えっちえっち!裕太の泣いて怖がる顔えっち!

  • 1書いてる人23/04/12(水) 12:28:50

    「はぁ〜い」
    『もしもし夢芽ちゃん……?今、いい……?』
    「六花さん。どうしたんですか急に、電話なんか」
    『あの〜。そのね。実はぁ……夢芽ちゃんに相談したいことが』
    「えっ!裕太さん、今度は何したんですか⁉︎」
    『いやちょ、待ってまだあたし何も言ってなくない⁉︎』
    「え、でもでも裕太さんのことなんですよね?」
    『ん……まぁ、そうなんだけどぉ……え、なんで分かるの夢芽ちゃん……こわ……』
    「だって。六花さんがわざわざ私に相談したいことなんて、裕太さんのこと以外、あり得なくないですか」
    『いやいやあたしそんななんか裕太のことばっか……』
    「よーもーぎぃー!裕太さんがぁー!」

  • 2書いてる人23/04/12(水) 12:30:19

    「え、なになに、どした?」
    『あーもーやめて夢芽ちゃん、蓬くんまで巻き込むの……!』
    「あ、六花さん。どうもでーす」
    「蓬。裕太さん、また六花さんになんかしたみたいだよ」
    「え、またぁ?」
    「うん、また」
    「え〜なにちょっとも〜……裕太もさぁ……」
    「で、六花さん。裕太さん、今度はどうしちゃったんですか」
    『いやだから違うんだって!その……今度は、裕太は何もしてないっていうか……』
    「え?そうなんですか?」
    「ん?っていうことは……今これなんの電話?」

  • 3書いてる人23/04/12(水) 12:31:18

    『ええっとぉ……その、どっちかといえば、あたしがちょっとやっちゃった側というか、なんというか……』
    「……え?」
    「え、待ってください六花さん。もしかして……なんですけど。六花さんが、裕太さん怒らせちゃったんですか」
    『う、うん……た、ぶん、まぁ、そんな……』
    「行きます」
    『え?』
    「今行きますそっち、私たち。蓬、支度して」
    「おっけー了解」

  • 4書いてる人23/04/12(水) 12:32:29

    『いやややや待って待って!い、今から⁉︎来るの、こっち⁉︎』
    「はい今。六花さん今どこですか」
    『えっ?えと……遊園、地。こっちのユニバースの。あのほら、水道橋。近くに野球場あるやつ』
    「分かりました。もう今すぐ行きますからすぐ」
    『いやちょ待ってって夢芽ちゃん!来なくてもいいって、わざわざそんな……!』
    「いやだって六花さん。あの、裕太さんですよ?」
    『あ、あの……?』
    「あの六花さん好き好き大好き人間の裕太さんが六花さんに怒るなんて。それだけでもう、完璧にゲキヤバ案件じゃないですか」
    「世界のね。危機かもしれない、ちょっとこれは」
    『いやそんな大袈裟だって二人とも……!てかてかなにその裕太への扱い!裕太は、べっ、別にそんなんじゃ……』
    「あと、六花さんに怒ってる裕太さんの姿も普通に見たい」
    「いや夢芽それは……ふっふふ……」
    『あたし、まじめな話してるんですけどー……⁉︎』

  • 5二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:33:30

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  • 6書いてる人23/04/12(水) 12:34:17

    「分かってます分かってます。えっとじゃあ今から行きますから、蓬と。どの辺にいます?」
    『え、え〜と……今、ベンチに座ってる。えと、お化け屋敷の近くの……』
    「分かりました。それじゃあ後で」
    「あぁ、ちょっと!……切れた。え、今からってそんなすぐ……」
    「来ました!」
    「はっや⁉︎え、え、早くない⁉︎どうやって来たの⁉︎」
    「うわぁその反応。完っ全にこの前の裕太と一緒ですね。あなんか懐かし」
    「これは通じ合っちゃってますね、心。裕太さんと」
    「いやどーでもいーからそんなことは、ほんっとうに!」

