【長編SS】警戒!トレセン学園に予告状が届けられた!

  • 1◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:41:15

    ※今作はウマ娘と某怪盗アニメのクロス作品となります。

    ※総文字数約27000文字近いクソ長大長編になってしまいました…

    ※ストーリーの展開上、史実と照らし合わせると時系列が数百年単位でズレているガバ設定や一部トンデモオリジナル設定がございます。

    ※原作と違う箇所等幾つかございますが、某ルーカス巨匠の「俺の府中ではこうなんだ」精神で参りますのでご了承下さい。

    ※※※なお今作において作者は特定の集団や思想を批判する意図は全く無く、全て作劇の為の演出である事を強くご理解ください※※※

    エミュ不足や解釈違い等あるかもしれませんがご容赦ください。

    尚、作中に没入感を深める楽曲のリンクを掲載しているので、是非それぞれの場面で再生しながらお楽しみ頂けると幸いです。

    それでは前置きが長くなりましたが…


    では始めます。
    最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

  • 2◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:41:52

             原作

        ウマ娘 プリティーダービー

  • 3◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:42:25

    「この大変な時期に…たづなっ!これは学園始まって以来の大事件だっ!」

    「理事長?一体どうされたんですか?」

    「注目!今朝私が理事長室に来たらこんな物が…」

    「これは…!?」

    「あぁ、これはとんでもない事になってしまったぞ…!」

    「でもどうしてトレセン学園にこんな物が…?」

    「解説!『コレ』が届くというだけの秘密が…学園にはあったのだ!」

    「学園の秘密…?」

    「うむ…私も代々から伝わる話の又聞きでしか無かったが、よもや事実だったとはな…」

    「教えてください!理事長の仰る秘密とは…?」

    「内密…!これは本来ならば噂程度であっても漏らしてはいけないのだが…」

    「…はいっ!」

    「かつてよりこのトレセン学園にはとある秘宝があると言われていた…」

    「秘宝…ですか?」

  • 4◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:42:55

     

        
             原作

        ウマ娘 プリティーダービー
             
              ×

  • 5◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:43:37

    ───

    「…おい、なんだっていきなりウマ娘のお嬢ちゃん達の学校なんかに目を付けんだ…」


    「まぁそう言うなよ相棒、何も可愛い女の子達のサイン貰いに行くって訳じゃあねぇんだ」


    「本当にそんなとこにお宝なんかあるのかよ…?」


    「あるんだよ、それもとびっきり上等な奴がな」


    「G1レースのトロフィーやら優勝レイやらなんて言うなら俺ぁ降りるぜ」


    「バッカ、んな様なレベルたぁダンチだよ…」


    「それで、お前の言うそのダンチなお宝ってのは…?」


    「俺も今まで噂ぐらいにしか聞いた事がなかったんだがよ?どうにもあのガッコには隠されてるらしいんだ」


    「一体何が?」











    「『エクリプスの慈悲』さ…」

    ルパン三世 78 (2002バージョン)


  • 6◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:44:07

     

        
             原作

        ウマ娘 プリティーダービー
             
              ×
           
             原作

            ルパン三世
          

  • 7◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:44:35

    「エクリプスの慈悲?…エクリプスっつーとあの…」

    「あぁ…歴史に名を残した文字通りの伝説のウマ娘。そのエクリプスだ」

    「それでルパン。そのエクリプスのどんなシロモノなんだ?」

    「…なぁ次元、エクリプスってのはどんなウマ娘かおめぇさんは知ってるか?」

    「あぁん?…確か今から何百年も前のイギリスに居た随分強かったウマ娘で、今でもウマ娘のお嬢ちゃん達にとっちゃありがたい神様みてぇな歴史上の偉人だってぐらいしか…」

    「そう…それだけ偉大で愛されるあの子らの大先輩みてぇなもんなのによ?残された逸話や一部の伝承ぐらいにしかその存在が残されてねぇってのもおかしな話だと思わねぇか?」

    「…だが実在したのは確かなんだろう?格言だって残ってるみてぇだし痕跡が全く無い訳じゃ…」

    「そりゃあある程度の絵画や学術的な書物から存在が確かだった事は証明されてる。…けどよ?それだけの大人物ってなら、もっと生きてた頃の関連する品があれこれ残ってるのが自然だと俺ぁ思うぜ?」

    「…つまりルパン、俺達が知ってるエクリプスに関連する品は全部そいつがくたばった後の物しか残ってねえってのか?」

    「おうよ、ナポレオンだって信長だって俺らが良く見る肖像画なんかは在位中に描かれたもんだろ?」
    「そんな風に存命してた時に手掛けられたエクリプスの痕跡になる様なお宝が、今まで一つも見つかってねぇってのは不思議な話じゃねぇか?俺達ぁ似顔絵どころか想像上のエクリプスしか見た事ねぇって事だぜ?」

    「だがそんなもんがあるとしたら、なんで日本のトレセンなんかに…」


    「その歴史のロマンを探るのも楽しそうとは思わねぇか…?」

  • 8◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:45:11

    ───

    「それで理事長…その『エクリプスの慈悲』というのは…?」

    「うむ、我が秋川家に代々伝わる言い伝えでな…かのエクリプスにまつわる伝説的な逸品をこのトレセン学園に秘蔵しているというのだ…」

    「ではその宝物は今でも学園のどこかに…」

    「不明! 私にもさっぱりわからん!」

    「えぇーっ?!」

    「そもそも私がお父様から聞いておるのも言い伝え程度の物だし、お父様の時代には既に御伽噺の様な扱いであったらしい…」

    「…でも、あの『ルパン三世』から予告状が届いたという事は…」

    「肯定! ただの言い伝え等では無かったという事になる!あの男が動くというのであれば、それはエクリプスの慈悲が実在し、我が学園に隠されているという何よりの証拠!」

    「で、でも…どこにあるか私達でも分からないのなら…」

    「冷静! 兎にも角にもまずは警察に連絡せねばなるまいっ!たづな!直ちに通報だ!」

    「はい!」

    ───

  • 9◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:45:45

    カシャッカシャッカシャッカシャッカシャッ
    カシャッカシャッカシャッ

    テッテレレレーン!
    デレッ!デレッ! デレッ!デデッデッデッデン!

    GIF(Animated) / 42KB / 4500ms

  • 10◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:46:24

    「まぁトレセン学園に大層なお宝があるってのは理解したが…規模がデカいとはいえ所詮は学校だぜ?ルーヴル美術館やスミソニアン博物館にすら無いようなブツがホントに隠されてんのか?」

    「安心しろって次元!元々は根も葉もない噂位のもんだったのが、事実だって確信出来る程度にはスジは取れてる」

    「…それで、そのエクリプスの慈悲っつぅのはどんな品なんだ?」


    「さぁな〜」


    「はぁっ?!」

    「…言ったろ次元。今まで世の中に一度も出た事がない様な歴史に残る逸品…そいつが一体なんなのかは解らないが、その名前と存在するという事実だけは確かで、府中のトレセンに何故かそいつが隠されてる…」

    「ならよ?俺達が動くにゃ充分過ぎる獲物だと思わねぇか?」

    「…ったく、ガセネタ掴まされた挙句に女子校に不法侵入した変態野郎扱いされたら承知しねえぞ!」

    「そうこなくっちゃなぁ〜!」

  • 11◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:46:59

    「で、その姿の見えないターゲットってのをどうやって探すつもりだ?」

    「そりゃあ直接行って調べるしかないでしょうよ」

    「直接ってお前そんなアバウトな…」

    「幸いな事に今は入学式シーズンだ、ウマ娘だけじゃなくてヒトの出入りも多い…例えば『トレーナーさん』とかよ?」

    「…生憎だが俺が教えられるのは銃の撃ち方ぐらいだ、走り方なんて教えられねぇぞ」

    「べっつにそこまでやんなくったってトレーナー見習いとかで紛れ込めれば充分だよ。それに人手を分けて色々調べるってんなら、用務員のフリしてあちこち歩き回れる奴も居た方が良い」

