんな! わかったわかった、いいよもう、俺も食うから」
    「やたっ」
    「油断も隙もないなお前……」
    「────こっちに保存して、と」
    「ん? いまなんか言ったか?」
    「え? なんも言ってないよ」
    「そうか?」
    「うん」
    「ならいいけど」
    「うん」

  • 110二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:10:28

    パフェってことはあの子か

  • 111◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 23:21:29

    「お待たせしました。ハンバーグセットとナポリタン、コーラが二つですね」

    「あ、きたきた!」
    「ありがとう」

    「ごゆっくりどうぞ」

    「うわ、このナポリタンすごい! 鉄板だ!」
    「へえ……本格的だな」
    「本格的なのかこれ? まあ分かんないけど、下に卵敷いててすご〜い」
    「じゃあ食うか」
    「うん! いただきま〜す」
    「いただきます」
    「はむ、ちゅる……んむ」
    「どうだ?」
    「めっっちゃうまい!」
    「そりゃよかった。……、ああこの味。すげぇ懐かしいな」
    「美味しい?」
    「ああ、うまいよ。めちゃくちゃうまい」
    「ひとくちほしい」
    「は?」
    「ひとくち、ほしい」
    「……ん、ちょっと取れよ」
    「わ〜い! ……、うまっ! めっちゃうま!」
    「だろ? 俺が一時期ハマったのも分かるだろ」
    「分かる分かる!」
    「あ、おい取りすぎだろ」
    『好きなもん食っていいからな』
    「だから録音再生すんのやめろ!」

  • 112二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:22:21

    天丼でクッソ笑う

  • 113◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 23:25:13

    「まあまあ待て待て。あたしのナポリタンもちょっとやろう」
    「は? いいよ」
    「いいからいいから、めっちゃうまいから。下に卵敷いてあってめっちゃうまいから」
    「……じゃあもらう」
    「はい」
    「は?」
    「ん?」
    「なんだよこれ」
    「ナポリタン1本」
    「お前クズだなマジで」
    「クズって言うなクズって。冗談だから」
    「食ったハンバーグの分よこせよ」
    「はい、あーん」
    「皿に置け」
    「あーん」
    「置け」
    「はい」
    「……、ぁ、うま」
    「でしょ! どーだ思い知ったか」
    「なんでお前が偉そうなんだよ。あいつのお祖父さんだ」
    「お祖父さん?」
    「ここの店長、前担当のお祖父さんなんだよ」
    「へ〜、じゃあ先輩、お祖父ちゃんのお店でバイトしてるんだ」
    「トレセンの生徒だった時からずっとな」
    「……だから通ってたのか? お祖父ちゃんに取り入るために」
    「アホなこと抜かすなアホ」
    「2回も言うなアホって2回も」

  • 114◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 23:33:43

    「担当する前から通ってたんだよ。ここでバイトしてることを知ったのは担当することになった後の話」
    「そんなわけあるかよあんな可愛いウマ娘だぞ普通気づくだろ」
    「そんだけ周りに興味なかったんだろうな。俺も割とびっくりした」
    「じゃあ担当することが決まったあと挨拶したんだ?」
    「そりゃな。挨拶しに行った時にめちゃくちゃ好印象持たれてて焦った。聞いたら、ここの常連ってことを知ってたらしい」
    「へ〜、びっくりの連続だね」
    「ああ。心臓が3回は止まったな」
    「よく生きてたね」
    「前担当を勝たせるって燃えてたからな」
    「心を燃やせ、兄上」
    「燃やしたよ。そりゃもう全力で」
    「そっか」
    「ああ」

  • 115二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:37:05

    妹と再会するまで燃え尽きてたんだろうな…

  • 116二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:38:43

    妹がいないと生きてたかもわかんないしあのライバルが火をつけてくんないと完全に壊れてたかもだし
    本当に危ういところで保ってるよなあこれ

  • 117◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 23:40:26

    「はふ〜、美味しかった。ごちそうさまでした〜」
    「ごちそうさまでした」
    「あ、にぃににぃに、パフェパフェ。あたしあの子と同じチョコのやつ!」
    「へいへい。すみませーん」

    「はいっ」

    「チョコパフェとフルーツパフェ1つずつ」

    「かしこまりました、少々お待ちください」

    「……ふるうつ、ぱふえ?」
    「ああ」
    「待て待て、この1番高いやつか?」
    「そうだよ? それがどうかしたか?」
    「なんであたしより高いの食べてんの?」
    「いいだろ別に。ずっと食ってみたかったんだ」
    「え〜!! じゃあたしもそれがよかった〜!」
    「またひとくち食えばいいだろ」
    「いや交換しろ。交換を要求する」
    「嫌だ」
    『好きなもん食っ』
    「没収」
    「あっ! あたしのスマホ返せよ〜!」
    「くそ……ボイスメモか? 削除してやる」
    「ちょマジでやめろお前!」
    「はい削除。ほれ返す」
    「おま、っ……ほんとお前、お前……っ」
    「おう。いつもの俺のセリフじゃねえか。ゲームのデータを消された俺と同じ気分を味わえ」
    「こ、っ……このクソ兄貴め……っ」

  • 118◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 23:49:30

    「お待たせしました。チョコレートパフェとフルーツパフェです」
    「あ、先輩フルーツパフェこっちでーす」
    「ぁ、おいふざけんな。前担当、俺のだから」

    「ぁ……あ、あはは……ええ、と」

    「妹のわがままは聞いてあげなさい、お兄ちゃんでしょ」
    「お前はおかんか。……いいよもう、チョコパフェこっちにくれるか」

    「あ、はい……ふふ、ごゆっくりどうぞ」

    「やった〜」
    「せめてひとくちよこせ」
    「あーんしたげよっか」
    「いらねぇって。メロンもらい」
    「あ、それあたしの獲物なのに! 返せよ!」
    「代わりにチェリーやるよ。メロンうま」
    「チェリーこっちにもあるわ! あたしのメロンが〜……ううぅ……」
    「2個あるからいいだろ」
    「2個ともあたしのだぞぅ!」
    「妹でしょ。お兄ちゃんのわがままは聞いてあげなさい」
    「無理に決まってんだろ兄貴が聞けよあたしのわがままを」
    「毎日聞いてるだろが。いちごもらい」
    「おい待てそれは許さん!」

  • 119二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:55:22

    >>117

    ねぇこれ保存したボイスメモ聞いてニヤニヤしようとしてた可能性ない?

