【閲覧注意】Re:ローレルちゃんをレロレロしたいwww

1歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:33:52

※アプリ時空の物語です。凱旋門賞は善戦したという世界線でお願いします

À quelque chose malheur est bon.

月桂樹の名前を冠するウマ娘。その功績は「栄誉と勝利」の名に恥じぬ物であった。

クラシック期こそ『怪物』に屠られど。シニア期では天皇賞春秋制覇に有マ記念と、自らが怪物の上に立ち。フランスに渡航した後もフォワ賞を制し、凱旋門賞では激戦を繰り広げ、日本に希望を与えた。

だが。時とは残酷な物で。

───もっと、本気で走りたかったな。

本格化とは、矢の如き速度で飛び去るのだ。

2歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:34:08

「そうだ、お花見に行きませんか？」

それは、突然のお誘いであった。月桂樹の他にもう一つ、彼女が冠する植物。それが。

「わぁー！やっぱり綺麗ですね！満開の桜！」

乗り換えを1度挟み、30分ほどの時間で彼女と彼女のトレーナーが向かったのは、都心にあるとある桜の名所として名高い庭園である。

「そうだ、Hachis parmentierをお弁当で持って来たんですよ！トレーナーさんも、いかがですか？」

快活でありながら、どこか色気がそこはかとなく漂う動作で弁当箱を差し出す彼女。だが、何年も共に過ごした彼は今更その様な物に応じるはずもなく。

何事も無く受け取った、桜色の弁当箱の蓋を開けると、そこにはジャガイモのグラタンが入っていた。

「Hachis parmentier、肉じゃがのフランス版みたいなものです。立ち位置も肉じゃがと似ていて、家庭の味の象徴であり、これを食べないフランス人は菜食主義者か非国民とまで言われているんです」

成程、と頷き返し、二人で共に手を合わせてからまだ湯気が立ち上るそれを食べ始める。

上面はパリパリとしており、中はしっとりホクホクのマッシュポテトがコクのあるチーズと絡み合ってリッチな味を演出し、更にトマトと赤ワインで煮込んだひき肉が口内の脂を打ち消す。刻まれた玉ねぎの自然な甘味とマッシュルームの風味、そしてほんのりと隠し味に入っているナツメグがピリッと辛味で味を纏め上げる。控え目に言っても、絶品であった。

3二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 08:34:20

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4歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:34:31

「そういえば、バレンタインの事を覚えていますか？」

唐突に、彼女は問い掛ける。

彼から何かを貰える事を期待するも、夜まで貰えずに少し寂し気だったあの日を。乙女の純情を弄ぶ様な真似をしておきながら、忘れているなんて事はない…よね？

そんな彼女の不安を吹き飛ばす様に、彼は点頭する。その様子を見て、彼女は心の底から嬉し気な表情を見せる。それは冬を凌ぎ、漸く蕾を開いた桜の様な、本調子では無くとも明るい笑顔であった。

そして、彼女は追加で問い掛ける。あの時。彼女は何と言ってバレンタインのプレゼントを贈ったかを覚えているかと。

───本当に、たくさん想いを込めたんですからね。

一言一句違えず、彼は返答する。それが嬉しかった、という言葉を添えて。

「じゃあ、質問なんですけど」

引退について話し合う前に、思い出を振り返り共有するという和やかな雰囲気が霧散する。

「───たくさん込めた想いって、何があると思いますか？」

感謝、期待、感動...色々な感情が浮かんでは消えていく。たくさんと言っていたからには複数なのは間違いない。では、他に何がある？

5歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:34:45

「ふふっ、困らせちゃったみたいなので、ちょっと別の話題にしましょうか」

ひとまず、窮地を脱する事が出来た…出来た筈なのだが、何故か詰みに追い込まれている感触が拭えない。あたかも将棋で一手を見落としている様な。奇術師の右手に集中しすぎて左手を見逃している様な。その様な気味の悪さが鎌首をもたげる。

「そういえば、Hachis parmentierの味はどうでしたか？トレーナーさんのお口に合いましたか？」

素直に肯定する。こんな美味しい手料理は滅多に食べた事が無く、もっと食べたいとも。

「じゃあ、私が毎日トレーナーさんに料理を作ってあげましょうか？」

それは、突然仕掛けられた。

引退の話と同時に、毎日料理を作るという宣言。ここまで言われると、流石の彼もその意図に気付く。

だが、彼女の末脚はまだまだ本領発揮すらしておらず。一度食らい付いたらフルスロットルで差し切りにかかる。

「ちなみに、あのバレンタインの日に込めた感情。それは、感謝と、これからもよろしくお願いしますっていう気持ちと、愛情...も入っているんですよ」

6歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:34:55

一気呵成の勢いで彼に攻め入る。

あと、もう一息かな。

彼女は直感する。

「ねえ、トレーナーさん」

瞳が細められ、妖し気な光が放たれる。

妖艶を体現したかの様な少女は、最終直線、いわば佳境に入る。

「クリスマスにお揃いの”ローレル”の冠をあげたように」

彼も、また限界を感じていた。彼女を憎からず思っていたのは事実であり。彼女の様なウマ娘に、能力的にも、性格的にも、出会えるとは到底思っていなかったからである。

「私も、トレーナーさんとお揃いの『冠』が欲しいな、って思うんです」

その彼女の表情は、彼女の冠である「サクラ」の様に。Nem’oubliez pasという花言葉に相応しく、強い思慕と彼を手放さないという覚悟が、瞳の花弁に強く現れていた。

7歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:35:08

ははっ、トレーナーさんが困った顔をしてる

ようやく言えた、って私は思ってるけどね

クリスマスやバレンタインの前から、あなたに惹かれていたんだよ

償いを一生かけてもするとか、私の走りがあなたの夢とか

つい、私の方が赤くなっちゃうような事を気軽に言ってさ、だからこれはそんなズルいあなたへの私からの仕返し

Qu'est-ce que je peux faire pour te garder entre mes mains ?

>>15

8歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:36:57

前スレではガバがあったので再投稿です。
フランス語って難しいね、あと歩きスマホしながら打ったせいで頭を電柱にぶつけました。
皆は気を付けようね。

9二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 08:37:39

良SSの気配を感じたのでやって来た(2度目)

>>10

10歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:40:42

>>9

おかえりなさい、またお会いできて光栄です

11歩きスマホは危険です23/04/11(火) 08:41:38

という事で、ローレルを初手10連で引けた喜びに任せて思わず書いてしまいました。

何かお題あったりその日の体力次第で書き上げます

12二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 08:51:25