- 1二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 18:20:34
一年生になったばかりのダンブルドアを「アルバス」と呼び何かと目をつけてくる七年生のレガシー主人公概念
1
レガ主ダンブルドアの先輩概念|あにまん掲示板一年生になったばかりのダンブルドアを「アルバス」と呼び何かと目をつけてくる七年生のレガシー主人公概念https://bbs.animanch.com/board/1608557/https://bbs…bbs.animanch.com2
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- 2二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 18:23:57
自分、前スレ立てた人と同一人物なんだけどちょっと立てるタイミング早かったかな…申し訳
- 3二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 18:26:21
ざーーーーす!(体育会系最敬礼)
- 4二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 18:29:20
たておつ
前スレも神SSいっぱいでおなかいっぱいになりました
前スレのSSでセバスとレガ主が名指しで闇の魔法使い役なの笑っちゃった - 5二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 18:42:22
前スレ「192」の続きである事をご了承下さい
ハッフルパフとグリフィンドールの1年生がいつも以上の高揚と少しの不安を覚えている、広々として天井の高い
「闇の魔術に対する防衛術」の教室で、本日1年生のお相手役として指名されやってきた2人の7年生は
1人はいつもより真剣な表情で、1人は心底ワクワクしている様子で利き手に杖を持って、先生に指名された生徒が
前に進み出て杖を構えるのを見ていた。
「では、準備はできましたか?覚悟は決まりましたね!さあ、始め!」
へキャット先生の合図と同時に何の躊躇いも無く呪詛を放ったダンブルドア少年とは対象的に、もうひとりの
参加者であるハッフルパフの女の子は、おっかなびっくりと言った感じでダンブルドア少年の1歩後ろに居た。
「ステューピファイ!ああまた避けた、インカーセラス!」
ダンブルドア少年は1年生とは思えない杖捌きで次々呪いを放っていく。
「えーーーー………ダンブルドアくんすごい………どうしよどうしよどうしよ………」
ハッフルパフの女の子は、まだいまいち覚悟が決まっていなかったが、それでも必死に何なら有効そうか考えていた。 - 6二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 18:42:45
たておつ!三つ編みアルバスの人です
自分は優しさ多めのレガ主を目指してる - 7二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 18:44:17
たておつ!色んなレガ主を見れてとても楽しい
- 8二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:05:51
ほ
- 9二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:08:40
し
- 10二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:09:49
ゅ
- 11二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:28:53
2人の1年生を相手取って呪詛を躱し続けながら心底楽しそうに笑う、1年生にしか見えない背格好と奇妙な服装の
7年生の女生徒は大量に持っている主席バッジもどきの内1つを杖を構えていない方の手で素早くひとつ取り出し
前方高く投げ上げた。
「エンゴージオ!」
そして空中を舞う「欠席」バッジに呪文を命中させ、押しつぶすほどの大きさに「肥大」させた。
「わぁあああああああ!!!」
いきなり巨大な金属の塊が視界の大半を占有したことで思わず悲鳴を上げたハッフルパフの女の子とは対象的に
ダンブルドア少年は冷静且つ迅速に対処した。
「ウィンガーディアム・レビオーサ!」
巨大な「主席バッジもどき」を静かに操って横にのけたダンブルドア少年だったが、それはつまり隙を晒していた。
「ペトリフィカス・トタルス。」
その迂闊さを指摘するように落ち着いた発音で放たれた「全身金縛り」を血相を変えて盾の呪文でギリギリ防ぐ
ダンブルドア少年の少し後ろで、自分もやれるのだというところを見せたいハッフルパフの女の子は
邪魔にならない位置の床に放置された巨大な「欠席」バッジに杖を向けた。
- 12二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:30:09
「なんで!うまく!いかないの!」
巨大な「欠席」バッジに何度も呪文を放ちながらも望んだ効果を得られていない女の子の様子を察したダンブルドアは
1年生にしか見えない女生徒によって避けやすいように配慮した少し遅めの動きで放たれた「武装解除術」を
そうとは知らずに必死で回避しながら、女の子に助け舟を出すべくその「巨大化したバッジ」に呪文を唱えた。
「レデュシオ!」
そしてバッジが大人の手のひらくらいのサイズにまで「縮小」されるのを確認したダンブルドア少年は
再び飛んできた呪文をギリギリ躱して反撃したが、呪詛は的を外れる。
「疲れてきたみたいだね!」
ダンブルドア少年の足元に呪文を放って避けさせながら女生徒が嗤った。
- 13二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:37:54
出遅れた!立て乙です
美味しい概念とSSが増えるレガ主先輩ほんと好き - 14二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 19:58:39
「あのダンブルドアって子はすごいですね先生」「ええ、1年生であれほどの杖使いは見たことがないですね」
セバスチャン・サロウとへキャット先生は縦横無尽に逃げ回る女生徒に次々呪詛を連射する1年生を見ながら感想を
話し合っていた。
「その後ろのあの女の子は…………何をしようとしているんでしょうか?」
先生と7年生の先輩が自分に注目しているなどとは露知らず、その女の子はもう必死だった。
(いつもはうまくできるのに!どうしようどうしよう)
(そうだウィーズリー先生が言ってたこと試してみよう!)
「ヴェラベルト!………やった!」
女の子が変身術を大好きになったきっかけである呪文を放つと、手のひらくらいの大きさの「主席バッジもどき」は
シンプルな装飾の杯に「変化」した。
その様子をダンブルドア少年越しに呪詛を避け続けながら見ていた女生徒は、邪魔しないほうが面白そうだと思い
目の前のダンブルドア少年に意識を集中させた。
- 15二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:01:51
皆様に悲しいお知らせです。映画版ハリポタ第一作にも登場した「杯に変える呪文」である
「Vera Verto」の公式和訳「フ◯ラベルト」の前半3文字がここの禁止用語でした。さすがに草 - 16二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:29:45
申し訳ないが草生えた
- 17二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:42:29
たて乙ついでにまさかの3文字で草不可避
- 18二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:42:47
「いやぁ、本当に凄いね。君」
目の前の女生徒の放つ雰囲気が変わったのを感じ取ったダンブルドア少年は、気圧されて放つのを中断してしまった。
「ステューピファイ!コンファンド!シレンシオ!ルーモス!ステューピファイ!インペディメンタ!レダクト!」
息もつかせず次々放たれる呪文を、ダンブルドア少年は展開しっぱなしの「盾の呪文」でどうにか凌いでいたが
「どうだオラァ!」
ピシャァン!!とものすごい音で突如頭上から襲った落雷がついにダンブルドア少年の防御を砕いた。
「ぐぅ!っ!」
呻き体制を崩すダンブルドア少年に、女生徒が「全身金縛り」を放とうとした瞬間
「やった!できた! レヴィオーソ! ――えい!!」
という女の子の声とともに、満タンの一斗缶が勝利を収めようとしていた女生徒めがけて飛来した。
「えっアレスト・モメンタム!」
咄嗟に一斗缶を空中で急減速させた女生徒だったが、女の子の狙いは缶の内容物のほうだった。
「インセンディオ!」
1年生にしか見えない7年生の女生徒はおろか、その背後から観察していたセバスチャンとへキャット先生や
そのさらに後ろの壁や天井までもがものすごい勢いの炎に包まれた。
- 19二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:48:38
さりげなくルーモスがwwwww押し間違えたなw
- 20二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:50:34
煽り入ってて草
- 21二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:50:43
もはやクールタイム発生しないくらいパレット増えてるのにルーモス煽りするの草
- 22二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:53:31
5年生のときよりずっと呪文数増えてるのにルーモス煽りしてんじゃないよ!!ww
そして1年生の女の子、一斗缶を投げてインセンディオとはやるじゃない…… - 23二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 20:56:49
ルーモス煽りの原点回帰してて草ァ!
- 24二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 21:10:54
- 25二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 21:54:19
オレサマオマエマルカジリ!!!
- 26二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:12:00
「トムくん?」
- 27二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:14:51
ヘキャット先生がお婆ちゃん口調辞めておよしなさい!!って太文字でいうのハリポタっぽくてとっても好き
時に襲われておばあちゃんになっちゃっただけで、ホントは40~60代だもんね……良いなぁこういうの - 28二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:21:33
己を包む炎から逃げようともせず突っ立ったままのセバスチャン・サロウに、くるくると杖で巻き取るようにして
部屋の炎を消火しているへキャット先生が声をかけた。
「どうしました?サロウ?」
「いえ、すいません先生。『炎凍結呪文』をここまで自分と炎が近い状況で使用するのは初めてだったもので、そうか
こんな感触なのかと思いまして。正直少し慌てましたが、本当に簡単なのですねこの呪文は」
「ええ、習得するだけなら3年生くらいから自習のみで習熟できると思います。己に迫る危険から身を守るという
意味ではもっと早く覚えてもいいのかもしれませんが」
そう話す二人の事など気にせず、ようやくダンブルドア少年の頭に噛みつくのをやめた1年生にしか見えない7年生の
女生徒は、まだ平常心に戻っていない様子のハッフルパフの女の子と、疲れたらしく床に座り込んでいる
ダンブルドア少年に話しかけた。
「さっき戦ってる時、どんなふうに考えてたのか教えてくれる?」
「えっと、わたしがうまくできるの『インセンディオ』と変身術だけだから、何かを燃えやすいものに『変身』
させようとおもったんだけど、うまくいかなくてあわてちゃって、それで、それでね?ウィーズリー先生が授業で
いってたこと思い出して、それでうまくいったの。でもこんなに燃えるって知らなくて、すごくこわかった」
慌てていた自分の考えていた事をかなり頑張って言語化したらしい女の子に、女生徒は優しく聞いた。
「ウィーズリー先生がなんていってたのか教えてくれる?」
「うまくいかなかった時は、まず一回簡単で思い浮かべやすいものに変身させてから、それからもう一回ちゃんと
頑張りましょうって。そしたらとりあえず落ち着き直せるよって教えてくれたの」
「セバスチャン、この子僕の妹ってことにならないかな」
怒られると思っていたらしい女の子は、そう言った女生徒に頭を撫でられながらまだ少し落ち着きが無い様子だった。
- 29二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:29:13
ハッブルパフの子かわえかわえ…もしやこの前ギャレスに薬飲まされてでっかくなって「お姉ちゃんより大きいわ!」ってきゃあきゃあしてた子と同一人物か?守らねば…………
- 30二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:33:04
アルバス君生きてる???
- 31二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:37:30
ハッフルパフの子がかわええほんまに。
壁画との語り合いもそうだったけどまじで真ハッフルパフ生だよ。
みんな(四寮)仲良くが一番だよ!って言えるの凄いことだよ - 32二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:41:00
「君はなにを考えていたかな?ダンブルドアくん」
「僕は正直…………ほとんど何も考えていませんでした。この子がなにかしようとしてるけど、それが何にしろ
それを成功させるには貴女に邪魔させてはいけない事とか、あとモノが大きければ大きいほど『変身』させるのは
難しいと変身術の授業で習った事とか、たぶん僕のほうがこの子よりは戦えるだろうから、僕が前で頑張らないと
いけないだろうとかそのぐらいで。この子みたいな具体的にこうしようという作戦は無くて、ただ必死でした」
「どうですかへキャット先生?それにセバスチャン?」
そう女生徒に投げかけられた先生ともう一人の7年生が所見を述べる。
「お前がそんなにちゃんと先輩っぽい振る舞いができるって事がなにより驚きだよ」
「まず貴女は、自分にできることが少ないのをわかっていて、その上でそれをどう活かすかを考えましたね?
それはとても素晴らしい事です。まさにこの教科で学び取ってほしい物事です。そして私はマグルの生活に
詳しくありませんが、あれは『可燃性の液体が入った金属の容れ物』であっていますか?だとするなら簡単に
変身させられるものではありませんから、これらを考え合わせますと、貴女はハッフルパフに10点を齎しました」
へキャット先生にこれほど褒められるのは初めてだったらしい女の子は、嬉しさのあまりさっきまで戦っていた
女生徒におもいきり抱きついた。
- 33二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:50:57
ハッフルパフの子が癒しでしかない……かわいい……
- 34二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:56:44
へキャット先生はダンブルドア少年の方に向き直って続ける。
「アルバス・ダンブルドア。貴方も素晴らしかったですよ。まず素晴らしい杖捌きでしたし、なによりもあの子を
きちんとこの妖怪頭齧りから守り通しました。それに、何も考えられないほど必死な状態で適切な行動を瞬時に
選択できるというのは、簡単に獲得できる能力ではありません。ですからグリフィンドールにも10点差し上げます」
そう褒められてもなお、脳内で大反省会どころか軍法会議か弾劾裁判が始まっているらしく厳しい表情を浮かべる
ダンブルドア少年の横で「あのダンブルドアくんと同じだけ褒められた」という事実でますます嬉しくなったらしい
ハッフルパフの女の子は、1年生にしか見えない女生徒の膝の上でぴょんぴょん飛び跳ねた。
「さあ、次のグループにまいりましょうか。セバスチャン、今から私が名前を呼ぶ…………そうですね。10人と
戦ってくれますか?」
そうしてかわりばんこに1年生達の相手を務め、そのたびに一人ひとり良かったところと直すべきところを指摘して
いった2人の7年生は、最後の方はかなり疲れを見せながらも、自分が大好きな教科の魅力的で困難な課題に
立ち向かっている時とはまた違った種類の充実感を覚えていた。
それは2人のどちらにとっても生まれて初めて感じるものだった。
- 35二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:04:08
妖怪頭齧りは草
- 36二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:07:52
- 37二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:46:39
流れぶったぎるようでごめんなさいなんですが、6スレ目の178みて思いつてしまったことを一つ。
容姿が一定しないかつ自分で制御できないのは、アンの呪いを古代魔術で自分に移し替えた結果、というもの。
肉と骨が変形するほどの激痛=実際に容姿が変わってしまう、という 自分でも無理やりなこじ付けなんですが。
周りは「変な奴がもっと変になっただけ」「本人が楽しそうだからいいか」と楽観視してるけど
実際には感情操作の応用で、苦痛が表情に出ないようにしているだけ。 - 38二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:57:44
「あー、それでそんなにも仲良くなったんだねぇ」
先日の「闇の魔術に対する防衛術」の授業の様子を聞いたギャレス・ウィーズリーは、今朝からまた年相応の
姿になった、背の高くスタイルのいい7年生の女生徒の膝の上に座ったハッフルパフの制服を着た女の子が
机にかじりついて「魔法薬学」の宿題と格闘を続けているのを見ながら言った。
「う"う"ぅーーー、わかんないなんだっけ…………ねーギャレスしってるでしょー!おしえてよー!」
「答えだけ教えてもらった事って、本当にびっくりするぐらい覚えられないんだよ?」
珍しくまともな事を言いながらギャレスは自分の「占い学」の宿題を睨んでいた。この女の子の手前、いつもの
最終手段である「考察放棄思いつき出まかせこじつけ当てずっぽう全埋め作戦」が使えないのだ。
「でアルバスが頑張ってるそれはなんだい?どの教科?」
7年生の女生徒に訊ねられたアルバス・ダンブルドア少年は珍しく大苦戦していた。
「『魔法史』です…………ビンズ先生にしては珍しい事に、単に知識を問うだけじゃない宿題が出まして………
『1777年アメリカの、マグルの南北戦争に伴う”国か?族か?論争”でのエリザベス・マクギリガティ合衆国魔法
評議会議長の行動、及び彼女の呼びかけに対する当時のイギリス魔法省の返答とそれに伴う当時の魔法界の
最終的な方針決定は、現代において判明している当時の事実に照らし合わせて、後に続く死者を増やしたと
言えるかそれとも死者を減らしたと言えるか、己の言葉で論述せよ』というものです」
「ごめんね力になれない」「僕も申し訳ないが右に同じだ。何の何が何だって??」
だろうと思いました、といって再び視線を手元に戻したダンブルドア少年を眺めながら、女の子を膝の上に載せた
7年生の女生徒は、その宿題はもしかしなくてもアルバス以外の同級生は1人も完遂できないんじゃないか?と
ビンズ先生の難易度設定に疑いを持っていた。
- 39二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:02:08
「魔法薬学は苦手かい?」
そう問いかけられた、7年生の女生徒の膝の上の女の子は、やっと宿題を終わらせて開放された笑顔を振りまきながら
素直に質問に答えた。
「たのしいから好きだけどあんまりとくいじゃないの…………まだうまくいったことない」
その回答は、自称「魔法薬学界稀代の特大ハイパー大天才」ギャレス・ウィーズリーの琴線に触れた。
「つまり君は魔法薬学の才能があるんだね!魔法薬学は知識と経験をひたすら積み上げていく必要があるから
それはつまり最初はみんな失敗ばっかりって事さ!僕だって3歳の時に生まれて初めて作った『魔法薬』を
飲んでくれた親戚のおばあちゃんは次の日の夜になってもまだとめどなく嘔吐し続けていたけれど、それでも
僕の事をとてもほめてくれたんだ!これだけの強い効果があるものをよく作った!お前には才能がある!ってね!」
「えっ何その話知らない」
膝に座る女の子が書き上げた宿題をチェックしながら背の高い女生徒は声を上げた。
- 40二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:03:46
- 41二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:17:26
「つまりね、1番大事なのは楽しむことさ!最初に上手くいくまで楽しい気持ちでい続けられたなら、それは
才能があるってことさ。君は薬作るの楽しいんだろう?」
そのギャレスの問いに満面の笑みで頷いた女の子に、向こうの方で「呪文学」の宿題に取り組んでいたセバスチャンは
一旦休憩とばかりに作業を中断して歩み寄ってきた。
「『変身術』も好きなんだよね?」
「うん!あのね、わたしのおとうさんとおかあさんは魔法使いじゃないの。だからわたし魔法のことなんかなーんにも
しらなかったの。でね、ホグワーツに来て、いろんな魔法を見て、すごくワクワクして、でも全部ぜんぜんうまく
できなかった。けど変身術の授業で、ネズミさんをコップに変身させる時にね、わたし1番はやくできたんだよ!」
魔法史の難題に未だ苦戦しているダンブルドアや近くの席の上級生達も含めた全員が、穏やかな笑顔になっていた。
- 42二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:29:12
鎹のようなハッフルパフ生だな本当
- 43二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:40:25
「……そういえば、2人は同級生なんだからこの子もその『魔法史』の超難しいのやんなきゃいけないんだよね?」
その問いに対するダンブルドアの返答は、女の子を膝に載せた女生徒を始めとする7年生達を驚愕させた。