  • 120◆iNxpvPUoAM23/04/11(火) 23:56:59

    ・・・

    「ごちそうさまでした。うまかったよ」
    「こちらこそ、また来てくれてありがとうございました、トレーナーさん。元気な姿を見られて……嬉しかったです」
    「はは……その節は、悪かったよ」
    「もし良ければ、また来てください。それと、その……あ、あの」
    「ん?」
    「ぁ……ぇ、ええと、れ、連絡……」
    「へ?」
    「連絡……また、しても……いいですか? 何か、困ったことがあったら」
    「ぁ、ああ」
    「ぁご、ごめんなさい……ご迷惑、ですよね。聞かなかったことにしてください、ごめんなさい」
    「ぇ……えと、ぁ〜……」

    「おい兄貴ナンパしてんのか? 前担当先輩をナンパしてんのか?」
    「はぁ!? ちげぇよしてねぇよアホかよ!」
    「アホって言う方がアホなんですぅ〜! 先輩、また食べに来ますね! あと連絡、いつでもしてやってください、こいつ先輩の話する時ちょっと嬉しそうなんで!」
    「ちょ、お前、」

    「ふふ……はい、それじゃあ……また、連絡しちゃいますね。妹ちゃんも、レース頑張ってね」
    「ありがとござまっす!」

    「……、じゃあまた」
    「はい、トレーナーさん。……また」

    「世話の焼ける兄貴だぜ」
    「帰るぞ」
    「ぁ、は〜い」

  • 121二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:58:05

    互いが互いの卑屈や遠慮を粉砕するあたりほんと仲も相性も良いんだよなあ

  • 122◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 00:09:31

    ・・・

    「帰ってきました、我が家〜」
    「ただいま、と……さっさと風呂入って寝ようぜ」
    「あ、洗ってこなきゃ。にぃに洗ってきて」
    「へいへい。ちょっと待ってろ」
    「早くしないと寝ちゃうぞ〜!」
    「着替えて待ってろ」
    「は〜い」

    「……」
    風呂を洗いながら、妹の走りを思い出す。
    スタートも展開も悪くはなかった。きっとあの、ゼッケン3番────中2のときに学内大会で妹を負かしたあのウマ娘。
    あいつがいなければ、勝っていたのは妹だったはずだ。
    だがウマ娘の世界は厳しく険しい。1度のレースで勝てるのは1人だけ。

    確率では負けることの方が圧倒的に大きい。それは俺も分かっている。事実、前担当だって優秀なウマ娘で好成績ではあるが、負けだって何度も経験している。
    だからそれくらいで……それくらいで俺もめげたりはしない。何より悔しいのは走ったウマ娘本人だ、トレーナーが情けない姿を見せるわけにはいかない。

    「……あいつ」
    だがの走りは、デビュー戦のウマ娘の中では一線を画していた。強すぎる、と言ってもいいほどに。
    まるで亡霊のように群れの中から飛び出し、その力強い眼力で威圧する。

    ……今後、シニアクラスのウマ娘とぶつかるレースではあいつが壁となる。クラシックのあいだは路線が違うから、当たることはないだろうが────

    「あのウマ娘は、要注意だな。あいつのレースはチェックしといた方がいいだろ」
    ウマ娘の走りに、最後の力を与えるのはトレーナーの仕事。それは情報であったり、希望であったり、心であったり。俺ができるのは目に見えない力で背を押してやるだけだ。

    ……頑張ろうな、妹。

  • 123◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 00:19:16

    「おい、すぐに沸くから────」
    「すぅ……すぅ……」
    「……マジで寝てやがる」
    風呂掃除を終えて戻ると、妹は俺の布団に顔を埋めて眠っていた。普段使っているベッドではなく、俺の布団に。

    「はぁ……」
    妹は昔から、自分の中で処理しきれないことや心に限界がくると、俺に甘えるようになった。特に小さな頃はそれがひどく、一瞬姿を消すと大泣きしたくらいだった。

    俺が一人暮らしをするために実家を離れる頃にはそれも落ち着いていたが……今日の敗北は、妹にとって相当こたえていたのだろう。

    「……」
    静かに隣に腰を下ろし、寝顔を見ると────目元が少し赤くなり、涙が伝っていた。

    「……よく頑張ったな」
    すぅすぅと規則正しく眠る妹の前髪を少しだけ触って、

    「寝るなっつのアホ」
    「うぶぇあっ!?」
    「なんでこっちで寝てんだ。風呂入ってから寝ろアホ」
    「な、なに、なになに、ぇ、おでこいった……え、なに……」
    「もうすぐ風呂沸くから寝るならその後にしろ」
    「……ぁはい」
    「先入って寝ろ。明日からしばらくはトレーニング休みだぞ。ゆっくりするのはもうちょい待て」
    「あたし、寝てましたか」
    「寝てたな」
    「……寝てた、だけ?」
    「なんでお前が聞くんだ。寝てただけだろ」
    「……ん、そか。じゃあ、寝てた」
    「俺の布団で?」
    「へへ……さーせん」

  • 124◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 00:23:23

    『お風呂が沸きました』

    「沸いたぞ、入れよ」
    「あの、あのぉ」
    「なんだよ」
    「ちょっと……お願い事がありまして」
    「お願い? 今から?」
    「はい」
    「……、何、企んでる」
    「い、いえ! そんな、あの! ……たいしたことでは、ね」
    「……? なんだよ、言ってみろ」
    「言っても……いいっすか」
    「は〜? お願いがあるって言ったのお前だろ」
    「言っちゃっても……構わないっすか」
    「いいよ言ってみろ。2割の確率で聞いてやる」
    「ぁ、じゃあやめておきます。お風呂入ってきます」
    「んだよいいよ言えよ」
    「絶対聞いてもらえないのでやめておきます」
    「わかったよ聞いてやるよ、言えよ」
    「……いいの?」
    「いいよ」
    「お風呂一緒に入ってください」
    「無理」
    「はい。行ってきます」

  • 125二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:24:23

    うんやっぱこの妹伸びるわ
    処理しきれなくて甘えることはあっても決してごまかさず真摯に受け止めてる証拠だもんね

  • 126◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 00:39:13

    「お風呂上がったよー」
    「……」
    「お兄ちゃん?」
    「……」
    「にいやん」
    「……」
    「にぃに」
    「……」
    「トレーナーさん」
    「っ、」
    「おい何ビクってしてんだ」
    「ぉ、おま……脅かすなよ! 変な声出してんじゃねぇよ! あいつかと思ったわ!」
    「へえ……ふうん、そう」
    「……やめろその目」
    「いえいえ、スマホ見て固まってたんで? もしや、噂の彼女サマからのLANEだったのではと? 思っただけで? ございまして?」
    「……、いや、」
    「どうやら図星だったようでございますなお兄さま? ん? ん?」
    「……殴りてぇこいつ」
    「いいのか〜? 可愛い担当ウマ娘を殴れるのか〜? おぉ〜?」
    「おま、お前ほんと、ほんと……!」
    「んだよ見せてみろよ〜!」
    「ぁ、ちょっ返せよ!」
    「あたしのボイスメモ消した恨みだわ! トーク履歴全部見てやるわフハハ……は、……は?」
    「…………、おい」

