- 1二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 20:34:57
「今日はオレンジデーね」
何気なく隣に座るマスターにそう声をかけてみたが、反応は芳しくなかった。どうやらオレンジデーについては初耳だったらしく、こちらに説明を求めている姿が見えた。こういった反応が帰ってくるのは大方予想通りだったとはいえ全く知らない、といった感じなのは少し寂しい。
「そうねぇ…分かりやすく言えば恋人っぽいことをする日って感じかしら。バレンタインデー、ホワイトデーに続く3つ目の恋人の日ね」
時間がもったいないのでざっくりと概要だけ説明した。正直に言うとわたしとマスターは恋人同士と言い切って良いかは微妙な関係だ。なぜならわたしは彼からまだ"あの言葉"をもらっていない。けれど少しづつではあるが進展しているのは確かなので、この辺りでまた仲を深めることにしたのだ。
「実はあなたと一緒に過ごそうと思って今日1日あけてるんだけど…」
…我ながら卑怯な手を使ったと思う。自分から誘うのではなく相手からの誘いを待つ受け身の状態。たまーにマスターをヘタレだと思うわたしではあるが、彼のことをからかえないぐらいにはわたしも恋愛事に対しては弱いのが現状だ。まあそれとは別に向こうから誘ってほしい、という乙女心もあるのだが… - 2二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 20:35:32
「どうかしら。あなたの答えを聞かせて」
上目遣い気味に彼を見ながら答えを促す。すると、偶然にも今日は何も予定が入っていなかったみたいで、間髪入れずにわたしを1日デートに誘ってくれた。
「良かったわ、あなたからの言葉で誘ってもらえて♪」
素直に本心を伝える。嬉しすぎて思わず抱きつきそうになってしまったが、それをすると彼がオーバーヒートするのは目に見えていたので流石に自重した。
「じゃあ早速、遊びに行きましょ!」
その後は色んなことをした。シミュレーターを使って観光したり、昼ご飯を食べさせあったり、マスターと2人で怖がりながら映画を観たり…こんなに濃密な1日になるなんて思ってもいなかった。でも時間が過ぎるのはあっという間で、気づいたら夕ご飯を終えてそれぞれの部屋に戻る時間となった。
「今日は楽しかったわ。ありがと、マスター」
こんなことを言っているが内心はすごく切なくなっている。まだ一緒にいたいという気持ちが胸の中をくすぶっている。別に明日になればまた会えるのになぜこんなに離れ難くなってるのだろうか… - 3二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 20:35:47
「それじゃ、明日も早いしお互いゆっくり休みましょうね」
おやすみの挨拶を告げて反対方向へと進む。今日は色んな意味で眠れそうにn…
「ふえっ?」
突然頭が真っ白になった。そりゃそうだ。だってマスターがわたしの手を握って離そうとしないから。どうやらこの場が名残惜しいと思っているのはわたしだけではなかったみたいだ。
「……期待しても良いの?」
マスターの方を振り返ってみると、顔を赤くしながらも頷く彼の姿があった。流石、わたしが好きになった人だ。ここぞという時にはしっかりと決めてくれる。おかげでわたしもさっきからドキドキしっぱなしだ。
「それじゃあ…エスコート、お願いね♪」
握った手を恋人繋ぎに繋ぎ直しながら、とびっきりの笑顔を彼に向ける。わたし達のオレンジデーはまだまだこれから。きっと明日になったら恥ずかしさで沸騰しそうになると思うけど…今はこの時間を存分に楽しもう。
「今日のこと、絶対に忘れないから……あなたも同じ気持ちだと嬉しいな…」 - 4二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 20:41:43
バレンタインデー、ホワイトデーに続いて書かせていただきました
ただ、全部ちょっとずつ書き方変わってて読みづらいので、その点については申し訳ないです…
You're my precious one 【SS&CP注意】|あにまん掲示板bbs.animanch.com【CP注意】ホワイトデーのお返し|あにまん掲示板bbs.animanch.com - 5二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 21:53:54
恋愛よわい(つよい)だな…
- 6二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 21:57:28
相変わらずいい、供給ありがとうございます
- 7二次元好きの匿名さん23/04/14(金) 22:16:52
ありがとうございます……いいSSでした
- 8二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 00:36:31
ぐだクロ…いい…