「そうですけど、この子、この『魔法史』の宿題もう終わってるんですよ。何を訊かれてるのかわからないって
言うから『どういう出来事か』『本題はどこか』『どんな事を答えれば良いのか』をゆっくり説明してあげたら
あっという間に答えを書き上げてしまいましたよ。読ませてもらいましたけど彼女らしい、簡単な言葉で見事に
物事の本質を突いたいい回答だと思いました。……………でも僕は僕でちゃんと自分の答えを見つけないと」
ダンブルドアがそう言ってまた手元に視線を落として難題との戦いを再開した時、向こうからやってきた
髪のふわふわしたハッフルパフの生徒が7年生の膝に座る女の子を見て声を上げた。
「あーーっ!ちょっとこんなところにいたの?先輩たちに遊んでもらってたの?まさかまたウィーズリー先輩に
おかしな薬をもらってないでしょうね?」
「あー!お姉ちゃん!そうだよ!あそんでもらってたの!『魔法薬学』の宿題もさっきおわったんだよ!」
- 44二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:40:34
かわいい……かわいい……
- 45二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:59:24
「ご両親が非魔法族で、姉妹そろって魔法力を持って生まれるとはなかなか珍しいね?」
セバスチャンが興味深そうに女の子のお姉ちゃんに聞いた。
「私と妹の事を知った人はみんなそう言うわ。けれどまあ、その通りね。オナイ先生なんか目を丸くしてたもの。
けど、妹にも魔法が備わってるってわかった時、私も両親も本当に嬉しかったのよ。だって同じ学校に通える
もんだと信じ切っていた私が急に聞いたことも無い遠くの学校――つまりこのホグワーツの事だけど――に
通うことになって、全然家に帰ってこないものだから、あの子泣いてばっかりいたらしいのよ」
そう言った女の子のお姉ちゃんの周りには、もっと話を聞きたいと言わんばかりのギャレスが近寄ってきていた。
「こんな事言うのは本当に不本意なんだけど、あの子が魔法薬学を頑張るようになったの、半分はあなたの
おかげなのよウィーズリー先輩『いつもすごく楽しそうだから私もああなりたい』って。勿論姉としては正直
あなたのようには、あまりなってほしくないわ。あの子にはちゃんとあなたの見習うべき点だけ見習ってほしい」
わりと失礼な事を言われたギャレスは、別の部分が気になっていた。
「半分?この僕が理由のたった半分だって?残りはいったいなんだい?」
「シャープ先生に『この薬はどうやったらもっと美味しくなりますか』って聞いたら大笑いしたあと5点くれて
それからとても褒められたらしいわ」
その場の皆が笑顔になり、ダンブルドアも羽根ペンを走らせ続けながら口の形で笑ったが、7年生の先輩の膝に座る
女の子だけは、よくわからずにキョトンとしていた。
- 46二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 02:06:26
- 47二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 02:30:47
- 48二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 02:37:56
ほんと、なんていうかこれはただの妄言だから誰も真剣に取り合ってくれなくて全然構わんのやけど
「アイロニーナ」って曲がずっとこのスレの概念にぴったんこカンカンしてて脳内がヤバい 誰か助けてくれ - 49二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 04:49:33
冷静になったらちょっと違うわ
見えた幻覚をテキトーにSSにして投げたら(この後はこういう感じになるかな………)って
次の幻覚が見えてくるから短くまとめるも何も延々追加されていくんだわ
なんかに呪われてんだなたぶん
- 50二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 05:14:02
まだ7年生の女生徒の膝の上から動こうとしないハッフルパフの女の子の隣で、その子の実の姉である
同じハッフルパフの4年生の女子生徒が、先程、今のこの状況は自分がここ数日苦しんでいる難題を片付ける
大チャンスだと気づいて急いで寮の寝室から取って戻って来た宿題を広げて唸っていた………
「私はあんたがてっきり答えを教えてもらったものだと……………」
7年生の先輩の膝の上に座ったまま百味ビーンズをひとつもらっている妹を横目で見ながらそんな事を言う4年生女子に
ギャレス・ウィーズリーはさっきと同じ事をまた言った。
「答えだけ教えてもらった事って、本当にびっくりするぐらい覚えられないんだよ?」
「じぶんでかんがえるてつだいをしてくれたんだよ!あ、おいしくない!へんなのー!」
姉にそう言って笑った女の子は、差し出された2粒目の百味ビーンズをにこにこしながら受け取った。
「えーー、知ってるぞこの味、えーーー、ああそうだ『元気爆発薬味』!まあ悪くはないな」
「お、『ドクツルヘビの皮味』だねこれ」
「なんでその味を知ってんだいギャレス…………ヴッヴェゔ!!『トロールとのディープキス味』!ゔあー……」
「お前こそなんでトロールとのディープキスの味を判別できるんだよ…………『足の裏味』まあマシな方だ」
「あ、ぶどうあじだぁ!おいしい!」
各々1粒ずつ同時に食べて感想を述べるというこの7年生グループの日常の光景に妹が参加してるのを見て
羨ましそうにしている4年生の女子に、その妹を膝に乗せて座っている7年生の女生徒が救いの手を差し伸べた。
「ほら、遠慮しないで今何に取り組んでてどこで詰まってるのか言ってごらんよお嬢さん?」
- 51二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 05:35:24
4年生女子の「天文学」の宿題の相談に真摯に応じる7年生の女生徒とセバスチャン・サロウの直ぐ側で
ずっと羽根ペンを走らせては消しまた書いては消しを繰り返していたダンブルドア少年が大きな声を上げた。
「終わった!!!!よーーーし終わった!」
ビンズ先生が気まぐれに出した魔法史の難問をやっつけた鬨を聞いて、女の子を膝に乗せた7年生の女生徒は笑った。
「お、強力な助っ人の凱旋だ。ほら君、アルバスにもどこで詰まってるのか言ってみ?アルバスはそこらの上級生より
いろんなことを正確に覚えているよ」
「次にホグワーツで皆既日食が起きるのはいつか、過去の記録と今の全天の位置関係から割り出さなきゃいけないのよ
私ここから…………そう、ここまでのどこかで計算を間違えているんだと思うんだけど…………」
かなり大きな羊皮紙を広げながらそう言ったハッフルパフの女子に、その隣の膝の上から妹の声が響いてきた。
「わぁーー!お姉ちゃんすごーーーい!なんかかっこいいそれ!私もやりたい!」
それを聞いて少し肩の力を抜く事ができたその女子生徒が、近年稀に見る秀才だと話題の1年生と、優秀で協力的な
7年生の先輩達複数人見守ってくれているというまたとない好条件を最大限活かすべく、各々自分のメモ用羊皮紙を
杖で叩いて計算してみているその1年生と先輩たちに時々ヒントをもらいながら、天文学の宿題に活路を見出すべく
引き続き地道に羽根ペンを走らせていくのを、その妹は輝くような視線でいつまでも飽きずに見つめ続けた。
- 52二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 05:53:08
やっぱ思いつくまま書き進めてそのまま最後までいったら即投下、読み返すのはレスしちゃってから、ってしてると
あ、ここ文章読みづらい!ていうかスマートじゃねぇ気に入らねぇ書き直してぇ!ってなるね(後の祭り) - 53二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 08:14:58
レガ主ってお酒に強いんだろうか
普段が普段なのでお酒飲むとぽやぽやして大人しくなるのもアリだなあと - 54二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 09:15:57
- 55二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 12:31:30
1年のハッフルパフ生が凄い可愛くて優しくて……なんだろうねぇ
初めてハリーポッターと賢者の石を見たときのワクワクを思い出す。そんな良い子だ。
効果じゃなくて美味しくするのはどうすればいいの?を聞くとかそりゃあシャープ先生も凄い子だって思うよね。
ハッフルパフは良い姉妹生徒を手に入れたなぁ - 56二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 12:48:23
まあ予想するにブツブツができるんだろう「はれものの呪い」と、足がぐにゃぐにゃになる「クラゲ足の呪い」を
同時に浴びた奴が「顔中にクラゲの足が生える」って結果になってフレッドとジョージが興味深そうに
「この2つは同時に使っちゃいけないらしいな」っていうシーンが原作にあるよねそういえば(妄想が広がる音)
「おおーーーー、いるいる居るよバチ当たり達が」「同業者が先輩に散々やられてるの知らないんですかね?」
森の中でいつもの友人たちや、最近仲良くなった4年生と1年生のハッフルパフの姉妹と共に身を寄せ合って
自分たちが居る崖のずっと下に広げられている結構な規模の密猟者の野営地を見下ろしながら、ダンブルドア少年と
ダルダルヨレヨレのパジャマに4寮全ての紋章のバッジを並べて付けている背の高い7年生の女生徒が言った。
「すいません先輩方。妹の無茶なお願いを聞いてもらった上に私まで連れてきて頂いて」
4年生の女子が妹にも耳あてをしっかりとつけてあげながら申し訳無さそうに言ったが、明らかに好奇心が
隠しきれていなかった。
「でもなんで私とお姉ちゃんだけ耳あてがいるの?おねーちゃん?」
1年生の女の子の当然の疑問を投げかけられたパジャマ姿の女生徒は、杖を取り出しながら笑った。
「念のため。僕がちょっとうるさくしちゃうからね。さ、行くよセバスチャン。それにアルバス」
「オニミスとギャレスとイメルダとアミットはこの2人を見ててあげてくれ」
セバスチャン・サロウはそう言いながら、パジャマのズボンのポケットに杖を突っ込んで箒を2本「呼び出し」た
女生徒から少し柄が黒みがかっている方の1本を受け取った。
「それじゃ行ってきますか。いざ、呪文学の宿題の実験開始!」
- 57二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 13:07:30
この中にポピーがいないのは魔法生物大好きすぎて今お世話中なのか、一人で密猟者の野営に突っ込んでいるからなのか
両方ありえそうなので議論になるところさんだ - 58二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 13:23:46
箒に跨がり、どこから来たのか気づかれないようにかなり大回りをして飛んでいく2人の先輩を、その先輩の
友人たちに囲まれながら姉の隣でキラキラした目で眺めている1年生の女の子が、今回のこの「遠足」の
最初の提案者だった。
1年生に出された「ここに上げたいくつかの呪文の唱え方と杖の振り方と効果を示せ」と
4年生に出された「自分がまだ習得していない呪文を授業の終わりに1つ選び、それを次の授業までに覚えてくる」と
7年生に出された「異なる複数の呪詛が同じ目標に同時に効果を発揮した場合に生じる結果についてのレポート」を
各々がどうしたもんかと悩んでいる時に1年生の女の子が「みんなでやりたい!」と言い出し、同時にパジャマの
女生徒がいつもの密猟者狩りの話をしてしまったために女の子は「すごいすごい!わたしもいきたい!」と
言い出してしまい、そのあまりにも眩い瞳に姉も7年生達も皆「どうすれば安全に実現してあげられるだろう」という
方向でしか考えられなくなってしまったのだ。
そしてかなり念入りに遠回りしていたらしい、2人の箒に跨った7年生が崖下の密猟者達に飛び込んでいった。
- 59二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 14:23:12
「あれ?ダンブルドアくんは?」
1人足りない事に気づいた女の子の疑問に、周りの先輩たちが答えた。
「ダンブルドア君は『後ろからこっそり戦法』の実戦練習中だよ。真正面から立ち向かいがちだからね彼は」
「変身させた上で『目眩まし呪文』とかいろいろしたから、相当下手を打たない限り見つからないでしょうね」
勝手にどこかに行かないように妹と手を繋いだまま崖下を眺める4年生の女子が、自分が課題に選んだ呪詛が多めに
唱えられている事と、先輩たちがそれを聞き取りやすく発音して大きめに杖を振ってくれている事に気づいた時
その女子と妹の装着している耳あてが、周囲の先輩たちによって寄ってたかって強く抑えられた。
「ソノーラス!」
背の高い女生徒は、自分が投げたマンドレイクにあろうことか「拡声呪文」を当てた。
ミィヤアアアアアアアア!!!!!という叫び声が木々を震わす大音量で響き渡り、高い崖の上で見ているみんなと
耳あてをして「こっそり」しているダンブルドア少年と、もはや聞き慣れてしまった様子の7年生2人以外
つまりその場に居る密猟者全員の動きを止めた。そして戦闘という名の「宿題の実験」が開始される。
「「アクシオ!」」
パジャマの女生徒とセバスチャンは、耳を抑えてうずくまっている1人の密猟者に杖を向けて同時に叫び
呼び寄せ呪文を用いた綱引き勝負を数秒行った。
「「レラシオ!」」
そして引き離し呪文がまたしても同時に唱えられ、密猟者は珍妙な軌道を描いて吹っ飛んだ。
(さあ僕の番だ………先輩たちの足を引っ張らないようにしないと………)
ダンブルドア少年は、まだマンドレイクの叫びから回復しきっていないらしい密猟者の1人に、足音を立てないように
静かに接近して杖を向け、予め示し合わせた呪文が叫ばれるのを待った。
- 60二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 14:45:51
「ステューピファイ!」「リナベイト!」
セバスチャンとダンブルドア少年が各々同時に唱えた失神呪文とその反対呪文である意識蘇生術を受けて、密猟者は
一度ビクンと大きく体を震わせ、血を吐いてぶっ倒れた。
「おお?予想外だ。単に魔法力勝負になって強いほうだけ効くと思ったんだけど………」
崖の上から、詳細を後から見返す為に持ってきていた「万眼鏡(オムニキュラ-)」越しに戦闘を眺めていた
アミットが興味深そうに呟いた。
「あ、またわたしの宿題の呪文だ!」
1年生の女の子も先程アミット先輩に貸してもらったもうひとつの「万眼鏡」を覗きながら楽しそうに言った。
ハッフルパフ生の姉妹は最初こそおっかなびっくりだったものの、予め「密猟者とはどういう奴らか」を教えてもらい
その悪質さに2人そろって腹を立てていた事もあって、今や緊張は解け、己の宿題に少しでも活かそうと、崖の上から
目を見開いて戦闘を見下ろしていた。
- 61二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 15:12:50
7年生の女生徒は、どうやら「動物もどき」だったらしき密猟者がアナコンダに変身したのを見て
その太い胴体に杖を向けた。
「ヴィペラ、イヴァネスカ。…………あっうわあ、ちゃんと効くんだ………」
普通、「サーペンソーティア」などの反対呪文として使われるこの「蛇消失呪文」は、なんと変身した動物もどきの
大蛇に対しても律儀に効果を発揮し、その「密猟者アナコンダ」は体の両端から薄れて消えていった。
「インカーセラス!」「ヴェラベルト!」
まだ耳を抑えて呻いている密猟者の体に直接杖を押し付けて同時に唱えたセバスチャンと女生徒は、他には
最後の1人が残っているだけであることを念入りに確認した後、その最後の1人の密猟者に近寄った。
「お疲れ様、アルバス」「上手く隠れてたじゃないか、ダンブルドア君」
そして3人は崖の上に手を降って合図を送り、観戦していた友人達にもう安全だから降りてくるようにと促した。
- 62二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 15:42:20
「正直な話、ここまで見事に興味深い結果ばかり出るとは思わなかったよ」
レイブンクローの7年生であるアミット・タッカーは、オニミス・ゴーントと2人でダンブルドア少年を密猟者の姿から
元に戻しながら言った。
「『インカーセラス』って杖から縄が飛び出して縛るはずよね?……杖をコイツに押し付けてたからかしら」
「『ヴェラベルト』もなんか妙な結果になってるな………どういう相互作用をしたんだ?」
イメルダとセバスチャンがそう言いながら観察している大柄な密猟者は、下半身が太い縄の束に変わり、背中から
特徴的な模様の古そうな素焼きの容器が生えて気を失っていたが、その背中の容器が「縄文土器」だと
識別できるものはその場にいなかった。
「この方は………何でしょうかこの妙な飛び方……」
「両側から押されたって考えると横に飛ぶのはまあわかるよね。そっちに力が逃げるだろうし。でもその後空中で
急に軌道が変わってるんだよねえ………『レラシオ』ってもしかしてわりと長めに力が加わり続けるのか?」
4年生の女子とギャレスは各々「万眼鏡」で同じ映像を見ているらしく、興味深げに揃って首を傾げた。
「こっちの人にはなにしたんだっけ?」という1年生の女の子の問いかけに、オニミスと共に辺りの密猟者を念入りに
拘束し杖を回収し、時々気に入った杖を『検知不可能拡大呪文』のかかったパジャマのズボンのポケットに
しまい込みながら、思い切り戦えて楽しかった様子の7年生の女生徒が答えた。
「ん?あ、ソイツね『鼻呪い』と『双子呪文』!」
そう教えてもらった女の子は、ひとつ30cmくらいある鼻がいくつも服を突き破って全身を覆っているおじさんが
気を失って地面に転がっているのを興味津々で見つめ続けた。
- 63二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 16:36:09
みんながあらかた考察と観察を終え、実験用モルモッああいや失礼、密猟者達を転がしたまま帰り支度を始めた頃
先輩に渡された「旅行かばん」に最後に残った檻の中の動物を保護するべく、その大きな檻を覆っている
布をめくったダンブルドア少年が大きな声を出した。
「先輩方!ちょっと来てください!…………これもしかして!」
その声で全員がそこに集まり、その檻の中の生物に視線を集中させた。
「まさか、そんなまさか」
「こんなに立派な生き物が居るものなのね」
「マジかよ、ここに?こんなところに?」
「密猟者達も捕まえた時は君と同じこと思っただろうね……」
「ここにやたら大勢の密猟者達が集まっていた理由がわかったね。これが居たから厳重だったんだ」
「私、初めて見た…………ほんとにいるんだ…………」
「なにこのとりさん………きれー……」
口々に感想を漏らすみんなの隣で、かばんの持ち主である先輩に視線を送って許可を得た後、こればっかりは
保護ではなく自由にしてやるべきだと考えてダンブルドア少年が檻を開けると、檻の中で堂々と佇んでいた
その生き物は全員の視線が集まる前で、ダンブルドア少年の肩に留まり、一声美しく鳴いた。
「こりゃあ驚いた…………その子は君のだアルバス。もうその子は君のそばを離れない。先生方が驚くよ……
みんな驚く………。君は、不死鳥に選ばれたんだ。アルバス・ダンブルドア」
- 64二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 17:14:03
「で、どうするんだいダンブルドア君。その………そちらのお方は」
「生徒がペットとして持ち込むことが許されている動物の中に不死鳥は含まれてませんからね………」
「まあそりゃ誰も持ち込まないからね 普 通 は」
「ダンブルドアくんすごーーーい!かっこいい!」
大いに有意義だった「遠足」を終えたパジャマ姿の7年生の女生徒とその友人達はホグワーツに向かって歩きながら
衝撃的な体験について話し続けていたが、当初の目的の方も忘れてはいなかった。
「僕ら7年生はたぶんいいレポートが出せそうだけど、2人はどうだい?」
頭の少し上辺りの低空を優雅に飛び回りながらついてきている不死鳥を眺めながら歩いていたセバスチャンが
ハッフルパフの姉妹に向き直って問いかけた。
「私はお陰様で、さっき何度か成功したから大丈夫だと思います………あの、本当にありがとうございました」
そう答えた4年生の女子はこの「遠足」で尊敬の念が膨らんだらしく、いつの間にか敬語になっていた。
「わたしも!わたしも全部できたの!それにね、それに、すっっごくたのしかった!」
1年生の女の子が光り輝くような笑顔でそう言ったのに笑顔を返したセバスチャンはもう1人の1年生に声をかけた。
「ダンブルドア君、きみに関しては宿題の心配はしてないけれど、ちょっと頼みがあるんだ。その、不死鳥を
ぜひ見せてあげたい友人が居るんだけど、この後このままいいかな?」
そして後日、ハッフルパフの姉妹は2人とも宿題の成果をローネン先生に褒められ、7年生達に至っては
ついでに提出した「万眼鏡」の記録映像がそのあとそのまま複数回授業で使われた上、ローネン先生が
「この映像を資料として買い取りたい」と言い出した事に驚かされたのだった。
- 65二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 17:16:20
- 66二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 17:22:15
ありがとう神SS師
- 67二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 17:35:30
異変が起こったのはアンの呪いを自身に移し替えた晩、必要の部屋で噛み噛み白菜に水をやっていた時だった。
「……ん?」
胸の辺りが苦しい。そう思った瞬間、心臓がドクリと脈打ちその場に倒れ込む。辛うじて鉢植えを避けたが、できたのはそれだけだった。
「かはっ……ぅ……!」
身体中に激痛が走って息ができない。心臓が痛いほどに脈打ち、全身が燃えるように熱い。
(しぬ……か、も……)
死を意識したのはこれが初めてだった。トロールに襲われても密猟者の群れに飛び込んでも感じなかった恐怖。これならクルーシオの方がマシかもしれない。あの呪文では死なないからだ。
思考を回せたのはそこまでで、後は文字通り床をのたうち回ることしかできなかった。
書いててちょっとレガ主が可哀想になってしまった(´・ω・`)
- 68二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:40:57
- 69二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 19:33:19
- 70二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 20:06:38
ヤバイってなって密猟者に呪い移し替えたりしない?