  • 127◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 00:39:39

    「えーっと、なになに?」
    「やめろ返せ今すぐおい」

    「こんばんは、トレーナーさん。早速連絡してしまってすみません。久しぶりに元気そうなお顔が見られて、とても安心しました。妹さんのおかげでしょうか? 本当に、本当に良かったです」

    「音読すんなやめろお前」

    「それでも、まだ学食やコンビニのお弁当を食べていると聞いて、考えたのですが」

    「おい聞いてんのかやめろ返せおい……すごい力だ!?」

    「図々しいかもしれませんが、私に晩ご飯を作らせてもらえませんか? トレーナーさんの食生活が心配です」

    「……」

    「私に晩ご飯を作らせてもらえませんか?」
    「復唱すんな!」
    「……通い妻か?」
    「ぶっ飛ばすぞお前」
    「あの、マジトーンでそういうこと言うのやめてもらっていいですか。あたしビビりますからね。結構ビビリですからねあたし」

  • 128二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:40:46

    やはりこうなったか…

  • 129二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:40:54

    声真似上手いな!
    そしてやっぱ作りにくるんじゃねーか!!(満面の笑み)

  • 130◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 00:49:16

    「なんて返すの?」
    「……なんて返そう」
    「いやあたしに聞くなよお前に来たLANEだろ」
    「……、」
    「うわニヤついてるキモい……元担当から連絡きてニヤついてる……」
    「ニヤついてねぇよ!」
    「うん、そうだね。すっごい苦い顔してる」
    「……して、ねぇよ」
    「してる。すごく、嫌そう」
    「……」
    「……なんかあったの? 前担当先輩と」
    「いや、それは……」
    「じゃあ来てほしくない理由があるとか?」
    「……」
    「にぃに?」
    「そうだよ、お前がいるからだよ」
    「……えっ」
    「呼びたくない理由は、お前だよ」
    「……なにそれ」

  • 131二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:52:22

    ニヤニヤしてたらなんかヤバそうでダートできる
    ほんと何があったのか

  • 132二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:57:08

    おっと、これは予想外

  • 133◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 00:57:55

    「な、なんだよ……あたしが、そんな邪魔かよぉ……泣くぞ! 泣いちゃうぞ! もう半泣きだぞ!」
    「考えてもみろ、妹よ」
    「なんだよ肩掴むなよセクハラで訴えるぞ!」
    「お前がここにいると、あいつは知らない」
    「……は?」
    「お前がここに住んでることを前担当は知らないんだ」
    「はあ。それが?」
    「まずいだろ」
    「何が?」
    「兄妹とは言え、歳の離れた女の子と一緒に住んでるんだぞ。側から見たらヤバいやつだぞ」
    「実感あったのかよ。引くわ」
    「その状況に追い込んだのお前だろが。ここにあいつ呼べるわけないだろ」
    「んだよ! そんなことであんな顔したのかよ、泣いて損したわ!」
    「お前がいなきゃ呼んで飯作ってもらってたわ!」
    「やっぱクソ兄貴だこいつ! 腹立つ〜……くっそ返信してやる」
    「ちょ、おい待て!」

    「妹も喜ぶよ。申し訳ないけど、頼んでもいいか? ────送信!」

    「ちょ、おぉぉい!!」
    「はい返す」
    「てめっ……ま、マジで送りやがった……!!」
    「前担当先輩のご飯〜♪」
    「末代まで呪ってやる……」
    「自分の子孫呪うとかやべぇな」
    「自分の子孫って何が?」
    「あ、いやなんでもないです、はい」

  • 134二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 01:00:35

    兄妹同居が当たり前だと感覚麻痺してたわ
    そして妹ちゃん、なんかとんでもないこと言ってません?

  • 135二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 01:00:37

    別に直接じゃなくても遠い親戚として呪いが飛ぶのは変わらんの草

  • 136◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 01:06:47

    「……」
    「……」
    「あ、スマホ鳴ってるよ」
    「……」
    「見ないの?」
    「見ない。お前もう寝ろ」
    「返事してあげなよ。前担当先輩のLANE」
    「うるさい。寝ろ」
    「お風呂入りなよにぃに。あたし返事しといてあげる」
    「それが嫌だから寝ろって言ってんだ」
    「いいじゃんか〜減るもんじゃないし〜」
    「俺の寿命が減るわ」
    「……いんじゃね?」
    「頼むからもう寝てくださいお願いします」
    「ガチ土下座すんなよ……さすが引くわ……」
    「もう頼むから寝てくれよお前ほんともう! いらんことしないでくれ!」
    「いらんことじゃないでしょーが! 迷える子羊(兄)を導いてあげてる優しい天使さまでしょうが!」
    「優しくねぇよ悪魔だよ!」
    「ラブリーな小悪魔⭐︎」
    「きっしょ」
    「は? 今なんつった? は?」

  • 137二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 01:08:05

    実際妹と再会しない方が減った分引いても寿命少なそうな感じするからいんじゃねがわかるのスゲー困る

  • 138二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 01:12:50

    妹と再会していなかったIFは考えたくもないな…

  • 139◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 01:16:11

    「いいからいいから、ほら返事しなって」
    「嫌だ」
    「はじゅかちいのかな〜? 大天使妹様がお助けしてあげまちょうか〜?」
    「キングボンビーの間違いだろ」
    「お前ぶっ飛ばすぞ」
    「お前さぁ! いっつも俺の後ろ引っ付いてきてさぁ! いっつも俺に危害加えてくよな!」
    「違いますぅ〜! お兄ちゃんが妹離れできてないんですぅ〜! 悔しかったら前担当先輩口説き落とせバーカ!」
    「違うっつの何回も言わすなアホ!」
    「ていうか前にも作ってもらってたんでしょ? ならいいじゃん」
    「だからあれはお前がいなかった時なんだっつうの!」
    「トレーナーが担当ウマ娘にご飯作ってもらう方がやばいだろ」
    「……」
    「そうじゃね?」
    「……確かに」
    「ほらぁ」
    「くっそ……言い負かされた……」
    「はい残念でした〜! スマホ没収〜!」
    「あ、おい」

