【閲覧注意】ここだけ或人×唯阿または大二×唯阿・祢音→景和スレ Part2

  • 1二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:51:54

    スレタイ通りに或人×唯阿または大二×唯阿・祢音→景和の関係について語るスレです

  • 2二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:52:19
  • 3二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 22:58:00

    スレ立て乙です~

  • 4二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:01:05

    ありがとうございます!

  • 5二次元好きの匿名さん23/04/10(月) 23:24:45

    スレ立て乙

  • 6二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 00:17:31

    乙!

  • 7二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 00:19:07

    スレ立て感謝

  • 8二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 00:32:32

    保守

  • 9二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:01:02

    とりあえず10までは保守

  • 10二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 01:06:34

    保守!

  • 11二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 09:17:02

    新スレ、キターー!!

  • 12二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:51:08

    前スレの話にっちゃうけど闘牛ゲーム後の景和と祢音ちゃんいい…

  • 13二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:13:29

    このレスは削除されています

  • 14二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:13:54

    祢音ちゃんは果たしてこのスレだと無事に幸せになれるのか…

  • 15二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 07:28:43

    このレスは削除されています

  • 16二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:31:43

    祢音ちゃんこれからどうなってしまうんだ…

  • 17二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:17:19

    スレ主さん、スレ立てありがとうございます!
    前スレで、私の妄想文にお付き合い戴いた方ありがとうございます!
    このスレでも皆さんと楽しく盛り上がれたら幸いです





    脳内設定の更新


    大二×唯阿

    大二
    唯阿には不破という大切な人がいてこんなに真っ直ぐ唯阿を気に懸けて大切に思っている或人がいて勝てる気がしないと思って唯阿のことが好きと気づくも唯阿への想い胸のなかに閉まい、唯阿を守り抜くと心に決める アーク化した唯阿を止め、心身ともに傷つき意識不明となり精神世界に囚われた彼女の手を掴んで「帰りますよ」と真摯な眼差しで告げ連れ戻す 拉致監禁された彼女を自分ができ得る限りのことをして救出する
    その後、御礼と称して唯阿から届いた小包に添えられた手紙を読み文に綴られた《世話になった。ありがとう》が《さよなら》に思えてならなくて溢れる想いを胸に衝動のまま彼女と逢って心に秘めていた想いを抑え切れずに「好きです」と告白し、唯阿に「いつの間にか、私の心のなかに、――君が、いたらしい…」「私も君と同じ想いだ」と微笑みと共に返事をもらった

    唯阿
    大二に所謂“癒し”を感じており元々ポジティブな情を抱いていて大二への好感度は高く自分のピンチを救ってくれる彼の言動に唯阿の乙女心を無意識のうちに突かれていた 大二には屈折したものを抱いておらず素直になれることもあり彼から想いを真っ直ぐ伝えられとき自分のキモチに気づき大二のキモチに応え両想いに
    映画デートやお花見デートをするなか大二と感性が近いと思うようになる 大二の繊細なところや物わかりの良すぎるところが気に懸かっていて相手のことばかりで自分を蔑ろにしていないか心配していたが、付き合うようになって大二がこう思っているとかこうしたいとか自身の気持ちを伝えてくれるのが嬉しい こちらを気遣う紳士なところと時々覗かせる男の子なところのギャップにときめいている

  • 18二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:17:50

    或人×唯阿


    或人

    博愛主義で唯阿に無自覚の片想いをしていたが、バレンタインの日を境に自分の心を見つめ直し唯阿のことが好きだと気づく

    その後、唯阿に一度 告白してフラれたけれど紆余曲折あって唯阿に「いなくならないで…俺の前からいなくならないで… 好きなんだ…諦めようとしてだけど諦めきれなくて…好きだよ…ごめん…やっぱり好き…」と胸の内を吐露し、唯阿から「私はあなたの前からいなくならない」と返事をもらった

    付き合うようになってから今まで見たことがなかった唯阿の笑顔やふとした仕草に<かわいい…>と思っている(口に出せば唯阿が恥ずかしがるのは目に見えているので内心に留める)


    唯阿

    負い目の所為で自分の恋心に気づけず或人に絆された感があったけれど、すぐに〈社長さんを独りにしたくない〉と思う程 或人のことを好きになっていたのだなと自覚する

    遊園地デートで或人の過去(父親との想い出)に触れる イズから或人がどんな食事をしているか聞いて或人の食生活が心配になり一緒に花見をした景和に料理の教えを乞う(尚、祢音にダメと言われた)

  • 19二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:19:17

    花(→)大二←沙羅

    大二
    報われないと知りながら前へ進む為、唯阿に告白 案の定フラれたけれど唯阿への想いは昇華している とは謂え、或人・唯阿からは気を遣ってか遊びに誘われなくなったしふたりの気遣いを無碍にしたくないので大二も遠慮して誘わず…結果的に3人で逢うことはなくなった
    元々仕事人間な処がありブルーバードの活動に励んでいるけれど滅私奉公の姿勢をヒロミや狩崎達に心配されフェニックス時代より実家に帰る機会が増えている 家に帰るとホッとすると同時に兄妹と対立したことを思い出して温かく迎えてくれる家族に申し訳なさを感じる 自分が信じていたい(信じるでなく信じていたい)正しい道を選択して足掻いた日々を何もかも間違っていたと思っていないけれど兄妹に銃を向けた事実は一生 背負わなくちゃと考えている
    罪悪感を抱えているので花と玉置――特にさくらと友達である花を気に懸けている、けれど恋ではない
    或人・唯阿と疎遠になった一方で景和・沙羅と親しくなるもふたりがあまりに光属性で眩しい、けれどだから桜井姉弟の温かい雰囲気を護りたいという感情は芽生えている 景和は仮面ライダーなので彼を護るのは差し出がましいだろうなという気持ちもあるので何かあれば年上の後輩ライダーの力になろうと思っている

  • 20二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:19:55

    花(→)大二←沙羅


    幼い頃から“ギフの花嫁”として閉鎖的な世界で育てられ所謂 思春期も現実とは隔離された環境にいた為、情緒があまり発達しておらず実は花嫁が具体的に何であるか把握していないし恋愛もよくわかっていない

    大二のことが気になっているが<恋とはどんなものかしら>状態なので大二へ向かう自分のキモチに名前をつけられずにいる

    カゲロウは苦手 というのも序盤のアギレラだった頃カゲロウに首を絞められたから そんな悪魔を宿している大二にも良い印象はなかったと思われ

    ウィークエンド加入後さくらから大二は優しくて真面目で真っ直ぐな兄と聴かされていたけれど、その大二と対立し「大ちゃんと戦ったんだよ…ッ」って心身ともにボロボロのさくらを見て大二と本気でぶつかる

    ブルーバード所属となり猶予と居場所を作ってくれた大二に感謝している 大二と共にブルーバードの活動に励むなか大二の優しさに触れ真面目なとこや真っ直ぐなとこを知って本気でぶつかったときの大二との言葉の応酬を思い出しあれは大二の心の叫びだったのだと気づく こんなに優しくて真面目で真っ直ぐな人があんなふうになるなんて…そこまで彼を追い詰めたギフはクソだし赤石はクズと思う 大二の力になりたいと彼の頼み事には何でも任せて!する 大二を傷つける奴は絶対 許さないウーマン


    沙羅

    大二とのファーストコンタクトは弟·景和に連れられて桜井家を大二が訪れたとき 恋した人のことを景和と話しているのを聴いてごはんを食べる前に話をして大二の純粋さに<かわいい~>となる この時点では“推し”だったけれど一緒に花見をした日、淋しそうな背中を見てせつなくなる それが契機(きっかけ)で大二のことが気になっている 恋になりそうと自分で薄々わかっているけれど、まだ“好き”というところまで至っていない

  • 21二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:20:50

    景和→←祢音

    祢音
    バレンタインの日、景和にチョコレートを渡し、後日告白
    自身の出生の秘密を知り、激しく動揺「もう家出じゃないよ!」と鞍馬家を飛び出す
    「一緒に帰ろう、祢音ちゃん」と声を掛ける景和に「私には――帰れる場所なんてないよ…」と切り返して景和の前を通り過ぎる 追い駆けてきた景和に「祢音ちゃんは祢音ちゃんだよ」言われ「………景和は…やさしいね…」とだけ返し「もう、ほっといてよ…っ」言い放つ 途端「ほっとける訳ないだろ!」と腕を掴まれ、景和と目が合った瞬間「俺は祢音ちゃんが好きだ」と告げられる
    景和に告白されて嬉しいのに受け止め切れず 気持ちの整理は簡単ではないと抱き寄せる景和の言動に“本当の愛がほしい”という願いと自分の出生と景和への想いがぐちゃぐちゃになって込み上げてくるものが溢れ出し、景和の肩に額を寄せて涙を流した
    「祢音ちゃんが祢音ちゃんでよかったと思っている」「祢音ちゃんに逢えてよかった」そう語り掛け「祢音ちゃんと出逢えて嬉しい…俺がそう思っていることを忘れないで…」と伝えてくる景和の温かさと優しさに触れ、精一杯の笑みを浮かべその場を後にした

    景和
    バレンタイン後、祢音に告白される 祢音のことは仲間として友達として大切に思っていてどう応えようか逡巡するなか「自分の理想の世界を叶える為にデザ神となることが一番の目標だから、いまはいいの」言われたことを契機に、ちゃんと“答”を出そうとちゃんと返事しようと祢音のことを考えるようになる
    結果、出した答は――“祢音ちゃんのことが好き”
    出生の秘密を知って心がボロボロの祢音に…帰れる場所なんてない祢音に…「一緒に帰ろう」と声を掛け、却って祢音を傷つけてしまう 急いで追い駆け「祢音ちゃんは祢音ちゃんだよ」と断言 「………景和は…やさしいね…」と返して「もう、ほっといてよ…っ」言う祢音に「ほっとけないよ」と彼女の手を掴み「俺、祢音ちゃんのこと好きだよ」と告白
    「……嬉しい…」「だけど、私…
     いまは…受け止め切れない」と今にも泣きそう祢音に「泣いていいよ」と彼女の身体を引き寄せる
    「祢音ちゃんが祢音ちゃんでよかった」「祢音ちゃんに逢えてよかった」「祢音ちゃんと出逢えて嬉しい。俺がそう思っていることを忘れないでほしい」と想いの丈を綴ると祢音は微かに笑んで小さく頷いてくれたので一先ずホッとする

  • 22二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 23:51:08

    とりあえず祢音ちゃんと景和両思いになれてよかった…

  • 23二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 07:17:54

    書き手さんのSS今後も楽しみにしてます!