- 71二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 20:40:57
感想もらえて嬉しかったので続きました!もうちょっと続く!
「……っくしゅん」
寒い。痛い。ここはどこ?
くしゃみの反動でぎしぎしと痛む身体をなんとか起こす。数m先の杖でさえ遠いほどの疲労感が身体に張りついている。どうやら必要の床の上で気を失っていたらしい。
「……いきてる」
そう呟いた途端、鼻の奥がツンと痛み涙が零れた。
「っうう〜っ!!」
声にならない嗚咽が漏れる。
(生きてる……生きてる……!良かった……!)
自分が生きていることを確かめるかのように何度も頬に触れ、その度にぼろぼろと大粒の雫が落ちる。
「……っふ……あ、れ?」
ふと泣きながら目の端に入った髪の色を見つめる。赤い。というか自分の髪はこんなに長かっただろうか。
それにいつもより視界が低い気がした。
「もしかして……」
恐る恐る胸に手を当てる。柔らかい。これはどう考えても女性の胸だ。ということは……。
「性別が変わってる……!?」
慌てて姿見の前に立つ。そこには紛れもなく少女が立っていた。
「なんでえ!?!?!?」
可愛らしい少女の声が必要の部屋に響き渡った。
- 72二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 20:58:30
その日の1年生のグリフィンドール生の魔法史の授業では、極めて稀な事態が進行していた。ビンズ先生の授業が
主題から外れて脱線を始めた上、生徒が誰も寝ていないのだ。その原因は1人の生徒の机の上にあった。
「さて、皆さんのなかに『なぜコイツだけ特別扱いされているんだ?』と不満を持っている者が居ましたら、決して
咎めはしませんから、正直に手を挙げて頂けますか?これは貴重極まりない学びの機会なのです」
ホグワーツ唯一のゴーストの教師であるビンズ先生のその問いかけに、教室の3分の1ほどが恐る恐る手を挙げた。
「ありがとう。よく正直に申告してくれましたね。皆様が抱くその不満は、抱いて当然のものですが、それと同時に
酷い間違いを孕むものでもあります。今からそれを説明して差し上げます」
ビンズの言葉に教室中の生徒が身を乗り出して聞き入る事など普段ならあり得なかった。
「まず、確かに皆さんが知っている通り、生徒が校内に使い魔、つまり言ってしまえばペットとして連れ込む事が
許可されている動物というのは規則で厳密に決まっており、その中に不死鳥は含まれていません。ええ、事実です
しかしそれは『許可する動物』を定める際にそもそも『生徒が持ち込むと思われる主な動物』のなかから許可する
ものが選ばれたからであって、『不死鳥を連れ込んではいけない』という規則はありません。そして通常、いかな
偉大な魔法使いであっても、不死鳥を飼いならして連れ歩く事などは極めて難しく、皆様のような年齢では
不可能であると断言することができます」
生徒達が一斉にダンブルドア少年と、その机の端に止まっている不死鳥を見、ビンズはさらに続けた。
「しかしその極限的な困難さは『人が不死鳥を飼いならそうとする場合』の話です。さらに稀ですが、もうひとつ
のケースがあるのです。さて、アルバス・ダンブルドア。『あなたが不死鳥を求めたのですか?』」
- 73二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 21:20:27
「いいえ、先生。僕は『これは流石に保護なんて出来ないし、それを必要としているようには見えない』と考えました
そして檻の中の不死鳥が彼、ああいや彼女かもしれませんが、とにかく自分の意志でどこへなりとも行けるように
檻を開けました。そうしたら不死鳥がゆっくりと飛んできました。そして一瞬僕はその不死鳥と目が合って
そして、そして不死鳥は僕の肩にとまって、鳴きました。それを見た先輩が『君は選ばれたんだ』と驚いた様子で
言いましたが、僕にはその時はその意味がわかりませんでした」
ダンブルドア少年は冷静に、考察などを挟まずに発生した事実とその時どう思っていたかだけを述べた。その方が
ビンズ先生の心証がいい、そうすればビンズ先生はもっと詳しい話を教えてくれるかもしれない、と考えたからだ。
「ダンブルドア、ありがとうございます。結構ですよ。その先輩というのは、あの断固として服装に関する規則を
無視し続けて日々減点され続け、その膨大な減点を日々の功績で自力で埋め合わせているあの生徒ですね?」
「そうです。その人です先生」
「そしてあの生徒の『君は選ばれたんだ』という指摘は、正しく今回の状況と我ら教師一同の話し合いの簡潔で
正確な理由付けなのです。つまり今その不死鳥は、ダンブルドアが己の意思で連れ込んでいるのではないのです」
聞き入っていた生徒達は、ここまででビンズの言わんとしている事を大体察して、それなら確かにこうする他ないと
納得していた。
「不死鳥が、彼の側に居続ける事を選んだのです。この美しく気高い生き物が自由に行動した結果こうなって
いるのです。ですから、この状況は何ら咎められるものではありません。――わかっていただけたようですね?」
- 74二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 21:39:46
「『宿題に実戦的に取り組むために許可を取って森に向かった生徒達が不死鳥を伴って戻ってきた』という話を聞いて
私達教師はすぐにその生徒たちに、つまりダンブルドアとその親しい友人方に説明を求めました。そしてその7年生
のご友人方が特に優秀で博識な生徒たちだった事もあって、正確に起きたことを把握する事ができました。なにより
『万眼鏡』に一部始終がしっかりと記録されていて、我ら教師陣はそれを確認できたのです。そしてすぐに、全ての
教職員による話し合いの場が設けられ、結果として校長先生や管理人まで含めた満場一致で結論が出ました。それが
先程説明した『不死鳥が自分の意志で選んだ事』ということと『そも不死鳥は規則なんぞで縛れる存在ではない』
ということです。なのでその不死鳥が執拗に他の生徒を襲ったりしない限り――正直不死鳥の性質を考えると
その場合でもおそらく襲われている側にそもそもの原因が有るのですが――ご自由にどうぞ、という事になります」
ビンズ先生の長話を教室の全ての生徒が一言たりとも聞き逃すまいと聞き入り、試験に出るわけでもないのに
必死にメモを取っていた。
- 75二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:12:50
「最後に、これはどちらかと言えば『魔法生物学』の領分ですがお伝えします。皆さんもひと目見て感じ取った事と
考えますが、不死鳥というのはとても珍しく、とても有益で、とても美しく、とても賢く、とても神秘的で
そしてなりより、我ら人間が最大級の敬意を払うに相応しい気高い生き物です。ですから皆さんもそのつもりで
接するように」
そしてビンズ先生はダンブルドア少年の机にとまっている不死鳥の前までスーッと移動し、床にいくらか
沈み込むことで不死鳥より低いところから見上げる形をとり、不死鳥の目をじっと見つめて告げた。
「お目にかかれて光栄です。ホグワーツにようこそお越しくださいました。我らはあなたを心から歓迎いたします」
その日の夜、グリフィンドール寮の談話室はお祭り騒ぎだった。談話室全体を見下ろす位置と、男子寝室の
ダンブルドア少年のベッドの枕元を始めとした複数箇所に専用の止まり木が用意され、下級生も上級生も区別なく
不死鳥の前に歩み出て各々可能な限り丁寧に一礼し、ある者達はダンブルドア少年とギャレスを質問攻めにし
ある者達は不死鳥の姿に魅了されて自分の画材を取り出してひたすら絵を書き始め、そのなかでも
ダンブルドア少年と同じ部屋で寝泊まりしている数人のルームメイト達は大興奮であり、特にダンブルドア少年を
尊敬すらしている、隣のベッドのエルファイアス・ドージは夢でも見ているような気持ちだった。
そして勿論、他の寮の談話室も少なからず興奮状態であり、ダンブルドア少年の劇的な場面に遭遇した友人達は
歴史上の偉人がその場に現れたかの如く質問攻めにあい、あらゆる教科の授業がその日はその話でもちきりだった為に
「最も印象的な一言を言った、いつも話題のあのおかしな7年生」に至っては無限に集まってくる生徒達に耐えかねて
綿密に隠密した上で必要の部屋に避難し、しばらくそこで寝泊まりする事に決めたのだった。
- 76二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:15:07
- 77二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:25:15
4、5のスレを立てた者だけども、ここまで素敵なSSが出てくるのは思わなんだよ。
もっとみたい(強欲) - 78二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:26:01
- 79二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:31:12
前スレ139です
真昼間の事件だった。
こつ、こつ。
こつ、こつ。
魔法省に少女の足音が響く。
「な、何者だ⁉︎」
こつ、こつ。
こつ、こつ。
少女はただ一点を目指し歩み続けている。
「なんだあ?あれ」
「さあ?」
こつ、こつ。
こつ、こつ。
止まることなくゆっくりと、されど確実に歩が進む。
「品がない…」
「おーい嬢ちゃん、それ以上進むなら俺と結婚してもらう必要があるな!」
こつ、こつ。
こつ、こつ。
こつ、こつ。
「プロポーズされたw」
「まじ?w」
こつ、こつ。
こつ、こつ。
こつ、こつ。
気付けば少女は気怠げな女性の姿となり、大きく息を吸うと静かに、そして力強く宣言した。
「…前から不思議だったんだけど、なんで君らはそんなにアルバスの足を引っ張るんだい?そんなにトムが怖いならアルバスを崇め奉って然るべきだろうに、それどころか『せめて邪魔をするな』なんてそんな簡単なことも出来ないのかい?それとも…もしかして君たちトムの友達かい?だったら話は簡単だ、バーテミウスが素晴らしい法律を作ってくれたからね。ねえドローレス…アルバスほど優しくないぞ僕は」
一人が爆弾樽に変化する。 - 80二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:32:20
お腹が空いたからご飯を食べる。
喉が渇いたから水を飲む。
それとなんら変わらない。
執行人が罪人の罪を裁くように、流麗に杖がしなった。
…長い、とても長い覚めやまぬ悪夢が始まった。
女の姿がみるみる変わり、青年となった。
「インペリオ。ステューピファイ。エクスペリアームス。ボンバーダ。アクシオ。フリペンド。ディフィンド。アレスト・モメンタム。」
次々に繰り出される呪文。
死喰い人達はもはやなすすべもなく、まるで子供に潰される蟻のように、理不尽を前にしてただ呆然と立ち尽くした。
逃げることは許されない。
何故なら爆弾樽にされるから。
逆らうことは許されない。
さもなくば咬み咬み白菜が飛んでくる。
呪いが伝播する。
驚愕に染まった瞳に最後に映るのは、無情な執行者のみだった。愛する人はそこにいない。いや、いなくてよかったと安心するだろう。
そのうち職員達は膝をつき、地に頭を擦り付け絶対的な力の前にただ許しをこいていた。
「だいじょーぶ。僕の用事は君たちじゃない。フィニート・インカンターテム。ウィンガーディアム・レヴィオーサ」 - 81二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:37:56
「え?」
「つ、杖!私の杖‼︎」
姿を現したのは魔法大臣たるコーネリウス・ファッジとドローレス・アンブリッジだった。
「ねえねえ、ぜぇーんぶ君たちが悪いんだよ。さっきの話、聞いてたでしょ?その程度の目眩し呪文は効かないから。」
その言葉で二人に“何故助けようとしなかった”と憎悪と怨嗟の声が集約された。
もう地位のある役職にはつけないだろう。
「君たちはここから叩き落とせば死ぬ。もちろん、どういうことか分かるね?君たちの命は僕の手の中。杖の一振りで直ぐに殺せる。助ける人は…いなさそうだしね。」
青年は苦笑する。
「な、何が望みだ!なんでもする、地位か?名誉か⁉︎それとも金か‼︎?いくらでも出す‼︎‼︎」
「だから命だけは‼︎」
「ふーん。じゃあ、アルバスを殺そうとするの、やめて?」
子供が我儘を言っているようにも、無邪気な命令にも聞こえた。
「そ、それは…」
「ちょっと…」
「ん??」
「「あ''あ"あ"あ"あ"‼︎」」
ぶおんぶおんと振り回されて二人は悲鳴を上げる。マンドラゴラよりも不快な悲鳴だった。
「初めから選択肢なんてないんだよ。さあて、どうする?」
青年は感情を感じさせない、底冷えする声で告げた。
「わ、分かった…だからやめてください…お願いします…」
「よろしい。」
三階上で静止されていた状態から、ぱ、と解除される。
「「きゃぁぁぁぁあ(ぎゃぁぁぁあ)‼︎」」
しかし彼らは地面に衝突する寸前にふわっと受け止められた。
「じゃあ、僕はこれで。」
ふいっ、とスッキリした様子で背中を向ける。
「糞、たかがダンブルドアの陰に隠れてビクビクしている七変化の野郎め…」
その瞬間、ふと彼は杖を一振りし、アンブリッジとファッジは蛙と変化した。
「聞こえる?約束破ったらこう!だから。これは警告だからね。覚悟してよ?」
ダンブルドアの先輩は、彼らがそこらに落ちていた杖で石化呪文を使おうとしていたことに気がついていた。 - 82二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:39:01
- 83二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 22:46:30
素敵なSS達の後にお目汚し失礼します!
皆大好き()レガ主曇らせは次の次ぐらいかな?