  • 140二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 01:17:05

    N.Nのトレーナーさんがむせてる

  • 141◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 01:36:05

    「ずっと震えてるな……めっちゃ送ってくるじゃん前担当先輩」
    「おい!」
    「……あれ?」
    「あ?」
    「電話じゃん」
    「え?」
    「電話」
    「ちょ、貸して!」

    「も、もしもしっ!?」
    『あ……もしもし。夜分遅くにすみません、トレーナーさん』
    「ぁ……ああ、大丈夫だよ」
    『メッセージの件なんですが……急にごめんなさい』
    「いいよ、別に……うん」
    『その、コンビニのお弁当や学食ばかりで、栄養バランスが心配で……』
    「わ、わかってる……わかってます、はい。前も、そうだったもんな」
    『ふふ、はい、そうです。とっても心配しました』
    「……うん、ほんとお世話になりました」
    『それで、……妹さん、というのは?』
    「あー……ええ、とだな」

    「前担当先輩〜! あたし実はお兄ちゃんと住んでるんです〜」
    「おま、っ……!」

    『ぁ、なるほど、そういう……え? 一緒に……?』
    「えっ、と……だな、あの……これには深い事情があってだな、そもそも妹がトレセンに入学することを知らなくて、それでこいつが寮の申請もしてないってうちに転がり込んできて、それで、えっと」
    『それで、一緒に住んでる……んですか?』
    「……はい。トレーナーもすることになりまして、それで……まあ、その、一緒に住んでる方が管理はしやすいかと……」

  • 142◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 01:36:26

    『……なるほど、そういうことだったんですね』
    「はい……驚かせてしまったようで」
    『い、いえ! その……驚いたというわけでは……!』
    「え、じゃあこの電話は……」
    『ぁ……え、ええと……ご、ごめんなさい』
    「……ぷっ」
    『えっ……と、トレーナーさん……?』
    「いや……その謝る癖、治ってないなって……ちょっとおかしくて」
    『も、もう……! トレーナーさんったら、ふふ』
    「だから……まあ、もし……それでもよかったら、頼んでもいいか? 妹も前担当のこと、気に入ってるみたいだし」
    『はい、もちろん大丈夫ですっ。私も、もしかしたらレースのことで教えてあげられることも、あるかもしれませんから』
    「……そう、だな。もしあいつが頼ってきたら、教えてやってほしい」
    『はい。……それでは、また、トレーナーさん。おやすみなさい』
    「ああ、おやすみ」

    「……ふう」
    「なにが、……ふう、だよ。やり切った顔してんじゃねぇよ」
    「あ、お前いたの」
    「いたわ! ずっといたわ! そばでずっと聞いてたわ!」
    「お兄ちゃん、もう寝ろって何回も言ったでしょうが」
    「うっぜー……なんだこの兄貴めっちゃうぜー……ちょっと気持ちわかったわ腹立つくっそ〜……」
    「……とりあえず」
    「うん」
    「飯、作ってもらうことになった」
    「やったぜ!」
    「じゃあ風呂入るから」
    「履歴見といていい?」
    「黙れ寝ろ」
    「はい」

  • 143◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 01:49:26

    「ふー……」
    「あ、お兄ちゃんおかえり〜」
    「ん? まだ寝てなかったのか」
    「いやあ……」
    「……? ウマチューブ見てたのか?」
    「うん……笑えるやつ、探してた」
    「そ、か」
    「お兄ちゃんもう寝る?」
    「起きてる。お前は寝ていいぞ、電気は消すから」
    「……」
    「どうしたんだよ」
    「……寝たくない」
    「なんで?」
    「ぇ、と……ほ、ほら! 明日は日曜日じゃん!」
    「学校休みだな」
    「だからだよっ」
    「……こっちこい」
    「え」
    「いいからこい」
    「……はい」
    「……」
    「わ、ちょっ……な、なんだよぅ、頭ぐしゃぐしゃじゃんかぁ……」
    「起きててもいいけど、あんま相手してやれないぞ。今日のデータ、忘れないうちに分析するから」
    「うん……隣で、見てていい?」
    「邪魔しないならな」
    「……! しない、絶対!」
    「よし、棚にポテトチップス入ってるから皿持ってこい」
    「わかった!」

  • 144二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 01:59:18

    にいに、だいぶ肩の力が抜けてきたかな?

  • 145◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 02:08:53

    「……今日のレースの映像、もう出てるんだ」
    「結果が確定したら割とすぐに出るよ。URAが出した公式の映像な」
    「ふーん……」
    「……やっぱこいつ、やべぇな」
    「うん……めっちゃ怖いの、このヒト」
    「中学の時から目付けられてたのか?」
    「してないと思ってた。……けど、昨日、実は地下バ道で会った時にさ」
    「うん」
    「……中2の時のこと、覚えてたみたいで……めっちゃ絡まれた」
    「じゃあ付けられてたんだな」
    「わかんない……話しかけられたのも、今回が初めて」
    「じゃあ出走リストの名前見て気づいたんだろうな。お前が、その中2の時のやつだって」
    「そうなのかな。でもあの時、あたしあの子と全然いい勝負もできなかったよ?」
    「でも、お前も昔のレースで一緒に走って、印象に残ったやつはいるだろ?」
    「まあ……うん」
    「それと同じじゃないか?」
    「それにしては……なんかこう、目の敵にされすぎてるような」
    「俺まで凄まれたしなぁ。めっちゃ怖かった」
    「でしょ。あの視線に睨まれたらマジで怖くてレース中ちびりそうになった」
    「やめろそれ……」
    「……中2の時も、あの視線が怖くて……全然力出せなかった」
    「それで負けた?」
    「そう……なんて、言えない。そうじゃなくても負けてたかもしれないから。……でも、すごく怖かったのは覚えてる」
    「そか」
    「……お兄ちゃん」
    「ん?」