    「じゃあ俺ぁそっちで。ガキのお守りは苦手なんでな」

    「しょうがねぇなぁ…じゃ、まぁ俺様が華麗な『逃げ』ってのをお嬢さん達に教えてやるとするかぁ〜!」

    「おいルパン…!」

    「冗談だよ!俺も担当の無いトレーナー見習いに扮して適当にほっつき歩くからよ、そっちも色々頼んだぜ?」

    「ったく……」

  • 12◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:47:44

    「いっくよぉーっ!!」

    「……っくっ!……こんのおおおおっ!」



    ───

    「……はぁ、やっぱ入学した時期が一緒とはいえ、あんたみたいな主人公オーラ全開のやつに勝てるわけ無いかぁ〜」

    「いっししし!なんたってボクはあのカイチョーに次ぐ無敗の三冠を取るウマ娘だからねっ!」

    「うわ、すっごい自己肯定感。眩しくて前が見えない…」

    「でもネイチャだってやるじゃん!ボクにあそこまで粘って来たの、地元じゃ居なかったよ?」

    「あはは…期待の新入生のトウカイテイオー様にそう言われるとはアタシも捨てたもんじゃないか…」

    「そうだよっ!だからもっと自信持ちなよ!」

    「こ、これが光属性…これが主人公属性…!」

    「もう!さっきから何言ってんのさ〜」

  • 13◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:48:30

    「それで?無敵のテイオー様ならトレーナーさんから引く手数多だろうけど、誰か良い人見つかった?」

    「それがさ、声掛けてくれるのは嬉しいんだけどあんまピンとこないんだよねー」

    「なっ、なんつう贅沢な発言…」

    「ボクぐらい速いとさ、誰がトレーナーになっても一緒かもしれないけど…それでもせっかくなら良い感じのトレーナーの方がいいでしょ?」

    「アンタねぇ…今の発言でかなりのウマ娘敵に回すんじゃないそれ…」

    「しょうがないじゃん!皆ボクがどれだけカイチョーに憧れてるか全ッ然分かってくれないんだもん!」

    「まあ、確かにどうせなら自分と同じ夢を追いかけてくれるトレーナーさんの方が良いってのはあるかもねぇ…」

    「でしょっ!?だからボクは、ボクに相応しいトレーナーが見つかるまでは特に決めてないんだっ」

    「ははは…強者の余裕ってやつね…」

    「にしししっ」

  • 14◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:49:19

    ───

    「遠路はるばるすまんね銭形君、フライトはどうだったかな?」

    「お気になさらず、警視総監。自分をお呼びしたという事はそういう事なのでしょう」

    「…うむ、先程府中のトレセン学園から通報があってな」

    「トレセン学園?トレセンというとあの…?」

    「あぁ、トゥインクルシリーズの舞台を駆ける彼女達の養成機関である、あの学園だ」

    「何故そんな場所にルパンが…」

    「それは我々も詳しくは解らん…が、とある組織から合同捜査の見返りに幾つか情報提供があるようだ」

    「とある組織と合同捜査…ですか?」

    「うむ。…入って来て頂けますかな?」

    「失礼します…」

    「警視総監、この方は…?」

  • 15◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:49:33

    「初めまして、ミスターゼニガタ。私はサミュエル。今回の件でサンタ•アリアンザから派遣されたエージェントです」

    「こ、これはご丁寧に…ワシはICPOの銭形だ、ルパンの奴を捕らえるのを生涯の使命としておる」

    「銭形君、君はこのサミュエル氏と協力して事に当たって欲しい。彼の所属する組織から今回のルパンの目的に繋がる様な情報を聞けるとの事だ」

    「はっ!であるならば男銭形、全身全霊を以って捜査に当たらせて頂く所存であります!」

    「私からも改めて。よろしくお願いします、ミスターゼニガタ」

    「うむ! では、警視総監。我々は直ちにルパンを追います、朗報をお待ちください!」

    「頼んだよ銭形君、それからエージェントサミュエル」


    「はっ!」

    「了解しました」

  • 16◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:50:23

    ───
    「それで、サミュエル殿と言ったか…あんたは何故ルパンを?」

    「えぇ…先程も申し上げた通り、私はサンタ•アリアンザ…バチカンの人間です」

    「あぁ…あんたがバチカンの諜報機関からの助っ人だというのは理解したが、何故ルパンを追う?そして何故ヤツの次の狙いが日本のトレセン学園だというのに、バチカンが関わってくる?」

    「詳しい事情は私でも完全に把握しきれておりませんが…どうやら今回彼の狙っている品というのが、教皇庁が長年捜索していた物である可能性が非常に高いとの事で…」

    「お、おい!それじゃあアンタはそのカトリックの総本山が探し求めていた宝というのが府中のトレセン学園に有ったとでも言いたいのか?!」

    「えぇ。今朝学園の理事長からの通報にて発覚したルパンの予告状、『エクリプスの慈悲戴きます』との文面…」

    「『エクリプスの慈悲』…」

    「えぇ…どうやらそれこそが我々が長年探し求めていた物の名であり、これまでその存在が噂でしか語られていなかった伝説の秘蔵品」

    「そんな有るかどうかも解らん様な物にヤツは狙いを定めた…という事は…」

    「はい。如何に荒唐無稽であろうと、十中八九エクリプスの慈悲はそこにあるのかと」

    「それで?そのエクリプスのナンタラというのはどの様な物だと?」

    「分かりません…我々も長年の調査で解明出来たのは、とにかく教会の歴史上に於いても極めて重要な意味を持つ筈だった品だという事しか…」

    「ぬぅ…正に正体不明、正真正銘のお宝という訳か…」

    「はい、ですのでまずは学園内で理事長に直接詳しい話を聞きに行こうかと」

    「うむ!であるなら早速行動に移すとしよう!」

  • 17◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:51:18

    ───

    「な、なんですと?!何処にあるか解らんん?!」

    「猛省! まさか私もお父様やお祖父様が教えてくれた昔話が実話だったとは…」

    「困りましたねミスターゼニガタ…では秋川理事長、貴女のお父様やお祖父様がエクリプスの慈悲を管理していた等という記憶は…?」

    「いや、そもそもお父様が子供の頃には既に単なる伝承として風化していた様でな…」
    「『そういう物があるという言い伝え』だけしか聞いていないのだ…」

    「ふむ…学園の理事長である秋川殿ですら解らんとなると…」

    「あ、あの〜…」

    「ん?どうされましたかな、秘書殿?」

    「もし『エクリプスの慈悲』の在処が我々の誰にも解らないというのであれば…警察の方に先に捜索して頂いて安全な場所で確保してもらうというのは…」

    「名案! それだたづな!先んじて此方がエクリプスの慈悲を確保さえしておけば…」

    「いいや、そいつはあまり良い手とは言えませんな」

  • 18◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:51:30

    「そうなんですか…?」

    「懐疑…何故だ銭形警部殿?」

    「ヤツの事です、あちらにある情報が我々とそう変わらないか、我々より多少情報を持っているそのどちらにせよ…」
    「我々がヤツに楽をさせてしまうだけの結果になりかねません」

    「ミスターゼニガタの言う通り、最悪なのは我々がエクリプスの慈悲を発見、確保したタイミングでルパンに介入される事です」

    「うむ、ルパンの奴が獲物の在処を既に特定しているにしろ、していないにしろ…」
    「あの男であればもう早速動き出しているでしょう…」
    「我々も学園の警備態勢の強化を徹底します。秋川理事長殿も引き続き何か手掛かりが無いかだけでも調べておいてください」

