- 1二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:07:54
『人生別離足る』
これを意識し始めたのは、いつからだったのかな。漢文の授業でこれを習った時からかな。
『雨に散り、若葉に変わる花びらあれば、嵐に耐え、これからと盛りと咲染める花びらあり。』
サクラバクシンオーさんとそっくりな実況者さんが、春の訪れについて詠んだ歌。春のクラシックレースの移ろいが、春が来たことを教えてくれる。
春とは、出会い、絆を育む季節であり、別れを告げる季節でもある。
咲き誇る桜の木の下、舞い散る花弁の中。一人、桃色の花吹雪に佇む一輪の青い薔薇があった。
悪役と称されながらも、その走りで観客を圧倒し、絶対的王者をも屠った漆黒のステイヤー。人に幸せを与えんとするヒーロー。
だが、ヒーローも万能では無く、己の葛藤に苛まれる事は多々ある。
その切っ掛けは、先日に偶然、彼女の大きな耳が捉えた会話であった。
それは、青春を過ごす者なら一度は経験する、苦くも甘酸っぱい1ページ。
卒業間際に、別れを告げる同級生に好意を告白しておきたかったという、後悔に満ちた発言と、そんな女学生を慰める同級生。
それを耳にした彼女も、また自分が例外でない事を思い出した。
幼い見た目に反し、彼女は既に高等部である。そんな彼女に、彼女が愛してやまないトレーナーことお兄さまと、あと何年共に過ごせるのか。それは神のみが知り得る事であるが、長くとも片手で数えられる程度であるのは間違いなかった。
あと、どれくらいお兄さまといられるのかな。ライスが卒業したあとも、いっしょにいてくれないかな。でも、やさしいお兄さまにわがままを言うと迷惑じゃないかな。でもでも、ライスにはそんなに時間が残ってないし。時間はあとどれくらい残っているのかな。 - 2二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:08:08
メビウスの輪の様に、堂々巡りを続ける彼女であったが、循環は断ち切られる。
すー。すぴー。すー。すぴー。
───最も、堂々巡りが中断されたとて、悩みの種は増え続けるだけなのだが。
絵本のお兄さまみたいな人。とっても優しくて、がんばり屋さんで、頼りになって、一番大切で、世界でいちばん大好きな人。
そんな彼が。普段は彼女に頼もしい大人の一面しか見せない彼が。
ソファに座ったまま寝ていた。
笑うとかわいいお兄さまだけど、寝顔もかわいいな。
それは、完全に油断しきって、表情を一切作らずに、ただただリラックスしきった、そんな寝顔。
花に釣られる蜂の様に、彼の隣に吸い寄せられ、ぽふんと小さく身体を縮こまらせてソファに座る彼女。
新たな一面が見られて嬉しい、そう思ったのも束の間。 - 3二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:08:35
でも、お兄さまとお別れしちゃうと、この寝顔も見られないのかな。そもそも、お兄さまのこの顔を知っている人はほかにいるのかな。お兄さまは彼女さ.ん...お姉さまはいるのかな。ライス、このお顔はライスだけのひみつにしたいな。って、そんなことを考えちゃうライスは悪い子だ…でも、お別れしちゃうと...