初めて姿の変化を経験してから2年が経った。結論から言うと、姿や声が変わること自体は周囲にあまり抵抗なく受け入れられた。そこは元々ファッションセンスが皆無で突飛な行動をとってしまいがちな自分だからこそだろう。有難いような悲しいような複雑な気持ちになるが、それはそれ。
問題なのはあの激痛だった。最初に姿が変わってからすぐに古代魔術を使ってあれこれと研究した結果、原因は恐らくアンの呪いを自身に移し替えたためであること、そして姿が変わるタイミングは制御できないことが分かった。そのため研究の方向性を切り替え、激痛をどうにかできないかという方向へシフトした。そして感情操作の応用でなんとか表情には出ないレベルまでは持っていくことが出来た。
が、激痛については正直なところ、本格的に痛み出す前にベラドンナエキスを飲むという対症療法しかなかった。
ベラドンナエキスはカモフラージュのためにマグルがよく使う“水筒”に入れて持ち歩くことにした。友人たちもまた変わったものを持ち歩いているという認識なのか何も言われなかった。
……少なくとも目の前の可愛くて聡明な後輩以外は。
- 84二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:07:48
「注目されるのは嫌いじゃないけど流石にここまではね…………」
そう吐き出したギャレス・ウィーズリーを始めとした、あの時あの場に居た友人達も必要の部屋に避難してきていた。
部屋それ自体に興味津々なハッフルパフの姉妹にあれこれ説明してあげている、襟首がだるだるのパジャマを
着た女生徒の隣で、アミット・タッカーは昨晩のレイブンクロー談話室の様子を語りだした。
「こっちもとんでもない騒ぎだったよ。ひっきりなしに質問が飛んでくるし、全員であらゆる本を血眼になって
不死鳥に関する記述をかき集めて、先生方が授業で仰った情報を伝え合って。『万眼鏡』を2つともコイツに
預けといて正解だったね。まさかパジャマのポケットに入ってるとは思わないだろうし、女子のズボンの、それも
これだけだらしなく伸びきってゆるゆるのパジャマのズボンをまさか探ろうとはしないだろうし」
「スリザリンの談話室のガラにもなく大わらわだったぜ。スリザリンらしくもないが。名家出身の奴らは即刻
親にふくろうで見解を求めに行ってたし、過去に『選ばれた』奴はいないのかってレイブンクローの如く
あらゆる本をかき集めてたし。俺もオニミスも永劫ここで質問に答え続けなきゃいけないかと思ったね」
セバスチャンがそう言って笑った。
「ハッフルパフもそんな感じだったけど、ひと目でも目撃した人たちに『どれだけ美しいのか』を聞いてそれで
ひたすら盛り上がってたな。わたしもあのお2人さんもあんまり質問攻めにはされなかった」
そう言ったハッフルパフの7年生ポピー・スウィーティングは、はたと気づいてパジャマ姿の友人に訊ねた。
「そういえばそのダンブルドア君は?」
「宿題するのに必要だって平然と図書室に向かったよ。勿論あの不死鳥さんも一緒に。全く大物だよアルバスは」
- 85二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:28:00
「図書室だって大混雑よ?みんなちょっとでも不死鳥について詳しくなりたいんだから」
セバスチャンやオニミスと同じスリザリンの7年生イメルダ・レイエスは、自分の膝の上に座るハッフルパフの1年生の
女の子のほっぺたの感触に両手で癒やされながらそう言った。
「あんなにきれいなとりさんがいるんだね!すごくかっこいいの!」
「私はシャープ先生のお話が興味深かったです。『不死鳥から齎されるあらゆる素材は複数の分野に於いて極めて重要
且つ強力な品だが、それを人が勝手に採取する事は不可能であり、常に不死鳥自身の意思によって"提供"される』」
ハッフルパフの姉妹がそれぞれ先輩の膝の上に座ったままそう語っていると、ダンブルドア少年と不死鳥が
必要の部屋に戻ってきた。
「宿題済みました。皆さんご迷惑をおかけしています」
不死鳥は「部屋が」用意した荘厳なデザインの止まり木に降り立ち、穏やかに歌い始めた。
- 86二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:44:03
- 87二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:44:17
そういやレガ主、ゲーム的なタイミングで事件と前後するけど不死鳥の涙でアンの呪いをどうにかできないかとかやりそうだな
そんでもってセバスチャンにはぬか喜びさせたくないから黙って進めてそう、オミニスには相談するかもしれない
結果的に呪いには効果なさそうだけど - 88二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:47:25
「迷惑だなんてとんでもないよ………」
ギャレスは不死鳥の歌に聞き惚れている様子だった。
「同感ね。明らかに、とてつもなく貴重な経験をさせてもらっているわ」
歌う不死鳥を見つめながらイメルダが言った。
そしてその膝の上の女の子が、ホグワーツ中が見落としていた事を指摘した。
「このとりさんのなまえはどうするの?いつまでも種類で呼ぶのはしつれいだとおもうよ?」
「キャサリン!」
「サリーとかどうだ。それかマリー」
「雄かもしれない『アレックス』!」
「生徒と被りそうなのは避けるべきじゃないか?もっとこうふさわしい感じの」
「不死鳥だから、ふーちゃん!」
みんな思い思いに候補を挙げる。
「愛蔵版インフィニットしづ子 ver.2.0.1β」
パジャマ姿の女生徒をその場の全員が見つめ、表情で却下を告げた。
「えっそんなに?じゃあver.2.0.2!」と続ける女生徒に「そこ変えても変わんねえんだよ」とセバスチャンが呆れる。
そして、考え込んでいたダンブルドア少年が口を開いた。
「フォークス。フォークスにします。…………どうでしょうか?」
不死鳥が一際美しい声で鳴いた。
- 89二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:57:02
ほしゅ
- 90二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:04:38
- 91二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:14:24
いのちだいじに
- 92二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:27:14
このレスは削除されています
- 93二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:32:10
- 94二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 00:56:36
- 95二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 07:12:04
保守
- 96二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 07:33:57
しっかり寝てくれ大文豪 睡眠は大事だぞってレガ主先輩も言ってるよ(妄想)
- 97二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 08:19:54
- 98二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 08:24:25
- 99二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 09:00:34
「ありゃどう考えたって僕たちが不死鳥を選ぶことを期待してるぜ」
今日もまたみんなと一緒に必要の部屋に避難してきているセバスチャンが言った。魔法生物学のホウイン先生が
どうも全学年共通で出したらしい「あなたが特に興味深いと思う魔法生物についてのレポートを提出するように。
単なる知識の羅列ではなく、その知識からあなた独自の考察を広げる事を期待します。夢想的でも突飛でも結構」
という宿題の話だ。
「私もそう思います。ダンブルドア君のそばをついて回るフォークスを見てる時のホウイン先生、ホグワーツに来た
最初の日のこの子と同じ顔してらっしゃいますもの」
ハッフルパフの4年生の女子は、同じくハッフルパフの1年生である妹の頭を撫でながら言った。そういう彼ら彼女らも
他の殆どの生徒も、ホウイン先生の期待に気づいているかいないかの差こそあれど皆一様に不死鳥について調べ
揃えた知識から「独自の考察」を導き出すべく頑張っていた。
「でもこれで、ホウイン先生が良い先生だって事が再確認されたよね」
レイブンクローの7年生であるアミットは、皆が思いもしなかった事を指摘した。
「だってもし『魔法生物について調べ、調査結果をレポートとして報告するように』とか言われてたらどう考えたって
一人残らずダンブルドア君の下位互換を提出する事になったろう?『夢想的でも突飛でもいいから考察を』って
言ってくれたから、みんなが各々の個性と興味の祝ぐべき違いを示せるよ」
しかしここに、それがわかっていながら、むしろわかっているからこそ「じゃ別のにしたくなるな」と考えてしまう
ひねくれた7年生が1人居るのだった。
- 100二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 09:09:19
- 101二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 09:15:00
おはようございます。 >>5 からの一連の妄想を投げてる >>90 です。やっぱ9時間くらいは寝ないと
脳がマトモに機能しませんね!3時間とか正気じゃね-や(自戒)
で、私個人としましては、あくまで皆様のご迷惑でなければという前提が勿論ありますが
オイラここがいいでヤンスよ(C.V.我修院達也)
スレが自分の妄想だけで埋まると読む楽しみをあんまり満たせないし
SS専用スレだとSSとその感想だけになるから「流れぶった切って自分の見た幻覚を雑に投げ込む」とか出来ないだろうし
だから個人的には、みんな流れ切っちゃうとか考えずに各々の幻覚を雑に投入してほしいでヤンス
君もスレの8割を自分の見た幻覚で埋めよう!絶え間なく投げつけ続ければ共通認識にできるかもしれないぞ!
- 102二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 09:33:13
「で、お前は何にするんだ?どうせ『そういう期待されると不死鳥以外にしたいなー』とか思ってるだろ?」
セバスチャンにそう言われた、この様式の必要の部屋の「家主」もしくは「住人」である、あろうことか
下着姿のまま歩き回っている背の高い7年生の女生徒は、小さめの机とクッションやらお菓子やらを準備していた。
「ふふーんご明察ぅー。不死鳥についても提出するつもりだけど、僕はもっと身近で、個人的には同じくらい興味深い
生き物についてのレポートを出すつもりだよ」
そう言った女生徒は、隣の机で各々不死鳥について考察、というか直ぐ側の止まり木に悠然と佇むフォークスを
興味津々で見つめているハッフルパフ生の姉妹に向き直った。
「僕の友達をもう1人紹介したいんだけど、いいかな?―――ディーク!!言ってた話だけど今いいかい?」
女生徒のその呼びかけとほぼ同時に、ボロボロの布切れを纏った小さな生き物が「姿あらわし」した。
「もちろんです。わざわざ予め私の意思を確認してくれたことを嬉しく思います」
- 103二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 10:03:53
続きました!見どころは可愛いアルバス君!
「いつも先輩が持ち歩いてるその筒?は何なんですか?さっき口をつけてたみたいですけど」
必要の部屋の近くのベンチで、そんな話になった。
「これ?マグルがよく使う水筒ってやつ。ジュースとか持ち歩けるし意外と便利だよ」
「ふうん……中身には何が?」
「今はオレンジジュース」
適当に返事をしたのが良くなかった。アルバスの顔に飲みたいと書いてある。
(甘くない炭酸水だよって言えば良かった……)
「しっ……仕方ないなあ……」
こっそり後ろ手で杖を振り、水筒の中身をオレンジジュースに変えて手渡した。中身はもちろん、水筒の構造や使い勝手をあれこれと調べているアルバスの隣でそっとため息を吐く。
姿が変わったのはついさっきだし、今は放課後だ。予備の小瓶は1つ持っているし問題はないだろう。伸びた髪をくるくると指に巻いて弄ぶ。背は先ほどより伸びたかもしれない。
「……すっぱい」
オレンジジュースをひとくち飲んだアルバスの顔が、キュッとしわしわになる。魔法薬を無駄にさせたことへのちょっとした仕返しだ。
「甘いオレンジジュースとは言ってないだろう?好奇心はアルバスをも殺すかもしれないぞ?」
「……口直しにあ!ま!い!レモンキャンデーをください!」
「はいはい」
- 104二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 10:04:38
「わあーーー!かわいい!!おめめが大きい!耳も大きい!よろしくね!………えっと、えーっと、ようせいさん?」
「これって、ああいえごめんなさい。あなたはもしかして『屋敷しもべ妖精』ですか………?」
握手を求めたハッフルパフ生の姉妹に、その屋敷しもべ妖精ディークは快く応じた。
「ええ。『屋敷しもべ妖精』のディークです。そうであることに誇りを持っていますし、ホグワーツ校長に所有されて
いる事は私の最大の喜びです。ここよりやりがいと充実感のある場所など存在しません」
ディークは今の今まで下着姿の女生徒が準備をしていた、過剰な量のクッションに囲まれた菓子満載のテーブルに
案内されて座り、その対面に呼んだ本人である下着姿の女生徒が、空いている位置には興味を惹かれたらしい
ハッフルパフの姉妹が座った。
「では、始めましょうか?『屋敷しもべ妖精という生き物について色々訊きたい』のでしたね?」
そう言ったディークはどこか嬉しそうだった。
- 105二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 11:28:26
「まずね、屋敷しもべ妖精ってどのくらい生きるの?所有権の移り変わりとかの記録を読んだ限りじゃヒトより長生き
みたいだけど。具体的な情報がどこにもなくて」
そう問いかけた下着姿の7年生の女生徒と、興味津々といった様子のハッフルパフ生の姉妹が囲むテーブルに
その屋敷しもべ妖精もまた着座し、みんなで山盛りの菓子をつまみながら話していた。
「『平均』や『中央値』などを把握しているわけではないですし、種族としての限界がどのあたりにあるのか、後は
最長寿の者がいかな年齢かも存じませんので一般的な事しかお伝えできませんが、例を申し上げるなら『600歳』と
いう年齢は、それが屋敷しもべ妖精の年齢であるなら、屋敷しもべ妖精の認識において『長寿』には含まれません」
ディークのその話が聞こえていたらしいオニミスやセバスチャン、それにとりあえずフォークスのスケッチを
描き終えたらしいポピー・スウィーティングも近寄ってきた。
- 106二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:02:06
「もちろん老いていると表現できる範疇ではありますが」と付け加えながら百味ビーンズの箱に手を伸ばすディークを
見て、同じテーブルを囲む1人であるハッフルパフの4年生の女子が、下着姿の先輩に聞いた。
「すいません、なぜこのテーブルにはその、市販のお菓子ばかりがならんでいるのですか?いつもはマフィンとかも
あるのに、意図的に取り除かれているように見えるのですが」
それを聞いた下着姿の7年生の女生徒と、他ならぬディークがニッコリと笑った。
「もちろん屋敷しもべ妖精をもてなしてくれる事それだけであまり頻繁には経験しない畏れ多い事ですし、何も並んで
いないとしても厨房で調達された品ばかりだったとしても感謝の念に耐えませんが、それでもこの気遣いは
その、感激です!」
姉の隣でキョトンとしている1年生の女の子に、下着姿の女生徒が優しく説明した。
「ホグワーツで働いている多くの屋敷しもべ妖精のしごとの1つが、厨房で料理をする事なんだよ。だから僕は
厨房で貰ってきた食べ物をディークに饗するのは避けるべきじゃないかと思ったんだ。だって、それはもしかして
ディーク自身が作ったものかもしれない」
それを聞いた1年生の女の子の、ディークを見つめる目がますます大きく丸くなった。
「いつものごはんもあなたたちがつくってるの?すごいすごい!いつもありがとう!わたしこれからはにんじんも
がんばって食べる!お姉ちゃんも今日からはもうトマトのこしちゃだめだよ!」
そう言った女の子の隣に座る4年生の姉は顔を真っ赤にしてうつむいた。
- 107二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:27:02
「…………ああ、だからお前服着てないのか。部屋の外じゃせめてローブくらい着てたんだろうな?」
セバスチャンが話の流れを断ち切って呟いた。
「??なんで?このまま来たよ?ウィーズリー先生に30点減点された!でもそう。厨房で貰ってくるわけには
いかないじゃん!って気づいて大急ぎでハニーデュークスまで飛んでったんだけど、買いたいもの全部買って
ついでに買い足したいものも買って、ってしてたらお金足りなくなっちゃって、着てた服脱いで売ったんだよね!」
4年生の女子は信じられないものを見る目で下着姿の先輩を見つめたが、セバスチャンは冷静に指摘した。
「で、なんでまだそのままなんだ?」
露骨に目を逸らす下着姿の女生徒の側から、気になった事があるらしいオニミスが、百味ビーンズが気に入ったらしい
ディークに声をかけた。
「ねえ、ちょっといいかな。君はさっき『ホグワーツの校長に所有されている事は最大の喜び』って言ってたけど
それはつまり、屋敷しもべ妖精と仕える主人の相性よっては『なんで自分はよりによってこんな人間に』みたいに
思う事もあるって事なのかい?つまり、主人との契約は、君たちの内心で湧く感情までは縛れないだろう?」
それはまさに、下着姿の女生徒が最も気になっている「本題」だった。
- 108二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 13:09:39
※レガ主が苦しんでる描写があるので苦手なお方はご注意をば。
※お好きな方は一緒にニマニマしようぜ!
甘い、を強調する後輩の手にレモンキャンデーを手渡した時だった。
ドクリ、と脈打った心臓にまた違和感を覚えた。これはまずい。
「アルバス!ごめん!また後で!」
「えっ!?先輩!?」
何とか必要の部屋に駆け込み、数歩歩いたところで崩れ落ちた。
(早く、魔法薬を……!)
ローブから予備のベラドンナエキスが入った小瓶を取り出す。何度か取り落としながらもようやく蓋に手をかける。が、痛みに震える指では開けられそうにない。久々に味わう激痛の中で、小瓶の蓋を開けるという繊細な作業を行うのは正気の沙汰ではなかった。
「ぐぁ……あ、あ、ああ……が、ああああ!!!」
あまりの苦痛に耐えきれず叫び続ける。どこかへ転がった小瓶を気にする余裕もなく、握りしめた手のひらが爪で傷つくことも構わずにただひたすら耐え続けるしかなかった。
「先輩!水筒忘れてますって……!……先輩!?」
何故こんな時に限って。アルバスが血相を変えて駆け寄ってきた。
「ぐぅ、う、うう……!」
歯を食いしばって痛みを堪えると汗がどっと吹き出す。アルバスの前で叫び声をあげる訳にはいかなかった。
「先輩!しっかりしてください!!今、人を呼びますから……!」
アルバスの腕を必死で掴む。
「ううっ……ふー……ふー、ふー、よ、ぶな……」
「ですがっ……!」
「が……ああ、あ……た、たのむ……どう、か……ぐっ、ああ、ああああ……!!!」
「せ、せんぱいっ……!」
痛い。熱い。苦しい。辛い。
「……あああ、あ、あ…………あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
喉が裂けそうなほど叫んだ瞬間、意識が飛んだ。
- 109二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 13:44:39
「…………起こりうる事態だと考えますし、そのような屋敷しもべを見かけた事もあります。その者は、行動を制限
する形の命令をご主人様から受ける度に『抜け穴を見つける』事に全精力を傾けているようでした。ですがそれは
他の屋敷しもべからは『けしからん振る舞い』とみなされる行いです。我らの美徳に大きく反する事だからです」
それを聞いた下着姿の女生徒は、ハッフルパフの姉妹にも菓子を勧めながらさらに質問をした。
「君の今のご主人はブラック校長だけど、例えば別の人が校長になったら、どっちに仕えるのかな?」
「鋭い問いですね。ホグワーツの屋敷しもべ妖精は『ホグワーツの校長』に仕える契約です。つまりブラック家に
仕えている者や、フィニアス・ナイジェラス・ブラック様個人に仕えているごく少数の者を除いた多くの屋敷しもべ
は、新しく校長に就任なさった方にお仕えする事になります」
そう言いながらまた新しい菓子に手を伸ばしたディークに、セバスチャンが鋭い質問を投げかける。
「もしそうなったら、つまり校長が交代する時君の契約がまだ有効だった場合、その上でもし、君を縛ってる契約に
『校長が代替わりする場合屋敷しもべは新旧どちらの校長に仕えるか選べる』とあったと仮定した場合」
セバスチャンは慎重に丁寧に言葉を選び、質問をはぐらかされる事を防いでいるようだった。
「もしその場合は、どちらに仕える事を選ぶ?つまり君の個人的な気持ちは?」
「…………新しい校長にお仕えします。なぜならホグワーツに居続けたいですから」
ディークのその申し訳無さそうな言い方が、そう答えた理由が他にもある事を示していた。
- 110二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 13:59:02
ファンタビ3後のアルバスのメンタルケアをするレガ主という幻覚が見えてしまってだね
- 111二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 14:06:16
「ねえ、あなたや他のホグワーツの屋敷しもべ妖精の側で校長についての不満を漏らすのは避けるべきかしら?