  • 24二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 16:38:44

    このレスは削除されています

  • 25二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 01:38:29

    保守

  • 26二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 06:56:30

    最近疲れること多かったからこのスレが癒やしだ…

  • 27二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 11:17:18

    >>20

    大二と花と沙羅さんの三角関係が誕生かー これまた楽しみだなぁ

  • 28二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 21:17:00

    >>12 >>14 >>16 >>22

    ハッピーエンドにするつもりだけれど本編の今後の展開次第


    >>23 >>27

    ありがとうございます

    楽しみにして戴いているとのこと励みになります


    >>26

    癒しになっているなら幸いです

  • 29二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:22:59

    このレスは削除されています

  • 30二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 17:14:52

    >>27

    そういえば今更だけど花、大二が敵対してた頃は偶にだけど相手になってたよな…

  • 31二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 17:15:00

    このレスは削除されています

  • 32二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 17:17:00

    このレスは削除されています

  • 33二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 19:17:00

     花は、夏木探偵事務所の自分のデスク横の壁に掛かったタンポポの花輪を見て、溜息を吐く。
     それは、2週間程前さくら達と花見に行ったとき、大二からもらったもの。もらって2,3日は黄色く可愛らしかったタンポポの花が今では葉っぱに覆われしぼんでいる。――枯れてしまった…。


     デッドマンズ施設内の花はいつまでも枯れずに年中 咲いていた。だからデッドマンズを抜けてから知った、…花は枯れるのだと。


     花を長持ちさせるには水やりと玉置に聞いたけれど花輪への水やりの仕方がわからなくて…結局 枯らしてしまった…。

     ―――せっかく…くれたのに…
     大二が。


     『くれるって言うならもらっておくわ』。
     ‘あのとき’花は、自作のタンポポの花輪を頭に乗せてきた大二にクールに言いつつも、本当は凄く嬉しかった。…素っ気なく言ったそれに、よかった、と真っ直ぐ返され、何故か照れくさくなって…レンゲが咲く頃また編んでよね…っ、と言葉を投げ付けてしまったけれど。(所謂ツンデレが発動したのだけど花は自分で気づいておらず自分が照れくさくなった理由もわからないでいる。)
     ちなみに、レンゲの花はブルーバード本拠地近くの野原に咲いていると大二が教えてくれたので玉置と見に行った。大二は忙しくて同行していない。

  • 34二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 19:17:19

     花が、枯れた花輪を壁から取り、どうしよう…と途方に暮れた気分になっていると、
     トントントン…と事務所のドアを3回ノックする音。
     花は慌ててデスクの引き出しに仕舞い、はいと応じるとドアが開かれ、入ってきたのは――大二。

     !!
     途端、トクンと心臓が跳ねた。

     「この前、頼んでいた調査のレポートできてますか」
     「っ、…それなら、玉置に任せてあるわ」
     花は一息 置いて答える、と
     「あ、はい。これです」
     玉置が調査結果をまとめた紙を大二に手渡す。
     そして玉置は、あれ?と首を捻って花の方を向く。
     「花さん、ここに掛けていた花輪、取っちゃったんですか?」
     壁を指差して尋ねてくる。
     「! 玉置ッ! 余計なことを…」
     花は咎めるように玉置の名を呼ぶ。

     何もいま訊かなくても…!大二がいるところで…!!
     大二からもらった花輪なのに、くれた彼に枯れたから外したなんて…言えない…。
     胸の辺りがざわざわして落ち着かない。
     
     玉置に悪気がないのはわかる、けれど。え、と間抜けな声を出されて、少し気が立つ。
     「花輪…?」
     大二が、不思議がる。
     「!」

     ほらー不審に思われたッ!!…――花は内心 動揺する。表に出ないよう試みるも、腹芸が得意でないので(それに先刻 余計なことを…と口走ったから)誤魔化せるだろうか…。

  • 35二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 19:19:19

     「ここに花輪を飾っていた??」
     大二にあっさり気づかれて、花は隠せないと口を開く。
     「あんたにもらったタンポポの花輪…」
     引き出しの中の花輪を大二に見せる。
     「……枯れちゃって…」
     花は俯きながら吐露する。
     「あー、自然の花は枯れるから…」
     呆気なく応える大二に、でも…と花は続ける。
     「水やりしたら長持ちするって…」
     「水やりは庭に咲いている花とか鉢植えの花にするもの」
     「庭…鉢植え…」
     「土の表面が乾いたら水をやるんだ。
      ‘これ’は花輪にしたから…。長持ちさせるなら、うーん…編んだ花を解いて切り花に戻すとかかな」
     「切り花?」
     「茎の部分から切った花のこと。切ったその花は水を張った花瓶に挿して部屋とかに飾るんだ。それで、花瓶の水を毎日 入れ換える」
     「でも…せっかく、編んでくれたのに」
     「だったら…そのままドライフラワーにするのはどうだろう」
     「ドライフラワー…」
     「そう。乾燥させて飾るという方法」
     「……!いいわね、それ。そうする!」
     花はホッとして安堵の笑みを浮かべる。
     それに大二が小さく笑みを返す。
     「それじゃ、俺…戻るんで…」
     「花さん、美味しいハーブティー淹れましたよー!
     あ、大二さんも飲みますか?」
     「いや、俺は仕事があるから。ありがとう玉置、また」
     そう言って、大二は出て行く。

  • 36二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 23:19:00

     花は大二が出て行くのを見送った後、
     「フンフフンフ~ン♪」
     早速 外したばかりのタンポポの花輪を再び壁に掛ける。…鼻歌交じりだってこと、本人は気がついているのだろうか(たぶん気づいていない)。

     掛けられたタンポポ、先刻までくすんで見えたのに、いまはやわらかいアイボリー色の可憐な花だと思える。

     花は知らず知らず微笑んで、玉置が淹れたハーブティーを飲むのだった。


     そんな、ある日の、穏やかな昼下がり――。

  • 37二次元好きの匿名さん23/04/16(日) 08:27:02

    なんだ…大二が絡むとちょっと乙女な花さん…

  • 38二次元好きの匿名さん23/04/16(日) 17:24:51

    リバイス本編だと大二も花も色々あって普通の日常送れなかったからなぁ…
    普通の日常送れてるの新鮮だ…

  • 39二次元好きの匿名さん23/04/16(日) 22:24:52

    和やか〜
    大二と花この二人意外と事件がなければこんな感じで過ごしてるって感じでいいなぁ…

  • 40二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 06:37:49

    このレスは削除されています

  • 41二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 08:55:02

    ギーツの展開がキッツイからここで癒されてる

  • 42二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 10:39:52

    >>41

    わかる ギーツ本編が辛すぎる…

    景和と祢音ちゃんのほのぼのが読みたい

    でも書き手は >>28本編の今後の展開次第って…

    景和祢音、ちゃんとくっつくよね…?

  • 43二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 10:50:03

    >>42

    ハッピーエンドにするつもり という書き手を信じろ

    或人→唯阿←大二の報われる気がしない展開からイチャラブな或人×唯阿と大二×唯阿にもっていったし

  • 44二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 11:05:02

    このレスは削除されています

  • 45二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 12:19:00

    目の前で弟の景和を失った沙羅姉ちゃんもおつらい…

  • 46二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 12:55:19

    両親がヤられたこともフラッシュバックするだろうしなぁ…助けて、大二…!(このスレ的には大二よね…?)

  • 47二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 16:33:00

    大二×花に目覚めそうだ…

  • 48二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:00:00

    花が無自覚で大二は鈍感なんだな

  • 49二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:18:06

    保守

  • 50二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:19:17

    景和祢音の話…なのですが、、、
    『ギーツ』本編がしんどいので、それに合わせて つら…な展開となっておりますご注意下さい

  • 51二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:19:55

     祢音は帰る場所を見失い、街を彷徨い歩いている。
     「祢音ちゃん」
     声を掛けられ、振り向けば…
     「……景和…」

     『祢音ちゃんは祢音ちゃんだよ』。
     景和の言葉が浮かんできて。
     心がじんわり温かくなった気がするけれど、先刻 別れたはずなのに…どうしていま、また景和は現れたのだろう。

     『ほっとけないよ』。――景和の声が、蘇る。
     もしかして…、放っておけなくて、追い駆けてきてくれたの…?だとしたら、嬉しいけれどでもそっとしていてほしい気持ちもなくはなくて、


     「これからどうする?」
     戸惑う祢音を余所に、景和はそんなことを尋ねてくる。
     「……わからない…」
     わからないよ…。
     「じゃあ…今夜はどこで寝るの?」
     穏やかな調子で痛い処を突かれて言葉に詰まる。
     「っ、決めてない…」
     投げ遣りに答えると
     「どこか行きたい処は?」
     微妙にズレた質問をされる。
     行きたい場所…、口内で呟いて
     「いまから?」
     「いまから」
     確認すればおうむ返し。

  • 52二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:21:58

     行きたい場所…行きたい場所…――頭の中で考えて…あ、と思う。

     「桜…」
     ぽつり溢せば
     「この前 行った…俺と姉ちゃんが毎年花見をしている‘あの’桜…?」
     景和はわかってくれた。
     「うん」
     「じゃ、行こう!」
     明るく言う処に景和の気遣いを感じて、なんだか泣きそうになる。
     それをどうにか堪えて、祢音は肯いた。


     辿り着いた桜の樹。
     「よかった…まだ咲いてる…」
     景和が胸を撫で下ろす仕草をし、こちらを見て微笑み掛けてくる。
     祢音も微笑み返そうとする(上手に笑えているか自信はない)。
     「やっぱり…」
     景和が真っ直ぐこちらを見つめた。
     「祢音ちゃんは笑っていた方がいいよ」

     ぇ…、!
     一瞬どういう意味かわからなかったけれど、わかった途端、恥ずかしくなってきて。祢音は下を向く。

     そのとき、風が吹いて。

     「うわ、凄い風!」
     風に吹かれて舞い上がる桜の花を見ながら、景和が楽しげに声を上げる。

     ―――はしゃいでるみたい…

  • 53二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:22:50

     辺りが急に暗くなった。…陽が落ちたらしい。

     「祢音ちゃん、もっと近くにおいでよ。綺麗だよ」
     景和に誘われて、桜の樹に近づく。
     「私…夜桜、見てみたかったんだぁ」
     祢音は桜を見上げる。

     昏い夜空に浮かぶ白い桜のは、恐いくらい綺麗。

     祢音は花弁から目を離せず、しばらく魅入っていた。


     「祢音ちゃん、」
     後方からの呼び掛けで我に返る。
     「今夜はここで休もう」
     景和が指差すのはテント。
     「え」
     少し驚く祢音に、景和は
     「野宿」
     事も無げに言う。
     「祢音ちゃんはしたことないかな?」
     コクッと頷く祢音に、大丈夫、と
     「俺がついているから!」
     景和は自身の胸を叩く。

  • 54二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:25:19

     寝る準備を始める景和の背中を見ながら、祢音はドキドキしている。

     ―――景和とふたりっきりで一晩 過ごすんだ…

     胸が高鳴る祢音をお構いなしに、景和は寝袋に潜る。
     「おやすみー」
     ムードもなにもない景和の行動とそれでもときめく心でいっぱいの祢音はどもりつつ
     「…お、おやすみなさいッ」
     そう返事して、寝袋に入った。

     好きな人が隣で寝ている。――その状況に鼓動が早くなる。
     祢音は景和に背を向けて、目を瞑った。

     ………、
     ……眠れない。
     心音が煩くて、眠れない。

     隣からはすぅすぅという音が聞こえてきて、景和は眠っているのだとわかる。

     私が横で寝ていても平気なんだ…?!ドキドキするとかときめいちゃうとかないんだ?!――祢音はむくれて、景和の身体をちょっと小突いてやろうと寝返りを打つ。

     すると、目の前には…景和の背中。祢音はきゅんとなる。
     普段こんなまじまじと見ることはないから、改めて見つめて、男の子なんだなぁ、としみじみ実感する。そしたら、景和が異性であることを意識してしまって、ドキンってなったのだ。

     ―――背中にピタってくっついたら…景和、どんな顔するかな…
     なんて、想像して…
     そんなこと、できる訳ないじゃん…!!恥ずかしくてで…///――祢音は寝袋のままジタバタ転がる。

  • 55二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:30:19

    このレスは削除されています

  • 56二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:33:00

     突然、テントが大きく揺れた。

     (え、なに…?!)
     「祢音ちゃん!大丈夫?!」
     飛び起きただろう景和に抱き寄せられる。
     「うん…///」

     テントがぐにゃりと曲がって崩壊した。
     見回すと、そこには…――ジャマトの大群。

     「祢音ちゃん、行くよ!」
     景和に手を引かれて、その場を後にする。

     逃げながら祢音はトランクの中を漁る。
     ない。デザイアドライバーが、コアIDが、レイズバックルが。…ない。

     「景和、どうしよう…。
      変身できない…」
     「え?」
     「ナーゴに変身できない…」
     「ナーゴ??」
     「仮面ライダーになれないの…!」
     「仮面ライダー…??なに言っているの、祢音ちゃん?」
     「え…」
     「ほら急いで!」

     景和…??どうしたの?……!まさか…!!――仮面ライダーの記憶を…?!だとしたら…ジャマグラで脱落した…?!!
     あ、でも、だったら、どうして…――私に帰る場所がないって憶えて…いや、今までの家出と思っている…??けど、それなら家まで送ってくれるんじゃ…??