  • 7書いてる人23/04/12(水) 12:36:03

    「あぁまぁ確かに。えぇっと、で、こーれーはー……え、どういう状況なんですかこれは」
    「六花さん。ちょ〜っと、お話。聞かせてもらえますか?」
    「え〜……。えっと……えっとね。今日、裕太と二人で、遊園地に……」
    「うぇーっへっへっへっへ!デートだデートだ六花さんと裕太さん!」
    「ちょっと夢芽。いやてかここ来てる時点で……あ、で、どうしました?」
    「……でね。二人で色々乗り物とか回って……ご飯とか食べて……それで次が……あれ、でさ」
    「あれ?」
    「あれあの、ほらあれ、あそこのやつ」
    「あぁ。あれですね。お化け屋敷」

  • 8書いてる人23/04/12(水) 12:36:52

    「あ〜怖いやつだ。てかなんかここのやつって、すごい怖くて有名じゃなかったっけ」
    「六花さん、ああいうの好きなんですか」
    「んぁ〜別に好きって程でもないけど……まあ、ちょっとは気になるっていうか……」
    「あ〜好きな人のセリフだこれ。嫌いな人はフッツーに嫌いって言いますからね、この手のやつは」
    「夢芽は好き?ああいうの」
    「まあ、好きって程でもない。ちょっとは気になるけど」
    「好きな人のセリフじゃん……」
    「え、でもなんか裕太さん、こういうの苦手そうじゃない?」
    「あ分かるなんか、裕太はね。そんな雰囲気出てる」
    「あ〜分かった私。六花さん、行こうとしたんでしょ。お化け屋敷。裕太さんと」
    「……えと、まぁ、うん……」

  • 9書いてる人23/04/12(水) 12:37:41

    「やっぱり。え〜でもそれで。それで裕太さん怒ります?なんか流石にそれはちょっと……」
    「そもそも裕太ってなんか、あんま怒ったりしない気ぃするけどね」
    「六花さん。実際のとこ……何したんです、か」
    「んぇ〜……?これほんと言わなきゃだめなやつ……?」
    「だめなやつですね」
    「俺もまぁ、そう思います」
    「そ、そっか。まあ、蓬くんが言うなら……」
    「え待ってください。六花さんの中の私、どんなポジションなんですか?」

  • 10書いてる人23/04/12(水) 12:38:42

    「まあまあ夢芽。今はそんなことより、六花さんでしょ」
    「まぁ、そっか。じゃあはい、六花さん」
    「どうぞっ」
    「え〜……うん……まぁ、その……裕太とね?お化け屋敷、行こうかなって思ったんだけど……裕太が、イヤだって言って……」
    「あ〜やっぱ裕太さん、お化け怖いんだ」
    「でもなんか、それも珍しい感じだけどね。いやお化けがとかじゃなくて、裕太が六花さんにしっかり反対意見言うのって」
    「なんか裕太さん。六花さんのお尻に敷かれてそうだしね」
    「ね〜」
    「いやいやいや、へんっけん!すっごい偏見だからそれ!別にそんな、お尻に敷いたりなんかあたし、しないから!」
    「物理的にも敷いてそう。週四くらいで」
    「ちょっと夢芽ちゃんっ!」
    「うぇっへへへへ」

  • 11書いてる人23/04/12(水) 12:39:46

    「あのぉ。女の子同士のそういう話題……男の子的には首突っ込みにくいんで。次行ってもらえます?」
    「いやだからあたしは別にそんな話……!」
    「はい六花さん次行きましょ」
    「いやもう誰のっ……夢芽ちゃんが言ったんだからね⁉︎あーもう、で、ね⁉︎裕太がお化け屋敷、行かないって言ったんだけど……!」
    「はいはいはい。それで?」
    「裕太は、そう言ったんだけど……あたしは、行こうかなって思って……それでその、あの……えぇっと……」
    「……ん?あの、六花さん?」
    「……ひょっとして、裕太さん置いてっちゃったわけじゃないですよね……?」
    「いやそうじゃなくて!そうじゃないんだけど……その……置いてっては、いないんだけどぉ……」
    「……あっ……」