エッシャーの滝を流れ行く高瀬舟の様に、彼女の思考もまた流れ、一巡してまた同じ所に着地し、再び流れる。強欲と嫉妬の二つの念を載せた高瀬舟は、黒い水の面を滑り落ちる。
そうして逡巡していると。
ゆらり。ゆらり。彼の身体が左右に揺れる。
あまりにもその無防備な姿は。彼に思いを馳せる彼女にとっては甘美な毒であった。
ごめんね、お兄さま。今から私は、悪い子になります。
小さな手で、こっそりと彼のシャツの襟を掴む。
細い腕で、優しく、しかし力を込めて彼を自分の方に傾ける。
────えへへ。お兄さまの頭...ライスの肩に乗ってる…! - 4二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:08:50
本当は恋人でもないのに、お兄さまがライスによりかかって寝ている…ライスの肩、痛くないかな。お兄さまの睡眠をライスが邪魔してないかな。でも、こうしていると本当の恋人さんみたいで…えへへ。
整髪料で整えられた髪は、彼女の頬を撫で。
彼の鼻は彼女の首筋に近く。
ひゃあ!お兄さまの…息が…首筋に…くすぐったいよ…って、お兄さま、ライスの首筋のにおいを嗅いでるってことだよね…恥ずかしいよ…臭くないかな…
だが。彼女の黒い勝負服と対の様な純白の肌が赤く染まろうと。彼女の小さな体躯と対の様な大きな耳が恥じらいで前に折れ、小刻みに震えようと。
彼女の小さな独占欲は霧散し。彼女は多幸感に包まれていた。
彼の身体がまたぐらつき始めるまでは。
小さなヒーローは、落ちそうになる彼を必死に守ろうとする。肩の位置を調整し、彼の頭がずれないように懸命に動く。
しかし。
そんな努力も空しく。
とすん。と音を立てて。
彼の頭は、彼女の小さくも力強い、柔らかな腿に着地した。 - 5二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:09:03
ひ、膝枕をしちゃってるよ…!
再びパニックに陥るが。
このまま…お兄さまを自分のものにできないかな…
段々とそれは、先程までよりも大きな独占力に変わっていく。
お兄さま、ごめんね。今のライスは、悪い子だから。
彼女は、少しづつ屈んでいく。
ライスは、お兄さまにすっごく感謝してるんだよ。だって、お兄さまはライスにとっての太陽だから。
だからね、これは眷属さんへの、ヒーローのライスからの感謝のきもち。悪い子のライスからのいたずら。ダメな子ライスの贖罪。
ギュッと目をつむる。
それは、僅か数秒。刹那の接触。
彼女にとって、人生に一度の、とても大事な物を彼に捧げた瞬間。
だが、ヒーローであり、吸血鬼である彼女には、それは少々物足りなかった。
もう一回。もう一回だけ。さいごにもう一回。
段々と長くなる接吻。器用に舌で唇をこじ開け、ちろりと彼の舌と絡ませる。 - 6二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:09:25
ぷはっ、と。一息ついた彼女。彼との絆を示す様な、銀色のアーチ。
...ライス、とっても悪い子だ。悪い子なんだけど...これはクセになっちゃうかも…
もう一度下を向いた時。
彼と目が合った。
刹那に過ぎぬ時間で、一気に押し寄せる羞恥と後悔。
それは、頬を伝う悔恨の雨。浮かれていた心は水を差され、熱くなっていた気持ちは一瞬にして冷め萎む。
絵本の様に、お兄さまに育てられ、ずっと一緒に過ごす筈だった青い薔薇は、雨に散った。
そう思われたが。
───ライス、こっちを見て。
突如として声を掛けられ、反射的に声がした方に向くと。
ぴとり。
指が、彼女の瑞々しい唇に触れた。
びっくりして、思わず彼の顔を見る。
彼は、怒ってなどいなかった。にっこりと。穏やかに、優しい笑顔で。だが、少し意味ありげな表情で。目が合った瞬間、片目だけ閉じてウィンクを送る。 - 7二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:09:42
寝てる間に、悪戯を仕掛ける悪い子は誰かな、と問いかけ、嗜め、揶揄う様な、大人の余裕を持たせた視線。
それは、彼女の接吻の嵐に余裕で耐え抜いた男ならではの余裕であり。彼女はそんな彼に抱き寄せられても。膝の上に座らされて後ろから抱き着かれても。ウマ娘の渾身の力を以てしても抵抗できず。そもそも抵抗をする気にすらならず。
「そうだ、ケーキがあるんだけど食べる?」
その日の茶会の様子を知る者は、彼ら以外には存在しない。
ただ、春の陽光はそんな彼らを。仕返しと言わんばかりに悪戯する彼と。恥ずかしいと同時に嬉しさを抑えきれず、ケーキが刺さったフォークを彼女の口に運ばんとする彼の手に尻尾を巻き付ける少女を。そんな微笑ましい彼らを見守る様に、優しく包み込んでいた。 - 8二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:10:48
黄金の杯を、優勝杯を胸に、彼らは二人三脚で駆け抜ける。
日本で最強の、黒い刺客の規格外の脚を魅せ付けることを躊躇う必要はない。
ライバルを蹴散らす強さと、彼女らの為に涙する彼女の強さに惚れたのだから。
今更、別離など気にする必要はない。
時が経てば、彼女は卒業し、離れ離れになるだろう、サヨナラだけが人生なのだから。
生まれた時から死まで、別れが人生を彩るのだから。
とは言え、彼女が彼の元に戻りたいと望めば、彼は快くそれを受け入れる。
妹としてなのか、教え子としてなのか、それとも別の関係なのかは、彼らのみが知る。 - 9二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:20:42
きしょいスレタイだな
- 10二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:22:39
なんでこんな恵まれた文才をあにまんにぶん投げた上にクソスレタイで汚していくの?