  • 57二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:33:50

     思考が駆け巡るなか、祢音はいつの間にか高い高い河岸に来ていた。真後ろは崖。
     前方にはジャマトが迫ってきていて、景和と祢音は追い詰められる。
     景和が必死にジャマトを食い止める。
     けれど、変身せずに闘うのは限度がある。生身の人間が敵う相手でない。
     ジリジリと迫る敵から逃れようと後退りするもあまり退(さが)ったらまっ逆さまだ。
     前はジャマト、後は崖。――絶対絶命のピンチ!

     1体のジャマトが祢音の真ん前に立つ。そして、目の前で姿を変える。
     「っ、お母様…」
     何故、ここに…母・伊瑠美が…。――激しく動揺する祢音に向かって、母親の見た目をしたジャマトが絶叫する。
     「あなた、誰ぇーッ?!」
     叫んだ直後、そのジャマトは祢音を撥ね退けるように祢音の肩を押した。

     祢音が崖から滑り落ちる、寸前の処で、
     「景、和…!」
     景和が手を伸ばし、祢音の手を掴んだ。
     「祢音、ちゃん…」
     彼は祢音を引っ張り上げようとする。
     「っ、俺の手…っ、絶対っ…離さないでよ…ッ」
     景和は祢音を救おうと力を込めて一気に引き上げた、反動で、景和の身体が投げ出される。

     「景和ッ!」
     うそ。――刹那、景和と眸(め)が合う。

     景和は…笑った。――祢音が無事だからだろうか…。

     彼はそのまま落下していく。

     「景和…!景和…っ!!景和ーっっ!!!」

  • 58二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:35:00

     「景和…!景和…っ!!景和ーっっ!!!」

     祢音はガバッと飛び起きる。

     夢、か…。よかった。

     いま、何時だろう?傍らの時計に目を遣る。針は夜中の2時を指している。
     そう謂えば、思い出した。景和と別れて、ホテルに泊まっているのだった…(ちなみに、キューンとは別部屋だ)。

     夢でよかったと思う。でも、
     どうして、あんな夢…――祢音は胸騒ぎがして、スマホを取り出す。

     ―――景和と連絡を取りたい…
     通話アプリを開く。L○NEでなくて、電話。
     ―――声が、聞きたいの…
     だから…――真夜中だけど、許して…?

     祢音は景和のスマホに電話を掛ける。
     トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…。コール音が流れる。
     トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…トゥルルル…【お掛けになった電話をお呼びしましたがお出になりません】。アナウンスが流れる。

     それはそうだよね、深夜だもん。出る訳ないか…。
     スマホを枕元に置いて、

  • 59二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:35:55

    このレスは削除されています

  • 60二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 19:50:19

     祢音は膝を抱える。
     『俺は祢音ちゃんが祢音ちゃんでよかったと思っているんだ』
     『祢音ちゃんに逢えてよかった』
     『俺は祢音ちゃんと出逢えて嬉しい』
     景和の言われた一つひとつを噛み締める。

     ―――景和…逢いたいよ…

     祢音は膝に顔を埋めて、瞳(め)を閉じた。





     景和がジャマトグランプリ天国と地獄ゲームで消滅したことを、祢音が知るのはもう少し先のこと―――。

  • 61二次元好きの匿名さん23/04/17(月) 23:16:24

    本当にシリアスだ…

  • 62二次元好きの匿名さん23/04/18(火) 06:58:56

    まさか景和消えちゃうなんてね…
    リアタイしててもびっくりだった…

  • 63二次元好きの匿名さん23/04/18(火) 17:50:12

    このレスは削除されています

  • 64二次元好きの匿名さん23/04/18(火) 22:04:25

    景和×祢音の方も重くなってきたな…
    結ばれる前は或人(→)唯阿←大二が重かったけど今はTV本編もあってこっちも重くなってきた…

  • 65二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 06:49:46

    景和と祢音ちゃんも幸せになってくれ…

  • 66二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 17:32:17

    保守

  • 67二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:12:53

    このレスは削除されています

  • 68二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:14:00

    このレスは削除されています

  • 69二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:14:18

    このレスは削除されています

  • 70二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:15:00

     窓から差し込む光で、唯阿は目を覚ます。
     うーんと背伸びしてベッドから起き上がり、カーテンを開く。朝陽を浴びて深呼吸。
     晴れてよかった、と独り言ちる。

     きょうは、大二と逢う日。

     〖ミレー展を観に行きましょう〗
     お花見をした数日後に大二からL○NEが来て、美術館へ行くことになった。その際に日程調整をしたのだけれど、自分も彼も忙しくふたりの休みが合う日が今日で…彼と出掛けるのは約1ヶ月振りだ。(逆に謂えば、おおよそ1ヶ月前から約束していたので大二とのデートの日を最優先し他の予定が立て易かった。)

     ジャン=フランソワ・ミレー。19世紀のフランスの画家で、主に農民の生活風景を写実的に描く。少し淋しそうで暗い色が印象に残る画風が特徴である。


     ―――私がミレーを好きだと憶えていてくれたんだな…彼は…





     大二とお付き合いする前のことだ。

  • 71二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:15:17

    ーーーーーーーーーー

     その日、唯阿は倫太郎と大二とお茶をしていた。
     ソードオブロゴスの外にあまり出たことのない倫太郎が、先日、美術館という処に行ってきました!と言った。
     「本で読んだものを実際に鑑(み)て感動でした!」
     嬉々として語る彼に目を細めていると
     「ふたりは美術館へ行ったことは?」
     尋ねられ、
     「ありますよ」
     答える大二に続けて、自分もあるよと返す。
     そこから、なにを観たか.どういうジャンルが好きか――彫刻より絵画の方が好きとか現代アートはよくわからないとか.画家は誰が好きか.という話になり。
     「私は風景画が好きだな…特にミレー」
     「風景画、いいですよね」
     「僕もいつか鑑(み)たいです」

    ーーーーーーーーーー

     …という遣り取りがあったのだけども。





     ‘その’ときのことを、大二は憶えていてくれたようだ。

     《ミレー展》が開催されることはテレビでコマーシャルされ新聞にも載っていたから知っていたし、観に行くつもりでいた。…彼に誘われて嬉しい。

     『風景画、いいですよね』
     彼も好きなのだろうか…。だとしたら嬉しい。――大二の言葉を思い返し、そんなことを考える。

  • 72二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:15:50

     朝食を済ませ、予め決めていた服に着替える。
     今回のコーディネートは、肩先が少々膨らんだふんわりパフスリーブの白いブラウスにミモレ丈のペールピンクのチュールスカート。髪はこの前のハーフアップヘアでアップ部分を編み込みにしてみた。

     待ち合わせは美術館の最寄駅に11時。展覧会を観る前に、館内のカフェで少し早めのランチの予定だ。

     ショルダーバッグを肩に掛け、ローファーシューズを履いて。唯阿は自宅を出る。


     電車に乗って、待ち合わせの場所へ。
     駅に降り立つと、大二がいる。
     「待たせた」
     「いえ。俺もいま来たところです」
     待ち合わせ時間の10分前。
     「行きましょうか」
     大二に促され、歩き出す。

     「美術館で待ち合わせというのも考えたんですけど」
     見せたいなと思うものがあって…と言って彼が連れて来てくれたのは美術館までの道中にある無料開放されているガーデン。
     そこには、たくさんのスイートピーが咲いていた。
     春らしいピンクや白に加えて、赤や紫・オレンジといった様々な色の鮮やかで可愛らしい花。
     近づいて見れば、ドレスのような花びらが風にそよぐ。
     「可愛いな」
     唯阿は呟く。
     「ここに開放ガーデンがあるのは知っていたが、通りすがりにチラッと見るくらいで…
      こんなにじっくり眺めたことはなかったよ」
     「そうですか。よかった…」
     大二がホッとしたような表情(かお)する。
     多分、唯阿を楽しませようと考えてくれたのだろう。…かわいいな、と思う。
     「ランチタイムで込み合う前に行きましょう」
     唯阿と大二は美術館へ向かう。

  • 73二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:16:17

     美術館のカフェは客が何組か入っていたけれど、然程 混んでいなかった。
     春の陽差しが柔らかく当たる窓際の席にふたりは着く。

     ピザ(マルゲリータ,クアトロフォルマッジ)とパスタ(ナポリタンとカルボナーラ)にポップコーンシュリンプ(エビを揚げた物)とサラダとスープを注文、飲み物はコーラとジンジャーエール、デザートに《ミレー展》コラボメニューがあるというのでそれもいただくことにした。
     ピザもパスタもトマト系とチーズ系にしてしまったな…まぁいいか…と唯阿が内心 思っていると、料理が運ばれてくる。

     ピザもパスタもサイドメニューもおいしかった。
     そして、食後のデザートはフランスの伝統菓子“ウィークエンド シトロエン”。シトロエンとはレモンのこと、レモンをパウンド生地に練り込んだ焼き菓子だと謂う。
     たっぷりのレモンアイシングでコーティングされ生地にもレモン果汁が入っていて、柑橘の甘酸っぱく爽やかな風味が口の中に広がる。

     食べ終えて、会計をする。展覧会チケットを見せると割引になるらしく、大二が事前にチケット購入してくれていたから安くなった。
     ふたりはカフェを出た。

     「チケット代、いくらだ?」
     「あ、いいですよ」
     「いや、いくら前売券で少し安いからってそれは…」
     「招待券なので」
     「…え… 招待券…。
      もしかして…君の勤め先には展覧会の招待券が送られてくるのか…?」
     「いえ、違います。ブルーバードでなくて…実家です」
     「ご実家?」
     「はい。家は小さい頃よく美術館とか博物館とか行っていて…。
      しあわせ湯の昔からの常連さんはそのこと知っていて、美術館にお勤めの方から戴くんです。それで…‘これ’も…」
     「…だったら、ご家族で行かなくてよかったのか?」

  • 74二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:16:58

     「ミレー展があるってネットで見て、真っ先に刃さんが浮かんで…」
     「…っ」
     「刃さんと一緒に行きたいな って…」
     「……///」
     照れたように笑む大二に唯阿はきゅんとなる。
     「招待券は多目に下さるので家族とはまた別日に…」
     「そ、そうか…」
     「じゃ、中に入りましょう」
     「…ああ」
     唯阿と大二は展覧会会場へ。