  • 146◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 02:10:35

    「ガチなお願いしていいすか」
    「邪魔すんなって言ったよな」
    「お願いします、お願いします! ちょっとだけでいいんです、先っちょだけ、先っちょだけなんで!」
    「……。なんだよ」
    「いい、……すか?」
    「言ってみろ。2割の確率で聞いてやる」
    「またそれかぁ……」
    「いいから言えよ、ほら」
    「……うん。あのね、にぃに」
    「うん」
    「ちょっと、ちょっとだけ、ちょっとだけ、ね」
    「うん」
    「ぎゅってしてもらえませんかね……」
    「……」
    「こう、ハグしてもらえると、助かります! 熱い感じじゃなくていいんで、こう、軽く……子供あやすみたいな感じでいいんで! あとそれで頭ポンポンとしてもらえると、はい!」
    「……」
    「やっぱダメっすよねすみません静かにしてます」
    「……」
    「ため息やめろよぉ! 思い出したら怖くなってきただけじゃんかぁ! いいよもう、その代わり腕だけ貸し────ぅぷっ」
    「……こうでいいのか?」
    「ぉ、ふ」
    「いいのか?」
    「……ぁ、は……はぃ」
    「よく頑張ったな。怖かったよな」
    「ぅん」
    「初めてのレースだし、なおさら怖かったよな」
    「……ぅ、ん」
    「落ち着くまでこうしててやるから、落ち着いたら言えよ」
    「へへっ……うん」

  • 147二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 02:11:50

    その時点からなんか素質ヤバそうに見えてたのに走りがモブだったとかかね
    この子にぃにと一緒でないとそれをフルに出せないタイプだろうし…

  • 148◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 02:30:09

    「……なあ」
    「はい」
    「いつまでやらせんの?」
    「えーっと……あと3時間はこうしていたいですね、はい」
    「は?」
    「あと3時間はこうしていたいですね、はい!」
    「ふざけんな。離れろ」
    「やだ!」
    「離れろ!」
    「だってにぃにがハグしてくれることなんかないじゃん!」
    「当たり前だろ! なんで妹とハグしなきゃいけねぇんだよ!」
    「いいだろ減るもんじゃないんだから! 3時間くらい許せよ!」
    「分析するっつってんだろが!」
    「しばらく休みなんだろ! そのあいだにやれよ!」
    「うるせぇな俺の仕事なんだよ!」
    「担当のケアも仕事だろぉ!?」
    「ぐっ……」
    「だからケアしろ。3時間ずっとケアしろ。なんなら添い寝しろ、昼まで」
    「しない、絶対に」
    「だからハグで我慢してやってんだろが!」
    「うるせぇな大声出すなよ夜中だぞ!」
    「にぃやんもうるせぇよ声小さくしろよ!」
    「……お前に釣られてデカくなるんだよ!」
    「……文句言うからだろ」
    「……そりゃ言うだろお前」
    「……わかった、3時間とは言わない。でもあともう少しだけこうさせてよ」

  • 149◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 02:30:20

    「……お前さあ」
    「はい」
    「……軽くっつったよな」
    「はい」
    「なんで本気で抱きしめ返すの? もう軽くないよなこれ、めちゃくちゃ熱いハグだよな」
    「アメリカじゃこれくらい普通だぜ」
    「ここは日本だ」
    「ワールドワイドに生きようぜ兄上。なんならキスしても今なら怒りません」
    「意味わかんねぇ」
    「前担当先輩にする前の練習と思ってサ」
    「アホか。もう離すぞ」
    「ぇちょ待っうわ本当に離したよこいつあともう少しって言ったそばから離したよ」
    「もう満足したろ」
    「え、全然ですが」
    「俺はした。もう100年は要らん」
    「あたしはしてないんですが」
    「さーて分析に戻るかー」
    「くっそこいつ……」
    「……、」
    「うわほんとにPCに向いちゃったよこっち見てもくれないよ」
    「……」
    「……にぃに」
    「ん」
    「……ありがと」
    「ん」
    「あたし、もう寝るね。また明日ね、おやすみ」
    「ああ、おやすみ。お疲れ」
    「お疲れ〜」

  • 150二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 06:57:23

    前担当ちゃんが来るならベッド増やさないとね

  • 151二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 08:06:40

    >>140

    ネイトレが流れ弾受けてて芝。しかもこいつ「君が好きだからだよ」とかも言うからな。

  • 152二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 10:22:33

    妹はやりすぎたと分かったら自分で離れるし自分で反省する子
    それはそれとして同じことまたやる

  • 153二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:18:46

    >>140

    ところでネイチャがトレーナーに手料理振る舞っているのが公式の描写だったか、ファンによる集団幻覚だったか思い出せない俺がいる。

  • 154二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:26:14

    これから兄妹の胃が堕とされていくのか
    カフェテリアでは満足できない体に…

  • 155二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:52:45

    前担当ちゃんとの関係を戻せたのはデカいな
    妹ちゃんが色々聞けるだろうし

  • 156二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:17:29

    >>154

    安心しろ、前担当とカフェテリアの味は同じだ。(たぶん)

  • 157二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:10:15

    たまらねぇな…早くつづきみてぇー!

  • 158二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:13:34

    関係無いんだけど何故かこのスレ見てたら9-nine-やりたくなったから買ってきた

  • 159◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 21:29:36

    翌日────
    「そこのゴミ縛っといてくれ。もう入らないだろ」
    「はいはい〜。あ、そういえば……この悲しくも生まれてしまったゴミ袋たちの山をどうしましょう」
    「外の回収箱に出しとけ」
    「え〜? 怒られないかな」
    「大丈夫だろ。明日回収だし」
    「おっけおっけ〜。……ってかさ」
    「ん?」
    「なんであたしたち家の片付けしてるわけ? まだ昨日の疲れ取れてないんですが、まだ膝ちょっと震えてるんですが」
    「前担当が来るからだろ」
    「くっそー……まさか昨日の今日とは、このあたしの目をもってしても読めなかった……! これがお兄ちゃんのやり方か……」
    「いやそれ、俺もだからな? 俺も驚いてるからな?」

    『早速なんですが、今日から作りに行ってもいいですか? 日曜日ですし、バイトもないので』

    「……な〜んてメッセージが来るなんてねぇ。愛されてますなぁ、トレーナーさん? うりうり」
    「やめろ、小突くな、あと変なこと言うなぶっ飛ばすぞ」
    「絶対あたしも食ってやるからな先輩のご飯!」
    「誰も追い出したりしねぇよ」
    「ほんとか!? 千円札握らせて外で食ってこいなんて言うなよ!?」
    「言わねぇよアホか」
    「いや、やるね。お兄ちゃんならやるね。前先輩と2人きりになるためなら絶対やるね」
    「ぶっ飛ばすぞ」
    「真顔で言うなよぉ! 怖いだろ、めっちゃ怖いだろ!」
    「いいから手動かせよ。あんま時間ないぞ」
    「くっそ……にいやんがもっと早く気づけばさぁ!」
    「仕方ないだろ寝てたんだから!」
    「いつまで寝てんだよっ! ってか、いつまで起きてたんだよっ!」
    「……4時?」
    「バカなのかな? このヒトおバカさんなのかな?」

