- 1◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 20:56:28
- 2シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 21:20:14
【闘技場の脇道。明かりにも触れず歩いてくる人影があった。】
「…このくらいの規模感なら祖国のギルドに作れるかな。にしても、あれだけ闘技があってまだ余るとは、ギルドの広さには驚かされるよ」 - 3◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 21:25:34
【一人の女が、その反対側から歩いてくる】
「……久しぶりに来たけど、相変わらずの賑わいっぷりね。
ここの闘技場は」
【まるで、誰かと話しているような口ぶり】
『やっぱりみんな、戦うのが好きなんだね』
【いや、実際に見えないもう一人と話しているのだが】
「終われば巻き戻るから取り返しのつかないことにならない、っていうのも大きいかもね」
【そうして歩き続け、いつしかまだ使われていない闘技場の入り口までやってきた】 - 4◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 21:36:59
「……あれ、シズクさんじゃない
久しぶりね」
【その女は歩いてきたシズクを見つけ、声をかけてきた】
『お久しぶりです、雫のお姉さん』
【隣にいた幽かな少女──女と似た顔立ちであり、血縁関係を伺わせる──もまた、シズクの姿を見つけ手を振る】
- 5シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 21:37:23
「ん…別の組でも来たのか…設備面の確認は一通りできたし…ここでは実戦面の確認でも…うん?」
【足音、聞き覚えの有る足音。少し考える素振りを取る。】
「あっ」
【その足音の主が誰であるかすぐにわかった。ギルドに来て間もない頃に聞き分け、一旦の帰国のまで、多くの時間を共にした足音。気づかなかったのは多忙のせいだろう】
「…久しぶりだね」 - 6◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 21:41:47
- 7シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 21:46:50
- 8◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 21:51:17
- 9シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 21:56:54
- 10〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 22:04:56
- 11シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 22:14:33
- 12〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 22:22:54
- 13シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 22:36:31
- 14〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 22:48:54
「……!」
【突き出された炎の剣刃を、星空の刃が横殴りに弾き逸らす】
【既のところで凌いだが、熱気が肌を炙った。あと少し反応が遅れていればどうなったか】
(……疾い)
【侮っていたつもりは微塵もなかった。ただ、相手は自分の予測を超えてきた】
【体勢を整え糸で迎え撃つより先に、シズクは懐に飛び込んできた】
(このまま斬り合うのはきついわね)
【剣技においては、祭政技工の技を受け継いでいるあちらの方が上であろう】
【と、なれば】
【斬糸は足元に仕掛けてあった糸を踏み、シズクの頭上へ跳躍する。斬り合わず、逃げる判断だ】
ストリング.ランス
「『螺旋糸槍』!」
【空中に跳んだ斬糸が手から伸びた糸を手繰ると、シズクの周囲の糸が撚り合わさり、いくつもの糸の馬上槍を形成した】
【それらはそれぞれ炎と冷気を発し、四方八方から放たれシズクをハリネズミに変えんとする】
- 15〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 23:08:06
(※あ、決め技のタイミングが来たら教えてください)
- 16シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 23:09:06
「…!リキッドボディ!」
【水の神聖術の一技。肉と骨による身体は、瞬く間に水の液体に変わる。螺旋糸槍の炎と冷気は多少気はになるが、本来の糸による刺突を考えれば、受け流したと言ってもいい】
「…飛んだか…なら」
【機動力ではシズクに分はない。加えて盲目の彼女には、飛び道具まで備える斬糸との相性は良くはないだろう】
【ならどうするか。答えは一つ。状況を作ればいい、一瞬の、相手に何も許さない即死の状況を】
【斬糸の落下を確認し、液体のまま斬糸の影になるよう移動する。見下ろせば、液体化した身体の中、渦まく物がある。水滴の中の世界、このまま落下するのなら、確実に飲み込まれる小さな死への誘いである】