  • 12書いてる人23/04/12(水) 12:40:38

    「……まさか、行ったんですか。お化け屋敷。嫌がる裕太さん、引きずって」
    「あの……えと……うん……行っ、た……」
    「あぁ……」
    「うわぁ……」
    「…………」
    「……これは六花さん。やっちゃってますね……」
    「嫌がってる裕太を無理やり、っていうのは良くなかったかもぉ……ですね。なんかいつもの六花さんらしくないっていうか……」
    「む、無理やりじゃないし……最後は裕太も、行くって言ってくれたし……」
    「それ裕太、断りきれなかっただけなんじゃ……」
    「あの裕太さんが六花さんに強く押されたら、抵抗できるはずないもんね……」

  • 13書いてる人23/04/12(水) 12:42:08

    「い、いやだってその、裕太が!裕太が、めっちゃ反対するから……!あたしも最初は別にそこまでお化け屋敷行きたいわけじゃなかったけど、裕太がめっちゃ反対するから、なんかそれでムキになっちゃって……!それに……それに蓬くんも言ってたけど、裕太が、あたしにしっかり反対するの、珍しくて……怖がってる裕太も、新鮮で……それでちょっとだけ、嬉しいなって思って……それで……」
    「それで。裕太さんの珍しくて新鮮な顔、もっと見たくなっちゃって……とか?」
    「うっ……あの、えと、はいぃ……」
    「嫌がってる裕太さんを、暗くて狭い場所に無理やり連れ込む六花さんかぁ……」
    「その言い方、やめてあげよ?」
    「何か間違ってる?」
    「いや全部合ってる……」
    「まぁひとまず、状況は理解できたね」
    「え〜でもそうか、うわぁ……裕太、それでこんな……うわぁ……」
    「うわぁ、だよね。それで裕太さん、今、こんなんなっちゃってたんだ」

  • 14書いてる人23/04/12(水) 12:43:32

    と……言いながら、夢芽が目の前の人物に視線を移した。
    六花にではない。三人の話題の中心になっていた、その少年に……である。
    彼は、これまでの会話の中、ずっと三人と共にいたのだ。

    「…………」

    響裕太は、ベンチへ力なく腰掛けた六花の横に並び座り、膨れっ面となっていた。
    彼の頬は薄紅を掃いた如く淡い朱色に染まり、蒼く澄んだ双眸には、うっすらと涙が浮かんでいるようにすら見える。
    殊更に珍しいのは、いつになく鋭い目つきとなった裕太が隣に座る六花の片腕を、その両腕で思いきり抱き込んでいることであった。

  • 15二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:44:32

    これはえっちですわ

  • 16書いてる人23/04/12(水) 12:44:49

    弱りきってしまった六花が、おずおずとばかり、

    「ねえ裕太……あたしが悪かったから……夢芽ちゃんたちも来てくれたことだし、そろそろ離し……」
    「やだぁ……!」

    言い切らぬうちに、泣き睨みの裕太が断固として拒絶した。
    六花の腕を抱きしめる彼の力がますます強くなった。

    「だってオレこえーもん……!六花が無理やり、お化け屋敷なんか連れてくからぁ……!」
    「だからそれはほんとごめんって言ってんじゃん、さっきからさぁ……!」

  • 17二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:45:14

    ………(スレタイを見る)
    …うん、確かにかわいいけども…w

  • 18書いてる人23/04/12(水) 12:45:52

    「もうやだもんオレ!お化けこえーもん!もう絶対、絶対、六花のこと離さないから!」
    「いやいやいや、なんでそーなるわけ⁉︎おかしくない⁉︎︎」
    「だって六花、オレのことまたお化け屋敷に連れてこうとするでしょ!」
    「しーなーいーよぉ!せめて腕は離してくれてもいいでしょ、腕は……!」
    「なんで!」
    「これじゃ動けないんだってば!ちょっ、あんまそんな、くっつかないでってぇ……!ねえ夢芽ちゃん、蓬くん、二人からもなんか言ってくれないかなぁ⁉︎」