  • 160二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:32:13

    俺この兄妹の隣室だったら夜騒がしくてキレてるかもしれん

  • 161二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:33:54

    そう言われてみるとアパートの住人たちのことが気になってしまうな
    思わぬご近所さんとかいそうである

  • 162◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 21:42:38

    「なにしてたの、そんな時間まで」
    「ん……動画見てた」
    「エッチな?」
    「しねよおまえ」
    「ひどっ! 直接的な暴言は利用規約に引っかかるんだぞ!」
    「うっせうっせ! お前のデビュー戦見直してただけだわ!」
    「あたしの走りに惚れちゃった?」
    「……」
    「なんだいその目は。ゴミを見る目ですよ?」
    「さーて掃除掃除」
    「んだよぉ、惚れたなら素直に惚れたって言えよぅ、トレーナーだろぉ〜」
    「言ってほしけりゃ次は勝て」
    「勝ったら好きって言ってくれるの?」
    「言わない。でも褒めてやる」
    「昨日褒めてくれたじゃん、負けたのに」
    「アレは……あれだよ、ほら。お前がボロ泣きしてたから」
    「してないわ! むしろにぃやんのほうが泣きかけてだろが!」
    「ソンナコトナイデスヨ」
    「誤魔化し方ヘタかよ」
    「いいから掃除だって。口より手を動かせよお前ほんとさぁ」
    「へいへい〜。あ、あたし自分の部屋片付けないと」
    「手伝わねーぞ」
    「絶対中入っちゃダメだからね。下着とか落ちてるから見たらお兄ちゃん鼻血出して倒れちゃうから」
    「出さねーよお前のお子ちゃまパンツなんかで」
    「は? 今なんつった? は?」
    「お前もう黙れ」
    「はい」

  • 163二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:47:06

    生々しい話以上に黄色い吹き出しが出ているのに笑う

  • 164◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 21:47:13

    「あっ」
    「……いま、鳴りましたね。インターホン」
    「鳴ったな……」
    「ちょ、早く出てよ兄上!」
    「わ、わかってる!」

    「は……はーい」
    『こんにちは、トレーナーさん。前担当です』
    「ぉ、おう。いま開けるから」
    『お願いします』

    「ゴミ袋出した。片付けよし。掃除機もよし。ベッドも綺麗! よし、大丈夫!」
    「……なんだこの謎の緊張感」
    「わかる……初めてだよね、あたしたち以外のヒト入れるの」
    「前担当は入ったことあるけどな。お前がくるずっと前にだけど」
    「あたしの家にくる初めてのお客さんだもんね。恥ずかしいことはできないっ」
    「俺たちの家な」
    「ぁ……、はい」

  • 165◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 22:01:33

    「お邪魔します」
    「前担当先輩いらっしゃ〜い」
    「妹ちゃん、こんにちは」
    「こんにちはで〜す」

    「よ、よぅ」
    「トレーナーさんのおうち、なんだか久しぶりですね。通い慣れてたはずなのに、なんだかソワソワしちゃって……ちょっと早く来ちゃいました。ごめんなさい」
    「一年以上来てなかったもんな」
    「私のラストランが終わってからですから、そうですね。あれから一度も来てませんでしたもんね」
    「……そうだな。ほら、上がれよ」
    「はい。ありがとうございま〜す」

    「そういえば前担当先輩、どうしてこんな早くに?」
    「あ、うん。作る前にキッチンを見せてもらおうと思って」
    「何もないキッチンですが……」
    「ふふ、知ってるよ。だから、見に来たの」
    「……?」

    「どんな材料置いてるかの確認だろ」
    「そういうことです。トレーナーさんは2回目なので、分かってますよね」
    「まあ、な。それを言うなら前担当だって」
    「それでもですよ。やっぱり1年もあいちゃうと、ね」
    「妹が住むようになって少しはマシになったと思うけど……まあ、あんまり変わらないと思う」
    「ふふ、冷蔵庫、確認させてもらいますね」
    「ああ、どうぞ」
    「失礼しま〜す」

  • 166◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 22:20:00

    「なんだかあれですな、兄上や」
    「……んだよ」
    「遠距離恋愛してる恋人みたいな反応ですな」
    「しばくぞお前」
    「実際そうじゃないですかね。卒業して毎日会えなくなって、向こうも忙しいしこっちも忙しいし、ようやく時間があって久しぶりに会いに来た……みたいな」
    「リアルなのやめろよ」
    「でもそうじゃない?」
    「いや、だから俺たちはさぁ」
    「ビジネスライク、と」
    「はい」
    「いい加減その言い訳きかんからな?」
    「……」
    「通い慣れるレベルで通ってた担当ウマ娘。そして手料理作らせてそれ食べて……って、もう完全にあれじゃん。恋人じゃん」
    「……」
    「手、出したんすか」
    「出してねぇよぶっ飛ばすぞ」
    「ふーん」
    「その信じてない目やめろ」
    「信用なりませんからねぇ、にいやんは」
    「こいつ、ほんとに……っ」

    「あのぉ……お取り込み中?」

    「あ、先輩おかえり〜」

    「随分とかかったな。足りないもの多かった?」
    「ううん、そういうわけじゃなくて……なんだか、懐かしいなぁって……思っちゃって」
    「ああ……」
    「材料と調味料だけ買ってくれば、大丈夫だと思います」
    「じゃあ3人分だな。金用意するから待っててくれ」

  • 167◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 22:20:20

    「え、え、あのっ……」
    「ん?」
    「あの……私、2人分だけ作るつもりだったんですけど……」
    「またあのやりとりするか? 払う払わないの押し問答」
    「そ、そういうわけでは、ないですけど……」
    「もしかして晩ご飯、家にあるのか?」
    「ぁ、いえ……今から言えば、大丈夫ですけど」
    「じゃあ決まり。妹、金」

    「あたしが出すのかよっ!?」
    「違う。渡すから買い出し行ってきてくれってこと、2人で」
    「え、あたしたちで?」
    「俺は仕事がある」
    「え〜? 休みの日くらい仕事するのやめなよぉ……」
    「あとちょっとで終わるから」
    「へ〜いへい。ワーカーホリックですわ、うちの兄貴は」

    「トレーナーさん、変わりませんね」
    「え、そうなの? お兄ちゃん、前担当先輩の時もそんな感じだったの?」
    「うん、ずっとお仕事してましたよね。私が休んでください、って言っても……やめてくれなくて」
    「担当に心配かけんなよ……」