- 17シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 23:10:45
(※了解です)
- 18〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 23:26:59
「……来た」
【下方に開いた渦を見下ろす。このまま落ちれば、確実な死が待っている】
【さりとて空中に留まり遠距離攻撃を続けたところで、先程のように躱され続けるのは目に見えている】
【斬糸が選んだ道は、重力加速度に任せた自然落下だった】
【だが無論、そのまま飛び込むわけではない。斬糸は、懐から虹色の羽団扇を取り出す。それを扇ぐと、その身を虹色の靄が渦巻き、包み込んだ】
【直後、渦に呑まれたはずの斬糸の姿が消失する】
【しかし、〈水滴の中の世界〉でかき混ぜられ、肉片に変わった手応えは無かった】
【2秒置いて、糸の刺客はその真後ろに出現した】
【異相空間への潜航を可能とするアイテム、『幻翼の羽団扇』だ】
「その神聖術……いつまでも変化してられるわけじゃないわよね」
【斬糸が糸を手繰ると、渦と化したシズクの周囲に鋼糸のドームが形成される】
【それはゆっくりと回転しながら、少しずつ狭まっていく。相手を焦らせるかのように】
カッティング.クレイドル
【『斬尽籠糸』。この糸の刺客が会得している『糸の技』の中で、最上のもの】
【それをシズクが元の姿に戻る時を狙い、繰り出した】
- 19〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 23:27:26
(※シズクさんが元の姿に戻ると同時に一気に加速させて切り刻むつもりです。が、糸の技の共通の弱点として卓越した剣士が相手だと糸を斬られて抜け出される、というのがあります)
(※もちろんその他の方法で切り抜けてくださっても大歓迎) - 20シズク◆nn8qcwj2l.23/04/11(火) 23:49:30
(※うし、新技だすか)
「…(この音は…不味い)」
「…!(一手遅れた…!)」
【霧も晴れてしまった以上、糸に編まれた鉄の乙女を細かく調べる術はなかった。二刀を用い脱っする事には成功したが、半身に深く、傷が残る】
「…」
【剣には霧の固まった水滴が在る。この中でもう一度、水滴の中の世界を編み直し、相手に食らわせる事ができたら】
【いや、既知の相手同士、それも裏をかきあう戦い、それで勝敗を決することはしないだろう】
【一つある。まだ誰にも見せてない手札が、祭政技巧が辿り着けなかった先を行く者としての自負の象徴が】
「…見ていてください!」
【剣の上で水滴の中の世界を練り上げると、刀身ごと自分に突き刺した。「あの人」の使っていた複数の結果を押し付ける剣技、力に打ちのめされ、力を押し付ける側になることでしか克することのできなかった彼女の、しかしそうせずとも力に抗える誰かへの望みの表れ、その刃を自分へと向けた】
- 21〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/11(火) 23:52:11
「……!?」
- 22シズク◆nn8qcwj2l.23/04/12(水) 00:06:25
【押し付けられた有り得べき結果の海が、シズクの身体を中心に波となり、周囲の事象すらのみこんでいく。肉体は透き通り、光が溶けだし、混ざり合う。肌にふれた衣服が、空気が、空間が、時間が、水に似た混沌の形態となり、さながら肌に海を纏っているかのようだ】
【「事象の万波」。ここでは死すら、消滅すら、並立する事象の一つに過ぎない】
「水滴の中の世界-金銀波」
【その手の平にあったのはもはや一国の魔法工学によって生み出された暗殺術ではなかった。あらゆる事象を飲み込み、並立と無限循環の混沌に戻す渦、それこそが相応しい。固体のはずの地面に金の波紋を立てながら、斬糸へと詰め寄る】 - 23〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/12(水) 00:08:32
※す……すごい技が誕生してる……
- 24シズク◆nn8qcwj2l.23/04/12(水) 00:08:56
(※やりすぎた☆)
- 25〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/12(水) 00:21:14
「……やっば」
【事象をも喰らい呑む、人型の海となったシズクを見て、糸の刺客の中にも流石に焦りが生まれた】
【シズクが何をしたのか、術理摂理は門外漢である自分には分からない】
【だが一つだけ言えるのは、今この瞬間、彼女は自分の限界を踏破したということ】
「……やっぱりすごいわ、シズクさんは」
【そして、糸の刺客の中に湧き出た感情は、焦りだけではなかった】
【驚嘆、称賛。あるいは、憧憬。そういったものも、間違いなく存在した】
「こっちも、全力でいかないとね」
【今のこの相手に対するには、自身も最大最強の切り札を切るしかないだろう】
【眼前で《星紡斬歌》を鞘に納め、一気に抜き払う】
【風に乗り、流れていくのは白い羽。それは斬糸の背中に集って溶け合い、白い光の片翼を形成した】
【変異固有スキル、〈糸命の天使〉】
「これは、効くかしらね!」
【瞬間、周囲の地面から光の糸が立ち昇り、押し寄せる白波の如くシズクに襲いかかった】
- 26〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/12(水) 00:21:32
(※多分呑み込まれる☆)
- 27シズク◆nn8qcwj2l.23/04/12(水) 00:47:43
(※決めます。すみません!)