    「了承! 銭形警部殿、迷惑をお掛けするがどうかよろしく頼もう!」

    「お任せ下さい!ワシが来たからにはあの男の好きにはさせません!」

    「ではミスターゼニガタ、私は一度本部に改めて情報の精査を依頼して来ます。現場の指揮はお任せしても?」

    「分かった。そちらも何か判れば逐一報告を頼む」

    「了解しました…」

    ───

  • 19◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:52:02

    「…それでルパン、なんで俺達がこんな格好しなきゃならねぇんだ」

    「そりゃあおめぇ『用務員さん』なんだからいつものイカしたジャケットって訳にゃいかねぇだろうよ?」

    「ケッ…自分だけジャージだからって良い気になりやがって…」

    「そう腐るなよ相棒〜我らが五ェ衛門ちゃんを見てみろよ?ノリノリじゃねえか」

    「…ふむ、この姿…かの吉宗公を思い出すな…」

    「バカ、こんな時代劇マニアと俺を一緒にするんじゃねえよ」

    「次元、そう好き嫌いするものではない…お主も一度…」

    「まぁまぁとりあえずよぉ!さっき渡した入管証がありゃ、あちこちほっつき歩いてもとやかく言われねぇだろうから頼んだぜお二人さんっ!」

    「お前さんはどうするんだ?」

    「俺か?俺もやる事はそう変わんねぇさ。ただアプローチ出来る相手はトレーナーって立場の方が多いかもしれねぇ…ま、見習いって扱いだけどよ」

    「それならこっちは『用務員のおじさん』として学園の中にそれらしい場所が無いか探しときゃ良いって事か」

    「そゆこと。俺も夜間の見回りやなんやに扮してある程度は動けるだろうが、実質的なフィールドワークはお前らに掛かってるから頼んだぜ〜!じゃあなぁ〜」

    「ったく…良い気なもんだぜ…おい先生、こんな所で突っ立ってないで俺達も行くぞ」

    「うむ…生徒達の悩みを解決するのも拙者達の使命…」

    「何を言ってんだお前は…」

  • 20◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:52:57

    「しっかし次元達にあぁは言ったもののどこから手を付けっかねぇ…」




    「……それーっ!今日もボクの勝ちだぁーっ!」

    「おぉ…流石はトウカイテイオーだな…!」

    「この調子じゃ本当にクラシック制覇も夢じゃない…!」

    「にししっ!皆ボクの走りに見惚れちゃってるねっ!」

    「なあトウカイテイオー、やはり俺と一緒に組んで…!」

    「いや!だったら俺の方が多くのウマ娘を指導した実績が…!」

    「ごめんねっ!ボクまだトレーナーを決めるつもりないから!じゃあお疲れさまーっ!」

    「行ってしまったか…」

    「あの子は我々に何を求めているんだ…」




    「ほぉーん…随分と変わったウマ娘も居るもんだなぁ…」

  • 21◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:53:40

    「しかし次元…話には聞いておるがまずはどうするつもりだ?」

    「そうだな…とりあえずは校内の点検のフリでもして隠し部屋か何かが無いかどうか…ぐらいしか手の打ち様が無いんじゃねぇか?」

    「心得た。……しかし予想はしておったが…」



     バッチグーネ!
            ブライアン、オマエハモウスコシヤサイヲ…
         タークサンアマエテクダサイネー


    「見渡す限り若い女子ばかりだな…」

    「なぁにをガキ相手に硬くなってんだ先生、そもそも俺らじゃそこまで深く関わる事も…」



    「すごいおヒゲだねー!!映画のわるものみたい!!」


    「…なんだ?このお嬢ちゃんは?」

  • 22◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:54:46

    「お嬢ちゃんじゃないよ!わたしはハルウララ!ウララってみんな呼んでるよ!」

    「…ふっ、次元。どうやらこの娘は見る目があるようだぞ?お主の事はきちんと大悪党に見えておるようだ」

    「あのなぁ嬢ちゃん、そんなワルそうなおっさん相手にいきなりそんな事言うもんじゃねえぞ…」
    「お前さん、もし外でも他の奴にそんな事言おうもんなら…」

    「嬢ちゃんじゃないよ〜、ウララだよっ!」

    「嬢ちゃんは嬢ちゃんだろ…ったく、んでそのウララがおじさん達に何の用だ?」

    「んー」

    「何だ?」

    「おヒゲカッコいいなーって!」

    「お、おう…ありがとよ…」

    「こないだキングちゃんが観てた映画に出てきた悪い人にそっくり!!」

    「褒めてんのか貶してんのかどっちだ…」

  • 23◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:54:57

    「はははっ!流石のお主もこの様な爛漫な女子相手では分が悪いか!」

    「そっちのおじさんも目がわるものっぽいね!ぎらーん!って!」

    「言われてんぞ先生」

    「めっ、目が悪者…」

    「…あ!そうだ、わたしトレーニングあるんだった!」

    「そ、そうかい…」

    「じゃーまたねー!わるそうな優しいおじさんたちー!」



    「…変にマセてるタイプよりああいうガキが一番おっかねぇな…」

    「…目が…悪者…」

  • 24◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:55:50

    「とりあえず校舎の方は次元達に任せるとして…」

    「理事長さんとこに挨拶…はどうせお巡りさんがウヨウヨ居るだろうし後にすっかぁ…」


    「ねぇねぇ、こんなとこで何してんの?」

    「ん? お前は…」

    「ふっふっふ…!ワガハイの名は…」

    「トウカイテイオー、だろ?」

    「…ってあれ?おじさんとどっかで会ってたっけ?ボク」

    「いんや、偶々さっきの模擬レースを見てただけだよ。大したもんだ、ぶっちぎりの一着だったじゃねぇか」

    「えへへっ!どうどう?ボクすっごい速かったでしょ!」

    「あぁ、その様子じゃお前さん新入生だろ?見事なもんだよ全く」

    「へへーん! それで、おじさんはこんなとこで何してんの?その入管カード、トレーナーの見習いさんのヤツだよね?」

    「あぁ、…先輩方と担当ウマ娘達のトレーニング風景を観察させて貰ったからよ、ちょいと一息入れてたとこだ」

    「ふーん…サボってた訳じゃないんだ」

  • 25◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:56:04

    「そういうお前さんはどうした?さっきも引っ張りだこだったのに、あの様子じゃ担当付けてねぇんだろ?」

    「あー、そこも見られちゃってたかぁ…」

    「その若さであれだけの走りが出来るんだ、早いとこ担当見付けて本格的に鍛えりゃ必ず化けると思うぜ?」

    「そうなんだろうけどさぁ〜、皆なんかギラギラするのは良いけど何か違うんだよねぇ」

  • 26◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:57:07

    「違うって?一体何が?」

    「ボクの夢はね、あのカイチョーみたいな誰もが憧れるウマ娘になる事なんだ!」

    「カイチョーってぇと…生徒会長のシンボリルドルフか」

    「そうっ!最強無敵のターフの皇帝!ボクもあんな風になるんだーって!」

    「へぇ、それじゃあ先ずはクラシック三冠を無敗で獲んねぇとなぁ?」

    「おぉっ!よく分かってるねおじさん!おじさんもカイチョーのファンだったの!?」

    「ま、大ファンって程じゃねぇが、過去の記録を大きく塗り替える生ける伝説…若いのが目標にするにゃあ随分と良い目の付け所じゃねぇか」

    「でしょでしょー! ねぇねぇ、おじさんはカイチョーのどのレースがお気に入りなの!?」

    「そうだなぁ…やっぱりいつぞやの有馬記念じゃねぇか?直前のジャパンカップで惜しくも10番人気のウマ娘に逃げられちまったが、見事その後の有馬でそいつにレコード勝ちして借りを返した…」

    「あれだけの人気がある中の大舞台で10番人気に負けちまったってのに、腐らずにすぐ王座を取り返して挙句あの劇的な勝利だ。お前さん程じゃねぇが胸に来るもんはあったぜ?」

    「……」

    「どうした?」

  • 27◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:57:24

    「…合格ーっ!!」

    「おわぁっ!?っとと…いきなりデケー声出すんじゃないぜ全く…何の話だってんだ?」

    「決めたよボク!ボクのトレーナーにするならおじさんみたいな人が良かったんだ、カイチョーの魅力がちゃんと解る素敵なトレーナー!」

    「はぁ!?バカ言うんじゃねぇよお嬢ちゃん、俺ぁまだ候補生だ、担当なんてとてもじゃねぇが…」

    「でもその内トレーナーになるんでしょ?じゃあ今からだって変わんないよっ!テイオー様の命令は絶対なのだーっ!」

    「無茶言うんじゃねぇ!俺はこう見えても結構忙しいのっ!」

    「もぉーっ!忙しいって何さ!ウマ娘の指導する事以外にトレーナーにやる事なんて無いでしょ!もう決めちゃったもんね!」

    「あのなぁ…」

    「じゃあねトレーナー!明日からよろしくねーっ!」


    「…ったく、女に振り回されるのも男の仕事とはいえ…とんだ貧乏くじだなこりゃ…」

  • 28二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 17:58:10

    脳内再生がヤバい

  • 29◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:58:13

    ───

    「カァーッ!一仕事終えた後の一杯ってのはどうしてこうも甘美な味なんでしょうかっ!」

    「それでルパン、明日はどうするつもりだ?」

    「うむ、拙者達も校内を調べてはみたが今日はこれといった収穫も見つからなんだ…」

    「とりあえず今日は下見みたいなもんだからよ?明日は日中は勿論、夜になってからも本格的に動こうと思ってんだ」

    「何か分かったのか?」

    「いーや、俺の方もお前らとそう変わんねぇよ。それに…」

    「それに?」

    「…あ、明日はトレーニングに付き合わなきゃいけねぇかもしれねぇ…」

    「はぁ!?…お前さんまさか…!」

    「しょうがねぇだろ!?気付いたら無理矢理決められてどっか行っちまったんだからさ〜!」

    「お前なぁ…」

  • 30◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:58:25

    「まぁ落ち着け二人共。学園に紛れるというのならば、ルパンの立ち位置であればその方が却って目立たんであろう」

    「そーうそう!そういう事!さっすが天下の五ェ衛門サマ!分かってらっしゃるじゃあありませんこと!」

    「何を調子の良い事言ってんだ、さっき自分で無理矢理決められたって言ってたじゃねぇか」

    「細けぇ事ぁ良いんだよ!兎に角、見た所警察の警備も疎らだ。っつう事は連中もまだ場所を見つけられてねぇし…」

    「…そもそも校舎内に簡単に隠せる代物じゃねぇって言いたいのか?」

    「だろうな。間違いなく敷地内に隠されてるのは確かなんだろうが、金庫や理事長サンの部屋に収まる様な物でも無さそうって事だ」

    「じゃあ明日は用務員らしく芝刈りでもしながら外を見回るかね…」

    「…心得た」

    ───

  • 31◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:58:51

    ───

    「…はい。えぇ…例の物は確実に実在している様ですがまだ場所が…はい。では、必ず…はい。…貴方も、主の導きがあらん事を…」




    「…! サミュエル殿!そちらはどうでしたかな?」

    「えぇ、私も再度本部の情報部に確認をしてみましたが、やはりエクリプスの慈悲の詳細な記録までは…」

    「ふむ…あのルパンが狙う程の物です。兎に角大変な価値のある物である事は確かでしょうな」

    「…えぇ。恐らくは歴史上に於いてもかなり重大な遺物である事でしょう」

    「そんな様な貴重な物をあの男の好きにはさせんぞ…! 待っておれよルパァァン!次に会った時がキサマの年貢の納め時だ!」

    「………」

    ───

  • 32◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 17:59:22

    「おはよートレーナー!うんうん!遅刻しないで待ってるとはワガハイ感心ぞよ〜!」

    「あのなぁ…俺ぁまだトレーナーじゃねぇしそもそもお前の担当になるって決めた訳じゃ…」

    「良いの!ボクもトレーナーもどちみち担当決めなきゃいけないんだし、トレーナーの場合はちょーっと前倒しになっただけだもん!」

    「お前そんな無茶苦茶な…」

    「それと!ボクの事は『お前』じゃなくてテイオーって呼んでよねっ!」

    「…へいへい、その名に違わぬ乱暴な帝王サマでいらっしゃる事で…それで、そんなトウカイテイオーさんは俺みたいな奴捕まえて今日はどうしようってんだ?」

    「にしし! んーとね、トレーナーはまだトレセンに来たばかりなんだよね?だから今日は特別にボクがあちこち案内してあげようかなーって!」

    「気持ちは有難ぇが生憎と昨日にゃ粗方目ぼしい施設は周り終わったよ」

    「えぇー!折角ボクが色々教えてあげようと思ったのにぃ!」

  • 33◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:00:06

    「そもそもおめぇだって新入生だろ?このだだっ広い学校を人に案内出来る程把握出来てんのか?」

    「『おめー』じゃなくてテイオー! ふんっ!こう見えてもボクは探索も得意なんだからねっ!色んな教室以外にも、こっそりお昼寝したい時とか漫画読みたい時とかに使えそうな場所まで全部見つけちゃったんだから!」