  • 19書いてる人23/04/12(水) 12:46:45

    「蓬、写真。連写で百枚」
    「かしこまー」
    「ちょ、わーーーっ⁉︎ちょちょちょちょ、何撮ってるの蓬くん、ねぇ⁉︎」

  • 20書いてる人23/04/12(水) 12:47:43

    お昼休みが終わるので一旦ここまで。
    次はまたお仕事終わった夜に投稿します。

  • 21二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:48:40

    怪獣にノータイムで突っ込んで行ったやつの姿がこれが…?

    可愛いかよ

  • 22二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 12:55:52

    怒り方すらかわいい

  • 23二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 13:45:39

    >>21

    実体がある怪獣には躊躇わないのにオバケは怖いって

    すごいありそうなライン…これはえっちですわ

  • 24二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 14:21:52

    映画でお化けにガチビビりしてたのを知ってるのにお化け屋敷に連れてった六花さんが悪いからね
    このままお世話してくしかないね

  • 25二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 16:55:05

    ただのこの掲示板の仕様でしかないんだけど今の時点だと裕太が出てきた場面から文字の色変わってるから丁度良くて笑う

  • 26二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:05:05

    もう既に動画は撮ってそう

  • 27書いてる人23/04/12(水) 18:06:09

    「夢芽。なんか思ったより大丈夫そうだし、せっかく来たんだから俺達も遊んでこっか」
    「あ。それ良いかも」
    「聞いてる⁉︎ねぇ聞いてる⁉︎夢芽ちゃん⁉︎蓬くん⁉︎いやほんと、ほんっとこの裕太ちょっとなんとかならない⁉︎さっきからこの人、ずーーーっとこんなんなんだけど⁉︎」
    「今回に関しては裕太さん悪くないです」
    「ほんとにそう」
    「だからそれは反省してるんだってばぁ!でもでも裕太が、裕太がまさかこんな風になるなんて思わないじゃん!あたしもう、さっきから一歩も動けてないんですけどぉ……!」

  • 28書いてる人23/04/12(水) 18:08:02

    空いている方の腕をわたわたとさせて必死に抵抗する六花であったが、裕太は梃子でも動かぬといった様子で六花に引っ付き、まるで意味を成していない。
    それまではある程度の真剣さを持って駆けつけてきた夢芽と蓬も、この有様を目にしてからは完全に気抜けしてしまったようで、なんとも言えぬ生温かい表情を六花に見せるのみである。

    「六花さん。あたし達一応、二人のことが心配で、ここに来たんですよ」
    「それねー。でも夢芽さんこれは。もう……ただの、なんというか」
    「私たち、六花さん達のイチャイチャを見せつけられに来たわけじゃないんですけど」
    「いっ……ちゃ、イチャイチャなんかしてないって!あたし、本当に困ってるんだってば!」
    「六花さん裕太さんに抱きつかれて、ちょっと顔ニヤけてるし」
    「ちょ、ちがっ、そんなことないんですけどぉ⁉︎」

  • 29書いてる人23/04/12(水) 18:10:13

    「てか裕太もさ。六花さんが無理やりお化け屋敷連れてこうとするのがイヤだったんなら、帰っちゃえば良かったんじゃない?この前、温泉で六花さんがしようとしたみたいに」
    「やだよそんなのぉ……!だって六花のこと好きだもん……!デートできるの楽しみだったんだもん……!六花を置いて帰ったりなんかできないよぉ……!」
    「んっふ……そう、そうだねー。裕太、六花さん大好きだもんねー」
    「うぇひひひっ、いやいやいや蓬さん。六花さんも!六花さんも、裕太さん大好きだから!」
    「あ!そう……ですねぇ!はい、もう、あの。本当に。ごちそうさまということで」
    「いやもう笑っちゃってんじゃん、夢芽ちゃんも蓬くんもー!」