     ミレーを中心にバルビゾン派の作品が展示されている。
     『種蒔く人』,『ジャガイモの収穫』等、農民の生活風景を描くミレーらしい絵画が並ぶなか、奥へ進むと今回の目玉のひとつ『春』があった。『春』はミレーの連作・四季シリーズの1作で、他に『蕎麦の収穫:夏』と『麦穂の山:秋』がある(『冬、薪を運ぶ女』がこの連作の『冬』かどうかはっきりしてなくて『冬』は未完成とされる)。いまの季節に合わせて『春』を展示することになったようだ。
     ミレーの三大名画と謂えば、『落穂拾い』『羊飼いの少女』『晩鐘』だろう。『羊飼いの少女』はミレーの名を上げ画家としての成功に導いた作品、この展覧会のもうひとつの目玉である。
     『春』は題名の通り春の兆しを表していて素敵な風景画だし、『羊飼いの少女』も羊達が草を食べている傍で編み物をしている少女は可愛らしい、けれど、

     唯阿は、やっぱり…とミレーの作品でいちばん好きな画(え)の前に立つ。
     それは…――『晩鐘』。
     夕暮れのなか祈りを捧げる素朴な農民達の姿を描いた、ごくありふれたものなのだけど、何とも言えない懐かしさや郷愁、優しさが伝わってくる。
     …この画(え)に言葉のない小説や人間ドラマのような印象を受けるのは私だけだろうか……。
     ふと気がつくと、大二が同じく『晩鐘』を観ている。
     彼も好きなのだろうか…この画(え)。――だったらいいなと思いながら、唯阿はもう一度 綺麗な夕暮れを背景に鳴り響く教会の鐘に合わせて祈りを捧げる農夫婦の画(え)を鑑賞する。

     その後、『晩鐘』の横に掛けられた画(え)を熱心に観る大二の隣で、唯阿も彼と同じ作品に眼を向ける。

     「そろそろ出ましょうか」
     ふたりは展示室を出た。

  • 75二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:17:50

     「ディナーの予約時間までまだですけど、どこか行きたい処あります?」
     「最近よく通っている喫茶店があるんだ」
     「いいですね。そこにしましょう」
     「少し歩くがいいか?」
     「はい」

     着いた先はアンティーク調の喫茶店。
     「いらっしゃいませ」
     マスターの挨拶にふたりはお辞儀をして、奥の席に座る。
     「どうしようかな…」
     メニュー表に目を落としながら考える大二に、唯阿はほっこりする。
     唯阿も大二も何にするか決め、ウェイターを呼ぶ。
     「私はアフタヌーンプレートとロイヤルミルクティーで」
     「オリジナルチーズケーキと紅茶を…」
     「紅茶は砂糖とミルクお付けしますか」
     「はい、お願いします」
     注文を終えると
     「コーヒーでなくてよかったんですか」
     大二に訊かれる。
     「コーヒーは仕事の休憩時間に飲むから、プライベートでは紅茶がほしくなるんだ」
     そう返すと、彼はなるほどと頷く。
     少ししてオーダーしたものが運ばれてきた。
     「ここのチーズケーキはおいしいぞ」
     「食べます?」
     「そしたら、君もこっちのケーキ食べるか?今日のプレートはチョコレートケーキだ。はんぶんこしよう」
     「え…ありがとうございます…」
     唯阿はサンドイッチひとつ、ヴィクトリアスコーンをひとつ、クラシックチョコレートケーキを半分、大二の皿にのせる。
     「や、刃さん?!そんなたくさん… ―― 「はんぶんこ、だから。遠慮するな」
     「は、はい、ありがとうございます…」
     「では。いただきます」

  • 76二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:18:35

     ケーキほかを食べ終え、
     「ミレー、よかった…」
     唯阿は展覧会の感想を述べる。
     「俺も久し振りに見られてよかったです。
      ところで、刃さんの好きな絵って…」
     「『晩鐘』だ」
     「やっぱりそうなんだ。いいですよね、『晩鐘』。
      夕焼けのなか畑に佇む農家の人 って…映画のワンシーンみたいですよね」
     「!! 君もそう思うか?!」
     『晩鐘』から言葉のない小説や人間ドラマのような印象を受けるのは自分だけだろうかと思っていたから、同じような感想を持っている人がいたことが嬉しい。
     「はい。
      上手く説明できないんですけど、なんていうか…描かれた農民から自然と共存して生きる人間としての強さや直向きさが伝わってきます」
     ミレーは農業に従事しながら絵を描いていた。農民としての苦労や自然への感謝と自然と関わることの誇り実感していたのだろう、だから‘この’画『晩鐘』にも、ミレーの気持ちが強く反映されているように思えて…
     「私も同感だ」
     「そうですか!やった、おんなじだ!」
     嬉しそうな大二に、唯阿は口元を緩める。
     「あの農夫達は一体どんなで夕暮れに響く鐘の音を聴いていたんだろうか…」
     唯阿が思いを馳せていると、大二はそうですね…と漏らして
     「懸命に祈る女性の姿は貧困の中で亡くなったミレーの母を重ねて描いたそうです」
     教えてくれた。
     「そうなのか!」
     だから…
     一心に祈る静やかな姿に胸を打たれるのか…と唯阿は腑に落ちる。

  • 77二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:19:19

     「ミレーの作品って夕方を描いたものが多いですよね…『晩鐘』は勿論『落穂拾い』も『種蒔く人』も…夕方の風景。『夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い』なんてタイトルに夕暮れって付いてますし」
     「そういえば…君のお気に入りの作品も夕方の情景を描いていたな。題名は確か…『夕陽』」
     「はい。マイナーですけど、いちばん好きな絵です。わかっちゃいましたね」
     「君が見入っていたようだから」
     「…フェニックスに勤めているときしっかり休めない時期があってそういう美術的なものからも遠退いていたんですけど、
      ある日たまたま廊下に飾ってあった絵に気がついて…それが『夕陽』でした」
     『夕陽』は題名通り、大地に夕陽が差す様子が描かれた作品。オレンジ色の夕陽が沈んでいく様が美しく描かれている。
     「夕陽のなか、重い草の荷を背負う農民が描かれていて…。地味ではあるんですけど、逞しさというかエネルギーみたいなものを俺は感じて…明日への生きる希望を与えてくれる作品だなって思うんです」
     言って遠くの方を見遣る大二の横顔にせつなくなる。
     けれど、彼がその頃どういう思いを抱えていたのかは尋ねず、
     「ミレーの絵には黄昏時の効果が強く働いているのかもな」
     唯阿はそっと呟く。
     「黄昏時の効果…」
     「黄昏はノスタルジーと情緒を演出し、観ているこっちの想像力を掻き立てているのじゃないかと」
     「なるほど」
     肯いて微かに笑んだ大二に、唯阿も笑みを返す。

     ―――いつか、君の、痛みに触れさせて…

     そう祈りながら、いまはただ…なにも訊かずに、大二の傍にいる。

  • 78二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:25:00

     ふたりは喫茶店を後にする。
     「美術館前の駅と予約しているレストランは反対方向なんですが、どうしましょうか」
     「ここから駅までとレストランまでだとどっちが近いんだ?」
     「うーん…だいたい同じくらいですね1駅分なので。でも、ちょっと駅の方が近いかなー」
     「私はどちらでも構わないが…
      美術館前の駅だと逆方向に戻るのかー レストランの最寄駅が1つ先だからとその最寄駅に行っても電車に乗る訳ないからその駅を目指すのは意味ないな…
      歩こうか」
     「大丈夫ですか?疲れませんか?」
     「あぁ、大丈夫だ。
      前にも言っただろう?――君と歩くのは嫌いじゃない…と」
     腹ごなしになるしな、と付け足せば、
     「!わかりました」
     彼は返答した。
     「行きましょう」
     大二と並んで歩く。


     大二が予約してくれたレストランは和食を中心としたお食事処だった。
     鶏と野菜の黒酢あん定食と茄子と豚のコク旨甘だれ炒め定食を頼む。
     定食はどちらも美味しかった(シェアして食べた)。
     デザートに宇治抹茶パフェと白玉クリームあんみつをいただいて和食レストランから出る。
     「家まで送ります」
     「帰り道、反対じゃないのか?」
     「いえ、今日は休みを取っているので実家に帰ります。
      朝一ちょっと出勤したので行きは迎えに行けませんでしたけど、帰りは送れますよ」
     「そうか… じゃあ、お願いしようかな」
     もうちょっと一緒にいたいし…――なんて、思うけれど。勿論 口に出せない。
     「はい」
     やわらかく微笑む大二に、どきんと胸が高鳴る。
     素直になれない唯阿なのにそれでも大二は真っ直ぐ伝えてくれる、から、恥ずかしいけれど、嬉しい。

  • 79二次元好きの匿名さん23/04/19(水) 19:55:17

     ふたりで電車に揺られる。隣に大二がいて、ドキドキする。行きも楽しみでドキドキしていたけれど、ドキドキの種類が違う。腕が触れるか触れないかくらいの間隔を空ける大二がどんな表情をしているのか見ようと彼の方を向く、と…
     瞬間、――大二と瞳(め)が合う。
     「!!」「!!」
     お互い、顔を逸らす。
     唯阿が降りる駅までふたりは無言だった。

     電車を降りると、陽が落ちようとしている頃で。
     手を繋ぎたいな。――不意にそんなことが頭を過って。
     「陽が暮れてきましたね。急ぎましょう」
     伸ばし掛けた手は行き場を失くす。腕をぷらぷらさせて歩いていると、一台の車が凄いスピードでふたりの真横を駆け抜けて行った。そのとき、唯阿は、あ、と気づく。
     思えば、大二はきょう道を歩くときはずっと彼が車道側にいた。駅から美術館までの道も、美術館から喫茶店までの道も、喫茶店からレストランまでの道も。そして、いま。駅から唯阿の家までの、この歩道も、大二は車道側を歩いてくれている。
     さりげない気遣いに、うっかりときめいて…いたら、
     ピピーッ――自転車が通り抜ける。
     「 っ、危なッ! 大丈夫でしたか?」
     「あ、あぁ…///」
     庇われたから唯阿はいま、大二の方に抱き寄せられている。その事実に赤面する。
     「あ、ごめんなさい」
     大二はぱっと離れる。
     「/// …いや、気にするな」
     しばらくして大二に手を握られた。
     「ぇ」
     「手を繋ぎたくて…」
     恥ずかしそうに呟く彼は耳まで紅くて、こっちまで胸が高鳴る。
     「わ、私も… その、…繋ぎたい…///」
     「 よかったぁ」
     大二は胸を撫で下ろして、はにかむ。それにまた唯阿はドキッとして。

     ふたりは唯阿の家まで帰った。…その手を繋がれたまま。

     茜色の夕陽がふたりをやさしく照らしていた―――。

  • 80二次元好きの匿名さん23/04/20(木) 03:24:23

    保守 

  • 81二次元好きの匿名さん23/04/20(木) 10:50:00

    このレスは削除されています

  • 82二次元好きの匿名さん23/04/20(木) 19:14:41

    二人のデートピュアでおしゃれだな…

  • 83二次元好きの匿名さん23/04/20(木) 22:17:19

    唯阿さんと大二ってやっぱ感性が似てるんだなって思った

  • 84二次元好きの匿名さん23/04/20(木) 22:19:58

    あにまんのCPスレで絵の解釈の話になるとは思わなかった… いやー勉強になったわ

  • 85二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 07:36:02

    >>84

    それな

    俺なんて絵なんて見ても俺よりうまいしか毎回思わないよ…

  • 86二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 16:33:45

    このレスは削除されています

  • 87二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 18:39:00

    倫太郎が結果的にキューピッド

  • 88二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 18:40:00

    このレスは削除されています

  • 89二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 18:50:10

    このレスは削除されています

  • 90二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 19:10:00

    なんて健全なカップル…!!ずっと応援してたいわ~!