    「…ほう?」

    「どう?ちょっとはボクの事見直した?」

    「そいつぁ大したもんだテイオー、んじゃちょいとばかし気になるんだがよ?」

    「なになに!?」

    「このトレセン学園と言やぁ長ーい歴史を持つ立派な学舎だろ?俺も一端のトレーナー見習いとしてよ、偉大な先人達の蹄跡って奴を学んでみてぇとは思ってたんだ…」

    「おぉ〜!まずは歴史のお勉強からということだね!? うんうん、勉強熱心なトレーナーで感心であ〜る!」

    「あぁ…それでなぁテイオー、そんなお前さんが思う『トレセンで一番の歴史を持つ場所』ってどこだと思う…?」

  • 34◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:01:34

    ───

    「着いたよトレーナー!」

    「ここは…」

    「まあトレセンで一番古い場所って言ったらここじゃないかな?ちょー定番だけどこの三女神像の広場!」

    「……」

    「他にも幾つか古い場所はあるみたいだけど、リフォームとかしてる教室も多いし…」

    「でもここは学園が出来た昔っからのままの状態でずーっと残してるんだって!なんだか歴史のロマンを感じるよねぇ…」

  • 35◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:02:02

    「…良い事言うじゃねぇかテイオー、ウマ娘を導く三女神像…か。確かにこいつは歴史のロマンって意味じゃぁ大当たりかもな…」

    「でしょ!?ふっふっふー!無敵のテイオー様は教養も無敵なのだー!」

    「違ぇねぇ、帝王様の審美眼ってやつには思わず平伏しちまうぜ」

    「へへへ〜!もーっと褒めてくれて良いんだよ?」

    「あぁ、ありがとよテイオー。…よし、それじゃあ俺様はこれから仕事仲間と打ち合わせだ、世話になった礼に今日の放課後のトレーニングは見てやるよ」

    「なんでそんな上から目線なのさーっ!」

    「おいおい、念願の『トレーナー』さんからのレッスンだぜ?もうちょっと喜んだらどうだ?」

    「もーっ!」

    「んっふっふっふ! じゃあまた後でな〜!」

    「そんな事言ってサボったら、ボク怒るからねーっ!!」

  • 36◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:03:07

    「ったく…学校ってのは灰皿が無ぇのが何よりいけねえ…おちおち煙草もこの狭っ苦しい用務員室でしか吸えねえとはな…」

    「…子供達の多い神聖な学舎だぞ次元、至極真っ当な事だ」

    「へいへい、そりゃ仰る通りで…」



    「そぉんなシケた面すんなよ相棒、このヤマももうじき終わりが見えて来たぜ」

    「…! ルパン、何か解ったのか?」

    「おう、全く…天下のルパン三世がガキに助けられるとは、俺もヤキが回ったぜ…」

    「なんの話だそりゃ?」

    「…こっちの話さ。で、恐らくだがエクリプスの慈悲の隠し場所に目星が付いたかもしれねぇ」

    「本当か…!」

    「…!」

    「あぁ、その隠し場所ってのがだな…」






    「流石ねルパン、私にも詳しく聞かせて貰えるかしら?」

  • 37◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:03:36

    「不二子?!」

    「おいルパン!なんでこの女がここにいやがる!」

    「あら次元、随分な言い方じゃない。ハァイルパン、久しぶりね?」

    「お、おひさ〜…じゃなくて、なぁんで不二子ちゃんがこんなとこに…」

    「決まってるじゃない。解ったんでしょ?『エクリプスの慈悲』が何処にあるか」

    「ルパンてめぇまさか…」

    「違ぇよ次元!俺だって不二子がまさかこんなとこに…!」

    「あの伝説のウマ娘、エクリプス…それに纏わるお宝があるっていうなら、一目見てみたいと思うのは当たり前じゃないかしら?」

    「俺は反対だぜルパン、この女が絡むと碌な事にならねぇ」

    「拙者も同感だ」

    「ひっど〜い!二人してか弱い女の子を虐めるなんて」

    「なぁ不二子ちゃん?気持ちはよ〜く解るが今回は俺達が先に見つけた訳だし…」

    「エクリプスの慈悲がどういうタイプのお宝か知りたくない?」

    「…どういう意味だ?」

  • 38◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:04:24

    「ほっとけよルパン、どうせいつもの胡散臭ぇデタラメだ」

    「デタラメかどうかは話を聞いてみれば解ると思うけど?」

    「そもそも俺達だって正体が掴めてねぇお宝の情報を、なんで不二子ちゃんが知ってるってんだ…?」

    「男ってベッドの上じゃ結構お喋りなのよ?あなたも心当たりはあるでしょ?」

    「不二子お前まさか…!」

    「まあ最も、理事長のお父様やお祖父様は随分奥様一途な方達だったけど…あれだけの一族、跡目争いに敗れた可哀想な人達だってそれなりに居たわ」

    「相変わらずの悪女だぜ全くこの女は…」

    「それで?不二子ちゃんは一体何を知ってるってんだ?」

    「そうね、一つだけサービスしてあげる。エクリプスの慈悲を狙ってるのはあなた達だけじゃないわよ?」

    「そりゃあこんだけの獲物なら誰だって欲しがるだろうよ」

    「やぁね、そういう意味じゃないの」

  • 39◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:04:59

    「んじゃどういう意味?」

    「おいルパン…!」

    「今回貴方が動いた事で、随分強引なやり方まで使って銭形警部の捜査に割り込んできた連中がいるのよ」

    「…とっつぁんの仕事に割り込んできた連中?」

    「そ。バチカンの諜報組織サンタアリアンザ、そのエージェントが今回わざわざ出張って来たみたいよ?」

    「なんだってキリスト教のお膝元からそんな奴が…」

    「おいルパン、お前さんが目星を付けたのは本当にエクリプスに関するブツなんだろうな…」

    「…その筈だぜ。エクリプスの慈悲って言やぁ俺らの業界じゃそれなりに有名な話だが…まさかそんな宗教的なもんだったとはな…」

    「さ、無料サービスはここまでよ。どう?手を組むって言うならもう少し色々お姉さんが教えてあげるけど?」

    「悪いなルパン、コイツがこんな顔して転がり込んで来る時は大抵貧乏くじだって相場が決まってんだ。悪いが俺は抜けさせてもらうぜ」

    「…うむ。この時を見計らって現れたかの様な動き、いつも通りこの女は良からぬ事を考えているに違いない」

    「そりゃないぜお前らぁ!」

    「まぁせいぜい愛しの不二子ちゃんと仲良くやるんだな」

    「……さらばだ」

  • 40◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:05:39

    「…ったく!付き合いの悪い連中だこと!」

    「良いでしょルパン、美人な助手と歴史の隠された秘密に迫るなんて素敵だと思わない?」

    「なんだいそりゃ…俺にラングドン教授の真似事でもしろってか?」

    「あら、トムハンクス?残念ね、今時の若い子にはもうそのネタ通じないわよ?」

    「ありゃ、そうなの?」

    「…それで?あなたが目を付けた例の隠し場所って?」

    「あぁ、そいつは……って!もうこんな時間じゃねぇか!?」

    「や、やだ!急に大きな声出さないでよ!」

    「悪い不二子ちゃん!愛しのルパンちゃんはそろそろデートの時間だってのを忘れてたぜ!」

    「ちょ、ちょっと!デートって…!」

    「後で迎えに来るからその辺で時間潰しといてな〜!」

    「もうっ!」

  • 41◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:07:17

    ───

    「もーっ!遅いよトレーナー!10分遅刻っ!」

    「いや悪い悪い!ちょっとばかし議論が白熱しちまってよぉ…」

    「仕事熱心なのは感心だけど、トレーナーが大事にしないといけないのは担当であるボクなんだからね!」

    「あのなぁテイオー、だから俺は…」

    「もーっ、まだそんな事言ってんのー?ボクみたいな将来有望でしかないウマ娘を担当出来るなんてまたとないチャンスなんだぞー?」

    「そりゃぁありがたい事だけどよ?そもそも俺が無事にトレーナーに合格するかなんてまだ分からねぇんだぞ?」

    「そんな事言わないでよ!キミはボクが認めたトレーナーなんだよ!?」

  • 42◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:07:31

    「気持ちは嬉しいけどよ?俺みたいなおっさんじゃなくても、もっと若くて才能のある奴がきっと居るぜ?」

    「…じゃあトレーナーはボクの事担当したくないの?」

    「いやしたくないとかそういう話じゃなくてだなぁ…」

    「…もういいっ」

    「お、おい」

    「トレーナーなんか知らない!ばかーっ!!」

    「おいテイオー?!」


    「ったく…行っちまったか…」

    「ガキ泣かせるたぁ俺も地に堕ちたもんだぜ…」

  • 43◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:08:17

    ───

    「うぅ…グスッ…ううぅ…グスッ」


    「…どうした、テイオー?」

    「…グスッ…ぅぅ… がいぢょぉ…?」

    「おいおい…酷い顔じゃないか、何があったんだ?」

    「………どれーなーにぎらわれた…」

    「ほう、多くのトレーナーから声が掛かっているのを断ってると聞いていたが、もしかして誰か一人決まったのか?」

    「…そう思ってたのはボクだけだったみたい」

    「…何があったんだ?」

    「…その人ね、折角ボクに相性バッチリなトレーナーだと思ったからボクの方からお願いしたのにさ…」

    「自分がまだ候補生だからって、合格出来るか分からないからって言って…全然ボクの事相手にしてくれないんだ…きっとしつこすぎて嫌われちゃったのかな…うぅ…」

    「テイオー」

    「なに…?」

    「答えなら出てるじゃないか、きっとその人はまだ自信が無いだけなんだ」

  • 44◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:09:06

    「自信…」

    「きっと君が認める程の才覚を感じる気宇壮大な人物なのだろう、だからこそ君を思って未熟な自分を恥じているだけなのかもしれんぞ?」

    「そうなのかな…」

    「それに、一流のウマ娘は腕の良いトレーナーに導かれるだけではない。トレーナーと共に二人三脚で進んで行けるのが理想のウマ娘だと私は思うが、テイオーはどうだ?」

    「トレーナーと一緒に…」

  • 45◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:09:25

    「無敵の帝王であれば、ほんの少し己に自信が無い臣下の尻を叩いてやるのも務めだとは思わないか?」

    「カイチョー…」

    「だからきっとその人は決して君の事が嫌いになったなどという訳ではないと思うよ」

    「…えへへ、そっか」

    「じゃあボク、トレーナーにバカって言っちゃったからごめんなさいしないとだねっ…!」

    「ふふふ、そうだな。仲直りをしてまた二人で少しずつ色んな事を学んでいくと良い」

    「ありがとカイチョー!やっぱりカイチョーは凄いねっ!」

    「それじゃあボク、今日のトレーニングまだ出来てないからトレーナーを探してくるよっ!またねーっカイチョー!」


    「ふっ、行ってしまったか…」




    「……元気になった途端走り出すとは、現金なやつだなぁ」

    「ふふふっ」

  • 46◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:10:01

    ───

    「いや〜悪ぃ悪ぃ!お待た〜!」

    「これだけ良い女を待たせといて、他の子とデートなんて相変わらず罪な人ね?」

    「んまっ、俺ぐらいの伊達男になると街行くカワイコちゃん達が放っといてくんねぇのさ」

    「で、その伊達男さんのデートの首尾はどうだったのかしら?」