  • 30書いてる人23/04/12(水) 18:11:21

    「あーダメだもう蓬。私たちもやろ」
    「え、俺らもって……あ、コレ?」
    「そうコレ」
    「ぎゅ〜って?」
    「そう、ぎゅ〜って」
    「えなに急に夢芽、どしたの」
    「だってなんか、六花さんばかり裕太さんとイチャイチャしてズルいし」
    「あ、そういう考えになるんだ……」

  • 31書いてる人23/04/12(水) 18:13:04

    「いやだから夢芽ちゃん、あたしはっ……!」
    「ちょっとどこ行くの六花ぁ……!」
    「いーや、もっ、どっこも行かないってぇ!ちょっと立とうとしただけじゃぁん!」
    「あちゃー。裕太さん、完全にスイッチ入ってますね。そんなにお化け屋敷怖かったんだこの人」
    「これ裕太的には怒ってる感じなのかな?」
    「もしそうだとしたら怒り方可愛すぎない?逆効果でしょこんなの」
    「てか多分怒るのに慣れてないんだと思う。裕太優しいし。それが大好きな六花さん相手だったらもう……ねぇ?」
    「おぉ。怒りの甘えん坊怪獣」
    「それ、夢芽も割とだからね」
    「私は蓬に甘えたりしないし」

  • 32書いてる人23/04/12(水) 18:15:25

    「じゃあ、ぎゅ〜はしない?」
    「いやする」
    「するんだ」

  • 33二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:16:35

    秒で意見返す夢芽ちゃんほんと甘えん坊怪獣

  • 34書いてる人23/04/12(水) 18:17:05

    「蓬も、私に甘えたいでしょ」
    「……別にぃ?」
    「…………」
    「あ、無言。無言で。無言でぎゅ〜しにきたねこれ」
    「怒るよ蓬。食べちゃうよ。ぎゃおー」
    「うわぁこわい。甘えん坊怪獣こわい。もうごめんて、俺もちゃんと夢芽に甘えたいからぁ」
    「じゃあ。ちゃんと、ぎゅ〜ってして」
    「するって。あ、せっかくだし、そこ座ろ?」
    「うん」
    「よいしょっと。じゃあはい、ぎゅ〜」
    「ん……えへへ……」

  • 35書いてる人23/04/12(水) 18:19:05

    愛しい蓬の温もりに満ちた抱擁に、夢芽も全力で抱きつき返した。
    幸せそうに抱きしめ合っている二人の横では、身動きを封じられてあぐねきっている六花が、裕太をなんとか宥めようとしきりに話しかけている。

    「裕太……」
    「…………」
    「ねぇ、裕太ってばぁ……」
    「…………」
    「ほんとに、ほんとにあたしが悪かったから……いい加減、機嫌直してよ……」
    「……前にさ」
    「え……」
    「内海と一緒にいたときとか、風呂場とか、公園とかで、色々変なもの見てさ……そのときは結局、おば……幽霊じゃなかったけど……オレ、ホント怖くてさ……」
    「…………」

  • 36書いてる人23/04/12(水) 18:20:29

    「六花だって、公園で見てたんだから知ってるでしょ。オレがそういうの見て、怖がってたって……」
    「……うん。そのせいで、裕太があんまり寝れなかったことがあったのも、知ってる……」
    「……知ってて、なんで、いじわるするんだよぉ……」
    「……ごめん……裕太、が、困ってるとこ……ちょっとだけ、見て、みたかった、から……」
    「…………」
    「……裕太。あたしのこと、嫌いになった……?」
    「なってない……なれるわけないよっ……六花のことは全部、もう全部好きなんだからっ……」
    「…………」

  • 37書いてる人23/04/12(水) 18:22:03

    「……六花こそ……」
    「え……?」
    「六花こそ……オレのこと、嫌いになったでしょ……」
    「え……え、え?え、なんで?なにが?」
    「…………」
    「え待って、待って待って裕太、なんで?なんで裕太がそんな心配すんの?やらかしたの、あたしの方じゃん」
    「だってオレのせいで、せっかくのデートを台無しにしちゃったし……今もこうやって、六花を困らせちゃってるし……」
    「いやだからそれはあたしのせいで……てか、別に台無しだなんて思って……」
    「それに……それに、お化けが怖い彼氏なんて、六花、かっこ悪くて嫌いでしょ……?」
    「え……」
    「…………」
    「……裕太。もしかして、ずっとそのこと、気にしてたの……?」