    「これくらい誰でもやってるさ。前担当、頼んでいいか?」
    「はい、わかりました。それじゃあ……お言葉に、甘えちゃいますね」
    「ああ、よろしく」

    「じゃあお買い物行ってくるね〜」
    「行ってきます、トレーナーさん」
    「いってらっしゃい」

  • 168二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 22:22:26

    毎週トレーナーの家に料理作りに行くって、本家ウマ娘でもなかなかのレベルだな

  • 169◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 22:31:41

    1時間後────

    「ただ〜いま〜」
    「ただいま〜」

    「おぅ、おかえり」
    「うわぁにいやんほんとに仕事してた」
    「仕事だっつっただろ」
    「……すんすん」
    「なに、なんなの」
    「致したわけではない────いったい!!」
    「しばくぞ」
    「いいったぁ〜! しばいた後に言う言葉ではないっ!!」

    「ふふ〜、それじゃあ作っちゃいますね」
    「お願いしまっす!」

    「メニューは何なんだ?」
    「ハンバーグです。トレーナーさん、気に入ってくれていたし、妹ちゃんも食べたいって言ってくれたので」
    「……うん、そうだったな」

  • 170◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 22:32:26

    「にぃやん昨日もハンバーグだったけどね」
    「お前さぁ! お前は……なんでそう余計なこと言うんだよ!」
    「だってあたしナポリタンだったもん! 前担当先輩のハンバーグ食べたいじゃん!」

    「あ、っ……ご、ごめんなさい! 今から違うものに……」
    「いいっていいって! 俺、前担当のハンバーグめちゃくちゃ好きだから!」
    「で……でも、2日連続は……」
    「毎日だって食える」
    「でも、栄養バランス……」
    「久しぶりに前担当のハンバーグ食べたい。それじゃダメか?」
    「ぅ〜……はい、わかりました。お爺様ほどじゃないですが……ご容赦くださいね」
    「そんなことないよ。俺が保証する」
    「ふふ、嬉しいです。それじゃあ頑張っちゃいますね。ゆっくりしていてください」
    「ああ、よろしく」

  • 171二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 22:47:55

    本人が認めてないだけでこれもう恋人じゃないか!

  • 172二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 22:51:39

    ビジネスライクな関係とは何だったのか

  • 173◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 22:54:23

    「ごちそうさまでした〜」
    「ごちそうさまでした」

    「ふふ、お粗末さまでした」

    「超満足〜……なんか眠たくなってきちゃった」
    「赤ちゃんかよ」
    「しょーがないでしょ、お兄ちゃんの寝相が悪くてあんまり眠れなかったんですから」
    「ヒトのベッド占領して寝てるくせになに言ってんだお前」
    「兄貴のものはあたしのものでぃ!」
    「お前ほんとさぁ……」

    「……ふふっ」

    「……前担当?」
    「あ、いえ……ごめんなさい、なんだか嬉しくて、微笑ましくて、つい」
    「嬉しい? そんないいもんじゃないだろ」
    「ううん、すっごく……すっごく、嬉しいです。トレーナーさんが、また笑ってくれるようになりましたから」
    「……いや、それは」

    「ぇっ……にぃやんなんかあったの?」
    「え、と……トレーナーさん、もしかして」

    「まあ、そう言うこと」

    「そう、だったんですか。私、余計なことを……ごめんなさい」
    「ちょちょ、どういうことっすか? 先輩、もしかしてこのクソ兄貴が手出したりしたんですか」
    「ち、違うよ! ぇ、と……そ、そんなこと、されてないよ? これは、そうじゃなくて……えっと……」

  • 174◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 22:55:18

    「俺の目つきが悪いって話」
    「あぁ……」
    「納得すんなお前」
    「いやだって、にいやんめっちゃ目つき悪いもん、納得するよ。友達にも言われたよ、妹ちゃんのお兄さんって……ちょっと怖いね、って」
    「嘘だろお前……」
    「ごめん、こればっかりはマジ」
    「……そっすか、そっすか」
    「うわぁ、ガチへこみだよ、大人のガチへこみ初めて見たよ……」

    「わ、私はそんなこと、思っていませんから……!」
    「……ありがとう前担当。嬉しいのか悲しいのか分からなくなってるよ、俺は」
    「ほんと、ほんとですからね……?」
    「ウス……」

  • 175◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 23:12:03

    「さてさて、あとは若いものに任せてあたしはお風呂にでも入ってきましょっかね〜」
    「何様だお前」
    「妹様だ! 敬え!」
    「はよ行けもう」
    「へいへ〜い。ぁ、先輩、帰っちゃ嫌ですからね! まだお喋りしたいんで!」

    「うん、待ってるね」
    「やりっ! すぐ出てきまっす!」

    「……ごめんな、また料理してもらうことになって」
    「いえ、そんな……私の方こそ、図々しい真似を……ごめんなさい」
    「そんなことないよ。何度も言ってるけど、また前担当のハンバーグが食えてよかった。ありがとう」
    「また、作りに来てもいいですか? ようやくお話できたのに……これっきりにしたく、ありません」
    「……」
    「ダメ、ですか?」
    「でも、前担当の家族は俺のこと、許さないだろ」
    「そんなことありませんっ! 私の家族は、誰も、私だって、トレーナーさんを責めてなんかいません!」
    「前担当、でもな、俺は……」

  • 176◆iNxpvPUoAM23/04/12(水) 23:12:34

    「……私、もうすぐレースに出られるんです」
    「えっ……」
    「リーグに所属して、少しずつ練習して、ようやくデビュー戦なんです。トゥインクルシリーズみたいに話題性はないですけど……走れるんですよ、私」
    「もう、大丈夫なのか……?」
    「はい。だから……見に来てもらえませんか、デビュー戦」
    「……前担当」
    「トレーナーさんに、見てほしいんです」
    「でも俺は、もう前担当のトレーナーじゃ」
    「担当トレーナーでは、ないかもしれません。でも、私は……あなたが居てくれたから、走れました。あなたにたくさんのものをもらって、まだ、返せていないんです」
    「……」
    「お願いします」
    「……、前担当にわがままを言われるのは、2回目だな」
    「ごめんなさい……」
    「分かった。ご家族にも挨拶しなくちゃいけないしな……行かせてもらうよ」
    「ほ、ほんとですか!?」
    「ほんとほんと。こんな嘘、つくわけないだろ」
    「よかったぁ……」
    「妹も連れていくよ。前担当の走り、生で見せてやりたい」
    「もちろん、連れてきてくださいね。私も……今度は見に行きますから、妹ちゃんのレース」
    「頑張れよ、前担当」
    「ありがとうございます、トレーナーさんっ」