    「生憎とデートプランがお気に召さなかったらしいや」

    「へえ、珍しい事もあるものね?」

    「ま、そいつは良いとして…恐らくだが隠し場所ってのは学園の地下ってとこだろうな」

    「…地下とはまた随分とベタだけれども、そんな場所あったかしら?」

    「普通じゃ行けねえ場所さそりゃ。それどころか、下手すりゃ向こう百年近くは誰も出入りしてないんじゃねぇか?」

    「で、その秘密の地下室っていうのはどこなの?」

    「…まぁ下準備してぼちぼちすりゃあ見回りの生徒会のお嬢ちゃん達も寮に戻るだろうよ」

    「ちょっと!教えてよルパン!」

    「んっしっしっし!そいつぁ後のお楽しみって奴さ!」

    ───

  • 47◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:10:59

    「しかし幾ら例のエクリプスの慈悲の在処が分からんとはいえ、こうもルパンの奴が尻尾を出さんとはな…」

    「えぇ、互いに隠し場所が分からないのではという最初の賭けには勝てた様ですね…」

    「あぁ…だがヤツは近い内に必ず動く。これは長年ルパンを追い続けたワシの勘がそう言っている…」

    「そうですか…」

    「…! 失礼、こちらの仲間からの連絡でした…」

    「ん?そうか、何かあったのか?」

    「…! あぁ…そうか、分かった…そちらは引き続き奴の動向に注意してくれ、状況が揃い次第我々も突入する」

    「どうした!?」

    「…私とは別のエージェントからの報告が入りました。どうやら今夜ルパンが動くそうです」

    「やはりか!そんな気がしていたところだ!」

    「待っておれよルパン…!今日という今日はムショに放り込んでやるわ…!」

    「……ルパンの決行に合わせましょう、確実に此処で押さえておきたい」

    「言われんでもそのつもりだ!」

    「………」

  • 48◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:12:02

    ───

    「ここって…学園の正面広場じゃない、まさかこんな場所で私にプロポーズでもするつもり?」

    「ロケーションとしちゃぁ悪かねぇが生憎とそうじゃねぇんだなぁ」

    「それじゃあまさかあなたの言ってた隠し場所って…」

    「ま、厳密にはこの地下ってところかね」

    「この地下…?一体ここからどうやって地下まで…」

    「まぁ見てろって、さっきコッソリ水を抜かせてもらったんだがよ?案の定ここの噴水広場だけ排水手順が他とは違った…」

    「なるほどね、学園最古の建造物でもある三女神の像とその広場…」

    「確かに歴史に纏わる宝物をトレセンの何処に隠すかって言えば、ここが一番雰囲気はあるわね」

    「…ビンゴだぜ不二子。見てみろ、普段は排水溝だと思ってたのが真下じゃなく横に水が流れる仕組みになってるし…」

  • 49◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:12:26

    「…どっせいっ!」


    「…っと、外から見ただけじゃ分からねぇ二重底になってるときた」

    「これはまた古典的だけど念入りな事ね。でもまさかこんなとこにあるのに誰も気付かなかったなんて…」

    「あぁ、まさか敷地内とはいえ校舎の中じゃねぇ場所に隠し部屋を作るとはな…それも広場のど真ん中ときた。正に逆転の発想ってやつかね」

    「それで?今から早速行くんでしょ?」

    「あったりまえよぉ!待ってろよぉ〜!エクリプスちゃんっ!その縁の品を俺様が頂いちゃうぜぇ〜!」

    「やーねルパン、おじさん臭いわよ…ってちょっと!」

    「んっふっふっふ!早くこねーと置いてくぞぉ〜」

  • 50◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:13:04

    ───

    「…トレーナー、もう帰っちゃったかなぁ…」

    「他のトレーナーさんや候補生の人達が集まってる部屋には居なかったし…」

    「もしかしたらまたどっかでサボってんの〜?」

    「もう…将来はボクのトレーナーになる人なんだから変な事して叱られてちゃ…」





    「って…! トレーナーだ!なんでこんな時間に広場になんか…」

    「っていうかあの女の人誰…?なんで若干仲良さげなの…」

    「…なんで噴水の中入っちゃうの!?…ってあれ、濡れてない?」

    「えぇーっ!?なんか二人で潜ってっちゃったよ!?」

    「も、もしかして…!」


    「もーっ!学園の中でえっちな事しちゃダメなんだぞーっ!カイチョーに代わってこのテイオー様がとっちめてやるんだからーっ!」

  • 51◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:14:03

    ───

    「いやしかし最近の学食ってのは話に聞いてたが結構イケんじゃねぇか」

    「…拙者達が利用しても良かったのだろうか」

    「この時間じゃウマ娘に混ざって飯食ってるトレーナーの連中も居たんだから用務員が飯食ったってバチ当たんねぇさ、それに腹空かしてるとこに安くて美味い飯置いてる方が悪い」

    「…その様な物だろうか…」

    「ま、腹も膨れたしこのまま堂々と正門から退勤させてもらうと…」




    「ちょっと!ウララさん!?」

    「すごいんだよキングちゃん!いつもは綺麗なお水が一杯のふんすいなのに今はお水全然入ってなかったの!」

    「だからそれは清掃作業か何かでしょ!」

    「そうかなぁ?きっとあの下にはなんかすっごい宝物とかあるかも!」

    「そんな訳が無いでしょう…ほら、門限も近いのだから早い所…」

    「わたしがちょーっと調べてきてあげる!もしお宝いっぱいあったらキングちゃんと半分こしようね!」

  • 52◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:14:56

    「あっ!待ちなさい!…もう…寮の門限まで後僅かなのに…このままでは一流に相応しくない夜遊びになるじゃないの…」


    「…おい、次元…」

    「…あぁ?………ったく!」

    「…なぁそこのお嬢ちゃん」

    「な!?何よ貴方達!?こんな時間にこのキングに何の用かしら…というより今はそれどころじゃないのよ…!」

    「見てたよ、あのウララってお嬢ちゃん連れ戻そうにも時間がやべぇんだろ?」

    「うむ、拙者達で良ければそなたの代わりに…」

    「貴方達が何者かは知らないけど、見ず知らずの人にウララさんを連れてこさせる訳無いでしょう!」

    「こうなればもうしょうがないわ…一流は友人を見捨てたりはしないものね…」

    「安心しろ、こんなナリでも俺達ぁ用務員のおじさんだよ。ほれ、入館証もある」

    「……あら、そうだったのね。ごめんなさい、せっかく普段私達の為に働いて下さってる方達にあんな態度を…」

  • 53◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:15:28

    「気にすんな、あのお嬢ちゃんにもアンタと見た映画の悪役に似てるなんてお褒めの言葉を頂いたぜ」

    「あの子…!」

    「故に拙者達はあの者に危害を加えるつもりはござらん。帰りにそなたらの寮に連れ戻して、大人しくここを去るだけだ」

    「そうだったのね…それじゃあ申し訳ないけれどもお願い出来るかしら…私は先に戻ってフジ寮長に事情を説明しておくわ!」

    「あいよ、どっちの寮に連れてきゃ良いんだ?」

    「栗東寮よ!私もロビーで待っているけど…フジキセキさんというウマ娘が寮長を務めているから、ここは一旦お二人にお願いするわ!」




    「…こうして見るとやっぱウマ娘ってのぁターフの上じゃなくとも足が速ぇんだな…」

    「…うむ。しかし次元、お主にしては珍しく…」

    「あぁん?ガッコのガキの面倒見るのも用務員のオジサンの仕事の一つだろ、ほっとけ」

    「…! お主もまさか…!」

    「…? 何の話だ?」

  • 54◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:16:22

    ───

    「…いやしっかし梯子に階段と、かなり奥まで掘ったもんだなぁ〜こりゃ」

    「ちょっとルパン…まだなの?」

    「そろそろ底が見えてきたぜ、もうじきだろうよ」

    「もう、なんだか埃っぽくて嫌になっちゃう」

    「そらぁ何百年も封印されてた様なお宝の隠し場所だ、最先端の赤外線センサーなんてあった方が興醒めじゃねぇか…っと」

    「着いたぜ…どうやらここがお目当ての場所だ」




    「ここは…地下室と言うには随分広いのね…」

  • 55◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:17:19

    「あぁ…んでもって堂々と飾られてるあの絵が差し詰め『エクリプスの慈悲』その物だろうよ」

    「あれが…」

    「ふぅん…ヒトの民衆を背に庇う鎧姿のウマ娘と、それと対峙する騎士の軍団の構図ってとこか」

    「つまりこの絵に描かれてるウマ娘があの『エクリプス』っていう事?」

    「…だろうな、よく見りゃ額縁にもフランス語で文章が彫られてる…」

    「どれどれ…?『故郷とその民を守る慈悲深き日食の聖女』…か」

    「『日食の聖女』…日食、つまりエクリプスという事かしら?でもエクリプスが聖女だなんて話…」

    「……あぁ、成る程な…こりゃぁバチカンが必死こいて回収したがる訳だ」

    「一体どういう事…?」

  • 56◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:17:47

    「よく見ろ不二子、エクリプスとその背中に庇われる人々に向かって剣を振り上げて迫る騎士の連中の鎧をよ…」

    「これは…胴体に十字の意匠…?」

    「んでもって目の前に敵が来てるってのにエクリプスが持ってるのは剣じゃなく『旗』だ…しかもそのエクリプスが身に纏ってる鎧も連中の物によく似てる…」

    「正にダヴィンチコードも真っ青の歴史の闇ってやつだよ…」

    「『旗』に『聖女』って…!それじゃあまさかエクリプスの正体って…!?」

  • 57◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:18:18

    「あぁ…ある日突然神の啓示を受けて超人的な力を手にしたと言われる、聖女ジャンヌダルクその人だ…」

  • 58◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:18:50

    「まさか…でもそれじゃあおかしいわ!だってエクリプスの出身はイギリスで、ジャンヌダルクの出身はフランスと言われてるのよ!?」

    「この絵のタイトルを思い出せよ、『故郷とその民を守る』って書いてあるだろ?」

    「恐らくだが、その能力を見込んだかなんなのか…当時のフランスは敵対しているイングランドの英雄であったエクリプスを始末する事よりも手に入れる事を考えたんだろうよ…」

    「彼女のウマ娘としても並外れた力は、友軍にとって何よりの援軍であり心の支えだった…」

    「そんな英雄が敵国に寝返ってみろ?戦死したってぇ情報が出回るよりも士気がガタ落ちするのは目に見えてる」

    「フランスの悪どい連中は単純な戦力を手に入れるだけじゃなく敵の内部崩壊まで狙ったって訳だ」

  • 59◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:19:20

    「…それで彼らはエクリプスの故郷を人質に?」

    「恐らくな…フランス国軍じゃなくキリスト教が母体の十字軍なら、当時の世情だと信仰心を盾に国を跨いである程度堂々と行き来出来てても不思議じゃねぇ」

    「ところが詳しくは分からねぇが連中はその後ジャンヌ…いや、エクリプスにとっての一線を超えた」

    「その結果がこの絵なんだろうよ」

  • 60◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:20:03

    「そんな…」

    「それでもって教会の連中はテメーが仕組んだ悪事を後世に残さねぇ為に、わざわざ魔女裁判まででっち上げてエクリプスを処刑…その後復権裁判なんてのもやったみてぇだがこれじゃあそいつも茶番だ」