ご主人様への悪口はそれに仕えるあなた達の気分を損ねてしまう?」
ポピー・スウィーティングのその質問を受けて、ディークはへキャット先生が生徒を諭す時と同じ顔をした。
「それは、何も屋敷しもべに限らずとも『その場に居ない相手の事を悪く言う』という行いそれ自体が、多くの
知性ある生き物に共通する『美徳に反する行為』ではないですか?」
すると、それまで向こうの方で書棚を漁りつつ、分厚い専門書の難解極まる記述と、古い詩集の幻想的過ぎる文章を
それぞれの著者の伝記まで持ち出して解読し理解し考察するべく2人して苦闘していたダンブルドア少年と
ギャレス・ウィーズリーが手を止めてディークに歩み寄った。
「謝罪させてくれ。僕は屋敷しもべ妖精がこれほど知的で思慮深いとは知らなかった。これからはもっと敬意を払う」
ギャレスのその発言に、ディークは衝撃を受けた様子でしばらく感涙した。
- 112二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 14:27:12
その後はもうその場の全員が、そもそも自分たちが不死鳥に関する連日の質問攻勢に耐えかねて必要の部屋に
避難してきている事も忘れてしまったかのようにディークを質問攻めにし、ディークが丁寧に答えを返す度に
各々が屋敷しもべ妖精に関する誤解を解き理解を深め、そして何よりディークとの友情を深めていった。
皆に手を振られながら、夕食を作りに厨房に戻らなければならないディークが「姿くらまし」しても、その場には
まるでへキャット先生がとても面白い特別授業をしてくれた後のような、どこか興奮した雰囲気が漂っていた。
「我ながらすごく賢い選択をした気がする」と満足気に言う下着姿の女生徒の髪に絡まった糸くずを取り除きながら
セバスチャンが声をかける。
「なあ、屋敷しもべ妖精に関するレポートが書き上がったら提出する前に読ませて欲しいんだが。単純に気になる」
口々に私も僕もと声を上げる先輩たちに、2人で何事か相談していたハッフルパフの姉妹がここ数日ずっと
気になっていたらしい事を質問した。
「ね、わたしたちずっと聞きたかった事があるの。ねえおねーちゃんたち、『けがれたち』ってどういういみ?」
「校長先生が私達の事をそう言っていて、私も妹もよくわからなかったのですが、誰に聞いても教えてくれなくて」
穏やかでにこやかだった部屋の雰囲気が一変した。
- 113二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 14:38:14
Oh……(よりにもよってそこの話題突っ込むかというやつ)
あのブラック校長、悪意なく差別発言するからなぁ……だからこそ人望がないのだが - 114二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 14:50:37
- 115二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 15:12:24
自分たち2人がなぜこの下着姿の先輩に強く抱きしめられているのか、いつも優しい先輩たちがなぜ急激に怖い顔に
なったのか困惑しているハッフルパフの姉妹をよそに、その場の7年生たちは皆、共通の友人の1人が誰も見た事のない
様相になったのに圧されて、己の中から湧き上がる怒りがいくらか軽減されてしまった。
ギャレス・ウィーズリーが激怒していた。
「あの f##%#**)!!!!よくもそんな事を!!よりによってこの子たちに!どの面下げて校長室に出入りしてる!
純血の何がそんなに偉い!どこが誇り高いものか!屋敷しもべ妖精の方がよっぽど上等な生き物じゃないか!
だいたい己が純血だというならブラック家と親戚関係にあるわがウィーズリー家に居る何人ものマグルの親戚に
ついてはどう理屈をつけるつもりだ!!お前の中にも我が家の血とマグルの血が流れている事にいつまで目を
背け続ける!!血が穢れているなどと!よくも!!第一そうならお前の血も穢れているだろうが!!それに
お前の愚かな考えが正しいなら『最も純粋』なゴーント家のあの有様はなんだ!!!!アレが目指すべき姿か!」
息継ぎもせず一気に叫んだギャレスは、そこでオニミスと目が合ったことによっていくらか沈静化した。
「…………すまないオニミス」
- 116二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 15:40:45
百味ビーンズを乱暴に数十粒掴み取って荒々しく噛み砕いて飲み込む事で、その味の爆発の力を借りてどうにか自力で
いつもの様子に戻ったギャレスを尻目に、他の7年生達はいったいどう説明したものかと苦悩していた。
そしてずっとその姉妹を抱きしめていた下着姿の女生徒が意を決すると同時に、その意思を汲んだ「部屋」によって
いくつかの品が用意され、先程までディークの話を聴いていた机からその下着姿の先輩によって菓子が退けられた。
「オニミス、ギャレス。こっちに来てくれる?まず『純血』の説明をしなきゃ」
そう言いながら部屋が用意した品を机の近くに移動させる先輩の向こうで、ずっと黙っていたダンブルドア少年の
意思を理解し、それに同意したらしい不死鳥のフォークスが、大人しくダンブルドア少年に抱きかかえられた。
「撫でさせてくれるそうです。さあどうぞ」
並んで座る姉妹の膝の上に置かれた不死鳥は、そのまま大人しく佇み続けた。
「こんなに大きくて立派なのに、全然重くない………」
「すごーい!あったかい!それに近くで見るとすごくいろんな色!」
感動する姉妹に、ダンブルドア少年が落ち着いた口調で説明する。
「重くないのは、フォークスがあなた達2人の為にそうしてくれているからだと思われます」
- 117二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 16:31:01
ギャレスとオニミスは下着姿の女生徒から「なにをどういうふうに教えるか」の説明を受け、静かに相談を終え
「いい?じゃあ始めるね?」という女生徒の声と共に、他の先輩たちも皆集まってきた。
自分たちがブラック校長に何を言われたのか、なんとなーーく察し始めていたハッフルパフ生の姉妹は、それでも
とても暖かい気持ちに包まれていた。それは2人の膝の上の不死鳥が優しく歌っている事だけが理由ではなかった。
「まずね、ブラック校長は、悪意があったわけでも、君たちを傷つけようとしたわけでもないんだ」
そう言いながらオニミスは、女生徒が用意した品のひとつを机の上に置いて姉妹に示す。
「これは何ていうか、わかるかい?」というギャレスの問いかけに、姉妹はこぞって答えた。
「鳥さん!………でもお馬さんにも見える!お馬さんみたいな鳥さん!」
「グリフォン………か、ヒッポグリフだと思います」
それを受けて下着姿の女生徒が、相談済みの問いかけをギャレスに投げる。
「そう言うギャレスはわかってるの?」
「わかってるさ。『動物のブロンズ像』だよこれは」
その答えに1年生の女の子が「えー!ギャレスずるーい!」と楽しそうに声を上げる。
「これはね、『ヒッポグリフのブロンズ像』だ。お姉ちゃん正解だね。けれど、君の答えも不正解じゃない」
机の上で優雅に翼を広げ、その場で羽ばたいたり軽く足を動かしたりしているそのブロンズ像を横に除けながら
オニミスが説明を続ける。
「これは、ヒッポグリフは君の言う通り『お馬さんみたいな鳥さん』だ。で、ギャレスの『動物のブロンズ像』
って答えも正しいし、それにこのヒッポグリフの像は本物を目の前にして製作されたから、その本物の飼い主は
違う回答をするだろう。――君にとってこれはなんだい?」
下着姿の女生徒が、ニッコリとして口を開いた。
- 118二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 16:50:38
「これは部屋が用意した品じゃなくて、私の私物。これは去年、当時保護してたヒッポグリフが新しい飼い主に
引き取られていく時に、名前つけちゃってたせいで愛着が湧いてしまっていた私に、その新しい飼い主の人が
作ってくれたもの。だからわたしにとってこれはその子。これは、『セバスチャン』」
その女生徒の回答に、ヒッポグリフを保護してたのは知っていたが自分の名前がつけられているとは知らなかった
セバスチャン・サロウは動揺して、飲んでいたコーヒーを盛大に吹き出したが、女生徒は一切気にせず続ける。
「わかる?この同じものを、みんな全然違う呼び方をしたね?校長先生の仰り様も、ひどいけどそう言う事なんだ。
魔法使いではない人たちの事を『非魔法族』『マグル』と呼ぶ人が居るように、校長先生は『穢れた血』と呼ぶ。
選ぶ言葉が、と言うよりは使い慣れた表現が違うだけなんだ。だから、さっきギャレスがすごく怒ってたから
わかっちゃったと思うけど『穢れた血』はすごく酷い言葉だけど、そう呼ばれたからってあんまり気にしないで」
ハッフルパフの姉妹は、自分たちの事を先輩方がこんなにも想ってくれていた事に心を動かされていたが、話の腰を
折ってしまわないように、その溢れ出る嬉しさを顔には出さないように頑張っていた。
- 119二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 17:08:38
魔法薬の独特な匂いで目が覚める。目覚めたのは冷たくて固い床の上ではなく、温かくて柔らかいベッドの上だった。身体には毛布が何枚もかけられている。爪で傷ついたはずの手も治っているし、怠さも以前ほどひどくはなかった。今度は銀髪になっている。身長は心なしか縮んだような気がした。
視線を移動させると大鍋をかき混ぜるアルバスの姿が見える。
「……あ、る……?」
すっかり掠れてしまった声で呼びかけると、彼が弾かれたようにこちらを向いた。魔法薬の瓶に大鍋の中身を慎重に詰めた後、こちらへ駆け寄ってくる。
「これ、“生ける屍の水薬”です。僕、妹がいて……でも、具合が悪くて……だからいつもこれを作ってあげてて、あっ、先に水かな……いや、何か食べた方が……でも……」
「ん……」
ありがとうの意味を込めて彼の頭を撫でてやる。途端に彼の瞳から涙が溢れてきた。
「僕、先輩に何があったか分かんないけど……ぐすっ……せんぱい……しなないで……」
彼を撫でていた腕に縋りつかれる。目の前で先輩が倒れ、助けを呼ぶなと言われたのだ。訳が分からなかっただろう。本当に悪いことをしてしまった。
不安と混乱のさなかで、それでも必死に彼にできることを考えて看病してくれたのだ。大量の毛布もこの魔法薬も、彼の心配が結実した結果なのだろう。
考えてみればこの子はまだ11歳なのだ。“ホグワーツ始まって以来の秀才”という肩書きがいかに彼自身の有り様を見えづらくしていることか。
「……しな、ない……よ……」
やっとのことでそう答えると、また青い瞳から大粒の涙がこぼれ始める。拭ってやっても後から後から生み出される雨はもうしばらく続きそうだった。
- 120二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 17:16:15
- 121二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 17:35:13
※備考「聖28家族」という概念が提唱されたカンタンケラス・ノットの「純血一族一覧」が発表されたのは
1930年ごろ。つまり、そんなものはまだない。
「両親ともに魔法族で、その両親も魔法族で、その両親もその前も………ずーーーっと全員魔法族っていう家がある」
オニミス・ゴーントが、部屋が用意した「真なる魔法族の一覧」を机に置きながら優しく説明し、こんな本は見るのも
嫌だと顔に書いてあるギャレス・ウィーズリーが後に続いた。
「今ではそういう家の出身者の事だけを『純血』って呼ぶ風潮がある。片方の親だけが魔法族なら「半純血」だ。
で、そういう『ずーーーっと全員魔法族』って認定されている家がこの本に載ってる」
姉妹は膝の上で歌うフォークスと、自分たちの周りに寄り添ってくれている先輩たちの暖かさを感じながら、そして
純粋な好奇心と知識欲に突き動かされながら話を聞いていた。
「ノット家、オリバンダー家、エイブリー家、ブリシュウィック家、ポッター家、プルウェット家とか色々………
そしてゴーント家とウィーズリー家、ブラック家」
「2人もそうなの?すごーい!」という女の子に、その隣で要旨を理解しつつあった姉は咎めるような表情をしたが
オニミスは穏やかに笑い、ギャレスは気にせず、優しく話し続けた。
「でもね。嫌なんだ。そんなものに認定されるのは。これは僕の意見だけど、僕の家族親戚全員一致の意見でもある。
いい機会だからもう一つ説明しようか。我がウィーズリー家は『血を裏切る者』と呼ばれている」
ギャレス・ウィーズリーは誇り高い笑顔を浮かべた。
- 122二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 17:54:45
「わかるかい?彼ら『純血』の者の中には、それを誇りだと思っている者が何人もいる。それはいい。個人の自由だ。
けれど、『純血の魔法族はそうでない者より偉い。先祖代々そうならさらに偉い』って思っている奴らがいる」
ギャレスがそこまで言った時、姉妹の周りに集まっている7年生全員がオニミスを見た。
「僕の家族がまさにそうだった」
オニミス・ゴーントが穏やかに話し始めた。
「僕の家族は――正直家族と呼びたくないけど――彼らは『先祖代々純血の者だけが人間だ。他は虫未満だ』
って信じていた。だって、わかるかい?『純血』だ。『血が純粋だ』って言っているんだ。で、その考え方に
基づくと、魔法族でない者たちは、…………あぁ言いたくないやっぱり!」
「その考え方のもとでは『穢れた血』って表現される事になる」
下着姿の女生徒が引き継いだ。
「じゃあ、ウィーズリー先輩のご家族が『血を裏切る者』って言われているのはどういう事なんですか?血って
裏切れるんですか??何をどうやって?????」
4年生の女子のその問いかけに、ギャレス・ウィーズリーはちょっと面白そうに笑った。
- 123二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:16:21
下着姿の女生徒はハッフルパフ生の姉妹に優しく説明し始めた。
「それはね、そういう『純血』にこだわるやつらは、自分の子にも、そのさらに子にも『純血』であってほしい。
つまり、結婚する相手も、己の子の結婚する相手も『純血』から選ぼうとする。でもそうなるとそんなに選択肢は
ないよね?だって『先祖代々』ってこだわっているから。だから『先祖代々純血』の家同士はだいたい親戚なんだ」
例外もあるけど、と言うオニミスに、隣のギャレスは笑顔を向けた。
「でそこで我が家が問題になってくる。良いかい、我が家は『先祖代々純血』の家の中で唯一、非魔法族が親戚に
たくさんいるって事をハッキリ認めている。だいいち『先祖代々純血』なんて無理なんだよ。いとこ兄弟姉妹で
結婚することになってしまうから。最終的にはオニミスの親族達みたいになるし、さらに言えば滅びる」
ギャレスの説明に、オニミスは強く頷いた。
「…………大丈夫?難しくない???どう?」というイメルダの問いに、姉妹は真剣な表情で言った。
「すごく興味深いお話です」
「わたし、みんな、だいすき。ギャレスも大好き!お姉ちゃんも大好き!オニミスも!みんな!」
- 124二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:37:56
「『先祖代々純血』の家のほとんどと親戚関係にも関わらず、『ウチの親戚のマグルの叔父さんがこないだ』みたいな
話をためらいなくするウィーズリー家の人たちは『先祖代々純血』が誇りの人たちにとってとても厄介なんだ。
なぜだかわかるかい?」
オニミスの問いに、隣の妹と一緒に膝の上の不死鳥をなでている4年生の女子が答えた。
「自分たちの『先祖代々純血』に、疑いが向けられるから、ですよね?『でもあなた達と親戚のウィーズリー家には
マグルの親戚がいっぱいいるよ?なのに本当に純血だっていえるの?』って。だから『血を裏切る者』」
その回答肯定して褒めたギャレスが誇り高い笑顔で最後の説明をした。
「校長は、というか校長のブラック家はそういう人たちの筆頭なんだ。だから『穢れた血』ってためらいなく言う
酷い言葉だとすら思ってない。正しい認識だと思ってる。愚か者め。けどそんな偏屈な奴らは魔法族の極一部だし
他の大勢の、そうは思わないマトモな魔法族から『まーだそんな事言ってるのか』って思われている」
ギャレスは立ち上がり、恭しく一礼して締めくくった。
「そうだね、最後に改めて自己紹介しよう。僕はギャレス、ギャレス『ウィーズリー』。我がウィーズリー家が
満場一致で認める、我が一族の最大の誇りは、親戚のマグルのおじいさんが毎年クリスマスパーティーでやる
半裸の宴会芸がめちゃくちゃ面白くてもうマジで最高だって事だ。だからどうか魔法界に失望しないで」
「僕も見たことがあるんだ。一度お呼ばれしてね。ホントにアレは最高だった。あんなに笑った事なかった」
オニミス・ゴーントはそう言って笑い、姉妹の膝の上にいたフォークスは歌うのをやめて静かに飛び立ち
隅のとまり木に移動して皆を見つめていた。
- 125二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:38:13
- 126二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:39:45
- 127二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:41:32
- 128二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:43:56
確認してきたら前スレの最初にオミニスに言及したとこから一貫して「オニミス」表記だったわ
我が事ながら流石に草 - 129二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:46:19
- 130二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:15:52
RPで4キャラ育成終わったんだけどコイツらが全員健全なアルバス少年に絡んでくると思うと胸が熱くなるな
以下オリ先
ゴエモン・アカツキ(レイブンクロー生)
日本からやってきた知識欲の権化
許されざる呪文を含めたすべての呪文を改造して使う狂人だが、意欲的な留学生として先生からの信頼も高い優等生に思われているようだ
密猟者やゴブリンを被験体にすることもあるが悪人なのでセーフだと思っている
ロッタ・モッタ(ハッフルパフ生)
植物を愛し植物を愛した才女
人間に対しても動く植物として愛情を注ぐので、実態を知らない学生から聖女のように思われている
自身は物を動かすくらいの呪文しか使えないが、白菜やマンドラゴラをぶん投げてゴブリンを殲滅する
エリオット・ブルストロード(スリザリン生)
許されざる呪文に魅入られた貴族の嫡男
純血主義で身内に優しく、皮肉屋で意地悪というスリザリン生なので仲間うち以外からは割と嫌われている
許されざる呪文の他、樽爆弾への変身術や高所からのアクシオなど卑怯な戦法で嘲笑う
アン・タレント(グリフィンドール生)
決闘が大好きなちょっと危ない女の子
必須呪文とR2魔法しか使えないが、それでも決闘をひたむきに頑張る姿にキュンときた男子生徒も多いという
他3人と比べたら自分は正々堂々真正面から密猟者に挑み壊滅させているのでまともだと思っている - 131二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:43:33
「純血とはなんぞや」の特別授業が終了し、すごく楽しい授業を受けたという表情の女の子を横目に、その姉は
立ち上がり、ギャレス・ウィーズリーに近寄って思い切り抱きついた。
「おや、どうしたんだい急に?」
