【SS】貴方と刻む【トレウマ】

  • 1二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:08:00

    本当は誕生日には別のルビーのSSを書くつもりだったのですが、それを書いている最中にアイディアが浮かんできてしまったので別にサックリと読める形でSSにしました
    誕生日プレゼント、本当に悩むものです 
    時系列はグッドエンディング後です
    トレーナーの性別に指定はありませんので、ご自由に想像頂けると嬉しいです

  • 2二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:09:41

    飾り気のない、いつものトレーナー室。
    しかし今日は、特別な日。
    担当である、ルビーの誕生日。
    「…ふむ」
    私が選んだのは、ストップウォッチだった。
    色は、紅色。少しでも彼女らしく、似合う物を選んでみたつもりだったが、やはりもう少し可愛げのある物にするべきだったか。
    「私の誕生祝いと言うことは理解しております。そこには感謝申し上げます」
    そこが伝わったのなら一先ず何より、と胸を撫で下ろす。
    しかしその次の瞬間、私はあることに気付かされてしまうのだった。
    「……しかしそもそもの話、普段ストップウォッチを活用するのは貴方では?」
    そうである。
    彼女に少しでも役に立てるものをと、そう思ってプレゼントを選んだ意図自体は間違っていない。
    ……結果的に私は彼女へのプレゼントではなく、自分用のプレゼントを選んでしまったのだ。
    彼女の指摘でそれに気づいて、頭を抱える。
    「貴方が心から、私へのプレゼントを選んだのは分かっています。こちらも…結果的に貴方の方が使う機会が多いと言うだけで、私が使う機会がない訳ではありません」
    本当に申し訳ない、と謝り頭を下げる。
    しかし向き直ると、彼女はある機能に目を向けていた。
    「メモリー機能付き、なのですねこれは」
    眼をぱちくりさせながら、機能に興味を持って動かす彼女が少し新鮮だった。

    …プレゼントにストップウォッチを選んだのは、訳があった。
    ただ、その記録を残したかった。
    ラップタイム計測等は既存のものでも出来る。
    しかし、過去タイムとの比較…そして、何より彼女が走ったという証を残したいと思った。
    記憶が消えても、記録は消えない。
    彼女の真剣な眼差し。誰よりも速く走りたいと言うその闘志。
    そして、見るもの全てを魅了する、華麗で苛烈なその走りを。
    誰よりも速く気高い、私の理想のヒーロー。
    そして望むなら。その記録を残す時側に居るのが、ずっと私でありたいと強く思う。
    そう思った瞬間、私は勢いのままに、その思いをルビーに伝えるのだった。

  • 3二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:10:20

    …それを受けたルビーは、眼を閉じて、こう続ける。
    「以前、申し上げましたね。貴方には…私が肖像画となる日まで、見届けていただきたいと」
    彼女はストップウォッチを握りしめ、私に問う。
    「これは…その覚悟の証。そう受け取っても…構いませんか」
    答えは既に決まっている。
    私は強く頷いて、言葉を続けた。
    ルビーから、絶対に離れたくない。
    至らないところは、多いかもしれない。
    ……だけどこの場所は。
    この人は誰にも、渡したくない。
    私は…ルビーを人として。
    アスリートとして…愛し、尊敬しているのだから。
    「…ありがとう、ございます」
    そう言う彼女は、あの時の暖かで美しい微笑みを浮かべていた。
    少しだけ、涙が浮かんでいた様にも見えた。

    しかしその笑顔はすぐに切り替わり、その涙の真相は露と消えた。
    こちらを力強い眼差しで見つめながら、彼女は私に告げる。
    「本日の会食は…貴方にも参加して頂く必要があります。…これから、貴方にマナーを叩き込みますので、そのつもりで」
    …マナーの在り方を記録しておく機能が欲しい、遠くなる意識の中でそう思った。

    ──
    ───
    目まぐるしく時間は過ぎ、場所は会食会場の控え室。
    「…全うなさいませ。これもまた…貴方と私が刻む記録なのですから」
    ガチガチに緊張する私と裏腹に傍らの彼女は、柔らかな微笑みを携えていた。

  • 4二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:12:11

    これを思いついた時、ルビーがそんな簡単にデレる訳ないだろと言う私とそれはそれとして私がルビーが好きなんだよと言う私の間で永遠に交わらないバトルが繰り広げられていたので情緒が不安定でした
    お読み頂きありがとうございました

  • 5二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:13:05

    よきよき

  • 6二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:19:25
  • 7二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:28:17

    (ルビーにデレて欲しいんじゃなくて私がただ伝えたかっただけなので別にルビーの返事は保留にして良かったんじゃないかと思う私…) 

  • 8二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:32:29

    ほんのりとした甘さが漂う良きSSであった。
    大義也。

  • 9123/04/15(土) 07:35:59

    >>5

    (ありがたき幸せ…)

    >>8

    (ルビーとトレーナーの間には確かな信頼と優しさがあるのはどの話を書くときにも一貫していたい私…それ以上になるかはその話次第な私…)

  • 10二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 07:49:11

    (ルビーは何だかんだ真っ直ぐな言葉を伝えてくれると思うので良きだと思う私…そしてだからこそ発せられる言葉には強い思いが乗っているのだと感じる私…色々ごちゃごちゃ考えていますが言いたいことはひとつ…)良かったです

  • 11二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 10:36:57

    >>10

    (言葉は少ないですがちゃんと感謝や親愛を伝えてくれるのがルビーの良さだと思っている私…ありがとうございます…)

  • 12二次元好きの匿名さん23/04/15(土) 20:29:58

    恋の話と言うか愛の話だな 

  • 13二次元好きの匿名さん23/04/16(日) 00:10:00

    >>12

    ありがとうございます

    愛してる、と言う言葉には単純な恋愛感情だけが含まれている訳ではないから面白いのだと感じています 

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