  • 91二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 19:15:19

    大二の年下の男の子感が可愛いし唯阿さんも乙女かわいくて…推せるー!!

  • 92二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 19:17:00

    ケーキはんぶんこ可愛い

  • 93二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 19:19:15

    >>61 >>62 >>64 >>65

    本編がハードなので…

    でもハッピーエンドにしたいと思ってます


    >>82

    デートがおしゃれですか!ありがとうございます!


    >>84 >>85

    ミレーの『晩鐘』は私が好きな絵でして…

    だけど好きとは言え美術に詳しくないので、感想は正直、晩鐘いいよねいい…(語彙力) しか出てきません

    …このssでの絵の解釈は、私が学生のころ絵画感想文の課題で西洋画の解説本を参考に書いたのを使い回してます


    >>83

    唯阿さんと大二は感性が近しいんだって伝わればいいなぁと思っていたので、そこを読み取って戴けて嬉しい!


    >>90

    応援したいCPと思ってもらえてよかった


    >>91

    大二の年下の男の子感と唯阿さん乙女なとこ出てますか!かわいいと言ってもらえて嬉しいです!


    >>92

    恋人になって、はんぶんこすることに抵抗なくなったようです

  • 94二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 19:58:00

    >>37 >>38 >>39

    『リバイス』本編で色々あったふたりなので何となくわかり合える部分がある気がして相性いいんじゃないかって


    >>87

    倫太郎は唯阿さんにとっても大二にとっても所謂“光”の存在なので、唯阿さんも大二も倫太郎からいい影響を受けているのじゃないかなって妄想しているですが、それがふたりを近づけたのかもですね



    別のスレで

    大二ってキラキラ!光!というよりは薄明かり…みたいな雰囲気

    というのを見て凄く同意したのだけど、だから大二は光属性の人(倫太郎)に憧れつつ自分と同じくらいの仄かな明るさを持つ人(唯阿)に惹かれて、光が強すぎる人には近づけないけど薄明かりっぽい人なら安心するっていう“陰”タイプの人(花)から好かれるのかなぁとか思ってみたり

  • 95二次元好きの匿名さん23/04/21(金) 21:30:00

    >>45 >>46

    ほんと、沙羅さんつら…ってなっているから大二とほのぼのしてほしいのだけど

    なるべく『ギーツ』本編と齟齬のない感じにしたいので、大二と沙羅さんの話は景和がどうなるのかが明らかになってからその補完という形にしようかと思ってます

    景和祢音と同様、本編次第…

  • 96二次元好きの匿名さん23/04/22(土) 07:40:48

    保守

  • 97二次元好きの匿名さん23/04/22(土) 10:55:19

    「手を繋ぎたくて…」って耳を赤くして言う大二も、照れながら「わ、私も… その、…繋ぎたい…///」答える唯阿さんも、可愛い

  • 98二次元好きの匿名さん23/04/22(土) 12:59:03

    >>97

    唯阿さん手を繋ぎたいなって思ってたからね

    「手を繋ぎたくて…」と言われたら「私も」ってなるでしょ

    めっちゃ想い合ってるな、このふたり!

  • 99二次元好きの匿名さん23/04/22(土) 16:00:53

    >>94

    >大二ってキラキラ!光!というよりは薄明かり…みたいな雰囲気

    >自分と同じくらいの仄かな明るさを持つ人(唯阿)に惹かれて

    あーだからふたりとも夕暮れ時の絵が好きなんだな

  • 100二次元好きの匿名さん23/04/22(土) 22:50:01

    このレスは削除されています

  • 101二次元好きの匿名さん23/04/22(土) 23:55:00

     「或人社長、今日のお昼は社食でないのですか?」
     イズに尋ねられ、或人はうんと肯いて
     「お弁当なんだー」
     笑顔で答える。



     話は昨日に遡る。
     昨晩、唯阿から連絡があった。――明朝(つまり今朝)、或人の家に立ち寄っていいかというもの。
     或人はふたつ返事でいいよと言い、今朝、唯阿が来たのである。
     「社長さん、おはよう」
     「おはよう、刃さん」
     「…これ」
     そう言って唯阿が差し出したのは紙袋ひとつ。中を覗くと…風呂敷包みが入っている。
     「これって、もしかして…お弁当…?」
     「……あぁ」
     「わぁーありがとう!」
     「っ、イズから、あなたの食生活事情を聞いてな…」
     「それで作ってくれたの?!嬉しい!!」
     「っっ、ちゃんと栄養バランスを考えて摂らないと身体によくないぞ」
     「…はい( ̄▽ ̄;) 気をつけます」
     「社長業は何かと気苦労もあるだろうし」
     「うん、ありがとう」
     「 そんな何度も礼を言わなくていい」
     「ははは…(照れているのかな??)
      あのさ、刃さんもいまから出勤だよね? 職場、同じ方向だし…よかったら途中まで一緒に行かない?」
     「!…別に、構わないが…」
     「やった!!
      それじゃ、急いで用意するから、ちょっと待ってて…!」

  • 102二次元好きの匿名さん23/04/23(日) 07:53:34

    或人が弁当食べる!?明日はやりの雨が降るのか…?

  • 103二次元好きの匿名さん23/04/23(日) 09:17:00

     「お待たせ!」
     或人は身支度を整え、唯阿と共に自宅を出る。

     「(^-^)♪」
     或人がニコニコしていると、唯阿の視線を感じる。
     「刃さん?」
     「……いや、何だか上機嫌だなと…」
     「だって、刃さんが弁当を作ってくれて…刃さんと途中までだけど一緒に行ける って、朝からハッピーじゃん!」
     「っっ/// そ、そうか…
      だが、中身は私の朝ごはんの余り物で私が持って行っている弁当と変わらないぞ?あまり期待するな」
     「!!じゃあ、刃さんと同じ物が食べられるんだぁ!」
     「ッ! そ、そうなるな…」
     「今日のお昼、楽しみだな~」
     「(~~~/// この人は!どうして…!こう、恥ずかしいことを…!!)
      私は先に行くからッ!」
     「えー?!急にどうしたの?! 待ってよ、刃さん!!」
     或人は慌てて、唯阿の後を追う。

     何だかんだ一緒に通勤し、或人はA.I.M.Sのオフィスで唯阿と別れ、飛電インテリジェンスに出社した。



     そういう訳で、或人は唯阿の手作り弁当をいただくのである。
     弁当箱の蓋を開けると――白いごはんに梅干し,おかずは肉巻き(中身はアスパラやにんじん),エビフライ,焼き鮭,卵焼き,ほうれん草のお浸し,それからミニトマトが入っていて彩り鮮やかだ。
     「おいしそう!!」

     満面の笑みを浮かべる或人に、イズはよかったですねと返し、社長室を出て行った。

  • 104二次元好きの匿名さん23/04/23(日) 09:17:58

    このレスは削除されています

  • 105二次元好きの匿名さん23/04/23(日) 09:19:00

     夕方、本日の仕事が終わり、或人は唯阿に電話を掛ける。
     「もしもし。刃さん」
     『社長さん、どうした?』
     「お弁当、ありがとう。とってもおいしかったよ!」
     『そうか、それはよかった…』
     「それでね…刃さん、仕事は終わった?
      一緒に帰れたらなぁって思ってさ」
     『あーすまない。まだだ。少し残業する』
     「そっかー」
     『申し訳ない…』
     「そんな謝らないでよ…
      けど、無理しないで」
     『…あ、あぁ…』
     「そしたら…また今度、一緒に帰ろ?」
     『あぁ。懲りずに誘ってくれ』
     「!!うん! そのときはどっかでごはん食べよう!!」
     『ふふ…楽しみにしてる』
     「俺も!! じゃあね」
     『じゃあ』
     或人は通話を切る。

     刃さん…懲りずに誘って、だって…!楽しみにしてる、だって…!!
     ―――かわいいなぁ…

     或人も自然、ふふと微笑む。

     「明日も頑張ろ!」
     そう独り言ちて、或人は家路に就いた。

     日が落ちて、月が昇ろうとしていた―――。

  • 106二次元好きの匿名さん23/04/23(日) 15:23:17

    こっちはこっちで幸せそうでなにより…

  • 107二次元好きの匿名さん23/04/23(日) 19:17:00

    大二×唯阿も或人×唯阿も尊い…!

  • 108二次元好きの匿名さん23/04/23(日) 23:09:29

    TV本編で記憶消えたからここだと景和に恋してたことを忘れお見合いしてる祢音ちゃんいるのおつらいね…、

  • 109二次元好きの匿名さん23/04/24(月) 08:12:11

    このレスは削除されています

  • 110二次元好きの匿名さん23/04/24(月) 17:56:06

    記憶戻ったらどんな反応するんだここの祢音ちゃん…

  • 111二次元好きの匿名さん23/04/24(月) 19:50:17

    >>108 >>110

    『ギーツ』今話で景和は帰って来ず次話では世界が創り変えられ祢音は記憶を失っている という…しんどい展開が続くなか、どういうふうに景和と祢音を成就させようか.併せて、沙羅さんにも幸せになってほしいので大二をどのように関わらせるか妄想中

  • 112二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 02:55:05

    >>111

    やることが…やることが多い…!

    けど気長にお待ちしております!