優しい表情で微笑むギャレスに、その4年生の女子は真剣な表情で言った。
「私、ウィーズリー先輩のこと誤解してました。妹を拐かして変な薬を飲ませる要注意の変態だと思っていました」
イメルダもポピーもセバスチャンも、7年生はみんな笑った。正しい認識じゃないか。
「私、ウィーズリー先輩の事を尊敬します。皆さんのことも」
ここでアミットが衝撃的な事実に気づいた。
「僕、2人にちゃんと自己紹介してない。みんなも殆ど全員。………この恥じらいを忘れたアホ以外は」
その場の全員がなぜ気づかなかったのかと衝撃を受けるなか、未だに下着姿のままうろついている7年生の女生徒は
どこ吹く風で菓子を漁っていた。
- 132二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:03:55
- 133二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:42:36
いいね、「ちゃんと“記録”したかい?」って言われて怪訝な顔をする後輩アルバス君
7年生になったらフィールドガイドにそういう機能が追加されるのかと思ってたら追加されなくて、卒業式で怪訝な顔をするアルバスの写真がアルバムに載ってるんだろ
- 134二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:43:47
7年生の先輩達がハッフルパフ生の姉妹の前に横一列に並んで1人ずつ改めてキッチリと自己紹介をしていき、離れた所で
ダンブルドア少年がフォークスに見守られながら古くて分厚い専門書と辞書片手に魔法生物学のレポートの
最終チェックをしている中、尚も下着姿のまま菓子片手にうろつきまわっていた女生徒が姉妹に挨拶を終えたばかりの
セバスチャン・サロウに声をかけ、呼び寄せた。
「ね、妹さんの事なんだけどさ」
「どうした?」
「えーーーー、その、……………最近どう?」
セバスチャンは見たこともない満面の笑顔になった。
「一昨日ふくろうが手紙を寄越した。……………来月からホグワーツに復学することが決まった。何もかも
お前のお陰だ。心から感謝する」
それを聞いて、事情を以前本人にきいて知っているダンブルドア少年が話に入ってきた。
「治ったって本当ですか?!!おめでとうございます!でも、なんの手がかりもないって話だったんじゃ」
それに回答したのは急速に真面目な表情をし始めた下着姿の女生徒だった。
「今でもなんの手がかりもないよ。だからずっと、手がかりなんかなくていい方法を試してたんだ。これでダメなら
本当にもう諦めるしかない、って方法。お父さんに信用してもらうのが大変だった」
「何したんです?」と訊ねるダンブルドア少年に与えられた答えは驚きのものだった。
「不死鳥の涙。僕が不死鳥に提供してもらって、この2年間ずっと送り続けてた。セバスチャンの妹はそれを毎日
朝晩ずっと飲んでた。2年間。結果としてはそれが功を奏した」
- 135二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:44:00
このレスは削除されています
- 136二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:46:23
このレスは削除されています
- 137二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:55:51
酷い誤字を見つけて消して再投下したらまた改めてひっどい誤字を見つけたんだ失礼
「最初にコイツが不死鳥の涙をくれた時は僕はダメだろうと思ってた。けど僕の叔父は、前言った通りそれまでむしろ
叔父のほうが完全に諦めきってたんだけど、まさか手に入るなんて思ってなかった名高い超貴重品を前にして
希望を取り戻した。アン自身もだ。けど効かなかった。体にかけても何も起こらなかった、それで僕ら家族が
落胆しきってるときに、コイツが言ったんだ。『不死鳥の涙はほとんどの記録で、その場で患部に注がれるだけで
長期にわたって継続接種し続けた記録が無い。だから最後にそれを試してみよう。希望を捨てるのはそれから』」
そのセバスチャンの言葉で一応納得した様子のダンブルドア少年は、唯一最大の疑問を言葉にした。
「でもそんな不死鳥の涙をどこから?いくらなんでもそんな量をどうやって用意したんですか?」
「あ、そういや言った事なかったね。僕が飼ってる不死鳥から貰ったの。セバスチャンと一緒に、妹さんの事を
不死鳥に丁寧に説明して、どうか協力してくれないかってお願いしたんだ。そしたら次の日から毎朝10分間
涙を流し続けるようになった。セバスチャンの妹さんのために涙を流してくれたんだ」
下着姿の女生徒のその説明を受けたダンブルドア少年は心底から驚く一方で納得もしていた。自分とフォークスが
初めて出会ったあの日、みんなが驚き感動している中、この先輩だけはどこか訳知り顔だった理由が今わかったのだ。
- 138二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:15:43
めちゃめちゃ好き
- 139二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:17:40
ダンブルドア少年と2人の先輩が話し込んでいる時、姉妹に順番に自己紹介していた7年生の先輩たちの最後の1人が
にこにこ顔で先輩たちを見ているハッフルパフ生の姉妹の前に歩み出た。
「じゃあ僕の番だね。僕は『 オ ミ ニ ス 』。『オニミス』じゃない。良いかい?『 オ ミ ニ ス 』・ゴーント。
オニミスって呼んでくる奴がよくいるけど僕もちろん間違えられて良い気はしないからね。で、おそらくは
僕の一族の因習のせいで、僕はこの通り目が見えない。けれど杖のお陰でそれを補えてる。2人の髪が何色なのかも
ちゃんとわかるよ」
何も居ないはずの方向を睨みながら念押しするオミニス先輩がなんだか面白くて、姉妹は揃ってクスクス笑った。
その光景の向こうで、下着姿の女生徒が友人に本題を切り出す。
「ね、セバスチャン。不死鳥についてもレポート書くつもりだって言ったけど、その君の妹さんの治療の事を
レポートにさせてほしいんだ。勿論君が嫌なら別のテーマにする。妹さんにはさっきふくろうで意思確認の手紙を
出して、今返事待ち」
「妹がいいなら、僕もいいよ。お前には世話になったし、礼にはまるで足りないけどそのぐらいは。けど条件がある
廊下や外を下着姿で歩き回るのを金輪際やめろ。それが誓えるなら妹が良いと言ったらそれをレポートにしていい」
セバスチャンのその答えを聞いた女生徒は、あろうことかものすごい苦渋の表情で何分も悩み続けた。
- 140二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:25:50
ソロモンおじさん生存&セバスチャンがアバダルートが消えてて尊い……
二次だからそういうのもいいよね大好き!ありがとう!! - 141二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:31:58
作者睨まれてて草
- 142二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 22:38:17
続いた!見どころは自己肯定感の低いレガ主です!
「これは……鎮痛剤に使われるベラドンナエキスですね?先輩が気を失うほどのあの痛みを抑えるためですか?全部説明してください」
「いやあ……それは……あのう……」
アルバスが小瓶を軽く揺らしながら詰め寄る。なんとか問題なく喋れるまでには回復した私はこの恐ろしい後輩に説明責任を問われていた。
「先輩?」
「ゔゔ……分かったよ……」
後輩の圧に耐え切れず、ぽつぽつと話していく。
「……呪いを移し替えた、ですって?」
「……友人の妹の呪いを自分に移せばいいんじゃないかと思って……実際それで上手くいったんだ……その子が元気になって、叔父さんも友人も凄く喜んでくれた。だから「正気ですか先輩?それのどこが上手くいったんですか、先輩?苦しむ人間がその妹さんから貴方に変わっただけじゃないですか!?それのどこが上手くいったんです!?」アルバス……」
彼の言う通りだった。
「でもこれが最適解なんだ……姿が変わるのは誰も気にしていないし、痛みだってベラドンナエキスを服用すればなんとかなる。古代魔術の研究をもう少し進めればいずれは痛みだって抑えられるかもしれない」
「そうやって一人で抱え込んで……!どうして人を頼ろうとしないんですか……!?周りからの頼み事ばっかり聞いて!そうやってずっと自分の事を後回しにし続けるつもりですか!?」「それは……」
「いつもいつも他人のためにばかり動いて……!自分はいつも二の次で……!!そんなのおかしいでしょう?どうして先輩が犠牲にならなきゃいけないんですか?」
両肩を掴まれる。彼の手がぎりりと食い込んだ。
「……っ、アルバス、だから今、君を頼っているんだ……君を巻き込むことになってすまない……」
アルバスは盛大なため息を吐いた。
「……頼り方がド下手くそなんですよ……」
「ごめんなさい……それと他言無用で頼む」
「仕方ありませんね……じゃあ僕が困っていたら助けてください」
「君が困ることなんてそうそうないだろう?」
「いいえ、困っています。差し当たって、今。助けてください」
「それは構わないけど……」
首を傾げる私に、アルバスはしてやったりの笑顔を浮かべた。
「魔法史の資料集め……手伝ってくださいね?」
青ざめる私をよそに、アルバスは今日一番の笑顔を浮かべていた。
- 143二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 22:54:35
おけまる水産
名指しでやられたら書くっきゃないでしょお‼︎
魔法省で事件が起きていた頃、校長室では。
「アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア。お前を連行する。」
白銀の髭を豊かに蓄えた老人に、闇払い達が総出で杖を構えていた。
「ほっほっほ。何故ですかな?」
未だ余裕そうに笑う老人は秀でた呪文術へのバーナバス・フィンクリー賞や、カイロ国際錬金術会議での革新的な論文による金賞を受賞し、ドラゴンの血の12の情報の発見、ニコラス・フラメルと錬金術の共同研究を行ったほかマーリン勲章勲一等を授与されている大魔法使い、魔法戦士隊長、最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟議長、ウィゼンガモット最高裁主席魔法戦士
…そしてホグワーツの校長を務めるアルバス・ダンブルドアその人だった。「貴様が闇の魔術、及びそれに匹敵するほどの闇の物品を持っているかもしれないからだ!」
「成程…ファッジ君の差し金ですか」
ダンブルドアは、す、と両手を手の上に挙げる。
「先生⁉︎」
「やけに大人しいな」
「儂がこれ以上魔法省に逆らえば、さらにこの国が混乱するでしょう?」
不敵に笑う。まるでこうなることもわかっていたかのようだ。
しかし、そう言って気が抜けたのか。
彼らはこの老人に手錠をつけ、一息ついて雑談を始めた。
- 144二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 22:56:01
「そう言って、逃げる算段でもついているんだろうな」
一際大きな声で話す二人組が目についた。
「全く…とんだ迷惑だ。」
「まさか…例の“先輩”に助けてもらうつもりかもな」
「ないない、あのダンブルドアを超えるなんてないだろ!」
「それもそうだな!」
「にしても自分がたまたま天才と同じ学校にいるだけで尊敬されるなんて、いい人生だよな」
楽しそうに話す二人。
しかし話に没頭していたせいで後ろの静かな殺気に気がつかなかった。
「後輩の七光りなだけで能無しだよ、あいつ。ぜーんぜん表に出てこないのがその証拠…」
紅の閃光が脇すれすれを通る。
アバダ・ケダブラでもないはずなのに、直撃したら人一人は簡単に殺せそうなほどの殺意が込められた呪文。
周りの闇払いは急いで上を構え“プロテゴ”の準備をする。
「な、何をするんですか、ダンブルドア…」
着けたはずの手錠もいつの間にやら外されていた。
杖なし呪文。
そう悟った哀れな二人組はただどうすることもできなかった。
「…儂が今放ったこの魔法。実は先輩が教えてくれてのう。ああ懐かしい。あの頃はどうしてもこの武装解除呪文ができなくて、軽蔑されるのが嫌で泣きながら必死に練習しておりましたなあ…
今ではほら、こんなに得意じゃよ。
先輩達は決して笑わず、優しくコツを教えてもらって。またあの頃に戻れたら、どんなに素晴らしいことか…。」
「きゅ、急に何をおっしゃいますやら…いきなり魔法も放たれ、一体どうしたのですか?」
残りの勇気を振り絞り、震える声で“先輩”を貶した男はなおも尋ねた。 - 145二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 22:58:44
「ふぉっふぉっふぉ。訂正、して欲しいのじゃよ。彼は決して七光りではない。彼がいなかったら今の儂はないし、ここまで有名でもなかったろう。儂の偉業の始めは半分先輩の七光りのようなものじゃ。」
「で、ですが奴は貴方様ほどの手柄はあげておりません!ダンブルドア、あなたは本当にどうしたのですか‼︎?」
彼らはとても大きな地雷を踏んでしまった。
先輩は笑うかもしれない。そんなの気にしないよ、と。しかし、あのとんでもない変人でされど常に自らを影で支えてくれていた先輩の価値が分からない者に…もはやこれ以上の慈悲はいらない。
そう、考えてしまった。
アルバスの脳裏にあの日のことが思い浮かぶ。
『先輩…』
必要の部屋。アルバスは電気もつけないで一人奥まった机で泣きながら教科書を開いていた。
『まーた陰口かい?』
『ううん、できない…みんな、できてる…お手本に、手本にならないと…僕は』
支離滅裂な言葉でわっ、と泣いた少年をを撫でながら“先輩”は涙の滲んだ教科書を覗き込む。
『あー、武装解除呪文かー…確かにコツがいるよねー…』
『やだ…できないのやだ...!またきらわれちゃう…!もうはなれてかないで…
ずっとひとりは、やだよ…』
先輩は彼の隣にそっと座り、少年を抱きしめた。
強く強く、抱きしめた。自分はここにいると示すように。
『ねえアルバス』
腕の中で少し落ち着いたのか、微かに頷いた様に見えた。
『…アルバス。自分が〈ホグワーツ校始まって以来の秀才〉と言われてるからって、なんでも出来ないといけない、ということはないよ。
ほら、僕も…ずっと アロホモラはできないまんま!
みんなが当たり前にできてることが、僕も出来ない。
…だから、さ。いっしょにがんばろ?』
「手柄、手柄と。…気が変わった。儂は最後の最後まで魔法省から逃げ続けることにした。」
彼の常人離れした忍耐力によりどうにか堪えられていた怒りが遂に爆発し、辺りが真っ白になる。
「は?ぐぇっ」
「先輩…無事でしょうか」 - 146二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 22:59:15
みんな書くのが早いのにすごくいい文に仕上げてくるんだ。尊敬する…。
最後に。流れぶった斬ってごめんなさーい‼︎‼︎ - 147二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:06:09
- 148二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:06:27
うぽつ。大好き!見どころ載せてくれるの嬉しい!
- 149二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:29:10
結局、アン・サロウからの返事のふくろうに「是非に」と書かれていた事によって、金輪際下着姿で廊下や外を
歩いてはいけなくなり「ちぇー。清々しいのにー」とぶーたれたアホの7年生が後日ホウイン先生に提出した
「屋敷しもべ妖精に対する聞き取り調査から考察する魔法族の意識改革の必要性と現状が孕む危険」
「不死鳥の涙の長期継続摂取による呪詛快癒の可能性の提言と実例報告」
「ケンタウルス族へのインタビューから考察するヒト族との文化的差異と占い学に関する提案」
「アクロマンチュラとの話し合いから推測する彼らの価値観と習性及び商取引実現可能性」
「不死鳥2羽への百味ビーンズ給餌実験から見る不死鳥の個体差に関する考察」
は、そもそも1人で5つも提出した人間が他に居なかった事に加え、それぞれの内容もさることながらその発想の
独自性が大いに評価され全学年全生徒の中でぶっちぎりの最高評価を獲得し、さらにホウイン先生は「出版しないか」
とすら言ってこの7年生の女生徒に対して150点を与えた。が、女生徒は「私と関係者の個人名を一切出さずに
ホウイン先生の名前で出すなら」といい、先生は「こんな素晴らしいものの手柄を私が譲り受ける事などできない」
と言って両者譲らなかった為、結局5つのレポートの写しを作って魔法生物学の授業で紹介する事が了承されるだけに
とどまり、本として世に出る事はなかった。
それでもその女生徒はめっちゃ褒められた事で有頂天になっており、懲りずに下着姿でホグワーツ中をはしゃぎ周り
すれ違った先生方に次々素行不良で減点をもらい、先程の150点をその日のうちに消費しきったのだった。
- 150二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:44:33
何故下着姿を継続しているんだw
- 151二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:06:11
その日の7年生の「闇の魔術に対する防衛術」は、全寮合同で特別授業が行われた。そして今、その最後の締めくくり
として成績1位の生徒と2位の生徒による、少々特殊な形式の決闘が行われようとしていた。
「さて、2人とも準備はいいですね?」
へキャット先生にそう訊かれた、ハッフルパフの制服の上にグリフィンドールのローブを纏いスリザリンのマフラーに
レイブンクローの紋章を付け、目立つ位置に「指定席」と刻印された主席バッジもどきを付けた背の高い女生徒と
それに次ぐ成績のセバスチャン・サロウが杖を取り出して頷くと、へキャット先生は教室の外に呼びかけた。
「おまたせしました。2人とも入ってきてください」
その声を受けて教室に入ってきたのは2人の1年生。妙な制服姿の女生徒とセバスチャンがよく一緒に過ごしている
実は上級生達の間で「超かわいい」と密かな人気のハッフルパフの女の子と「稀代の秀才」ダンブルドア少年だった。
「では2人はこれを持って。あなたはそちらの先輩の後ろに。ダンブルドアはサロウの後ろに。そうです」
へキャット先生に渡された大きな水晶玉を両手で抱えた1年生2人がそれぞれ先輩の側に近寄った。
「いいですか、あなた達は最上級生です。そして来年には大人の魔法族として社会に出ます。つまり、子供達を
守る立場になるのです。目の前に居る闇の魔術師から、自分の後ろの1年生を守りなさい。自分の後ろの1年生が
抱える水晶玉が先に破壊されたほうの負けです。そして1年生のお2人は、逃げるのはいいですが、立ち向かっては
いけません。助太刀することよりも邪魔をしない事を考えなければいけない場合もあります。そして今回に限り
ハッキリ言っておきます。『手段を選ぶ事を一切禁止します。全てを用いて本気で戦いなさい。何をしようとも
咎めません』いいですか?理解しましたね?杖を構えて、…………始め!」
その声を合図に成績トップ2人による同級生全員の前での決闘が開始され、その2人は同時に遠慮皆無の呪詛を放った。
「「クルーシオ!!」」
- 152二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:30:03
初手許されざる呪文ブッパしてる………!!
