- 1二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 00:28:17
「グリーン何故ワシがああ言ったのか、わかったか?」
レッドに負けた時に言われた言葉。一晩経ってもその意味は全然わからなかった。
そのことを伝えれば、じいさんは悲しそうに顔を歪めた。
そんな顔を見ていたくなくて顔を背けると、それにため息を吐くような声がして身体を強張る。
「なあグリーン……別れは辛いじゃろう?」
その言葉に、ハッと息を呑む。
「自分で捕まえて、育てて……共に旅をした。そんな仲間を喪うのは辛かったのじゃろう。しかし──」
「じいさんに何がわかるんだよ!俺がどんな気持ちだったのか!」
怒られると思った。じいさんはきっと呆れていたからああ言ったのだ。自分のポケモンも大切に出来ないやつだと。
だから──
「わかるさ。ワシも何回も繰り返しておる」
爺さんのその言葉に、思わず声が止まった - 2二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 00:29:48
む?一瞬わからなかった
ポケモンを喪って悲しかったから情を抱かないように戦ってたという解釈か - 3121/11/25(木) 00:30:35
「当たり前じゃろう。ワシはお主の何倍も生きておる。ポケモンを送り出すのは何回も経験しておる。他人のポケモンもワシのポケモンもな」
「……」
「辛かったよ。何度後悔したかも分からない。何が出来たことがあったかもしれない。とんでもない間違いを犯していたかもしれない。そんなことを何回も何回も繰り返したのじゃ」
「だったら分かるだろ。怖い、いつかまたあんな風になったらと思うと……」
「でもなグリーン。別れを恐れるあまり、今共にいる者たちから目を背けるのは本当に正しいと思っとるのか?」
「……っ」
「お主のポケモン達はお主を慕ってくれておるのに。お主がチャンピオンになれるほどに頑張ってくれるのに、なのにお前はその愛に応えぬのか?」
だって、あんなのは辛すぎる。また、同じことを繰り返すのは嫌だ。
「それが共に生きると言うことじゃ。いつかどんな形であれ別れは来る。それはポケモンだけでない。人間だってそうじゃ。ナナミやレッドも、そしてわし自身も、永遠に一緒に居られるわけではない」
知識では分かっていた。でも意識したことは無かった。
人は永遠には生きられない。みんないつか死んでしまう。ずっとなんて不可能だ。
それを今、この瞬間、正しく理解した。 - 4二次元好きの匿名さん21/11/25(木) 00:32:02
用もないのにシオンタウの墓には行かないもんな…
- 5121/11/25(木) 00:32:50
「生きると言うのは辛いことばかりじゃ。でも嬉しいことや楽しいことだっていっぱいあるじゃろう。なら、辛いことの数を遥かに勝るよう、素晴らしいことをいっぱい体験しなさい。そのときの痛みは増えるかもしれない……それでも何もしなかった方がきっと後悔する。素敵な時間を重ねれば、いつか優しい思い出になる時がくるはずだから……」
爺さんの言ってることは難し過ぎた。半分も理解出来るかもわからなかった。でも、わかったことはある。
「……初めて…捕まえたんだ。自分自身でバトルして……ボールを投げて……そうやって捕まえたの、初めてだったんだ」
「そうか」
「……嬉しかったんだ。爺さんにポケモン貰ったのも嬉しかったけど……自分でポケモンを捕まえられたのも、すっごく嬉しかったんだ。だから……だから……」
「そうか……辛かったのグリーン。今までよく頑張ったの」
そう言って頭に乗せられた爺さんの手の感触は…きっと忘れることはないのだろう。