  • 113二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 11:16:38

    保守

  • 114二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 11:54:22

    このレスは削除されています

  • 115二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 19:19:19

     「俺は諦めない…!!いつか必ず…この世界の幸せを…!」
     景和が消えた。
     「景和ーーーっっ!」
     沙羅はその場で泣き崩れる。
     弟が、消えた。目の前で。

     『次なる審判は明日の正午、心して備えよ』
     空に響く邪神の声も聞こえない。

     沙羅は呆然としたまま動けずにいた。

  • 116二次元好きの匿名さん23/04/25(火) 22:19:19

     夜になった。

     避難している人々は皆、とある施設で過ごしていた。

     沙羅はスマホの画面をぼーっと眺めている(けれど、その瞳はなにも映っていない)。
     ふと、通話履歴を見て“景和”の文字が眼に飛び込んできた瞬間、衝動的に電話を掛けた。
     出るはずのない弟。コール音だけが耳を通る。数十回の呼び出し音の後、
     【お掛けになった電話…】――ぷつ。
     音声アナウンスが流れ始めた途端、沙羅は電話を切った。スマホを軽く投げる。無機質な声なんて聞きたくない。

     膝を抱えて、ぼんやり自分の爪先を見遣る。

     『たとえ小さくても、幸せは誰にだって平等にあるべきなんだ!』。――弟の、景和の、声が、脳裏を過る。

     沙羅は無意識のうちにスマホを手に取る。無意識的に電話帳を開き、無意識的にある人の連絡先を探す。そして、目に留まったのは…――“五十嵐大二”。
     そこで、ハッとする。


     ―――私…なにを…

     一体、自分は何をしようとしたのだろう。大二に、電話…?え、どうして??どうして…彼に…
     大二に電話を掛けて?それで?――ドウシヨウトイウンダ…

     五十嵐くんは景和のお友達…だけれど、私は彼と2回しか逢っていない…
     たった2回 逢っただけの、私が、彼に、電話してどうするの…
     彼は景和のお友達…だけれど、
     彼と私は…なんでもない…。


     沙羅はスマホの電話帳を閉じ、膝に顔を埋める。

  • 117二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 08:47:20

    保守

  • 118二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 19:07:07

    沙羅さん…、これどうなってしまうんだ…

  • 119二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 19:19:00

     すると、蘇る記憶。
     『お父さん…お母さん…!』
     『逃げろ!沙羅!』
     『誰か…娘を…!』
     『やだ…!やめて…!
      お父さん!お母さん!』
     頭を振っても、振り払えない辛い光景。耳を塞いでも、聴こえてくる悲痛な叫び。

     『皆を…助けるまでは…倒れないから!』
     怪物に囚われた自分を救ってくれた弟の言葉を思い出す。

     ―――景和…っ

     弟が消えるところと両親が怪物に襲われているところが頭のなかで繰り返される。…何度も、何度も。
     『たとえ小さくても、幸せは誰にだって平等にあるべきなんだ!』。『俺は諦めない…!!いつか必ず…この世界の幸せを…!』。――景和の叫びが、頭のなかをぐるぐる駆け巡る。
     心のなかはもう…ぐちゃぐちゃだ。


     気がつけば、沙羅はスマホの通話ボタンを押していた。
     いま、何時だろう。わからないけれど、真っ暗だから夜中よね…――出ないよね…
     もし100回コールして出なかったら、もう掛けないから…だから、だから、――沙羅は呼び出し音を聴きながら、誰にでなく言い訳をする。
     コール音だけが沙羅の耳に響くなかたぶん100回くらい鳴らしたかなと思い、切ろうとした、そのとき…

     『……はい…』
     繋がった。

  • 120二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 19:19:17

     『もしもし…』
     電話に出てくれるとは思ってなくて。反応が遅れた。
     「っ、もしもし…。五十嵐くん…?」
     声が震える。
     『はい…… !その声は…景和さんのお姉さんですか?』
     「あ、うん… そうだよ…
      …夜中に…ごめんね…?
      番号は…弟から聞いて…」
     つっかえつつ、一気に捲し立てる。…彼になにを言われる(突っ込まれる)のか不安で彼が口を挟む隙を与えないように。していたのに…
     『どうしました?』
     いとも簡単に何事かあったと悟られ、思いのほか気遣わしげな声色で言葉を掛けられ、焦る。
     「……な、なんでもないの…!
      間違えて掛けちゃった!ごめんねー」
     内心の動揺を隠して、そう返した、けれど、彼は納得してくれるだろうか…。
     誤魔化し切れる気がしなくて、
     「じゃあねーおやすみなさいー」
     沙羅は慌てて通話を切った。

  • 121二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 19:19:30

     失礼すぎる。不自然すぎる。変な人と思われた。
     でも…――


     『どうしました?』
     こんな夜中に電話したのに、あんなやさしい声で気遣われたら…――泣きついてしまいそうだから…

     気づいたら、大二に電話を掛けていた。さっきも、電話帳で彼の連絡先を探していた。――その理由が、いま、はっきりとわかったから。

     ―――私…五十嵐くんにすがりたかったんだ…


     自分は無意識下で大二を頼ろうとしていた。
     そのことを自覚して、彼に申し訳なくて居た堪れなくて恥ずかしくて…。
     甘えちゃ駄目。困らせちゃ駄目。沙羅は自分にそう言い聞かせる。


     『皆の幸せは…俺が守る!
      俺が守るんだ!俺が!』
     ―――景和、帰ってきてよ…

     沙羅は心のなかで呟いて、瞳(め)を閉じた。

  • 122二次元好きの匿名さん23/04/26(水) 23:24:40

    沙羅さん…
    やっぱり思いなぁ…

  • 123二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 07:35:01

    声で景和の姉とわかる大二

  • 124二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 17:00:28

    このレスは削除されています

  • 125二次元好きの匿名さん23/04/27(木) 22:19:18

    このレスは削除されています

  • 126二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 08:06:27

    次回から景和が何故消えたのかわからず探し回る沙羅さんがいるのか…

  • 127二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 17:29:04

    というか記憶消えたらゼアに繋がれる或人以外みんなデザイアグランプリ関係の記憶なくなっちゃってそうなんだよな…

  • 128二次元好きの匿名さん23/04/28(金) 19:19:00

     ツーツーツー…――途切れた通話の音が大二の耳を通る。


     『じゃあねーおやすみなさいー』。
     大二はスマホを手に、景和の姉の、電話を切る直前の声を思い返す。
     慌てた様子だった。
     夜中に掛けたことを申し訳なく思ったのかもしれない、けれど、
     それだけではない。直感的にそう察する。

     『……な、なんでもないの…!
      間違えて掛けちゃった!ごめんねー』
     間違えて掛けた…?彼女はもしもし…五十嵐くん…?と言っていた。自分に掛けてきた、と受け取っていいだろう。
     間違い電話でなく自分宛に電話してきたとするなら、彼女は自分に何か用があったということになる。しかもこんな時間に掛けてきたのだ、緊急を要するものの可能性が高い。

     彼女はこうも言っていた。…“夜中”に…ごめんね…と。
     彼女からの電話を取ったときは既に空が白々としていた。夜中というより明け方だ。――時間の把握が曖昧になっている…?
     口振りははっきりしていたから寝惚けていたとは考えられない。眠りが浅くて目が覚めたか、なかなか寝付けなかったか、もしかすると一睡もできなかったか、のいずれかか…。寝惚けている訳でなく時間があやふやなのだとすると、今が何時であるか確認するのを忘れる程 頭が回らない状態なのではないか。もしそうなら…なにか不安なことがあるのではないか、と大二は考える。
     眠れなくて誰かと話をするのなら、相手は身近な人――彼女の場合、弟である景和が順当。なのに、彼女は弟以外の人間にわざわざ電話を掛けてきた。…ここから導き出される推測は、景和と会話できる状況にない…

     ―――景和さんの身に何かあった…?!

     『……な、なんでもないの…!』
     そう言った彼女の、声が震えていた、気がして。

     大二は景和の姉に急ぎコールバックする。

  • 129二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 00:34:41

    沙羅さん…
    なんかもう幸せになってくれ…

  • 130二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 08:43:38

    このレスは削除されています

  • 131二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 18:17:04

    景和が元に戻るまで今の沙羅を大二がカウンセラーみたいな感じで支えることができるかな…

  • 132二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 19:17:00

    このスレで大二と沙羅さんいいなぁって思うようになったから沙羅さんの心のケアは大二がしてくれたら嬉しい

  • 133二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 19:30:19

    大二、景和が帰ってくるまで沙羅さんのこと頼んだぞ…!

  • 134二次元好きの匿名さん23/04/29(土) 23:27:31

    明日どうなってしまうのか…

  • 135二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 10:19:33

    保守

  • 136二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 17:56:06

    次回は沙羅さんデザロワ参加しちゃうよ…
    大二どうにかしておくれ…

  • 137二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 19:17:01

    このレスは削除されています

  • 138二次元好きの匿名さん23/04/30(日) 19:19:00

    大二、沙羅さんのとこに早く来て…!

  • 139二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 00:08:31

    景和も景和でなんか重い感じになりそうだけどこのスレだと本当にどうなるんだ…

  • 140二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 08:34:01

    ほんと…、桜井兄弟幸せになってくれよ…

  • 141二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 14:19:00

     『…もしもし』
     景和の姉は電話にすぐ出てくれた。
     「もしもし、五十嵐です。今、電話いいですか?」
     『う、うん…。
      あの、ごめんね…深夜に電話して…』
     「いえ。もうすぐ起きる時間だったので…」
     彼女からの電話は目覚ましアラームより早かったものの、あと1時間程で起きるようになっていた(ちなみに…沙羅は100回くらい鳴らしたと思っているが、実際は30回もコールしていない)。
     『 そうなの…?』
     「はい、だから気にしないで下さい。
      それより…」
     大二は一呼吸 置いて、尋ねる。
     「大丈夫ですか」
     『…ぇ……』
     電話越しの、彼女の声が掠れている、気がして。
     「先刻(さっき)の電話…なにかあった感じがしたから…」
     言葉を選んで、相手の出方を窺う。
     彼女から返ってきたのは――
     『……平気よ…』
     平気、か…――大二はなにか起こったと確信する。
     “平気”とは、何が起こっても動じない、落ち着いている様子を指す。“何かが起こった”ことが前提の言葉。
     「今からお家に伺っても…?」
     『! …ごめん、いま出先だから…!』
     「休日のこんな朝早くから…」
     仕事だろうか…。景和から彼女は週休2日制の会社に勤める普通のサラリーマンと聞いている。休日出勤がなくはないだろうけれど、現在の時刻は朝の5時。休みの日に早朝も早朝から会社と謂うのは…考え難い。
     「いま、どこです?」
     『…ごめんなさい』
     「あ…! 切れた…」
     そこへ向かいます…と大二が言う前に通話は途切れてしまった。

  • 142二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 14:19:17

     大二は彼女の住む街へ行くことに決めた。

     休みをもらうべく、ヒロミに事情を話す。
     当日の休暇取得申出の為、理由を説明したのだが…景和は仮面ライダーということ,おそらく仮面ライダーとしての闘いのなかで彼の身に何か起きたと考えられること,景和の姉が気掛かりなことを告げると、ヒロミはその街が危険に晒されているかの調査ということなら世界平和維持を掲げるブルーバードの理念に則ったものであるからそれは任務に相当する。よって休暇の申請は必要ないということとなった。
     出立時に狩崎からあるものを受け取り、大二は景和達の住む街へと急行する。

  • 143二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 19:19:00

     或人は、レンタルされているヒューマギアの定期メンテナンスで複数のクライアントを訪問した帰り、見知った人と遭遇し声を掛けた。
     「祢音ちゃん!」
     「…?どちら様ですか?」
     「え」
     不思議そうな表情(かお)の祢音に面食らう。
     「……失礼しますね…」
     そう言って、祢音が去って行った。

     どういうこと…?!――或人が戸惑っていると、
     「或人さん」
     呼び掛けられ、声のする方へ目を向ける。
     そこにいたのは…
     「大二くん!」
     或人は大二に駆け寄る。
     「よかった…俺がおかしくなったんじゃないんだ…」
     「はい?」
     「あ、いや…こっちの話。
      それより、ここで逢うなんて奇遇だね!
      俺は取引先訪問の帰り。大二くんは?お仕事?」
     「…えぇ、まぁ。(話していいのかな…)」
     「…ということは…何か事件? 差し支えなければ、話を聞かせてくれる?」
     「……(或人さんを巻き込んでいいんだろうか…)」
     「洩れたらマズいこと??」
     「いえ、そういう訳では…
      (或人さんになら話しても支障はない。
       この街の平和が脅かされているならむしろ手を借りて… 否、でも…)
      ただ、巻き込んでいいのかなって…」
     大二の気遣いに優しいなぁと思うと同時に淋しいと感じ、或人は彼の肩に手を乗せ
     「なに言っているんだよ!俺達、何回も一緒に戦ってきただろ?」
     訴え掛けた。

  • 144二次元好きの匿名さん23/05/01(月) 23:32:57

    このレスは削除されています

  • 145二次元好きの匿名さん23/05/02(火) 09:07:21

    世界改変されたから祢音ちゃん或人たちのこと忘れちゃってるよ...
    多分沙羅さんも忘れてる可能性が...