    「ヒトの白人至上主義な一部の連中にとっちゃあ聖人認定した奴がウマ娘なんてのは認められねぇ話だし、何よりもその教会が残した残酷な真実の全てが明らかになると不味いってのはバチカンの連中の総意だろうな…」

    「それは確かに…彼等からすれば是が非でも確保して、そして全て無かった事にしたいわけね…」






    「やーっと追い付いた!トレーナー!こんなとこで何してるんだよっ!学園で変な事しちゃダメだよ!!」


    「て、テイオー?!おまっ、何でこんなとこに?!」

    「あら、随分と可愛らしい飛び入りゲストさんじゃない。この子が例のデートの相手?」

  • 61◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:20:58

    「で、デートってボクは別に…!」

    「おいテイオー、別にお前さんが心配してる様なこたぁ何にもしてねぇよ。俺ぁただこのお姉さんとちょいと歴史のお勉強してただけだ」

    「ハァイ、リボンが素敵なお嬢さん♡」

    「歴史のお勉強って…そもそもここ何なの?」

    「良いから、危ねぇしさっさとその階段上がって寮に帰んな、もうじき門限じゃねぇか」

    「もーっ!そうやってまた誤魔化すーっ!」






    「…年頃の少女に教えるには少々刺激が強過ぎる授業ではないかな?ルパン三世」

    「ここで会ったが百年目…!遂に貴様の泥棒稼業も廃業だぞルパン!」

  • 62◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:21:58

    「なんか知らないおじさん達が増えた?!」

    「とっつぁんまで!?」

    「お前にしては珍しく手こずっておったのが運の尽きだなルパン!今日という今日は…」

    「ミスターゼニガタ、ここからは私が引き受けます。貴方は上に戻って応援を呼ぶなりしてきて頂けると」

    「…どういうつもりだサミュエル」

    「……目標は目の前だ。突入、包囲しろ」

    「おい貴様っ…!」

    ジャキッ
    ジャキッ
    ジャキッ
    ジャキッ

    「ひっ!?」

    「サミュエル!これは一体どういう事だ!」

    「ゼニガタ、我々は捜査に協力するとは言ったがルパンの逮捕に協力するとは言った覚えは無いよ」

  • 63◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:22:17

    「貴様…!?」

    「…なぁるほど、今も昔もアンタらのやる事はそう変わらねぇって事かい」

    「…ふん、その様子ではあの絵が示す本当の価値に気付いてしまった様だな」

    「お陰さんでな。この有様じゃこのまま持ち帰ってさいなら…なんてのは難しそうだが、これを元に小説でも書きゃあ世界中で大ヒットするかもな?」

    「サミュエル!ルパン!貴様ら一体何の話を…」

    「地獄で本が書けると思ってるのか?」ジャキッ

    「次元程じゃねぇが俺だって早撃ちは得意だぜ?」ジャキッ

  • 64◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:23:53

    「あら?でもこの状況じゃそうも言ってられないんじゃない?」ジャキッ

    「……おい不二子ちゃん、冗談やるにしちゃタイミングが悪過ぎるんじゃねぇのか?」

    「お生憎様、私は何時だって真剣に生きてるつもりよ?」

    「お、お姉さんトレーナーの知り合いじゃなかったの!?…っていうか何でトレーナーがピストルなんか…」

    「…ちっ、テイオーよぉ…だから言っただろ危ねぇから戻れって…」

    「覚えておきなさいお嬢さん、裏切りは女のアクセサリーみたいな物よ?」

    「わけわかんないよぉ…」

    「そういう訳だルパン三世、アレの存在を知ってしまった以上貴様達にはここで死んでもらう」

    「…ッ!」

    「…最も、巻き込まれただけで死ぬ事になるこの少女には悪いとは思うがね」

    「え…っ」

    「テメェまさか…!」

  • 65◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:24:18

    「さよならだルパン三世、仮とは言え教え子もすぐにそちらへ向かう事になる…あの世で仲良くやれば良い」

    「…!」






              ダァンッ!

  • 66◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:25:40

    「…ぐっ!? 峰不二子…貴様ァ…!」

    「不二子!?」

    「お生憎様ねミスターエージェント、こんな可愛らしいお嬢さんを見殺しにしてまで手に入れた報酬金で飲むシャンパンを美味しいと思える程…」

    「私は安い女じゃないの」ジャキッ

    「……っとに良い女だよお前は」

    「あら、もう知ってると思ってたんだけど?」

    「……詳しい事情は解らんが、如何にワシの使命がルパン逮捕であったとしても、目の前で子供を殺すのを黙って見過ごす程落ちぶれたつもりは無いぞ」ジャキッ

    「とっつぁん!」

    「今回だけだ!今回に限り現行犯での逮捕は我慢してやる!だが貴様の余罪は…」

    「まぁまぁそう堅苦しい事言ってないでよぉ!銭形警部のそういう硬派な所アタシ好きよっ」

  • 67◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:26:07

    「ふざけた連中共め…!お前達も何を見ている!さっさと…」




    「すごーい!なにここー!?宝物本当にあるかもー?!」

    「ウララ!なんでこんなとこに!?」

    「あっ!テイオーももしかして宝探し?」

    「また増えた!?どうなってんだよこの学校の風紀はよぉ…」

    「…お嬢さん、こっちのピンク色の可愛らしい子は貴女のお友達?」

    「えぇい!突入前に封鎖をせんと先に乗り込んだのが仇になってしまったとは…」

  • 68◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:27:10

    「もういい!こんな茶番はもう終わりだっ!!」


    「さっさと全員射殺しろ!目撃者は残すな!エクリプスの慈悲の回収はその後で良い!!」


    ジャキッ ジャキッ

       ジャキッ ジャキッ

      ジャキッ


    「…!おうおうおっかねぇ事」

    「なんだ、ガキが一人増えたぐらいで随分と余裕が無くなったじゃねぇかエージェントさんよ?」


    「減らず口もそこまで行けば大した物だ…だがどう意気がろうと貴様らはここで終わりだ…!」


    「この程度でビビってる様じゃ不死身の大泥棒なんて名乗っちゃいねぇよ…」


    「それに知らなかったか?ヒーローってのにはピンチが付き物なのさ…」


    「何を訳の分からん事を…!目障りだ!そこの長耳のガキ二人から殺せ!!」

    「撃てェェッ!!!!」




    「んでもってヒーローのピンチとなりゃ…後は分かるだろ…?」

    Yuji Ohno Lupin The Third Theme '78


  • 69◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:27:57

    「デェェェェイッ!!」


     ザシュッ

         ブシュッ

      ザシュッ ドシュッ

         

           …チャキン


    「斯様な場所でまたつまらぬ物を斬る事になるとはな…」





    「ガキのお守りってのがここまで物騒な仕事とは知らなかったぜ」


     ダギャァンッ!ダギャンッ!ダギャンッ!

        ダギャンッ!

              カラン…カランカランカラン…


    「最近の用務員のオッサンあんま舐めんじゃねぇぞ…」

  • 70◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:28:53

    「…頼れる仲間が助けに来てくれるもんさ」

    「!? 貴様らは…!」

    「おい相棒、社会見学にしちゃあ随分と血生臭ぇんじゃねえか?」

    「最近の子供ってのは俺達が思ってるよかマセてんだぜぇ?それに見てみろよ」

    「すごいすごい!宝探しかと思ったら映画のさつえいだったの!?」

    「意外とウケてるじゃねぇか?」

    「…あの嬢ちゃんはまた別モンだろ…」

    「…うむ、これもまた義を重んじる用務員の務め…」

    「クソッ!ガキ2人を人質にしろ!所詮は2人増えただけだ!数はまだこちらが有利なんだぞ!!」

    「そうはさせんぞぉっ!!」

     グワッ!?
          ゲブゥッ?!

    「おぉー!おじさんすごい!わたし知ってるよ!おじさんは『あくしょんすたー』なんでしょ!?」

    「バカな事を言っとらんで隠れてなさい!安全になるまで顔を出すんじゃあないぞ!」

    「やったー!わたしも映画デビューだ!!」

  • 71◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:30:03

    「…っく! おい!お前はこっちに来いっ!!」

    「うっ、うわぁ?! や、やだ!やめろよっ!何するんだよっ!」

    「い、いかん!待てサミュエル!! おい、ルパン!」

    「…! テイオー!?」

    「ルパン!雑魚はこっちでなんとかする!テメェはあの嬢ちゃんを!」

    「今宵の斬鉄剣は正義の怒りに燃えておる…行けルパン!」

    「デートでのミスはデートで取り返すのが良い男って物でしょ?」

    「えぇぇい!貴様を易々と逃してやるつもりはないが今は人命が優先だ!絶対にトチるんじゃぁないぞ!」


    「これだから先公の真似事なんざやるもんじゃねぇや……ありがとよお前ら!」

  • 72◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:31:01

    ───

    「凄い…あ、あんな変な場所から学園の時計塔まで繋がってたなんて…」

    「ごちゃごちゃ煩いっ!お前は黙っていろ!」

    「痛っ!や、やめてよっ!ボクは何も…」

    「何もしていないならこうはなっていないだろう…!恨むなら自分の愚かな好奇心を恨め…!」

    「好奇心って…!ボクはただトレーナーに!」

    「どの道あの場に居た貴様が悪い!あの男を始末した後で貴様も…!」



    「さっきまでビビり上がってた癖にガキの女の前じゃあエラく威勢が良いじゃねぇか」

    「………ルパンッ…!!」

    「トレーナー!」

    「よくもまぁここまで主の教えに叛く様な悪さが出来るもんだな?」

  • 73◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:31:55

    「私が忠誠を誓ったのは神ではなく組織だったというだけだ…!」

    「ならその組織ってのが神様の面に泥塗ってるってか?」

    「減らず口をぉっ!」ジャキッ

    「ひっ…!」

    「…!」ジャキッ

    「一歩でも動いてみろ、このガキの頭をここで吹き飛ばす」

    「トレーナー…!」

    「ちょっとでもテンパりゃすぐそれかい、悪役にしたって芸が無さ過ぎるぜアンタ」

    「ほざいてろ、貴様がこのガキを気にかけているのは先程で充分理解した」

  • 74◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:32:58

    「…舐めんなよ若造、天下のルパン様がたかがガキ1人の為に命賭けるとでも思ってんのか?」


    「…と、トレーナー?う、嘘だよね…?」


    「悪ぃなテイオー、俺ぁお前が思ってるよか大層な人間じゃぁねえんだ。ま、短い間だったが楽しかったぜ?」


    「そんな…酷い…!酷いよ…!ボク、トレーナーにちゃんと謝りたくて追い掛けてきたのに…!トレーナーは最初からボクの事…!」


    「…最初からおめぇのトレーナー引き受けるなんて一言も言ってねぇだろ?これに懲りたら悪い大人に騙されねぇ様に今後は気を付けな」パチコーン⭐︎


    「…折角…折角初めてのトレーナーを見つけたと思ったのに…!」


    「御託は沢山だァッ!貴様もこのガキを殺した後に始末してやるッ!」


    「…うぅ…グスッ…かいちょぉ…!」







           ダギュンッ!!