  • 38書いてる人23/04/12(水) 18:24:12

    「……かっこ悪いとこなんて見せたら、六花、きっとオレのことを嫌いになって、どこかに行っちゃう。オレがこの手を離したら、六花はきっと遠くに行っちゃう。オレは六花に、どこかに行って欲しくなんかない。ずっとずっと、一緒にいて欲しいって思ってる。六花とずっと一緒にいたいから、オレ、六花に喜んでもらえるような、かっこいい彼氏になりたかったのに……」
    「…………」
    「……ぐすっ」

  • 39書いてる人23/04/12(水) 18:25:10

    「……ねえ、裕太。こっち向いて」
    「え……?」
    「ていっ」
    「あいっっっだぁったぁっ⁉︎」

  • 40書いてる人23/04/12(水) 18:26:03

    「うわ良い音した。けっこー才能あるなあたし……」
    「いっっっ……何するの六花ぁ⁉︎」
    「え?デコピン」
    「そ、そんな当然みたいな顔して答えなくても良くない⁉︎なに、なんで⁉︎なんで今オレ、デコピンされたの⁉︎」
    「……裕太さぁ。自分で、気付いてないかもしれないけどさぁ」
    「へ?」
    「裕太。前から割と、かっこ悪いとこ多いかんね?」
    「え⁉︎そ、そうなの……⁉︎」

  • 41書いてる人23/04/12(水) 18:27:19

    「学校の成績あんま良くないし」
    「うっ」
    「上履きそんな綺麗じゃないし」
    「うぐっ」
    「一年のときに教室でちょいちょいこっち見てたの、バレてないと思ってるし」
    「え。六花あれ気付いてたの⁉︎」
    「いや当たり前じゃん。逆になんでバレてないと思ってたかなぁ……?」
    「あ、あうぅ……」
    「ま、そんな感じなワケ。あたし結構、裕太のかっこ悪いとこ知ってるよー?今さらかっこつけられても、別に意味ないっていうか……」
    「…………」
    「……でもさ。だからってあたし、裕太のこと嫌いになったりなんてしないよ。かっこ悪いとこがあったとしても、そういうのも全部含めて裕太だもん。お化けが怖いくらいで嫌いになってたら、そもそも裕太を好きになったりしてないし」
    「…………」

  • 42書いてる人23/04/12(水) 18:28:24

    「あたしも、裕太とおんなじ。裕太のことが全部、もう全部好きだから。かっこ悪いとこをいっぱい見せてくれる裕太のことを、あたしは好きになったんだよ。……まぁ、それで少し調子に乗っちゃって、裕太を怒らせちゃったんだけど……でも、なるべくだったら、裕太のかっこ悪いとこも、いっぱい見てみたいなって思う。それに、例え裕太にかっこ悪いとこがあったとしても、あたしは裕太のかっこいいとこ、それ以上にいっぱい知ってるから……」

  • 43書いてる人23/04/12(水) 18:29:20

    「……六花ぁ……」
    「あたし、どこかに行ったりなんてしないよ。裕太が心配しなくてもずっと、一緒にいてあげるから。ね?」
    「……うん」
    「手。離してくれる?」
    「あ、う、うん……」
    「はい、ありがと。は〜……これでやっと自由の身だわ〜……」
    「え、えっと……ご、ごめん、六花。オレ……」
    「あぁ、いーっていーって。元を辿ればあたしが悪いんだし、それにお揃いだってことも分かったしね」
    「お、お揃い……?」