  • 146二次元好きの匿名さん23/05/02(火) 17:19:00

     大二は或人に景和の姉から電話があり電話先の彼女が不安そうな様子だったことを話す。
     「景和さんの身になにかあったのかもしれない…それで来たんです。調査の段階なので、なにか起きたという確証はありませんが…」
     「そっか… でも、もしかしたら…先刻(さっき)の祢音ちゃんの感じからして何かあったのかもしれない…」
     「祢音さんに逢ったんですか?」
     「うん、つい先刻ね…。 俺のこと覚えてなかったんだ…」
     「記憶が…消された…?」
     「え、記憶って…意図的に消せるものなの…?? あ!世界改変!」
     「世界…改変…」
     「俺…目が覚めたら‘そこ’がヒューマギアに支配された世界だったことがあるんだ。タイムトラベルできる仮面ライダーと一緒に歴史が改変される分岐点へ行って、色々あって…元の世界に帰って来れたよ…」
     「そうなんですか…。
      この街に世界改変が起きているとしたら、おそらく原因は…“デザイアロワイヤル”」
     「デザイアロワイヤル?」
     「はい。仮面ライダー同士が戦うゲームで…俺はどういう訳か弟が狙われたから兄妹3人で参戦しました。
      …俺はその一度しか関わっていないので“デザイアロワイヤル”のことを詳しくは知りませんけど…兄から聞いた話だと、ゲームの勝者には報酬があるそうで… そのときの勝者は兄と共に戦ってくれた浮世英寿さんという人でした…
      英寿さんがどんな報酬を得たのかわからないですけど」
     大二は思案顔でこう続ける。
     「ゲームの勝者がいるなら敗者もいる…勝者に報酬があるなら敗者にはペナルティがある…そう考えるのが妥当かと」
     「!じゃ、ペナルティが記憶の消失…ってこと?!」
     「仮に勝者の報酬で世界が改変されているとしたら…祢音さんの記憶が消えているのもその影響の可能性が高いですね…」

     もしかしたら…と大二は思う。
     ―――景和さんも…ゲームに負けて、記憶を…
     それで、景和は姉の元を去ったのかもしれない。――大二は一輝が自分達家族のことを忘れ実家から出て行った光景が頭に浮かぶ。

     つらいことが脳裡に蘇り、景和の姉を思う。

     ‘あの’日――‘兄が家を出て行った’あの日のことは忘れないだろう。
     だから、

     ―――行かなくちゃ…逢いに行かなくちゃ…

  • 147二次元好きの匿名さん23/05/02(火) 19:50:50

     「何にしても調べる必要があるな」
     或人にそう言われて、考え込んでいた大二は顔を挙げる。
     「そうですね」
     大二が頷くと或人はスマホのようなもの(大二は知らないがライズフォン)で電話を掛ける。
     「イズ、至急で調べてほしいことがあるんだ。“デザイアロワイヤル”っていうゲームなんだけど…。よろしく!」
     通話を終えると、或人が
     「俺達は二手に分かれよう。俺は祢音ちゃんを探す」
    と提案、大二はそれに乗る。
     「わかりました。祢音さんのことは頼みます」
     「うん。大二くんには桜井くんのお姉さんの方を任せた!」
     「はい。
      併せて今回のゲーム勝者は誰なのか探りたいと思います。…英寿さんが勝者なら見つけ易いんですけど、英寿さん有名人なので」
     《スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズでお馴染みの浮世英寿さんが行方不明になって1週間…》
     街頭の大型ビジョンから流れるアナウンスに大二と或人は顔を見合わせる。
     「…英寿さんも勝者ではなさそうです…」
     「……だね… 勝者を探す手掛かり、ある?」
     「…思い当たる人がひとり…。
      ‘あの’とき、デザイアロワイヤルに参戦していて景和さん達の仲間と思われる人なんですけど、顔を朧気に憶えているくらいで…名前も… あ!」
     大二は狩崎に渡された端末を取り出す。
     「俺が参加したデザイアロワイヤルのデータをまとめてくれていると言っていたんで、見てみます…。
      ありました!この人です」
     大二は端末に映し出されたデータを或人に見せる。
     「吾妻道長…仮面ライダーバッファ…」
     「じゃあ、彼を見つけて事情を聞こう」
     「でも…、この人、英寿さんや祢音さんみたいに有名人ではないですから捜すのは難しいかと…。
      英寿さんは兄と、祢音さんは妹と、景和さんは俺と行動を共にしていたんですが…この吾妻道長という人とは交流がないので住んでいるところもわかりません。
      端末に保存されているのは、あくまで俺が参戦したゲームに関する報告をデータ化したもののようです… 一応、或人さんのスマホに名前と顔写真だけ転送しますけど、
      或人さんは祢音さんを見つけて下さい」
     「わかった。大二くんは桜井くんのお姉さんのこと宜しく!」
     ふたりは分かれた。

  • 148二次元好きの匿名さん23/05/02(火) 22:25:44

    これからどうなるのか楽しみ…!

  • 149二次元好きの匿名さん23/05/03(水) 07:52:33

    このレスは削除されています

  • 150二次元好きの匿名さん23/05/03(水) 12:19:00

     或人は祢音を探そうと街中へ。
     そうは謂っても…――俺、祢音ちゃんのお家どこか知らないんだよな…と独り言ちて、思い出す。…祢音に付き添って彼女が行き付けのファッションブランドのショップに行ったことを。







    ーーーーーーーーーー

     「或人さーん、この服どうです?景和、可愛いって思ってくれるかなぁ」
     「いや、俺に聞かれても…」
     「ごめんなさいー。でも、男の人はどういう格好が好きなのかわからなくて…他に聞ける人いなくて…」
     「うーん… 彼の好みは俺にはわからないけど…
      祢音ちゃんが好きになった人だ、きっと素敵な人だろうから、祢音ちゃんがどんな格好していようと似合っているって思ってくれるよ」
     「!ありがとう!」

    ーーーーーーーーーー







     ―――祢音ちゃん…まさか、桜井くんの記憶も無くなった なんてこと…ないよな…

     或人は、祢音との遣り取りを思い返し、ショップに向かう。
     (ちなみに、このショッピングに付き添っているところを景和に見られたのだった。)

  • 151二次元好きの匿名さん23/05/03(水) 12:19:17

     大二は景和の家を訪ねようと足を速め、誰かにぶつかった。
     「すみません。急いでいたもので」
     頭を挙げるとそこには――吾妻道長が、立っている。
     「っ! あ、あの…吾妻道長さんですよね…?」
     「誰だ、お前…」
     怪訝そうな顔をする彼に、確かめようと大二はこう答える。
     「俺は…前に一度、デザイアロワイヤルに参加した者です」
     「?!お前…仮面ライダーか?」
     記憶が、ある…!じゃあ、もしかして…この人が今回の勝者…?
     「ミッチー、そいつ誰?知り合い?」
     そこに現れたひとりの女性。
     「否…よく知らない。以前デザイアロワイヤルに参加したことがあるらしい」
     デザイアロワイヤルのことを彼女に話した…この女性も仮面ライダーか…。
     「へぇー、デザロワにねぇ…。 ってことは仮面ライダーじゃん。ミッチー、消さなくていいの?」
     「(?!!なにを…?!)それって、どういう…」
     「あら?デザロワに参加したなら知ってるでしょ、このゲームはライダー同士で戦うって…」
     「!確かに、そういうルールだったけど…! 消すって…」
     「ここはミッチーの願いが叶った世界!」
     ―――やっぱり、この人が…勝者…
     「自分の望みが叶うのが勝者が得られる報酬なのか…」
     「はぁ?今更、何言ってんの??あんた、そんなことも知らずに参加してたの?」
     「俺が参戦したのは一度きりだから…」
     「参加したのは一度…それもデザイアロワイヤル… ――お前…‘あの’ときギーツとつるんでいたリバイスか?」
     「リバイスは俺の兄です」
     「つまり、お前はリバイスの弟… ということは…タイクーンと一緒にいた…ライブ」
     「えぇ、そうです。 景和さんの行方、知りませんか?」
     ―――この人が勝者ならきっと…何らかの情報を持っている…
     景和を捜す手掛かりが掴めるかもしれない…――そうすれば…

     ―――お姉さんを少しは安心させることができる はず…

  • 152二次元好きの匿名さん23/05/03(水) 22:43:18

    大二が真相知ったらかなりやばいことになりそう…

  • 153二次元好きの匿名さん23/05/04(木) 08:26:24

    このレスは削除されています

  • 154二次元好きの匿名さん23/05/04(木) 14:48:19

    なんとなくデザロワでこの或人や大二達の参加も見てみたいと思ってしまう…

  • 155二次元好きの匿名さん23/05/04(木) 19:00:00

     「タイクーンなら俺が消した」
     「え…」
     消した…?!
     「どうして…」
     「俺の願いを叶えるのに邪魔だった…。
      タイクーンはこの世界に存在しない。ギーツもな」
     「な…っ」
     英寿も景和も…。
     「そうまでして叶えたい願いって…」
     「それは私ベロバが教えるわ」
     道長の傍らにいる女がにんまり笑う。
     「ミッチーはね、全ての仮面ライダーをぶっ潰す力を欲していたの」
     「ッ!! それを何故、知っている?!」
     「私はミッチーのスポンサーだから!」
     「スポンサー…?」
     「あんた、本当に何も知らないのね…。いいわ、全部 教えてあげる」
     ベロバはニヤッと薄ら笑いを浮かべて話し出す。

     デザイアグランプリは所謂“生き残りゲーム”で、プレイヤーは各々仮面ライダーに変身しジャマトの脅威から街の平和を守りつつラスボスジャマトを倒すのがルール。そうして、勝ち残った者が「デザ神」の称号と共に《理想の世界を叶える権利》を得られる。…というのは表向きで、その正体は次元を超越したリアリティライダーショーであり、デザイアグランプリには“オーディエンス”と呼ばれる多くの観客がいて、プレイヤー達の理想の世界を賭けた死闘を“世界を救うエンターテイメント”と称して提供していたこと,理想の世界を叶える力はデザイアグランプリで犠牲となった人々の幸せを吸収しそれを力の糧とすること――具体的にはデザイアグランプリで犠牲になった人々の幸せは創世の女神の下へ集められ、それが勝者の大きな幸せに変換されていること,そしてその犠牲者の幸せを基にして創世の女神が望み、生まれたのが英寿であることを、大二は知る。

     「っっ」
     衝撃の真相に大二は言葉を失う。
     「そんな、見せ物ショーで…透は……死んだ…ッ」
     道長が、吐き棄てるように言った。
     (!!)
     大二は目を見開くも、道長の怒りと哀しみと苦しみが混ざったような表情が痛々しくて顔を背ける。
     「ミッチーの親友はぁー、前ぇデザグラに参加しててー、他のライダーから暴行を受けてバックル奪われて、ジャマトに襲われて消滅したのよねぇー。だからミッチーは仮面ライダーを憎んでいるの」