【無尽蔵の生を司る天使の糸光、流石にそれを一瞬で混沌に帰す事はできない。この形態とて万能ではない、いずれは自分の姿かたちが波にさらわれ、混沌に帰してしまう。そうなる前にも】
「もっと…もっと先にいいいイイイイイイイイイッ!」
【一本、一本、光の糸が喰われ弾けてゆく。自分の輪郭がよりぼやけ、多重にあるような感覚。髪が、頭頂が混沌に飲まれつつある】
「もっとだ!!!!もっと遠くだアアアアアアアアアア」
【遠く、もっと遠く、代表の眠る場所から遠く、代表が代表のような人でなくても良い、あんな終わり方をしなくてもいい、そんな世界を夢見て、この身体は全て捧げてもいい】
【全ての糸は引きちぎられた。止まる場所を失った混沌は、勢いのまま前方に雪崩れ込む。もはや混沌の波に揺られるだけの水滴の暗殺者は、押されるがまま、手の平が糸の刺客の羽を掴んだ】
- 28〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/12(水) 01:01:10
【撃ち寄せる光の糸、その尽くはヒトガタの混沌に呑まれていく】
「……まだ!」
【それでもなお、更に糸を撃ち込む】
「………まだ!!」
【喰われても喰われても、なおも。自身のこの力とて、長く保つものではない】
【どちらが先に力尽きるか、勝敗を決するのはそこだろう】
「…………まだ!!!」
【光の糸が押し切るか、ヒトガタの混沌が喰らい尽くすか。魔力、体力、精神力。それら全てを焚べて、〈糸命の天使〉を維持する】
【しかして勝負の結末は、ヒトガタの混沌が光糸の海を渡り切った】
【光の白波を越えて伸びてきた手が、白の片翼を掴む】
「───!!」
【自身の輪郭をも溶かしながら、それでもなお歩みを止めなかった水滴の暗殺者】
【それはまさしく、光を求め、遥かな路を征く者の姿だった】
【この相手は、果たして知り得るだろうか】
【雪崩込んできた混沌に呑まれ、跡形もなく消失する寸前】
【糸の刺客は、笑っていた】
【眩しく、尊いものを見つめる目で】 - 29シズク◆nn8qcwj2l.23/04/12(水) 01:14:00
「…」
【輪郭は完全にボヤけ切り、混沌として地面に崩れた】
【闘技場結界が、先ほどまでの戦闘が嘘であるかのように、身体を再生する】
「…ああ、ごめん、ちょっとした闘技場のテストのつもりだったんだけど熱くなりすぎたね。確認もこれでバッチリだよ、なんせあれをやった上でここにこうして立っていられるんだから。…」
【相手は少し、微笑んでいたような気がする。確証は全くない、しかし…それならば】
「戦ってくれてありがとう!」
【微笑み返す。場所は違っても、片方が片方を眩しく見ていても、同じ時間、どこかを目指し進むのをやめない、やめられない、同じ仲間なのだから】 - 30〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/12(水) 01:21:23
【闘技場結界が作動、混沌に呑まれた糸の刺客もまた、その姿を取り戻す】
【立ち上がり、まっすぐに水滴の暗殺者に向き合った】
「……私の方こそ、ありがとう
シズクさんと戦えて良かった」
【嬉しそうな笑みを浮かべて、そう返す】
【彼女と自分は心の通じ合った仲間であり、友人だったが……】
【今回の一戦を経てもう一歩、お互いを深く知れた。糸の刺客は、そう感じた】
【そして願わくば、彼女の征く路に幸のあらんことを】
【彼女のなすべきことが、無事に実を結びますよう】
【糸の刺客と、二人の戦いを見守っていた幽かな少女はそう願った】
- 31シズク◆nn8qcwj2l.23/04/12(水) 01:26:02
お疲れさまでした!楽しかったです!
自分の提案に付き合っていただきありがとうございます!色々好き勝手やってしまったので、次あるならば負けたい☆ - 32〈斬糸〉◆7Bdf1D7E5.23/04/12(水) 01:28:33
お疲れ様でした!こちらこそ楽しかったです!
遅くまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました!
いえいえ、我儘を聞いてもらった上に素晴らしいロールを見せて頂きました!
ありがとうございます!