- 1二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:12:45
いや、ただの研究の前準備にすぎないものだから、気楽に答えてくれたまえ。
──天皇賞(秋)に有馬記念。知っての通り、私はそこで、情動によるウマ娘の走りのさらなる可能性を見た。
『声援に応えたい』、『相手に勝ちたい』。これらの感情が大きければ大きいほど、私の体は限界のさらに先、私の追い求める速さへと近づいていった。
それならば、だ。より大きな感情、人間の本能にも直結する恋愛感情。これを研究することで、私はさらなる速さに近づけるのではないか！
──というのが今回の研究テーマだ。ほら、正直に答えたまえ、モルモット君。今更恥ずかしがる事でもないだろう？
ふむ。私に対してそういう感情は無い。私が走るのを見るだけで満足、と。
ククッ、実に模範的かつ予想通りの回答だ！私も君の事をかなり理解してきたと思わないか、モルモット君？ - 2二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:13:27
ん？私の方はどうなんだって？残念ながら、今のところ君にそういう感情はないよ、トレーナー君。
というか、これまで恋とか愛なんて考えたこともなかったし、興味も無かった。最も、今の興味もある種の好奇心に過ぎないものだから、本当に気にしてると言えるかは疑問だが。
しかし──
困ったな。これでは被検体を用意できない。
恋するウマ娘、この際ただの人間でもいい。その身体機能はどれほど向上するのかが焦点になるのに、私たちがこの有様ではね。
他の生徒を被検体にするという手もあるが、それをするといよいよ退学にもなりかねない。そもそも他人の恋愛事情なんて把握していないから、用意する労力も凄まじいしね。
どうしたものか──
……トレーナー君。先ほど君は私に対して「そういう感情はない」と答えた。
つまり、あくまで私の人格と走り、いやこの場合走りの方がほとんどか？──に魅了されたのであって、私の事を異性として意識した事は無いと、そういう事だね？ - 3二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:14:01
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- 4ちょっとミスった21/11/24(水) 19:14:54
──これでもかい？
……ほら、君の狂った瞳がよく見える。近くで見れば見るほど、私好みのいい目だ。
目を逸らすな。もっと私を見たまえ。私のまつ毛一本に至るまで、君の記憶に焼き付けろ。
聞こえるかい？私の心臓の音だ。……人間の耳では厳しいか。それなら、ほら……首筋に触れて……。
そうだ、君の視覚で、聴覚で、触覚で、すべてで私を感じるんだ……。
これでもまだ足りないなら……私は君となら、「別にいいか」と思っているんだよ？モルモット君── - 5二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:15:33
──ククッ。
アッハッハッハッハッハ！！
冗談に決まっているじゃないか！！しかし、君のそんなウブなリアクションは久しぶりだ！！「うわあっ」って！！
ダメだ、思い出しただけで笑いが……フフッ。
……失礼。我ながららしくない事をした。君に「そういう」アピールをすれば、何かしらの反応が得られると思ったんだがねえ。君の今の顔を見るに──
まったく意味がなかったようだ。むしろ逆効果だった気さえしてくる。
うん、この研究は保留にしよう。私たちにはあまりにも不適だ。それに他に走りを向上させるファクターはいくらでもある。そっち方面での研究にシフトするべきだろう。
大丈夫、君のおかげでプラン変更には慣れている。そうと決まれば次の実験だ！さあ、私は準備するものがあるから、君は先にグラウンドに行きたまえ。では、また後で。 - 6二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:17:22
──そうだ、トレーナー君。
「君となら──」という言葉、あれは本当の事だよ。 - 7二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:19:09
おしまい。タキオンが恋愛感情に興味を持ち始めるお話でした。
- 8二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:19:58
これは……いい……
モルモットくんがどこまでもモルモットでほんと - 9二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:20:11
ありがとうございますぅ……モルモットくんとタキオンの関係は難しいところがありますが、それでも少しずつ前へ進んでいってくれそうで何よりです……。
- 10二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:21:11
凄い物を見た。
これでもかい？からのタキオンがめちゃくちゃ妖艶だし、
それが妖艶である程に「走りに目を焼かれた」モルモットの圧が高まる。
これ好きだわ。 - 11二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:21:20
つよつよタキオンのSSだ！！
保護しろ！！ - 12補足21/11/24(水) 19:27:45
説明口調になっちゃうのでシチュなんかは省きましたが、場所はトレーナー室の想定です
あとタキオンが迫るところは、トレーナーをソファに押し倒してます。なんというインモラル！
モルモット君はモルモット君なので、例え「そういう」感情を抱いたとしても、走りへの執着でかき消えます。砂漠に落ちた1円玉です。 - 13二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:30:06
私は感動している…
モルタキSSの同士の原著に
ありがたや…素晴らしいものを、本当にありがとう… - 14二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:31:39
文面から圧と熱が伝わってくるすごいSSだった。ありがとう
- 15二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 19:32:44
育成のエンディング的にこういう事は十分あり得るからなぁ…
- 16二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 20:01:50
インモラル…好き…
- 17補足２21/11/24(水) 20:57:51
タキオンが迫るシーン、予定では匂いにも言及するつもりでしたが、どうあがいてもインモラル度が天元突破したのと、自分の中でタキオンはいい匂いがする派と臭い派で戦争起こしたのでボツになりました。
- 18二次元好きの匿名さん21/11/24(水) 21:03:36
色々考えてたんだねぇ…よいものを読ませてもらいました
- 19二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 08:53:48
タキモルいい…