     気持ちはわからなくはない…。仮面ライダーを怨みたくもなるだろう。でも。
     だけど…

  • 156二次元好きの匿名さん23/05/04(木) 23:26:48

    このレスは削除されています

  • 157二次元好きの匿名さん23/05/05(金) 09:07:07

    道長と大二遂に出会っちゃったね…
    これからどうなるか…

  • 158二次元好きの匿名さん23/05/05(金) 17:17:17

     「それで、ジャマトグランプリ略してジャマグラを開催して…ミッチーは浮世英寿と桜井景和を消したのよ」
     道長が仮面ライダーを憎む気持ちはわからなくはない、けれど。だからって…英寿や景和に矛先を向けるのは筋違いではないかと思う。

     そんなことして…友人が帰って来ると思っているのか…喜ぶと思っているのか…。――その問い掛けを大二は呑み込む。
     他人に言われなくても本人がわかっているはずだから。わかっていても、苦しみに飲まれて哀しみに打ちひしがれて怒りに駆られて…‘この’道しか見い出せなかったのかもしれないとも思う。それでも…

     「あ、そうそう。鞍馬祢音は戦意喪失で不戦敗よ」
     大二があれこれ考えを巡らせるなか、ベロバは訊いてもいないことをべらべらとしゃべる。
     「あるところに鞍馬あかりという女の子がいました。その少女は11年前に誘拐され犯人に殺されました。少女の父親はデザイアグランプリのスポンサーになる代わりに“自分が理想とする娘・祢音が生きている世界”を願い、創世の女神に鞍馬祢音を創ってもらったのでした。めでたしめでたし」
     「 …っ」
     あまりの事実に何も言えない大二を余所に、ベロバはね?おもしろいでしょ?と続ける。
     「鞍馬祢音は、本来ならどの世界にも実在しない。創世の女神の力で創られた人間なのよ。
      それを知って、あの娘(こ)ったらね…アイデンティティがぶっ壊れてメンタルがボロボロになって戦意喪失してデザグラから逃げたの!ウケるー!!」
     ベロバは可笑しくて仕方がないといった感じで嗤(わら)う。
     (なに笑っているんだ…っっ)
     大二は憤りを覚え、黙れよッと言おうとして、ベロバに冷ややかな視線を投げている道長に気づき。
     もしかしたら…‘こちら側’に引き戻せるかもしれない―― 一縷の望みを賭け、大二は道長に語り掛ける。
     「吾妻さん、ひとつ確認したいことが…」
     「は?!私が話してる途中でしょーが!聞きたいことがあるなら私に… ―― 「俺がいま話している相手は吾妻さんだ」
     大二は言外におまえは引っ込んでいろと滲ませ、ベロバを黙らせる。

  • 159二次元好きの匿名さん23/05/05(金) 17:19:00

     「吾妻さん、景和さんや英寿さんがいなくなったら…家族とか友人・知人とか哀しむ人がいると思いませんでしたか」
     親友を亡くして道長が哀しみ――その哀しみは想像を絶するけれど――に暮れただろうことは察するに余りあって、だから彼だって想像はできるはずだ。
     仮面ライダーに憎しみを抱く気持ちもわからないではない。ただ…ひとつだけ――確認しておきたい。

     果たして…道長の返答は…
     「そんなの…考えたこともなかった…」
     乾いたもので。
     空虚な眼(まなこ)で応える彼に
     「………そう…ですか……」
     大二は遣る瀬なくなる。
     「……わかったよ」
     呟いて一瞬 俯き、顔を挙げて道長を見る。
     そして、大二は…
     「いまのあんたには…なにも通じないってことが…!」
     ツーサイドライバーを取り出す。

  • 160二次元好きの匿名さん23/05/05(金) 17:19:19

     或人は祢音を見つけ出すべく彼女の行き付けのショップを目指していると、ジャ~···ジャ···と意味不明な言語を発する怪物と遭遇した。
     「何だ、こいつら?!」
     その怪物達が襲い掛かってくる。或人は躱して、ゼロツードライバーにプログライズキーをセットした。
     「変身!」
     けれど、何の反応もしない。
     (変身できない?!!なんで?!)
     焦る或人はしかし怪物達が街の人に襲い掛かろうとするのを見て、人々を助ける為、火中に飛び込んでいった。





     大二はツーサイドライバーを装着する。
     「何、そのドライバー? あんた、デザイアドライバー持ってないのね…
      デザグラはデザイアドライバーにライダーコアIDをセットしてエントリーが完了するの。コアIDもデザイアドライバーもないあんたに参加資格はない…だから、仮面ライダーには変身できないわよ」
     「何…?!」
     「言葉でも力ずくでもミッチーを捩じ伏せられなくてカワイソーw」
     ベロバが愉快そうに笑い声を立てる。
     「まぁ、変身したところでミッチーに勝てると思えないけど!
      ミッチー、ただの人間じゃないもの…ミッチーはね半分ジャマトだから」
     「?!?!」
     「ミッチーはデザグラで負けて消滅し掛けたの。ゾンビレイズバックルのお蔭か息を吹き返したけど、そこはジャマトを栽培するジャマーガーデン。
      そこから脱出しようとしたところをジャマトライダーの襲撃を受け、半壊したコアIDをドライバーに突っ込んで強引に変身!何とか撃破したけど別のジャマトライダーが現れて大ピンチのミッチー…!
      だけどそこでヤられないのがミッチー、倒したジャマトライダーのジャマトバックルを使い、ジャマトフォームに変身…!! その影響でミッチーはジャマトになり掛け…今に至る っと!
      ゾクゾクしない?私はする… だから、私をゾクゾクさせてくれるミッチーのこと気に入っているの」
     ベロバは道長の肩に手を乗せる。
     「気安く触るな」
     道長に手を払われても気に留める様子はなく
     「わかったら、お家へ帰りな。…尤も生きて帰れば…だけど!」
     ベロバは不敵に笑う。と同時に、大量のジャマトが発生した。

  • 161二次元好きの匿名さん23/05/05(金) 23:31:44

    このレスは削除されています

  • 162二次元好きの匿名さん23/05/06(土) 09:39:57

    おっと…、まさかの狩り対象になっちゃったよ…

  • 163二次元好きの匿名さん23/05/06(土) 17:19:00

     迫り来る怪物。逃げ惑う人々。
     或人は怪物にまっしぐらにぶつかり、食い止める。
     「逃げて…!早く!!」
     襲われている人を逃がした或人は怪物に投げ飛ばされ、瓦礫の山へ。
     瓦礫の中に崩れた建物の塀――かなり大きい塀を見つけ、武器の代わりにと持ち上げようとして…
     (重っ… 無理か…)
     断念。
     すぐ先にカーブミラーが転がっているのが目に入り、手に取った。
     或人はそれを持って怪物と応戦する。カーブミラーを振り被って怪物に当てると…ミラーの取付部が曲がった。
     (うあおー、曲がっちゃった…! けど、まだいける!)
     構わずもう一度、殴り付ける。すると…
     「折れたぁ?!」
     ミラー部分からバキッと折れた。折れた箇所からギザギザの鋼が剥き出しになり断面は凸凹だ。
     或人は直棒になったそれを振り回し怪物に刺した。怪物は少しダメージを受けたのか動きが僅かに鈍る。その隙に或人は退避する。

     別方向からまた怪物が現れる。或人は怪物達から距離を図り、時に鋼の棒で蹴散らしながら、逃走する。
     けれど、多勢に無勢。じりじりと追い詰められていく。
     壁際に攻め込まれ、怪物と揉み合っているうちに鋼鉄棒を奪われた。
     ―――しまった…ッ
     怪物が大剣を振り下ろそうとした、そのとき…

     bang!
     銃声が、鳴った。

     怪物はその銃弾に倒れる。

     或人は顔を上げる。
     そこには――
     「刃さん!」
     ショットライザーを片手に佇む唯阿の姿があった。

  • 164二次元好きの匿名さん23/05/06(土) 19:17:17

     大二の前で大量に出現したジャマトが街中へ侵攻しようとしている。それを阻止すべく大二は駆け出す(その際に「おい、何をしているんだ?」「あら、不服?あいつ、ミッチーの願いの邪魔になりそうだから消えてもらおうと思って…」「……勝手にしろ」という道長とベロバの遣り取りを耳にした)。



     大二は住民を襲おうとしているジャマトの前に立ち塞がる。
     敵怪人の攻撃を避(よ)けながら、人々を避難させる。人々を避難誘導しつつ怪人と闘う、けれど、人々を庇いながらの交戦は敵の攻撃を回避するだけで精一杯だ。

     ふと見ると逃げている男性にジャマトの魔の手が伸びている。大二はジャマトに飛び掛かり、押さえ付ける。
     「今のうちに逃げて下さい!」
     男性を無事に避難させられた大二だけれど、振り払われて地に叩きつけられる。
     転がりながら、大二はバットバイスタンプを出し
     「バット!」
     自分の身体に直接 押印する。
     「大二!どうするつもりだ?!」
     身体から分離し現出したカゲロウに大二はこう言う。
     「俺ひとりじゃ、全員を無事に避難させられない…!手を貸してくれ!!」
     「あ?悪魔が人を助けるかよ…」
     「守り切れたら、さくらにカレーを作るよう言うから!頼む!」
     「…チッ 悪魔使いが荒いなァ…お兄様に似てきたんじゃねェか?」
     「無駄口 叩いてないで、行くぞ!」
     「ケッ 約束、忘れんなよ!!」
     大二はカゲロウと共にジャマトの大軍に突っ込んでいく。



     「へぇ、あいつ、体内に悪魔 飼ってるんだぁ… おもしろいかも…」
     少し遠くから高みの見物をしているベロバがほくそ笑んだことを大二は知らない。

  • 165二次元好きの匿名さん23/05/06(土) 19:19:00

     「大丈夫か、社長さん!」
     唯阿は或人に駆け寄る。
     「大丈夫だよ。ありがとう」
     肯く或人を連れて唯阿は倉庫に逃げ込んだ。

     ふたりは倉庫の陰で怪物が通り行くまで遣り過ごす。
     「ところで、刃さんはどうしてここへ?」
     「ソルド達が妙な悪意を感知してな…調査に来た」
     「そっか。 お蔭で助かったよ…どういう訳か変身できなくてさ…」
     「そのようだな…私も変身できない。 ショットライザーは通用するみたいだが…」
     唯阿はこれからどうするか思案する…ところで、或人がこう漏らす。
     「……大二くん、大丈夫かな…」
     「! 彼の仕事柄を考えればそうだな、この街に来るか…」
     「うん… 桜井くんのお姉さんから桜井くんが行方不明って連絡があって…仮面ライダーとしての戦いのなかで桜井くんの身に何か起きたんじゃないかってブルーバード隊員として来たんだって…」
     「そうか…(無茶をしていないといいが…)」
     「いまイズに調べてもらっているんだけど…桜井くんは“デザイアロワイヤル”ってゲームをしているらしいんだ」
     「デザイアロワイヤル…」
     「ライダー同士で戦うゲームで…大二くんはそのゲーム中に桜井くんに何かあったんじゃないかって思っているみたい…」
     「ゲーム、か… (!もしかすると…)社長さん、」
     「?」
     「ゲームということは参加条件があるのかもしれないぞ」
     「!!なるほど!それで仮面ライダーに変身できない…」
     「可能性はある」
     「 大二くんも多分、変身できないだろうから…心配だな…」
     「そうだな…」
     大二の身を案じる唯阿であった。

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