- 11二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 18:23:56
俺も飲みたいでござるwwwって言いに来たのにSSじゃん😡😡😡😡😡
騙された😡😡😡😡😡
最初はかわいらしい控えめな、ずっと一緒にいたいぐらいの気持ちだったのに、少しずつエスカレートしていって茨の森の中の城を彷彿とさせる少し退廃的な独占欲そのものに代わっていくのが素敵だった😡😡😡😡😡
どうして毎度毎度そうやって最後に思いをさし込めるの😡😡😡😡😡
おつかれさま😡😡😡😡😡 - 12123/04/11(火) 18:28:49
- 13二次元好きの匿名さん23/04/11(火) 23:02:58
- 14二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 02:13:15
- 15二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 04:15:49
なんでアオシマバクシンオーのクソポエムがこんな美化されてるの???
- 16二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 04:21:29
いつになったらスレタイ回収するの?
- 17二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 04:22:09
クソスレタイからのてぇてぇSSからしか得られない栄養分がある
- 18二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 11:46:03
あぁー、悪い子ライス成分が五臓六腑に染み渡るんじゃ〜
- 19二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 11:57:55
「悪い子ライスとお膝の上&囁きコンボでお仕置きするお兄さま」概念はもっと広まるべき。
- 20123/04/12(水) 12:30:24
あ!!!あなたにイラストを描いてもらえることを目標にSSを書いてきた身としては…とても光栄でございます…素晴らしい…(語彙力喪失)
- 21二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:37:34
このレスは削除されています
- 22123/04/12(水) 12:56:55
- 23二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:57:54
昨日もお会いしましたかね、お久しぶりです
- 24二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:59:08
- 25二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 16:17:08
この縦読みは素晴らしいよ
- 26二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:05:30
このクソタイトル……縦読み……独特の表記法からお出しされる圧倒的"解像度"の幸福感と適度な退廃、汗の甘く香るようなどこか後ろ暗く青臭い時間の描き方……俺はアンタのファンなんだ、間違えるわけもねえ。
今回もゴチになりました - 27二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:24:40
こ……これはSS書きの間で伝わる、スレタイを残念な物にする代わりにSSの質を向上させる秘伝の呪法……!!
- 28二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 21:38:30
クソみてえなスレタイに哀しき過去…
- 29二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 00:19:54
- 30123/04/13(木) 03:57:14
あ、そうだよ
- 31123/04/13(木) 03:59:27
なんでや、口噛み酒(意味深)をライスがお兄さまに餌付けしてただろ!!!
- 32二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 07:58:01
ほしゅ
- 33123/04/13(木) 12:58:34
ご拝読頂き光栄の極みです…また何か書いたら閲覧注意のクソスレタイつけますんでその時はお越しいただければ…
- 34二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 13:40:57
このレスは削除されています
- 35二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 13:51:29
- 36二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 13:54:25
アホクレーマーを相手にしてはいけない(戒め)
- 37二次元好きの匿名さん23/04/13(木) 19:12:49
- 38二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 05:16:31
- 39二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 10:42:29
あー、ゴルシワープの時か