  • 44書いてる人23/04/12(水) 18:30:33

    「んぁ〜なんでもないなんでもない。こっちの話だから、裕太は気にしないでいいよ」
    「そ、そっか。で、でも、うわぁ〜……!冷静になってみたら、さっきのオレってホント……うわぁぁ〜……!」
    「ふふ。ほら、ね?またいっこ、裕太のかっこ悪いとこ、知っちゃった」
    「うぅ……本当に、すみませんでした……」
    「だから謝んなくたっていいのに……むしろあたしが、しっかり裕太にお詫びしなきゃ。だから裕太。今だけ特別に、いいことさせてあげる」
    「へ……?い、いいこと?」

  • 45書いてる人23/04/12(水) 18:31:43

    「ん。ぎゅ〜って、してもいいよ」
    「ええぇっ⁉︎な、な、なにそれぇ⁉︎」

  • 46書いてる人23/04/12(水) 18:33:08

    「え、だってなんか夢芽ちゃんばっかり蓬くんとイチャイチャしてズルいし」
    「いやややや、どゆこと⁉︎む、むりむりむりむり!無理だって!そんなの絶対無理っ!」
    「え〜なんでよ。さっきまでしてたじゃん、あたしのこと。思いっきりぎゅ〜ってしてきて、全然離してくれなかったじゃん」
    「あ、あれは違うんだって!なんというかその、つい夢中でぇ……!」
    「ふーん。あっそ。じゃあいいよ、あたしからやっちゃうから。はい、ぎゅ〜っ」
    「わーーーーっ⁉︎ちょ、待っ、六花ぁ⁉︎どうしたのさっきから、なんかキャラ違くない⁉︎」
    「いやそれは裕太も割とだったけどね?とにかく、今はこういう気分なんだから。だから裕太も、ね?」
    「うぅぅぅぅ……わ、分かったよぉ……!えっと、ええと……ぎゅ〜っ……!」
    「おっとっと……へー、意外とやるじゃん。今の裕太、かっこいいよ。さっきまでと違ってさ」
    「いやからかわないでくれない……⁉︎オレ今、恥ずかしくて割と必死なんだけど……⁉︎」
    「はいはい、ごめんごめん。ふふふふ……」

  • 47書いてる人23/04/12(水) 18:34:14

    頬を染め、すっかりといつもの調子に戻った裕太におっかなびっくり抱きしめられて、六花は嬉しげな笑みを浮かべて彼の背中に腕を回した。
    六花と裕太、夢芽と蓬、一つのベンチに並び座った二組のカップルがそれぞれに抱きしめ合っている様子はなんとも平和そのものであり、遊園地の構内を行き交う人々も、どこか微笑ましげな視線をこちらに投げてはゆっくり通り過ぎていく。
    胸の底から、何か温かなものが止めどなく溢れてきては自分を優しく満たしていくのがはっきりと感じられ、六花は心の中だけで密かに裕太へ語りかけた。

    (……ごめんね、裕太。あたしがばかなことしたせいで、怖い思いさせちゃって。でも、あたし、嬉しいんだよ。それがほんとは、いけないことだって分かってるのに。裕太が泣いたり、怒ったり、怖がったりすることが、あたしは、何故かとっても嬉しいんだ……)

  • 48書いてる人23/04/12(水) 18:35:31

    かつては、なにもできなかった。
    自分を置いて迷いなく死地に飛び込む少年の背を、ただ見送ることしかできなかった。
    決して手の届かない、ここではない遠いどこかへ永遠に消え去ってしまいそうな予感を前に、ただ祈ることしかできなかった。
    あれほど憧れ、手を伸ばそうとして伸ばし得ず、切ない想いを捧げ続けた少年が、今、六花の腕の中にいる。
    高潔な輝きを煌めく蒼い瞳に宿し、恐怖の欠片も口に出さず、自身の存在すらも省みずに戦い続けた少年が、ただ自分一人のために怖がり、悩み、怒り、泣き、戸惑いと羞恥に赤くなり、年相応にころころとその表情を変えていく。