  • 177二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:13:13

    これは怪我かな…

  • 178二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:23:30

    このレスは削除されています

  • 179二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:25:46

    あー、確かにブランクを窺わせる言い回しは怪我ありそうだな
    前担当先輩にレースを見てもらうとなるとゆくゆくは領域の師匠になったりして

  • 180二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:27:36

    愛し合っていながら責任感じて別れたカップルにしか見えないんだがビジネスライクって言ってたしきっと考えすぎだなうん

  • 181二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:31:36

    このレスは削除されています

  • 182二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:40:30

    [悲報]まさかのビジネスライクではなかった

  • 183二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:42:13

    まああの子がモデルならそうなるわな…

  • 184二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:46:32

    このレスは削除されています

  • 185二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:46:52

    このレスは削除されています

  • 186二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:56:41

    すげえネイトレに流れ弾が飛ぶのがわかる会話

  • 187◆iNxpvPUoAM23/04/13(木) 00:08:05

    ・・・
    「遅くまでお邪魔してしまって、ごめんなさい」
    「いいんすよ〜! あたしも先輩とたくさんお話しできて楽しかったんで!」
    「ありがとう、妹ちゃん。絶対見にきてね、私のデビュー戦」
    「もちろん行きますよ! お兄ちゃんの彼女の晴れ舞台、妹としてしっかり見っっっってぇぇええ!!? つねった!? いま二の腕めっちゃつねったな!?」
    「アホなこと言うなお前マジで」
    「フジュンイセーコーユーとかお母さん許しませんからねっ!」
    「ぇ、ぇえ、えっ、かの……ぇ……と」
    「前担当も落ち着いてくれ、こいつすぐヒトをいじりやがるんだ。間に受けるなよ」
    「……、ぁ……はぃ」
    「送るよ」
    「ぁ……だ、大丈夫です。自転車で来てますから」

    「自転車? 先輩ウマ娘ですよね? 走った方が速くないです?」
    「おい、いいだろそれくらい。お前だって自転車乗ってたろ、小さい時」
    「そりゃあそうだけどさ」

    「ふふ、自転車も悪くないよ。風が気持ちいいし、のんびり漕いでいくのも楽しいの」

    「それじゃあここで。今日は押しかけてすみませんでした」
    「もういいって。こちらこそうまい飯、ありがとうございました」

    「ありがっとございました〜」

    「ふふ……それじゃあ、また。おやすみなさい」

    「おやすみなさ〜い」
    「おやすみ」

  • 188二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:16:00

    確かにウマ娘の脚力で自転車乗ると、一部モデル以外はいたわってこがないと壊しそうだしね……

  • 189二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:17:16

    あっという間に2スレ目もあと少しか
    物語はまだまだ続きそうだね

  • 190二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:23:12

    >>186

    もうネイトレ出番もセリフもないし担当すら出てないけど実質準レギュラーだろこれ

  • 191◆iNxpvPUoAM23/04/13(木) 00:24:37

    「いや〜……うまかったですなぁ、先輩のご飯」
    「ああ、マジで久しぶりだった」
    「デレデレしやがってこの浮気者」
    「は?」
    「あたしのいうものがありながらっ! お兄ちゃんはあたしのお兄ちゃんなので誰にも渡しませんのことよっ」
    「しばくぞ」
    「やだ〜こわ〜い」
    「……」
    「おいため息やめろよ」
    「ったく、お前さぁ……マジでさあ」
    「なんだよなんだよぅ」
    「前担当にちょっかいかけすぎ。少しは先輩を敬えよ」
    「敬うべきはこの妹様だ。さあ敬え」
    「あのなぁ」
    「にぃやんさ」
    「あん?」
    「あれだよね、あれ。鈍感系主人公」
    「マジでなに言ってんのこいつ」
    「いやいや、あんな可愛いヒトから好意持たれててさ? そこまで鈍感でいられますかね」
    「ぶっ飛ばすぞ。好意じゃなくて敬愛だろ」
    「そうですかねぇ」
    「当たり前だろ。そもそも俺とあいつは担当────」
    「もう担当じゃないでしょうが」
    「えっ」

  • 192◆iNxpvPUoAM23/04/13(木) 00:24:48

    「担当は、そう、このあたしだ! 妹様だ!」
    「確かに……そうだったな」
    「ま、あたしとしては? にぃにが落ち着いてくれることが1番ですから? 前先輩なら安心できるってもんですよー」
    「だから違うって」
    「へいへーい」
    「聞く耳持たねぇなこいつ……」
    「いいからいいから、早くお風呂入っちゃいなよ。冷めちゃいますよ」
    「分かった、分かったから押すなって」
    「いけいけほら!」
    「ああもう、分かったって! 先に寝てていいからな、おやすみ」
    「はいはいおやすみー」

    「……うん。これでいい、これでいい」

  • 193◆iNxpvPUoAM23/04/13(木) 00:26:04

    話の途中ではありますが、
    次スレも立てるつもりですが、スレ画、どういたしましょうか

    本スレは前担当先輩をスレ画にしてほしいと申し出てくださったので使わせていただきましたが…

  • 194二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:31:01

    妹ちゃんを描いてくれた方はいるのかな…?

  • 195二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:33:18

    >>193

    感想スレであの兄妹描いた者です

    あれを使ってもらうことで各々のイメージが固定化されることに迷いがあるので自分からは申し出ないとだけ

    (なのでワンクッションおいてるところもある)

    主さんの判断とか他薦で使われる分には大丈夫ですー

  • 196二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:36:11

    妹ちゃんの恋の行方は如何に…

  • 197◆iNxpvPUoAM23/04/13(木) 00:36:25

    >>195

    承知しました

    妹ちゃんとお兄ちゃんを描いていただけたこと、とても感謝しております、本当にありがとうございます

    お気遣い痛み入ります


    では、とりあえずこのまま今のスレがで3スレ目を建てて参ります



    前担当先輩を描いてくれた方はまだ見てくれているのでしょうか…3スレ目のスレ画にもすることをお許しください

  • 198◆iNxpvPUoAM23/04/13(木) 00:38:45
  • 199二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:41:06

    立て乙ですー

    そして方針了解です
    それはそれとしてこの話題で表紙風イラスト描きたくなってきたから困る

  • 200二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:43:03

    このスレが毎日の楽しみ

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