いや、手段を選んだらダメ、何しても良いと許可ももらってるから、アバダ以外は良いのか
互いの実力を知ってるからこそのブッパと考えると信頼やな…… - 153二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:39:39
避けたら後ろのダンブルドア君に当たるかもしれないと判断したセバスチャンと、そもそも避けるつもりがなかった
妙な制服姿の女生徒は、結果として両者お互いに杖を向けたまま直立不動で「磔の呪文」の我慢合戦となったが
割りと涼しい顔をしている女生徒に対して、セバスチャンは膝をついて歯を食いしばり、汗だくになりながらどうにか
耐え続けていた。叫び声を上げないのは、彼の視界には水晶玉を持って心配そうにこっちを見ているハッフルパフの
女の子の姿がしっかり捉えられているからだった。
そして女生徒が杖を持っていないほうの手で投げつけた白菜をセバスチャンが全霊で飛び退いて躱したことで
女生徒は「磔」から開放され、セバスチャンを苦しめていた呪文も女生徒によって引き上げられた。
「アバダ・ケダブラ!」
噛み噛み白菜が暴れ始める寸前に緑の閃光を命中させてギリギリ黙らせたセバスチャンに心底楽しいらしい女生徒が
鋭く杖を向ける。
「レジリメンス!」
開心術という、絶対に喰らう訳にはいかない呪文を浴びてしまったセバスチャンは全身全霊を注ぎ込んでどうにか
「心を閉ざす」事に成功したが、それによって大きく隙を晒していた。
「アバダ・ケダブラ!へーい!避けると信じてたよ親友!」
「当たらないようにちょっと違う位置の床めがけて撃っといて何言ってる!アバダ・ケダブラ!」
「はーーずれーーー!そう言うセバスチャンも今おんなじことしたじゃーーん!」
あろうことか許されざる呪文が飛び交っているにも関わらず、1番側で見ている1年生2人は恐怖を感じなかった。
先輩たちが2人ともとても楽しそうで嬉しそうだったからだ。
- 154二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 01:02:40
「ステューピファイ!ぇえ当たったって今の!」
「失神してないんだから当たってないんだよ!しっかり狙えバーカ!エクスペリアームス!レダクト!」
女生徒とセバスチャンは笑顔で決闘を続ける。
「オブリビエイト!」
「ゔぁーーー!それはズルいって!インペディメンタ!」
「開心術かましてきた奴が言えたことか、インセンディオ!」
ゔぉーーー!と唸って呪詛を避けながら、女生徒は「検知不可能拡大呪文」がかけてある己の制服のポケットを
手で大きく広げ、その中へと大声で呼びかけた。
「ねー!!手段を選ばず『全部』使って試合に勝たなきゃいけないんだけどーー!!君にも応援してほしいーー!!」
その呼びかけは受け入れられ、女生徒の制服のポケットからダンブルドア少年の連れている「フォークス」とは違う
もう1羽の不死鳥が現れ、飛び回りながら美しく勇ましい声で歌い始めた。
- 155二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 01:18:37
「エバネスコ!」
不死鳥に一瞬目を奪われていたセバスチャンは、妙な制服姿の女生徒が死んだ噛み噛み白菜に杖を向けたのに気づいて
それを即「消失」させた。火薬の詰まった樽に変化させるつもりなのがわかりきっていたからだ。
「僕の爆弾とんないでよ!ルーモス!(ステューピファイ!)」
口ではルーモスと叫びつつ杖は失神呪文の形に振り無言でステューピファイを放つという器用なフェイントをかました
女生徒だったが、セバスチャンはそれを杖の一振りであっさり防いだ。
「え----!!!めっちゃ練習したのに今の!!すごい苦労したのに!」
「僕がそれに付き合ってやったのを忘れたのか?」
不死鳥が優雅に飛び回り2人共を鼓舞し続ける中尚も激しく呪文を飛ばし合う先輩たちを見て、ダンブルドア少年は
わりと重大なことに気づいていた。
(2人とも僕ら2人の事とか水晶玉がどうとかもう忘れてるな…………)
- 156二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 01:23:59
レガ主の不死鳥の名前が明らかにされないの、一人と一匹以外は誰も知らないって感じだといいな。一人と一匹しかその場にいない時だけ呼ぶ秘密の名前みたいな
- 157二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 01:57:59
女生徒が自分の制服のポケットに杖を突っ込んで「呼び寄せ」た大きな布を操ってセバスチャンを簀巻きに
しようとするが、それが「†セバスチャン†大好き☆今日も超かっこいい! ファンサして♡♡」と書かれた
横断幕であることを認識したセバスチャンは、目にも留まらぬ速度でそれに杖を向け「悪霊の火」をぶちまけた。
「そこまですることないじゃん!!!!」
ライオンと蛇を象った「悪霊の火」が、精密に横断幕だけを灰にしてすぐかき消えたのを見て女生徒が抗議した。
「ステューピファイ!!セバスチャンのバカ!!手縫いなのに!」
「その労力を他に使えアホ!フラグレート!」
不死鳥の歌はいつの間にか楽しげな旋律に変わっていた。
そして、「よく考えたら動いちゃだめとは言われてない」事に気づいたハッフルパフの女の子は、解説が欲しかった
ので自分と同じように水晶玉を抱えて立っているダンブルドア少年の元に、先輩たちの邪魔をしないように教室の
壁際を大回りして歩み寄った。
- 158二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 02:31:42
「ステューピファイ!レダクト!フリペンド!レラシオ!ディフィンド!コンフリンゴ!ルーモス・ソレム!」
白い光を纏って教室中を飛び回りセバスチャンの猛攻を回避し続けた女生徒は最後の「太陽光呪文」の眩い日光を
思い切り見てしまい、思わず目を閉じ動きを止めた。
(インペディメンタ!)
そこに無言で放たれた呪詛を、女生徒は察知して飛び退き、体全体を使って杖を大きく回すように振った。
「プロテゴ・ディアボリカ」
女生徒を取り囲む青い炎のサークルが出現したことで、セバスチャンは呪詛の連射をやめた。
「先輩どうするんだ…………?アレは対抗できるような呪文じゃないぞ…………」
「そうなの?ダンブルドアくん、あれなあに?」
「『悪魔の守り』って呼ばれてるすごく難しい闇の魔術。あの火はあの呪文を使ったものの敵だけを燃やす」
「そうなんだ…………おねーちゃんすごい…………でもそれって…………」
水晶玉を抱えたまま並んで話す1年生を尻目に、不死鳥が炎の輪の内と外を飛び回りながら歌い続けるのを眺めていた
セバスチャンは、杖をおろして大きくため息をつき、女生徒の方へ普通に歩いて接近し、平然と輪の内側へ入った。
それを見た炎の輪の中央の女生徒は慌てることもなく言った。
「あ、バレたか」
「お前のそれで僕が燃えるわけないだろ。ていうかこの教室の誰も傷一つ負わないだろ。敵を燃やす呪文だぞ。
『術者とその心からの仲間に対しての敵』を燃やす。そんな奴ここにはいない」
冷静にそう言ったセバスチャンは女生徒にさらに歩み寄り、お互いの鼻が触れそうな距離まで来て相手の目を見つめ
優しい声で穏やかに一言ささやいた。
「アクシオ。」
ハッフルパフの女の子の手元からその呪文で「呼び寄せ」た水晶玉をセバスチャンは受け止めなかった。
水晶玉はそのまま床に叩きつけられて粉々になった。
「そこまで!」
- 159二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 03:04:15
学年トップ2人の戦いぶりを見ていた7年生達の中には闇の魔術も禁じられた呪文もバンバン飛び交った事にまだ
恐怖している者もちらほらいたが、大多数は今見た戦闘を大歓声で称えた。
「2人とも素晴らしい戦いでしたよ。ですが、まずは最終的に勝利したセバスチャン・サロウを称えましょう。
スリザリンに10点差し上げます。ではセバスチャン、勝因は何だと思いますか?」
へキャット先生に促されて、セバスチャンは冷静に分析し始めた。
「これがみんなの前で授業中だった事と、よく知った1年生2人が側で見てた事と、相手が親友だった事です。
それと、コイツが僕のことを親友だと思ってくれている事です。今回僕はそこにつけ込みました。だから
コイツは、僕が警戒を解いたら釣られて自分もそうした。ちょっと会話するんだとでも思ったんでしょう。
だから勝てたんです。コイツが本気で容赦なくやったら、僕は絶対に敵わない」
「効果的な戦い方だったと思いますよ、セバスチャン・サロウ。よい分析でした。では一方あなたは、なぜ
負けたのだと考えますか?」
へキャット先生にそう訊かれた妙な制服姿の女生徒は、ものすごい表情でセバスチャンを睨み続けていた。
「楽しくなっちゃったからです…………正直途中から1年生2人と水晶玉の事を完全に忘れてました。それに
普通に負けるより悔しいです……………あああああー---!!もーーーう!」
そう言って床に座り込んだ女生徒の側に不死鳥が飛来し、歌うのをやめて女生徒の左肩に降り立ったかと思うと
女生徒の頭を嘴で小突いた。
「もーーー!君までなにさーー!僕これでもがんばったんだよ!」
楽しそうな声で大きく鳴いたこの不死鳥と女生徒の間には、ダンブルドア少年とフォークスの間に結ばれている
ものとは少し違う形の絆があるようだった。
- 160二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 03:06:21
- 161二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 03:21:17
有り余った文才が無意識に漏れ出ちゃってるんだよ
- 162二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 04:15:03
- 163二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 04:22:13
ていうかもう残り40切ってるのか
いつでも立てられるようにするから気にしないで書いてていいからね
立てる目安は192くらいにしておく - 164二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 08:05:30
業務連絡
今日はちょっと忙しいので投稿遅くなるかも、すまん……!
続きました!見どころは髪飾り!
「卒業おめでとう、アルバス」
卒業式当日、ホグワーツは温かな雰囲気に包まれていた。
「ありがとうございます、先輩。今日は普通の服装で……ん?」
安心しました、と言おうとしたアルバスだったが彼の前髪を留めている特徴的な髪飾りが目に入った。4つの寮のカラーが髪飾りを順番に染めていく。そうかと思えば深紅とエメラルド・グリーンが互いの色を主張しようと狭い髪飾りの中で押し合いへし合い。青と黄色はぐるぐると渦を巻いている。なんというか目まぐるしい。
「うわあ……」
「ドン引きしないで!?いいじゃん!ちゃんとローブ着てるし!!」
「目に優しくないです……」
「仕方ないなあ……」
前髪についていた髪飾りの形を少し変え、ヘアゴムの飾りに変える。そして今度は後ろ髪を結んだ。
「似合う?」
「トテモオニアイデス……ってそれよりも!僕この後旅行に行くので!」
「ああ、エルファイアス君と行くんだっけ?いやあ、青春だね〜!」
「先輩はどうされるんですか?僕、先輩が普段何をしてらっしゃるか知らないんですけど……」
「うーん、このまま古代魔術の痕跡を探し続けようかなあ。ついでに密猟者狩りもやってたらさ、こないだ魔法省から闇祓いになってほしいって勧誘があったんだよね」
「凄いじゃないですか!」
「でも闇祓いかぁ……闇祓いっていっても魔法省に所属すると色々面倒くさそうで嫌なんだよね……」
「先輩……貴方という方は……」
先輩らしいと言えばそうかもしれない。が、せっかくの勧誘なのだから素直に受ければいいのではとも思う。
「……じゃあ僕はそろそろ行きますね」
「うん、気をつけて行っておいで。たまには手紙を「アルバス・ダンブルドア。緊急の連絡があります」副校長?」
二人が振り向くと、険しい顔をしたウィーズリー副校長が立っていた。
- 165二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 11:09:49
その日の全ての授業が終わったあと、いつもの7年生と友人達はスリザリンの談話室に集合して談笑していた。
「ねえねえおねーちゃんたち、さっき周りで見てた先輩たちの中に、怖がってる人たちがいたのはどうして?」
ハッフルパフ生姉妹の妹のほう、周りの知らないスリザリンの上級生たちからパフスケインなんか目じゃないくらいの
可愛がられ方をしている1年生の女の子が質問したのはさっきの「闇の魔術に対する防衛術」の特別授業の話だ。
全ての寮の7年生とステージギミックとして招聘された1年生2人の前で、その教科の成績トップ2である
セバスチャン・サロウと今パジャマ姿で宿題のレポートの上にマフィンを食べこぼしている女生徒は
「何をしても咎めないので手段を選んではいけない」「全力で」と命じられた上で本気の決闘をし
建前の上ではそのルール故に、本音としてはテンション上がっちゃったので、闇の魔術を盛大に撃ち合ったのだ。
「そりゃアレだけ闇の魔術やら禁じられた呪文やら撒き散らしてたらコイツらの事をよく知らない生徒はビビるわよ」
イメルダ・レイエスのその発言に、ハッフルパフ生の女の子は、実はその授業中にダンブルドアくんの解説を
聞いているときから抱いていた疑問を先輩たちにぶつけた。
「闇の魔術って、なあに?」
周囲の親しい7年生達だけでなく、興味本位で近寄ってきていたあまり親しくない他のスリザリン生達も頭を抱えた。
……………どう説明したもんか。
- 166二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 11:38:14
※「オリキャラ出すなら名前はぼかす。読む人が持ってる世界観を壊さないように」が自分ルールの1つでしたが
名前を出した上でこれに抵触しないやり方を思いついたのでオリキャラが出てきます。そんな浮かん筈……
スリザリンの談話室にいた全員が頭を悩ませていた。スリザリン生には少なからず、悪い意味でプライドが高い者や
攻撃的だったり意地悪な生徒が伝統的に所属していたが、当代では、寮の中心人物たる数人の7年生に影響を受けて
そのような生徒のほとんどが、言ってしまえば「スリザリンっぽくない」性質を受け入れていた。結果として
スリザリンたる性質の内、良いと言えるものに加えて、他の3寮と変わらない朗らかさを得るに至ったスリザリン寮は
ここ数年で劇的に変わっていたのだ。その変化はもしかすれば束の間、今だけのものなのかもしれなかったが
それでもその変化を当のスリザリン生達自身が「居心地が良い」と感じているのは事実だった。
そしてそんなスリザリン生達と、数人の他寮の7年生達は一様に脳を高速回転させる。この愛らしい1年生に
闇の魔術などというものをどう説明するか。ごまかしたくはないが、怖がらせたくもない。そして傾倒させたくない。
「もしかして俺達の出番じゃないかって気がしたんだがね、違うか?サロウ」
そう言いつつ近寄ってきた数人のスリザリン生を、セバスチャン・サロウは歓迎した。まさに呼ぼうとしていたのだ。
「おお、そうだ、まさに出番だ。手伝ってくれるか。オミニス、ノット、クラッブ、レストレンジ、マルフォイ」
- 167二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 12:23:56
かしこい
- 168二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 12:42:31
「『エクスペリアームス』知ってるかいお嬢ちゃん?」
レストレンジと呼ばれたものすごい美人の女生徒が問いかける。
「うん!見たことあるよ。杖を飛ばしちゃうやつ!」と談話室のみんなに注目されている女の子は元気に返事をした。
「そうだ。よく知ってるね。エクスペリアームスは『武装解除術』だ。だから魔法使い同士でやったら―――」
そこでレストレンジは「ほらどうぞ」とばかりに杖を掲げたマルフォイに杖を向ける。
「エクスペリアームス!!と、こうなる。杖は魔法使いの『武装』だからね。悪いねマルフォイ。ありがとよ」
そう言いながらレストレンジは自分がふっ飛ばした杖を自分で拾いに行き、ちょっと申し訳無さそうにしながら
マルフォイと呼ばれた痩せた色の薄い金髪の男子に手渡した。
「さて1年生、ここからが大事だ。僕は今どうなった?怪我をしてるか?死んでるか?」
杖を受け取って仕舞ったマルフォイが穏やかに語りかける。
「武器が飛ばされちゃったけど、怪我はしてない!髪の色がすごくかっこいい!!」
思わぬ賞賛まで浴びたマルフォイは、うっすら嬉しそうに続きを語った。
「お褒めいただきありがとう。ああ、両親から受け継いだものさ。で、君の言う通り、僕は杖を飛ばされた。これで
僕は無力化された。他のもっと危険で強力な魔法族でも、杖を失ったらほとんど何もできない。ごく一部の
最も強力な魔法族や、そもそも文化や教育方針が異なるアフリカの魔法族などを除けば、杖を失えば『無力』だ」
マルフォイは興味津々といった様子の女の子をじっと見つめる。
「ここからわかるのは、この『エクスペリアームス』を考え出したやつは、あくまでも身を守る事が目的で
相手を傷つける事は望んでなかった、って事だ。でも『闇の魔術』はそうじゃない」
- 169二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 13:06:01
アバーフォースの不適切な呪文に対するピュアピュアなレガ主の反応について
「アルバス!君の弟が逮捕されたって!?」
「ああ……先輩……そうなんじゃ……」
「一体何をして……」
「ヤギに……」
「ヤギ?ああ、彼が飼っていたヤギかい?それが?」
「弟はヤギに……“角が清潔なヤギを作る魔法”をかけたんじゃ……」
「そ、それは……」
「すみません……身内の恥をさらして「君の弟はベゾアール石に次ぐヤギの活用方法を生み出そうとしていたのかい!?」はい……?」
「だってヤギと言えばベゾアール石だ!体内の結石が魔法薬の材料になるなら、その角だって何かの役に立つはずだ!」
アルバス・ダンブルドアは思わず先輩を抱きしめ、まるで幼子を褒めるような手つきでその頭を撫でた。
「……そうですのう」 - 170二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 13:07:57
「さあお嬢ちゃん、ケーキをどうぞ。でもこれから使うからまだ食べないでね。おらお前らのぶんだ受け取れ」
女の子に優しく小さなカップケーキを手渡し、他の友人達には雑に投げてよこし、パジャマ姿の女生徒相手には
全力投擲して顔を狙って「いい加減お前も参加しろ」と態度で訴えた背の高い7年生のノットが説明を引き継ぐ。
「普通の、ホグワーツで僕らが習うような魔法は、例えばこのケーキをもっと美味しくしたいとか、もっと大きく
したいとか、もう1個ほしいとか、あとは食べこぼしを片付けたいとか、そういう考えを実現するものだ」
そう言ったノットは、終えてもなお机の上に出しっぱなしの宿題の上にボロボロこぼしながらマフィンを食べ続けて
いたパジャマ姿の女生徒の方に杖を向け、一振りで食べこぼしや絨毯のインク染みをきれいに消してみせた。