  • 49書いてる人23/04/12(水) 18:37:12

    どこかに行って欲しくない。
    ずっと一緒にいて欲しい。
    自分がかつて、そして今でも裕太に向け続けているその願いを、裕太もまた、自分へひたむきに向けてくれているのだという実感が、六花の秘めた感情を強く打ち震わせている。

    (お揃いだ……お揃いなんだ……。あたしと、裕太は、お揃いの気持ちなんだ……。無理にお化け屋敷連れてってごめん。いきなりデコピンしてごめん。らしくないわがまま言って、恥ずかしい思いさせてごめん。ごめん。ごめんね。ごめんね、裕太。だけど、あたしは、本当に……)

    自分を抱きしめる裕太の肩に、こつんと優しく頭を預ける。
    閉じられた六花の瞼から、ひと雫の美しいものが音もなく溢れてきて、裕太の服に染み込んだ。


    おわり

  • 50書いてた人23/04/12(水) 18:41:08

    おしまいです。
    ご覧くださりありがとうございました。

    公園でのシーンでおばけと言いかけて六花の手前慌てて幽霊って言い直した裕太がとってもえっちだったしそのあとで六花が「おばけ」っていう言い方がとっても可愛かったなぁって思うんですね(ろくろを回す手つき)

  • 51二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:47:44

    >>50

    「おばけ?」のひらがな感に「ここまでお膳立てしたのにもう…」って字幕が見える感じいいですよね…!

    ニヤけたりしんみりしたりとめっちゃ甘かったです、ご馳走様です!

  • 52二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:47:50

    アンコール♪
    アンコール♪

  • 53二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:50:00

    素晴らしい情動でした。

  • 54二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 18:54:11

    で?写真が出回った後日談などは…?

  • 55二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:17:51

    大分ひどいスレタイに釣られて良い物を見れました。誠に感謝します

    それはそれとしてやっぱこのスレタイ最低すぎひん???

  • 56二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:18:53

    キース👏キース👏キース👏キース👏

  • 57書いてた人23/04/12(水) 19:27:36

    みなさんコメントありがとうございます。

    スレタイはヨモギルティなくらいがちょうど良い。古事記にも書かれている。

    本作は後で別の場所にもアップ予定ですが、もしそれに気付いてもそちらではそっとしてここのことは触れないでおいてくれると助かります。お互いにあにまん民認定されたくなければな。

    逆にこっちでなら他の作品に気付いたら全然オープンにしてもらって結構です。


    ちなみにちょっと前はこんなの書いてました。

    よろしければ併せてどうぞ。

    六花「人生で大切なこと」|あにまん掲示板ここは南口のやっすいファミレス。ドリンクバーで粘りながら長いこと他愛のない話に花を咲かせていた宝多六花と南夢芽であったが、その内に、少しだけスマホを弄っていた夢芽がふと思い出したような調子で顔を上げ、…bbs.animanch.com
  • 58二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:29:23

    分別大事!

  • 59二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:30:03

    スレタイとラストで風邪引く

  • 60二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:30:26

    >>57

    やっぱりあなたか!

  • 61二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:32:52

    やはりあなただったか。青い鳥の方で気づいたのでフォローしましたがここから知った以上何も言えなかったので今言います。いつも良いものをありがとうございます。

  • 62二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 19:54:03

    文体から思ったのはやはり貴方でしたね
    支部からブルーバードでも見かけたので嬉しいです
    今後とも応援してます!

  • 63書いてた人23/04/12(水) 20:15:42

    某所にアップしてきました。
    応援コメントもありがとうございます。文体とかで認識されるのって嬉しいですね。えへへへへ。
    私はおばけに怯える裕太がえっちだねって話を書きたかっただけなんですよ。

    それはそれとしてフォロワーさんに少なくとも一人以上のあにまん民がいる事実に震えが止まらないですね。
    へへ、オラワクワクしてきたぞ……。

  • 64二次元好きの匿名さん23/04/12(水) 20:52:23

    >>49

    ユ・ニ・バァァァス!!!

    ユ・ニ・バァァァァス!!!

    ユ ニ バ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ス !!!

オススメ

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