  • 75◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:33:45

    「…がはっ……?!」



    「言った筈だぜ? 次元程じゃねぇが早撃ちは得意だってよ…」

    「きゃうっ!………えっ…?」

    「悪かったなテイオー、随分怖い思いさせちまってよ」

    「……さっきの嘘だったの?」

    「敵を欺くにはまず味方からって言うだろ?」

    「な、なんだよそれぇ…こ、怖かったぁ…」

    「これに懲りたら夜更かしは控えめにするこったな!ヌフフフフ!」

    「本当に…本当に怖かったよぅ…」

    「……俺も地下に潜り込む時にもうちょいと周り見ときゃ良かったな、すまねぇ」

  • 76◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:34:24

    「…グスッ…ばか…」

    「あっ!おめぇまた俺様の事バカっつったか!」

    「うぅ……だって!」

    「…冗談だよ。こんな大馬鹿者でロクデナシの悪党だ、とてもじゃねぇがお前さんのトレーナーなんてやれねぇよ…」

    「…ぅぅ…グスッ…」

    「安心しろテイオー、お前さん程の立派なウマ娘なら、俺と違ってちゃんとした腕の良いトレーナーがきっと見つかる」

    「うぅ…トレーナー…」

    「だから、俺の事は忘れて…俺をトレーナーって呼ぶのもやめにしとけ…な?」

    「……じゃあなんて呼べば良いのさ…」

    「ん?さっきからちょいちょい聞こえてなかったか?」




    「天下無敵の不死身の大泥棒、ルパン三世とは俺様の事よ」

  • 77◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:35:18

    「…ルパン、三世…」

    「あぁ…このトレセン学園にゃぁ物凄いお宝があるって聞いてよ?それでもってこっそり紛れ込ませてもらったって訳だ」

    「そのお宝がさっきの地下にあった…」

    「おう、『エクリプスの慈悲』。詳細不明の正に秘宝の中の大秘宝…」

    「怪盗…泥棒だからそれ盗んでっちゃうの?」

    「そうだなぁ…そいつも悪かねぇが…」

    「エクリプスは既にお前さんや他の多くのウマ娘に愛されてる立派な女性だ」

    「彼女は既にもうゆっくり休んでんだ、ヒトの都合でまた騒ぎ立てても誰も喜ばねぇだろうな」

    「…ボクはちゃんと見れなかったけどどんな絵だったの?」

    「…後ろ姿しか見れなかったが俺にゃぁ解る」

    「情が深くて大きな背中を持った、皆に愛される良い女だったってのがな…」

    「エクリプスが…そっか…」

    「お前さんも今日地下で見た事は忘れて、誰にも言うんじゃねぇぞ?じゃねぇとまたああいうおっかねぇ連中が来ないとも限らねぇ」

    「うん…」

  • 78◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:36:15

    「そこに居たかルパン!大人しく待っておった事は褒めてやろう!」

    「あっ!とっつぁん!?やべぇ忘れてたぜぇ…」

    「忘れたとは何事だ!!折角貴様の義侠心を信じて一度は逃がしてやったというのに!」

    「折角良い話で纏まるとこだったのにここで俺が捕まっちゃぁオチが台無しだぜぇ〜!」

    「待て貴様っ!それ以上逃げて良いとは言っとらんぞ!!」

    「待てと言われて待つ訳無いでしょうに〜」

    「じゃあなテイオー! そいだらあばよとっつぁ〜ん!」

    「待てぇぇいルパン!!逮捕だぁーっ!!」

  • 79◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:36:55

    「…行っちゃった……」

    「大丈夫?トウカイテイオーちゃんだったかしら?」

    「さっきのお姉さん…」

    「ルパンったら、こんなにカワイイ子を泣かせるなんて酷いわね」

    「……ホントだよ…ボクみたいなカワイイウマ娘を泣かせちゃって」

    「ふふっ、貴女みたいな子、私嫌いじゃないわよ?」

    「あ、ありがとー?」

    「…あの人はね、一つの所にじっとしていられないのよ」

    「きっと泥棒という生業を選んで無かったとしてもそれは変わらないでしょうね」

    「…だからボクのトレーナーにはなってくれなかったって事?」

    「そうじゃないわ。ルパンはああ見えて、追い掛けられるよりも追い掛けるのが好きなだけよ。それに…」

  • 80◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:37:57

    「あの人は世界を股にかける大泥棒だからこそ、貴女が世界に名を轟かせる物凄いウマ娘になったらその時は」

    「……その時は?」


    「きっと今度は貴女を盗みに来てくれるかもね?」


    「!」

    「ふふふ、それじゃあねテイオーちゃん。私もそろそろ行かないと…」

    「ま、待って!お姉さんは一体誰なの?」

    「私は不二子、峰不二子。機会があったらまた会いましょう?未来の三冠ウマ娘さん?」

    「……峰、不二子さん…」

  • 81◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:38:51

    ───数ヶ月後───




    ワアアアアアアア!!

    ワアアアアアアアアアッ!!



    『凄いっ!凄いぞトウカイテイオー!見事な末脚で後続を差し切って見事1着でゴールです!!』

    『栄誉ある皐月賞の栄冠を手に入れたのはトウカイテイオー!トウカイテイオーです!』

    『如何でしたか細江さん!?』

    『えぇ!あの憧れのシンボリルドルフが成し遂げたクラシック三冠、今日のこの子の走りを見れば唯の夢で終わらない、そう感じさせる走りでした!』


    「はぁっ…はぁっ………へへっ!ぶいっ!」

    『観客に向かって天高く人差し指を掲げておりますトウカイテイオー!細江さん、やはりこれは!』

    『えぇ、まずは一冠!彼女の堂々とした自信と決意が伝わって来ますね!』

  • 82◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:40:03

    ───


    『長い間お付き合い頂きありがとうございました!それでは皆さん!』

    『ターフの上だけでなくウィニングライブのステージの上でも華々しい輝きを魅せてくれた彼女達に再度!大きな拍手をお願いします!』

    『センターを飾ったのは勿論!今回新たに誕生した皐月賞ウマ娘!トウカイテイオーです!』

    ワアアアアアアアッ!!!!!
           パチパチパチパチ!!





    「…なんだ、また日本に行くなんて言い出すから今度は『大洗に大戦時の幻の旧日本軍戦車がある』なんて言い出すかと思ったが」

    「わざわざウマ娘のレース見る為だけに来日するたぁどういう心境の変化だ?ルパン」


    「…まぁな、仮だったとはいえアイツの『トレーナー』だったんだ、立派なセンセーやれたとは口が裂けても言えねぇが…」
    「教え子の晴れ舞台を応援してやってもバチは当たらねぇんじゃねぇかと思ってよ」

    「お前さんにしちゃえらくおセンチじゃねぇか、情でも湧いたか?」

  • 83◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:41:17

    「バァカ、そんなんじゃねぇよ。最後に見たのがアイツの涙だったからよ、せめて笑った顔をもう一度見たかったってだけさ」


    「はははっ!天下のルパン三世もガキと女にゃ形無しってか!」


    「うるせっ!ほら、用事は済んだんだからさっさとずらかるぜっ!」


    「会いに行かなくて良いのか?その為に来たんじゃねぇのかよ?」


    「良いのさ。折角めでたい日なんだ、俺らみたいな悪党が水を差すもんじゃねぇ」

    「それによ…」


    「それに?」


    「見ろよ、あんだけイイ顔してやがんだ、そんなに心配しなくてもアイツはこれからも大丈夫さ」




    「無敵の帝王様の往く道に幸多からん事を…ってな」






    (いつか…いつかきっと…カイチョーみたいな…)

    (ううん、カイチョーも超える様なすっごいウマ娘になるんだ!)


    (だから……見ててよね!……ルパン!)

    Super Hero (Theme from Lupin III)


  • 84◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:41:54

                 〜fin〜

  • 85◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:42:20

    終わりです。


    ここまで長い間お付き合い頂き本当にありがとうございました!

    ここまでお読み頂いてお楽しみ頂けた方には厚かましい事この上無いのですが
    感想等投げてくださると主は服が弾け飛ぶぐらい大喜びするので是非お願いします…

    以下言い訳と自己弁護という名のダラダラした解説(裏設定?)をして行きます。

    興味無い方はスルーして頂いて結構です…これもだいぶ長くなっちゃった…

  • 86◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:42:44

    まず注意書きにもあります様に今作には特定の組織や思想を貶めたり批判する様な意図は一切ございません。
    作中でも何度かキーワードが出ている様にダヴィンチコード等の多くのフィクションと同じ様に舞台装置や悪役としての配置がしやすかっただけなので…本当に申し訳ありません…

    次に注意書きでも予防線張りまくった独自設定や時系列の矛盾ですが
    聡明な方であれば一瞬で気付いたかと思われますが
    今作の根幹である「エクリプス=ジャンヌダルク」
    は我々の現実の歴史で換算すると絶対におかしい時系列になっています。

    そもそも確か数百年ぐらい間が空いてる存在同士なので…
    ただまぁあっちはこちらと違って動物の馬が存在しない歴史を辿っているので、我々の預かり知らぬ処でよく似た全く別の歴史を辿った世界線という事で…

  • 87二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 18:43:05

    こんなイイもん書いてさぁ…
    誇らしくないの?