「おおーー、イケメンは気が利くねぇ。ありがとう!」
呑気にそんな事を言ってケラケラ笑うパジャマ姿の女生徒に呆れながら、ノットは説明を続けた。
「せめてもうちょっときれいに食べろ。で、一方闇の魔術は、例えるなら、こうだ」
ノットは杖の一振りでさっきみんなに配ったカップケーキを全て奪い去り、自分の顔の側に集めて浮かせた。
「これは全部俺のもの。俺さえ良ければ他がどうなろうが知った事か」
- 171二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 14:03:01
自分の担当する分の説明を終えて、宙に浮かせたカップケーキをひとつひとつ手にとって丁寧に手渡しで
配り直していくノットを横目に、背が高い上横にもかなり大きい筋骨隆々のクラッブが立ち上がった。
「おにーちゃんおっきいね!すごく強そう!かっこいい!!」
その言葉を受けて露骨に顔をほころばせながらクラッブは、利き手と逆の方の服の袖を肘まで捲り、肌を見せた。
「『闇の魔術』は言ってしまえば悪いやつが、悪いことをするために作り出した魔術のことだ。普通のとは違って
苦しめてやろうとか、さっきノットがやってみせたみたいに、自分さえ良ければ他人が困っても良いというような
考えが反映されている。だから危険だし、軽々しく使うべきではない。詳細を語ることすら避ける者も多い」
クラッブはそう言って杖を取り出して自分の腕に呪文を唱え、2種類の傷を付けた。両方から血が流れている。
「自分の腕を自分で切り落としたい気分じゃないからかなり弱くやったが、この傷が両方見えるかい?」
「痛そう………血が出てる…………だいじょうぶ………?」
女の子に「大丈夫さ」と笑って見せてからクラッブは説明を続けた。
「こっちの傷は、普通の切り裂き呪文『ディフィンド』だ。だから普通の癒し呪文が効く。『エピスキー』」
クラッブの呪文で片方の傷がきれいに治ってしまったのを見て、女の子は目を一層輝かせる。
「でもこっちは『闇の魔術』で付けた傷だ。唱え方は内緒。で、だから普通の呪文じゃ…………エピスキー!」
治癒呪文を受けたにも関わらず、もう一方の傷からは変わらず血が流れ続けていた。
- 172二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 15:14:45
「闇の魔術による傷や痣、それに呪いなんかは、そんじょそこらの呪文や薬じゃ治ってくれない。考え出した奴の
性根が曲がってるから、『あの呪文では治せないようにしよう』とか『あの薬は効かないようにしよう』とかの
意地悪な対策がされてるんだ」
血が流れ続ける腕を女の子に見せながらそう語るクラッブに、オミニスが歩み寄って杖を構えた。
「だから、そういう奴らが仲間内でだけは治せるようにするためなのか、そういう奴らに対抗するために作り出された
のかはわからないけど『そういうのを治すための特別な呪文』があって、それを使わなきゃいけない」
女の子の顔の直ぐ側で血が流れ続けるクラッブの腕の傷に、オミニスは杖を向け、歌うような呪文を唱えた。
「ヴァルネラ・サネントゥール。ほら、このお兄ちゃんの腕の傷はどうなったかな?」
「治ってる。オミニスすごーーーい!!」
「闇の魔術には、もっと危ない面があるよ。1番危ない特徴。大勢が欲しがって破滅した理由」
ずっと話に参加せず、ソファーに深く座って黙って聞いていたパジャマ姿の女生徒が口を開いた。
「ホグワーツに、生徒の中じゃ僕以外誰も知らない部屋があるんだ。先生方だって正確な道のりは知らない部屋が」
- 173二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 16:45:31
- 174二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 17:02:15
「その部屋には、大昔に作られた『容れ物』があって、そこに、ある闇の魔法使いが長年集めて蓄え続けた酷い有様の
『闇の魔術そのもの』というべき爆弾みたいなものがあった」
パジャマ姿の女生徒の話にセバスチャンもオミニスも、その場のスリザリン生達も皆が聞き入っていた。
「その闇の魔法使い自身も、その後にそれを欲しがった奴らも、みんな破滅した。彼らの計画が甘かったからじゃない
彼らの力が弱かったからじゃない。彼らの考えが甘かったからでもない。もっと根本から失敗していたんだ。
いいかい、みんな。闇の魔術ってものは時々、すごく魅力的に見える事がある。それが唯一の方法のように思える。
闇の魔術こそが救いの神だと確信する事があるだろう」
パジャマ姿の女生徒は、真剣な顔でこっちを見ているセバスチャン・サロウと目が合った。
「何を引き換えにしてでも絶対に叶えたい望みがあって、そしてそれが不可能だと宣告された人間にとって
闇の魔術は「可能性」に見える。けどそう思ってしまった人はもう、闇の魔術の悪辣さに絡め取られているんだ。
闇の魔術ってやつは『それを作り出した人の』望みを叶えるように出来ている。しかもすごく乱雑に叶える。
そしてそれはつまり『後の世でそれを習得した奴』の願いを叶えるようにはできていないだから闇の魔術に
一縷の望みを懸けるような事をすると最後には」
「こんなはずじゃなかったのに、って思う事以外何もできない狂人に成り果てる。僕もそうなっていたかもしれない」
セバスチャン・サロウが静かに口を開いた。
- 175二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 17:36:25
「僕の妹がもうすぐ復学する。この『ファッションセンス』という概念を持ち合わせないアホの友人のお陰だ。でも
コイツがその『結果的に功を奏する事になるこれでダメなら無理ってくらい最後の方法』を思いつくまで、僕は
妹がかけられた呪いを解くという己の望み以外の事を考えられなくなっていた。その頃の僕には闇の魔術は
『可能性』で 『闇の魔術による呪いなのだから闇の魔術を学べば治せるかも』という意識に取り憑かれていた」
セバスチャンがこの話をみんなの前でできるまでになったのは、パジャマ姿の女生徒と親友オミニスのお陰だった。
話を聞いているスリザリン生の中には「言われてみれば正気じゃねぇ顔してたな」という表情の者が何人か居た。
「あの頃の僕がどんなだったか知ってる奴も居るだろ。コイツと出会って救われるまでの長い間、僕は闇の魔術に
取り憑かれていた。今にして思えば破滅寸前だったのに、当時は『希望はもうすぐそこ』って思ってた」
セバスチャンの話をそこまで聞いたところで、我慢できなくなったらしいパジャマ姿の女生徒とオミニスが立ち上がり
セバスチャンに駆け寄って2人して抱きしめた。
「大丈夫。もう大丈夫だから。でもお前はまず口の周りを拭け。4歳でももうちょっときれいにマフィン食べるぞ」
セバスチャンの制服には、パジャマ姿の女生徒が強く抱きついて顔を埋めた事により、その口の周りの砂糖やら
チョコレートやらホイップクリームやらが、べったりと刷り込まれていった。
「気持ちは嬉しいが流石に離れろアホ!!」
- 176二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 18:34:03
レガ主は後の世で闇の魔術と呼ばれるようになる魔法を生み出す側に居がちだと思うんだけど、自分だけかな
人間火薬樽を容赦なく活用するあたりからなんだけど、「だってコイツらがこんなことするんだし、対処するためには仕方ないよね」精神でえげつない魔法を作り出しそうなんだよな…いやもう人間火薬樽がエグいんだけどさ
「密猟者がよく使う呪文を特定して、キャンプ地に「特定の呪文を唱えたら火薬樽になる呪文」をかけておけば火薬樽のストック貯まるかなぁ」とかやりそう - 177二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 18:59:00
あれなんだぜ、ダンブルドアとかお辞儀みたいな極まった魔法使いになると周りの物を変身術させまくって自分の武器にしたり盾にするなんて当然なんだ。
クァンタペットという魔法生物とかは、決闘で負けた魔法使いが一族にかけた不意打ち変身術で生まれたものだし、その例から見ても人間への『決まれば勝てる』が変身術。
ただし、そんなのをリアタイでやろうものなら文字通り頭から火を吹くほどに難しく、そんなものを決闘で使いこなせる奴はそうそういないんだ。 - 178二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 19:14:43
チョコレートやホイップクリームやら涙やら鼻水やらでベチャベチャドロドロの顔のまま話し始めようとした女生徒に
オミニスが杖を向け「流石にそのままじゃみんな話が頭に入ってこないよ」と一振りで全て拭い取った。
「ん、ありがとう。これほんとに僕が話していいのかなセバスチャン……………、あ、そう?じゃあ話すよ。
セバスチャンが『闇の魔術こそ唯一の可能性』って思い込んでた頃、セバスチャンの妹と叔父さんは、ただ呪いに
苦しみながら過ごしたんじゃなくて、先に進もうとしてたんだ。呪いの痛み苦しみを受け入れて、ホグワーツに
通えない事も受け入れて、そんな姪の事を優しく受け入れて、行きていこうとしてた。でもセバスチャンはその頃
『闇の魔術を学んでいけばきっとアンは治せる』って信じて『クルーシオ』とか練習してた。それってつまり」
「「「「「「 イ カ れ て る 」」」」」」
オミニス、ノット、レストレンジ、クラッブ、マルフォイそしてセバスチャンが声を揃え、周りのスリザリン生も
みんな頷いた。
- 179二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 19:30:36
「闇の魔術を良い事に使おうとする人もいた。『すごく痛そう。痛みを取り除いてあげよう』『悲しみを取り除いて
あげよう』『また苦しそう、苦しみを取り除いてあげよう』そうしてその人は呼吸してるだけの死人を作った」
パジャマ姿の女生徒は話し続ける。
「コレが闇の魔術が忌避される理由。『慮る』って能力を麻痺させて、短絡的な発想しかできなくなる。最高の癒やし
だと信じて人を傷つける。そしてそれをやってる当人には、自分以外の全員が『理解しない愚か者共』に見える。
使っちゃダメって言う理由、使ってほしくないなって気持ち、わかってくれた?」
「わかった。闇の魔術、ってかなしいものなんだね。………でも、じゃあおねーちゃんはなんで使うの??」
女の子のその質問に、キョトンとした様子の女生徒は不思議そうな表情で答えた。
「使いたいからだよ?」
女の子は「そうなんだ!でもあんまり使っちゃダメだよ?」とすんなり受け入れたが、それ以外のその場の全員が
同じことを思っていた。
「イカれてんのか………?????」
- 180二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 19:51:51
女の子がみんなに丁寧にお礼を言ってハッフルパフの談話室へ戻っていった後、セバスチャンは気になっていた事を
パジャマ姿の女生徒に訊いた。
「その『闇の魔術そのものみたいな爆弾』まだあるのか?」
「あるよ?ほしいの?」と女生徒が返す。
「いらないよそんなもん………どうせ『取り込めば凄い力が得られるエネルギーの塊』みたいなどうしようもない
やつだろ。で、その溜め込まれた量があまりにも多いからどうにもできないとかそういうアレだろ」
女生徒はセバスチャンがあまりにも鋭い事を言うので、動揺が表情に出てやしないかと不安でしかたがなかった。
「お前こそ、要らないのか?最強になれるぞたぶん」
セバスチャンにそう効かれた女生徒は、パジャマのボタンをかけ違えている事にやっと気づいて慌てて直しつつ
ケラケラと笑いながら質問に答えた。
「僕だって要らないよー。そりゃ確かにめちゃくちゃ強くはなれるだろうけどさー。どう考えたってそれは
『倒されるタイプの最強』じゃん。僕はそういう『倒されるタイプの最強』を倒す側でありたいの」
それを訊いたセバスチャンはこの個性的な友人が「誰よりも深く考えているのに、同時に何も考えていない」という
へんなやつであることを再認識して笑った。
- 181二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 20:17:14
- 182二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 20:38:46
神‼︎お体に気をつけて。誤字なんて全っ然気にしません!
- 183二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 20:53:03
業務連絡
自語りですまんが駅の階段から転げ落ちて両足と右手首を負傷(折れてない)してしわしわピ○チュウの顔してる
エピスキーするか魔法薬頼むわ
見どころはチョコレートを押し込まれるアルバス君です!
文字通り死にそうな顔をした後輩の口にチョコレートを押し込んでいく。
「いらない……」
「いいから食え。体力が保たないぞ。喪主は君なんだから……」
アルバスの母親の訃報を聞いた時からずっと彼は死にそうな顔をしている。卒業旅行が直前でキャンセルになってしまったうえ、彼は長兄だ。家長として彼の肩にのしかかる責任は私の想像より遥かに大きいだろう。病弱な妹もいるし、弟だってまだ学生だ。強がりで見栄っ張りな後輩を放ってはおけなかった。
- 184二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 21:14:13
- 185二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 21:44:34
安静にしてください……
- 186二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 22:25:17
その日、グリフィンドールの談話室の一角には、そこにいる全員の注目が集まっていた。壁の絵画はおろか
ウィーズリー先生すらも興味深げに向こうから眺めていた。とまり木に佇むフォークスにはダンブルドア少年が予め
「なにをするつもりか」を説明して、フォークスはそれを了承したようだったが、もう一方が難航していた。
「ねーー!いい加減きげんなおしてくれないかなーー!ご飯とったの謝るからさあー!!」
本人曰く「今朝起きたら縮んでた」らしい、7年生にしてはかなり小柄な女生徒が制服の『検知不可能拡大呪文』が
かかったポケットを手で広げそこへ向かって大声で呼びかけている。今回の試みの本題から外れた部分で揉めている
ようだった。
「もー!もーーーーーー!!!!」
女生徒は結構な音量で己の制服のポケットへ呼びかける。一見すると奇妙な光景だが、当人は至って真剣だ。
「ああ、もう!しょうがないな!!アクシオ!」
女生徒が呼びかけるのをやめてポケットから「呼び出し」たのは、旅行かばん。そしてすぐにそれを開くと、普段
この生徒が森で野生動物を保護する時にそうなるのと同じように、その生徒自身がかばんの中に吸い込まれていった。
そして20分ほど後「お見苦しいところをお見せしました…………」と疲れ気味の女生徒が再び現れた。
「ほら、今から始めるから、君もこっちに来て!………来てくださいませんか!」
その女生徒の声に応じるように、旅行かばんの中から美しい不死鳥が優雅に飛び出し、そのまま談話室をぐるりと
一周した後、今回のために用意されたとまり木に舞い降りた。フォークスの対面に。
- 187二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 22:32:44
ご飯をうっかり取っちゃって不死鳥の機嫌を損ねるとかなんだコイツ……!?って見てる皆思ってそう(
- 188二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 22:41:26
そも「せっかく2羽いるんだから会わせてあげたい」と最初に言い出したのはポピー・スウィーティングだった。
ダンブルドア少年がフォークスと出会う前から、その友人に2年間ずっと不死鳥の存在を知らせてもらえていなかった
という事実に憤慨した彼女だったが、本物を見たら即機嫌を直し、しばらく感動した後でそう提案したのだ。
そしてこのパジャマ姿の小柄な女生徒はそれを「面白そう」だと思った。不死鳥自身も乗り気のようだったのだが
今朝その不死鳥と女生徒が百味ビーンズの争奪戦に白熱しすぎてケンカに発展したのだ。
「………ホントに先輩はまったく」
向かい合う2羽の不死鳥を最前列で見守りながらそれを思い出して、ダンブルドア少年は笑った。
「不死鳥に百味ビーンズをあげようとしたり、さらにそれを取り合って不死鳥とケンカするのなんて先輩だけですよ」
- 189二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 00:19:44
闇の魔術スレスレとは評されそうだけど、ダイナマイトと一緒だと思う
どんな魔法も使い手で闇の魔術になるし、ダンブルドアと親密な知り合いにあるっていう状態レガ主は1番「そういう」魔術を作った上で周囲に喧伝しなさそう
喧伝すれば愛しき後輩くんや同輩たちを悲しませるってところまで頭を回せるんじゃないか?
だから生み出しはするけど秘匿するし、それこそ老年のダンブルドアには教えてくれるけど……みたいな妄想もした
- 190二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 00:31:16
- 191二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 00:32:08
明日っていうかこりゃたぶん次スレになるな(レス数を見ながら)
- 192二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 00:38:30
そろそろ次スレか…早いな…!?
神SSが投稿されている流れに思いつき概念を投下するのが申し訳ない - 193二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 04:52:31
- 194二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 06:19:10
たておつ!うめうめかな?
- 195二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 07:06:30
うめ
- 196二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 07:58:00
うめうめ
- 197二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 08:24:24
埋める
- 198二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 08:24:34
うめうめ
- 199二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 08:24:58
次スレ行こう
- 200二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 08:55:37
次スレじゃー