  • 88◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:44:04

    そして不二子ちゃんにも突っ込ませましたが
    「なんでフランスの英雄の正体がイギリスの伝説のウマ娘なの?おかしくね?」
    という理由ですが、これも作中でルパンに長々説明させた様に

    •フランスとイングランドの戦争でエクリプスがウマパワーを奮って英側で奮闘
    •我々で例えるとアメコミヒーローがあの時代に無双してる様なもんなので討ち取るどころか暗殺すらむりぽ
    •じゃあいっその事首輪着けて引き抜いた方が戦力も増すし相手の士気も挫けるしやったるべ
    •仏陣営、仏教会と組んでエクリプスの故郷を十字軍を用いて襲撃
    •故郷と家族を人質に取られたエクリプスは泣く泣く仏側に寝返る
    •村を人質にしたという悪評が広まるのも不味いという事で、一応対外的には「日食の日に啓示を受けた聖女ジャンヌ」という建前でエクリプスを戦場に投入
    •家族らを人質にされてるとはいえ昨日まで共に戦った戦友を斬る事は出来ないとせめてもの抵抗で戦旗を戦場で振り回す事に(物理)

  • 89◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:44:31

    •名前が違うとはいえ軍からエクリプスが消えたタイミング、何より戦場で共に戦った仲間ならば分かるエクリプスのオーラから、英軍の中でもジャンヌ=エクリプスが裏で浸透
    •かつての戦友達から戦場で罵倒や怨嗟の声を投げられる日々が続きエクリプス消耗
    •ちなみに英軍がエクリプスの村を助けてやれよって話ですが、当時の宗教の力とは凄まじいので教会から派遣された十字軍が信仰を盾にしてくれば中々表立って手を出せないとかで一つ…
    •エクリプスが精神的にも限界を迎えそうになっていたある日、ついに故郷を占拠していた十字軍のメンバーから一線を超えた輩が出てくる
    •「従っていれば皆に手を出さないという約束だった筈だろオルルァン!」とエクリプスブチギレ
    •仏陣営側の数少ない協力者(ジルドレとか?)の手助けを借りて故郷まで単騎駆け
    •一人で狼藉者達を仕留めるもジャンヌの出奔を知った仏が増援を派遣(これが作中の絵画)
    •その後は多勢に無勢で流石にエクリプス捕縛
    •仮にも神の教えを説いて回っている組織が取った手段にしては悪辣過ぎる為、全ての事実の隠蔽を決定

    あともう少し続きますすいません…

  • 90◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 18:45:22

    •ジャンヌを魔女だと謳い処刑
    •全ての内情を知っているであろう関係者も殆ど始末(ここから現代に至るまでエクリプスの秘密に繋がりかねない資料の抹消にも着手)
    •ただこの際に奇跡的に生き残る事が出来た人物(例の故郷出身)が後の『エクリプスの慈悲』の作者
    •教会、何処からかその存在を知る
    •代々長い間『慈悲』を隠し続け、江戸時代末期に絵と共に日本へ亡命
    •その際に当時の横浜で行われていた居留地ダービーが現在のトゥインクルシリーズの祖
    •色々あってURAの前身もここで誕生
    •紆余曲折あってトレセンの地下で『エクリプスの慈悲』を秘匿し続けるという形に
    •時は流れ現代、風習や伝聞として話は形骸化していき、残ったのは「理事長とその一族以外に知ってはいけない」という仕来りのみという事になってしまい作中の騒動へ…


    といったのが書いてる最中に頭の中で捏ねくり回していた言い訳になります…
    長々御託を並べましたが、端的に言うと「ウマ世界版のラプラスの箱」みたいなもんだと思ってもらえれば。

    最初に思いついたのが「ルパンがトレセンに来て盗む宝物…生徒会室の格言のあれあるしエクリプスでなんかでっちあげるか!」だけだったので改変しまくった挙句ガバもいいとこな設定ですが、変なB級映画引いてしまったという事でここは一つ…

    自分からは以上になりますが、もしその他何かございましたら答えられる範囲で答えさせて頂きます…
    再度にはなりますがここまでお付き合い頂き本当にありがとうございました!

  • 91二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 18:46:49

    いやぁイイモンを見たわ〜

  • 92二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 18:47:22

    掲示板で映画一本見た気分になるとは思わなかったよ

  • 93二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 18:47:43

    一言だけ言うぞ

    Bravo!

  • 94二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 18:48:59

    前の次回予告からずっと待ってたんだ。
    ありがとう。

  • 95二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 18:53:29

    いやはや、良いものを見せて貰いました
    これがウマ娘テレビスペシャルですか

  • 96二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 18:59:14

    すごかった……いいものを見た……

  • 97二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:01:01

    これぞルパンよ
    めっちゃ面白かった

  • 98◆4OtuAMGZeQ21/11/23(火) 19:03:13

    皆様お褒めの言葉ありがとうございます…!
    前回の予告から大変お待たせしてしまい誠に申し訳ありませんでした…
    お待たせさせた期待の分に少しでも応えれていたのであれば幸いです…

    今後も上様シリーズは勿論、思い付きの短編等も時々投稿するかとは思いますのでこれからもよろしくお願いします…!

  • 99二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:03:21

    面白かった
    名前だけだが吉宗公が出てきたのは笑ったわ

  • 100二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:05:23

    誰か!これを早くそのまま映像化して頂戴!!

  • 101二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:06:30

    すごいよ...
    凄すぎるよ...アンタ

  • 102二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:11:35

    上様の時もそうだけど元ネタ同士の組み混ぜ方が秀逸過ぎる。
    元の作品が今回両方ともアニメだからエミュ精度も相まって脳内で自動的に映像化されてしまう…
    本当に何者なんだアンタ…

  • 103二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:13:40

    テイオーがクラリスと並ぶヒロイン化してて草

  • 104二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:15:20

    俺が絵師なら今すぐにアニメ塗りで今作のキービジュアルポスター風のイラストを描いて主に捧げたいぐらいだ…

  • 105二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:19:49

    エンディング曲の「スーパーヒーロー」で鳥肌立っちゃった…

  • 106二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:27:06

    こういうのが出てくるからあにまんは侮れない

  • 107二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:35:25

    すごかったけどすごすぎて逆になんであにまん掲示板なんかで発表してるのかが最大の謎

  • 108二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:38:24

    当時のイングランドはフランスに大きな領土持ってたからフランス人かイングランド人かは入り交じる余地があるので上手い時代を使ったなって思った
    ガルパン三世が始まりそうな最後の小話is何

  • 109二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:39:35

    >>108

    バッカモン!そいつガルパンだー!

  • 110二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:40:08

    「実際に何かの間違いでルパンとウマ娘がコラボしたら」感が凄い作品だった…
    これだけの大作お疲れ様でした…

  • 111二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:50:31

    なんでこんな場所でこんなお宝が拝めるんだ

  • 112二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:53:46

    どっからどう見てもパーフェクトやんけ…!!
    ルパン三世テレビスペシャルと言えばこーだろって感じの!

  • 113二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 19:57:51

    >>90

    >> 「ルパンがトレセンに来て盗む宝物…生徒会室の格言のあれあるしエクリプスでなんかでっちあげるか!」


    そんなとこからスタートしてコレ出来上がるって控えめに言ってどっかおかしい(褒めてる)

  • 114二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 20:03:46

    すごい面白かった

  • 115二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 20:16:33

    面白かった・・・しかしなぜあにまんで・・・

  • 116二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 20:33:14

    相変わらず良い意味で「◯◯といえばコレ」な最大公約数的な質感をさらっとお出ししてくるのは流石だわ

  • 117二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 22:21:38

    これだけの名作楽しませて頂きました、毎度ながらお見事です…


    作者さんの過去作が貼られていない様なので、今作とは関連性は無いとの事ですがせっかくなので紹介させていただきますね!



    【SS】騙したんですか…食レポって嘘じゃないですか…やめてくださいっ!離してっ!|あにまん掲示板※ちょっとダークな曇らせ描写有ります(最後にはきっちりハッピーエンドです)書き溜めしてあるので順次投下します。•エミュ不足等ございましたらご容赦ください…────「はぁーっ…美味しかったなぁ、オグリ先…bbs.animanch.com
    【SS】ウチがオグリと勝負出来へんってどういう事や!?|あにまん掲示板※若干ダークな設定と重めな曇らせ描写有ります (最後にはきっちりハッピーエンドです)───「まあまあ、少し落ち着きたまえよ君」「アホな事言うな!ウチはアイツのライバルなんやで?!せやのになんでそんな事…bbs.animanch.com
    【SS】やめてっ!これ以上トレーナーちゃんに酷い事しないでっ!|あにまん掲示板※少し暴力的な描写や曇らせの要素があります(最後はハリウッド娯楽映画に負けないハッピーエンドです)※このスレは「マヤノパパ=トムクルーズ概念」を含みます、作中で登場する名前は仮名なので某作品とはあまり…bbs.animanch.com
    【SS】あたしは…ただ、シチーさんみでぇにキレイになりだかっただけだ…|あにまん掲示板※曇らせ描写や重い展開が含まれますのでご注意ください。(最後はしっかりハッピーエンドです)エミュ不足や解釈違い等ございましたらご容赦ください…以下過去に投稿した物ですhttps://bbs.anima…bbs.animanch.com

    トレーナーちゃん、今までありがとう!|あにまん掲示板男トレxマヤノの短編SSになりますエミュ不足や解釈違い等ございましたらご容赦ください。bbs.animanch.com
  • 118二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 22:24:12

    クッソ凝ってて草生える

  • 119二次元好きの匿名さん21/11/23(火) 23:19:01
  • 120二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 00:14:31

    すげぇ…本当にウマ娘とルパンがクロスオーバーしてる…
    なんだこれ…

  • 121二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 08:32:52

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 09:12:51

    出勤中にこんな凄い物を見せるな

  • 123二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:23:02

    ペルソナかと思ったらルパンだった…


    でも面白かったので問題無かった!

  • 124二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 21:38:31

    歴史に関しては本家ルパン三世も随分ガバガバだし
    そんな細かいことは気にならないくらい勢いがよくてとても面白かったよ

  • 125二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 09:06:23

    いいもん見せてもらったわ…

  • 126二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 18:13:49

    やっぱルパンのストーリーラインが柔軟で、割とどんな設定でも受け入れられるってのが強いわこれ

  • 127二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 19:40:48

    長編探してたらとんでもない大当たりを…いや、お宝を見つけちまった…

オススメ

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